IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西川産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-飛沫抑制部材 図1
  • 特開-飛沫抑制部材 図2
  • 特開-飛沫抑制部材 図3
  • 特開-飛沫抑制部材 図4
  • 特開-飛沫抑制部材 図5
  • 特開-飛沫抑制部材 図6
  • 特開-飛沫抑制部材 図7
  • 特開-飛沫抑制部材 図8
  • 特開-飛沫抑制部材 図9
  • 特開-飛沫抑制部材 図10
  • 特開-飛沫抑制部材 図11
  • 特開-飛沫抑制部材 図12
  • 特開-飛沫抑制部材 図13
  • 特開-飛沫抑制部材 図14
  • 特開-飛沫抑制部材 図15
  • 特開-飛沫抑制部材 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159973
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】飛沫抑制部材
(51)【国際特許分類】
   A47G 5/00 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A47G5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099217
(22)【出願日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2021064273
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】野口 尚史
(72)【発明者】
【氏名】浜口 貴司
(72)【発明者】
【氏名】西岡 良
(57)【要約】
【課題】飛沫を遮断すると共に人の声及び音を聞き取りやすくすることができる飛沫抑制部材を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る飛沫抑制部材1は、飛沫を遮断する透明部材によって構成された視認部30と、飛沫を遮断すると共に音を通す音通過部40と、視認部30及び音通過部40を一体として支持する支持部10と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛沫を遮断する透明部材によって構成された視認部と、
飛沫を遮断すると共に音を通す音通過部と、
前記視認部及び前記音通過部を一体として支持する支持部と、
を備える飛沫抑制部材。
【請求項2】
前記音通過部は、前記視認部の鉛直下方に位置する、
請求項1に記載の飛沫抑制部材。
【請求項3】
前記音通過部は、前記支持部に対して脱着自在とされている、
請求項1又は2に記載の飛沫抑制部材。
【請求項4】
前記支持部を自立した状態で保持するスタンド部を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の飛沫抑制部材。
【請求項5】
前記支持部は、前記音通過部を支持する第1支持部と、前記視認部を支持する第2支持部とを含んでおり、
前記第1支持部は、前記音通過部が載せられる第1固定部と、前記第1固定部と共に前記音通過部を挟み込む第2固定部とを含んでおり、
前記第1固定部は、前記音通過部が載せられると共に、載せられた前記音通過部を介して前記第2固定部が当接する凸部を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の飛沫抑制部材。
【請求項6】
前記第2固定部は、前記第2支持部と一体である、
請求項5に記載の飛沫抑制部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛沫を抑制する飛沫抑制部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から飛沫を抑制する飛沫抑制部材としては種々のものが知られている。実用新案登録第3228497号公報には、飛沫拡散防止用衝立が記載されている。飛沫拡散防止用衝立は、左側板部と中央板部と右側板部とを備える。左側板部、中央板部及び右側板部のそれぞれは枠状とされており、左側板部、中央板部及び右側板部のそれぞれの内側には透明シート部が設けられている。
【0003】
左側板部及び中央板部は第一屈折部を介して互いに連結されており、中央板部及び右側板部は第二屈折部を介して互いに連結されている。これにより、左側板部、中央板部及び右側板部は第一屈折部及び第二屈折部を介して折り畳み可能とされている。中央板部は左側部と右側部とを有し、左側部と右側部の間には鉛直方向に延びる第三屈折部が設けられている。これにより、中央板部は、第三屈折部を介して更に折り畳み可能とされている。
【0004】
左側板部、中央板部及び右側板部は紙製である。透明シート部は柔軟性がある透明フィルムによって構成されており、飛沫拡散防止用衝立の透明シート部の一方側から反対側を視認可能とされている。飛沫拡散防止用衝立が机の上に立てられたときには、飛沫拡散防止用衝立から見て一方側に位置する人が反対側に位置する人を透明シートを介して視認可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3228497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した飛沫拡散防止用衝立は、机の上に置かれたときに飛沫防止用衝立の一方側から反対側への飛沫の拡散を遮断することが可能である。前述した飛沫拡散防止用衝立は透明シート部を備えることにより、飛沫拡散防止用衝立から見て一方側にいる人が反対側にいる人を視認可能である。しかしながら、飛沫拡散防止用衝立によって音が遮られるので、飛沫拡散防止用衝立の一方側にいる人が反対側にいる人の声又は音を聞き取りづらいという問題が生じうる。
【0007】
本開示は、飛沫を遮断すると共に人の声及び音を聞き取りやすくすることができる飛沫抑制部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る飛沫抑制部材は、飛沫を遮断する透明部材によって構成された視認部と、飛沫を遮断すると共に音を通す音通過部と、視認部及び音通過部を一体として支持する支持部と、を備える。
