(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159987
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】真空プレナム並びに関連デバイス、システム、及び方法を通じて真空吸引を変化させるためのダンパを有する印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034866
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】17/222,169
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】コナー・ニコラス・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ロス・アイルランド
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・エイチ.・スミス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ニコラス・ソーレス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ディー.・ヴァン・ボーテル
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB12
2C056EB13
2C056EB29
2C056EB34
2C056EB45
2C056EB58
2C056EC12
2C056EC32
2C056FA13
2C056HA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】印刷媒体を適切な吸引により搬送することができるデバイスを提供する。
【解決手段】印刷システム100は、インクを堆積領域に噴射するように配置された1つ以上の印刷ヘッドを備える。印刷媒体は、堆積領域を通して印刷媒体を輸送する、移動可能な支持表面に接して真空吸引によって保持される。真空吸引は、真空プレナムを介して、真空源から移動可能な支持表面に連通される。空気流制御システムは、真空源と移動可能な支持表面との間の空気流を制御するために、真空プレナム内に配置された1つ以上のダンパを備える。ダンパは、ダンパを通る空気流に対する調整可能なインピーダンスを有する。空気流制御システムは、印刷システムの検出された状態に基づいて、ダンパのインピーダンスを調整するように構成される。印刷システムの検出された状態は、例えば、真空プレナム内の感知された圧力を含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
インク堆積アセンブリであって、インクを前記インク堆積アセンブリの堆積領域に噴射するように配置された1つ以上の印刷ヘッドを備える、インク堆積アセンブリと、
真空源、真空プレナム、及び移動可能な支持表面を備える、媒体輸送デバイスであって、前記媒体輸送デバイスが、前記移動可能な支持表面内の孔を通る真空吸引によって前記移動可能な支持表面に接して印刷媒体を保持するように、かつ前記堆積領域を通して処理方向に沿って前記印刷媒体を輸送するように構成されており、前記真空吸引が、前記真空プレナムを介して、前記真空源から前記孔に連通している、媒体輸送デバイスと、
前記真空プレナム内に配置されたダンパを備える空気流制御システムであって、前記ダンパが、前記真空源と前記孔との間の前記ダンパを通る空気流に調整可能なインピーダンスを有し、前記空気流制御システムが、前記印刷システムの検出された状態に基づいて、前記ダンパの前記インピーダンスを調整するように構成されている、空気流制御システムと、を備える、印刷システム。
【請求項2】
前記空気流制御システムが、前記検出された状態に基づいて、前記ダンパの前記インピーダンスを動的に調整するように構成されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記真空プレナム内の圧力センサであって、前記真空プレナム内の圧力を感知するように構成された、圧力センサを更に備え、
前記検出された状態が、前記圧力センサによって感知された前記圧力を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記空気流制御システムが、前記ダンパの前記インピーダンスを調整して、前記真空プレナム内の目標圧力を維持するように構成されている、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記真空プレナムが、前記ダンパによって少なくとも部分的に、前記真空源に流体的に結合された第1の区画、及び前記移動可能な支持表面の前記孔に流体的に結合された第2の区画に分離されており、
前記第1の区画及び前記第2の区画が、前記ダンパを通って流体連通して設置されるように構成されており、
前記圧力センサが、前記第2の区画内にある、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記検出された状態が、前記印刷媒体によって現在被覆されている前記移動可能な支持表面の前記孔の量を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記空気流制御システムが、前記真空プレナム内の目標圧力を維持するように、前記印刷媒体によって現在被覆されている前記移動可能な支持表面の前記孔の量における変化に応答して、前記ダンパの前記インピーダンスを調整するように構成されている、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記検出された状態が、現在の印刷ジョブと関連付けられた画像コンテンツ、印刷媒体タイプ、又はシステム設定のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
複数のダンパを更に備え、前記ダンパが、前記複数のダンパのうちの1つであり、
前記真空プレナムが、前記複数のダンパによって少なくとも部分的に、前記真空源に流体的に結合された第1の区画、及び前記移動可能な支持表面の前記孔に流体的に結合された第2の区画に分離されており、
前記第1の区画及び前記第2の区画が、前記ダンパを通って流体連通して設置されるように構成されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記真空プレナムが、前記ダンパによって少なくとも部分的に、前記真空源に流体的に結合された第1の区画、及び前記移動可能な支持表面の前記孔に流体的に結合された第2の区画に分離されており、
前記第1の区画及び前記第2の区画が、前記ダンパを通って流体連通して設置されるように構成されていること、を更に含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記ダンパが、虹彩ダンパ、スライドシャッタダンパ、ブレードダンパ、又はバタフライ平皿ダンパのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記ダンパが、1つ以上の開口部を備え、前記空気流量制御システムが、前記1つ以上の開口部のサイズを調整することによって、前記ダンパの前記インピーダンスを調整するように構成されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記空気流制御システムが、前記ダンパに動作可能に結合されたアクチュエータを更に備え、前記アクチュエータが、前記1つ以上の開口部の前記サイズを調整するように構成されている、請求項12に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記真空プレナムが、前記移動可能な支持表面を支持する真空プラテンを備え、前記真空プラテンが、前記移動可能な支持表面内の前記孔に前記真空吸引を流体的に連通させるように構成されたプラテン孔を備え、
前記移動可能な支持表面が、前記真空プラテンに対して移動するように構成されたベルトを備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項15】
方法であって、
印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通して1つ以上の印刷媒体を輸送することであって、前記印刷媒体が、前記媒体輸送デバイス内の孔を通る真空吸引を介して、媒体輸送デバイスの移動可能な支持表面に接して前記輸送中に保持され、前記真空吸引が、真空プレナムを介して、真空源から前記孔に連通している、輸送することと、
印刷流体を前記印刷ヘッドから噴射して、前記堆積領域内の前記印刷媒体に前記インクを堆積させることと、
前記印刷システムの検出された状態に基づいて、前記真空プレナム内に配置されたダンパのインピーダンスを動的に調整するための空気流制御システムを制御することであって、前記ダンパの前記インピーダンスが、前記真空源と前記孔との間の空気流を制御する、制御することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記ダンパの前記インピーダンスを動的に調整することが、前記ダンパに動作可能に結合されたアクチュエータを使用して、前記ダンパの1つ以上の開口部のサイズを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記真空プレナム内部の圧力を感知することであって、前記検出された状態が、前記感知された圧力を含む、感知することを更に含み、
前記ダンパの前記インピーダンスを動的に調整することが、前記感知された圧力を目標圧力又はその付近に維持するために、前記ダンパの前記インピーダンスを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記印刷媒体によって現在被覆されている、前記移動可能な支持表面の前記被覆された孔の量を判定することであって、前記検出された状態が、前記被覆された孔の前記量を含む、判定することを更に含み、
前記ダンパの前記インピーダンスを動的に調整することが、前記真空プレナム内の目標圧力を維持するように、前記被覆された孔の前記量における変化に応答して、前記ダンパの前記インピーダンスを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記移動可能な支持表面によって現在輸送されている前記印刷媒体の数、サイズ、又は数及びサイズの両方を判定することであって、前記検出された状態が、前記印刷媒体の前記数、前記サイズ、又は前記数及びサイズの両方を含む、判定することを更に含み、
