(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159994
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】円錐が配置されたスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051975
(22)【出願日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0043802
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521199166
【氏名又は名称】イ ナムヘ
【氏名又は名称原語表記】LEE, NAM HAE
【住所又は居所原語表記】110-1802, Deungchon I-Park, 163, Deungchon-ro, Gangseo-gu, Seoul 07671 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ナムヘ
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AD40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特定の周波数の共鳴を効率的に抑制し、音質を向上させることができるスピーカを提供する。
【解決手段】本発明による円錐が配置されたスピーカは、スピーカユニット120と、前面部111にスピーカユニット120を収容し、内部に空間を有するエンクロージャと、エンクロージャの内部に円錐状に形成されてスピーカユニット120から伝播した音波を表面反射させるように設けられ、頂点、円形の平面部及び頂点と平面部を連結する側面部からなる円錐状反射部130と、を含む。
【選択図】
図5a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、
少なくとも一面に前記スピーカユニットを収容し、内部に空間を有するエンクロージャと、
前記エンクロージャの内部に円錐状に形成されて前記スピーカユニットから伝播した音波を表面反射させるように設けられ、頂点、円形の平面部、及び前記頂点と前記平面部を連結する側面部からなり、少なくとも1つ以上設けられる円錐状反射部と
を含む、円錐が配置されたスピーカ。
【請求項2】
前記円錐状反射部は、中空開放型に設けられるか、又は内部がソリッド(solid)からなり、その内部は音波の拡張空間として用いられないことを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項3】
前記円錐状反射部は、前記エンクロージャのいずれか一面に配置されるか、又はいずれか一面に接触することなく、前記エンクロージャの内面から離隔されて支持物に支持されることにより、前記エンクロージャの内部に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項4】
前記円錐状反射部における前記頂点と前記平面部の中心を結ぶ線は、前記エンクロージャの長手方向に対応しない角度で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項5】
前記円錐状反射部は、半円錐状に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項6】
前記円錐状反射部は、1/4円錐状、1/6円錐状又は1/8円錐状に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項7】
前記円錐状反射部は、一部が切り欠かれていることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項8】
前記各円錐状反射部の中心軸は、互いに平行にならないように設けられることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項9】
前記各円錐状反射部のうち、いずれか1つの円錐状反射部の一部は、一部が切り欠かれた他の1つの円錐状反射部と重なることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項10】
前記円錐状反射部は、複数のサブ反射部を含む列からなり、
前記各列のサブ反射部は、一定の方向に配置されるか、又は異なる方向に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項11】
前記各円錐状反射部は、前記平面部を中心に結合されて形成され、前記結合された円錐状反射部は、一部が切り欠かれるか、又は前記エンクロージャの壁面から離隔された構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【請求項12】
