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特開2022-160056杭打機用軌陸台車及びそれを用いた杭打機搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160056
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】杭打機用軌陸台車及びそれを用いた杭打機搬送方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/00 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
E02D7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064563
(22)【出願日】2021-04-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000151999
【氏名又は名称】株式会社藤井組
(71)【出願人】
【識別番号】595018916
【氏名又は名称】株式会社シロタ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】森 致光
(72)【発明者】
【氏名】増山 昌崇
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050EE11
(57)【要約】
【課題】杭打機を杭打設場所まで簡単容易にしかも安価に搬送するこができる杭打機用軌陸台車を提供する。
【解決手段】複数線が並列する軌道K上を走行可能な前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)と、
前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)間に連結され、杭打機(3)を載置可能な載置台25と、
前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)の何れか一方を少なくとも駆動可能なモータM)と、を有している。そして、前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)は、それぞれ軸部(第1軸部12、第2軸部14)によって連結されており、
前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)の何れか一方に連結されている軸部(第1軸部12、第2軸部14)側には、杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)同士を連結可能な連結バーRが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数線が並列する軌道上を走行可能な前後一対の車輪と、
前記前後一対の車輪間に連結され、杭打機を載置可能な載置部と、
前記前後一対の車輪の何れか一方を少なくとも駆動可能な駆動手段と、を有してなる杭打機用軌陸台車。
【請求項2】
前記前後一対の車輪は、それぞれ軸部によって連結されており、
前記前後一対の車輪の何れか一方に連結されている前記軸部側には、杭打機用軌陸台車同士を連結可能な連結部が設けられてなる請求項1に記載の杭打機用軌陸台車。
【請求項3】
所定箇所に杭打機用軌陸台車を吊り上げ可能な吊輪が設けられてなる請求項1又は2に記載の杭打機用軌陸台車。
【請求項4】
杭打機をジャッキアップさせた後、請求項1~3の何れか1項に記載の杭打機用軌陸台車を前記軌道上で走行させることにより、該杭打機の下部に該杭打機用軌陸台車を潜り込ませる工程と、
前記杭打機の下部に前記杭打機用軌陸台車を潜り込ませた後、該杭打機用軌陸台車の走行を停止させると共に、前記杭打機のジャッキアップを解除させながら、該杭打機を前記杭打機用軌陸台車の載置部に載置する工程と、を含んでなる杭打機搬送方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機用軌陸台車及びそれを用いた杭打機搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の杭打機として、特許文献1に記載のような自走式の杭打機が知られている。この種の杭打機は、不整地に杭を打設する際に用いられるものであり、鉄道の軌道近傍に杭を打設する際にも用いられる。
【0003】
ところで、上記のような杭打機を用いて、鉄道の軌道近傍に杭を打設するにあたっては、杭打設場所まで、当該杭打機を自走させる必要があることから、軌道上に木製覆工を事前に設置する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-200910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、軌道上に木製覆工を設置するにあたっては、レールの内外全てに木製覆工を設置しなければならないことから、作業が非常に煩雑であるばかりか、作業費用が非常に高価となるといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、杭打機を杭打設場所まで簡単容易にしかも安価に搬送するこができる杭打機用軌陸台車及びそれを用いた杭打機搬送方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明によれば、複数線が並列する軌道(K)上を走行可能な前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)と、