前記ダンパの前記インピーダンスを動的に調整することが、前記印刷媒体の前記数、前記サイズ、又は前記数及びサイズの両方における変化に応答して、前記ダンパの前記インピーダンスを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
現在の印刷ジョブと関連付けられた画像コンテンツ、印刷媒体タイプ、又はシステム設定を判定することであって、前記検出された状態が、前記画像コンテンツ、前記印刷媒体タイプ、又は前記システム設定のうちの1つ以上を含む、判定することを更に含み、
前記ダンパの前記インピーダンスを動的に調整することが、前記画像コンテンツ、前記印刷媒体タイプ、又は前記システム設定のうちの1つ以上における変化に応答して、前記ダンパの前記インピーダンスを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概して、インクジェット印刷に関し、より具体的には、印刷媒体を保持及び輸送するために真空吸引を利用する媒体輸送デバイスを有するインクジェット印刷システムに関する。関連デバイス、システム、及び方法もまた、開示される。
【背景技術】
【0002】
いくつかの用途では、インクジェット印刷システムは、1つ以上の印刷ヘッドを有するインク堆積アセンブリ、及びインク堆積アセンブリのインク堆積領域(例えば、印刷ヘッドの下の領域)を通して、印刷媒体(例えば、複数の紙、封筒などの基材、又はインクで印刷されることに好適な他の基材)を移動させるための媒体輸送デバイスを使用する。インクジェット印刷システムは、媒体が堆積領域を通過する際に、印刷ヘッドから媒体上にインクを噴射することによって印刷媒体上に印刷画像を形成する。いくつかのインクジェット印刷システムでは、媒体輸送デバイスは、真空吸引を利用して、輸送デバイスの移動可能な支持表面(例えば、コンベヤベルト、回転ドラムなど)に接して印刷媒体を保持することを支援する。支持表面に接して印刷媒体を保持するための真空吸引は、真空源(例えば、ファン)、及び真空源を、印刷媒体を支持する側面とは反対側の移動表面の側面に流体的に結合する真空プレナムを使用して実現することができる。真空源は、真空プレナム内に真空状態を形成し、真空プレナムに流体的に結合された移動可能な支持表面内の孔を通じて真空吸引を引き起こす。印刷媒体が移動可能な支持表面上に導入されるとき、真空吸引は、印刷媒体を移動可能な支持表面に接して保持する吸引力を生成する。真空吸引を利用する媒体輸送デバイスは、インク堆積アセンブリの下のインク堆積領域を通じて輸送されながら、滑りを伴わずに印刷媒体が定位置に確実に保持されることを可能にし、それにより、印刷ヘッドに対する印刷媒体の正確な位置付け、それゆえ、より正確な印刷画像を確実とすることに役立ち得る。真空吸引はまた、印刷媒体が、インク堆積領域を通過する際に平坦に保持されることを可能にし得、これはまた、印刷画像の精度を増加させることに役立ち得、並びに、印刷媒体の一部が上昇し、インク堆積アセンブリの一部に当たり、潜在的につまり又は損傷を引き起こすことを防止することに役立つ。
【0003】
真空吸引を利用する媒体輸送デバイスを含む、インクジェット印刷システムにおいて生じ得る1つの問題は、真空吸引によって誘導される気流からもたらされる画像の意図しないかすれである。いくつかのシステムでは、このようなかすれは、印刷媒体の縁部の付近である、印刷画像の部分において生じ得る。このかすれは、印刷媒体の縁部のうちの1つ以上に隣接する媒体輸送デバイス内の被覆されていない孔に起因して生じ得る。特に、印刷ジョブ中、印刷媒体は、インク堆積アセンブリの堆積領域を通じて輸送される際、移動可能な支持表面上で互いに離間され、したがって、隣接する印刷媒体間の移動可能な支持表面の部分は、いかなる印刷媒体によっても被覆されない。隣接する印刷媒体間のこの領域は、本明細書では、媒体間ゾーンとして称される。それゆえ、媒体間ゾーン内の各印刷媒体の前縁部及び後縁部の両方に隣接して、移動可能な支持表面において、被覆されていない孔が存在する。更に、真空吸引のための孔は、概して、クロスプロセス方向(すなわち、堆積領域を通る印刷媒体の輸送方向に対して垂直な方向)の堆積領域の大体全幅にわたって延在するように配置され、その結果、孔は、最小のサイズから最大のサイズまで、システムが使用のために設計される印刷媒体の任意のサイズを維持することができる。しかしながら、現在印刷されている印刷媒体が、最大サイズよりも小さい場合、(印刷媒体のどの側面が見当合わせされるかに応じて)印刷媒体のインボード縁部又はアウトボード縁部に沿って全ての孔を被覆するように、クロスプロセス方向に十分に延在しなくてもよい。それゆえ、印刷媒体のインボード縁部又はアウトボード縁部に隣接する孔はまた、被覆されなくてもよい。前縁部、後縁部、インボード縁部、及び/又はアウトボード縁部付近のこれらの孔は被覆されていないため、真空プレナムの真空は、それらの被覆されていない孔を通じて流れるように空気を誘導する。この空気流は、それらが印刷ヘッドから基材に進行する際にインク液滴を偏向させ、それゆえ、それらの縁部付近の画像のかすれを引き起こし得る。
【0004】
インクジェット印刷システムにおける液滴の配置の精度を改善し、最終的な印刷媒体製品の外観のかすれを低減させる必要性が存在する。効率的なインクジェット印刷システムを提供するために印刷及び輸送の速度を維持しながら、信頼できる方式でかすれの問題に対処する必要性が更に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、上述の問題のうちの1つ以上を解決し得、及び/又は上述の望ましい特徴のうちの1つ以上を実証し得る。他の特徴及び/又は利点は、以下の説明から明らかになり得る。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、印刷システムは、インク堆積アセンブリ、媒体輸送デバイス、及び空気流制御システムを備える。インク堆積アセンブリは、インクをインク堆積アセンブリの堆積領域に噴射するように配置された1つ以上の印刷ヘッドを備える。媒体輸送デバイスは、真空源、真空プレナム、及び移動可能な支持表面を備える。媒体輸送デバイスは、移動可能な支持表面内の孔を通る真空吸引によって移動可能な支持表面に接して印刷媒体を保持し、かつ堆積領域を通るプロセス方向に沿って印刷媒体を輸送するように構成される。真空吸引は、真空プレナムを介して真空源から孔に連通される。空気流制御システムは、真空プレナム内に配置された1つ以上のダンパを備える。ダンパは、真空源と孔との間のダンパを通る空気流に対する調整可能なインピーダンスを有する。空気流制御システムは、印刷システムの検出された状態に基づいて、ダンパのインピーダンスを調整するように構成される。
【0007】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通じて1つ以上の印刷媒体を輸送することと、印刷流体を印刷ヘッドから噴射して、堆積領域内の印刷媒体にインクを堆積させることと、を含む。印刷媒体は、媒体輸送デバイス内の孔を通る真空吸引を介して、媒体輸送デバイスの移動可能な支持表面に接して、輸送中に保持され、真空吸引は、真空プレナムを介して、真空源から孔に連通する。方法は、印刷システムの検出された状態に基づいて、真空プレナム内に配置されたダンパのインピーダンスを動的に調整するために、空気流制御システムを制御することを更に含む。ダンパのインピーダンスは、真空源と孔との間の空気流を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、単独で又は添付の図面とともに、以下の詳細な説明から理解することができる。図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本教示の1つ以上の実施形態を例解し、説明とともに、特定の原理及び動作を説明する。図面において、
【0009】
【
図1A】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1B】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1C】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1D】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1E】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1F】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1G】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1H】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1I】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1J】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1K】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【
図1L】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス、及び印刷媒体に対する空気流パターン及び結果としてもたらされる印刷媒体製品におけるかすれ効果を概略的に例解する。
【0010】
【
図2】空気流制御システムを含むインクジェット印刷システムの実施形態の構成要素を例解するブロック図である。
【0011】
【
図3】インクジェット印刷システムの実施形態の構成要素の概略例解図である。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書の図面及び説明では、「_1」、「_2」などの数値指数が、いくつかの構成要素の参照番号の端に付加される。複数の同様の構成要素が存在し、それらの構成要素のうちの特定の1つを表すことが望ましいとき、同じ基準参照番号が使用され、異なる指数が、それに付加されて、個々の構成要素を区別する。しかしながら、特定のものを区別する必要なく、構成要素が、概して又は集合的に参照されるとき、指数は、基準参照番号から省略され得る。それゆえ、一例として、印刷媒体5は、
図1Aのように、印刷媒体5の特定の1つを識別することが所望されるとき、第1の印刷媒体5_1としてラベル付けされ、かつ称され得るが、複数の印刷媒体5の間で区別することが所望されない他の場合では、単に印刷媒体5としてラベル付けされ、かつ称され得る。