前記側面部は、凸状又は凹状に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の円錐が配置されたスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐が配置されたスピーカに関し、より詳細には、スピーカのエンクロージャの内部に円錐構造物を配置することにより、スピーカから伝播する音波を円錐の外側曲面に様々な角度で反射させる、円錐が配置されたスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スピーカは、電気的信号を空気力学的信号に変化させるスピーカユニットと、そのスピーカユニットを収容するものであって、スピーカユニットにより生成される音が歪みなく正しく表現されるように音反射機能を実行するエンクロージャ(enclosure)とを含む。
【0003】
このようなスピーカは、エンクロージャの形式によって、密閉型とダクト型とに大別される。密閉型は、エンクロージャの内部が完全に密閉された構造からなり、スピーカユニットの音をエンクロージャ内部の音反射だけで支援するのに対し、ダクト型は、エンクロージャにその内部と連通するダクトを設け、スピーカユニットのコーン(cone)の背面から発生する音波の位相を反転させてエンクロージャの外部に排出することにより、特に低域音域に関する特性を向上させる形式である。
【0004】
このように、スピーカのエンクロージャは、単にスピーカユニットを収容するケースとしての役割のみを果たすのではなく、スピーカユニットから発生する音波を反射及び減衰させる役割を果たすので、スピーカにおいて、スピーカユニットに劣らず重要な構成要素である。
【0005】
従来、エンクロージャは、
図1aのように、単に平面1からなるか、凹曲面2又は凸曲面3からなっていた。よって、スピーカユニット10から伝播した音波は、各面で反射すると、各面の形状に応じて特徴的な反射音道を有するようになる。
【0006】
図1aの(a)を参照すると、平面反射の場合、音道の拡散性はスピーカユニットの音の放射角度にのみ依存し、その音道のさらなる拡散性は得られない。
図1aの(b)を参照すると、凹面は、反射音道が一旦収束してから拡散する経路を有し、
図1aの(c)の凸面と比較すると、凹面は、同じ長さの音道における音道の拡散性が劣り、所定の長さまではかえって音道が狭くなる反射特性を有する。
【0007】
図1aの(c)を参照すると、凸面は、音道が狭くなってから広くなる現象が起こることなく、反射初期から音道が拡張される反射特性を有する。
【0008】
図1bは
図1aの(a)の立体的な音道であり、
図1bを参照すると、スピーカユニット10の中心から伝播した音波11が平面12で反射する場合の反射した面13を確認できるが、反射した面13は、非常に単純な形状と狭い面積を有する。
【0009】
図1cは
図1aの(c)の立体的な形状のうち従来技術が含む円筒状であり、
図1cを参照すると、スピーカユニット10の中心から伝播した音波11が円筒状曲面17で反射したときにその反射した面18を確認できるが、反射した面18は、
図1bの平面よりは広いものの、変化した反射角の多様性を有しないという限界がある。
【0010】
このような反射面の構造を比較すると、
図1aの(a)の平面構造に比べて、
図1aの(b)の凹反射構造と
図1cの凸反射型のうちの円筒状構造が音道の拡散に寄与するが、
図1aの(b)の凹反射構造は、音の収束区間と音道の長さに対する拡散性が不足し、
図1cの凸反射円筒状構造は、反射音の反射角の多様性を有しないという明らかな限界がある。
【0011】
スピーカのエンクロージャの反射音が周波数毎により均一な反射特性を得るためには、より改善された方法で音道の拡散性と様々な角度の反射特性である変化性を最大化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1337553号公報(2013年12月6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような要求と必要性を解決するためになされたものであって、スピーカユニットから伝播した音波をエンクロージャの内部に設けられた円錐状反射部に反射させて反射音道にさらに大きな拡散性と変化性を誘導し、エンクロージャの内部で音を様々に分散させることにより、特定の周波数の共鳴を効率的に抑制し、音質を向上させることができる、円錐が配置されたスピーカを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明による円錐が配置されたスピーカは、スピーカユニットと、少なくとも一面に前記スピーカユニットを収容し、内部に空間を有するエンクロージャと、前記エンクロージャの内部に円錐状に形成されて前記スピーカユニットから伝播した音波を表面反射させるように設けられ、頂点、円形の平面部、及び前記頂点と前記平面部を連結する側面部からなり、少なくとも1つ以上設けられる円錐状反射部とを含む。
【0015】
前記円錐状反射部は、中空開放型に設けられるか、又は内部がソリッド(solid)からなり、その内部は音波の拡張空間として用いられないことを特徴とする。
【0016】
前記円錐状反射部は、前記エンクロージャのいずれか一面に配置されるか、又はいずれか一面に接触することなく、前記エンクロージャの内面から離隔されて支持物に支持されることにより、前記エンクロージャの内部に設けられることを特徴とする。
【0017】
前記円錐状反射部における前記頂点と前記平面部の中心を結ぶ線は、前記エンクロージャの長手方向に対応しない角度で配置されることを特徴とする。
【0018】
