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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160018
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/16 20060101AFI20221012BHJP
   B62D 21/18 20060101ALI20221012BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B62D25/16 J
B62D21/18 B
B62D49/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056313
(22)【出願日】2021-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴央
(72)【発明者】
【氏名】大木 享
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA23
3D203BC05
3D203DA11
3D203DA15
3D203DB01
(57)【要約】
【課題】フェンダ6の形状を複雑にすることなくタイヤ幅の調整を行うこと。
【解決手段】一実施形態に係る作業車両1において、安全フレーム7は、ベース7Aと、ベース7Aから起立し、左右一対の後輪フェンダ6に締結される左右一対のロアフレーム7Bと、左右一対のロアフレーム7Bの上部を繋ぐ逆U字形状を有するアッパフレーム7Cとを有し、ベース7Aは、後車軸ケース5に取り外し可能に締結され、アッパフレーム7Cの幅方向の長さW2を変更し、ベース7Aの後車軸ケース5への締結位置を変更することで、左右一対の後輪3の間の幅方向の長さW1を変更することを可能とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両であって、
前記作業車両の後方に設けられた運転席と、
左右一対の後輪が装着される左右一対の後車軸と、
前記左右一対の後車軸を支持する左右一対の後車軸ケースと、
前記運転席の左右側方に配設され、前記左右一対の後輪の上方を覆う左右一対の後輪フェンダと、
前記運転席の後方で、前記左右一対の後輪フェンダの間に設けられた安全フレームと、を備え、
前記安全フレームは、
ベースと、
前記ベースから起立し、前記左右一対の後輪フェンダに締結される左右一対のロアフレームと、
前記左右一対のロアフレームの上部を繋ぐ逆U字形状を有するアッパフレームと、を有し、
前記ベースは、前記後車軸ケースに取り外し可能に締結され、
前記アッパフレームの幅方向の長さを変更し、前記ベースの前記後車軸ケースへの締結位置を変更することで、前記左右一対の後輪の間の幅方向の長さを変更することを可能とする、作業車両。
【請求項2】
前記ベースには、前記ベースを前記後車軸ケースに締結する際に用いられ、前記幅方向に並ぶ複数の締結穴が設けられている、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記左右一対の後輪フェンダの間で前記幅方向に沿って延び、前記左右一対の後輪フェンダに締結される棒状の支持部材を更に有し、
前記左右一対の後輪の間の幅方向の長さを変更する際に、前記支持部材の幅方向の長さを変更する、請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記後車軸に取り外し可能に接続されるホイールを更に備え、
前記後輪は、前記ホイールを介して前記後車軸に装着され、
前記左右一対の後輪の間の幅方向の長さを変更する際に、前記ホイールの左右方向を反対にする、請求項1~3のいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右一対の後輪の間の幅方向の長さ(タイヤ幅)を調整することができる作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6534860号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている作業車両では、タイヤ幅を調整するための2枚のフェンダの形状が複雑になるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フェンダの形状を複雑にすることなくタイヤ幅の調整を行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る作業車両は、前記作業車両の後方に設けられた運転席と、左右一対の後輪が装着される左右一対の後車軸と、前記左右一対の後車軸を支持する左右一対の後車軸ケースと、前記運転席の左右側方に配設され、前記左右一対の後輪の上方を覆う左右一対の後輪フェンダと、前記運転席の後方で、前記左右一対の後輪フェンダの間に設けられた安全フレームと、を備え、前記安全フレームは、ベースと、前記ベースから起立し、前記左右一対の後輪フェンダに締結される左右一対のロアフレームと、前記左右一対のロアフレームの上部を繋ぐ逆U字形状を有するアッパフレームと、を有し、前記ベースは、前記後車軸ケースに取り外し可能に締結され、前記アッパフレームの幅方向の長さを変更し、前記ベースの前記後車軸ケースへの締結位置を変更することで、前記左右一対の後輪の間の幅方向の長さを変更することを可能とすることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フェンダの形状を複雑にすることなくタイヤ幅の調整を行うことができる作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る作業車両1の全体構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る作業車両1の後輪3の間の幅方向Wの長さW1を調整する機構の一例について説明するための図である。
