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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160103
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】容器、容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 3/08 20060101AFI20221012BHJP
   B29C 49/20 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B65D3/08
B29C49/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064633
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】亀田 克巳
(72)【発明者】
【氏名】相澤 恒
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 亮介
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AD06
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA09
4F208LB01
4F208LB12
4F208LB20
4F208LG04
4F208LH06
(57)【要約】
【課題】紙を使用し、かつ、意匠性や持ちやすさに優れた容器、容器の製造方法を提供する。
【解決手段】容器1は、紙の対向する1組の辺を接続して管状に構成された胴部材10と、胴部材10の一方の開口部12を閉鎖する閉塞部材30と、を備えた容器であって、胴部材10の一方の開口部12の中心と他方の開口部13の中心とを結ぶ中心線Oを通り中心線Oに沿った方向で切断した縦断面において、胴部材10の一端と他端とを結ぶ直線Lから胴部材の少なくとも一部が2mm以上離れている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙の対向する1組の辺を接続して管状に構成された胴部材と、
前記胴部材の一方の開口部を閉鎖する閉塞部材と、
を備えた容器であって、
前記胴部材の一方の開口部の中心と他方の開口部の中心とを結ぶ中心線を通り前記中心線に沿った方向で切断した縦断面において、前記胴部材の一端と他端とを結ぶ直線から前記胴部材の少なくとも一部が2mm以上離れている容器。
【請求項2】
紙の対向する1組の辺を接続して管状に構成された胴部材と、
前記胴部材の少なくとも一方の開口部を閉鎖する閉塞部材と、
を備えた容器であって、
前記胴部材の表面が少なくとも半周以上にわたって継続して突出又は凹んだ立体的形状である容器。
【請求項3】
請求項2に記載の容器において、
前記立体的形状は、前記胴部材の前記1組の辺を接続している部位の接続を解除した状態において、前記胴部材に皺や破れを生じさせることなく平面に伸ばすことができない形状であること、
を特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の容器において、
前記閉塞部材が設けられていない他方の開口部には、内容物を注出可能とする注出口を備えた注出部材が設けられていること、
を特徴とする容器。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の容器において、
前記閉塞部材が設けられていない他方の開口部の端部には、トップカール部が設けられていること、
を特徴とする容器。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の容器において、2つの開口部の周長が同じであること、
を特徴とする容器。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の容器を製造する製造方法であって、
前記胴部材をブロー成形するブロー成形工程を有する容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙を用いた容器、容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する負荷を軽減するために、各種容器においてプラスチックの使用比率を低減することが求められており、例えば、特許文献1には、紙容器が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1のような従来の紙容器では、平板状の紙を巻いて構成されていることから、表面が円筒面や円錐面等の単純な形態であり、作製可能な形状の自由度が低いことから、樹脂製の容器等と比べて、意匠性や持ちやすさ等が劣っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-25472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、紙を使用し、かつ、意匠性や持ちやすさに優れた容器、容器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本開示の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