【0009】
この飛沫抑制部材では、視認部が飛沫を遮断する透明部材によって構成されている。従って、視認部から見て一方側にいる人が反対側にいる人を視認することができる。視認部は飛沫を遮断する透明部材によって構成されているので、視認部によって飛沫の拡散を防止することができる。飛沫抑制部材は音通過部を備え、音通過部は飛沫を遮断すると共に音を通過させる。従って、音通過部によって飛沫の拡散を防止することができる。更に、音通過部から見て一方側にいる人が話をしたときにその声が音通過部を介して通過するので、音通過部から見て反対側にいる人にその声を聞き取りやすくすることができる。飛沫抑制部材は、視認部と音通過部を一体として支持する支持部を備える。従って、支持部が視認部と音通過部とを一体として支持するので、1つの飛沫抑制部材によって、飛沫の拡散を抑制しつつ人を視認できると共に人の声及び音を聞き取りやすくすることができる。
【0010】
音通過部は、視認部の鉛直下方に位置してもよい。この場合、視認部が鉛直上方に位置して、音通過部が鉛直下方に位置することにより、視認部が人の目に対向し、且つ音通過部が人の口に対向するように飛沫抑制部材を配置することが可能となる。従って、飛沫抑制部材から見て一方側にいる人と他方側にいる人との視界を一層良好にしつつ声及び音を一層聞き取りやすくすることができる。
【0011】
音通過部は、支持部に対して脱着自在とされていてもよい。この場合、長期間の使用等で音通過部が劣化した場合であっても、音通過部を交換することができる。従って、音通過部をより衛生的なものとすることができる。
【0012】
飛沫抑制部材は、支持部を自立した状態で保持するスタンド部を備えてもよい。この場合、スタンド部によって視認部及び音通過部を一体として支持する支持部を自立させることが可能である。従って、スタンド部で支持部を自立させることにより、飛沫抑制部材を任意の位置に置くことができるので、より使いやすく且つ取扱性が高い飛沫抑制部材とすることができる。
【0013】
支持部は、音通過部を支持する第1支持部と、視認部を支持する第2支持部とを含んでもよく、第1支持部は、音通過部が載せられる第1固定部と、第1固定部と共に音通過部を挟み込む第2固定部とを含んでもよい。第1固定部は、音通過部が載せられると共に、載せられた音通過部を介して第2固定部が当接する凸部を有してもよい。この場合、音通過部を支持する第1支持部は、音通過部が載せられる第1固定部と、第1固定部と共に音通過部を挟み込む第2固定部とを含む。従って、音通過部が第1固定部と第2固定部の間に挟まれた状態で支持されるので、音通過部の落下及び位置ずれを抑制することができる。更に、第1固定部は、載せられた音通過部を介して第2固定部が当接する凸部を有する。従って、凸部に載せられた音通過部が第2固定部に当接されるので、音通過部を強固に支持することができる。また、凸部により、音通過部を挟み込んで支持する構成を簡易にできるので、音通過部を挟み込んで支持する構成にかかるコストを抑えることができる。
【0014】
第2固定部は、第2支持部と一体であってもよい。この場合、音通過部及び凸部に当接する第2固定部が視認部を支持する第2支持部と一体である。従って、第2固定部が第2支持部と一体であることにより第2固定部の弾性が高まるので、音通過部及び凸部に対する第2固定部の当接力を高めることができる。よって、音通過部をより強固に支持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、飛沫を遮断すると共に人の声及び音を聞き取りやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る飛沫抑制部材を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る飛沫抑制部材を示す正面図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4】実施形態に係る飛沫抑制部材の支持部の第1部分、第2部分及び補強布の層構造を示す図である。
図5】実施形態に係る飛沫抑制キットを示す平面図である。
図6】(a)は、実施形態に係る飛沫抑制部材の音通過部、及び音通過部の取付構造を示す図である。(b)は、本実施形態に係る支持部の一部を示す図である。
図7】実施形態に係る飛沫抑制部材の音通過部の取付構造を示す図である。
図8】実施形態に係る音通過部を示す図である。
図9】第2実施形態に係る飛沫抑制部材の支持部を示す斜視図である。
図10図9の支持部の断面図である。
図11図9の支持部の凸部を拡大した斜視図である。
図12】変形例に係る音通過部を示す図である。
図13図9の飛沫抑制部材の組み立て方法の一工程を示す図である。
図14図13の工程の続きの工程を示す図である。
図15図14の工程の続きの工程を示す図である。
図16】(a)及び(b)は、図9の凸部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る飛沫抑制部材の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
実施形態に係る飛沫抑制部材は、飛沫を遮断する透明部材によって構成された視認部を備える。本開示において「飛沫」とは、飛散する微細な水玉を示している。「飛沫抑制」とは、飛沫の飛散を抑制すること、飛沫の飛散を遮断すること、及び飛沫の飛散を防止することを含んでいる。
【0019】
「透明部材」とは、透明な部材、又は透明な部分を示している。「透明」とは、光を透過して透き通って見える性状を示している。「透明」は、無色透明であってもよいし、着色透明であってもよいし、半透明であってもよい。「視認部」とは、視認部の向こう側を視認可能な部分又は部材(視認部の一方側から視認部の他方側を視認可能な部分又は部材)を示している。
【0020】