図3図3は、図2のA部分の拡大図である。
図4図4は、図2のX-X断面図である。
図5図5は、図4において左右一対の後輪の間の幅方向Wの長さW1を変更したケースの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、図1図5を参照して、本発明の第1実施形態の作業車両1について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る作業車両1の全体構成の一例を示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係る作業車両1の後輪3の間の幅方向Wの長さW1を調整する機構の一例について説明するための図であり、図3は、図2のA部分の拡大図であり、図4は、図2のX-X断面図であり、図5は、図4において左右一対の後輪の間の幅方向Wの長さW1を変更したケースの一例について説明するための図である。
【0012】
本実施形態に係る作業車両1は、トラクタである。ただし、作業車両1は、トラクタに限定されず、コンバインや移植機等の農業機械(農業車両)であってもよいし、ローダ作業機等の建設機械(建設車両)等であってもよい。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る作業車両1は、運転席2と、左右一対の後輪3と、左右一対の後車軸4と、左右一対の後車軸ケース5と、左右一対の後輪フェンダ6と、安全フレーム7とを備えている。
【0014】
図1に示すように、運転席2は、作業車両1の後方(B)に設けられている。運転席1の前方(F)には、ステアリングホイール21が配置されている。運転席1の側方(R、L)には、操作レバー(図示略)が配置されている。また、運転席1の前方(F)には、エンジン(図示略)が搭載されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、左右一対の後輪3は、左右一対の後車軸4に回転可能に装着されている。
【0016】
図2図5に示すように、左右一対の後車軸ケース5は、左右一対の後車軸4を支持する。図2に示すように、左右一対の後輪フェンダ6は、運転席2の左右側方(R、L)に配設され、左右一対の後輪3の上方(U)を覆う。
【0017】
図1図5に示すように、安全フレーム7は、運転席2の後方(B)で、左右一対の後輪フェンダ6の間に設けられている。なお、安全フレームは、「ROPS(Roll-Over Protective Structure)」とも呼ばれる。
【0018】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る作業車両1は、左右一対の後輪フェンダ6の間で幅方向Wに沿って延び、左右一対の後輪フェンダ6に締結される棒状の支持部材8を更に有していてもよい。
【0019】
また、図4及び図5に示すように、本実施形態に係る作業車両1は、後車軸4に取り外し可能に接続されるホイール9を更に備えていてもよい。ここで、図4及び図5に示すように、後輪3は、ホイール9を介して後車軸4に装着されている。
【0020】
図2に示すように、安全フレーム7は、ベース7Aと、左右一対のロアフレーム7Bと、アッパフレーム7Cとを有している。
【0021】
図3に示すように、ベース7Aは、左右一対の後車軸ケース5に取り外し可能に締結されている。
【0022】
ここで、図3図5に示すように、ベース7Aには、ベース7Aを後車軸ケース5に締結する際に用いられ、幅方向Wに並ぶ複数の締結穴70A1、70A2が設けられている。
【0023】
以下、本実施形態において、最も幅方向Wの内側の締結穴70A1を「内側締結穴」とし、最も幅方向Wの外側の締結穴70A2を「外側締結穴」とする(図3図5参照)。
【0024】
なお、本実施形態では、図3図5に示すように、2個の締結穴70A1、70A2が設けられているケースについて説明しているが、本発明は、かかるケースに限定されるものではなく、3個以上の締結穴が設けられているケースにも適用可能である。
【0025】
図3及び図4の例では、ベース7Aは、締結部材(例えば、ボルト等)80を内側締結穴70A1に嵌合させることで、後車軸ケース5に締結されている。なお、ベース7Aは、締結部材(例えば、ボルト等)80を外側締結穴70A2に嵌合させることで、後車軸ケース5に締結されてもよい。
【0026】
図2図5に示すように、左右一対のロアフレーム7Bは、ベース7Aから起立し、左右一対の後輪フェンダ6に締結されている。
【0027】
図2図5に示すように、アッパフレーム7Cは、左右一対のロアフレーム7Bの上部を繋ぐ逆U字形状を有する。
【0028】
ここで、本実施形態に係る作業車両1では、アッパフレーム7Cの幅方向Wの長さW2を変更し、ベース7Aの後車軸ケース5への締結位置を変更することで、左右一対の後輪3の間の幅方向Wの長さ(以下、タイヤ幅)W1を変更することを可能とする。
【0029】
このように、本実施形態に係る作業車両1において、支持部材8が設けられている場合には、タイヤ幅W1を変更する際に、支持部材8の幅方向Wの長さW4についても変更する。
【0030】
例えば、本実施形態に係る作業車両1において、長さの異なるアッパフレーム7C及び支持部材8を用意しておき、現在用いられているアッパフレーム7C及び支持部材8を取り外し、所望のタイヤ幅に対応するアッパフレーム7C及び支持部材8を装着し、所望のタイヤ幅に対応する締結穴締結穴70A1、70A2に締結部材80を嵌合してベース70Aを後車軸ケース5に締結させることで、タイヤ幅W1を変更することができる。
【0031】
