(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160075
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/26 20060101AFI20221012BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20221012BHJP
G11C 16/24 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G11C16/26 100
G11C16/04 170
G11C16/24 110
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064599
(22)【出願日】2021-04-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 真言
(72)【発明者】
【氏名】岡部 翔
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225BA01
5B225CA01
5B225DA03
5B225DE13
5B225EA05
5B225EE09
5B225EE12
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】 高速の読出しが可能な半導体装置および読出し方法を提供する。
【解決手段】 本発明のNAND型フラッシュメモリは、偶数ビット線または奇数ビット線を選択するビット線選択回路と、ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含む。フラッシュメモリの読出し方法は、ビット線選択回路に接続された仮想電源VIRPWRにより選択ビット線をプリチャージするステップ(ステップ#1)と、選択ビット線のプリチャージと並行して、電圧供給ノードV1によるラッチ回路L1の初期化(ステップ#1_2)および電圧供給ノードV1によるページバッファ/センス回路170の初期化(ステップ#1_3)とを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偶数ビット線または奇数ビット線を選択するビット線選択回路と、前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含む、NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
前記ビット線選択回路に接続された第1の電圧供給源の供給電圧により選択ビット線をプリチャージする第1のステップと、
前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ページバッファ/センス回路に接続された第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のラッチを初期化する第2のステップと、
を含む読出し方法。
【請求項2】
読出し方法はさらに、前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ラッチの初期化後に前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のセンスノードを初期化する第3のステップを含む、請求項1に記載の読出し方法。
【請求項3】
前記第2のステップおよび前記第3のステップは、前記選択ビット線のプリチャージ期間内に実施される、請求項1または2に記載の読出し方法。
【請求項4】
前記第2の電圧供給源は、前記第2のステップのためにGNDレベルを供給し、前記第3のステップのためにVDDを供給する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項5】
読出し方法はさらに、前記選択ビット線のプリチャージの前に、前記第1の電圧供給源の供給電圧により前記選択ビット線を初期化する第4のステップを含む、請求項1ないし4いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項6】
読出し方法はさらに、前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記非選択ビット線をビット線シールドする第5のステップを含む、請求項1ないし5いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項7】
前記第5のステップはさらに、前記第1の電圧供給源の供給電圧を非選択ビット線に電気的に接続すること、および前記ビット線選択回路を前記ページバッファ/センス回路に接続することを含む、請求項6に記載の読出し方法。
【請求項8】
前記第5のステップは、前記第2のステップと同時に実行される、請求項6に記載の読出し方法。
【請求項9】
前記選択ビット線のプリチャージを開始するとき、前記第1の電圧供給源と前記選択ビット線との間に接続されたトランジスタを導通させる、請求項1に記載の読出し方法。
【請求項10】
前記第1の電圧供給源は、プリチャージレベルの電圧を供給し、前記トランジスタは、前記プリチャージレベルが低下しないように導通される、請求項9に記載の読出し方法。
【請求項11】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、
前記読出し手段は、偶数ビット線または奇数ビット線を選択するビット線選択回路と、前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含み、