飛沫抑制部材は、飛沫を遮断すると共に音を通す音通過部を備える。「音」は、気体の振動を示している。「音通過部」は、音を通過させる部分又は部材を示している。「音通過部」は、音通過部の向こう側に音を通過させる部分又は部材(音通過部の一方側から音通過部の他方側に音を通過させることが可能な部分又は部材)を示している。飛沫抑制部材は、視認部及び音通過部を一体として支持する支持部を備える。「一体として」とは、複数の物が一体とされたように支持された状態を示している。「支持」は支えて持つことを示しており、「支持部」は支えて持つことが可能な部分又は部材を示している。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、例示的な第1実施形態に係る飛沫抑制部材1を示す斜視図である。図1に示されるように、飛沫抑制部材1は、板状の支持部10と、支持部10を自立可能とするスタンド部20と、支持部10に支持される透明部材である視認部30と、支持部10に支持されると共に音を通す音通過部40とを備える。
【0022】
支持部10、スタンド部20、視認部30及び音通過部40は、例えば、軽量材料によって構成されている。従って、飛沫抑制部材1を片手で容易に持ち運べる程度の重量とすることが可能である。また、支持部10、スタンド部20、視認部30及び音通過部40は、割れない材料によって構成されている。従って、仮に飛沫抑制部材1が落下したとしても、飛沫抑制部材1が破損することを抑制することができる。
【0023】
飛沫抑制部材1は、例えば、板状を呈する。飛沫抑制部材1は、飛沫抑制部材1の板厚方向である第1方向D1の一方側から他方側を視認可能であると共に、第1方向D1の一方側から他方側に音を通過可能である。支持部10は、例えば、枠状を呈する。視認部30及び音通過部40は、第1方向D1に交差(一例として直交)する第2方向D2に沿って並んでいる。第2方向D2は、例えば、鉛直方向である。
【0024】
飛沫抑制部材1は、例えば、複数(一例として2つ)のスタンド部20を備える。これにより、複数のスタンド部20によって支持部10を安定させることができる。例えば、第3方向D3に沿って複数のスタンド部20が並んでいる。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差(一例として直交)する方向である。
【0025】
例えば、支持部10(後述する第1支持部11)の下端の高さは、スタンド部20の下端(後述する下底部22)の高さよりも高い。この場合、机又はテーブル等に飛沫抑制部材1を置いたときに、机又はテーブル等の上面と支持部10の下端との間に(微小な)隙間を形成することが可能である。これにより、フラットでなく凹凸を有する面にも飛沫抑制部材1を配置することができる。但し、支持部10の下端の高さは、例えば後述する被取付部16又は着脱部25への切り込みの程度によって適宜変更可能である。例えば、支持部10の下端の高さは、スタンド部20の下端の高さと同一であってもよい。この場合、机又はテーブル等に支持部10を置いたときに、机又はテーブル等の水平な上面に支持部10の下端を接触させることができる。
【0026】
図2は、第1方向D1に沿って飛沫抑制部材1を見た飛沫抑制部材1の正面図である。図3は、図2のA-A線断面図である。例えば、視認部30は音通過部40の鉛直上方に設けられる。支持部10は、例えば、隅丸長方形状を呈する。この場合、支持部10は、角部に丸みを有するので、支持部10の角部を傷つきにくくすることができる。
【0027】
例えば、支持部10の第3方向D3の長さNは50cm以上且つ150cm以下(一例として110cm)である。しかしながら、長さNの値は、特に限定されない。視認部30及び音通過部40は、例えば、角部に丸みを帯びた四角形状(一例として第3方向D3に沿って延在する長辺を有する長方形状)とされている。
【0028】
視認部30の面積(第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する面内における面積)は、例えば、音通過部40の面積よりも広い。このように音通過部40の上方に位置する視認部30の面積が音通過部40の面積よりも広い場合、視認部30を介した人の視界を一層良好にすることができる。
【0029】
すなわち、飛沫抑制部材1(視認部30)の向こう側にいる人の顔をよく見えるようにすることが可能である。例えば、視認部30の第2方向D2の長さL1は音通過部40の第2方向D2の長さL2よりも長く、視認部30の第3方向D3の長さL3は音通過部40の第3方向D3の長さL4よりも長い。
【0030】
視認部30は、例えば、抗ウイルス性を有する。「抗ウイルス性」とは、ウイルスを遮断しウイルスを透過させない性状を示している。視認部30は、例えば、抗ウイルス性のフィルム(抗ウイルスフィルム)によって構成されている。すなわち、視認部30には抗ウイルス加工が施されている。
【0031】
視認部30は、例えば、衝撃が加えられても割れない材料によって構成されている。一例として、視認部30はPVC(ポリ塩化ビニル)によって構成されている。しかしながら、視認部30の材料は、例えばアクリルであってもよく、特に限定されない。視認部30は透明材料によって構成されている。視認部30は、例えば、無色透明である。しかしながら、視認部30は、着色透明であってもよいし、半透明であってもよい。但し、視認部30が無色透明である場合、視認部30の向こう側への視界を一層良好にすることができる。
【0032】
一例として、視認部30は、シート状を呈する。視認部30の厚さ(第1方向D1への長さ)は、例えば、0.1mm以上且つ1mm以下である。また、視認部30の厚さは、0.2mm以上又は0.3mm以上であってもよいし、0.7mm以下又は0.5mm以下であってもよい。一例として、視認部30の厚さは0.2mmである。以上のように構成される視認部30によって、視認部30は薄く且つ軽量とすることが可能とされている。
【0033】
スタンド部20は、例えば、支持部10に対して着脱自在とされている。スタンド部20は、支持部10の第3方向D3の一端部10b及び他端部10cに取り付けられる。スタンド部20は、例えば、板状を呈する。スタンド部20は、スタンド部20の面内方向に沿って延びる主面21を表裏に有し、主面21が第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在する状態で支持部10に取り付けられる。
【0034】
主面21は、一例として、台形状を呈する。スタンド部20は、例えば、主面21が支持部10に交差する方向(一例として第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在する方向)に延びるように支持部10に固定されることにより、スタンド部20によって支持部10をより確実に自立させることができる。
