(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160022
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】シャントレギュレータ
(51)【国際特許分類】
G05F 1/613 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
G05F1/613 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064500
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 勉
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB02
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF02
5H430FF12
5H430GG01
5H430HH03
(57)【要約】
【課題】動作時に大きな電流が流れる回路を備えていても、通常動作時の消費電流を小さくすることが可能なシャントレギュレータを提供する。
【解決手段】出力端子と接地端子の間に接続されるコンデンサ112と、出力端子と接地端子の間に接続される分圧回路及び出力トランジスタ15と、分圧回路の出力端子FBの電圧と基準電圧Vrefに基づいて出力トランジスタ15を制御するエラーアンプ12と、不揮発性メモリ16と、不揮発性メモリ16にデータの読み出し信号Vcntを出力するメモリ制御回路17と、出力端子の電圧が不揮発性メモリ16のデータ読出し動作を許可する所定の電圧になったことを検出してメモリ制御回路17に検出信号Vdetを出力する電圧検出回路20を備え、不揮発性メモリ16の動作電流はコンデンサ112から供給されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外付け抵抗を介して電源端子に接続される出力端子と、
前記出力端子と接地端子の間に接続されるコンデンサと、
前記出力端子と前記接地端子の間に直列に接続される分圧回路と、
前記出力端子と前記接地端子の間に接続された出力トランジスタと、
第一の基準電圧を出力する第一の基準電圧回路と、
前記分圧回路の出力端子の電圧と前記第一の基準電圧に基づいて前記出力トランジスタを制御するエラーアンプと、
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリにデータの読み出し信号を出力するメモリ制御回路と、
前記出力端子の電圧が前記不揮発性メモリのデータ読出し動作を許可する所定の電圧になったことを検出して前記メモリ制御回路に検出信号を出力する電圧検出回路と、を備え
前記不揮発性メモリの動作電流は前記コンデンサから供給されることを特徴とするシャントレギュレータ。
【請求項2】
前記電圧検出回路は、
前記出力端子と前記接地端子の間に直列に接続される第二の分圧回路と、
第二の基準電圧を出力する第二の基準電圧回路と、
前記第二の分圧回路の出力端子の電圧と前記第二の基準電圧に基づいて前記検出信号を出力する第一のコンパレータと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項3】
前記電圧検出回路は、
前記出力端子と前記接地端子の間に直列に接続される第二の分圧回路と、
一方の端子が前記出力端子に接続された定電流回路と、
前記第二の分圧回路の出力端子がゲートに接続され、前記定電流回路の他方の端子がドレインに接続され、接地端子がソースに接続されたNMOSトランジスタと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項4】
前記電圧検出回路は、
前記出力端子と前記接地端子の間に直列に接続される第二の分圧回路と、
第二の基準電圧を出力する第二の基準電圧回路と、
前記第二の分圧回路の出力端子の電圧と前記第二の基準電圧に基づいて上限検出信号を出力する第一のコンパレータと、
第三の基準電圧を出力する第三の基準電圧回路と、
前記第二の分圧回路の出力端子の電圧と前記第三の基準電圧に基づいて下限検出信号を出力する第二のコンパレータと、を備え
前記上限検出信号及び前記下限検出信号に基づいて前記検出信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項5】
前記電圧検出回路は、
前記出力端子と前記接地端子の間に直列に接続される第二の分圧回路と、
第二の基準電圧を出力する第二の基準電圧回路と、
前記第二の分圧回路の第一の出力端子の電圧と前記第二の基準電圧に基づいて上限検出信号を出力する第一のコンパレータと、
前記第二の分圧回路の第二の出力端子の電圧と前記第二の基準電圧に基づいて下限検出信号を出力する第二のコンパレータと、を備え