前記読出し手段は、前記ビット線選択回路に接続された第1の電圧供給源の供給電圧により選択ビット線をプリチャージし、当該選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ページバッファ/センス回路に接続された第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のラッチを初期化する、半導体装置。
【請求項12】
前記読出し手段はさらに、前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ラッチの初期化後に前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のセンスノードを初期化する、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記読出し手段はさらに、前記選択ビット線のプリチャージの前に、前記第1の電圧供給源の供給電圧により前記選択ビット線を初期化する、請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記読出し手段はさらに、前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記非選択ビット線をビット線シールドにする、請求項11ないし13いずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項15】
前記読出し手段はさらに、前記非選択ビット線のビット線シールドと前記ラッチの初期化を同時に実行する、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記選択ビット線のプリチャージを開始するとき、前記第1の電圧供給源と前記選択ビット線との間に接続されたトランジスタを導通させる、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記読出し手段は、ビット線の電圧を検出する検出手段を含み、前記読出し手段は、前記第1の供給源の供給電圧が低下しないように前記トランジスタをオンさせ、かつ前記検出手段によりプリチャージ電圧が検出されたとき前記トランジスタをオフさせる、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記読出し手段は、前記第1の電圧供給源からプリチャージレベルの電圧を出力させ、かつ前記プリチャージレベルの電圧が低下しないように前記トランジスタをオンさせる、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記読出し手段は、前記プリチャージレベルの電圧を出力するユニティゲインバッファを含む、請求項18に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NAND型フラッシュメモリ等を含む半導体装置に関し、特にフラッシュメモリの読出しに関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型のフラッシュメモリには、外部からのコマンドに応答して複数のページを連続で読み出す連続読出し機能(バースト読出し機能)が搭載されている。ページバッファ/センス回路は、例えば2つのラッチを含み、連続読出し動作が行われるとき、一方のラッチにアレイから読み出されたデータを保持する間に、他方のラッチに保持されたデータの出力を可能にしている(例えば、特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5323170号公報
【特許文献2】特許5667143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NAND型フラッシュメモリを用いたアプリケーション、例えば、5Gなどの高速データ通信によるリアルタイム処理を必要とするアプリケーションでは、高速のページ読み出しが要求される。
図1は、NAND型フラッシュメモリのページバッファ回路とこれに接続されるビット線選択回路の構成を示す回路図である。ここには、偶数ビット線GBLeと奇数ビット線GBLoによって共有される1つのページバッファ/センス回路10が示されている。便宜上、トランジスタのゲートに印加される信号がそのトランジスタを表すものとする。
【0005】
ページバッファ/センス回路10は、2つのラッチL1、L2を含み、ラッチL1とラッチL2との間には、転送用トランジスタTR1、TR2が接続され、ラッチL1とラッチL2との間で双方向のデータ転送が可能である。ラッチL1のノードSLR1がトランジスタBLCD1およびトランジスタDTGの共通S/Dに接続され、ラッチL2のノードSLR2がトランジスタBLCD2に接続される。トランジスタDTGは、プログラムベリファイ等において、電圧供給ノードV2からの電圧VDDをノードSLR1に選択的に充電し、あるいはノードSLR1を選択的にGNDに放電する。また、ラッチL2は、図示しないデータラインDL、/DL等を介して入出力回路に接続される。
【0006】
電圧供給ノードV2とセンスノードSNSとの間には、トランジスタVGおよびトランジスタREGが直列に接続され、トランジスタVGのゲートは、トランジスタDTGのS/Dに接続される。電圧供給ノードV1は、トランジスタBLPREを介してセンスノードSNSに接続される。電圧供給ノードV1は、ビット線をプリチャージするとき電圧VDDを供給し、ラッチL1をリセットするときGNDを供給する。センスノードSNSとノードBLSとの間には、トランジスタBLCNおよびトランジスタBLCLAMPが直列に接続される。
【0007】