第1の実施の態様は、紙の対向する1組の辺を接続して管状に構成された胴部材(10)と、前記胴部材(10)の一方の開口部(12)を閉鎖する閉塞部材(30)と、を備えた容器(1、1B、1C、1D)であって、前記胴部材(10)の一方の開口部(12)の中心と他方の開口部(13)の中心とを結ぶ中心線(O)を通り前記中心線(O)に沿った方向で切断した縦断面において、前記胴部材(10)の一端と他端とを結ぶ直線(L)から前記胴部材(10)の少なくとも一部が2mm以上離れている容器(1、1B、1C、1D)である。
【0008】
第2の実施の態様は、紙の対向する1組の辺を接続して管状に構成された胴部材(10)と、前記胴部材(10)の少なくとも一方の開口部(12)を閉鎖する閉塞部材(30)と、を備えた容器(1、1B、1C、1D)であって、前記胴部材(10)の表面が少なくとも半周以上にわたって継続して突出又は凹んだ立体的形状である容器(1、1B、1C、1D)である。
【0009】
第3の実施の態様は、第2の実施の態様に記載の容器(1、1B、1C、1D)において、前記立体的形状は、前記胴部材(10)の前記1組の辺を接続している部位の接続を解除した状態において、前記胴部材(10)に皺や破れを生じさせることなく平面に伸ばすことができない形状であること、を特徴とする容器(1、1B、1C、1D)である。
【0010】
第4の実施の態様は、第1の実施の態様から第3の実施の態様までのいずれかに記載の容器(1、1C、1D)において、前記閉塞部材(30)が設けられていない他方の開口部(13)には、内容物を注出可能とする注出口(21)を備えた注出部材(20)が設けられていること、を特徴とする容器(1、1C、1D)である。
【0011】
第5の実施の態様は、第1の実施の態様から第3の実施の態様までのいずれかに記載の容器(1B)において、前記閉塞部材(30)が設けられていない他方の開口部(13)の端部には、トップカール部(19)が設けられていること、を特徴とする容器(1B)である。
【0012】
第6の実施の態様は、第1の実施の態様から第5の実施の態様までのいずれかに記載の容器(1、1B、1C、1D)において、2つの開口部(12、13)の周長が同じであること、を特徴とする容器(1、1B、1C、1D)である。
【0013】
第7の実施の態様は、第1の実施の態様から第6の実施の態様までのいずれかに記載の容器(1、1B、1C、1D)を製造する製造方法であって、前記胴部材(10)をブロー成形するブロー成形工程を有する容器(1、1B、1C、1D)の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、紙を使用し、かつ、意匠性や持ちやすさに優れた容器、容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の容器1の斜視図である。
図2】第1実施形態の容器1の側面図である。
図3図2中の矢印A-Aの位置で容器1を切断した断面図である。
図4】容器1を各部材に分けて示した分解断面図である。
図5】胴部材10の立体的形状を賦形するブロー成形工程を説明する図である。
図6】ブロー成形の工程の第1の変形形態を示す図である。
図7】ブロー成形の工程の第2の変形形態を示す図である。
図8】第2実施形態の容器1Bを示す図である。
図9】ブロー成形により成形する容器1Cの立体的形状の変形形態を示す図である。
図10】ブロー成形により成形する容器1Dの立体的形状の変形形態を示す図である。
図11】ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図12】ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図13】ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図14】ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図15】ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の容器1の斜視図である。
図2は、第1実施形態の容器1の側面図である。
図3は、図2中の矢印A-Aの位置で容器1を切断した断面図である。
図4は、容器1を各部材に分けて示した分解断面図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において規定する具体的な数値には、一般的な誤差範囲は含むものとして扱うべきものである。すなわち、±10%程度の差異は、実質的には違いがないものであって、本件の数値範囲をわずかに超えた範囲に数値が設定されているものは、実質的には、本件発明の範囲内のものと解釈すべきである。
