(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160044
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】車両のスピーカ装置及び部屋のスピーカ装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221012BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H04R1/02 101B
B60R11/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064543
(22)【出願日】2021-04-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】597152870
【氏名又は名称】有限会社サワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】佐脇 史郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敬守
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BC06
3D020BD03
3D020BD05
5D017AD16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両のインナパネルとアウタパネルの間や映像機器内部又は厚みが小さい建物の壁空間内に埋め込み可能、かつ、取り付けやすく、低音効果の増強が得られるスピーカー装置を提供する。
【解決手段】スピーカ装置100は、スピーカユニットと、スピーカユニット1を嵌め込む嵌込孔と、ポート52とが横並びに設けられたエンクロージャと、を備える。エンクロージャは、スピーカユニット及びポートが上面側に形成された略円柱箱体53と、エンクロージャの上面視において略円柱箱体からポート側に突き出した略円柱形状のポートハウジング54とを有する。エンクロージャの上面視において、ポートハウジングは略円柱箱体よりも小さい略円柱形である。ポートハウジングの内部には、蛇行状の経路が形成されており、振動板12の背面から発生した音は、略円柱箱体の内部を経由してポートハウジングの内部の蛇行状の経路を通ってポートへと伝達される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、
前記スピーカユニットが嵌め込まれる嵌込孔と、低音を発するポートと、が横並びに設けられたエンクロージャと、を備えたスピーカ装置であって、
前記エンクロージャは、前記スピーカユニット及び前記ポートが上面側に形成された略円柱箱体と、前記エンクロージャの上面視において前記略円柱箱体から前記ポート側に突き出した略円柱形状のポートハウジングとで構成され、
前記スピーカユニットで発せられた音声が前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングの内部を経由して前記ポートに伝わるように前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングが一体接続され、
前記エンクロージャの上面視において、前記ポートハウジングは前記略円柱箱体よりも小さい略円柱形であることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
前記ポートハウジングは、その内部に蛇行状の経路が形成されている請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記ポートは、前記エンクロージャの上面視における前記略円柱箱体と前記ポートハウジングとの重なり部分に位置している請求項1又は2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記ポートハウジングの厚みは、前記略円柱箱体の厚みよりも薄い請求項1~3のいずれか一項に記載のスピーカ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のスピーカ装置が、車両のアウタパネルとインナパネルとの間に配置されるとともに、前記スピーカユニット及び前記ポートを車両の車室側に露出させて前記インナパネルに埋設されたことを特徴とする車両のスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるバスレフ型のスピーカ装置及びこのスピーカ装置を用いた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカ装置は、電気信号を物理信号に変えて音楽や音声などを生み出す機械であり、一般に、磁石、コイル及び振動板を有するスピーカユニットと、スピーカユニットが組み込まれる箱型のエンクロージャと、からなる。
【0003】
従来のスピーカ装置は、箱型のエンクロージャにスピーカユニットが組み込まれるので、エンクロージャが存在する容積が必須となる。このため、車両の内装部材、映像機器、建物の壁等に埋め込む場合のようにスピーカ装置の小型化が要求される用途に対応できなかった。