ビット線選択回路20は、偶数ビット線GBLeを選択するためのトランジスタBLSe、奇数ビット線GBLoを選択するためのトランジスタBLSo、仮想電源VIRPWRを偶数ビット線GBLeに接続するためのトランジスタYBLe、仮想電源VIRPWRを奇数ビット線GBLoに接続するためのトランジスタYBLoを含む。偶数ビット線GBLe/奇数ビット線GBLoとソース線SLとの間にNANDストリングが接続される。読出し動作において、偶数ビット線GBLeが選択されるとき、奇数ビット線GBLoが非選択され、奇数ビット線GBLoが選択されるとき、偶数ビット線GBLeが非選択される。選択ビット線にはプリチャージ電圧が供給され、非選択ビット線にはGNDが供給される。
【0008】
従来のページ読出しは、
図2および
図3の破線に示すように、ビット線の初期化(S10)、ラッチL1の初期化(S20)、ページバッファ回路の初期化(S30)、選択ビット線のプリチャージ(S40)を実行する必要がある。これらのステップS10~S40の動作を
図4のタイミングチャートを参照して説明する。ここでは、偶数ビット線GBLeが選択されるものとする。
【0009】
時刻t1で、仮想電源VIRPWRをGNDレベル、トランジスタYBLe、トランジスタYBLoをオン(Hレベル)し、ビット線GBLe、GBLoをGNDにし、ビット線GBLe、GBLoを初期化する(S10)。ビット線の初期化は、読出しデータのセンシングの安定化のために行われる。
【0010】
ビット線の初期化と並行して、時刻t1からt2の期間中に、電圧供給ノードV1をGNDレベル、トランジスタBLPRE、トランジスタBLCD1をオン(Hレベル)し、ノードSLR1をLレベル(GND)にセットし(L1 SET L)、ラッチL1を初期化する(S20)。ラッチL1の初期化は、読出しデータセンシングの安定化のために行われる。
【0011】
時刻t3からt4の期間中に、電圧供給ノードV1をVDD(内部供給電圧:例えば、2.0V)にし、トランジスタBLPRE、トランジスタBLCLAMP、トランジスタBLCNを順次オン(Hレベル)し、トランジスタYBLeをオフし、センスノードSNSをVDDに充電し、ノードTOBL、ノードBLSをVCLMP1(VCLMP1<VDD)に充電し、ページバッファ/センス回路を初期化する(S30)。このとき、トランジスタBLCLAMPのゲートには、電圧VCLMP1+Vth(Vthは、トランジスタBLCLAMP1の閾値)が印加され、トランジスタBLPRE、BLCNのゲートにはノードSNS、BLSにVDDを通すことができる十分に高い電圧が印加される。
【0012】
次に、時刻t4でトランジスタBLSeをオンし、偶数ビット線GBLeに電圧VCLMP1を供給し、選択ビット線GBLeをプリチャージし(S40)、選択メモリセルの読出しの準備をする。他方、選択ビット線GBLeのプリチャージ期間中、非選択ビット線GBLoは、トランジスタYBLoを介して仮想電源VIRPWRのGNDレベルに電気的に接続される。非選択ビット線GBLoをGNDに強いることで、ビット線シールドとなり、カップリングによるノイズが削減され、読出しデータのセンシングを安定化させ、かつ非選択ビット線に接続されたNANDストリングのデータ保持特性を保つ。
【0013】
例えば、ステップS10~S20の処理に約1us、ステップS30の処理に約1us、ステップS40の処理に5~6usを要し、ページバッファ/センス回路およびビット線のセットアップ時間として約7~8usを必要とする。また、フラッシュメモリがECCを実施する場合には、読出し時間がさらに長くなるおそれがある。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決し、高速の読出しが可能な半導体装置および読出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る読出し方法は、偶数ビット線または奇数ビット線を選択するビット線選択回路と、前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含むNAND型フラッシュメモリのものであって、前記ビット線選択回路に接続された第1の電圧供給源の供給電圧により選択ビット線をプリチャージする第1のステップと、前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ページバッファ/センス回路に接続された第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のラッチを初期化する第2のステップとを含む。
【0016】
ある態様では、読出し方法はさらに、前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ラッチの初期化後に前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のセンスノードを初期化する第3のステップを含む。ある態様では、前記第2のステップおよび前記第3のステップは、前記選択ビット線のプリチャージ期間内に実施される。ある態様では、前記第2の電圧供給源は、前記第2のステップのためにGNDレベルを供給し、前記第3のステップのためにVDDを供給する。ある態様では、読出し方法はさらに、前記選択ビット線のプリチャージの前に、前記第1の電圧供給源の供給電圧により前記選択ビット線を初期化する第4のステップを含む。ある態様では、読出し方法はさらに、前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記非選択ビット線をビット線シールドする第5のステップを含む。ある態様では、前記第5のステップはさらに、前記第1の電圧供給源の供給電圧を非選択ビット線に電気的に接続すること、および前記ビット線選択回路を前記ページバッファ/センス回路に接続することを含む。ある態様では、前記第5のステップは、前記第2のステップと同時に実行される。ある態様では、前記選択ビット線のプリチャージを開始するとき、前記第1の電圧供給源と前記選択ビット線との間に接続されたトランジスタを導通させる。ある態様では、前記第1の電圧供給源は、プリチャージレベルの電圧を供給し、前記トランジスタは、前記プリチャージレベルが低下しないように導通される。