【0035】
スタンド部20は、下方に向かうに従って主面21の幅が拡張されるように支持部10に取り付けられる。このように、スタンド部20は下方に向かうに従って拡張するように支持部10に取り付けられることにより、支持部10の自立を一層安定させることができる。
【0036】
スタンド部20は、下底部22と、下底部22の一端及び他端のそれぞれから斜め上方に延在する一対の脚部23と、一対の脚部23の上端同士を互いに連結する上底部24とを有する。スタンド部20は、例えば、下底部22及び脚部23間に位置する湾曲部26を有する。スタンド部20が湾曲部26を備えることにより、スタンド部20に衝撃が加わった場合でもスタンド部20を傷付きにくくすることができる。
【0037】
スタンド部20は、例えば、支持部10に取り付けられる着脱部25を備える。着脱部25は、一例として、凹状とされている。例えば、着脱部25は上底部24から凹状に窪んでおり、着脱部25の窪んだ部分に支持部10が挟み込まれることによって支持部10にスタンド部20が取り付けられる。スタンド部20は、一例として、不織布によって構成されている。この場合、スタンド部20を軽量で安全な軽量素材で構成することができる。しかしながら、スタンド部20は、例えば、紙製であってもよく、スタンド部20の材料は特に限定されない。
【0038】
支持部10は、例えば、視認部30及び音通過部40のフレームとして機能する。すなわち、支持部10の内側に視認部30及び音通過部40が支持される。支持部10は、一例として、不織布によって構成されている。支持部10は、ニードルパンチフレームによって構成されていてもよい。支持部10は、例えば、スタンド部20と同一の材料によって構成されていてもよい。この場合、支持部10を軽量で安全な軽量素材で構成することができる。
【0039】
支持部10は、例えば、音通過部40を支持する第1支持部11と、視認部30を支持する第2支持部12とを有する。第1支持部11及び第2支持部12は、例えば、枠状を呈する。第1支持部11及び第2支持部12は、例えば、第2方向D2に沿って並んでおり、第2支持部12は第1支持部11の鉛直上方に設けられる。
【0040】
支持部10(第2支持部12)は、例えば、第1方向D1に沿って並ぶ第1部分13及び第2部分14を備える。視認部30は、例えば、第1部分13と第2部分14の間に挟み込まれた状態で支持部10に支持される。第1方向D1に沿って見た第1部分13及び第2部分14の形状は枠状とされている。
【0041】
図4は、第1部分13と第2部分14を拡大した側面図である。図3及び図4に示されるように、支持部10(第2支持部12)は、第1部分13及び第2部分14の間に挟み込まれる枠状の補強布12bを備える。第1部分13と第2部分14の間に補強布12bが介在することによって支持部10の強度が高められている。補強布12bは、例えば、網目状とされている。補強布12bは接着剤によって第1部分13及び第2部分14の少なくともいずれかに接着される。
【0042】
以上のように構成される飛沫抑制部材1は、例えば図5に示されるように、飛沫防止キット50として流通されてもよい。飛沫防止キット50は、前述した視認部30及び音通過部40を支持する支持部10と、スタンド部20とを備える。飛沫防止キット50では、例えば、スタンド部20が支持部10とは別体とされている。
【0043】
一例として、飛沫防止キット50では主面21が第2方向D2及び第3方向D3の双方に沿うようにスタンド部20が配置されている。これにより、飛沫防止キット50の全体を第2方向D2及び第3方向D3の双方に平面状に延びるように配置できるので、持ち運びやすい飛沫防止キット50とすることが可能である。
【0044】
支持部10は、スタンド部20が取り付けられる被取付部16を備える。支持部10は、例えば、第3方向D3に沿って並ぶ複数(一例として2つ)の被取付部16を備える。例えば、被取付部16は、スタンド部20が挿入されるスリット状を呈する。一例として、被取付部16は、支持部10(第1支持部11)の下端から窪む矩形状を呈する。被取付部16には、例えば、スタンド部20の着脱部25が挿し込まれる。被取付部16に着脱部25が挿し込まれることにより、支持部10にスタンド部20を取り付けることが可能となる。
【0045】
図5図6(a)及び図6(b)に示されるように、第1支持部11は、例えば、音通過部40が固定される板状の第1固定部11bと、第1固定部11bに固定される第2固定部11cとを有する。第1支持部11は、音通過部40が固定される第1固定部11bに第2固定部11cが固定されることによって構成される。
【0046】
第1固定部11bは被取付部16を構成する第1被取付部16bを有し、第2固定部11cは被取付部16を構成する第2被取付部16cを有する。被取付部16は、第1被取付部16bに第2被取付部16cが第1方向D1に沿って重なることによって構成される。第2固定部11cは、音通過部40を露出する開口17を有する。
【0047】
例えば、開口17は、第3方向D3に沿って延びる長辺17b、及び第2方向D2に沿って延びる短辺17cを有する長方形状(一例として隅丸長方形状)を呈する。第2固定部11cは、第1固定部11b及び第2支持部12に対して分離可能とされている。第1固定部11b及び第2固定部11cの間に音通過部40が挟み込まれた状態で音通過部40が支持部10に支持される。
【0048】
例えば、第1固定部11bは第1接合部18bを有し、第2固定部11cは第1接合部18bに接合する第2接合部18cを有する。一例として、第1接合部18b及び第2接合部18cは、面ファスナーによって構成されている。例えば、第1接合部18b及び第2接合部18cの一方が面ファスナーのフック(オス)であり、第1接合部18b及び第2接合部18cの他方が面ファスナーのループ(メス)である。しかしながら、第1接合部18b及び第2接合部18cは面ファスナー以外のものによって構成されていてもよく、第1接合部18b及び第2接合部18cの種類及び材料は特に限定されない。
【0049】