【0017】
上で説明されるように、媒体間ゾーンが印刷ヘッドの付近又は下にあるとき、媒体間ゾーン内の被覆されていない孔は、コースを外れてサテライト液滴を吹き付け、画像かすれを引き起こす可能性がある横断流を形成し得る。同様に、印刷媒体のインボード又はアウトボード側に沿った被覆されていない孔もまた、画像のかすれを引き起こす横断流を形成し得る。かすれの問題を生じさせる現象のいくつかをより詳しく例解するために、
図1A~
図1Fを参照する。
図1A、
図1D、
図1G、及び
図1Jは、印刷媒体5の後縁部TE、前縁部LE、インボード縁部、及び中央付近それぞれの付近で、印刷媒体5上に印刷する印刷ヘッド10を概略的に例解する。
図1A、
図1D、及び
図1Jは、プロセス方向(図中のy軸方向)に沿って印刷ヘッド10を通って取られた断面であり、一方で
図1Gは、プロセス方向(図のx軸方向)に対して垂直なクロスプロセス方向に沿って同じ印刷ヘッド10を通って取られた断面であり、
図1G内の例解は、1つが他方の2つから相殺された状態で、x方向に沿って直列に3つの印刷ヘッドを有する実施形態を図示する。
図1B、
図1E、
図1H、及び
図1Kは、それぞれ
図1A、
図AD、
図1B、及び
図1Jの領域A、B、C、及びDの拡大図を例解する。
図1C、
図1F、
図1I、及び
図1Lは、印刷画像の拡大写真を例解し、印刷画像は、紙のシートの後縁部TE、前縁部LE、インボード縁部、及び中央付近に印刷された線を含む。
【0018】
図1A、
図1D、
図1G、及び
図1Jに示されるように、インクジェット印刷システムは、キャリアプレート11内の印刷ヘッド開口部19を通じてインクを印刷媒体5に噴射するための1つ以上の印刷ヘッド10を備える。インクジェット印刷システムはまた、図中の正のy軸方向に対応する、プロセス方向Pにおいて印刷媒体5を輸送するための移動可能な支持表面20を備える。移動可能な支持表面20は、真空プラテン26の上部に沿って摺動し、真空環境が、プラテン26の底部側に提供される。移動可能な支持表面20は、孔21を有し、真空プラテン26は、プラテン孔27を有する。孔21及び27は、移動可能な支持表面20が移動する際、周期的に位置合わせし、それにより、移動可能な支持表面20の上方の領域をプラテン26の下の真空に露出させる。印刷媒体5が、孔21を被覆する領域では、位置合わせされた孔21及び27を通る真空吸引は、移動可能な支持表面20に接して印刷媒体5を保持する力を生成する。しかしながら、移動可能な支持表面20の上方の環境から、それらが印刷媒体5によって遮断されるため、これらの被覆された孔21及び27に空気は、ほとんど又は全く引き込まれない。他方では、媒体間ゾーン22(
図1A及び
図1D参照)及びプラテン26のインボード側IB付近の被覆されていない領域24(
図1G参照)で
図1A、
図1D、及び
図1Gに示されるように、孔21及び27は、印刷媒体5によって被覆されず、したがって、真空吸引は、これらの孔21及び27を通って流れ落ちるように、移動可能な支持表面20の上方から空気を引き入れる。これは、
図1A、
図1D、及び
図1Gの破線矢印によって示される空気流を生成し、これは、媒体間ゾーン22及び被覆されていない領域24において、印刷ヘッド10の周りの領域から被覆されていない孔21及び27に向かって流れ、空気流の一部が、印刷ヘッド10の下を通過する。
【0019】
図1Aでは、印刷媒体5_1は、その後縁部TE付近に印刷されており、したがって、インクが現在噴射されている領域(「インク噴射領域」)(例えば、
図1Aの領域A)は、媒体間ゾーン22の下流(上流及び下流がプロセス方向Pに対して画定されている)に位置付けられる。したがって、媒体間ゾーン22に向かって吸い込まれている空気のいくつかは、印刷ヘッド10の下のインク噴射領域を通じて上流に流れる。より具体的には、媒体間ゾーン22からの真空吸引は、媒体間ゾーン22のすぐ上方の領域、例えば、
図1Aの領域R
1における圧力を低下させ、一方で、印刷ヘッド10の下流の領域、例えば、
図1Aの領域R
2は、より高い圧力のままである。この圧力勾配は、空気流が、領域R
1とR
2との間にある、インク噴射領域(例えば、
図1Aの領域A)の一部分を通って横切る状態で、空気が領域R
2から領域R
1に上流方向において流れることを引き起こす。インク噴射領域を横切る、これらのような空気流は、本明細書で横断流15と称される。
図1Aでは、横断流15は、上流に流れるが、他の状況では、横断流15は、異なる方向に流れ得る。
【0020】
図1Aの領域Aの拡大図を含む、
図1Bの拡大
図A’に示されるように、インクが印刷ヘッド10から媒体5に向かって噴射される際、主滴12及びサテライト液滴13が形成される。サテライト液滴13は、主滴12よりもはるかに小さく、より少ない質量及び運動量を有し、それゆえ、上流の横断流15は、主滴12よりもサテライト液滴13に影響を及ぼす傾向がある。それゆえ、主滴12は、横断流15に関わらず、それらの意図された堆積場所16付近で印刷媒体5上に着弾し得るが、横断流15は、サテライト液滴13を、意図された軌道から離れて押出し得、その結果、サテライト液滴は、媒体5上の意図しない場所17に着弾し、意図しない場所17は、意図された場所16から変位している。そのような横断流及び結果として生じる誤配置された液滴の結果は、
図1Cの実際の印刷画像において見ることができ、意図された印刷線に対応するより密度の高い印刷ドットの領域16’が、液滴(例えば、概して主滴12)によって形成され、これは、主にそれらの意図された場所で堆積され、一方、線から離れて分散されたまばらなドットの領域17’は、液滴(例えば、概して、サテライト液滴13)によって形成され、これは、意図された場所から離れて吹き付けられて、意図しない場所に着弾する。結果として生じる画像は、印刷線に対してかすれた又は汚れた外観を有する。特に、
図1Cのかすれは、後縁部TEに向かって非対称的に付勢され、これは、主に上流方向に吹き付ける後縁部TE付近の横断流15の予想された結果であろう。媒体間ゾーン22はまた、印刷ヘッド10の上流側からの下流の空気流などの、他の方向に流れる他の空気流を誘導し得るが、これらの他の空気流は、インクが現在例解されているシナリオにおいて噴射されている領域を通過せず、それゆえ画像かすれに寄与しない。インク噴射領域を横切るこれらの空気流のみが、本明細書では横断流と称される。
【0021】
図1D~
図1Fは、そのようなかすれが生じる、別の状況を概略的に例解するが、今回は、印刷媒体5_2の前縁部LE付近である。前縁部LE付近のかすれの原因は、前縁部LE付近に印刷する場合に、インク噴射領域が、ここで媒体間ゾーン22の上流に位置付けられることを除いて、後縁部TEに関連して上で説明されるものと同様である。結果として、インク噴射領域を横切る横断流15は、ここで、印刷ヘッド10の上流側から、例えば、領域R
3からもともと生じ、領域R
4に下流に流れる。それゆえ、
図1Dの領域Bの拡大図を含む、
図1Eの拡大
図B’に示されるように、印刷媒体5_2の前縁部LE付近に印刷する場合、サテライト液滴13は、印刷媒体5_2の前縁部LEに向かって下流に吹き付けられて(正のY軸方向)、意図しない場所17で着弾し、一方で主滴12は、意図された場所16又はその付近に着弾する傾向がある。
図1Fに示されるように、かかる効果は、印刷媒体の前縁部LEに向かって付勢される非対称のかすれをもたらす(すなわち、線に対応する印刷ドットのより密度の高い領域16’は、前縁部LEに向かって線から離れてひきずる印刷ドットのまばらな領域17’で形成される)。
【0022】
図1G~
図1Iは、このようなかすれが生じ得る更に別の状況を例解するが、今回は、その領域内の被覆されていない孔21、27に起因して、印刷媒体5のインボード縁部IE付近である。インボード縁部IE付近のかすれの原因は、インボード縁部IE付近に印刷する場合、インク噴射領域が、ここで移動可能な支持表面20及びプラテン26内の孔21及び27の被覆されていない領域24のアウトボードに位置付けられることを除いて、後縁部TE及び前縁部LEに関連して上で説明されるものと同様である。結果として、インク噴射領域を横切る横断流15は、ここで、印刷ヘッド10のアウトボード側、例えば、領域R
5からもともと生じ、領域R
6に向かってインボード方向に流れる。それゆえ、
図1Gの領域Cの拡大図を含む、
図1Hの拡大
図C’に示されるように、インボード縁部IE付近に印刷する場合、サテライト液滴13は、印刷媒体5のインボード縁部IEに向かってインボードに吹き付けられ(正のy軸方向)、主滴12が着弾する意図された場所16ではなく、意図しない場所17に着弾する。
図1Iに示されるように、このような横断流パターンは、インボード縁部IEに向かって付勢される非対称のかすれをもたらすことが予想される(すなわち、線に対応する印刷ドットのより密度の高い領域16’は、インボード縁部IEに向かって線から離れてひきずる印刷ドットのまばらな領域17’で形成される)。この例では、印刷媒体は、印刷システムの一方の側面(すなわち、アウトボード側)に見当合わせされ、それゆえ、画像のかすれが、インボード縁部IE上に現れることが想定される。しかしながら、いくつかのシステムでは、印刷媒体は、移動可能な支持表面を中心とすることができ、その場合、被覆されていない孔(したがって、かすれ)は、印刷媒体の両方の横側部上に現れ得る。
【0023】
対照的に、
図1J及び
図1Jの領域Dの拡大図に対応する、
図1Kの拡大
図D’に示されるように、印刷が、印刷媒体105の縁部(後、前、又はインボード)から更に遠いとき、媒体間ゾーン22及び被覆されていない領域24が多くの空気流を誘導するには距離がありすぎるため、横断流15はほとんど存在しないか、又は全く存在し得ない。横断流15は、印刷媒体5の縁部から更に遠く、存在しないか、又は弱いため、この領域のサテライト液滴13は、コースを外れて吹き付けられにくい。それゆえ、
図1K及び
図1Lに示されるように、印刷が、印刷媒体5の縁部からより遠いとき、サテライト液滴は、意図された場所16又は意図された場所16にかなり近接する場所18で着弾し、より少ない画像かすれをもたらす。サテライト液滴の堆積場所18は、サテライト液滴13に影響を与える他の要因に起因して、意図された場所16から依然としていくらか変化し得るが、偏差は、前縁部又は後縁部の付近であるよりも小さい。
図1Lは、
図1J及び
図1Kのような状況の結果として得られる画像を図示し、意図された場所16’に着弾する液滴を表す印刷線を示し、いくつかの液滴は、場所18’で意図された場所16’に十分に近接して着弾する。得られた画像は、線の著しく顕著なかすれ又は汚れの外観を示さない。