前記上限検出信号及び前記下限検出信号に基づいて前記検出信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項6】
前記電圧検出回路は、
前記上限検出信号がセット端子に入力され、前記下限検出信号がリセット端子に入力され、出力端子から前記検出信号を出力するラッチ回路を備えた
ことを特徴とする請求項4または5に記載のシャントレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャントレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のシャントレギュレータを示す回路図である。
図5のシャントレギュレータは、基準電圧回路101と、エラーアンプ102と、NMOSトランジスタ103と、分圧抵抗R1、R2を備えている。
【0003】
シャントレギュレータは、電源電圧Vinが入力されると、外付け抵抗110に電流が流れることによって発生した出力電圧Voutで負荷111を駆動する。抵抗値Rの外付け抵抗110に流れる電流をIr、負荷111に流れる電流をIo、シャントレギュレータICに流れる電流をIcとすると、出力電圧Voutは以下の式で表される。
Vout=Vin-Ir/R=Vin-(Io+Ic)/R
【0004】
シャントレギュレータは、NMOSトランジスタ103が電流Icを調整して所望の出力電圧Voutを得る。即ち、シャントレギュレータは、Ir=Io+Icであるため、シャントレギュレータICに流れる電流Icを見込んで電流Irを決定する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のシャントレギュレータは、動作時に大きな電流が流れる回路(例えば不揮発性メモリ)を備えている場合、その回路の動作電流も見込んで電流Irを決定する必要があるため、その回路が動作していないときにNMOSトランジスタ103がその分の電流を流す必要がある。従って、従来のシャントレギュレータは、その回路が動作していない通常動作時に大きな電流が無駄に流れる、という課題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて為され、動作時に大きな電流が流れる回路を備えていても、通常動作時の消費電流を小さくすることが出来るシャントレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のシャントレギュレータは、外付け抵抗を介して電源端子に接続される出力端子と、前記出力端子と接地端子の間に接続されるコンデンサと、前記出力端子と前記接地端子の間に直列に接続される分圧回路と、前記出力端子と前記接地端子の間に接続された出力トランジスタと、第一の基準電圧を出力する第一の基準電圧回路と、前記分圧回路の出力端子の電圧と前記第一の基準電圧に基づいて前記出力トランジスタを制御するエラーアンプと、不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリにデータの読み出し信号を出力するメモリ制御回路と、前記出力端子の電圧が前記不揮発性メモリのデータ読出し動作を許可する所定の電圧になったことを検出して前記メモリ制御回路に検出信号を出力する電圧検出回路と、を備え前記不揮発性メモリの動作電流は前記コンデンサから供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシャントレギュレータによれば、出力端子にコンデンサを設け、出力電圧を検出する電圧検出回路を備えたので、動作時に大きな電流が流れる回路を備えていても、通常動作時の消費電流を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のシャントレギュレータを示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の電圧検出回路の一例を示す回路図である。
【
図3】本実施形態の電圧検出回路の他の例を示す回路図である。
【
図4】本実施形態の電圧検出回路の他の例を示す回路図である。
【
図5】従来のシャントレギュレータを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のシャントレギュレータについて、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のシャントレギュレータ100を示すブロック図である。
シャントレギュレータ100は、例として、データ読み出し時に大きな電流が流れる不揮発性メモリを備えている。そして、外付け抵抗の流す電流は、不揮発性メモリの動作電流を考慮しない量に設定している。
【0013】
