IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-外装部品の取付構造 図1
  • 特開-外装部品の取付構造 図2
  • 特開-外装部品の取付構造 図3
  • 特開-外装部品の取付構造 図4
  • 特開-外装部品の取付構造 図5
  • 特開-外装部品の取付構造 図6
  • 特開-外装部品の取付構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159946
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】外装部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
B62D37/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064439
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】中島 達順
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡志
(57)【要約】
【課題】ボデーの内部への水の浸入を防止可能であるとともに、ブラケットに対して外装部品を容易かつ精度高く取り付け可能な外装部品の取付構造を提供する。
【解決手段】本発明の取付構造は、リヤサイドスポイラ5、ブラケット7及び取付ファスナ9等を備えている。ブラケット7はバックドア1に設けられている。リヤサイドスポイラ5は、ブラケット7に取り付けられている。取付ファスナ9は、ブラケット7に対するリヤサイドスポイラ5の取り付けを行う。リヤサイドスポイラ5は、第1取付孔21が形成された取付部材5bを有している。ブラケット7は、第1取付孔21と対向し、第1取付孔21とともに取付ファスナ9が挿通される第2取付孔23を有している。また、取付部材5b及びブラケット7の少なくとも一方は、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを行う位置決め体を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたボデーと、
前記ボデーに取り付けられて前記開口を覆うウィンドウと、
前記ウィンドウよりも外側で前記ボデーに設けられたブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられ、前記ボデーにおいて前記ウィンドウに隣接して配置される外装部品と、
前記ブラケットに対する前記外装部品の取り付けを行う取付具とを備え、
前記外装部品は、第1取付孔が形成された取付部材と、
前記取付部材に固定されて前記取付部材を覆うカバー部材とを有し、
前記ブラケットは、前記第1取付孔と対向し、前記第1取付孔とともに前記取付具が挿通される第2取付孔とを有し、
前記取付部材及び前記ブラケットの少なくとも一方は、前記ブラケットに対する前記取付部材の位置決めを行う位置決め体を有していることを特徴とする外装部品の取付構造。
【請求項2】
前記第2取付孔が前記位置決め体を兼ねており、
前記第2取付孔は、前記第1取付孔と対向することにより、前記ブラケットに対する前記取付部材の位置決めを行う請求項1記載の外装部品の取付構造。
【請求項3】
前記取付具は、前記第1取付孔に予め挿通された状態で前記第2取付孔に挿通されることにより、前記第2取付孔の周囲で前記ブラケットに係止される取付ファスナである請求項1又は2記載の外装部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外装部品の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図8に従来の外装部品の取付構造(以下、単に取付構造という。)が開示されている。この取付構造は、ボデーと、ウィンドウと、ガーニッシュと、ブラケットと、外装部品と、取付具とを備えている。ボデーには開口が形成されている。ウィンドウはボデーに取り付けられており、開口を覆っている。ガーニッシュはボデーとは別部品で構成されている。ガーニッシュはボデーに取り付けられており、ウィンドウの上方に配置されている。ガーニッシュには開口部が形成されている。
【0003】
ブラケットは、ウィンドウよりも上方であって、ボデーとガーニッシュとの間となる位置でボデーに溶接されている。これにより、ブラケットは、ガーニッシュの開口部内に位置している。外装部品はブラケットに取り付けられている。取付具は、ブラケットに対する外装部品の取り付けを行う。なお、同文献において、ボデーは具体的にはバックドアであり、外装部品は具体的にはスポイラであり、取付具は具体的にはボルトである。
【0004】
また、外装部品は取付部材とカバー部材とを有している。取付部材には第1取付孔が形成されている。カバー部材は取付部材に固定されており、取付部材を覆っている。カバー部材には作業孔が形成されている。一方、ブラケットには第2取付孔が形成されている。さらに、ブラケットにはナットが固定されている。ナットは第2取付孔の下方で第2取付孔と同軸で配置されている。
【0005】
