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  • 特開-車両用床表示フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160027
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】車両用床表示フィルム
(51)【国際特許分類】
   G09F 21/04 20060101AFI20221012BHJP
   G09F 19/22 20060101ALI20221012BHJP
   B61D 17/10 20060101ALI20221012BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G09F21/04 S
G09F19/22 H
B61D17/10
B32B15/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064511
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 一馬
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB10E
4F100AK01A
4F100AK01D
4F100AK15A
4F100AK15D
4F100AK15E
4F100AK42D
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CB00B
4F100CB00E
4F100EC18
4F100GB31
4F100HB00C
4F100HB31
4F100JD14E
4F100JJ07
4F100JK06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】印刷するフィルムにあらかじめコロナ処理及びメジューム処理などを行く必要がなく、安価に製造することができると共に、鉄道車両に求められる難燃性に優れた車両用床表示フィルムを提供することが目的である。
【解決手段】本発明の車両用床表示フィルム1は、第1フィルム層2と、第1粘着樹脂層3と、印刷層4と、第2フィルム層5と、第2粘着樹脂層6と、アルミフィルム層7と、第3粘着樹脂層8と、を備え、前記第1フィルム層2を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、前記第2フィルム層5の表面側にインク受容層が設けられている、又は、前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、前記第2フィルム層5は白色であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルム層と、
該第1フィルム層の下面側に第1粘着樹脂層と、
該第1粘着樹脂層の下面側に印刷層と、
該印刷層の下面側に第2フィルム層と、
該第2フィルム層の下面側に第2粘着樹脂層と、
該第2粘着樹脂層の下面側にアルミフィルム層と、
該アルミフィルム層の下面側に第3粘着樹脂層と、を備え、
前記第1フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、
前記第2フィルム層を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、前記第2フィルム層の表面側にインク受容層が設けられている、
又は、前記第2フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、
前記第2フィルム層は白色であることを特徴とする車両用床表示フィルム。
【請求項2】
前記インク受容層を構成する樹脂はポリ塩化ビニルである請求項1に記載の車両用床表示フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道、バス等の床表示フィルムとして好適に用いられる車両用床表示フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道、バス等の車両の床材としては、難燃性、耐摩耗性、耐熱性に優れることから、可塑剤を多量に含有せしめた塩化ビニル樹脂(PVC)からなる床材が多く採用されている。
【0003】
しかしながら、PVC製床材は、燃焼時において多量の発煙と共に塩化水素等の有害ガスを発生することから、火災時において避難者が有害ガスを吸入してしまう防災上の問題、また焼却廃棄処理によって環境汚染をもたらすという問題がある。また、PVC製床材は、可塑剤を多量に含有しているので、特有の臭気があるし、このような可塑剤による臭気はシックハウス症候群の原因の1つとも言われている。また、長年の使用により可塑剤が揮発減量し床材としての柔軟性が低下するという問題や、長年の使用により可塑剤が表面にブリードしてきて曇りを生じやすく外観体裁が悪くなるという問題もあり、PVC材料に代えて、燃焼時に有害ガスの発生が少ないオレフィン系床材が開発されている。
【0004】
なお、出願人は特許文献1を出願しており、表面フィルム層と、該表面フィルム層の下面側に印刷層と、該印刷層の下面側に中間粘着樹脂層と、該中間粘着樹脂層の下面側にアルミフィルム層と、該アルミフィルム層の下面側に裏面粘着樹脂層を備え、前記表面フィルム層は、ポリウレタン系樹脂を含み、前記表面フィルム層は、エンボス加工された凹凸表面を有すると共に、カットオフ値を0.8mmとした際の前記凹凸表面の凹凸の平均間隔RSmが200μm~600μmであり、前記凹凸表面の算術平均粗さRaが0.5μm~2.0μmであり、前記凹凸表面の十点平均粗さRzが2μm~10μmであることを特徴とする車両用床面表示フィルムが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、鉄道車両の床面に必要とされる難燃性や耐久性を確保するために、表面フィルム層の種類が限定的になってしまう問題があった。
【0006】