【0024】
本明細書に開示される実施形態は、とりわけ、横断流を低減又は排除する空気流制御システムを利用することによって、画像かすれを低減又は排除し得る。横断流が低減又は排除された状態で、サテライト液滴は、それらの意図された堆積場所に近接して、又はそれらの意図される堆積場所で着弾する可能性が高く、したがって、かすれの量が低減される。様々な実施形態による空気流制御システムは、現在の状態に基づいて、真空プレナムを通る真空吸引をリアルタイムで動的に調整することによって、横断流を低減又は排除する。特に、1つ以上のダンパが、真空源と真空プラテンとの間の真空プレナムに提供され、ダンパは、真空源と真空プラテンとの間により大きい又はより少ない空気流インピーダンスを提供するために、調整可能なサイズを備える開口部を有する。ダンパのインピーダンスを増加させる(すなわち、開口部をより小さくする)ことにより、空気が真空プレナムから真空源に吸い込まれる速度が低減され、それゆえ、真空プレナム内の圧力の増加をもたらす。逆に、ダンパのインピーダンスを減少させる(すなわち、開口部をより大きくする)ことにより、真空プレナムから流れる空気の速度を増加させ、それゆえ、真空プレナム内の圧力を減少させる。空気流制御システムは、ダンパのインピーダンス(すなわち、開口部サイズ)を動的に調整して、印刷システムの監視状態に基づいて、真空プレナム内の最適又は所望の圧力を取得し得る。例えば、空気流制御システムは、真空プレナム内に位置決めされた圧力モニタを含み得、真空プレナム内の測定された圧力に基づいて、インピーダンスを調整して、所望の目標圧力を実現し得る。
【0025】
この方式で真空プレナム内の圧力を制御することは、適切な押さえ力が印刷媒体に適用されることを確実としながら、横断流を低減させることに役立ち得る。真空プレナム内の圧力が低いほど、移動可能な支持表面内の孔を通る真空吸引がより強力になる。それゆえ、真空プレナム内の相対的に低い圧力は、被覆されていない孔を通じて引き入れられる相対的に強力な横断流をもたらすが、また印刷媒体に適用される相対的に強力な押さえ力もまた、もたらす。逆に、真空プレナム内の相対的に高い圧力は、被覆されていない孔を通る相対的に弱い横断流をもたらすが、また相対的に弱い押さえ力もまた、もたらす。それゆえ、押さえ力の強度及び横断流の強度は、真空プレナム内の圧力と概して逆の方式で変化する。したがって、適切な押さえ力を確実としながら、横断流の強度を可能な限り低減するために、いくつかの実施形態では、真空プレナム内部の圧力は、適切な押さえ力を提供するのにちょうど十分なレベル又はその付近であるが、より低くならないように制御される。真空プレナム内の圧力を、この圧力又はその付近に留まるように制御することによって、強力な横断流、及び圧力の変化を可能にする場合、別様に生じ得る押さえの欠如は、回避され得る。
【0026】
従来の印刷システムの1つの困難は、上で説明される圧力などの真空プレナム内の最適な圧力を提供及び維持することであり得、真空源からの吸引の固定強度を考慮すると、真空プレナム内の圧力は、必ずしも印刷ジョブを通して、又は1つの印刷ジョブから次の印刷ジョブまで一定に留まらない。真空プレナム内の圧力は、真空源からの吸引の強度だけでなく、現在の状態に応じて変化する、移動可能な支持表面を通る空気流インピーダンスにも依存する。特に、移動可能な支持表面を通るインピーダンスは、いくつの孔が印刷媒体によって被覆されるかに応じて、変化する。より多くの孔が被覆されるほど、移動可能な支持表面を通るインピーダンスが大きくなり、それゆえ、対策が取られない場合、真空プレナム内の圧力は低くなる(すなわち、真空吸引がより強力になる)。逆に、被覆されている孔が少ないほど、移動可能な支持表面を通るインピーダンスが低くなり、それゆえ、対策が取られない場合、真空プレナム内の圧力はより高くなる。それゆえ、第1の印刷媒体が移動可能な支持表面上に搭載されているとき、又は相対的に小さい印刷媒体が使用されているときなど、相対的に少数の孔が被覆されている状況では、(対策は取られないと仮定し)真空プレナム内の圧力は、相対的に高くなる(すなわち、真空吸引は、相対的に低くなる)。しかし、後に、追加の印刷媒体が移動可能な支持表面上に搭載され、及び/又は印刷媒体のサイズが変化したため、より多くの孔が被覆されるとき、真空プレナム内の圧力は、相対的に低くなる(すなわち、真空吸引は、相対的に高くなる)(対策は取られないと仮定する)。したがって、対策が取られない場合、次いで真空プレナム内部の圧力は、印刷媒体によって現在被覆されている孔の数に基づいて、時々変化する傾向がある。
【0027】
真空プレナム内部の圧力は、真空源が吸引の固定強度を提供するにもかかわらず、時々変化する可能性があるため、いくつかのシステムでは、真空源の吸引強度は、最悪のシナリオであっても適切な押さえを確実とするのに十分に高いレベルで固定される必要があり得る(すなわち、相対的に少数の孔が被覆される)。しかし、最悪のシナリオにおいて適切な押さえを確実とする吸引の強度は、より多くの孔が印刷媒体によって被覆されているときなど、他のシナリオにおいて押さえを確実とするために必要な吸引を超える吸引になる。それゆえ、全ての環境下で適切な押さえを確実とするために、提供される吸引の強度は、いくつかの環境において必要とされるものを超える。より多くの吸引が必要以上に提供されるこのような環境では、相対的に強力な吸引は、相対的に強力な横断流、したがって、画像かすれを引き起こす。
【0028】
上記の問題は、状態変化として真空プレナム内の圧力を動的に調整することによって、本明細書に開示される実施形態によって対処される。より具体的には、ダンパのインピーダンスは、所望の圧力が真空プレナム内に維持されることを確実とするように動的に調整することができる。圧力が必要に応じて調整されるため、移動可能な支持表面に提供される吸引の強度は、変化した状態にかかわらず、全ての関連する環境下で、高すぎず、又は低すぎない所望のレベルに維持され得る。それゆえ、本明細書に開示される実施形態は、少ない吸引を必要とするシナリオにおいて吸引を過剰に供給することなく、適切な押さえ力(最悪のシナリオを含む)を提供することができる。それゆえ、例えば、移動可能な支持表面内の相対的に少ない孔が被覆されるとき、ダンパは、相対的に低いインピーダンス(すなわち、より大きい開口部)を提供し得、それゆえ、多くの被覆されていない孔に起因して別様に生じ得る、真空プレナム内の圧力における任意の増加を相殺する。これは、真空プレナム内の圧力が、十分に低く留まって、多くの被覆されていない孔にもかかわらず適切な押さえを提供することを確実とする。移動可能な支持表面内のより多くの孔が被覆されるとき、このことは、上で説明されるように真空プレナム内の圧力を低下させる傾向があるが、圧力におけるこの減少は、感知され得、ダンパが、圧力における減少を相殺するように動的に調整され得る。具体的には、より多くの孔が被覆される際、ダンパは、相対的に高いインピーダンスを提供するように制御され得、これはプレナム内の圧力を増加させる傾向があり、別様により多くの孔が被覆されることによって引き起こされる圧力における減少を相殺する。それゆえ、上で説明される方式でダンパを調整する正味の効果は、真空プレナム内の圧力が、被覆される孔の数における変化にもかかわらず、目標値に、又はその付近に維持することができることである。それゆえ、十分な吸引が最悪のシナリオにおいて提供されることを確実とするために、いくつかの環境下で必要とされるものよりも高い吸引の強度を提供するというより、本明細書に開示される実施形態では、孔を通る所望の吸引量は、真空プレナム内の圧力を制御することによって、全ての環境下で維持することができる。
【0029】
ここで
図2を参照すると、印刷システムの実施形態が、より詳細に記載される。
図2は、上で説明される空気流制御システムを利用する印刷システム100を概略的に例解するブロック図である。印刷システム100は、印刷媒体上にインクを堆積させるためのインク堆積アセンブリ101と、印刷媒体を、インク堆積アセンブリ101を通して輸送するための媒体輸送アセンブリ103と、印刷システム100の動作を制御するための制御システム130と、を備える。印刷システム100のこれらの構成要素は、以下で順に、より詳細に記載される。加えて、印刷システム100の様々な構成要素は、印刷ヘッドの周りの空気流を制御することに関与し、それゆえ、これらの部品は、以下で更に説明されるように、空気流制御システム150として集合的に称され得る。
【0030】
インク堆積アセンブリ101は、1つ以上の印刷ヘッドモジュール102を備える。簡素化のために、1つの印刷ヘッドモジュール102が
図2に例解されるが、任意の数の印刷ヘッドモジュール102が、インク堆積アセンブリ101内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、各印刷ヘッドモジュール102は、シアン、マゼンタ、黄、及び黒などの特定のインク色に対応し得る。各印刷ヘッドモジュール102は、インクなどの印刷流体を印刷媒体上に噴射して、画像を形成するように構成された1つ以上の印刷ヘッド110を備える。
図2では、簡素化のために、1つの印刷ヘッド110が印刷ヘッドモジュール102に例解されるが、任意の数の印刷ヘッド110が、印刷ヘッドモジュール102当たりに含まれ得る。印刷ヘッドモジュール102は、本明細書ではキャリアプレートとして称され得る、底壁を含む、1つ以上の壁を備え得る。キャリアプレートは、印刷ヘッド開口部を備え得、印刷ヘッド110は、印刷ヘッド開口部を通してインクを噴射するように配置される。いくつかの実施形態では、キャリアプレートは、印刷ヘッド110を支持する。他の実施形態では、印刷ヘッド110は、他の構造体によって支持される。印刷ヘッドモジュール102はまた、当技術分野で知られるように、インク供給線、インクリザーバ、電気接続などの印刷ヘッド110を支持し、かつ印刷ヘッド110の動作を容易にするための追加の構造体及びデバイスを含み得る。
【0031】