【0017】
本発明に係る半導体装置は、NAND型のメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、前記読出し手段は、偶数ビット線または奇数ビット線を選択するビット線選択回路と、前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含み、前記読出し手段は、前記ビット線選択回路に接続された第1の電圧供給源の供給電圧により選択ビット線をプリチャージし、当該選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ページバッファ/センス回路に接続された第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のラッチを初期化する。
【0018】
ある態様では、前記読出し手段はさらに、前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ラッチの初期化後に前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のセンスノードを初期化する。ある態様では、前記読出し手段はさらに、前記選択ビット線のプリチャージの前に、前記第1の電圧供給源の供給電圧により前記選択ビット線を初期化する。ある態様では、前記読出し手段はさらに、前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記非選択ビット線をビット線シールドにする。ある態様では、前記読出し手段はさらに、前記非選択ビット線のビット線シールドと前記ラッチの初期化を同時に実行する。ある態様では、前記選択ビット線のプリチャージを開始するとき、前記第1の電圧供給源と前記選択ビット線との間に接続されたトランジスタを導通させる。ある態様では、前記読出し手段は、ビット線の電圧を検出する検出手段を含み、前記読出し手段は、前記第1の供給源の供給電圧が低下しないように前記トランジスタをオンさせ、かつ前記検出手段によりプリチャージ電圧が検出されたとき前記トランジスタをオフさせる。ある態様では、前記読出し手段は、前記第1の電圧供給源からプリチャージレベルの電圧を出力させ、かつ前記プリチャージレベルの電圧が低下しないように前記トランジスタをオンさせる。ある態様では、前記読出し手段は、前記プリチャージレベルの電圧を出力するユニティゲインバッファを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、選択ビット線のプリチャージと並行して、ページバッファ/センス回路のラッチの初期化を行うようにしたので、従来と比較して読出しの高速化を図ることができる。さらにビット線選択回路の第1の電圧供給源から選択ビット線をプリチャージするようにしたので、ページバッファ/センス回路の第2の電圧供給源から選択ビット線をプリチャージする場合と比較して、センスノード等の充電などが不要となり、急速なプリチャージを行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】NAND型フラッシュメモリのページバッファ/センス回路とビット線選択回路の構成を示す回路図である。
【
図2】従来の読出し動作の各ステップを説明するフローである。
【
図3】従来の読出し動作の各ステップの信号の流れを例示する図である。
【
図4】従来の読出し動作のタイミングチャートを示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施例に係る読出し動作の各ステップを説明するフローである。
【
図7】本発明の実施例に係る読出し動作の各ステップの信号の流れを例示する図である。
【
図8】本発明の実施例に係る読出し動作のタイミングチャートである。
【
図9】本発明の第2の実施例に係る電圧生成回路の構成を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施例に係る電圧生成回路の構成を示す図である。
【
図11】本発明の第4の実施例に係る仮想電源の電圧生成回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体装置は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、あるいはこのようなフラッシュメモリを埋め込むマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジック、ASIC、画像や音声を処理するプロセッサ、無線信号等の信号を処理するプロセッサなどである。以下の説明では、NAND型フラッシュメモリを例示する。1つの実施態様では、NAND型フラッシュメモリは、NOR型フラッシュメモリとの互換性を図るためSPI(Serial Peripheral Interface)を搭載することができる。
【実施例0022】