【0018】
本実施形態の容器1は、例えば、飲料等の液体を収容する容器であり、胴部材10と、注出部材20と、閉塞部材30とを備えている。
【0019】
胴部材10は、接続部11と、開口部12、13と、端部14、15と、突出部16、17とを有している。
胴部材10は、紙の対向する1組の辺を接続部11で接続して管状に構成されている。胴部材10を構成する紙は、胴部材10の形状に成形される前は、矩形形状に形成されており、対向する1組の辺を接続部11で接続して円筒形状の中間体に形成される。その後、この円筒形状の胴部材10の中間体100(図5参照)を後述するブロー成形によって胴部材10の形状に成形する。
胴部材10に用いる紙は、一般に用いられている紙を使用してもよいが、伸長性が高い紙を用いると成形を容易に行うことができる。伸長性が高い紙を用いる場合には、成形後の形状に合わせて、適性な伸長率を持った紙を適宜選択する。
また、胴部材10に用いる紙は、熱シール可能な樹脂が片面又は両面にコート(ラミネート)されている。コートする樹脂はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等、胴貼りが出来る樹脂であればどのようなものでもよい。
胴部材10の層構成としては、以下のような形態を例示することができる。
(1)紙200(g/m)/PE厚さ30μm
(2)PE厚さ15μm/紙200(g/m)/PE厚さ30μm
(3)PE厚さ15μm/紙200(g/m)/(接着性樹脂)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)厚さ10μm/PE厚さ30μm
(4)PE厚さ15μm/紙200(g/m)/(接着性樹脂)/透明蒸着フィルム(大日本印刷株式会社製、IB-FILM)厚さ12μm/PE厚さ30μm
なお、紙の坪量は、200g/mに限定されるものでなく、例えば、150g/m、115g/mとしてもよい。
【0020】
接続部11は、胴部材10に用いる矩形形状の紙を熱シールして接続する部位である。なお、本実施形態では接続部を熱シールしているが、接着剤を用いて接続してもよい。
2つの開口部12と開口部13とは、それぞれの周長が同じになっている。この開口部12に対する端部14と開口部13に対応する端部15とは、いずれもブロー成形によって変形されていない部分である。端部14、15をこのような形状とすることにより、注出部材20及び閉塞部材30の取り付けが容易となる。
【0021】
突出部16、17は、端部(一端)14と端部(他端)15を繋ぐ直線Lよりも外側に突出して張り出した部位である。
図3及び図4に示す断面は、胴部材10の一方の開口部12の中心と他方の開口部13の中心とを結ぶ中心線Oを通り中心線Oに沿った方向で切断した縦断面である。この縦断面において、胴部材10は、胴部材10の端部(一端)14と端部(他端)15とを結ぶ直線Lから胴部材10の突出部16、17が図4中の距離d以上離れる立体的形状に構成されている。この距離dは、2mm以上であれば、形状の変化を視認しやすいため望ましく、より形状の変化を与えるためには、3mm以上であることが望ましく、4mm以上であることがさらに望ましい。
【0022】
本実施形態では、突出部16、17は、全周にわたって略同じ量突出しており、端部14、15の断面形状も円形であることから、上述した距離dは、いずれの位置においても略同量となる。しかし、突出部の立体的形状は適宜変更することができ、突出部の形状によっては、全周にわたって同じ量突出していない形態となることもあり得る。また、端部の断面形状についても、例えば四角形とすることも可能である。そのような場合には、切断位置が変わると距離dが変わることとなるが、位置によって距離dが変化する場合には、距離dが最大となる位置において、上記条件(2mm以上、3mm以上、4mm以上)を満たすことが望ましい。部分的にであっても、上記条件を満たせば、形状の変化を十分に視認可能となるからである。
【0023】
突出部16、17は、胴部材10の全周にわたって継続して突出した立体的形状となっている。この立体的形状としては、胴部材10の表面が少なくとも半周以上にわたって継続して突出又は凹んだ立体的形状であることが望ましい。半周以上にわたって継続して突出又は凹んでいることにより、様々な方向から立体的形状を認識することができるからである。
【0024】
また、胴部材10の立体的形状(突出部16、17)は、後述するブロー成形を行ったことにより、胴部材10の接続部11の接続を解除した状態において、胴部材10に皺や破れを生じさせることなく平面に伸ばすことができない形状となっている。ここで、接続部11の接続を解除とは、接続されているシールを剥がすことの他、刃物等によって切断して接続を解除することも含む意味である。
胴部材10は、上述したように従来の紙容器と比べて非常に凹凸形状の大きな特徴的な形状となっており、意匠性を向上させ、また、持ちやすい形状とすることができる。
【0025】