図2に示されるように、媒体輸送デバイス103は、移動可能な支持表面120、真空プレナム125、真空源128、及び1つ以上のダンパ151を備える。移動可能な支持表面120は、印刷アセンブリ101の堆積領域を通じて印刷媒体を輸送する。真空プレナム125は、移動可能な支持表面120の一方の側面(例えば、底部側)に真空吸引を供給し、印刷媒体は、移動可能な支持表面120の反対側(例えば、上側)上で支持される。移動可能な支持表面120を通る孔121は、表面120を通して真空吸引を連通させ、その結果、真空吸引は、表面120に接して印刷媒体を押さえる。移動可能な支持表面120は、印刷アセンブリ101に対して移動可能であり、それゆえ、移動可能な支持表面120が移動する際、移動可能な支持表面120に接して保持された印刷媒体は、印刷アセンブリ101に対して輸送される。具体的には、移動可能な支持表面120は、印刷アセンブリ101の堆積領域を通じて印刷媒体を輸送し、堆積領域は、印刷流体(例えば、インク)が、印刷ヘッド110下の領域などの、印刷媒体上に噴射される領域である。移動可能な支持表面120は、印刷アセンブリ101に対して移動するように駆動されることが可能であり、真空吸引が印刷媒体を押さえることを可能にする孔121を有する、任意の構造体を備えることができる。かかる構造体は、限定されるものではないが、例えば、ベルト、1つ以上の回転可能なドラムなどを含むことができる。当業者は、印刷媒体を搬送するために印刷システムにおいて使用される様々な移動可能な支持構造体に精通している。
【0032】
真空プレナム125は、バッフル、壁、又は真空状態(例えば、低圧状態)が真空源128によって維持される環境を取り囲むか、又は画定するように配置された任意の他の構造体を備え、プレナム125は、真空源128を移動可能な支持表面120に流体的に結合し、その結果、移動可能な支持表面120は、真空プレナム125内の真空状態に露出される。いくつかの実施形態では、移動可能な支持表面120は、真空プレナム125の上壁であり得る、真空プラテン126によって支持される。かかる実施形態では、移動可能な支持表面120は、真空プラテン126を通るプラテン孔127を介して、プレナム125内の真空に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、移動可能な支持表面120は、それ自体、真空プレナム125の壁のうちの1つであり、それゆえ、プレナム125内の真空に直接露出される。真空源128は、プレナム125から空気を除去して、ファン、ポンプなどのプレナム125内の低圧状態を形成するように構成された任意のデバイスであり得る。
【0033】
ダンパ151は、真空源128と真空プラテン126及び/又は移動可能な支持表面120との間の真空プレナム125内に提供される。ダンパ151は、ダンパ151に結合されたバッフル又は壁とともに、真空プラテン125を2つの別個の区画:真空源128に隣接する下部区画と、真空プラテン126及び/又は移動可能な支持表面120に隣接する上部区画と、に分割する。この配置を考慮すると、下部区画は、ダンパ151のインピーダンス及び移動可能な支持表面120を通るインピーダンスに応じて、圧力の差を有し、任意の所与の時間で上部区画よりも低い圧力を有するはずである。各ダンパ151は、1つ以上の調整可能な開口を備え、それを通じて、真空源128がダンパ128の上方の真空プレナム125の部分と流体連通して設置される、又は換言すると、それを通じて、真空プレナム125の下部区画が、真空プレナム125の上部区画に連通可能に結合される。ダンパ151の開口部のサイズは、動的に調整することができ、それにより、下部区画と上部区画との間の空気流インピーダンスを変化させる。開口部が小さいほど、インピーダンスは大きくなり、逆も同様である。ダンパ151は、例えば、虹彩ダンパ、スライドスロットダンパ(ギロチンダンパとも呼ばれる)、対向ブレードダンパ(ブレードダンパ若しくはルーバダンパとも呼ばれる)、バタフライ平皿ダンパ、入口ベーンダンパ、又は調整可能なサイズを有する開口部を有する任意の他のデバイスを備え得る。かかるダンパの例示的な実施形態は、
図4A~
図6Bに関して以下でより詳細に記載される。ダンパ151はまた、ダンパ151を自動的に作動させて、ダンパ151の開口部のサイズを変化させるために、1つ以上のアクチュエータ(例解せず)に動作可能に結合され得る。
【0034】
制御システム130は、印刷システム100の動作を制御するための処理回路を備える。処理回路は、本明細書に記載の様々な動作を実施するための論理を伴って構成された1つ以上の電子回路を含み得る。電子回路は、様々な動作を実施するように構成された専用ハードウエアを含むことによって、様々な動作を実施するために回路によって実行可能なソフトウエア命令を含むことによって、又はこれらの任意の組み合わせにより、動作を実施するためのロジックを伴って構成され得る。ロジックがソフトウエア命令を含む例では、処理回路の電子回路は、例えば、プロセッサ、プロセッサコア、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、システムオンチップ(system-on-chip、SoC)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)などの命令を実行することが可能な1つ以上の処理デバイスを備える、ソフトウエア及びプロセッサを記憶するメモリデバイスを含む。処理回路のロジックが、プロセッサに加えて、又はプロセッサに代えて、専用ハードウエアを備える例では、専用ハードウエアは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)、個別論理回路、ハードウエアアクセラレータ、ハードウエアエンコーダなどの、特定の動作を実施するように構成される任意の電子デバイスを含み得る。処理回路はまた、専用ハードウエア及び汎用プロセッサのソフトウエアとの任意の組み合わせを含み得る。
【0035】
制御システム130の処理回路はまた、とりわけ、空気流制御ロジック155で構成される。空気流制御ロジック155は、例えば、ダンパ151と関連付けられたアクチュエータがダンパ151の開口部のサイズを変化させる制御信号(例えば、デジタル又はアナログ電気信号)を生成することによって、ダンパ151のインピーダンスを制御する。いくつかの実施形態では、空気流制御ロジック155は、検出された状態に基づいて、ダンパ151のインピーダンスを動的に制御する。インピーダンスを動的に制御することは、変化する状態に応答して実質的にリアルタイムでインピーダンスを自動的かつ可変的に調整することを表す。自動的にこの文脈において、調整は、特定の調整をトリガ又は達成する瞬間に、ユーザによる特定の手動介入を必要としないことを意味する。しかしながら、自動的に、ユーザがシステムをオンにすること、印刷ジョブを開始すること、一般的な調整を可能にする設定を選択することなどの、一般的に生じる調整のための事前状態であり得るが、特定の調整をトリガするか、又は達成するためのものではない他のより一般的なユーザ入力を必ずしも除外しない。インピーダンスを実質的にリアルタイムで調整することは、調整につながる変化又は刺激の発生の相対的に直後、例えば、数秒以下で生じる調整を表す。いくつかの実施形態では、空気流制御ロジック155は、印刷媒体が移動可能な支持表面120上に搭載されている間、印刷媒体が輸送されている間、印刷流体が堆積されている間など、印刷システム100の通常の印刷動作中に、状態を検出し、かつ結果として生じる調整を行うように構成される。これは、製造、試験、初期化、シャットダウン、メンテナンス、又は他のかかる非印刷操作中に生じ得るインピーダンスの調整とは対照的である。
【0036】
上記のように、空気流制御ロジック155は、現在検出された状態に基づいて、ダンパ151のインピーダンスを制御する。いくつかの実施形態では、検出された状態は、真空プレナム125の上部区画内の圧力を含む。例えば、圧力センサ153は、真空プレナム125の上部区画内に提供され得、圧力センサの出力信号は、空気流制御ロジック155に動作可能に結合されて、空気流制御ロジック155に圧力測定値を提供し得る。空気流制御ロジック155は、制御アルゴリズムを実装するロジックを含み得、それゆえコントローラとして機能する。目標圧力が、設定され得、コントローラは、インピーダンスを自動的に調整し得、その結果、感知された圧力は、目標圧力で又はその付近で(すなわち、所定の閾値内で)維持される。一実施形態では、感知された圧力が目標圧力よりも低い(又はより低い閾値量を超える)場合、コントローラは、インピーダンスをある程度増加させ得、感知された圧力が、目標圧力よりも高い(又はより高い閾値量を超える)場合、コントローラは、インピーダンスをある程度減少させ得る。感知された圧力が目標圧力(又は閾値量内)にある場合、コントローラは、インピーダンスをその現在の値のままにし得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスが増加又は減少する量は、固定された、所定の量であり得、これは、コントローラが、感知された圧力が目標圧力(又はその付近)になるまで、固定サイズの別個の工程でインピーダンスを上下させることを意味する。他の実施形態では、インピーダンスが増加又は減少する量は、感知された圧力と目標圧力との間の差の大きさ、感知された圧力の履歴、感知された圧力の方向及び変化率(すなわち、経時的な微分)、又は当該技術分野で知られている他の任意の所望の変数などの様々な変数/パラメータに基づいて、可変的に設定され得る。
【0037】
利用され得る制御アルゴリズムの一実施形態は、比例積分微分(proportional-integral-derivative、PID)制御アルゴリズムであるが、そのようなものは、非限定的であり、当業者によく知られている他の既知の制御アルゴリズムもまた、利用され得る。PID制御アルゴリズムを実装する際に、圧力は、感知されたプロセス変数及びインピーダンス(すなわち、開口部サイズ)の制御変数であり得る。感知された圧力が変化する際、空気流制御ロジック155は、所望の設定点(すなわち、目標圧力)で、又はその付近で圧力を維持するように応答してインピーダンスを自動的に調整する。
【0038】