図5は、本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示す図である。本実施例に係るフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリアレイ110と、読出しデータを外部に出力したり、外部から入力されるデータを取り込む入出力回路120と、プログラムすべきデータの符号生成や読み出されたデータの誤り検出・訂正を行うECC回路130と、入出力回路120を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ140と、入出力回路120を介して受け取ったコマンドデータや端子に印加された制御信号に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ140から行アドレス情報Axを受け取り、行アドレス情報Axをデコードし、デコード結果に基づきブロックの選択やワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ワード線選択回路160によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページへプログラムするデータを保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ140から列アドレス情報Ayを受け取り、列アドレス情報Ayをデコードし、当該デコード結果に基づきページバッファ/センス回路170内の列の選択等を行う列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Vers、内部供給電圧VDDなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0023】
メモリアレイ110は、例えば、列方向に配置されたm個のメモリブロッBLKを有し、1つのメモリブロックには、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングが複数形成される。1つのNANDストリングは、直列に接続された複数のメモリセルと、ビット線側選択トランジスタと、ソース線側選択トランジスタとを含む。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのビット線に接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線に接続される。メモリセルのコントロールゲートは、ワード線に接続され、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタの各ゲートは、選択ゲート線にそれぞれ接続される。NANDストリングは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するMLCタイプであってもよい。
【0024】
ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づき選択ゲート線を介してビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタを駆動し、ブロックやワードを選択する。列選択回路180は、列アドレスAyに従いビット線を選択し、例えばページ内のデータの読出し開始位置を選択する。また、ワード線選択回路160および列選択回路180は、クロック信号に応答して行アドレスおよび列アドレスをインクリメントする行アドレスカウンタおよび列アドレスカウンタを含むことができる。
【0025】
ページバッファ/センス回路170は、
図1に示すページバッファ/センス回路10と同様に構成され、かつビット選択回路20を介して偶数ビット線GBLeと奇数ビット線GBLoに接続される。
【0026】
コントローラ150は、ROM/RAM等をマイクロコントローラあるいはステートマシン等を用いて構成され、フラッシュメモリ100の動作を制御する。読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15~20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0027】
次に、本実施例のフラッシュメモリ100の読出し動作について説明する。本実施例のフラッシュメモリ100は、従来と比較して高速の読出しを実現するため、
図2に示す「ビット線の初期化」、「ラッチL1の初期化」、「ページバッファ/センス回路の初期化」、「選択ビット線のプリチャージ」をシーケンシャルに行うのではなく、これらを並列に行うための高速ページ読出しモードを搭載する。
【0028】
図6は、本実施例の高速読出しモードの動作フローを示す図、
図7は、高速読出しモード時の信号の流れを例示する図である。本実施例の高速ページ読出しモードは、仮想電源VIRPWRにより選択ビット線を初期化するステップ#0と、ステップ#0の後に、仮想電源VIRPWRにより選択ビット線をプリチャージするステップ#1、電圧供給ノードV1により非選択ビット線をビット線シールドするステップ#1_1、電圧供給ノードV1によりラッチL1をリセットするステップ#1_2、および電圧供給ノードV1によりページバッファ/センス回路を初期化するステップ#1_3とを含む。これらのステップは、コントローラ150によって制御される。ステップ#0には、VIRPWRによる選択ビット線の初期化だけでなく、非選択ビット線をGNDに初期化するステップを含めてもよい。 ただし、ステップ#1_1で、電圧供給ノードV1により非選択ビット線をビット線シールドすれば、結果的に非選択ビット線もGNDに初期化される。
【0029】
仮想電源VIRPWRにより選択ビット線をプリチャージするステップ#1の期間中に、少なくとも電圧供給ノードV1によりラッチL1を初期化するステップ#1_2と電圧供給ノードV1によりページバッファ/センス回路を初期化するステップ#1_3とが並列に実施される。なお、並列動作に、電圧供給ノードV1により非選択ビット線をビット線シールドするステップ#1_1を含めるようにしてもよい。少なくとも、ステップ#1_1とステップ#1_2は、電圧供給ノードV1のGNDを用いるため、同時実行が可能である。
【0030】