なお、突出部16、17は、紙に型押しをして凹凸パターンを形成するいわゆるエンボスパターンとは全く異なるものであり、上述したようにエンボスパターンよりも大きな範囲にわたって凸、又は、凹となる形状であり、後述のブロー成形によってのみ形成可能な形状である。エンボスパターンを紙に形成した後に容器の形にしたとしても、本実施形態のような大きな範囲にわたる特徴的な立体形状は作成することはできない。
【0026】
注出部材20は、開口部13(端部15の内面側)に取り付けられており、内容物を注出可能とする注出口21を備えている。注出口21から、容器1内の内容物を注出することができる。なお、注出口21には、不図示の蓋部材等をねじにより着脱可能としてもよいし、ヒンジを備える蓋を設けてもよいし、注出口21をシールし開封時に剥がされて廃棄されるリクローズ不可の蓋部材を設けてもよく、従来公知の蓋構成を適宜適用可能である。本実施形態の注出部材20は、樹脂成形品であり、端部15に接着されている。
【0027】
閉塞部材30は、開口部12(端部14の内面側)に取り付けられており、開口部12を閉鎖している。本実施形態の閉塞部材30は、胴部材10と同じ紙によってトレー状に形成されており、胴部材10に熱シール又は接着によって接合されている。閉塞部材30は、図4中に併記した閉塞部材30Bのように樹脂等により構成された円柱形状等のブロック形態としてもよい。また、閉塞部材30は、紙により構成した場合には、図4中に併記した閉塞部材30Cのように折り返し部分31を設けて、これを胴部材10の端部14の外周面にさらに接合するようにしてもよい。
【0028】
図5は、胴部材10の立体的形状を賦形するブロー成形工程を説明する図である。なお、図5及び後に成形型を示す図では、見やすくするために成形型同士及び被成形品等(中間体100等)は、それぞれの間に隙間を開けて示しているが、実際には、これらは密着している。
本実施形態における容器1の製造方法では、中間体100に注出部材20と閉塞部材30とを予め取り付けた状態で、これを成形型内に配置し、中間体100をブロー成形することにより、胴部材10の立体的形状を賦形して容器1を製造する。
ブロー成形に用いる成形型は、例えば、図5に示すように、胴型510と、天型520と、底型530とにより構成することができる。
【0029】
ブロー成形を行う前に、胴部材10の材料となる紙に樹脂層をラミネートする等の必要な処理を行った後に、所定の矩形形状のブランクに打ち抜く。ラミネートは片面でもよいし両面でもよいが、片面の場合には、内側となる面にラミネートされることが、内容物の漏れ防止の観点で望ましい。なお、必要に応じて印刷等を行ってもよい。次に、打ち抜いたブランクを円筒形状に対向する2辺を接続して中間体100を作製する。
また、胴部材10のブランクとは別に、閉塞部材30を別途作製する。閉塞部材30を樹脂により作製する場合には、射出成形により作製したり、シート成形により作製したりすることができる。閉塞部材30を紙により作製する場合には、例えば円形のブランクに打ち抜く等し、胴部材10との接合面とするために縁を折り返した形状に成形する。なお、縁を折り返しやすくするために罫線等を設けてもよい。
【0030】
次に、中間体100に注出部材20と閉塞部材30とを熱シールや接着等により取り付けて、成形型内に収める。注出部材20には、注出口21が開口しているので、この注出口から高圧気体を容器内部に送り、中間体100を胴型510に沿った形状に賦形して胴部材10の立体形状とする。
ブロー成形は、圧力0.5MPa以上で行うことが望ましい。圧力が0.5MPaより低いと、成形後の胴部材10の剛性が不十分で簡単に形状が変形してしまうからである。また、ブロー成形は、圧力1.5MPa以下で行うことが望ましく、0.6MPa以下がより望ましい。圧力が1.5MPaより大きいと、注出部材20や閉塞部材30の接続部等が損傷するおそれが高くなるからである。
また、成形時の加圧時間は、例えば、1秒以上であることが望ましく、また、5秒以下であることが望ましい。さらに、ブロー成形の環境温度は、例えば、20℃以上であることが望ましい。なお、温度の下限上限は胴部材に含まれる樹脂によって異なり、特に上限は胴部材に含まれる樹脂の融点以下であることが望ましい。ブロー成形の環境湿度は、例えば、30%以上であることが望ましく、また70%以下であることが望ましい。
【0031】
また、ブロー成形の具体的な工程は、適宜変更可能である。
図6は、ブロー成形の工程の第1の変形形態を示す図である。
図6に示すように、注出部材20を中間体100に取り付けた状態で、もう一方の開口部12には閉塞部材30を取り付けずに、開口部12側から圧縮気体を送ってもよい。また、図示はしないが、閉塞部材30を中間体100に取り付けた状態で、もう一方の開口部13には閉塞部材30を取り付けずに、開口部13側から圧縮気体を送ってもよい。
【0032】
図7は、ブロー成形の工程の第2の変形形態を示す図である。
図7に示すように、注出部材20及び閉塞部材30を中間体100に取り付けずに、開口部12(又は開口部13)側から圧縮気体を送ってもよい。
【0033】