前記円錐状反射部は、半円錐状に設けられることを特徴とする。
【0019】
前記円錐状反射部は、1/4円錐状、1/6円錐状又は1/8円錐状に設けられることを特徴とする。
【0020】
前記円錐状反射部は、一部が切り欠かれていることを特徴とする。
【0021】
前記各円錐状反射部の中心軸は、互いに平行にならないように設けられることを特徴とする。
【0022】
前記各円錐状反射部のうち、いずれか1つの円錐状反射部の一部は、一部が切り欠かれた他の1つの円錐状反射部と重なることを特徴とする。
【0023】
前記円錐状反射部は、複数のサブ反射部を含む列からなり、前記各列のサブ反射部は、一定の方向に配置されるか、又は異なる方向に配置されることを特徴とする。
【0024】
前記各円錐状反射部は、前記平面部を中心に結合されて形成され、前記結合された円錐状反射部は、一部が切り欠かれるか、又は前記エンクロージャの壁面から離隔された構造を有することを特徴とする。
【0025】
前記側面部は、凸状又は凹状に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、円錐状反射部がエンクロージャの一部として設けられ、スピーカユニットから直接到達する音波やエンクロージャの壁面で反射する2次、3次の反射到達波などを、全て音の進入角度に関係なく様々な角度で拡散反射させることにより、音の共鳴周波数を抑制し、スピーカの音質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1a】反射面に応じた音波の反射特徴を示す概略図である。
【
図1b】平面で音波が反射する場合の反射形態を示す概略図である。
【
図1c】円筒状曲面で音波が反射する場合の反射形態を示す概略図である。
【
図2a】円錐状曲面で音波が反射する場合の反射形態を示す概略図である。
【
図2b】円錐状曲面で音波が反射する場合の反射形態を示す概略図である。
【
図2c】円錐状曲面で音波が反射する場合の反射形態を示す概略図である。
【
図2d】円錐状曲面で音波が反射する場合の反射形態を示す概略図である。
【
図2e】本発明の実施形態による円錐状反射部の配置の一例を示す概略図である。
【
図2f】本発明の実施形態による円錐状反射部の配置の他の例を示す概略図である。
【
図2g】本発明の実施形態による円錐状反射部の配置のさらに他の例を示す概略図である。
【
図3a】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状の一例を示す図である。
【
図3b】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状の他の例を示す図である。
【
図3c】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図3d】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図3e】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図3f】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図3g】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図3h】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図3i】本発明の実施形態による円錐状反射部の形状のさらに他の例を示す図である。
【
図4a】本発明の実施形態による円錐状反射部が支持物に支持されることを示す図である。
【
図4b】本発明の実施形態による円錐状反射部がソリッドからなることを示す図である。
【
図5a】本発明の第1実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図5b】本発明の第1実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図6a】本発明の第2実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図6b】本発明の第2実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図7a】本発明の第3実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図7b】本発明の第3実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図8a】本発明の第4実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図8b】本発明の第4実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図9a】本発明の第5実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図9b】本発明の第5実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図10a】本発明の第6実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図10b】本発明の第6実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図11a】本発明の第7実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図11b】本発明の第7実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図12】本発明の第8実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【