設定点又は目標圧力は、通常動作の前に、空気流制御ロジック155にプログラムされた所定の値であり得る。例えば、圧力設定点は、真空プレナム125の上部区画の最高圧力を反映し得、これは依然として印刷媒体の適切な押さえを可能にする。この圧力は、例えば、上部区画の圧力設定値を反復的に設定し、印刷媒体がその設定点で適切に保持されるかどうかを判定することによって、印刷システム100の設計又は製造中に実験的に判定され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、ダンパ151に対する調整に基づく、検出された状態は、感知された圧力に加えて、又はその代わりに、現在移動可能な支持表面120上にある印刷媒体の数、サイズ、及び/又は場所を含む。印刷媒体の数/サイズ/場所は、印刷媒体によって現在被覆されている移動可能な支持表面120内の孔の量(例えば、比率)を反映し、上で説明されるように、真空プレナム125の上部区画内の圧力(少なくとも部分的に)を判定する。それゆえ、印刷媒体の数/サイズ/場所は、プレナム内の圧力の代用として使用され得、印刷媒体の数/サイズ/場所に基づいて、ダンパ151のインピーダンスを制御することは、真空プレナム内の圧力を目標圧力に、又はその付近に維持することを可能にし得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、上で説明される制御アルゴリズム/コントローラは、感知された圧力に加えて、又はその代わりに、感知されたプロセス変数として印刷媒体の数、サイズ、及び/又は場所を使用し得る。いくつかの実施形態では、印刷媒体の数、サイズ、及び/又は場所は、感知されたプロセス変数(すなわち、システムの感知された状態)としてコントローラによって直接使用され、換言すると、インピーダンスを増加又は減少させるかどうかの判定は、これらの変数に直接基づく。他の実施形態では、コントローラは、これらの変数を使用して、他の情報を判定し得、次いで、インピーダンス調整は、この他の情報に基づく。例えば、空気流制御ロジック155は、印刷媒体の数、サイズ、及び/又は場所、現在印刷媒体によって被覆されている移動可能な支持表面120内の孔の量(割合)から推定され得、インピーダンス調整は、次いで、孔の判定された量(割合)に直接基づき得る。
【0040】
したがって、空気流制御ロジック155は、変化する状態にもかかわらず、真空プレナム125内の所望の圧力を維持するために、システムの検出された状態(例えば、感知された圧力、印刷媒体の数/サイズ/場所、被覆された孔の量など)に基づいて、ダンパ151のインピーダンスを制御することができる。これにより、変化する状態下でさえ、相対的に高い圧力を真空プレナム内に維持することを可能とし、それゆえ、被覆されていない孔を通る吸引の強度を低減させ、したがって、印刷媒体の適切な押さえを確実にするのに十分に低いまま、横断流の強度を低減させる。例えば、少数の印刷媒体及び/又は小さい印刷媒体が移動可能な支持表面120上にあるときなど、相対的に少数の孔が被覆されるとき、ダンパ151は、相対的に低いインピーダンスを提供するように調整され得、これは真空プレナム125の上部区画内の圧力を減少させる傾向があり、それゆえ、多くの被覆されていない孔に起因して、別様に生じる圧力における増加を相殺する。多くの及び/又は大きい印刷媒体が移動可能な支持表面120上にあるときなど、相対的に多数の孔121が被覆されるとき、ダンパ151は、相対的に高いインピーダンスを提供するように調整され得、これは真空プレナム125の上部区画内の圧力を増加させる傾向があり、それゆえ、いくつかの被覆されていない孔に起因して、別様に生じる圧力における減少を相殺する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ダンパ151に対する調整に基づく検出された状態は、印刷される画像の画像コンテンツ、使用される印刷媒体のタイプ、品質設定、又は他の設定などの、現在の印刷ジョブに関する情報を含む。画像コンテンツのいくつかのタイプは、横断流によって誘導される画像かすれに対してより感応性であり得る。例えば、印刷媒体の縁部に近接して印刷される画像(例えば、ページマージンがより小さい画像)は、本明細書に記載のタイプのかすれを経験する可能性が高いが、一方で印刷媒体の縁部から遠い画像(例えば、より大きいページマージンを有する画像)は、かすれを経験する可能性が低くなり得る。別の例として、バーコード、小さい書き込み、微小線などの特定のタイプの画像コンテンツは、画像のかすれが生じるとき、より悪影響を受ける可能性がある。したがって、空気流制御ロジック155は、印刷される画像の画像コンテンツを監視し、画像かすれに対して感応性が低い画像(縁部付近にはない画像など)が印刷されているときに、システムのインピーダンスを減少させ得(それゆえ、空気流及び真空吸引を増加させ得)、画像かすれにより感応性が高い画像(縁部に近接するか、又はバーコードなどの感応性タイプの画像を有する画像)が印刷されているときに、インピーダンスを増加させる(それゆえ、空気流及び真空吸引を減少させる)。空気流制御ロジック155はまた、印刷ジョブのために選択された設定を監視し、それに従ってインピーダンスを変更し得る。例えば、より高い品質設定は、より高いインピーダンスの設定を伴って、空気流を低減させ、したがって(より低い吸引に起因して、印刷媒体のリフトオフを回避するために、より低い輸送速度を設定する状態ともに)かすれを低減させる。更に、異なるタイプの印刷媒体は、縁部のリフトオフ、しわ、又は巻き上がりなく、移動可能な支持表面に接して平坦なままであるように、異なるレベルの真空吸引を必要とし得る。例えば、相対的に剛性及び/又は厚い基材は、より可撓性及び/又は薄い基材よりも、しわ又は巻き上がりに対してより耐性があり得、それゆえ、より多くの真空吸引は、相対的に可撓性及び/又は薄い基材を移動可能な支持表面に接して平坦に保持するために必要とされ得る。それゆえ、空気流制御ロジック155は、使用されているタイプ又は印刷媒体を監視し、それに従ってインピーダンス(すなわち、平坦に留まるためにより少ない吸引を必要とする印刷媒体に対してより高いインピーダンス、平坦に留まるためにより多くの吸引を必要とする印刷媒体に対してより低いインピーダンス)を調整し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、空気流制御ロジック155は、システムの複数の状態を考慮し、それらの複数の状態に対するインピーダンスの調整を基準とし得る。特に、上で説明される状態のいずれも、任意の組み合わせで使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、現在の印刷ジョブ(例えば、画像コンテンツ、媒体タイプ、設定など)に関する情報に関連する検出された状態は、プレナムの圧力(例えば、感知された圧力、印刷媒体の数/サイズ、被覆されていない孔の量など)に関連する検出された状態と組み合わせて考慮され得る。例えば、空気流制御ロジック155は、現在の印刷ジョブに関する情報に基づいて、制御アルゴリズムによって使用される目標圧力を可変的に調整し得、次いで、目標圧力に基づいて、かつ上で説明される圧力関連状態に基づいて、ダンパ151のインピーダンスを変動可能に調整し得る。
【0043】
図3は、
図2を参照して上で説明される印刷システム100として使用され得る、印刷システム300の別の実施形態を例解する。
図3は、側面視からの印刷システム300の一部分を例解する概略を含む。
【0044】
図3に例解されるように、印刷システム300は、インク堆積アセンブリ301、媒体輸送デバイス303、及び空気流制御システム350を備え、これは、
図2を参照して上で説明された、インク堆積アセンブリ101、媒体輸送デバイス103、及び空気流制御システム150としてそれぞれ使用することができる。印刷システム300はまた、空気流制御ロジック(例えば、空気流制御ロジック155と同様)を含む、制御システム(例えば、制御システム130と同様)などの
図3に例解されていない追加の構成要素を備え得る。
【0045】
印刷システム300では、インク堆積アセンブリ301は、
図3に示されるように、各モジュール302が、3つの印刷ヘッド310(2つの印刷ヘッド110は、
図3において視認可能であり、第3の印刷ヘッドは、他の印刷ヘッド110のうちの1つの背後に隠れる)を有する状態で、4つの印刷ヘッドモジュール302を備える。印刷ヘッドモジュール302は、媒体輸送デバイス303の上方のプロセス方向Pに沿って直列に配置され、その結果、印刷媒体305は、インク堆積アセンブリのインク堆積領域323を通じて、すなわち、印刷ヘッドモジュール302の各々の真下に連続して輸送される。印刷ヘッド310は、印刷ヘッド310の底端部が、開口部に途中まで延在する状態で、対応するキャリアプレート内のそれぞれ対応する開口部を通して、印刷流体(例えば、インク)を噴射するように配置される。この実施形態では、印刷ヘッド310は、2つの印刷ヘッド310がクロスプロセス方向に位置合わせされている相殺パターンで配置され(
図3では1つのみが視認可能である)、印刷ヘッド310のうちの1つは、他の2つの印刷ヘッド310よりも更に上流又は下流に相殺されており、相殺印刷ヘッドは、クロスプロセス方向において、2つの他の印刷ヘッド310の間に配置されている。他の実施形態では、印刷ヘッド310及び/若しくは印刷ヘッドモジュール302の異なる数並びに/又は配置が、使用される。
【0046】
印刷システム300では、媒体輸送デバイス303は、移動可能な支持表面320を提供する可撓性ベルトを備える。
図3に示されるように、移動可能な支持表面320は、ローラ329によって駆動されて(
図3の数及び配置は、当業者が認識するものとして非限定的である)、経路の一部分が、インク堆積アセンブリ301のインク堆積領域323を通過する状態で、ループされた経路に沿って移動する。更に、この実施形態では、真空プレナム325は、プレナム325の上壁を形成し、移動可能な支持表面320を支持する真空プラテン326を備える。プラテン326は、プレナム325の内部と移動可能な支持表面320の下側との間の流体連通を可能にするプラテン孔327を備える。
【0047】
いくつかの実施形態では、プラテン孔327は、
図3の拡大された切り欠き3A内に見られるように、その上側にチャネルを含み得、これは、その上側の孔327の開口部の面積を増加させ得る。具体的には、プラテン孔327は、上部分327bが、底部分327aとは異なってサイズ決定され、及び/又は成形されている状態で、プラテン326の底部側に開口する底部分327aと、プラテン326の上側に開口する上部分327bと、を含み得る。例えば、
図3~
図6Cは、プラテン孔327の実施形態を例解し、上部分327bは、プロセス方向に伸長するチャネルであり、一方で底部分327aは、少なく伸長し、より小さい断面積を有する貫通孔である(
図3の拡大
図Dを参照されたい)。いくつかの実施形態では、複数の孔327は、同じ上部分327bを共有し得、又は換言すると、複数の底部分327aは、同じ上部分327bに結合され得る。孔327を遮断する空気流ゾーン351に対して本明細書を参考すると、孔327の少なくとも底部分327aを遮断することを表す。
【0048】
孔327は、プロセス方向Pに延在する列及びクロスプロセス方向(
図3に示されるx方向)に延在する行内に配置され、各列が、プロセス方向Pにおいて互いに位置合わせされる孔327の群を備え、各行が、クロスプロセス方向において互いに位置合わせされた1つ以上の孔327の群を備える。いくつかの実施形態では、列及び行は、規則的なグリッド内に配置されるが、他の実施形態では、列及び行は、規則的なグリッドを形成しない他のパターンで配置される。