この取付構造では、取付部材をガーニッシュの開口部内に進入させて第1取付孔と第2取付孔とを上下方向で対向させる。そして、この状態で作業孔を通じて第1取付孔及び第2取付孔に取付具を挿通し、取付具をナットに締結する。これにより、ブラケットに取付部材が固定されることで、ブラケットに外装部品が取り付けられる。こうして、外装部品は、ブラケットを介してボデーに取り付けられて、ガーニッシュの上方、すなわちウィンドウの上方に配置されている。
【0006】
このように、この取付構造では、ブラケットに第2取付孔及びナットが設けられており、外装部品がブラケットを介してボデーに取り付けられている。これにより、この取付構造では、外装部品をボデーに直接取り付ける場合と異なり、ボデーに第2取付孔及びナットを設ける必要がない。このため、この取付構造では、第2取付孔を通じてボデーの内部に雨水等が浸入することが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-121423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種の取付構造では、ボデーの内部への水の浸入防止を図るだけでなく、ボデーに対する外装部品の取り付けを容易かつ精度高く行い得ることも要求される。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ボデーの内部への水の浸入を防止可能であるとともに、ボデーに対して外装部品を容易かつ精度高く取り付け可能な外装部品の取付構造を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の外装部品の取付構造は、開口が形成されたボデーと、
前記ボデーに取り付けられて前記開口を覆うウィンドウと、
前記ウィンドウよりも外側で前記ボデーに設けられたブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられ、前記ボデーにおいて前記ウィンドウに隣接して配置される外装部品と、
前記ブラケットに対する前記外装部品の取り付けを行う取付具とを備え、
前記外装部品は、第1取付孔が形成された取付部材と、
前記取付部材に固定されて前記取付部材を覆うカバー部材とを有し、
前記ブラケットは、前記第1取付孔と対向し、前記第1取付孔とともに前記取付具が挿通される第2取付孔を有し、
前記取付部材及び前記ブラケットの少なくとも一方は、前記ブラケットに対する前記取付部材の位置決めを行う位置決め体を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の取付構造では、外装部品が取付部材とカバー部材とを有しており、取付部材には第1取付孔が形成されている。また、ボデーにおけるウィンドウよりも外側にはブラケットが設けられており、ブラケットには第2取付孔が形成されている。そして、この取付構造では、第1取付孔及び第2取付孔に挿通された取付具によって、ブラケットに外装部品が取り付けられる。こうして、この取付構造では、ブラケットを介して、ボデーに外装部材が取り付けられることにより、外装部品は、ボデーにおいてウィンドウに隣接して配置される。
【0012】
このように、この取付構造では、外装部品がブラケットを介してボデーに取り付けられるため、外装部品をボデーに取り付けるに当たって、ボデーに第2取付孔を形成する必要がない。
【0013】
さらに、この取付構造は、固定部及びブラケットの少なくとも一方が位置決め体を有している。このため、この取付構造では、位置決め体によって、ブラケットに対する取付部材の位置決めを容易に行うことができるとともに、ブラケットに対する取付部材の位置決めを精度高く行うことができる。これにより、この取付構造では、ブラケットに対する外装部品の取り付けを容易化できるとともに、ブラケットに外装部品を精度高く取り付けることができる。
【0014】
したがって、本発明の外装部品の取付構造によれば、ボデーの内部への水の浸入を防止可能であるとともに、ボデーに対して外装部品を容易かつ精度高く取り付け可能である。
【0015】
ところで、ボデーの内部への水の浸入防止を図るに当たっては、ボデーではなく、ウィンドウにブラケットを設ける構成も考えられる。しかし、この場合には、ブラケットを設けるためのスペースを確保するためにウィンドウを大型化する必要があることから、ウィンドウの製造コストが増大化する問題がある。また、ウィンドウの大型化により、ウィンドウの重量が増大化する問題もある。特に、ウィンドウが無機ガラス製である場合には、大型化による重量の増大化が顕著となる。さらに、ウィンドウにブラケットを設ける場合には、ウィンドウにブラケットを接着せざるを得ず、ウィンドウにブラケットを設けた際の強度を好適に確保し難い問題もある。
【0016】
この点、この取付構造では、ブラケットがボデーに設けられるため、ブラケットを設けるためのスペースをウィンドウに確保する必要がなく、その分、ウィンドウを小型化することができる。このため、この取付構造では、ウィンドウの製造コストを低廉化できる他、ウィンドウの軽量化もできる。また、この取付構造では、ブラケットがボデーに設けるに当たって接着以外の方法も採用し得るため、ボデーにブラケットを設けた際の強度を確保し易い。
【0017】
本発明の取付構造において、第2取付孔が位置決め体を兼ねており、第2取付孔は、第1取付孔と対向することにより、ブラケットに対する取付部材の位置決めを行うことが好ましい。