ステップ#1とステップ#1_2、#1_3との並列動作により、選択ビット線のプリチャージの期間中にラッチL1の初期化およびページバッファ/センス回路170の初期化の動作が隠され、読出し時間の短縮が図られる。さらに、仮想電源VIRPWRによる選択ビット線のプリチャージは、電圧供給ノードV1からのプリチャージと異なり、センスノードSNS、ノードTOBL、ノードBLSの容量を充電せず、かつトランジスタBLCLAMP、トランジスタBLCN、トランジスタBLSe/BLSoを経由しないので、プリチャージ時間を短縮した迅速なプリチャージを実現することができる。加えて、ステップ#1_1をステップ#1と並列動作させ、かつステップ#1_2と同時に実行することで、時間のペナルティ無しで、非選択ビット線をビット線シールドにし、カップリングによるノイズを削減することも可能である。
【0031】
次に、本実施例の高速読出しモードの詳細の動作について
図8のタイミングチャートを参照して説明する。なお、偶数ビット線GBLeが選択され、奇数ビット線GBLoが非選択されるものとする。
【0032】
時刻t1で、仮想電源VIRPWRをGNDにし、トランジスタYBLeのゲートにHレベルを印加し、トランジスタYBLeをオンし、選択ビット線GBLeをGNDレベルに電気的に接続し、選択ビット線GBLeを初期化する(ステップ#0)。このとき、トランジスタYBLoも同様にオンし、非選択ビット線GBLoをGNDレベルに電気的に接続するようにしてもよい。時刻t1のとき、トランジスタBLSe/BLSoがオフであり、偶数ビット線GBLeと奇数ビット線GBLoは、ノードBLSから切り離された状態にある。
【0033】
また、電圧供給ノードV1をGNDにし、トランジスタBLCN、トランジスタBLCLAMP、トランジスタBLPREをオンし、これにより、センスノードSNS、ノードTOBL、ノードBLSがGNDレベルに電気的に接続される。
【0034】
時刻t2で、トランジスタYBLeのゲートをHレベル(例えば、VDDやVCLMP1+Vth)からVCLMP1+Vthに遷移させる。VCLMP1<VDDであり、Vthは、トランジスタYBLeの閾値である。また、トランジスタYBLoのゲートをGNDに遷移させ、トランジスタYBLoをオフし、トランジスタBLSoのゲートをGNDからHレベルに遷移させ、トランジスタBLSoをオンする。これにより、非選択ビット線GBLoを仮想電源VIRPWRから切り離し、非選択ビット線GBLoがトランジスタBLS、トランジスタBLCN、トランジスタBLCLAMP、トランジスタBLPREを介して電圧供給ノードV1のGNDに電気的に接続され、非選択ビット線GBLoがビット線シールドにされる(ステップ#1_1)。
【0035】
時刻t3で、仮想電源VIRPWRをVDDに遷移させ、選択ビット線GBLeのプリチャージが開始される(ステップ#1)。トランジスタBLSeはオフであり、選択ビット線GBLeは、ノードBLSから切り離されている。トランジスタYBLeのゲートには、電圧VCLMP1+Vthが印加され、選択ビット線GBLeには、トランジスタYBLeを介して電圧が供給される。プリチャージ期間は、時刻t3から時刻t8までである。
【0036】
選択ビット線GBLeのプリチャージ期間中、非選択ビット線GBLoは、仮想電源VIRPWRから切り離されるが、トランジスタBLSo、トランジスタBLCN、トランジスタBLCLAMP、トランジスタBLPREを介して電圧供給ノードV1のGNDに電気的に接続される。しかし、非選択ビット線GBLoは、選択ビット線GBLeとの容量結合により幾分電圧が上昇し、これに伴い、ノードBLS、ノードTOBL、センスノードSNS、電圧供給ノードV1もまた幾分電圧が上昇するが、選択ビット線が十分に充電されると、容量結合による電圧上昇効果よりも電圧供給ノードV1が非選択ビット線GBLo、ノードBLS、ノードTOBLをGNDに強いる駆動能力の効果が十分大きくなり、結果的に非選択ビット線GBLo、ノードBLS、ノードTOBL、センスノードSNS、電圧供給ノードV1はGNDに戻る。
【0037】
時刻t4-t5の期間、トランジスタBLCD1をGNDからHレベルに遷移させ、トランジスタBLCD1をオンし、ラッチL1のノードSLR1を電圧供給ノードV1のGNDレベルに電気的に接続することでラッチL1をリセットする(ステップ#1_2)。なお、前記容量結合の電圧上昇効果により、電圧供給ノードV1、およびセンスノードSNSは幾分電圧が上昇しているが、電圧供給ノードV1がセンスノードSNSをGNDに強いる駆動能力が十分に強いため、ステップ#1_2に影響を与えない。
【0038】
時刻t6で、十分なビット線プリチャージ時間を確保した後、トランジスタBLSoのゲートをHレベルからLレベルに遷移させ、トランジスタBLSoをオフする。これにより、非選択ビット線GBLoがノードBLSから切り離され、非選択ビット線GBLoがシールド状態からフローティングになる。トランジスタBLSoは、時刻t2からt6までオンしており、この間、非選択ビット線GBLoがGNDレベルに電気的に接続されており、かつ選択ビット線GBLeは十分に充電されているため、非選択ビット線GBLoの電圧が容量結合により大きく浮き上がることは防止される。
【0039】
時刻t7で、電圧供給ノードV1をGNDからVDDに遷移させ、時刻t7-t8の期間中、センスノードSNSをVDDに充電し、ノードTOBL、ノードBLSを電圧VCLMP1またはVDDに充電し、ページバッファ/センス回路170を初期化する(ステップ#1_3)。ページバッファ/センス回路170の初期化は、選択ビット線のプリチャージ期間中に行われるので、ページバッファ/センス回路170の初期化に要する時間は、事実上、プリチャージ期間によって隠される。また、ページバッファ/センス回路170の初期化をプリチャージ期間の最後で実施するため、フローティング状態の非選択ビット線が容量結合により電圧が浮き上がるのが防止される。なお、時刻t7で、トランジスタYBLeをオフし、時刻t8でトランジスタBLSeをオンして、ノードBLSと選択ビット線GBLeを電気的に接続し、ノードTOBL、ノードBLS、選択ビット線GBLeに生じる微小な電位差を揃えても良い。この場合、時刻t7-t8でノードTOBL、ノードBLSをVCLMP1に充電する。選択ビット線GBLeのプリチャージが終了すると、セルディスチャージ、読出しデータのセンシングが行われ、センスノードSNSに読出しデータがラッチL1に保持される。