【0049】
移動可能な支持表面320の孔321は、各孔321が、対応するプラテン孔327の集合体とプロセス方向P(y軸方向)において位置合わせされるように配設される。換言すると、印刷システム300では、各孔321は、プラテン孔327の列のうちの1つと位置合わせされる。それゆえ、移動可能な支持表面320がプラテン326を横切って摺動する際、移動可能な支持表面320内の各孔321は、対応するプラテンホール327上を周期的に移動し、移動可能な支持表面孔321及びプラテン孔327が一時的に垂直方向に位置合わせされる(すなわち、z軸方向に位置合わせされる)ことをもたらす。移動可能な支持表面320の孔321が、対応するプラテン孔327上を移動するとき、孔321及び327は、移動可能な支持表面320の上方の環境を真空プレナム325内の低圧状態に流体的に結合し、それゆえ孔321及び327を通して真空吸引を生成する開口部を画定する。この吸引は、印刷媒体305が、孔321の上方に配設される場合、印刷媒体305上に真空押さえ力を生成する。
【0050】
図3に示されるように、空気流制御システム350は、ダンパ351を備える。
図3のダンパ351は、
図2に関連して、上で説明されるダンパ151として使用され得る。3つのダンパ351の例示的な配置が、
図3に例解されるが、他の実施形態では、任意の数のダンパ351が、提供され得、それらは、例解されたものとは異なるサイズ、形状、及び場所を有し得る。
図3に示されるように、ダンパ351及び1つ以上のバッフル352は、真空源328(例えば、ファン、ポンプなど)と真空プラテン326との間の真空プレナム325内に配置される。ダンパ351及びバッフル352は、真空プレナム325を上部区画325a及び下部区画325bに分離し、これらの区画325a、325bの間の空気流を制御する。それゆえ、ダンパ351は、真空源328から真空プラテン326の孔327まで提供される、吸引の強度を制御する。ダンパ351は、各々、1つ以上の開口部354(
図3の破線で示される)を有し、上部区画325aを下部区画325bと連通して結合する。開口部354のサイズは、アクチュエータ(例解せず)によって変更可能であり、それゆえダンパ351のインピーダンスを変化させる。ダンパ351の構造及び機能は、ダンパ151の構造及び機能と同様であり、それゆえ、それらの更なる明確な説明は、省略される。
【0051】
空気流制御システム350は、現在検出された状態に基づいて、ダンパ351のインピーダンスを制御するように構成される。例えば、空気流制御システム350は、上部区画325a内に配置された圧力センサ353を備える。圧力センサ353は、上部区画325a内の圧力を感知し(定期的又は連続的に)、感知された圧力を示す情報を空気流制御システム350のコントローラ(例解せず)に通信する。空気流制御システム350のコントローラは、上で説明される空気流制御ロジック155と同様であり得、空気流制御ロジック155に関する上で説明されるような圧力情報に基づいて、ダンパ351のインピーダンスを制御(すなわち、開口部354のサイズを制御)し得る。
【0052】
様々なタイプのダンパ、具体的にはダンパ451、551、及び651の例示的な実施形態が、
図4A~
図6Bを参照して以下でより詳細に記載される。ダンパ451、551、及び651は、ダンパ151又は351として使用され得る。ダンパ451、551、及び651の制御及び動作は、上で説明されるダンパ151及び351の制御及び動作と同様であり得、それゆえ、その重複説明は、省略される。
【0053】
図4A~
図4Bは、例示的なダンパ451を例解する。ダンパ451は、虹彩タイプのダンパであり、バッフル452内の略円形の開口部の周りに円周方向に配置された、いくつかの先細ブレード456を備え、各ブレード456の狭い端部は、開口部の中心に向かって向いており、各ブレード456の幅広の端部は、バッフル452に枢動可能に取り付けられる。ブレード452は、それらが集合的に相互作用して、開口部454を画定するように配置される。例えば、ブレード452は、互いに部分的に重なり得、及び/又は開口部454を画定するために互いに隣接する縁部で位置決めされ得る。開口部454のサイズは、ブレード452の各々を枢動させることによって変更され、それゆえ、ブレード452の狭い端部をともに近接して移動させて、開口部454のサイズを低減させるか、又はブレード452の狭い端部を更に離れるように移動させて、開口部454のサイズを増加させる。例解された例では、ブレード452は、略三角形の形状であるが、代わりに他の形状を使用することができる。
図4A及び
図4Bでは、ブレード456のうちの1つの隠れた部分が、破線で示される。例解されるように、ブレード456のうちの1つの端部は、バッフル452に対して固定された枢動軸457に結合される。ブレード456の別の端部は、リンク機構460を介してリング458に結合される。リング458は、アクチュエータ459によってその中心軸を中心に回転され、リング458のこの回転は、リンク機構460及び枢動軸457を介してブレード456の枢動に変換される。例えば、
図4Aに例解された状態から
図4Bに例解された状態に遷移することは、リング458を反時計回り(方向R)に回転させることによって生じさせることができる。アクチュエータ459は、電気モータ、ソレノイド、液圧若しくは空気圧ピストン、又はリング448に運動を付与することが可能な任意の他のデバイスであり得る。例えば、アクチュエータ459が回転出力を駆動する場合、リング458は、回転駆動出力と相互作用して、出力の回転をリング458の回転に変換するギアリングを含み得る。別の例として、アクチュエータ459が線形アクチュエータである場合、アクチュエータ459の直線運動出力は、リング458の一方の側に結合され得、その結果、直線運動出力の並進が、リング458の回転に変換される。当業者が慣れている他の既知のタイプの虹彩ダンパが、ダンパ451として使用され得る。
【0054】
図5A及び
図5Bは、本開示の実施形態に従って使用することができる、ダンパの別の実施形態を例解し、これはスライドスロットダンパ又はギロチンダンパとして称され得る。
図5A及び
図5Bでは、ダンパ551は、いくつかのスロット562又は他の開口部を有するプレート561を備える。プレート561は、バッフル552に接して位置決めされ、スロット562は、バッフル552内の対応するスロット563に部分的又は完全に重なる。開口部554は、スロット562及びスロット563の重なりによって画定される。開口部554のサイズは、プレート561をスロット563に対して移動させることによって、スロット562とスロット563との間の重なりの程度を変化させることにより変更される。スロット562、563が完全に位置合わせし、かつ重なるとき、開口部554のサイズは、その最大となる。スロットが位置合わせから移動する際、開口部のサイズは、スロット562、563が全く位置合わせされず、開口部554が存在しない(すなわち、閉鎖されている)点まで減少する。アクチュエータ559は、プレート561に移動を付与して、それをバッフル552に対して(例えば、
図5A及び
図5Bの配向の左右に)移動させる。例えば、アクチュエータ559は、ソレノイド、液圧若しくは空気圧ピストン、回転対線形変換機構を伴う回転式アクチュエータ(例えば、電気モータ)、又はプレート561に並進運動を付与することが可能な任意の他のデバイスであり得る。
【0055】
図6A及び
図6Bは、ブレードダンパとして称され得る、本開示の実施形態と併せて使用することができるダンパの更に別の実施形態を例解する。
図6A及び
図6Bのダンパ651は、いわゆる対向ブレードダンパであり、バッフル552内の開口部667にわたって平行に延在するいくつかのブレード664を備える。ブレード664は、枢動軸668によってその両端でバッフル552に枢動可能に結合される。開口部654は、ブレード664の間及びその周りの開放空間によって画定される。換言すると、開口部は、ブレード664によって閉塞されていない開口部667の部分に対応する。ブレード664は、幅w(
図6B参照)を有する広い面及び厚さt(
図6A参照)を有する狭い面を有し、それゆえブレード664をそれらの枢動軸668を中心に回転させることによって、ブレード664間の空間が、変更され得る。換言すると、ブレード664を回転させることは、ブレード664によって閉塞される開口部667の量を変化させる。例えば、
図6Aでは、ブレード664は、それらの狭い面がバッフル652に対して平行に配向されており、したがって、各ブレード664の間に相対的に広い間隙が存在する(すなわち、ブレード664が、開口部667をほとんど閉塞しない)。しかしながら、
図6Bでは、ブレードは、バッフル652に対してほぼ平行なそれらの幅の面で配向され、それゆえブレード664間の間隙は、相対的に狭い(すなわち、ブレード664は、開口部667のほとんどを閉塞するか、いくつかの実施形態では、開口部667の全てが閉塞される)。それゆえ、開口部654のサイズは、ブレード664を回転させることによって変化させることができる。各ブレード664の一端は、全てアーム665に結合され得、その結果、アームの並進は、ブレード664を全てともに回転させる。アーム665は、アームの並進を駆動するアクチュエータ659に結合される。それゆえ、アクチュエータ659は、ブレード664の回転、かつそれゆえ開口部654のサイズを制御することができる。例えば、アクチュエータ559は、ソレノイド、液圧若しくは空気圧ピストン、回転対線形変換機構を伴う回転式アクチュエータ(例えば、電気モータ)、又はアーム665に運動を付与することが可能な任意の他のデバイスであり得る。
【0056】
図7A及び
図7Bは、本開示の実施形態と併せて使用することができるダンパの更に別の実施形態を例解する。
図7A及び
図7Bのダンパ751は、いわゆるバタフライ平皿ダンパであり、開口部767にわたって延在する枢動軸755に結合された皿757を備える。枢動軸は、回転可能であり、枢動軸が回転する際、皿が回転する。開口部754は、皿757と開口部767のリムとの間の開放空間によって画定される。皿757が回転する際、皿757と開口部767のリムとの間の空間は、減少し、それゆえ開口部754のサイズを低減させる。例えば、
図7Aでは、皿757は、バッフル752に対して相対的に急な角度で配向され、したがって、皿757と開口部767のリムとの間に相対的に広い間隙が存在する。しかしながら、