【0018】
この場合には、ブラケットに対して専用の位置決め体を設ける必要がないため、ブラケットの製造を容易化できる。また、取付具を挿通するに当たって第1取付孔と第2取付孔とを対向させれば、ブラケットに対する取付部材の位置決めが可能となる。このため、この取付構造では、ブラケットに対する取付部材の位置決めをより容易に行うことができる。
【0019】
取付具は、第1取付孔に予め挿通された状態で第2取付孔に挿通されることにより、第2取付孔の周囲でブラケットに係止される取付ファスナであることが好ましい。
【0020】
第1取付孔が形成される取付部材はカバー部材に覆われるため、取付具が例えばボルトやネジ等である場合には、作業孔をカバー部材に形成し、この作業孔を通じて第1取付孔及び第2取付孔に取付具を挿通させる必要がある。しかし、作業孔が形成されることにより、カバー部材、ひいては外装部品の美観が低下する問題がある。また、美観の低下を防止するため、ブラケットに対する外装部品の取り付け作業が終了した後に、作業孔を塞ぐことが考えられるものの、この場合には作業工数が増加してしまう。
【0021】
これに対し、この取付構造では取付具が取付ファスナであり、取付ファスナは、第2取付孔に挿通されることで第2取付孔の周囲でブラケットに係止される。つまり、この取付構造では、第1取付孔に取付ファスナを予め挿通した状態で第2取付孔に取付ファスナを挿通すれば、取付ファスナによってブラケットに固定部材、ひいては外装部品を取り付けることが可能となる。このため、この取付構造では、ブラケットに対する外装部品の取り付けをより容易化できる。また、この取付構造では、カバー部材に作業孔を形成する必要がないため、カバー部材、ひいては外装部品の美観を高くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の外装部品の取付構造によれば、ボデーの内部への水の浸入を防止可能であるとともに、ボデーに対して外装部品を容易かつ精度高く取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例の取付構造を示す斜視図である。
図2図2は、実施例の取付構造に係り、ブラケットに外装部品が取り付けられた状態における図1のA-A断面を示す要部拡大断面図である。
図3図3は、実施例の取付構造に係り、ブラケット等を示す要部拡大斜視図である。
図4図4は、実施例の取付構造に係り、図3のB-B断面を示す要部拡大断面図である。
図5図5は、実施例の取付構造に係り、図3のC-C断面を示す要部拡大断面図である。
図6図6は、実施例の取付構造に係り、リヤサイドスポイラ取付工程を示す図2と同様の要部拡大断面図である。
図7図7は、実施例の取付構造に係り、リヤサイドスポイラ取付工程を示す図2と同様の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1及び図2に示す実施例の取付構造は、車両(図示略)に採用されている。この取付構造は、バックドア1と、リヤウィンドウ3と、リヤサイドスポイラ5と、ブラケット7と、取付ファスナ9を備えている。バックドア1は、本発明における「ボデー」の一例である。また、リヤサイドスポイラ5は、本発明における「外装部材」の一例である。
【0026】
本実施例では、図1に示す矢印によって、車両の上下方向、左右方向及び前後方向を規定している。そして、図2以降では、図1に対応して上下方向、左右方向及び前後方向を規定している。これらの上下方向、左右方向及び前後方向は互いに直交している。
【0027】
バックドア1は、図示しない車体の後部に揺動可能に取り付けられており、車両の後部に配置されている。図2に示すように、バックドア1は、アウタパネル1aと、インナパネル1bとを有している。アウタパネル1a及びインナパネル1bは、金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。アウタパネル1aと、インナパネル1bとは溶接されて一体化されている。これにより、アウタパネル1aはバックドア1の表面を構成している。一方、インナパネル1bはバックドア1の裏面を構成している。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、バックドア1には開口10が形成されている。開口10は、バックドア1における略中央に位置している。図1に示すように、開口10は、上下方向及び左右方向に延びる略矩形状をなしており、バックドア1を前後に貫通している。なお、バックドア1及び開口10の形状は適宜設計可能である。なお、図3では、説明を容易にするため、リヤウィンドウ3の図示を省略している。
【0029】
また、アウタパネル1aにおける右端及び左端は、それぞれブラケット固定部101とされている。本実施例では、アウタパネル1aの右端のブラケット固定部101のみを図示している。各ブラケット固定部101は、アウタパネル1aにおいて開口10よりも外側かつ、バックドア1に固定された際のリヤウィンドウ3よりも外側に位置している。また、インナパネル1bの右端及び左端は、それぞれブラケット固定部101の下方でアウタパネル1aに溶接されている。
【0030】