以上説明したように、第1実施形態によれば、胴部材10をブロー成形することにより、従来得られなかったような、より大きな立体的形状を持った容器を、紙を使用した形態で実現することができる。よって、意匠性に優れ、持ちやすい容器とすることができ、かつ、環境負荷の低い容器とすることができる。また、外側へ向かって凸になって膨らむ形状とすることにより、容量の増加を図ることができる。
【0034】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の容器1Bを示す図である。
第2実施形態は、注出部材20を備えない他は、基本的には第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0035】
第2実施形態の容器1Bは、開口部13が塞がれておらず開放された形態である。
本実施形態の胴部材10は、下方の開口部12が閉塞部材30により閉塞されており、下方の開口部12の開口面積よりも上方の開口部13の開口面積が広いカップ形状となっている。
また、本実施形態の胴部材10には、突出部16が1カ所全周にわたって設けられている。このように突出部は1カ所としてもよく、また、2箇所以上に設けられていてもよい。突出部16は、円錐台状の筒形状の中間体を成形型に配置し、第1実施形態と同様にブロー成形によって形成される。
【0036】
突出部16は、端部(一端)14と端部(他端)15を繋ぐ直線Lよりも外側に突出して張り出した部位である。
図8に示す断面は、胴部材10の一方の開口部12の中心と他方の開口部13の中心とを結ぶ中心線を通り中心線に沿った方向で切断した縦断面である。この縦断面において、胴部材10は、胴部材10の端部(一端)14と端部(他端)15とを結ぶ直線Lから胴部材10の突出部16が図8中の距離d以上離れる立体的形状に構成されている。この距離dは、2mm以上であれば、形状の変化を視認しやすいため望ましく、より形状の変化を与えるためには、3mm以上であることが望ましく、4mm以上であることがさらに望ましい。
【0037】
さらに、本実施形態の容器1Bは、開口部13の側の端部15の最上端に、トップカール部19が設けられている。このトップカール部19は、上端の縁部分を外側に丸めて構成されており、コップとして利用するときの口触りを良好にするとともに、容器1Bを手で掴んだ場合に変形してしまうのを抑制する。
なお、図8に示す形態では、端部14の周長と端部15の周長とは異なっているが、両者の周長を同じとしてもよい。
【0038】
以上説明したように、第2実施形態によれば、上方を開放した形態としたので、コップとして利用可能な容器において、従来得られなかったようなより大きな立体的形状を持った容器を、紙を使用した形態で実現することができる。よって、意匠性に優れ、持ちやすい容器とすることができ、かつ、環境負荷の低い容器とすることができる。また、外側へ向かって凸になって膨らむ形状とすることにより、容量の増加を図ることができる。また、トップカール部19を設けることにより、口触りを良好にすることができる。
【0039】
(立体的形状の変形形態)
ブロー成形により成形する立体的形状は、先に示した球形状のような回転体形状に限らず、各種変形が可能である。
図9は、ブロー成形により成形する立体的形状の変形形態を示す図である。
図9に示す容器1Cのように一方の端部を四角形として四角形断面が膨らむような形態としてもよい。図9に示す容器1Cは、端部14の断面形状が四角形である他は、第1実施形態の容器1と同様であり、端部15に注出部材20が設けられており、端部14に閉塞部材30が設けられている。また、突出部16、17は、上下方向に並んで2つの膨らみとして構成されている。突出部17の端部14側は、断面形状が円形状から四角形形状へと徐々に変化している。この場合、容器が横に倒れた場合に転がったりすることなく安定させることができる。
なお、図9に示す形態では、端部14の周長と端部15の周長とは異なっているが、両者の周長を同じとしてもよい。
【0040】
図10は、ブロー成形により成形する立体的形状の変形形態を示す図である。
図10に示す容器1Dのように、突出した先端に尖った部分を有する形態としてもよい。図10に示す容器1Dは、突出部16、17が略双円錐形状の一部形状となって突出した形状である他は、第1実施形態と同様であり、端部15に注出部材20が設けられており、端部14に閉塞部材30が設けられている。この場合において、図10では突出した部分が上下2か所設けられている例を示したが、1カ所であってもよいし、3カ所以上でよいことも、先の例と同様である。
【0041】
図11は、ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図11に示すように、全周にわたって1つの突出した立体的形状が一方に偏って配置された形態としてもよい。図11に示す胴部材10では、突出部16のみが全周にわたって突出している。また、突出部16は、端部14よりも端部15側に寄った位置において最大突出位置となるように配置されている。また、図示しないが、端部14の内周側には、第1実施形態と同様に閉塞部材30を設けることができる。また、図11に示す例では、端部15側は開放された形態であるが、第1実施形態と同様に注出部材20を設けてもよい。