【0004】
上記小型化のニーズを満たす発明が特許文献1に開示されている。
図9は、従来(特許文献1)の密閉型スピーカ装置を示す縦断面図である。特許文献1には、
図9に示すように、有底筒状であって、図示上方に隆起する隆起部104aを備える底面部104を有するフレーム102の隆起部104aにスピーカユニット110を載置し、スピーカユニット110の振動板112の上端部112aを、エッジ114を介してフレーム102の側壁部106の上端106aに固定したスピーカ装置100を開示する。なお、フレーム102は、振動板112の背部に密閉室を画成するエンクロージャとして機能する。すなわち、スピーカ装置100は密閉型スピーカである。
【0005】
特許文献1のスピーカ装置100によれば、箱型のエンクロージャの代わりに底面部104の一部が隆起するフレーム102を採用したことでスピーカ装置の小型化を実現することができる。
【0006】
しかしながら、スピーカの小型化のニーズは、密閉型スピーカだけに限られず、エンクロージャの前面又は背面に貫通孔(ポート)を設ける、いわゆるバスレフ型のスピーカにおいても同様に求められている。バスレフ型のスピーカは、スピーカユニットの背後から出る音を利用して低音を増強することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のスピーカ装置によれば、スピーカ装置全体として小型化が実現できるものの、密閉型スピーカであることから低音を増強することができない。また、バスレフ型のスピーカ装置を単に特許文献1と同様に小型化したのでは、振動板から貫通孔までの経路長を十分に長くとることができず、低音の増強効果が得られなかった。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、低音の増強効果を確保しつつ小型化を実現できるバスレフ型のスピーカ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、スピーカ装置の低音を増強するためには、スピーカユニットからポートまでの経路長を長くすることが必須であるものの、経路長を長くするほどスピーカ装置全体が大型化してしまうため、車両用のスピーカとしては不適切な構造となってしまうというジレンマに直面した。
【0011】
本発明者らは、上記ジレンマを打破する構造について鋭意検討したところ、従来のスピーカ装置そのものを大型化するのではなく、スピーカ装置に並列に付属した別体でポートハウジングを設け、当該ポートハウジングを経由させることで経路長を確保することにより、スピーカ装置そのものを大型化することなく、スピーカユニットからポートまでの経路長を確保することができることを見出し、以下の本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明のスピーカ装置は、スピーカユニットと、前記スピーカユニットが嵌め込まれる嵌込孔と、低音を発するポートと、が横並びに設けられたエンクロージャと、を備えたものであって、前記エンクロージャは、前記スピーカユニット及び前記ポートが上面側に形成された略円柱箱体と、前記エンクロージャの上面視において前記略円柱箱体から前記ポート側に突き出した略円柱形状のポートハウジングとで構成され、前記スピーカユニットで発せられた音声が前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングの内部を経由して前記ポートに伝わるように前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングが一体接続され、前記エンクロージャの上面視において、前記ポートハウジングは前記略円柱箱体よりも小さい略円柱形であることを特徴とする。
【0013】
上記ポートハウジングは、その内部に蛇行状の経路が形成されていることが好ましい。
【0014】
上記ポートは、前記エンクロージャの上面視における前記略円柱箱体と前記ポートハウジングとの重なり部分に位置していることが好ましい。
【0015】
上記ポートハウジングの厚みは、前記略円柱箱体の厚みよりも薄いことが好ましい。
【0016】
上記スピーカ装置を車両に適用する場合、車両のアウタパネルとインナパネルとの間に上記スピーカ装置が配置されるとともに、スピーカユニット及びポートを車両の車室側に露出させてインナパネルに埋設される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スピーカユニットが取り付けられる略円柱箱体と並列にポートハウジングが設けられているので、略円柱箱体そのものは小型を維持しつつ、ポートハウジングによりスピーカユニットで発生した音声がポートに至るまでの経路長を確保することができ、低音の増強効果を確保することができる。しかも、ポートハウジングが略円柱箱体よりも一回り小さくされているため取り付けやすいという利点がある。これにより、バスレフ型スピーカ装置の略円柱箱体の大きさを大型化することなく、音が伝達する経路の長さを大きくとることができ、低音の増強効果を確保することができる。
【0018】