前記前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)間に連結され、杭打機(3)を載置可能な載置部(載置台25)と、
前記前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)の何れか一方を少なくとも駆動可能な駆動手段(モータM)と、を有してなることを特徴としている。
【0009】
一方、請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の杭打機用軌陸台車(1)において、前記前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)は、それぞれ軸部(第1軸部12、第2軸部14)によって連結されており、
前記前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)の何れか一方に連結されている前記軸部(第1軸部12、第2軸部14)側には、杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)同士を連結可能な連結部(連結バーR)が設けられてなることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の杭打機用軌陸台車(1)において、所定箇所に杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)を吊り上げ可能な吊輪(W)が設けられてなることを特徴としている。
【0011】
また一方、請求項4の発明に係る杭打機搬送方法によれば、杭打機(3)をジャッキアップさせた後(図4(a)参照)、上記請求項1~3の何れか1項に記載の杭打機用軌陸台車(1)を前記軌道(K)上で走行させることにより、該杭打機(3)の下部に該杭打機用軌陸台車(1)を潜り込ませる工程(図4(b)参照)と、
前記杭打機(3)の下部に前記杭打機用軌陸台車(1)を潜り込ませた後、該杭打機用軌陸台車(1)の走行を停止させると共に、前記杭打機(3)のジャッキアップを解除させながら、該杭打機(3)を前記杭打機用軌陸台車(1)の載置部(載置台25)に載置する工程(図5(a)参照)と、を含んでなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、杭打機(3)を載置可能な載置部(載置台25)を有し、その載置部(載置台25)が、前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)間に連結されており、そして、その前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)の何れか一方が駆動手段(モータM)にて駆動されることにより、前後一対の車輪(前車輪10、後車輪11)が軌道(K)上を走行できることとなる。それゆえ、杭打機(3)を杭打機用軌陸台車(1)によって、杭打設場所まで移動させることができることとなる。
【0014】
しかして、本発明によれば、杭打機(3)を杭打設場所まで移動させるにあたって、軌道(K)上を走行できる杭打機用軌陸台車(1)を用いて移動させることができるから、従来のように、軌道(K)上に木製覆工を設置する必要がなくなり、もって、杭打機(3)を杭打設場所まで簡単容易にしかも安価に搬送するこができることとなる。
【0015】
また、請求項2に係る発明によれば、杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)同士を連結部(連結バーR)によって連結可能であるから、杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)を分離することが可能となる。それゆえ、杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)の重量を減らせることができるため、クレーン等を用いて軌道(K)上に杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)を搬入することが可能となる。それゆえ、搬入作業が容易となる。
【0016】
さらに、請求項3に係る発明によれば、所定箇所に杭打機用軌陸台車(第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1B)を吊り上げ可能な吊輪(W)が設けられているから、クレーン等の吊支ワイヤを引っ掛けるための別部材をわざわざ用意する必要がなくなり、もって、搬入作業がより容易となる。
【0017】
一方、請求項4に係る発明によれば、杭打機(3)をジャッキアップさせた後(図4(a)参照)、上記請求項1~3の何れか1項に記載の杭打機用軌陸台車(1)を軌道(K)上で走行させることにより、該杭打機(3)の下部に該杭打機用軌陸台車(1)を潜り込ませるようにしている。そして、杭打機(3)の下部に杭打機用軌陸台車(1)を潜り込ませた後、該杭打機用軌陸台車(1)の走行を停止させると共に、杭打機(3)のジャッキアップを解除させながら、該杭打機(3)を前記杭打機用軌陸台車(1)の載置部(載置台25)に載置するようにしている。これにより、杭打機(3)を杭打機用軌陸台車(1)の載置部(載置台25)に簡単容易に載置させることができることとなるから、搬送作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る杭打機用軌陸台車に杭打機を載置した状態を示す正面図である。