第1固定部11bは複数の第1接合部18bを有し、第2固定部11cは複数の第2接合部18cを有する。例えば、第1接合部18b及び第2接合部18cのそれぞれは、点状(一例として円形状)とされている。第1固定部11bにおける第1接合部18bの位置は、第2固定部11cにおける第2接合部18cの位置に対応している。これにより、第1接合部18bに第2接合部18cを接合することによって第1固定部11bに対する第2固定部11cの位置合わせ及び接合を共に行うことが可能となる。
【0050】
例えば、複数の第1接合部18bが第1固定部11bにおいて四角形状(一例として長方形状)を成すように配置されている。第1接合部18bは第1固定部11bの隅部のそれぞれに配置されていてもよい。図6(a)の例では、長方形状に配置された4個の第1接合部18b、及び当該長方形の各長辺の中央付近に配置された2個の第1接合部18bが設けられた例を示している。しかしながら、第1接合部18bの数及び配置態様は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0051】
図7は、第1固定部11bから音通過部40が外された状態を示している。図6(a)及び図7に示されるように、第1固定部11bは、音通過部40が対向する開口19と、音通過部40が接合される音通過部接合部41とを備える。開口19は、例えば、第3方向D3に沿って延びる長辺19b、及び第2方向D2に沿って延びる短辺19cを有する長方形状(一例として隅丸長方形状)を呈する。開口19の形状は、例えば前述した開口17の形状と同一、又は開口17の形状と相似であってもよい。
【0052】
例えば、音通過部接合部41は面ファスナーによって構成されている。一例として、音通過部接合部41は、面ファスナーのフック(オス)によって構成されており、音通過部40を吸着可能とされている。しかしながら、音通過部接合部41は、音通過部40を接合可能な材料によって構成されていればよく、面ファスナー以外のものによって構成されていてもよい。音通過部接合部41の材料は、第1接合部18bの材料と同一であってもよいし、第1接合部18bの材料とは異なっていてもよい。
【0053】
第1固定部11bは、例えば、複数の音通過部接合部41を有する。一例として、音通過部接合部41は点状(又は円形状)とされている。第1固定部11bにおける音通過部接合部41の位置は、音通過部40の外形に対応している。これにより、音通過部接合部41に音通過部40を接合することによって第1固定部11bに対する音通過部40の位置合わせ及び接合を共に行うことが可能となる。
【0054】
例えば、複数の音通過部接合部41が第1固定部11bにおいて多角形状(一例として四角形状又は六角形状)を成すように配置されている。複数の音通過部接合部41は、例えば、開口19を囲むように配置されている。これにより、複数の音通過部接合部41は、開口19を覆う音通過部40を開口19の外側に貼り付けることが可能である。
【0055】
例えば、音通過部接合部41は、複数の第1接合部18bによって囲まれた領域(一例として長方形状の領域)の内側に配置されている。すなわち、音通過部接合部41を囲むように複数の第1接合部18bが配置されている。音通過部接合部41は、開口19の隅部の外側に配置されていてもよい。
【0056】
例えば、長方形状に配置された4個の音通過部接合部41、及び当該長方形の各長辺の中央付近に配置された2個の音通過部接合部41が第1固定部11bに設けられている。しかしながら、音通過部接合部41の数及び配置態様は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0057】
前述したように、音通過部接合部41には開口19を覆うように配置される音通過部40が接合される。そして、第1固定部11bの第1接合部18bに第2固定部11cの第2接合部18cが接合されることによって第1固定部11bに第2固定部11cが固定されて第1支持部11が完成する。
【0058】
図8は、音通過部40を示す図である。図8に示されるように、例えば、音通過部40は、第3方向D3に延びる一対の長辺40A、及び第2方向D2に延びる一対の短辺40Bを有する長方形状を呈する。しかしながら、音通過部40の形状は、長方形以外の形状であってもよく、特に限定されない。
【0059】
音通過部40は、例えば、抗ウイルス性を有する。一例として、音通過部40は、カルボン酸及びアニオン性官能基の少なくともいずれかを含む。音通過部40は、ウイルスを吸着しつつウイルスを不活性化させる機能を有する。音通過部40は、例えば、抗ウイルス加工が施された不織布によって構成されている。
【0060】
また、音通過部40は、わた40bと糸40cを含んでいてもよい。例えば、音通過部40は、縫い込まれた複数の糸40cの間にわた40bが入れられて形成されている。以上のように構成される音通過部40は、アクリル板よりも音透過性が高い上に面ファスナーである音通過部接合部41に貼り付けることが可能である。そして、音通過部40は音通過部接合部41から外すことが可能であり、新たな音通過部40に交換することが可能である。
【0061】
次に、飛沫抑制部材1を組み立てる組立方法について説明する。以下では、飛沫防止キット50の状態から飛沫抑制部材1を組み立てる例について説明する。飛沫抑制部材1の組み立ては、例えば、スタンド部20の着脱部25を支持部10の被取付部16に挿し込む。複数のスタンド部20の着脱部25を各被取付部16に取り付けることにより(スタンド部の着脱部を支持部の被取付部に取り付ける工程)、図1に示されるような飛沫抑制部材1が容易に完成する。
【0062】
次に、飛沫抑制部材1から音通過部40を交換する方法について説明する。まず、支持部10からスタンド部20を外す(スタンド部を外す工程)。例えば、複数の被取付部16のそれぞれから着脱部25を外して複数のスタンド部20を支持部10から分離させる。そして、支持部10を分解する(支持部を分解する工程)。
【0063】
支持部10の分解は、例えば、図6(a)、図6(b)及び図7に示されるように、音通過部40を挟んで支持する第1支持部11(第1固定部11b)から第2固定部11cを分離させる(第1支持部の第2固定部を第1固定部から分離する工程)。そして、第1固定部11bの音通過部接合部41から音通過部40を剥がす(第1固定部から音通過部を剥がす工程)。
【0064】