図1のシャントレギュレータ100は、基準電圧回路11と、エラーアンプ12と、分圧回路を構成する抵抗13及び14と、出力トランジスタであるNMOSトランジスタ15と、不揮発性メモリ16と、メモリ制御回路17と、電圧検出回路20と、外付け抵抗110及びコンデンサ112を備えている。
【0014】
抵抗13及び14は、出力端子と接地端子の間に直列に接続されている。エラーアンプ12は、反転入力端子-に基準電圧回路11の出力端子が接続され、非反転入力端子+に分圧回路の出力端子FB(抵抗13と抵抗14の接続点)が接続され、出力端子がNMOSトランジスタ15のゲートに接続されている。電圧検出回路20は、入力端子がシャントレギュレータ100の出力端子に接続され、出力端子がメモリ制御回路17の入力端子に接続されている。メモリ制御回路17の出力端子は、不揮発性メモリ16の入力端子に接続されている。不揮発性メモリ16の出力端子は、例えば、分圧回路の制御端子や基準電圧回路11の制御端子に接続されている。コンデンサ112は、シャントレギュレータ100の出力端子と接地端子の間に接続されている。外付け抵抗110は、電源電圧Vinが入力される電源端子とシャントレギュレータ100の出力端子の間に接続されている。負荷111は、シャントレギュレータ100の出力端子と接地端子の間に接続されている。
【0015】
不揮発性メモリ16は、シャントレギュレータ100の回路パラメータのデータ、例えば基準電圧回路11や分圧回路の調整用データが格納されている。不揮発性メモリ16は、データの読出しが可能な電圧の範囲があるため、読出し最低電圧以下で読み出したデータは保証されない。メモリ制御回路17は、電圧検出回路20の信号Vdetに応じて、不揮発性メモリ16のデータを読み出す制御信号Vcntを出力する。電圧検出回路20は、シャントレギュレータ100の出力電圧Voutが不揮発性メモリ16の動作を許可する所定の電圧になったことを検出して、信号Vdetを出力する。
【0016】
図2は、本実施形態の電圧検出回路20の一例を示す回路図である。
電圧検出回路20は、分圧回路を構成する抵抗21及び22と、基準電圧回路23と、コンパレータ24を備えている。
【0017】
抵抗21及び22は、出力端子と接地端子の間に接続される。コンパレータ24は、非反転入力端子+に分圧回路の出力端子FB2(抵抗21及び22の接続点)が接続され、反転入力端子-に基準電圧回路23の出力端子が接続され、出力端子から検出信号Vdetを出力する。
【0018】
上述のように構成されたシャントレギュレータ100は、以下のように動作する。
電源電圧Vinが入力されると、外付け抵抗110に電流が流れて出力端子に出力電圧Voutを出力する。出力電圧Voutは、出力端子に接続された容量112に電荷が充電されることによって徐々に上昇する。従って、電圧検出回路20の分圧回路の出力端子FB2の電圧も徐々に上昇する。コンパレータ24は、非反転入力端子+に入力される出力端子FB2の電圧が基準電圧回路23の基準電圧Vref1以上になるとHiレベルの検出信号Vdetを出力する。
【0019】
メモリ制御回路17は、入力端子に電圧検出回路20の出力端子からHiレベルの検出信号Vdetが入力されるとラッチして、出力端子から不揮発性メモリ16の入力端子にHiレベルの制御信号Vcntを出力する。不揮発性メモリ16は、Hiレベルの制御信号Vcntが入力されると、データの読み出しを開始する。
【0020】
不揮発性メモリ16のデータ読み出し動作には大きな電流を必要とするが、その電流はコンデンサ112に蓄積された電荷から供給される。このため、コンデンサ112の電圧、即ち出力端子の電圧Voutは、不揮発性メモリ16のデータ読み出し動作によって徐々に低下する。ここで、基準電圧Vref1は、不揮発性メモリ16のデータ読み出し動作が終了するまで電圧Voutが読出し最低電圧を下回らない電圧に設定されている。そして、不揮発性メモリ16のデータ読み出し動作が終了すると、コンデンサ112の電圧と共に出力端子の電圧Voutは徐々に上昇して、通常の動作状態に移行する。また、メモリ制御回路17は、電圧検出回路20の検出信号Vdetのラッチを解除して、再度検出信号Vdetを受けても、制御信号Vcntを出力しないように構成される。
【0021】
以上説明したように、本実施形態のシャントレギュレータ100は、電圧検出回路20が出力端子の電圧Voutが不揮発性メモリ16のデータ読み出し動作に必要な電圧に達したことを検出して、データ読み出し動作に必要な電流をコンデンサ112が供給する構成としたため、通常動作時の消費電流を小さくすることが出来る。
【0022】
図3は、本実施形態の電圧検出回路20の他の例を示す回路図である。
電圧検出回路20は、分圧回路を構成する抵抗21及び22と、上限電圧検出回路を構成する基準電圧回路23及びコンパレータ24と、下限電圧検出回路を構成する基準電圧回路25及びコンパレータ26と、SRラッチ回路27を備えている。