したがって、低音効果の増強及び小型化を維持しながら取り付けやすいスピーカ装置を提供することができる。これにより車両のインナパネルとアウタパネルの間や映像機器内部あるいは建物の壁等の厚みが小さい空間内に埋め込み可能であって且つ取り付けやすく、良好な音質を確保し得るスピーカ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のスピーカ装置を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図1のスピーカ装置の略円柱箱体の背面側の斜視図である。
【
図6】本発明のスピーカ装置を車両のインナパネルに取り付けた場合の設置例である。
【
図7A】本発明のスピーカ装置を自動車内の前座席の下側のインナパネルに取り付ける前のインナパネルを示す写真である。
【
図8A】本発明のスピーカ装置を自動車内の前座席の下側のインナパネルに取り付けた後のインナパネルを示す写真である。
【
図9】従来(特許文献1)の密閉型スピーカ装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について図面を参照しつつ実施形態を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
【0021】
[スピーカ装置]
図1は本実施の形態に係るスピーカ装置100を模式的に示す斜視図であり、
図2は、
図1のスピーカ装置100の上面図であり、
図3は、
図2のA-A線断面図であり、
図4は、
図1のスピーカ装置100の背面図である。本実施形態のスピーカ装置100は、
図1乃至
図4に示すように、スピーカユニット10と、エンクロージャ50とを有している。
【0022】
[スピーカユニット]
スピーカユニット10は、エンクロージャ50の上面側にある嵌込孔51に嵌め込まれており、振動板12、ボイルコイルロビン13、ボイスコイル14、環状のダンパ15、環状のエッジ16及び磁石17を有している。振動板12は、大径の開口部から軸線B(
図3参照)に沿って内部に進むにつれて縮径している略コーン状の立体的形状を有する。
【0023】
振動板12の内側端部にはボイスコイルボビン13の頭部が嵌入固定されており、ボイスコイルボビン13の基部側にボイスコイル14が巻回されている。そして、振動板12-ボイスコイルボビン13の結合体は、環状のダンパ15及び環状のエッジ16によって揺動可能に支持されており、振動板12-ボイスコイルボビン13が振動することにより音声が発せられる。ボイスコイル14は、
図3に示すように、車室外方側に移行した位置においてボイスコイルボビン13を介して振動板12に固定されている。ボイスコイル14は、円筒状の磁石17の内部に非接触状態で挿入されている。
【0024】
[エンクロージャ]
エンクロージャ50は、スピーカユニット10を車両のインナパネル(内装部材)に取り付けるためのものであり、略円柱箱体53と、扁平な円柱状のポートハウジング54とが組み合わせて構成されている。
図2に示すように、エンクロージャ50は、
図2の上面視において、略円柱箱体53の外形で形成される円と、ポートハウジング54の外形で形成される円との2つの円形が組み合わさった形状であり、この円形の重なり部分にくびれが形成されている。このようにくびれが形成されていることで、エンクロージャ50が持ちやすく、スピーカ装置100を取り扱いやすくなるという利点がある。
【0025】
エンクロージャ50の上面視において、略円柱箱体53の中心とポートハウジング54の中心との距離は、略円柱箱体53で形成される外周円の半径と、ポートハウジング54で形成される外周円の半径との和よりも短くされている。このように略円柱箱体53とポートハウジング54を配置することにより、エンクロージャ50の上面視において、略円柱箱体53及びポートハウジング54に重なり部分ができる。
【0026】
図1及び
図2の上面視で示す通り、エンクロージャ50の上面視において、2つの円が組み合わさった形状となっており、ポートハウジング54の外形で形成される円の方が略円柱箱体53の外形で形成される円の方がよりも僅かに小さくなっている。また、
図3のスピーカ装置の側面視において、ポートハウジング54の厚みは、略円柱箱体53の厚みよりも薄くされている。このようなポートハウジング54の形状及び厚みとすることにより、本発明のスピーカ装置100をインタパネルに取り付ける際に、ポートハウジング54をインナパネルとアウタパネルの間に配置しやすくなる。
【0027】
エンクロージャ50の上面視において、略円柱箱体53の外形からポートハウジング54がポート側に突き出した形状とされており、略円柱箱体53とポートハウジング54との重なり部分の略円柱箱体53の上面にポート52が形成されている。このような位置にポート52が配置されることにより、スピーカユニット10から発せられた音をポートハウジング54によって最大限増強することができ、ポート52から発せられる音声の特に中低音の増強効果を高めることができる。
【0028】
[略円柱箱体]
略円柱箱体53は、扁平な円柱形状であり、その上面にスピーカユニット10を嵌め込む嵌込孔51とポート52とがそれぞれ横並びで設けられている。嵌込孔51にスピーカユニット10を嵌め込むことで、スピーカユニット10から発せられる音が車外に漏洩することを防止することができる。ポート52は、上面が楕円形状で内側に延びる筒形であり、このポート52を通じてスピーカユニット10から発せられる音声のうちの特に低音を増強する役割を果たすものである。