その後、第1固定部11bの音通過部接合部41に新たな音通過部40を固定する(第1固定部に音通過部を固定する工程)。音通過部40の固定後には第1固定部11bに第2固定部11cを固定して第1支持部11を組み立てる(第1固定部に第2固定部を固定する工程)。そして、被取付部16にスタンド部20を取り付けることによって新たな音通過部40が取り付けられた飛沫抑制部材1が完成する。
【0065】
次に、本実施形態に係る飛沫抑制部材1から得られる作用効果について説明する。図1に示されるように、飛沫抑制部材1では、視認部30が飛沫を遮断する透明部材によって構成されている。従って、視認部30から見て一方側にいる人が反対側にいる人を視認することができる。視認部30は飛沫を遮断する透明部材によって構成されているので、視認部30によって飛沫の拡散を防止することができる。
【0066】
飛沫抑制部材1は音通過部40を備え、音通過部40は飛沫を遮断すると共に音を通過させる。従って、音通過部40によって飛沫の拡散を防止することができる。更に、音通過部40から見て一方側にいる人が話をしたときにその声が音通過部40を介して通過するので、音通過部40から見て反対側にいる人にその声を聞き取りやすくすることができる。
【0067】
飛沫抑制部材1は、視認部30と音通過部40を一体として支持する支持部10を備える。従って、支持部10が視認部30と音通過部40とを一体として支持するので、1つの飛沫抑制部材1によって、飛沫の拡散を抑制しつつ人を視認できると共に人の声及び音を聞き取りやすくすることができる。
【0068】
音通過部40は、視認部30の鉛直下方に位置してもよい。この場合、視認部30が鉛直上方に位置して、音通過部40が鉛直下方に位置することにより、視認部30が人の目に対向し、且つ音通過部40が人の口に対向するように飛沫抑制部材1を配置することが可能となる。すなわち、机又はテーブルに飛沫抑制部材1が置かれたときに、飛沫抑制部材1を置かれたマスクとして見立てることができる。従って、飛沫抑制部材1から見て一方側にいる人と他方側にいる人との視界を一層良好としつつ且つ声及び音を一層聞き取りやすくすることができる。
【0069】
音通過部40は、支持部10に対して脱着自在とされていてもよい。すなわち、音通過部40は交換可能であってもよい。この場合、長期間の使用等で音通過部40が劣化した場合であっても、音通過部40を交換することができる。従って、音通過部40をより衛生的なものとすることができる。
【0070】
飛沫抑制部材1は、支持部10を自立した状態で保持するスタンド部20を備えてもよい。この場合、スタンド部20によって視認部30及び音通過部40を一体として支持する支持部10を自立させることが可能である。従って、飛沫抑制部材1を手で持って任意の位置に置くことができるので、より使いやすく且つ取扱性が高い飛沫抑制部材1とすることができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る飛沫抑制部材について説明する。図9は、第2実施形態に係る飛沫抑制部材61を示している。第2実施形態に係る飛沫抑制部材61の一部の構成は、第1実施形態に係る飛沫抑制部材1の一部の構成と同一である。よって、以下では、第1実施形態に係る飛沫抑制部材1と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0072】
飛沫抑制部材61は、前述した支持部10とは異なる支持部70と、スタンド部20(図1参照)と、視認部30と、音通過部40とを備える。支持部70は、支持部10と同様、軽量材料によって構成されている。支持部70は、音通過部40を支持する第1支持部71と、視認部30を支持する第2支持部72とを有する。第2支持部72の構成は、例えば、前述した第2支持部12の構成と同一である。
【0073】
図10は、第1方向D1及び第2方向D2に延びる平面によって第1支持部71を切断したときにおける第1支持部71の断面図である。図9及び図10に示されるように、第1支持部71は、例えば、音通過部40が固定される板状の第1固定部71bと、第1固定部71bに載せられる第2固定部71cとを有する。
【0074】
第2固定部71cは、例えば、視認部30を支持する第2支持部72と一体である。この場合、第2固定部71cは第2支持部72から延び出した部分に相当する。第2固定部71cは、第2支持部72から視認部30とは反対側(立てられた飛沫抑制部材61における下側)に延び出している。第2固定部71cは音通過部40を露出する開口17を有し、第1固定部71bは音通過部40を露出する開口19を有する。第2固定部71cは、支持部70の弾性により第1固定部71bから捲り上げることが可能とされている。第1固定部71b及び第2固定部71cの間に音通過部40が挟み込まれた状態で音通過部40が第1支持部71に支持される。
【0075】
第1固定部71bは、第2固定部71cが当接する凸部75を有する。凸部75の材料は、例えば、支持部70(又は前述した支持部10)の材料と同一である。この場合、凸部75として支持部70(又は支持部10)の端材を用いることが可能であり、更なるコストの低減に寄与する。
【0076】
凸部75は、第2固定部71cと共に音通過部40を挟み込む部位である。例えば、第1固定部71bは前述した第1接合部18bを有しておらず、第2固定部71cは前述した第2接合部18cを有しない。すなわち、第2実施形態に係る飛沫抑制部材61は、面ファスナー等の接合手段を有しない。従って、飛沫抑制部材61では、面ファスナー等の接合手段を有する飛沫抑制部材1と比較してコストを抑えることができる。
【0077】
凸部75は、第2固定部71cに対向する第1固定部71bの内面71dから突出している。凸部75は、内面71dから内面71dに対して交差する方向に延びる側面75bと、側面75bから見て内面71dとは反対側に位置すると共に音通過部40が載せられる天面75cとを有する。凸部75は、例えば、内面71dに固定(一例として接着固定)されるものであってもよいし、予め内面71dから突出する部位であってもよい。以下では、凸部75が内面71dに固定されるものである場合の例について説明する。
【0078】
内面71dに対する凸部75の高さ(凸部75の厚さ)は、例えば、1mm以上且つ8mm以下である。凸部75の当該高さは、2mm以上、3mm以上又は4mm以上であってもよい。また、凸部75の当該高さは、7mm以下、6mm以下又は5mm以下であってもよい。凸部75の当該高さは第1固定部71bの厚さと同一であってもよい。一例として、凸部75の当該高さ、及び第1固定部71bの厚さは4mmであってもよい。また、凸部75の当該高さは、第1固定部71bの2枚分の厚さ(一例として8mm)と同一であってもよい。しかしながら、凸部75の当該高さは上記の各例に限られない。