図1に示すリヤウィンドウ3は無機ガラス製であり、無色透明をなしている。リヤウィンドウ3は、上下方向及び左右方向に延びる略矩形状の板状に形成されている。ここで、リヤウィンドウ3は、開口10よりも前後方向及び左右方向に大きい矩形状をなしている。図2に示すように、リヤウィンドウ3は、ウレタン接着剤11によってアウタパネル1aに接着されている。より具体的には、リヤウィンドウ3は、アウタパネル1aにおいて、開口10の外側となる個所に接着されている。なお、リヤウィンドウ3をポリカーボネート等の樹脂製としても良い。また、リヤウィンドウ3は、有色の透明であっても良い。さらに、車両の走行に支障が生じないのであれば、リヤウィンドウ3を半透明色や不透明色で形成しても良い。
【0031】
リヤサイドスポイラ5は左右一対であり、それぞれリヤウィンドウ3の右側と左側とに設けられている。本実施例では、リヤウィンドウ3の右側に設けられるリヤサイドスポイラ5のみを図示して説明する。なお、リヤウィンドウ3の右側に設けられるリヤサイドスポイラ5と、リヤウィンドウ3の左側に設けられるリヤサイドスポイラ5とは、左右対称の形状である。
【0032】
リヤサイドスポイラ5は、スポイラ本体5aと、取付部材5bとを有している。スポイラ本体5aは、本発明における「カバー部材」の一例である。スポイラ本体5a及び取付部材5bは樹脂製である。なお、スポイラ本体5a及び取付部材5bを金属製としても良い。また、スポイラ本体5aと取付部材5bとをそれぞれ異なる材料で形成しても良い。
【0033】
図2に示すように、スポイラ本体5aは下部が開口する略矩形の箱状に形成されている。また、図1に示すように、スポイラ本体5aは、バックドア1に沿って前後方向に延びている。さらに、スポイラ本体5aは、前端部分がリヤウィンドウ3に向かって湾曲する形状となっている。スポイラ本体5aは、リヤサイドスポイラ5の意匠面を構成している。なお、スポイラ本体5aの形状は、リヤサイドスポイラ5に要求される風の整流効果や美観に応じて適宜設計可能である。
【0034】
図2に示すように、取付部材5bは、スポイラ本体5aの内部に配置されている。取付部材5bは、スポイラ本体5aに沿って前後方向に延びている。また、図1に示すように、取付部材5bの前端は、スポイラ本体5aから前方に突出している。
【0035】
図2に示すように、取付部材5bは、構造部51と、延在部53と、溝部55とを有している。構造部51は内部が中空をなす略矩形の箱状に形成されている。延在部53は、構造部51と接続しており、構造部51から左方に向かって板状に延びている。延在部53には、第1取付孔21が形成されている。ここで、図3に示すように、本実施例では、ブラケット7に対して4つの第2取付孔23が形成されている。このため、延在部53には、第2取付孔23に対応するように、4つの第1取付孔21が形成されている。詳細な図示を省略するものの、各第1取付孔21は、前後方向口に延びる長孔形状に形成されている。なお、第1取付孔21の個数と、第2取付孔23の個数とが異なっていても良い。
【0036】
図5及び図6に示すように、溝部55は、構造部51と延在部53との間に位置している。溝部55は下端が開口しており、上方に向かって延びている。上述のように取付部材5bが前後方向に延びる形状であるため、これらの構造部51、延在部53及び溝部55は、それぞれ前後方向に延びている。
【0037】
取付部材5bは、スポイラ本体5aの内壁に構造部51の上端を当接させている。そして、この状態でスポイラ本体5aが構造部51に接着されている。これにより、スポイラ本体5aは取付部材5bに固定されており、取付部材5bの前端部分を除いて、取付部材5bを上方から覆っている。こうして、各第1取付孔21を含め延在部53は、スポイラ本体5aによって、リヤサイドスポイラ5の上方、すなわち車両の上方からは見えなくなっている。また、スポイラ本体5aと構造部51とが接着されることにより、構造部51は、スポイラ本体5aの内部でスポイラ本体5aを支持しているとともに、スポイラ本体5a、ひいては、リヤサイドスポイラ5の骨格を構成している。なお、取付部材5bの形状は、スポイラ本体5aの形状やリヤサイドスポイラ5に要求される剛性等に応じて適宜設計可能である。
【0038】
図3に示すブラケット7は、金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。これにより、ブラケット7は、長手方向に延びる矩形状をなしている。図示を省略するものの、ブラケット7は左右一対であり、それぞれバックドア1の右側と左側、より具体的には、バックドア1において、開口10を挟んで右側と左側とに設けられている。本実施例では、バックドア1の右側に設けられるブラケット7を例に説明する。なお、バックドア1の右側に設けられるブラケット7と、バックドア1の左側に設けられるブラケット7とは左右対称の形状である。
【0039】
ブラケット7には、第1~7固定部71a~71gと、第1~4取付基部73a~73dと、第1~4リブ75a~75dとが形成されている。第1~7固定部71a~71gは、それぞれブラケット7の長手方向に沿って配置されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、第1~4取付基部73a~73dは、第1~7固定部71a~71gよりも上方に突出している。図3に示すように、第1取付基部73aは、第1固定部71aと第2固定部71bとの間に配置されており、第1固定部71aと第2固定部71bとに連続している。第2取付基部73bは、第2固定部71bと第3固定部71cとの間に配置されており、第2固定部71bと第3固定部71cとに連続している。第3取付基部73cは、第5固定部71eと第6固定部71fとの間に配置されており、第5固定部71eと第6固定部71fとに連続している。第4取付基部73dは、ブラケット7の長手方向の端部に位置しており、第7固定部7gに連続している。