【0040】
このように本実施例の高速読出しモードによれば、選択ビット線のプリチャージと並行してラッチL1の初期化およびページバッファ/センス回路の初期化を行うようにしたので、これらの動作をシーケンシャルに行う従来と比較して、高速の読出しを行うことができる。例えば、従来の読出し方法では、ページバッファ/センス回路およびビット線のセットアップ時間として約7~8usを要したが、本実施例の高速読出しモードでは、2~3usに短縮することができる。
【0041】
なお、上記実施例では、選択ビット線のプリチャージ期間中に、ラッチL1の初期化とページバッファ/センス回路170の初期化を行うようにしたが、少なくともラッチL1の初期化を選択ビット線のプリチャージ期間中に行うことで読出し時間を短縮するようにしてもよい。また、上記実施例は、単一ページの読出し動作を例示したが、本実施例の高速読出しモードは、複数ページの連続読出し動作にも適用できることは言うまでもない。
【0042】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例は、選択ビット線のプリチャージ方法に関する。従来のフラッシュメモリでは、選択ビット線をプリチャージするとき、トランジスタBLCLAMPのゲートに電圧VCLMP1+Vth_BL(Vth_BLは、トランジスタBLCLAMPの閾値)を印加して選択ビット線にVCLMP1レベルを生成する。なお、セルディスチャージのときには、トランジスタBLCLAMPのゲートに電圧VCLMP2+Vth_BLを印加する(VCLMP2<VCLMP1)。これに対し本実施例では、トランジスタYBLe/YBLoのゲートに電圧VCLMP1+Vth_YBL(Vth_YBLは、トランジスタYBLe/YBLoの閾値)を印加し、選択ビット線にVLCMP1レベルを生成する。
【0043】
図9(A)に、従来の電圧生成回路を示す。電圧生成回路は、オペアンプOPと、トランジスタE_BLCLAMPとを含み、オペアンプOPの非反転入力端子(+)に電圧VCLMPxを供給し、反転入力端子(-)に定電流源を供給し、オペアンプOPの出力と反転入力端子との間に負帰還となるようにトランジスタE_BLCLAMPをダイオード接続する。トランジスタE_BLCLAMPは、トランジスタBLCLAMPのエミュレーション用トランジスタであり、オペアンプOPの出力には、VCLMPx+Vth(Vthは、トランジスタE_BLCLAMPの閾値であり、Vth≒トランジスタBLCLAMPの閾値Vth)が生成される。なお、選択ビット線をプリチャージするときVCLMPx=VCLMP1であり、セルのディスチャージを行うときVCLMPx=VCLMP2であり、VCLMPxは、VCLMP1/VCLMP2の総称である。
【0044】
図9(B)に、本実施例の電圧生成回路を示す。本実施例の電圧生成回路は、
図9(A)の構成に加えて、トランジスタE_BLCLAMPに並列接続されたトランジスタE_YBLと、トランジスタE_BLCLAMPと出力との間に接続されたスイッチSW1と、トランジスタE_YBLと出力との間に接続されたスイッチSW2とを含む。トランジスタE_YBLは、トランジスタYBLe/YBLoのエミュレーション用トランジスタである。トランジスタBLCLAMPは、低電圧で動作可能なトランジスタであり、トランジスタYBLe/YBLoは、ビット線の高電圧に耐圧のあるトランジスタであり、両者の閾値は異なる。それ故、トランジスタE_BLCLAMPとトランジスタE_YBLとの2つのトランジスタを必要とする。
【0045】
スイッチSW1、SW2は、コントローラ150からの制御信号SELに応答して経路の開閉を行う。すなわち、選択ビット線をプリチャージするとき、スイッチSW1が開かれ、スイッチSW2が閉じられる。これにより、電圧生成回路は、電圧VCLMPx+Vth_YBLを出力し、この電圧VCLMPx+Vth_YBLがトランジスタYBLe/YBLoのうち、選択ビット線に接続されたトランジスタのゲートに印加される(
図8のトランジスタYBLeのゲート電圧VCLMP1+Vthに対応する)。他方、セルのディスチャージを行うとき、スイッチSW1が閉じられ、スイッチSW2が開かれる。これにより、電圧生成回路は、電圧VCLMPx+Vth_BLを出力し、この電圧VCLMPx+Vth_BLがトランジスタBLCLAMPのゲートに印加される。
【0046】
本実施例の電圧生成回路によれば、トランジスタBLCLAMPのためのゲート電圧VCLMPx+Vth_BL、またはトランジスタYBLe/YBLoのためのゲート電圧VCLMPx+Vth_YBLを選択的に生成することができる。また、オペアンプの負帰還に定電流源とダイオード接続されたトランジスタE_YBLとを用いることで、精度の高い電圧を生成することができる。なお、本実施例の電圧生成回路は、仮想電源VIRPWRに含まれるようにしてもよいし、これと別個に設けるようにしてもよい。
【0047】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
図10は、第3の実施例の電圧生成回路の構成を示す図である。同図に示すように、電圧生成回路は、ページバッファ/センス回路170(例えば、