【0029】
図5は、略円柱箱体53の背面側の斜視図である。略円柱箱体53の背面側は、
図5に示すように、略三角柱状に盛り上がった三角柱形53aが形成されている。この三角柱形53aが略円柱箱体53の背面側に形成されることにより、略円柱箱体53の内部容量を高めることができ、スピーカユニット10で生じた音声が車外に漏れず、ドアガラス側に逃がすことができる。
【0030】
本発明のスピーカ装置100は、車両のインナパネル(内装部材)に開口を設けて埋め込まれるが、略円柱箱体53によってスピーカユニット10が保護され、車外の騒音が車内に侵入することを排除しているので、スピーカユニット10の音質が低下することなく、スピーカ装置全体としての音質を向上させることができる。
【0031】
[ポートハウジング]
ポートハウジング54は、
図2及び
図3に示す通り、略円柱箱体53と比べて一回り小さい扁平な円柱形状であり、略円柱箱体53とポートハウジング54は互いに内部が連通している。
図3及び
図4中の矢印は、スピーカユニット10で発生した音がポート52に至るまでの経路を示している。
図3及び
図4の矢印に示すように、スピーカユニット10で発生した音は、略円柱箱体53の内部を通じてポートハウジング54の内部に侵入し、ポートハウジング54からポート52を通じて車室に放出される。
【0032】
このようにスピーカユニット10で発生した音が、直ちにポート52に流れるのではなく、ポートハウジング54を経由してポートに流れることで、略円柱箱体53内で生じた中低音域の音声に共鳴を起こすことができ、スピーカユニット10で発生された音のうちの中低音域の音声の増幅及び補強を行うことができる。
【0033】
しかも、ポートハウジング54の内部には、
図4に示すように、蛇行状の経路が形成されている。これにより、振動板12の背面から発生した音は、略円柱箱体53の内部を経由してポートハウジング54の内部の蛇行状の経路を通ってポート52へと伝達されるので、スピーカユニット10からポート52へ向かう経路において、蛇音が移動する経路が曲折し、振動板12からポート52までの経路長を最大化することができ、いわゆるバスレフ型スピーカの低音の増強効果を最大化することができる。
【0034】
本実施形態のようにポートハウジング54を設けることで、略円柱箱体53は大型化することなく、略円柱箱体53とは並列に設けられたポートハウジング54によりスピーカユニット10からポート52までの長さを確保することができるという利点がある。これにより、本発明のスピーカ装置100は厚み自体コンパクトでありながら低音の増強効果に優れるという利点がある。
【0035】
ポートハウジング54の上面及び背面は、
図1、
図2及び
図4に示される通り、上下交互の段差状のスリット加工54a(
図2)が施されている。このようなラティス形状が形成されていることにより、ポートハウジング54の剛性を高めるとともにポートハウジング54の内部での音の鳴きを抑制することができる。
【0036】
[エレメントサポート]
本実施形態において、略円柱箱体53の上面の外周には、エレメントサポート60が設けられていてもよい。略円柱箱体53の上面の外周にエレメントサポート60が設けられることにより、本発明のスピーカ装置100と車両用のインナパネルとの密着性を向上することができ、スピーカユニット10からの音声を周囲に拡散することを防止し、スピーカユニット10からの音声を効果的にスピーカグリルに伝達することができる。
【0037】
本実施形態のスピーカ装置100によれば、車両のフロントドアのアウタパネル(外装部材)とインナパネル(内装部材)の間の、奥行が十分に取れないスペースにスピーカ装置100が配置された場合であっても、スピーカユニット10からポート52までの経路長を大きくとることができるので、低音増強効果が損なわれないという利点がある。また、ポートハウジング54がアウタパネルとインナパネルの間に配置されるので、アウタパネルとインナパネルの間のデッドスペースを有効活用できるという利点もある。しかも、ポートハウジング54の外形が略円柱箱体53よりも小さくなっているので、ポートハウジングをアウタパネルとインナパネルの間に配置しやすい。これらの効果が相俟って、本発明のスピーカ装置は、低音効果の増強及び小型化のニーズの双方を満たし、かつ取り付けやすいという優れた性質を示す。
【0038】
本発明のスピーカ装置100を車両のインナパネルに取り付ける場合を例に挙げて具体的に説明する。
【0039】
[カースピーカ装置]
図6は、本発明のスピーカ装置を車両のインナパネルに取り付けた場合の設置例であり、
図7A及び
図8Aはそれぞれ、本発明のスピーカ装置を車内の前座席の下側のインナパネルに取り付ける前後のインナパネルを示す写真であり、
図7B及び
図8Bはそれぞれ、
図7A及び
図8AのB-B線断面図である。なお、
図7及び
図8において、インナパネル2より車室5側に設けられるドアトリムは省略している。
【0040】
図6では、本発明のスピーカ装置100が車両1の前座席の下側のインナパネル及び後ろ座席の上側のインナパネルにそれぞれ取り付けられている。