また、表面フィルムにインクジェットプリントをする際、表面フィルムとインクとの密着性を確保するために、表面フィルムのインクジェットプリントする面にあらかじめコロナ処理及びメジューム処理を要するため、コストに改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-74628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、印刷するフィルムにあらかじめコロナ処理及びメジューム処理などを行う必要がなく、安価に製造することができると共に、鉄道車両に求められる難燃性に優れた車両用床表示フィルムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1] 第1フィルム層と、
該第1フィルム層の下面側に第1粘着樹脂層と、
該第1粘着樹脂層の下面側に印刷層と、
該印刷層の下面側に第2フィルム層と、
該第2フィルム層の下面側に第2粘着樹脂層と、
該第2粘着樹脂層の下面側にアルミフィルム層と、
該アルミフィルム層の下面側に第3粘着樹脂層と、を備え、
前記第1フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、
前記第2フィルム層を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、前記第2フィルム層の表面側にインク受容層が設けられている、又は、前記第2フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、
前記第2フィルム層は白色であることを特徴とする車両用床表示フィルム。
【0011】
[2] 前記インク受容層を構成する樹脂はポリ塩化ビニルである前項1に記載の車両用床表示フィルム。
【発明の効果】
【0012】
[1]の発明では、 第1フィルム層と、第1フィルム層の下面側に第1粘着樹脂層と、第1粘着樹脂層の下面側に印刷層と、印刷層の下面側に第2フィルム層と、第2フィルム層の下面側に第2粘着樹脂層と、第2粘着樹脂層の下面側にアルミフィルム層と、アルミフィルム層の下面側に第3粘着樹脂層と、を備え、第1フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであるから、鉄道車両に求められる難燃性を得ることができる。また、第2フィルム層を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、第2フィルム層の表面側にインク受容層が設けられている、又は、第2フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、第2フィルム層は白色であるから、あらかじめ印刷するフィルムにコロナ処理及びメジューム処理などを行う必要がなく、安価に製造することができると共に、第2フィルム層に対して白打ち加工を省くことができる。
【0013】
[2]の発明では、インク受容層を構成する樹脂はポリ塩化ビニルであるから、第2フィルム層の表面側に印刷加工しても、インクとの密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る車両用床表示フィルムの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る車両用床表示フィルムの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の車両用床表示フィルム1は、第1フィルム層2と、該第1フィルム層2の下面側に第1粘着樹脂層3と、該第1粘着樹脂層3の下面側に印刷層4と、該印刷層4の下面側に第2フィルム層5と、
該第2フィルム層5の下面側に第2粘着樹脂層6と、該第2粘着樹脂層6の下面側にアルミフィルム層7と、該アルミフィルム層7の下面側に第3粘着樹脂層8と、を備え、前記第1フィルム層2を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、前記第2フィルム層5の表面側にインク受容層が設けられている、又は、前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリ塩化ビニルであり、前記第2フィルム層5は白色であることを特徴とする。本発明は全部で7層の積層体から構成されており、順番どおり積層させる必要がある。
【0016】
前記第1フィルム層2が最も最表面に積層させる必要がある。
【0017】
前記第1フィルム層2を構成する樹脂がポリ塩化ビニルである必要がある。前記第1フィルム層2を構成する樹脂をポリ塩化ビニルにすることで、難燃性を付与することができる。
【0018】
前記第1フィルム層2の厚さは、150μm~300μmであることが好ましい。150μm以上であることで車両用床表示フィルムとして必要とされる摩耗性を確保することができ、300μm以下であることで、製品状態に成った際の屈曲性を確保し施工性を良くすることができる。中でも170μm~230μmであることがより好ましい。
【0019】
前記第1フィルム層2には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、熱安定剤、難燃剤、耐候剤、着色剤、帯電防止剤、充填剤等の各種添加剤を適宜含有せしめてもよい。
【0020】
前記第1粘着樹脂層3は、前記第1フィルム層2の下面側に積層させる必要がある。
【0021】
前記第1粘着樹脂層3を構成する樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。中でもアクリル酸エステル共重合体を用いることが、粘着力が強く、また凝集力も強いのでより好ましい。
【0022】
前記印刷層4は、前記第1粘着樹脂層3の下面側に積層され、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、転写印刷、インクジェット印刷、ラテックス、ソルベント系のインクジェット印刷等の印刷手法によって形成されるものである。中でもスクリーン印刷を用いることがより好ましい。