【0041】
また、第1~4取付基部73a~73dには、それぞれ第2取付孔23が形成されている。第2取付孔23は、それぞれ第1~4取付基部73a~73dを上下方向に貫通している。ここで、第1取付孔21と異なり、第2取付孔23は丸孔形状とされている。なお、第2取付孔23の形状及び個数は適宜設計可能である。
【0042】
第1~4リブ75a~75dのうち、第1~3リブ75a~75cは同一の形状である。第1リブ75aは、第3固定部71cと第4固定部71dとの間に配置されている。第1リブ75aは、第3固定部71c及び第4固定部71dよりも上方に突出しつつ、第2固定部71bと第3固定部71cとに連続している。第2リブ75bは、第4固定部71dと第5固定部71eとの間に配置されている。第2リブ75bは、第4固定部71d及び第5固定部71eよりも上方に突出しつつ、第4固定部71dと第5固定部71eとに連続している。第3リブ75cは、第6固定部71fと第7固定部71gとの間に配置されている。第3リブ75cは、第6固定部71f及び第7固定部71gよりも上方に突出しつつ、第6固定部71fと第7固定部71gとに連続している。
【0043】
第4リブ75dは、ブラケット7の右端に配置されており、第1~7固定部71a~71gの各右端と、第1~4取付基部73a~73dの各右端と、第1~3リブ75a~75cの各右端とにそれぞれ接続している。第4リブ75dは、第1~4取付基部73a~73d及び第1~3リブ75a~75cよりも上方に向かって延びつつ、ブラケット7の長手方向の一端から他端まで延びている。より具体的には、図4及び図5に示すように、第4リブ75dは、上方に向かうにつれて右方に傾斜するように延びている。なお、第1~4リブ75a~75dの形状及び個数は適宜設計可能である。
【0044】
図6及び図7に示す取付ファスナ9は樹脂製であり、基部91と、係止部92と、接続部93とで構成されている。本実施例では、取付ファスナ9の個数は、第1取付孔21と同数、すなわち4個とされている。
【0045】
基部91は、取付ファスナ9の上端に位置している。基部91は、第1取付孔21及び第2取付孔23よりも大径をなす円盤状に形成されている。係止部92は、取付ファスナ9の下方に位置している。係止部92は、下端から上方に向かうにつれて拡径する略円錐形状をなしている。係止部92は、下端が第1取付孔21及び第2取付孔23よりも小径をなしている一方、上端は第1取付孔21及び第2取付孔23よりも大径をなしている。接続部93は、基部91と係止部92との間に位置している。接続部93は、上端で基部91と接続しており、下端で係止部92の上端と接続している。接続部93は、第1取付孔21及び第2取付孔23よりも小径に形成されている。
【0046】
また、取付ファスナ9では、係止部92及び接続部93に渡って貫通孔94が形成されている。これにより、係止部92及び接続部93は、径方向に弾性変形することが可能となっている。なお、取付ファスナ9の形状は適宜設計可能である。また、取付ファスナ9の個数は、第1取付孔21の個数よりも少なくても良い。
【0047】
この取付構造では、以下で説明する方法によって、バックドア1にリヤサイドスポイラ5を取り付け可能である。バックドア1にリヤサイドスポイラ5を取り付ける当たり、この取付構造では、まず初めに準備工程を行う。準備工程では、図1に示すように、バックドア1、リヤウィンドウ3、リヤサイドスポイラ5、ブラケット7及び取付ファスナ9を準備する。この際、バックドア1では、アウタパネル1aとインナパネル1bとが溶接されている。また、リヤサイドスポイラ5では、スポイラ本体5aが取付部材5bに固定された状態にある。なお、準備工程で準備されるバックドア1は、車体に揺動可能に取り付けられた状態であっても良く、車体に取り付けられる前の状態であっても良い。
【0048】
次に、ウィンドウ取付工程を行う。ウィンドウ取付工程では、図2に示すように、ウレタン接着剤111によって、アウタパネル1aにリヤウィンドウ3を接着する。この際、アウタパネル1aにおいて、開口10とブラケット固定部101との間となる個所、すなわち、開口10よりも外側であって、ブラケット固定部101よりも内側となる個所にリヤウィンドウ3を接着する。これにより、リヤウィンドウ3は、バックドア1に固定されて開口10を上方から覆っている。
【0049】
次に、ブラケット取付工程を行う。ブラケット取付工程では、図3に示すように、ブラケット7をブラケット固定部101に配置する。この際、ブラケット7は、第4リブ75dをバックドア1の右端に位置させつつ、長手方向をバックドア1の前後方向に沿った状態でブラケット固定部101に配置する。
【0050】