図6に示すように、車両1の車室5と車外7とは車室5側からインナパネル2及びアウタパネル3の2枚の合板によって隔離されている。
【0041】
本発明のスピーカ装置100は、
図8Bに示すように、スピーカユニット10の振動板12及びポート52を車室5に露出させた状態で、インナパネル2の開口2aにスピーカ装置100を嵌め込む。このとき、スピーカ装置100の略円柱箱体53及びポートハウジング54は、インナパネル2とアウタパネル3との間の空間6に配置される。
【0042】
図7Aのインナパネル2の開口2aに対し、本発明のスピーカ装置100を取り付ける際に、ポートハウジング54が略円柱箱体53よりも外形が小さくかつ厚みが薄くされているので、ポートハウジング54を開口2aに通過させやすいという利点がある。そして、本発明のスピーカ装置100をインナパネル2の開口2aに取り付けた状態で、ポートハウジング54がインナパネル2とアウタパネル3の間に隠れるので、外観上は従来と変わらず、また略円柱箱体53を大型化することもなく、スピーカユニット10からポート52までの経路長を十分に確保できるので、低音増強効果を得ることができる。
【0043】
本発明のスピーカ装置100は、ポートハウジング54が略円柱箱体53に比べて一回り小さい形状であるため、ポートハウジング54をインナパネル2とアウタパネル3の間に配置させながら、車両のインナパネル2に取り付けやすく、かつポートハウジング54によってスピーカユニット10からポート52までの経路長を十分に確保することができるので、低音増強効果を得ることができる。
【0044】
上記の実施形態においては、本発明のスピーカ装置100をカースピーカに用いる場合を説明したが、このような使用形態のみに限られず、電車、バス、部屋、飛行機、船などのあらゆる空間に適宜使用することができる。
【0045】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
100 スピーカ装置
2 インナパネル
2a 開口
3 アウタパネル
5 車室
6 インナパネルとアウタパネルの間の空間
7 車外
10 スピーカユニット
12 振動板
13 ボイスコイルボビン
14 ボイスコイル
15 環状のダンパ
16 環状のエッジ
17 円筒状の磁石
50 エンクロージャ
51 嵌込孔
52 ポート
53 略円柱箱体
53a 三角柱形
54 ポートハウジング
60 エレメントサポート
【手続補正書】
【提出日】2021-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、
前記スピーカユニットが嵌め込まれる嵌込孔と、低音を発するポートと、が横並びに設けられたエンクロージャと、を備えた車両のスピーカ装置であって、
前記エンクロージャは、前記スピーカユニット及び前記ポートが上面側に形成された略円柱箱体と、前記エンクロージャの上面視において前記略円柱箱体から前記ポート側に突き出した略円柱形状のポートハウジングとで構成され、
前記スピーカユニットで発せられた音声が前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングの内部を経由して前記ポートに伝わるように前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングが一体接続され、
前記エンクロージャの上面視において、前記ポートハウジングは前記略円柱箱体よりも小さい略円柱形であり、
前記ポートハウジングは、前記車両のアウタパネルとインナパネルとの間に配置され、前記スピーカユニット及び前記ポートを車両の車室側に露出させて前記インナパネルに埋設されたことを特徴とする車両のスピーカ装置。
【請求項2】
前記ポートハウジングは、その内部に蛇行状の経路が形成されている請求項1に記載の車両のスピーカ装置。
【請求項3】
前記ポートは、前記エンクロージャの上面視における前記略円柱箱体と前記ポートハウジングとの重なり部分に位置している請求項1又は2に記載の車両のスピーカ装置。
【請求項4】
前記ポートハウジングの厚みは、前記略円柱箱体の厚みよりも薄い請求項1~3のいずれか一項に記載の車両のスピーカ装置。
【請求項5】
スピーカユニットと、
前記スピーカユニットが嵌め込まれる嵌込孔と、低音を発するポートと、が横並びに設けられたエンクロージャと、を備えた部屋のスピーカ装置であって、
前記エンクロージャは、前記スピーカユニット及び前記ポートが上面側に形成された略円柱箱体と、前記エンクロージャの上面視において前記略円柱箱体から前記ポート側に突き出した略円柱形状のポートハウジングとで構成され、
前記スピーカユニットで発せられた音声が前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングの内部を経由して前記ポートに伝わるように前記略円柱箱体及び前記ポートハウジングが一体接続され、
前記エンクロージャの上面視において、前記ポートハウジングは前記略円柱箱体よりも小さい略円柱形であり、
前記ポートハウジングは、前記部屋のアウタパネルとインナパネルとの間に配置され、前記スピーカユニット及び前記ポートを部屋の室内側に露出させて前記インナパネルに埋設されたことを特徴とする部屋のスピーカ装置。