【0023】
前記印刷層4を構成する印刷インキとしては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂に、顔料、染料、着色剤、充填剤等が添加混合されたもの等を例示できる。通常、溶剤などで希釈化されているものを用いる。
【0024】
前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、前記第2フィルム層5の表面側にインク受容層が設けられている必要がある、又は、前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリ塩化ビニルである必要がある。前記第2フィルム層5を構成する樹脂をポリエチレンテレフタレートにすることで、ラテックス、ソルベント系のインクジェットインクと高相性なインクの受容層と高い密着性を確保することができる。第2フィルム層5を構成する樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、かつ、インク受容層が設けられていることで、第2フィルムの表面側にあらかじめコロナ処理及びメジューム処理などを行う必要がなくなり、ラテックス、ソルベント系のインクジェット印刷を低コストで印刷が可能となる。前記第2フィルム層5を構成する樹脂がポリ塩化ビニルである場合は、インク受容層がなくても、第2フィルムの表面側にあらかじめコロナ処理及びメジューム処理などを行う必要もなく、ラテックス、ソルベント系のインクジェット印刷を低コストで印刷が可能となる。
【0025】
前記インク受容層を構成する樹脂はポリ塩化ビニルであることが好ましい。ポリ塩化ビニルを用いることで、第2フィルム層5の表面側に印刷加工しても、印刷層4と第2フィルム層5との密着性を向上させることができる。
【0026】
前記第2フィルム層5の色としては白色である必要がある。第2フィルム層5の色が白色であると、第2フィルムに白打ち加工をしなくても良い。
【0027】
前記第2フィルム層5の厚さは、100μm~300μmであることが好ましい。100μm以上であることで、インクジェットプリンターで印刷することができ、300μm以下であることで、製品状態になった際の屈曲性を確保することができる。中でも175μm~225μmであることがより好ましい。
【0028】
前記第2フィルム層5には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、熱安定剤、難燃剤、耐候剤、着色剤、帯電防止剤、充填剤等の各種添加剤を適宜含有せしめてもよい。
【0029】
前記第2粘着樹脂層6は、前記第2フィルム層5の下面側に積層させる必要がある。
【0030】
前記第2粘着樹脂層6を構成する樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。中でもアクリル系樹脂を用いることが、粘着力が強く、また凝集力も強いのでより好ましい。
【0031】
前記第2粘着樹脂層6の塗布量(乾燥後)としては、35g/m~150g/mであることが好ましい。
【0032】
前記アルミフィルム層7としては、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミ箔、アルミシートであることが好ましい。この場合、車両の施工床面の細かな凹凸への追従性が向上すると共に、かつ、鉄道車両に求められる燃焼性にも優れることができる。
【0033】
前記アルミフィルム層7の厚さとしては、35μm~75μmであることが好ましい。この範囲にあることで、強度を有すると共に、施工床面の細かな凹凸への追従性を向上させることができる。
【0034】
前記第3粘着樹脂層8は、前記アルミフィルム層7の下面側に積層させる必要がある。
【0035】
前記第3粘着樹脂層8を構成する樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。中でもアクリル系樹脂を用いることが、粘着力が強く、また凝集力も強いのでより好ましい。
【0036】
前記第3粘着樹脂層8の塗布量(乾燥後)としては、35g/m~150g/mであることが好ましい。
【0037】
本発明の車両用床表示フィルム1の厚さは、特に限定されないものではないが、360μm~650μmに設定されるのが好ましい。360μm以上であることで車両床に必要とされる強度を確保することができ、650μm以下であることで、施工の際に必要となる屈曲性を確保することができる。中でも440μm~550μmであることがより好ましい。
【0038】
本発明に係る車両用床表示フィルム1の製造方法としては、特に限定されず、例えば、カレンダー加工機、押出加工機等の公知の装置やホットラミネート加工機等の公知の積層技術を用いて積層することにより製造することができる。また、その積層順序も特に限定されない。
【0039】
このように、車両用床表示フィルム1は、意匠性の付与、誘導情報、利用区分情報、広告、宣伝等の情報を表示することができるので、乗客に効果的に伝えることができる。
【実施例0040】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
表面側にインク受容層(ポリ塩化ビニルで構成)がある第2フィルム(材質:ポリエチレンテレフタレート、厚み:200μm、色:白色)を準備した。次に、第2フィルムの表面側(インク受容層側)にソルベントタイプのインクジェット印刷機で印刷を実施し、硬化用ヒーターを用いてインクを硬化させて、印刷層を形成した。次に、あらかじめ準備した第1フィルム(材質:ポリ塩化ビニル、厚み:180μm)の下面側に第1粘着樹脂層を貼り付けた。次に、第1粘着樹脂層の下面側と印刷層の上面側とを貼り合わせた。次に、アルミフィルム層(厚み0.1mm)の上面に第2粘着樹脂層を貼り合わせ、アルミフィルム層の下面に第3粘着樹脂層を貼り合わせた。次に、第2フィルムの下面側と第2粘着樹脂層の上面側とを貼り合わせて、図1に示す車両用床表示フィルム1を得た。