【0023】
抵抗21及び22は、出力端子と接地端子の間に接続される。コンパレータ24は、非反転入力端子+に分圧回路の出力端子FB2(抵抗21及び22の接続点)が接続され、反転入力端子-に基準電圧回路23の出力端子が接続され、出力端子から上限検出信号を出力する。コンパレータ26は、反転入力端子-に分圧回路の出力端子FB2(抵抗21及び22の接続点)が接続され、非反転入力端子+に基準電圧回路25の出力端子が接続され、出力端子から下限検出信号を出力する。SRラッチ回路27は、セット端子Sにコンパレータ24の出力端子が接続され、リセット端子Rにコンパレータ26の出力端子が接続され、出力端子Qから検出信号Vdetを出力する。
【0024】
上述のように構成されたシャントレギュレータ100は、以下のように動作する。
電源電圧Vinが入力されると、外付け抵抗110に電流が流れて出力端子に出力電圧Voutを出力する。出力電圧Voutは、出力端子に接続された容量112に電荷が充電されることよって徐々に上昇する。従って、電圧検出回路20の分圧回路の出力端子FB2の電圧も徐々に上昇する。コンパレータ24は、非反転入力端子+に入力される出力端子FB2の電圧が基準電圧回路23の基準電圧Vref1以上になるとHiレベルの上限検出信号を出力する。
【0025】
SRラッチ回路27は、セット端子SにHiレベルの上限検出信号が入力されると出力端子QからHiレベルの検出信号Vdetを出力する。メモリ制御回路17は、入力端子に電圧検出回路20の出力端子からHiレベルの検出信号Vdetが入力されると、出力端子から不揮発性メモリ16の入力端子にHiレベルの制御信号Vcntを出力する。不揮発性メモリ16は、Hiレベルの制御信号Vcntが入力されると、データの読み出しを開始する。
【0026】
図3の電圧検出回路20は、コンパレータ26と基準電圧回路25を備えている。基準電圧回路25は、出力端子の電圧Voutが不揮発性メモリ16の読出し最低電圧を下回らない電圧に設定されている。従って、コンパレータ26は、分圧回路の出力端子FB2の電圧が基準電圧Vref2を下回ると、出力端子からHiレベルの下限検出信号を出力する。
【0027】
SRラッチ回路27は、リセット端子RにHiレベルの下限検出信号が入力されると出力端子QからLoレベルの検出信号Vdetを出力する。メモリ制御回路17は、入力端子に電圧検出回路20の出力端子からLoレベルの検出信号Vdetが入力されると、不揮発性メモリ16へのHiレベルの制御信号Vcntの出力を停止する。従って、不揮発性メモリ16は、データの読み出しを停止する。ここで、メモリ制御回路17は、
図3の電圧検出回路20が下限検出信号に基づいてLoレベルの検出信号Vdetを出力するため、ラッチする機能は備えなくて良い。
【0028】
データの読み出しを停止すると出力端子の電圧Voutが上昇し、コンパレータ24は、非反転入力端子+に入力される出力端子FB2の電圧が基準電圧回路23の基準電圧Vref1以上になるとHiレベルの上限検出信号を出力する。従って、不揮発性メモリ16は、データの読み出しを再開する。
【0029】
図3の電圧検出回路20は、上記した動作を繰り返すことによって、出力端子の電圧Voutが不揮発性メモリ16の読出し最低電圧を下回らない電圧範囲において読出し動作をすることが可能になる。従って、
図3の電圧検出回路20を備えたシャントレギュレータ100は、不揮発性メモリ16の読出し動作中の出力端子の電圧Voutの変動など予期せぬ状態にも対応することが可能である。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、
図2に示した電圧検出回路20は、
図4に示すような定電流回路28とNMOSトランジスタ29で構成した電流比較回路で構成しても良い。この回路は、
図3に示した電圧検出回路20にも適用することが出来る。また例えば、
図3に示した電圧検出回路20は、SRラッチ回路に上限検出信号と下限検出信号を出力出来れば良いため、基準電圧回路を共通にして、分圧回路の出力端子を2つ設けて構成しても良い。また、機能を満足すればSRラッチ回路に限定されない。また例えば、電圧検出回路20の上限検出信号と下限検出信号は、Hiレベルが検出信号と説明したが、論理は自由に設計することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
11、23、25 基準電圧回路
12 エラーアンプ
13、14、21、22 抵抗
15、29 NMOSトランジスタ
16 不揮発性メモリ
17 メモリ制御回路
20 電圧検出回路
24、26 コンパレータ
27 SRラッチ回路
28 定電流回路
100 シャントレギュレータ
110 外付け抵抗
111 負荷
112 コンデンサ