【0079】
凸部75は、例えば、開口19の外側に設けられる。一例として、凸部75は、開口19から見て視認部30側(立てられた飛沫抑制部材61における開口19の上方)に設けられる。この場合、開口19から見て視認部30とは反対側(立てられた飛沫抑制部材61における開口19の下方)に凸部75が設けられる場合と比較して、凸部75に対する第2固定部71cの当接力を強くできる。その結果、凸部75と第2固定部71cの間に挟み込まれる音通過部40の位置ずれをより確実に抑制できる。
【0080】
第1固定部71bは、例えば、複数(一例として5個)の凸部75を有する。しかしながら、凸部75の数は、1個、2個、3個、4個又は6個以上であってもよく、特に限定されない。例えば、複数の凸部75は第3方向D3に沿って並ぶように配置される。複数の凸部75は第2方向D2に沿って並ぶように配置されてもよい。
【0081】
複数の凸部75は、開口19から見て視認部30側、及び開口19から見て視認部30の反対側、のそれぞれに配置されてもよい。図9の例では、開口19から見て視認部30側に3個の凸部75が配置されており、開口19から見て視認部30とは反対側に2個の凸部75が配置されている。以上、凸部75の配置の例について説明した。しかしながら、凸部75の配置は、上記の各例に限られず適宜変更可能である。
【0082】
図11は、凸部75を拡大して示す斜視図である。図9及び図11に示されるように、凸部75は、例えば、半円柱状を呈する。この場合、凸部75の側面75bは、湾曲面75dと、湾曲面75dの周方向の一端及び他端を互いに接続する平坦面75fとを含む。一例として、凸部75は、平坦面75fが視認部30側(鉛直上側)に向けられるように配置される。この場合、開口19から見て視認部30とは反対側(鉛直下側)に位置する凸部75の平坦面75fに音通過部40を載せることも可能となる。
【0083】
前述では、長方形状を呈する音通過部40について説明した。しかしながら、音通過部の形状は、長方形状に限られず適宜変更可能である。例えば、図12に示されるように、長手方向の両端のそれぞれに当該両端側に突出する一対の凸部45cを備えた音通過部45であってもよい。
【0084】
例えば、音通過部45は、音通過部40と同様、不織布シートである。音通過部45は、例えば、長方形状の本体部45bと、本体部45bの長手方向両端のそれぞれから突出する一対の凸部45cとを備える。一対の凸部45cのそれぞれは、音通過部45の短手方向の片側(図12の例では上側)に配置されており、当該短手方向における一対の凸部45cの位置は互いに同一である。
【0085】
第2実施形態に係る飛沫抑制部材61への音通過部45の組み立て方法の例について説明する。まず、図10及び図13に示されるように、第1固定部71bから第2固定部71cを捲り上げて、第1固定部71bの内面71dに凸部75を固定する(凸部を固定する工程)。次に、凸部75の天面75cに音通過部45を載せる(音通過部を載せる工程)。
【0086】
音通過部45は、本体部45bの長手方向の両端側に被取付部16が位置するように載せられる。このとき、音通過部45は、凸部45cと被取付部16とが第2方向D2に沿って並ぶように載せられる。一例として、音通過部45は延ばされた状態で載せられてもよい。このように、音通過部45では、凸部45cが被取付部16の上側に位置するように配置されるため、より強固に第1支持部71に支持させることが可能となる。
【0087】
凸部75に音通過部45を載せた後には、図14に示されるように、捲り上げていた第2固定部71cを音通過部45に載せ、凸部75と第2固定部71cとの間に音通過部45を挟み込む(音通過部を挟む工程)。
【0088】
音通過部45を挟んだ後には、図15に示されるように、第1支持部71の被取付部16にスタンド部20を取り付ける(スタンド部を取り付ける工程)。被取付部16にスタンド部20を取り付けるときに、凸部75及び第2固定部71cがより強固に音通過部45を挟み込むので、音通過部45の位置ずれ及び脱落をより確実に抑制できる。以上の工程を経て飛沫抑制部材61が完成する。
【0089】
次に、第2実施形態に係る飛沫抑制部材61から得られる作用効果について説明する。飛沫抑制部材61は、視認部30と音通過部45を一体として支持する支持部70を備える。従って、支持部70が視認部30と音通過部45とを一体として支持するので、1つの飛沫抑制部材61によって、飛沫の拡散を抑制しつつ人を視認できると共に人の声及び音を聞き取りやすくすることができる。よって、第1実施形態に係る飛沫抑制部材1と同様の作用効果が得られる。
【0090】
図9に示されるように、第2実施形態において、支持部70は、音通過部45を支持する第1支持部71と、視認部30を支持する第2支持部72とを含んでおり、第1支持部71は、音通過部45が載せられる第1固定部71bと、第1固定部71bと共に音通過部45を挟み込む第2固定部71cとを含む。第1固定部71bは、音通過部45が載せられると共に、載せられた音通過部45を介して第2固定部71cが当接する凸部75を有する。
【0091】
よって、音通過部45を支持する第1支持部71は、音通過部45が載せられる第1固定部71bと、第1固定部71bと共に音通過部45を挟み込む第2固定部71cとを含む。従って、音通過部45が第1固定部71bと第2固定部71cの間に挟まれた状態で支持されるので、音通過部45の落下及び位置ずれを抑制することができる。
【0092】
更に、第1固定部71bは、載せられた音通過部45を介して第2固定部71cが当接する凸部75を有する。従って、凸部75に載せられた音通過部45に第2固定部71cに当接するので、音通過部45を強固に支持することができる。また、音通過部45を挟み込んで支持する構成を簡易にできるので、音通過部45を挟み込んで支持する構成にかかるコストを抑えることができる。
【0093】