図13】本発明の第9実施形態による円錐状反射部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に具現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されない。また、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたり類似した部分に対しては類似した図面符号を付けた。
【0029】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」としたときに、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0030】
以下、
図2a~
図13を参照して、本発明による円錐が配置されたスピーカについて詳細に説明する。
【0031】
図2a~
図2dにおいては、円錐状曲面で音波が反射する場合の反射形態を示す。
【0032】
図2aは、スピーカユニット10から音波21が伝播する際に、音波21がスピーカユニット10の中心から垂直下方に伝播し、円錐状曲面25の側面で反射することを示す。
図2aを参照すると、反射波24により形成される音波の反射面23(音波が同じ経路を移動したときに形成される面)は、ハンググライダーを菱形に変形した形状に形成され、かつ一定でない曲面状に形成される。
【0033】
図2bは、スピーカユニット10から音波21が伝播する際に、音波21がスピーカユニット10の中心から垂直下方に伝播し、平面部が下部にあり、頂点が上部にあり、中心軸が垂直に配置された円錐状曲面28の上部で反射することを示す。
図2bを参照すると、反射波24により形成される音波の反射面26は、ベルトのような形状に形成される。
【0034】
図2cは、スピーカユニット10から音波21が伝播する際に、音波21がスピーカユニット10の中心から垂直下方ではなく一側に伝播し、円錐状曲面32の側面の一部で反射することを示す。
図2cを参照すると、反射波24により形成される音波の反射面31は、屈曲の多い一定でない曲面状に形成される。
【0035】
図2dは、スピーカユニット10から音波21が伝播する際に、音波21がスピーカユニット10の中心から垂直下方ではなく一側に伝播し、円錐状曲面34で反射することを示す。
図2dを参照すると、反射波24により形成される音波の反射面33は、一定でない広い曲面状に形成される。
【0036】
図2a~
図2dから、音波が円錐状曲面で反射する場合、
図1a~
図1cにおける平面での反射や円筒状曲面での反射とは異なり、音波の進入角度に関係なく、音波の反射が集中せず、様々な角度で拡散する方向に反射し、円筒状曲面より音道の拡散性が向上することが分かる。
【0037】
図2e~
図2gにおいては、円錐状反射部を位置と角度に関係なくエンクロージャの内部に配置できることを示す。
【0038】
すなわち、円錐状反射部における頂点と平面部の中心を結ぶ線は、基本的にはスピーカユニットの中心軸に対して90度の角度をなすが、スピーカユニットの中心軸に対して90度の角度に限定されるものではなく、様々な角度で配置することができる。
【0039】
図2e~
図2gにおいては、円錐状反射部34が長手方向に半分に切断された形状を例示する。
【0040】
図2e~
図2gにおいては、円錐状反射部34がエンクロージャ内でスピーカユニットの中心軸に対して配置される進入角度が制限されないことを示し、全ての進入角度において音道が収束することなく拡張される反射音道を有する。ここで、「i」はスピーカユニットの進入音道の中心の一部分を示し、「o」は反射音道を示す。全ての進入音道に比べて、反射音道の大きさが相対的に増加しており、それは音道の拡散反射を形状化するものである。
【0041】
本発明による円錐が配置されたスピーカは、このような円錐状曲面が内部に配置されたものである。以下、
図3a~
図13を参照して、本発明の様々な実施形態による円錐状曲面について詳細に説明する。
【0042】
本発明による円錐が配置されたスピーカは、エンクロージャと、スピーカユニットと、円錐状反射部とを含む。
【0043】
エンクロージャ(enclosure)は、スピーカの本体であって、六面体状、円錐状、円筒状、トンネル状、楕円状などの形状に設けられ、本発明による円錐が配置されたスピーカのエンクロージャの形状は例示した形状に限定されない。
【0044】
本発明の実施形態によるスピーカのエンクロージャは、説明の便宜上、六面体状にした。エンクロージャは、前面部111と、前面部に対向する面である背面部113と、上面部116と、上面部に対向する下面部115と、前面部111の前方から見て左側に配置された左側面部114と、左側面部に対向する右側面部112とを含む。本実施形態においては、エンクロージャの形状を六面体状にしたが、エンクロージャの形状はそれに限定されない。