図1に示す構成)を複製したPB複製回路200と、PB複製回路200に接続された複製用の偶数ビット線R_GBLeと奇数ビット線R_GBLoと、偶数ビット線R_GBLeに接続されたスイッチSW1と、奇数ビット線R_GBLoに接続されたスイッチSW2と、スイッチSW1、SW2の共通ノードを反転入力端子(-)に接続し、電圧VCLMPxを非反転入力端子(+)に接続したコンパレータ210とを含む。
【0048】
スイッチSW1、SW2は、コントローラ150からの制御信号SELに応答して経路の開閉を行う。偶数ビット線GBLeをプリチャージするとき、スイッチSW1が閉じられ、スイッチSW2が開かれ、奇数ビット線GBLoをプリチャージするとき、スイッチSW1が開かれ、スイッチSW2が閉じられる。
【0049】
選択ビット線をプリチャージするとき、ページバッファ/センス回路170およびPB複製回路200のいずれも仮想電源VIRPWRはVDDを供給し、トランジスタYBLe/YBLoのうち、選択ビット線に接続されたトランジスタのゲートには十分大きな電圧(例えば、ブートストラップ等によりVDDを昇圧したゲート電圧)が印加され、選択ビット線には、VDDレベルの電圧供給が開始される。これにより、選択ビット線は、第2の実施例のときよりも急速にプリチャージされる。コンパレータ210は、複製用の偶数ビット線R_GBLeまたは奇数ビット線R_GBLoの複製電圧とVCLMPxとを比較し、複製電圧<VCLMPxのとき、Hレベルの検出信号DETを出力し、複製電圧≧VCLMPxのとき、Lレベルの検出信号DETを出力する。コントローラ150は、検出信号DETがLレベルに遷移すると、これに応答してトランジスタYBLe/YBLoのうち、選択ビット線に接続されたトランジスタをオフし、選択ビット線のプリチャージを終了させる。
【0050】
本実施例によれば、選択ビット線がプリチャージレベルに到達するまで、トランジスタYBLe/YBLoのうち、選択ビット線に接続されたトランジスタを強くオンし、選択ビット線に大きなドレイン電流を供給することで、選択ビット線のプリチャージ時間を短縮することができる。
【0051】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
図11は、第4の実施例に係る仮想電源の電圧生成回路の構成を示す図である。仮想電源の電圧生成回路300は、VDD駆動回路310と、VCLMPx駆動回路320と、VDD駆動回路310と出力VIRPWRとの間に接続されたスイッチSW1と、VCLMPx駆動回路320と出力VIRPWRとの間に接続されたスイッチSW2と、GNDと出力VIRPWRとの間に接続されたスイッチSW3とを含む。但し、電圧生成回路300は、上記電圧に加えて他の電圧の生成も可能であることに留意すべきである。
【0052】
スイッチSW1、SW2、SW3は、コントローラ150からの制御信号SELによって経路を開閉する。選択ビット線をプリチャージするとき、スイッチSW2が閉じられ、スイッチSW1、SW3が開かれ、出力VIRPWRには電圧VCLMPxが生成される。このとき、トランジスタYBLe/YBLoのうち、選択ビット線に接続されたトランジスタのゲートには、十分大きな電圧(例えば、電圧VCLMPxを昇圧した電圧またはVDD)が印加され、選択ビット線には、電圧VCLMPxが供給される。一方、選択ビット線を初期化(
図6のステップ#0)するとき、スイッチSW1、SW2が開かれ、スイッチSW3が閉じられ、出力VIRPWRにはGNDが供給される。また、出力VIRPWRからVDDを供給する場合には、スイッチSW1が閉じられ、スイッチSW2、SW3が開かれる。
【0053】
図11(B)は、VCLMPx駆動回路320の構成を示す図である。当該駆動回路320は、非反転入力端子(+)に電圧VCLMPxが供給され、反転入力端子(-)に出力を負帰還したユニティゲインバッファUGBを含む。ユニティゲインバッファUGBは、入力した電圧VCLMPxと等しい電圧を出力する。
【0054】
本実施例のようにユニティゲインバッファUGBを用いることで精度の高い電圧VCLMPxを生成することができる。また、トランジスタYBLe/YBLoのうち、選択ビット線に接続されたトランジスタを強くオンすることで、選択ビット線へ大きなドレイン電流を供給し、選択ビット線のプリチャージ時間を短くすることができる。
【0055】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
偶数ビット線または奇数ビット線を選択するビット線選択回路と、前記ビット線選択回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含む、NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
前記ビット線選択回路に接続された第1の電圧供給源の供給電圧により選択ビット線をプリチャージする第1のステップと、
前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ページバッファ/センス回路に接続された第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のラッチを初期化する第2のステップと、
前記選択ビット線のプリチャージと並行して、前記ラッチの初期化後に前記第2の電圧供給源の供給電圧により前記ページバッファ/センス回路のセンスノードを初期化する第3のステップを含む、読出し方法。
前記第5のステップはさらに、前記第1の電圧供給源の供給電圧を非選択ビット線に電気的に接続すること、および前記ビット線選択回路を前記ページバッファ/センス回路に接続することを含む、請求項5に記載の読出し方法。
前記読出し手段は、前記第1の電圧供給源からプリチャージレベルの電圧を出力させ、かつ前記プリチャージレベルの電圧が低下しないように前記トランジスタをオンさせる、請求項14に記載の半導体装置。