本実施形態において、第2固定部71cは、第2支持部72と一体である。すなわち、音通過部45及び凸部75に当接する第2固定部71cが視認部30を支持する第2支持部72と一体である。従って、第2固定部71cが第2支持部72と一体であることにより第2固定部71cの弾性が高まるので、音通過部45及び凸部75に対する第2固定部71cの当接力を高めることができる。よって、音通過部45をより強固に支持することができる。以上の効果は、音通過部45に代えて、音通過部40等、他の音通過部を用いた場合も同様に得られる。
【0094】
以上、本開示に係る飛沫抑制部材の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、飛沫抑制部材の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0095】
前述の実施形態では、台形状のスタンド部20を2つ備える飛沫抑制部材1について説明した。しかしながら、スタンド部の形状及び数は、前述の実施形態に限られず適宜変更可能である。また、スタンド部を有しない飛沫抑制部材であってもよい。この場合、例えば、吊り下げ可能な飛沫抑制部材であってもよい。
【0096】
前述の実施形態では、上側に設けられた1つの視認部30と、下側に設けられた1つの音通過部40とを備える飛沫抑制部材1について説明した。しかしながら、視認部及び音通過部の位置、数、大きさ及び形状は適宜変更可能である。例えば、複数の視認部を備えた飛沫抑制部材、又は複数の音通過部を備えた飛沫抑制部材であってもよい。また、音通過部は支持部に対して脱着自在とされていなくてもよいし、視認部が支持部に対して脱着自在とされていてもよい。
【0097】
前述の実施形態では、支持部10の第2支持部12が視認部30を挟み込む第1部分13及び第2部分14を備え、支持部10の第1支持部11が第1固定部11b及び第2固定部11cを有し、第1固定部11bと第2固定部11cの間に音通過部40が挟み込まれる飛沫抑制部材1について説明した。しかしながら、視認部及び音通過部を支持する支持部の構成は、上記の支持部10に限られず適宜変更可能である。また、前述の実施形態では、視認部30及び音通過部40が抗ウイルス性である例について説明した。しかしながら、視認部30及び音通過部40の少なくともいずれかが抗ウイルス性でなくてもよい。すなわち、本開示に係る視認部及び音通過部としては、抗ウイルス性を有しないものを用いることも可能である。一例として、視認部30は、ポリカーボネート製であってもよい。この場合、視認部30の透明度を高くできると共に、視認部30の厚みに対する強度を高くすることが可能となる。
【0098】
前述の第2実施形態では、半円柱状の凸部75について説明した。しかしながら、第1固定部71bに設けられる凸部の形状は、半円柱状に限られず適宜変更可能である。また、第2実施形態では、凸部75の材料が支持部70の材料と同一である例について説明した。しかしながら、凸部75の材料は、支持部70とは異なる材料であってもよく、適宜変更可能である。
【0099】
図16(a)及び図16(b)は、支持部70に設けられる凸部の変形例を示している。図16(a)に示されるように、支持部70は、支持部70と同一の材料からなる凸部75に代えて、シリコン製の凸部85を備えてもよい。凸部85は、例えば、第3方向D3に延びる長円状を呈する。この場合、滑りにくい凸部85とすることができるので、音通過部40の位置ずれ及び脱落をより確実に抑制できる。凸部85は、例えば、透明である。この場合、凸部85のデザイン性を良好にすることができる。
【0100】
図16(a)の例では、第3方向D3に並ぶ複数(一例として3個)の凸部85が第1固定部71bに並んでおり、開口19から見て第2方向D2の一方側及び他方側のそれぞれに凸部85が配置されている。しかしながら、図16(b)に示されるように、開口19から見て第2方向D2の一方側(一例として視認部30側)のみに凸部85が配置されていてもよい。以上のように、第1固定部71bに設けられる凸部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、適宜変更可能である。
【0101】
(実施例)
以下では、本開示に係る飛沫抑制部材の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例の内容に限定されない。実施例では、以下の実施例1に係る音通過部40、及び実施例2に係る音通過部40のそれぞれを用いて音の透過性を検証する実験を行った。
(実施例1)
音通過部40として、不織布及び経編(タテアミ)を合体させた複合材であるフレックスニット(登録商標、西川ローズ株式会社)を用いた。
(実施例2)
音通過部40として、PVCシートを用いた。
【0102】
実施例1に係る音通過部40、及び実施例2に係る音通過部40、のそれぞれから見て音通過部40の板厚方向の一方側に音源を配置すると共に、他方側に測定器を配置した。そして、当該音源からホワイトノイズを生じさせ、当該測定器で音通過部40を通過した音の音量をサウンドグラフィーによって測定した。
【0103】
以上の測定の結果、実施例2に係る音通過部40を通過した音の音量が11.7dBであったのに対し、実施例1に係る音通過部40を通過した音の音量は56.8dBであった。従って、PVC製の音通過部40と比較して、不織布及び経編を合体させた複合材である音通過部40の方がより高い音透過性を得られることが分かった。
【符号の説明】
【0104】
1, 61…飛沫抑制部材、10,70…支持部、10b…一端部、10c…他端部、11,,71…第1支持部、11b,71b…第1固定部、11c,71c…第2固定部、12,72…第2支持部、12b…補強布、13…第1部分、14…第2部分、16…被取付部、16b…第1被取付部、16c…第2被取付部、17…開口、17b…長辺、17c…短辺、18b…第1接合部、18c…第2接合部、19…開口、19b…長辺、19c…短辺、20…スタンド部、21…主面、22…下底部、23…脚部、24…上底部、25…着脱部、26…湾曲部、30…視認部、40,45…音通過部、40A…長辺、40B…短辺、40b…わた、40c…糸、41…音通過部接合部、45b…本体部、45c…凸部、50…飛沫防止キット、71d…内面、75,85…凸部、75b…側面、75c…天面、75d…湾曲面、75f…平坦面、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16