【0045】
スピーカユニット120は、エンクロージャに少なくとも1つ以上設けられるが、説明の便宜上、スピーカユニット120が前面部111に配置された場合を例示する。
【0046】
エンクロージャの内部に円錐状反射部が設けられ、円錐状反射部がエンクロージャの一部として機能するようにしてもよい。
【0047】
図3a~
図3iを参照すると、本発明の実施形態による円錐状反射部は、様々な形状に形成することができる。
【0048】
円錐状反射部は、
図3aのように、一般的な円錐(cone)状に設けられてもよく、
図3bのように、上部の一部が切り欠かれるか、又は下部が切り欠かれるように設けられてもよい。また、円錐状反射部は、
図3cのように、半円錐状に設けられてもよく、
図3dと
図3gのように、半円錐の上部又は下部が斜線又は曲線状に切断されるように設けられてもよい。
【0049】
さらに、円錐状反射部は、
図3eと
図3fのように、1/4円錐状や1/6円錐状に設けられてもよく、
図3hのように、側面部が凸状に設けられてもよく、
図3iのように、側面部が凹状に設けられてもよい。
【0050】
なお、図示していないが、円錐状反射部は、平面から見て前記頂点と前記平面部の中心が離隔されるように配置されてもよい。
【0051】
円錐状反射部は、エンクロージャのいずれか一面に配置されてもよく、いずれか一面に接触することなく、エンクロージャの内面から離隔されて
図4aのように支持物S1、S2に支持されることにより、前記エンクロージャの内部に設けられてもよい。
【0052】
円錐状反射部は、円錐状に設けられるが、代表的に
図5a及び
図5bを参照すると、円錐状反射部130は、円錐状に設けられてスピーカユニット120から伝播した音波を表面反射させるように設けられ、頂点135、円形の平面部131、及び頂点135と平面部131を連結する側面部133からなる。
【0053】
円錐状反射部が
図6a及び
図6bのように半円錐状に設けられた場合、平面部141は、半円形状に設けられてもよい。
【0054】
また、円錐状反射部が
図7a及び
図7bのように1/4円錐状に設けられた場合、平面部151は、1/4円形状に設けられてもよい。さらに、円錐状反射部は、
図8a及び
図8bのように平面部161の一部及び側面部162の一部が切り欠かれた形状に設けられてもよい。
【0055】
説明の便宜上、
図5a及び
図5bの円錐状反射部130を例に説明すると、円錐状反射部130の平面部131の直径は、スピーカユニット120の直径の1/2以上であり、円錐状反射部130の高さは、スピーカユニット120の直径の2/3以上であり、側面部133と、平面部131と頂点135を結ぶ円錐軸119との間の角は、6度以上になるようにしてもよい。
【0056】
円錐状反射部130は、平面部131を有しないように設けられてもよい。ここで、「平面部131を有しない」とは、円錐状反射部130の内部が空いていると共に、平面部131が空の円形状、すなわち仮想の円形状に設けられて音波が円錐状反射部130の内部に進むことができる状態を意味する。
【0057】
しかし、円錐状反射部130は、中空閉鎖型に設けられてもよく、
図4bのように、内部が中実のソリッド(solid)からなり、その内部は音波の拡張空間として用いられないようにしてもよい。
【0058】
ここで、「中空閉鎖型に設けられる」とは、円錐状反射部130が円錐状に設けられると共に、内部が空いている形態を意味し、よって、スピーカユニット120から伝播した音波は、円錐状反射部130の内部に伝播せず、円錐状反射部130の外部表面で反射する。また、「ソリッド(solid)からなる」とは、円錐状反射部130の内部が詰まっていることを意味し、よって、スピーカユニット120から伝播した音波は、円錐状反射部130の内部に伝播せず、円錐状反射部130の外部表面で反射する。
【0059】
図5a及び
図5bを参照すると、本発明の第1実施形態による円錐状反射部130の中心軸119は、エンクロージャの上下長手方向と平行であり、平面部131は、エンクロージャの上面部116に隣接するように設けられ、頂点135は、下面部115に隣接するか又は当接するように設けられてもよい。
【0060】
円錐状反射部130は、直方体状に設けられるエンクロージャの長手方向に設けられ、その側面部133がエンクロージャのいずれか一面に接触しないように設けられてもよく、側面部133がエンクロージャのいずれか一面に直接接触するように設けられてもよい。
【0061】
スピーカユニット120が設けられた前面部111のスピーカユニット120の中心から対向する面である背面部113の方向に仮想の線117を引いたとき、仮想の線117と中心軸119が交わるように設けられることが好ましい。しかし、仮想の線117と中心軸119が交わるのではなく、円錐状反射部130が左側面部114又は右側面部112に隣接して配置されることも可能である。
【0062】
図6a及び
図6bを参照すると、本発明の第2実施形態による円錐状反射部140は、半円錐状に設けられてもよい。ここで、半円錐状とは、