図7Bでは、皿757は、バッフル752に対して平行であるように近接して配向され、それゆえ、皿757と開口部767のリムとの間の間隙は、相対的に狭い(すなわち、皿757は、開口部767のほとんどを閉塞するか、又はいくつかの実施形態では、開口部767の全てが閉塞される)。それゆえ、開口部754のサイズは、皿757を(枢動軸の回転を介して)回転させることによって変化させることができる。枢動軸756は、枢動軸756の回転を駆動する、アクチュエータ759に結合される。例えば、アクチュエータ559は、ソレノイド、液圧若しくは空気圧ピストン、回転対線形変換機構を伴う回転式アクチュエータ(例えば、電気モータ)、又は枢動軸756に運動を付与することが可能な任意の他のデバイスであり得る。
【0057】
本明細書並びに本発明の態様及び実施形態を例解する添付の図面は、限定-特許請求の範囲は、保護された発明を定義する、として解釈されるべきではない。この説明及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的変更が、成され得る。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造体、及び技術は、詳細に示されていないか、又は記載されていない。2つ以上の図における同様の番号は、同じ、又は同様の要素を表現する。
【0058】
更に、空間用語及び関係用語などの本発明の態様を記載するために本明細書で使用される専門用語は、本発明の実施形態を理解する際に読者を助けるために選択されるが、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、「上流」、「下流」、「真下」、「下(below)」、「下部」、「上方」、「上部」、「インボード」、「アウトボード」、「上」、「下(down)」などの空間用語は、図に例解されるように、方向、又は1つの要素若しくは特徴の、別の要素若しくは特徴に対する空間的関係を記載するために本明細書で使用され得る。これらの空間用語は、図に例解される姿勢に対して使用され、実世界の特定の基準フレームに限定されない。それゆえ、例えば、図における「上」の方向は、必ずしもワールド基準フレーム内の「上」(例えば、地球の表面から離れる)に対応する必要はない。更に、異なる基準フレームが、図に例解されるもの以外とみなされる場合、本明細書で使用される空間的用語は、異なる基準フレームにおいて異なって解釈される必要があり得る。例えば、図のうちの1つに対して「上」として称される方向は、図の基準フレームから180度回転される異なる基準フレームに関しては、「下」と呼ばれる方向に対応し得る。別の例として、図に例解された方法と比較する際、デバイスが世界参照フレーム内で180度回転する場合、図に関連する第2の項目の「上方」又は「上に」あるとして本明細書に記載される項目は、世界基準フレームに関して第2の項目の「下」又は「真下」にあり得る。それゆえ、どの基準フレームが考慮されているかに応じて、同じ空間的関係又は方向は、異なる空間用語を使用して記載することができる。更に、図に例解される項目の姿勢は、例解及び説明の便宜のために選択されるが、実施における実装態様では、項目は、異なった姿勢を取り得る。
【0059】
「プロセス方向」という用語は、印刷媒体がインク堆積アセンブリの堆積領域を通じて輸送される際に、印刷媒体が移動する軸に対して平行であり、同じ方向を向く方向を表す。それゆえ、プロセス方向は、図中のy軸に対して平行であり、かつ正のy軸正方向を向く方向である。
【0060】
「クロスプロセス方向」という用語は、プロセス方向に対して垂直であり、かつ移動可能な支持表面に対して平行な方向を表す。任意の所与の点で、反対方向、すなわち「インボード」クロスプロセス方向、及び「アウトボード」クロスプロセス方向を向く2つのクロスプロセス方向が存在する。それゆえ、図に例解される参照フレームを考慮すると、クロスプロセス方向は、x軸に沿った正又は負の方向を向く方向を含む、x軸に対して平行な任意の方向である。本明細書における「クロスプロセス方向」への参照は、文脈によって別様に記載のない限り、概して、1つの特定のクロスプロセス方向ではなく、クロスプロセス方向のいずれかを表すものとして理解されるべきである。それゆえ、例えば、「バルブが、クロスプロセス方向に移動可能である」という記述は、バルブが、インボード方向、アウトボード方向、又は両方の方向に移動することができることを意味する。
【0061】
「上流」及び「下流」という用語は、「下流」が、プロセス方向(すなわち、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送される方向)と同じ方向を向く方向を表し、及び「上流」が、プロセス方向の反対側を向く方向を表す状態で、プロセス方向に対して平行な方向を表し得る。図において、「上流」は、負のy軸方向に対応し、一方で「下流」は、正のy軸方向に対応する。「上流」及び「下流」という用語はまた、「上流」要素が、基準点に対して上流方向に変位し、「下流」要素が、基準点に対して下流方向に変位されている状態で、要素の相対的な場所を表すために使用され得る。換言すると、「上流」要素は、いくつかの他の基準要素よりも、インク堆積アセンブリを通して輸送される際に、印刷媒体が取る経路の始まり(例えば、印刷媒体が移動可能な支持表面と接合する場所)により近接する。逆に、「下流」要素は、いくつかの他の基準要素よりも、経路の端部(例えば、印刷媒体が支持表面を離れる場所)により近接する。「上流」又は「下流」要素が比較される他の要素の基準点は、明示的に述べられ得る(例えば、「印刷ヘッドの上流側」)か、又は文脈から推測され得る。
【0062】
「インボード」及び「アウトボード」という用語は、クロスプロセス方向に沿った媒体輸送デバイスの反対側を表す。「アウトボード」とは、印刷媒体の縁部が見当合わせされる見当合わせ場所に最も近い媒体輸送デバイスの側面を表す。「インボード」は、アウトボード側とは反対側の媒体輸送デバイスの側面を表す。例えば、
図6A~
図6Bでは、媒体輸送デバイスのアウトボード側は、OBとラベル付けされ、媒体輸送デバイスのインボード側は、IBとラベル付けされる。「インボード」及び「アウトボード」という用語はまた、「インボード」が、アウトボード側からインボード側を向くクロスプロセス方向を指し、「アウトボード」が、インボード側からアウトボード側を向くクロスプロセス方向を表す状態で、クロスプロセス方向を表すために使用される。図では、「インボード」は、正のx軸方向に対応し、一方で「アウトボード」は、負のx軸方向に対応する。「インボード」及び「アウトボード」という用語はまた、「インボード」要素が、基準点に対してインボード方向に変位し、「アウトボード」要素が、基準点に対してアウトボード方向に変位する状態で、相対場所を表す。基準点は、明示的に述べられ得るか(例えば、「印刷ヘッドのインボード側」)、又は文脈から推測され得る。それゆえ、例えば、「キャリアプレートのインボード側」は、キャリアプレートの別の側面よりも相対的に更にインボードにあるキャリアプレートの側面を表す。印刷媒体が、縁部に見当合わせされていないシステム(例えば、印刷媒体が中心にある)では、システムの任意の側面は、アウトボード側として称され得、反対側は、インボード側であり得る。
【0063】
「垂直」という用語は、堆積領域内の移動可能な支持表面に対して垂直な方向を表す。任意の所与の点で、両方向、すなわち「上向き」方向及び「下向き」方向を向く、2つの垂直方向が存在する。それゆえ、図において例解される基準フレームを考慮すると、垂直方向は、正のz軸方向(「上」)又は負のz軸方向(「下」)を向く方向を含む、z軸に対して平行な任意の方向である。
【0064】
「水平」という用語は、堆積領域内の移動可能な支持表面に対して平行な(又は移動可能な支持表面が堆積領域において平坦ではない場合、堆積領域内の移動可能な支持表面に接する)方向を表す。水平方向は、プロセス方向及びクロスプロセス方向を含む。
【0065】
「真空」という用語は、全ての物質を欠く空間の厳密な意味から、相対的に低い圧力状態のより一般的な意味までの範囲の様々な文脈における様々な意味を有する。本明細書では、「真空」という用語は、一般的な意味で使用され、空気圧が、周囲圧力若しくは大気圧などのいくつかの基準圧力よりも低い状態又は環境を広く表すものとして理解されるべきである。真空環境の圧力が、「真空」とみなされる基準圧力よりも低くなるべき量は、制限されず、少量又は大量であり得る。それゆえ、本明細書で使用される際、「真空」は、限定されるものではないが、用語のより厳密な意味の下、「真空」とみなされ得る状態を含み得る。
【0066】
「空気」という用語は、地球の雰囲気の厳密な意味(又はその組成物が地球の雰囲気のものと同様であるガスの混合物)から、任意のガス又はガスの混合物のより一般的な意味までの範囲の、様々な文脈において様々な意味を有する。本明細書では、「空気」という用語は、一般的な意味で使用され、任意のガス又はガスの混合物を広く表すものとして理解されるべきである。これは、限定されるものではないが、地球の雰囲気、希ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど)、窒素(N2)ガスのうちの1つなどの不活性ガス、若しくは任意の他の所望のガス、又はガスの混合物を含み得る。
【0067】
加えて、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別様に示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」などの用語は、記載された特徴、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、工程、動作、要素、構成要素、及び/若しくは群の存在又は追加を除外しない。別様に特に記載されない限り、結合されたと記載された構成要素は、電気的又は機械的に直接結合され得るか、又はそれらは、1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。数学的及び幾何学的用語は、当業者が、例えば、実質的に同様の方法で機能する実質的に同様の要素が、たとえ用語がまた厳密な定義を有していても、説明的な用語の範囲内に容易に収まり得ることを理解するであろうということから、別様に説明の文脈が示されない限り、それらの厳密な定義に従って使用されることを必ずしも意図するものではない。
【0068】
一実施形態を参照して詳細に説明される要素及びそれらの関連する態様は、実用的である場合は常に、それらが具体的に図示又は説明されていない他の実施形態に含まれ得る。例えば、一実施形態を参照して、要素が詳細に説明され、第2の実施形態を参照して記載されていない場合、要素は、第2の実施形態に含まれるものとして、なお特許請求され得る。