【0042】
<実施例2>
第1フィルム層の厚みを180μmから280μmに、第2フィルム層の厚みを200μmから130μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、車両用床表示フィルム1を得た。
【0043】
<実施例3>
第2フィルム層の表面側にインク受容層があるPETフィルムからインク受容層のないポリ塩化ビニルフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして、車両用床表示フィルム1を得た。
【0044】
<比較例1>
第1フィルム層をPVCフィルムからPETフィルム(厚み200μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、車両用床表示フィルムを得た。
【0045】
<比較例2>
第2フィルム層の表面側にインク受容層があるPETフィルムから第2フィルム層の表面側にインク受容層がないPET(厚み225μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、車両用床表示フィルムを得た。
【0046】
<比較例3>
第2フィルム層の表面側にインク受容層(PVC)があるPETフィルムから、PPフィルム(厚み175μm)にコロナ処理及びメジューム処理を行い、PPフィルムの表面側にインク受容層(PVC)を設けたフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして、車両用床表示フィルムを得た。
【0047】
<比較例4>
第2フィルム層の色を白色から透明に変更した以外は、実施例1と同様にして、車両用床表示フィルムを得た。
【0048】
上記のようにして得られた各車両用床表示フィルムに対して、下記評価方法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
【0049】
<表1>
【0050】
<コロナ処理及びメジューム処理の有無評価法>
第2フィルム層の表面側にインク受容層があるか、第2フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニル樹脂であれば、コロナ処理及びメジューム処理が必要なしと判断。第2フィルム層を構成する樹脂がポリ塩化ビニル樹脂ではない場合、第2フィルム層の表面側にインク受容層がなければ、コロナ処理及びメジューム処理が必要ありと判断し、必要なしを合格、必要ありを不合格とした。
【0051】
<難燃性評価法>
各車両用床表示フィルムを「鉄道車両用材料の燃焼試験及び規格」(一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会)に準じた試験方法(45度傾斜、アルコール燃焼試験)により、燃焼判定基準の区分が「難燃性」であるものを「○」とし、同「緩燃性」または「可燃性」であるものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0052】
<印刷層と第2フィルム層との密着性評価法(クロスカット法)>
印刷層と第2フィルムの密着性を、JIS K 5600-5-6:1999に準拠して評価した。評価サンプルは印刷層と第2フィルムのみを積層したサンプルで実施した。印刷層を形成した第2フィルム層の印刷面に対し、等間隔スペーサーをあて、単一切込み工具に一定の圧力を加え、一定の切込み率で印刷層に既定の数の切込みを入れた。格子パターンが形成できるように、それらに対して90°で最初の切込みに重ね、さらに等しい数だけ平行に切込みを行った。なお、切り込みの間隔は2mmで評価した。幅25mmの透明感圧粘着テープを各カットの1組に平行な方向で格子の上に貼り付け十分に圧着した後、60°で引きはがし、印刷層の剥離状態を評価する。クロスカット部分での剥がれが15%未満を「○」とし、15%以上を「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0053】
<めくれ性評価法>
車両用床表示フィルムを、JIS L 0849-2013の学振型摩耗試験機を利用し、荷重500gfの金属爪を用いて、前記金属爪が車用要床表示フィルム周辺部の立面に当たるようにセットし、金属爪を100往復(往復速度30回/分)繰り返した後の端部剥離状態を目視で判定した。剥離が認められなかったものを「○」、剥離が認められたものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0054】
<加工性評価法>
印刷工程において、デザイン印刷前に白打ち印刷が不要となるものを「〇」、必要となるものを「×」とした。
【0055】
本発明の実施例1~3の車両用床表示フィルム1は、インク受容層があるPETフィルム、又はインク受容層のないPVCフィルムを用いているので、印刷するフィルムにあらかじめコロナ処理及びメジューム処理などを行く必要がなく、安価に製造することができると共に、難燃性、インク密着性、耐めくれ性、加工性に優れていた。比較例1の車両用床表示フィルムは難燃性が劣っていた。比較例2の車両用床表示フィルムは、コロナ処理及びメジューム処理を行う必要があり、インク密着性、耐めくれ性に劣っていた。比較例3の車両用床表示フィルムはコロナ処理及びメジューム処理を行う必要があり、耐めくれ性に劣っていた。比較例4の車両用床表示フィルムは、第2フィルム層の色が透明、デザイン印刷前に白打ち印刷が必要となるため、加工性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る車両用床表示フィルムは、例えば、鉄道、バス、船舶、等の床表示フィルム等として好適である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・車両用床表示フィルム
2・・・第1フィルム層
3・・・第1粘着樹脂層
4・・・印刷層
5・・・第2フィルム層
6・・・第2粘着樹脂層
7・・・アルミフィルム層
8・・・第3粘着樹脂層
図1