図2】同実施形態に係る杭打機用軌陸台車の平面図である。
図3図2に示すX-X線断面矢視図である。
図4】(a)は同実施形態に係る杭打機を、軌道上でジャッキアップした状態を示す正面図、(b)は同実施形態に係る杭打機の下部に同実施形態に係る杭打機用軌陸台車を潜り込ませた状態を示す正面図である。
図5】(a)は同実施形態に係る杭打機を杭打機用軌陸台車に載置している状態を示す正面図、(b)は(a)に示す状態から同実施形態に係る杭打機のアウトリガーを収縮させた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る杭打機用軌陸台車の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る杭打機用軌陸台車1は、従来周知の構成からなる杭打機3を載置した状態で、複数線が並列する軌道Kを走行可能なものである。より詳しく説明すると、図1に示すように、杭打機用軌陸台車1は、第1杭打機用軌陸台車1Aと、第2杭打機用軌陸台車1Bと、で構成されている。以下、この第1杭打機用軌陸台車1A及び第2杭打機用軌陸台車1Bについて、詳しく説明することとする。なお、第1杭打機用軌陸台車1A及び第2杭打機用軌陸台車1Bは同一の構成からなることから、以下では、第1杭打機用軌陸台車1Aのみを詳細に説明し、第2杭打機用軌陸台車1Bに関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することとする。
【0021】
第1杭打機用軌陸台車1Aは、図2に示すように、図示左側に位置する一対の前車輪10と、図示右側に位置する一対の後車輪11と、を有している。この一対の前車輪10は、アイドラーシャフト等にて形成される第1軸部12によって、回転可能に連結されている。そして、この第1軸部12は、図2に示すように、平面視矩形状の第1カバー部13によって回転可能に保持されている。
【0022】
一方、一対の後車輪11は、図2及び図3に示すように、アイドラーシャフト等にて形成される第2軸部14によって、回転可能に連結されている。そして、第2軸部14には、図3に示すように、ギヤキー15を介して、第1ギヤ16が相対回転不能に取り付けられており、この第1ギヤ16には、第1ギヤ16と同形の第2ギヤ17が噛み合わさっている。この第2ギヤ17は、図3に示すように、軸受18を介してアイドラーギアシャフト等にて形成される回転軸部19に相対回転不能に取り付けられている。そしてこの第2ギヤ17には、第2ギヤ17と同形の第3ギヤ20が噛み合わさっている。この第3ギヤ20は、油圧で駆動する油圧モータ等からなるモータMの軸部Maに相対回転不能に取り付けられている。これにより、モータMが回転すると、モータMの軸部Maも回転し、これに伴い、第3ギヤ20が回転することとなる。そして、第3ギヤ20が回転すると、第3ギヤ20と噛み合っている第2ギヤ17も回転し、さらに、第2ギヤ17と噛み合っている第1ギヤ16も回転することとなる。これにより、ギヤキー15を介して、第1ギヤ16が相対回転不能に取り付けられている第2軸部14が回転することとなるから、第2軸部14に回転可能に連結されている一対の後車輪11が回転することとなる。
【0023】
ところで、上記のような第2軸部14、ギヤキー15、第1ギヤ16、第2ギヤ17、軸受18、回転軸部19、第3ギヤ20、モータMの軸部Maは、上記説明した機能が阻害されないように、図2に示すように、平面視矩形状の第2カバー部21及び第3カバー部22にて保持されている。
【0024】
一方、第1カバー部13には、図2に示すように、一側面13a(図示右側)に平面視矩形状の第1連結部23がボルト等によって連結されている。そして、第2カバー部21及び第3カバー部22には、図2に示すように、一側面21a,22a(図示左側)に平面視矩形状の第2連結部24がボルト等によって連結されている。
【0025】
しかして、このような第1連結部23と、第2連結部24との間には、図1及び図2に示すように、平面視矩形状の載置台25が設けられている。この載置台25は、第1連結部23及び第2連結部24にボルト等によって連結されており、図1に示すように、杭打機3のクローラ30を載置できるようになっている。なお、この載置台25は、図1及び図2に示すように、軽量化のために所定箇所に複数の孔25aが貫通して設けられている。
【0026】
かくして、このように構成される第1杭打機用軌陸台車1Aは、上記説明したように、第1カバー部13、第2カバー部21、第3カバー部22、第1連結部23、第2連結部24、載置台25が一体的に連結されているから、モータMの回転に伴い、一対の後車輪11が回転し、軌道Kに沿って、図2に示す左右方向に移動しようとすると、一対の前車輪10も回転し、もって、第1杭打機用軌陸台車1Aが、軌道Kに沿って、図2に示す左右方向に移動することとなる。それゆえ、一対の前車輪10を回転させるにあたっては、一対の後車輪11をモータMの回転に伴い回転させれば十分であるから、本実施形態においては、一対の前車輪10を回転させるにあたって、モータMを不要としている。
【0027】