そして、第1溶接個所P1において、第1固定部71aをブラケット固定部101にスポット溶接する。同様に、第2~7溶接個所P2~P7において、第2~7固定部71b~71gをそれぞれブラケット固定部101にスポット溶接する。こうして、図4及び図5に示すように、ブラケット7は、開口10及びリヤウィンドウ3よりも外側でバックドア1に固定されている。なお、図示を省略するものの、バックドア1の左側に設けられるブラケット7では、第4リブ75dがバックドア1の左端に位置させつつ、ブラケット固定部101にスポット溶接されている。
【0051】
また、このように第1~7溶接個所P1~P7において、各第1~7固定部71a~71gがブラケット固定部101に溶接されることにより、ブラケット7では、第1~4取付基部73a~73dがブラケット固定部101に対して上方に離隔して配置される。これにより、第1~4取付基部73a~73dとブラケット固定部101との間には、それぞれ空間25が形成されている。なお、スポット溶接に換えて、第1~7固定部71a~71gを接着剤や粘着テープ等によってブラケット固定部101に接着しても良い。
【0052】
次に、リヤサイドスポイラ取付工程を行う。リヤサイドスポイラ取付工程では、図6に示すように、まず初めに、第1取付孔21に対する取付ファスナ9の取り付けを行う。第1取付孔21に取付ファスナ9を取り付けるに当たっては、取付ファスナ9の係止部92を第1取付孔21に向けつつ、取付ファスナ9を第1取付孔21の上方に位置させる。そして、この状態で取付ファスナ9を下方に移動させて、係止部92を第1取付孔21内に挿通させる。この際、基部91を通じて取付ファスナ9を上方から押圧することにより、係止部92は、図6等で示す初期状態から縮径するように弾性変形しつつ、第1取付孔21内を通過する。これにより、取付ファスナ9では、係止部92の全体が第1取付孔21から下方に脱出した状態となるとともに、接続部93が第1取付孔21内に位置する。こうして、第1取付孔21に取付ファスナ9が取り付けられる。なお、取付部材5bの延在部53には、4つの第1取付孔21が形成されているため、各第1取付孔21にそれぞれ取付ファスナ9が一つずつ取り付けられる。
【0053】
ここで、取付ファスナ9において、基部91は第1取付孔21よりも大径であるため、基部91が第1取付孔21の周囲で取付部材5bの延在部53に当接することにより、第1取付孔21から下方への取付ファスナ9の抜け止めが行われる。また、係止部92の全体が第1取付孔21から下方に脱出することで、係止部92は初期状態に復帰する。これにより、係止部92の上端は第1取付孔21よりも大径となる。これにより、第1取付孔21から上方への取付ファスナ9の抜け止めが行われる。
【0054】
このように、第1取付孔21に取付ファスナ9が取り付けられた後、取付部材5bをバックドア1に向けつつ、リヤサイドスポイラ5をブラケット7の上方に位置させる。そして、各第2取付孔23と各第1取付孔21とをそれぞれ上下方向で対向させる。これにより、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを行う。つまり、この取付構造において、各第2取付孔23は、本発明における「位置決め体」を兼ねている。また、各第2取付孔23と各第1取付孔21とをそれぞれ上下方向で対向させることにより、ブラケット7の第4リブ75dと、取付部材5bの溝部55とが上下方向で対向する。
【0055】
そして、図6の実線矢印で示すように、リヤサイドスポイラ5を下方に移動させて、取付ファスナ9の係止部92を第2取付孔23内に挿通する。ここで、ブラケット7には、4つの第2取付孔23が形成されているため、各第2取付孔23にそれぞれ取付ファスナ9が一つずつ挿通される。
【0056】
さらに、スポイラ本体5aを通じてリヤサイドスポイラ5を上方から押圧することにより、第1取付孔21に取付ファスナ9を取り付ける場合と同様、係止部92は初期状態から縮径するように弾性変形しつつ、第2取付孔23内を通過する。これにより、取付ファスナ9では、係止部92の全体が第2取付孔23から下方に脱出し、ブラケット7の空間25内に位置する。
【0057】
そして、係止部92は初期状態に復帰することにより、第2取付孔23よりも大径となる。このため、空間25内において、係止部92は第2取付孔23の周囲に係止される。より具体的には、係止部92は、第1~4取付基部73a~73dにおいて第2取付孔23の外周となる個所に係止される。これにより、第2取付孔23から上方への取付ファスナ9の抜け止めが行われる。また、取付ファスナ9では、接続部93が第1取付孔21内及び第2取付孔23内に位置する。こうして、第2取付孔23に取付ファスナ9が取り付けられる。
【0058】
また、リヤサイドスポイラ5を下方に移動させることにより、溝部55内に第4リブ75dが進入する。そして、第2取付孔23に取付ファスナ9が取り付けられた際には、溝部55内に第4リブ75dが収容される。
【0059】
このように、第2取付孔23に取付ファスナ9が取り付けられることにより、図2及び図7に示すように、取付ファスナ9によって、ブラケット7にリヤサイドスポイラ5が取り付けられる。こうして、リヤサイドスポイラ5は、バックドア1の幅方向でリヤウィンドウ3に隣接しつつ、リヤウィンドウ3よりも外側でバックドア1に取り付けられる。また、この際には、取付部材5bの延在部53と、ブラケット7の第1~4取付基部73a~73dとが上下方向で当接する。これにより、ブラケット7は、リヤサイドスポイラ5を下方から支持する。