【0042】
図12は、ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図12に示すように、上部の開口部は円形とし、下部の開口部(閉塞部材により閉塞されている)は四角形として、膨らむ形状が2つ設けられている形態としてもよい。図12に示す胴部材10では、突出部16、17が全周にわたって突出しており、突出部16と突出部17の境界部分は第1実施形態とは異なり滑らかに曲面で繋がっている。また、端部14の断面形状は四角形となっている。また、図示しないが、端部14の内周側には、第1実施形態と同様に閉塞部材30を設けることができる。また、図12に示す例では、端部15側は開放された形態であるが、第1実施形態と同様に注出部材20を設けてもよい。
【0043】
図13は、ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図13に示すように、上部及び下部に近い2つの位置において、断面形状が略円弧状の形状でリング状に全周にわたって膨らむ形態としてもよい。図13に示す胴部材10では、突出部16、17が全周にわたって突出しており、突出部16は、端部15に寄った位置に配置され、突出部17は、端部14に寄った位置に配置されており、突出部16と突出部17とは、間隔を空けて配置されている。突出部16と突出部17との間は、円筒形状に形成されている。また、図示しないが、端部14の内周側には、第1実施形態と同様に閉塞部材30を設けることができる。また、図13に示す例では、端部15側は開放された形態であるが、第1実施形態と同様に注出部材20を設けてもよい。
【0044】
図14は、ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図14に示すように、上下方向に沿って細長く断面形状が円弧状に膨らむ形状を複数配置する形態としてもよい。図14に示す胴部材10では、断面形状(突出部18の延在する方向に直交する方向の断面における断面形状)が略円弧状に膨らむ突出部18が上下方向に細長く配置されている。また、突出部18は、周方向に複数配列されている。また、図示しないが、端部14の内周側には、第1実施形態と同様に閉塞部材30を設けることができる。また、図14に示す例では、端部15側は開放された形態であるが、第1実施形態と同様に注出部材20を設けてもよい。
【0045】
図15は、ブロー成形により成形する胴部材10の立体的形状の変形形態を示す図である。
図15に示すように、断面形状が円弧状の膨らみをらせん状に配置してもよい。図15に示す胴部材10では、断面形状(突出部16のらせんの延在する方向に直交する方向の断面における断面形状)が略円弧状に膨らむ突出部18が密着したらせん状に配置されている。また、図示しないが、端部14の内周側には、第1実施形態と同様に閉塞部材30を設けることができる。また、図14に示す例では、端部15側は開放された形態であるが、第1実施形態と同様に注出部材20を設けてもよい。
【0046】
(その他の変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本開示の範囲内である。
【0047】
(1)各実施形態において、ブロー成形によって形成する立体的形状は、大きな凸形状を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、トランペットのベル部分のように表面形状側から見ると凹形状と見えるような形状となるように一端側を膨らませて成形してもよい。
【0048】
(2)各実施形態において、ブロー成形によって形成する立体的形状は、大きな凸形状であって表面は滑らかな曲線である例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、大きな凸形状や凹形状の立体的形状の表面にさらに細かいエンボスパターンを設けてもよい。
【0049】
(3)各実施形態において、注出部材20は、胴部材10に接続される部位と注出口21とが一体になっている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、注出口21を備える部材と、胴部材10に接続される部材とを分けて構成してもよい。
【0050】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本開示は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0051】
1、1B、1C、1D 容器
10 胴部材
11 接続部
12 開口部
13 開口部
14 端部
15 端部
16 突出部
17 突出部
18 突出部
19 トップカール部
20 注出部材
21 注出口
30、30B、30C 閉塞部材
100 中間体
510 胴型
520 天型
530 底型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15