図5aに示すような円錐状反射部の半分が切り欠かれた形状をいい、平面部141が半円形状に形成され、側面部143が側面部133の半分に該当する形状に形成されることを意味する。半円錐状に設けられる円錐状反射部140の曲率は、円錐状に設けられる円錐状反射部130の曲率と同一にしてもよく、より小さくしてもよい。
【0063】
円錐状反射部140の中心軸119は、背面部113に当接するように設けられてもよい。
【0064】
円錐状反射部140の中心軸119は、スピーカユニット120が設けられた前面部111に対向する背面部113に設けられ、半円形状に設けられる平面部141は、エンクロージャの上面部116に隣接するように設けられ、頂点145は、前面部111に対向する背面部113に設けられると共に、下面部115に隣接するか又は当接するように設けられてもよい。
【0065】
側面部143は、スピーカユニット120に対向するように配置されてもよい。
【0066】
本発明の第2実施形態においても、仮想の線117と中心軸119が交わるように設けられるが、交わるのではなく、円錐状反射部140が左側面部114又は右側面部112に隣接して配置されることも可能である。
【0067】
図7a及び
図7bを参照すると、本発明の第3実施形態による円錐状反射部150は、1/4円錐状に設けられてもよい。ここで、1/4円錐状とは、
図5aに示すような円錐状反射部の3/4が切り欠かれた形状をいい、平面部151が1/4円形状に形成され、側面部153が側面部133の1/4に該当する形状に形成されることを意味する。
【0068】
円錐状反射部150の中心軸119は、スピーカユニット120が設けられた前面部111に対向する面である背面部113と左側面部114又は右側面部112間の角部に設けられ、頂点155は、角部に設けられると共に、下面部115に隣接するか又は当接するように設けられてもよい。
【0069】
この場合、スピーカユニット120が設けられた前面部111のスピーカユニット120の中心から対向する面である背面部113の方向に仮想の線117を引いたとき、仮想の線117と中心軸119が交わらないように設けられる。
【0070】
図8a及び
図8bを参照すると、本発明の第4実施形態による円錐状反射部160は、頂点166から平面部161間の一部分160’が切り欠かれた(truncated)円錐形状を有し、中心軸119は、スピーカユニット120が設けられた前面部111に対向する面である背面部113に設けられる。
【0071】
本発明の第4実施形態による円錐状反射部160の平面部161は、1/2円形状又は1/2円の一部が切り欠かれた形状に形成されてもよく、また、中心軸119は、スピーカユニット120が設けられた前面部111に対向する面に設けられてもよい。平面部161の両端部165は、左側面部114と右側面部112に当接するように曲線状に設けられてもよい。
【0072】
前記円錐状反射部は、前記エンクロージャの内部に2つ以上設けられてもよい。
【0073】
図9a及び
図9bを参照すると、本発明の第5実施形態による円錐状反射部170、180は、2つの円錐状に設けられてもよい。2つの円錐状反射部の中心軸は、互いに平行にならないように設けられ、
図9a及び
図9bの場合、2つの円錐状反射部の中心軸が直交するように設けられる。
【0074】
円錐状反射部170、180は、第1垂直反射部180と、第1水平反射部170とを含み、円錐状反射部170、180は、支持物(図示せず)に支持されてもよい。
【0075】
第1垂直反射部180は、中心軸がエンクロージャの上下長手方向と平行であり、平面部181は、エンクロージャの上面部116に隣接するように設けられ、頂点185は、下面部115に隣接するか又は当接するように設けられてもよい。
【0076】
第1水平反射部170は、中心軸がスピーカユニット120が設けられた前面部111と対向する背面部113を結ぶ法線と平行であり、平面部171は、スピーカユニット120が設けられた前面部111に隣接するように設けられ、頂点175は、前面部111に対向する背面部113に隣接するか又は当接するように設けられてもよい。
【0077】
本発明の第5実施形態によれば、第1垂直反射部180の側面部183と第1水平反射部170の側面部173とは、当接するように設けられてもよく、スピーカユニット120が設けられた前面部111のスピーカユニット120の中心から対向する面の方向に仮想の線を引いたとき、仮想の線に第1水平反射部170の中心軸が位置しないように設けられてもよい。
【0078】
図10a及び
図10bを参照すると、本発明の第6実施形態による円錐状反射部190、210は、2つの円錐状に設けられてもよい。ここで、円錐状反射部190、210は、半円錐状に設けられ、第2垂直反射部210と、第2水平反射部190とを含む。第2垂直反射部210の中心軸と第2水平反射部190の中心軸とは、直交するように設けられる。
【0079】
第2垂直反射部210は、中心軸がスピーカユニット120が設けられた前面部111に対向する面である背面部113に設けられ、半円形状に設けられる平面部211は、エンクロージャの上面部116に隣接するように設けられ、頂点215は、前面部111に対向する面である背面部113に設けられると共に、下面部115に隣接するか又は当接するように設けられてもよい。
【0080】