なお、本発明は、他の方法で、アッパフレーム7Cの幅方向Wの長さW2及び支持部材8の幅方向Wの長さW4を変更するケースにも適用可能である。
【0032】
以下、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る作業車両1においてタイヤ幅を変更する場合の一例について説明する。
【0033】
図4の例では、本実施形態に係る作業車両1において、ベース7Aは、締結部材80を内側締結穴70A1に嵌合することで、後車軸ケース5に締結されている。
【0034】
図4の例では、タイヤ幅は、W1であり、アッパフレーム7Cの幅方向Wの長さは、W2であり、後車軸4の幅方向Wの長さは、W3であり、支持部材8の幅方向Wの長さは、W4である。
【0035】
図4の例では、ホイール9は、後輪3の突起部90の幅方向Wの外側に接続されている。
【0036】
ここで、本実施形態に係る作業車両1において、タイヤ幅を狭めたい場合には、図5に示すように、図4のように、ホイール9の左右方向(R/L)を反対にし、現在用いられているアッパフレーム7C及び支持部材8を取り外し、狭めるタイヤ幅に対応するアッパフレーム7C及び支持部材8を装着し、外側締結穴70A2に締結部材80を嵌合してベース70Aを後車軸ケース5に締結させる。
【0037】
その結果、図5の例では、タイヤ幅は、W11に変わり、アッパフレーム7Cの幅方向Wの長さは、W21に変わり、支持部材8の幅方向Wの長さは、W41に変わる。しかしながら、後車軸4の幅方向Wの長さは、W3のままで変わらない。
【0038】
この際、図5に示すように、ホイール9は、後輪3の突起部90の幅方向Wの内側に接続される。その結果、後輪3は、幅方向Wの内側に移動し、タイヤ幅が狭まることになる。
【0039】
なお、本実施形態に係る作業車両1において、以下の式が成立する。
【0040】
min2-Wmin1 = W5×2
ここで、「Wmin2」は、内側締結穴70A1に締結部材80を嵌合してベース70Aを後車軸ケース5に締結させ取り付けた際の、取り付け可能なタイヤが取り得るタイヤ幅の最小値であり(本実施形態では、W1)、「Wmin1」は、外側締結穴70A2に締結部材80を嵌合してベース70Aを後車軸ケース5に締結させ取り付けた際の、取り付け可能なタイヤが取り得るタイヤ幅の最小値であり(本実施形態では、W11)、「W5」は、内側締結穴70A1と外側締結穴70A2との間の幅方向Wの長さである。
【0041】
すなわち、W1=Wmin2である場合、締結部材80を内側締結穴70A1から外側締結穴70A2に変えることによって狭めることができるタイヤ幅は、W5×2以下の範囲内である。
【0042】
以下、本実施形態に係る作業車両1によって奏される効果について述べる。
【0043】
本実施形態に係る作業車両1は、作業車両1の後方(B)に設けられた運転席2と、左右一対の後輪3が装着される左右一対の後車軸4と、左右一対の後車軸4を支持する左右一対の後車軸ケース5と、運転席2の左右側方(R、L)に配設され、左右一対の後輪3の上方(U)を覆う左右一対の後輪フェンダ6と、運転席2の後方(B)で、左右一対の後輪フェンダ6の間に設けられた安全フレーム7と、を備え、安全フレーム7は、ベース7Aと、ベース7Aから起立し、左右一対の後輪フェンダ6に締結される左右一対のロアフレーム7Bと、左右一対のロアフレーム7Bの上部を繋ぐ逆U字形状を有するアッパフレーム7Cと、を有し、ベース7Aは、後車軸ケース5に取り外し可能に締結され、アッパフレーム7Cの幅方向Wの長さW2を変更し、ベース7Aの後車軸ケース5への締結位置を変更することで、左右一対の後輪3の間の幅方向Wの長さW1を変更することを可能とする。
【0044】
かかる構成によれば、後輪フェンダ6の形状を複雑にすることなくタイヤ幅の調整を行うことができる。また、かかる構成によれば、安全フレーム7(ロアフレーム7B)と後輪フェンダ6とを締結したまま、タイヤ幅を調整することができるため、作業工数を低減することができる。
【0045】
本実施形態に係る作業車両1において、ベース7Aには、ベース7Aを後車軸ケース5に締結する際に用いられ、幅方向Wに並ぶ複数の締結穴70A1、70A2が設けられていてもよい。
【0046】
かかる構成によれば、締結部材80を嵌合する締結穴締結穴70A1、70A2を変更することで、容易にベース7Aの後車軸ケース5への締結位置を変更することができる。
【0047】
本実施形態に係る作業車両1において、左右一対の後輪フェンダ6の間で幅方向Wに沿って延び、左右一対の後輪フェンダ6に締結される棒状の支持部材8を更に有し、タイヤ幅を変更する際に、支持部材8の幅方向Wの長さW4を変更してもよい。
【0048】
かかる構成によれば、後輪フェンダ6の幅方向Wの強度を向上させるための支持部材8が設けられている作業車両1であっても、タイヤ幅の調整を行うことができる。
【0049】
本実施形態に係る作業車両1において、後車軸4に取り外し可能に接続されるホイール9を更に備え、後輪3は、ホイール9を介して後車軸4に装着され、タイヤ幅を変更する際に、ホイール9の左右方向を反対にしてもよい。
【0050】
かかる構成によれば、同一のホイール9を用いて、タイヤ幅の調整を行うことができる。
【0051】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1…作業車両
2…運転席
3…後輪
4…後車軸
5…後車軸ケース
6…後輪フェンダ
7…安全フレーム
7A…ベース
7B…ロアフレーム
7C…アッパフレーム
70A1、70A2…締結穴
8…支持部材
80…締結部材
9…ホイール
W…幅方向
W1…左右一対の後輪の間の幅方向の長さ
W2…アッパフレームの幅方向の長さ
W3…後車軸の幅方向の長さ
W4…支持部材の幅方向の長さ
図1
図2
図3
図4
図5