一方、第2杭打機用軌陸台車1Bは、上記のように構成される第1杭打機用軌陸台車1Aと同一の構成によって構成されることとなる。すなわち、第2杭打機用軌陸台車1Bの一対の前車輪10は、図2に示すように、第2軸部14によって、回転可能に連結されている。そのため、一対の前車輪10は、モータMの回転に伴い回転することとなる。また、第2杭打機用軌陸台車1Bの一対の後車輪11は、第1軸部12によって、回転可能に連結されている。そのため、第2杭打機用軌陸台車1Bは、上記説明した第1杭打機用軌陸台車1Aと反対で、一対の前車輪10をモータMを用いて回転させることにより、一対の後車輪11が回転することとなる。また、第2カバー部21及び第3カバー部22には、図2に示すように、一側面21a,22a(図示左側)に第1連結部23がボルト等によって連結されている。またさらに、第1カバー部13には、図2に示すように、一側面13a(図示左側)に第2連結部24がボルト等によって連結されている。そして、第1連結部23と、第2連結部24との間には、図1及び図2に示すように、載置台25がボルト等によって連結されている。
【0028】
かくして、このように構成される第1杭打機用軌陸台車1Aと、第2杭打機用軌陸台車1Bは、図2に示すように、平面視矩形状の連結バーRによって連結されている。より詳しく説明すると、図2に示すように、この連結バーRの左端部Raは、ピンPを介して第2杭打機用軌陸台車1Bの第1カバー部13側に取り付けられており、連結バーRの右端部Rbは、ピンPを介して第1杭打機用軌陸台車1Aの第1カバー部13側に取り付けられている。これにより、第1杭打機用軌陸台車1Aと、第2杭打機用軌陸台車1Bとは連結バーRによって連結されることとなる。それゆえ、第1杭打機用軌陸台車1Aと、第2杭打機用軌陸台車1Bとは、軌道K上を同方向に移動することとなる。なお、このピンPは、第1杭打機用軌陸台車1Aと、第2杭打機用軌陸台車1Bとの連結を解除できるように、取り外し可能となっている。
【0029】
ところで、図2に示すように、第1カバー部13及び第2カバー部21並びに第3カバー部22には、吊輪Wが設けられている。これは、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを、軌道K上に搬入する際、吊輪Wにクレーン等の吊支ワイヤを引っ掛け、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを吊り上げられるようにするためである。
【0030】
杭打機3は、従来周知の構造であるため、詳しい説明は省略するが、この杭打機3は、図1に示すように、走行する際に回転する一対のクローラ30と、この一対のクローラ30に軸支され、クローラ30の上方において旋回する旋回部31と、旋回部31の前方側に設けられ、支持ステー32と支持アーム33を介して垂直支持されるリーダ34と、このリーダ34に沿って昇降自在に移動可能な回転圧入機35と、で構成されている。
【0031】
旋回部31は、図1に示すように、一対のクローラ30に回転可能に軸支されたベース31aと、操作者が搭乗し、杭打機3を操作する操作機器を備えた操作部32aと、一対のクローラ30及び回転圧入機35を駆動する駆動部31cと、駆動部31cに動力(例えば、油圧)を供給する動力供給ユニット31dと、旋回部31の前端部及び後端部側にそれぞれ、左右一対設けられ、伸縮自在に構成されているアウトリガー31eと、で構成されている。なお、動力供給ユニット31dは、杭打機用軌陸台車1のモータMを駆動させる際の動力(例えば、油圧)を供給する際にも使用される。
【0032】
かくして、上記のように構成させる杭打機3を用いて、鉄道の軌道K近傍に杭を打設する際、杭打機3を杭打設場所まで移動するにあたっては、以下のように移動させることとなる。
【0033】
まず、杭打機3を、図4(a)に示すように、軌道K上でジャッキアップする。すなわち、軌道K周辺に、杭打機3のアウトリガー31eを支持する正面視矩形状の支持台Sを設置し、その設置した支持台Sの上面Saに、杭打機3のアウトリガー31eを収縮状態(破線参照)から伸長(実線参照)させて載置する。これにより、図4(a)に示すように、杭打機3が、軌道K上でジャッキアップされることとなる。なお、最初に、杭打機3を軌道Kに移動させるにあたっては、従前と同様、軌道K上に木製覆工を行い、一対のクローラ30を用いて杭打機3を自走させることとなる。ただし、この木製覆工は、杭打機3を軌道Kに移動させる最初の時のみ必要なだけで、それ以降の杭打機3の移動にあたっては、木製覆工は不要である。すなわち、図4(a)に示すように、杭打機3が軌道K上まで移動してきた後は、軌道K上の木製覆工は不要である。
【0034】
次いで、軌道K上で杭打機用軌陸台車1を走行させ、図4(b)に示すように、杭打機3の下部に杭打機用軌陸台車1を潜り込ませる。すなわち、図2に示すように、第1カバー部13及び第2カバー部21並びに第3カバー部22に設けられている吊輪Wにクレーン等の吊支ワイヤを引っ掛け、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを吊り上げることにより、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを、軌道K上に搬入する。そして、軌道K上に搬入した後、第1杭打機用軌陸台車1Aと第2杭打機用軌陸台車1Bを連結バーRによって連結した上で、動力供給ユニット31dを用いて、杭打機用軌陸台車1のモータMを駆動させ、図4(b)に示すように、杭打機3の下部、すなわち、杭打機3の一対のクローラ30の下部に杭打機用軌陸台車1を潜り込ませ、杭打機用軌陸台車1のモータMを停止させる。
【0035】