第2水平反射部190は、中心軸が上面部116に設けられ、半円形状に設けられる平面部191は、前面部111に隣接するように設けられ、頂点195は、上面部116に設けられると共に、前面部111に対向する面である背面部113に隣接するか又は当接するように設けられる。
【0081】
この場合、スピーカユニット120が設けられた前面部111のスピーカユニット120の中心から対向する面である背面部113の方向に仮想の線を引いたとき、第2垂直反射部210の中心軸と仮想の線は交わり、第2水平反射部190の中心軸と仮想の線は互いに平行になるように配置される。
【0082】
図11a及び
図11bを参照すると、本発明の第7実施形態による円錐状反射部220、230は、半円錐状に1対設けられ、互いに重なるように設けられる。各円錐状反射部のうち、いずれか1つの円錐状反射部220の一部は、一部が切り欠かれた他の1つの円錐状反射部230に挿入され、頂点が存在しないように結合されてもよい。円錐状反射部220、230は、第3垂直反射部220と、第4垂直反射部230とを含む。
【0083】
第3垂直反射部220は、中心軸がスピーカユニット120が設けられた前面部111に対向する面である背面部113に設けられ、半円形状に設けられる平面部221は、エンクロージャの上面部116に隣接するように設けられ、第4垂直反射部230の内部に挿入される頂点225は、前面部111に対向する面である背面部113に設けられると共に、下面部115に隣接するか又は当接するように設けられる。頂点225は、第4垂直反射部230の内部に挿入されるので、省略されてもよい。
【0084】
第4垂直反射部230は、中心軸が第3垂直反射部220と同様に設けられ、平面部231は、エンクロージャの下面部115に隣接するように設けられ、上部の一部が切り欠かれた形態で設けられてもよい。
【0085】
第3垂直反射部220と第4垂直反射部230とは重なるように配置される。すなわち、頂点225を含む第3垂直反射部220の一部227は、第4垂直反射部230の内部に挿入されるように設けられてもよい。第3垂直反射部220の側面部223と第4垂直反射部230の側面部233とは、予め設定された角度で連結されるように設けられる。
【0086】
図12を参照すると、本発明の第8実施形態による円錐状反射部は、複数のサブ反射部240、250からなり、複数の列R1、R2...、Rnをなすように設けられてもよい。各列のサブ反射部は、一定の方向に配置されてもよく、異なる方向に配置されてもよく、また、各列のサブ反射部は、同じ形状と大きさで配置されてもよく、異なる形状と大きさで配置されてもよい。例えば、複数のサブ反射部240が同じ形状と角度で配置された第1列R1と、第1列R1に隣接し、第1列R1と同じ形状と角度で形成された複数のサブ反射部240が配置された列、又は第1列R1とは異なる形状と角度で形成された複数のサブ反射部250が配置された列とが設けられてもよい。
【0087】
各列において、それぞれのサブ反射部240、250は、その一部が隣接するサブ反射部240、250に挿入されるように設けられてもよく、互いに予め設定された間隔で離隔されるように設けられてもよい。
【0088】
図13を参照すると、本発明の第9実施形態による円錐状反射部は、各円錐状反射部は、平面部を中心に結合されて形成され、結合された円錐状反射部は、一部が切り欠かれるか、又はエンクロージャの壁面から離隔された構造を有する。例えば、2つの円錐状反射部260、270が同じ形状に設けられ、対向する平面部を中心として対称に形成され、かつ平面部に隣接する部分の一部が切り欠かれるように設けられてもよい。本実施形態において、2つの円錐状反射部260、270は、互いに正面から対向するように設けられるが、2つの円錐状反射部260、270が予め設定された角度で対向するように形成されることも可能である。
【0089】
本発明によれば、円錐状反射部がエンクロージャの一部として設けられ、スピーカユニットから直接到達する音波やエンクロージャの壁面で反射する2次、3次の反射到達波などを、全て音の進入角度に関係なく様々な角度で拡散反射させることにより、音の共鳴周波数を抑制し、スピーカの音質を向上させる。
【0090】
上述の本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形が可能であることを理解することができる。そのため、以上で記述した実施形態は、すべての面において、例示的であって、限定的ではないものと理解すべきである。例えば、単一型に説明している各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に、分散したものと説明している構成要素も結合した形態で実施されてもよい。
【0091】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりも後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲およびその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0092】
111 前面部
112 右側面部
113 背面部
114 左側面部
115 下面部
116 上面部
120 スピーカユニット
130 円錐状反射部