【0060】
ここで、このリヤサイドスポイラ5では、バックドア1の右端に固定されることにより、スポイラ本体5aの左側がリヤウィンドウ3の右端縁の一部を上方から覆う状態となる。換言すれば、リヤサイドスポイラ5は、リヤウィンドウ3の一部をスポイラ本体5aとアウタパネル1aとの間に進入させた状態でバックドア1に固定される。なお、図示を省略するものの、バックドア1の左端についても、リヤサイドスポイラ5が同様に固定されている。
【0061】
こうして、ブラケット7を介してバックドア1にリヤサイドスポイラ5が取り付けられることにより、これにより、この取付構造では、バックドア1に対するリヤサイドスポイラ5の取り付けが完了する。この結果、バックドア1では、リヤウィンドウ3の左右にそれぞれリヤサイドスポイラ5が隣接した状態で配置される。また、図示を省略するものの、バックドア1には、リヤサイドスポイラ5同士の間であって、リヤウィンドウ3の上方となる個所にリヤセンタースポイラが取り付けられる。
【0062】
このように、この取付構造では、リヤサイドスポイラ5がブラケット7を介してバックドア1に取り付けられるため、リヤサイドスポイラ5をバックドア1に取り付けるに当たって、バックドア1のアウタパネル1aに第2取付孔23を形成する必要がない。
【0063】
ここで、リヤサイドスポイラ5がバックドア1に取り付けられた状態において、スポイラ本体5aとリヤウィンドウ3とは密着しておらず、スポイラ本体5aとリヤウィンドウ3との間には僅かに隙間が存在する。また、取付部材5bとアウタパネル1aとの間の他、第1取付孔21及び第2取付孔23と取付ファスナ9との間等にも隙間が存在する。このため、これらの隙間から雨水等の水が浸入し得るものの、この水は、アウタパネル1aの表面やブラケット7の空間25内に貯留されるに止まる。
【0064】
つまり、この取付構造では、アウタパネル1aに第2取付孔23が形成されていないため、スポイラ本体5aとリヤウィンドウ3との間等から浸入した水が第2取付孔23を通じてアウタパネル1aとインナパネル1bとの間、すなわち、バックドア1の内部に至ることはない。このため、この取付構造では、バックドア1の内部に水が浸入することを防止するために、スポイラ本体5aとリヤウィンドウ3との間にシール部材を設けたり、第1取付孔21及び第2取付孔23と取付ファスナ9との間等にシール部材を設けたりする必要がない。
【0065】
さらに、この取付構造では、第2取付孔23が位置決め体を兼ねている。このため、この取付構造では、第2取付孔23を各第1取付孔21に上下方向で対向させることで、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを容易に行うことが可能となっているとともに、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを精度高く行うことが可能となっている。
【0066】
また、この取付構造では、第1取付孔21に取付ファスナ9が予め取り付けられた状態でブラケット7に対する取付部材5bの位置決めが行われる。つまり、この取付構造では、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを行うよりも前に、第1取付孔21に対する取付ファスナ9の取り付けが完了している。このため、この取付構造では、第2取付孔23を第1取付孔21に上下方向で対向させることにより、第2取付孔23に対する取付ファスナ9の位置決めも容易に行うことができる。このため、第2取付孔23に対する取付ファスナ9の取り付けも容易に行うことが可能となっている。
【0067】
これらにより、この取付構造では、ブラケット7に対するリヤサイドスポイラ5の取り付けを容易化できるとともに、ブラケット7にリヤサイドスポイラ5を精度高く取り付けることができる。
【0068】
したがって、実施例の取付構造によれば、バックドア1の内部への水の浸入を防止可能であるとともに、バックドア1に対してリヤサイドスポイラ5を容易かつ精度高く取り付け可能である。
【0069】
特に、この取付構造では、第2取付孔23に取付ファスナ9を挿通し、取付ファスナ9の係止部92を第2取付孔23の周囲に係止させれば、取付ファスナ9によってブラケット7に取付部材5b、ひいてはリヤサイドスポイラ5を取り付けることが可能となっている。つまり、この取付構造では、ブラケット7に向けてリヤサイドスポイラ5を下方に移動させつつ、スポイラ本体5aを通じてリヤサイドスポイラ5を上方から押圧すれば、ブラケット7にリヤサイドスポイラ5を取り付けることが可能となっている。このため、この取付構造では、取付ファスナ9を通じてブラケット7にリヤサイドスポイラ5を取り付けるに当たって、専用の工具も不要となっている。
【0070】
ここで、ブラケット7には、第1~4リブ75a~75dが形成されており、これらの第1~4リブ75a~75dによってブラケット7が補強されている。このため、第2取付孔23に取付ファスナ9を挿通するに当たって、リヤサイドスポイラ5を上方から押圧しても、ブラケットは、その際の荷重によって撓み難くなっている。この点においても、この取付構造では、ブラケット7に対するリヤサイドスポイラ5の取り付けが容易となっている。
【0071】