しかして、このように、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを連結させるようにすれば、搬入の際、重量が半分となるから、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを、クレーン等を用いて、別々に、軌道K上に搬入することが可能となる。それゆえ、搬入作業が容易となる。また、この際、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを吊り上げることができるように、第1杭打機用軌陸台車1A及び第2杭打機用軌陸台車1Bに吊輪Wが予め設けられているから、クレーン等の吊支ワイヤを引っ掛けるための別部材をわざわざ用意する必要がなくなり、もって、搬入作業がより容易となる。
【0036】
次いで、図5(a)に示すように、杭打機用軌陸台車1の載置台25に一対のクローラ30が載置されるように、杭打機3のアウトリガー31eを収縮させる。
【0037】
次いで、図5(a)に示すように、杭打機用軌陸台車1の載置台25に一対のクローラ30が載置された後、杭打機3のアウトリガー31eを元の位置(図4(a)に示す破線参照)まで収縮させ、軌道K周辺に設置した支持台Sを撤去することにより、図5(b)に示すような状態となる。しかして、この状態で、動力供給ユニット31dを用いて、杭打機用軌陸台車1のモータMを駆動させ、杭打機用軌陸台車1を軌道K上で走行させれば、杭打機用軌陸台車1の移動に伴い杭打機3も移動することとなる。それゆえ、杭打機用軌陸台車1を用いて、杭打機3を杭打設場所まで移動させることができることとなる。なお、杭打機3を杭打設場所まで移動させた後は、上記説明した逆の手順を踏めばよい。すなわち、軌道K周辺に、杭打機3のアウトリガー31eを支持する正面視矩形状の支持台Sを設置し、その設置した支持台Sの上面Saに、杭打機3のアウトリガー31eを収縮状態から伸長させて載置し、図4(b)に示す状態とする。そして、軌道K上で杭打機用軌陸台車1を走行させ、杭打機3より離間させて、図4(a)に示す状態にすれば良い。
【0038】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、杭打機用軌陸台車1は、杭打機3を載置可能な載置台25を備え、その載置台25が、一対の前車輪10と一対の後車輪11との間に連結されており、そして、その一対の前車輪10と一対の後車輪11の何れか一方が、モータMにて駆動されることにより、一対の前車輪10及び一対の後車輪11が、軌道K上を走行できることとなる。それゆえ、杭打機3を杭打機用軌陸台車1によって、杭打設場所まで移動させることができることとなる。
【0039】
しかして、本実施形態によれば、杭打機3を杭打設場所まで移動させるにあたって、軌道K上を走行できる杭打機用軌陸台車1を用いて移動させることができるから、従来のように、軌道K上に木製覆工を設置する必要がなくなり、もって、杭打機3を杭打設場所まで簡単容易にしかも安価に搬送するこができることとなる。
【0040】
また、本実施形態によれば、杭打機3を杭打機用軌陸台車1によって、杭打設場所まで移動させるにあたって、杭打機3をジャッキアップさせた後、杭打機用軌陸台車1を軌道K上で走行させ、その杭打機3の下部に杭打機用軌陸台車1を潜り込ませるようにしている。そして、その後、杭打機用軌陸台車1の走行を停止させると共に、杭打機3のジャッキアップを解除させながら、杭打機3を杭打機用軌陸台車1の載置台25に載置するようにしている。しかして、このようにすれば、杭打機3を杭打機用軌陸台車1の載置台25に簡単容易に載置させることができることとなる。それゆえ、搬送作業が容易となる。
【0041】
なお、本実施形態において示した杭打機用軌陸台車1及び杭打機3を杭打設場所まで移動させる方法はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、第1杭打機用軌陸台車1A、第2杭打機用軌陸台車1Bを連結バーRによって連結する例を示したが、それに限らず、3つ以上の杭打機用軌陸台車を、連結バーRを用いて連結するようにしても良い。また、杭打機用軌陸台車を1台のみで構成するようにしても良いが、上述したように、重量を減らせることができるため、クレーン等を用いて軌道K上に搬入することが可能となり、もって、搬入作業が容易となるから、2つ以上の杭打機用軌陸台車を、連結バーRを用いて連結するようにした方が好ましい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、一対の前車輪10、又は、一対の後車輪11の何れか一方をモータMで駆動する例を示したが、それに限らず、一対の前車輪10及び一対の後車輪11の何れもモータMで駆動するようにしても良い。しかしながら、一対の前車輪10、又は、一対の後車輪11の何れか一方をモータMで駆動させるようにすれば、部品点数が少なくなり、もって、コストを削減することができるため、一対の前車輪10、又は、一対の後車輪11の何れか一方をモータMで駆動させた方が好ましい。
【0043】
一方、本実施形態においては、杭打機3を、軌道K上でジャッキアップさせる際、軌道K周辺に、杭打機3のアウトリガー31eを支持す支持台Sを設置する例を示したが、不要であれば、設置する必要はない。
【0044】
また、本実施形態にて示した杭打機3は、あくまで一例であり、どのような杭打機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 杭打機用軌陸台車
1A 第1杭打機用軌陸台車
1B 第2杭打機用軌陸台車
10 前車輪(車輪)
11 後車輪(車輪)
12 第1軸部(軸部)
14 第2軸部(軸部)
25 載置台(載置部)
3 杭打機
M モータ(駆動手段)
R 連結バー(連結部)
W 吊輪
K 軌道
図1
図2
図3
図4
図5