また、この取付構造では、ブラケット7にリヤサイドスポイラ5が取り付けられることにより、ブラケット7は、リヤサイドスポイラ5を下方から支持する。この点、この取付構造では、第1~4リブ75a~75dによってブラケット7が補強されているため、ブラケット7はリヤサイドスポイラ5を好適に支持することができる。このため、この取付構造では、ブラケット7、ひいてはバックドア1にリヤサイドスポイラ5が取り付けられた状態で、リヤサイドスポイラ5にガタツキが生じ難くなっている。
【0072】
また、リヤサイドスポイラ5では、スポイラ本体5aが取付部材5bに固定されることにより、スポイラ本体5aは、取付部材5bの延在部53を含め、第1取付孔21を上方から覆う状態となる。このため、仮に、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを行った後に、第1取付孔21及び第2取付孔23に取付ファスナ9を挿通する構成とした場合には、スポイラ本体5aに作業孔を別途に形成し、この作業孔を通じて、第1取付孔21及び第2取付孔23に取付ファスナ9を挿通させて取り付ける作業を行う必要がある。
【0073】
この点、この取付構造では、ブラケット7に対する取付部材5bの位置決めを行うよりも前に、第1取付孔21に対する取付ファスナ9の取り付けが完了している。このため、この取付構造によれば、スポイラ本体5aに作業孔を形成する必要もない。このため、この取付構造では、スポイラ本体5a、ひいてはリヤサイドスポイラ5の美観を高くすることも可能となっている。
【0074】
また、この取付構造では、ブラケット固定部101を有するアウタパネル1aと、ブラケット7とが共に金属製である。そして、ブラケット7は、第1~7溶接個所P1~P7において第1~7固定部71a~71gがスポット溶接されることにより、ブラケット固定部101に固定されている。つまり、この取付構造では、ブラケット7が複数個所でスポット溶接されて、ブラケット固定部101に固定されている。これにより、この取付構造では、例えば接着剤によってブラケット7がブラケット固定部101に固定される場合に比べて、ブラケット固定部101、ひいてはバックドア1に対するブラケット7の取り付け強度も好適に確保することが可能となっている。
【0075】
ところで、アウタパネル1aを含め、バックドア1は金属製であるのに対し、リヤサイドスポイラ5は樹脂製である。このため、バックドア1に比べて、リヤサイドスポイラ5は温度変化による熱伸縮が大きくなる。この点、この取付構造では、第1取付孔21を長孔形状としているため、取付ファスナ9は第1取付孔21内を長手方向に移動することが可能となっている。これにより、この取付構造では、リヤサイドスポイラ5が熱伸縮した際には、バックドア1とリヤサイドスポイラ5とにおける熱伸縮の差を好適に吸収することが可能となっている。
【0076】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0077】
例えば、実施例の取付構造では、バックドア1を本発明における「ボデー」とし、リヤウィンドウ3を本発明における「ウィンドウ」としている。しかし、これに限らず、ボンネット、ルーフ及びサイドドア等を本発明における「ボデー」としても良い。また、サイドウィンドウやルーフウィンドウ等を本発明における「ウィンドウ」としても良い。
【0078】
また、リヤサイドスポイラ5に換えて、ガーニッシュ等を本発明における「外装部材」としても良い。また、この場合の「外装部材」は、本発明における「ウィンドウ」に上方や下方で隣接する構成の他、ウィンドウに隣接しつつウィンドウを囲包する構成等であっても良い。
【0079】
また、実施例の取付構造では、ウィンドウ取付工程の後にブラケット取付工程を行っているが、これに限らず、ウィンドウ取付工程よりも先にブラケット取付工程を行っても良い。
【0080】
さらに、リヤサイドスポイラ5のスポイラ本体5aは、リヤサイドスポイラ5がバックドア1に固定されることにより、リヤウィンドウ3の一部を上方から覆う形状となっている。しかし、これに限らず、スポイラ本体5aは、リヤサイドスポイラ5がバックドア1に固定された際にリヤウィンドウ3を上方から覆うことなく、リヤウィンドウ3に隣接する形状であっても良い。
【0081】
また、実施例の取付構造では、第2取付孔23が本発明における「位置決め体」を兼ねている。しかし、これに限らず、ブラケット7の第4リブ75dと取付部材5bの溝部55とによって、本発明における「位置決め体」が構成されても良い。また、ブラケット7や取付部材5bが専用の位置決め体を別途に有する構成であっても良い。
【0082】
また、取付ファスナに換えて、ボルト及びナット等によって本発明における「固定具」を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、乗用自動車の他、運送車両や産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…バックドア(ボデー)
3…リヤウィンドウ(ウィンドウ)
5…リヤサイドスポイラ(外装部材)
5a…スポイラ本体(カバー部材)
5b…取付部材
7…ブラケット
9…取付ファスナ(固定具)
10…開口
21…第1取付孔
23…第2取付孔(位置決め体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7