(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160107
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
G06F3/041 662
G06F3/041 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064638
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】萩原 秀幸
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で高い意匠性を実現したタッチパネルの提供。
【解決手段】タッチパネル10は、第1電極基板14をケース20に対して位置決めする位置決め構造として、第1電極基板14の下面に凹部34を設け、ケース20の内側底面にボス又はリブ等の凸部36を設け、凹部34と凸部36とを係合させることによって基板アセンブリ26をケース20に対して位置決めし、粘着層28で固定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電膜を有する第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する第2導電膜を有する第2電極基板と、
前記第1電極基板及び前記第2電極基板を収容するケースと、
前記第1電極基板を前記ケースに対して位置決めする位置決め構造と、を備え、
前記位置決め構造は、前記ケースに形成された凸部と、前記第1電極基板に形成されて前記凸部に係合する凹部とを有する、タッチパネル。
【請求項2】
前記第2電極基板に形成された加飾部をさらに備え、前記凹部及び前記凸部は、前記加飾部の下方投影領域内に配置される、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記凹部は、前記第1電極基板の表面に垂直な方向に延びる貫通孔である、請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記凹部は、前記第1電極基板の外周端面の全周に亘って、前記第1電極基板の側面に平行に延びる溝である、請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記凸部は、前記凹部にスナップ式に係合するスナップフィット構造を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記凹部は、前記第1電極基板の外周端面に形成され、
前記第2電極基板は、その外周部において、前記第1電極基板より大きくなるよう拡張部分を有する、請求項5に記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースを備えたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜方式、静電容量方式、静電結合方式等の種々のタッチパネルが知られているが、例えば抵抗膜方式のタッチパネルには、ガラス基板の貫通孔に導電ピンを挿入し、抵抗膜と外部端子とを導通接続するものがある(例えば特許文献1参照)。また、液晶パネル及び下部カバーの双方に孔を形成し、孔内にシリンダ状のガイド手段を設けて光学シートを固定する構造を備えた異形ディスプレイが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/014020号
【特許文献2】特開2017-102451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、意匠性を重視し、操作面に加飾部を設け、電極基板の外周部を覆うベゼルやフロントケースを使用しない構造のタッチパネルのニーズが高まっている。しかしこのようなタッチパネルは、意匠性が高い一方で、操作面を有する基板アセンブリをケースに対して正確に位置決め・固定することが難しく、操作面とケースとの間に比較的大きな隙間が生じ、タッチパネルとしての見栄えが悪くなることがある。
【0005】
そこで本発明は、高い意匠性を簡易な構成で実現するタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1導電膜を有する第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する第2導電膜を有する第2電極基板と、前記第1電極基板及び前記第2電極基板を収容するケースと、前記第1電極基板を前記ケースに対して位置決めする位置決め構造と、を備え、前記位置決め構造は、前記ケースに形成された凸部と、前記第1電極基板に形成されて前記凸部に係合する凹部とを有する、タッチパネルである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ケースと操作面との間の隙間によって見栄えが低下せず、意匠性の高いタッチパネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例に係るタッチパネルの上面図である。
【
図3】
図1のタッチパネルのA-A′断面図である。
【
図6】
図5のタッチパネルのC-C′断面図である。
【
図7】第2実施例に係るタッチパネルの断面図である。
【
図9】第3実施例に係るタッチパネルの部分拡大図である。
【
図10】第4実施例に係るタッチパネルの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を用いて本開示の実施例を説明する。また、以下の実施例において同一又は類似の要素には共通の参照符号を付けて示し、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0010】
(第1実施例)
図1は第1実施例に係るタッチパネル10の概略上面図であり、
図2は
図1のタッチパネル10の分解斜視図であり、
図3は
図1のタッチパネル10のA-A′断面図であり、
図4は
図3のB部の拡大図である。タッチパネル10は、第1導電膜としてのITO(Indium Tin Oxide)12を有する第1電極基板14と、ITO12に対向する第2導電膜としてのITO16を有する第2電極基板18と、第1電極基板14及び第2電極基板18を収容するケース20とを備える。本実施例では、第1電極基板14はガラス基板であり、第2電極基板18はPET(Polyethylene terephthalate)等の樹脂製フィルム基板である。
【0011】
第2電極基板18は、導電性の加飾部22を有する。加飾部22は意匠印刷として枠状に形成される。また加飾部22の外形寸法は、第2電極基板18の外形寸法と実質的に一致している。加飾部22は、両面粘着テープ等の粘着層24によって第1電極基板14に接着されており、その結果、第1電極基板14及び第2電極基板18を含む基板アセンブリ26が構成される。
【0012】
第1電極基板14の下部は、両面粘着テープ等の粘着層28によってケース20に固定される。ケース20は樹脂の射出成形等によって一体的に形成される。タッチパネル10は、いわゆるベゼル又はフロントケースを有さないタイプであり、デザイン性を高めるために、第1電極基板14と第2電極基板18はほぼ同じ外形寸法を有し、ケース20の上端面30は第2電極基板18の操作面32と実質同じ高さになっている。なお第1電極基板14の下方には、LCDや有機ELパネル等の表示器(図示せず)を設けてもよい。
【0013】
図5は、比較例に係るタッチパネル110の概略上面図であり、
図6は
図5のタッチパネル110のC-C′断面図である。タッチパネル110も、いわゆるベゼル又はフロントケースを有さないタイプであり、ケース120の上端面130は第2電極基板118の操作面132と実質同じ高さになっている。第1電極基板114と第2電極基板118はほぼ同じ外形寸法を有し、両部材は両面粘着テープ124等で互いに接着されて基板アセンブリ126を構成する。第2電極基板118に印刷等により形成された加飾部122の外形寸法は、第2電極基板18の外形寸法にほぼ等しい。また、ケース120の内側寸法は、第1電極基板114の外側寸法に対してやや大きく設定されており、両部材は両面粘着テープ128等で互いに接着される。
【0014】
タッチパネル110では、基板アセンブリ126を上方からケース120内に落とし込むようにしてケース120内に固定する。そのため、上記の通り、ケース120の内側寸法を第2電極基板118の外形寸法に対してやや大きく設定し、両部材間にいくらかの隙間を設ける必要がある。しかしながら、タッチパネル110の4辺全てにおいて第2電極基板118とケース120との隙間が均一になるように第1電極基板14をケース120に位置決め・固定することは困難であった。
【0015】
具体的には、タッチパネル110では、基板アセンブリ126をケース120内に実装する際に、先ずケース120の内表面の一部に基板アセンブリ126の外表面を突き当てる作業を行う。例えば
図5では、ケース120の左上部133に基板アセンブリ126を突き当てるので、そのまま基板アセンブリ126を固定してしまうと、ケース120の右下部135において、ケース120と基板アセンブリ126との間に隙間137が生じる。この隙間の幅が0.5mm~1mm程度であると、ユーザに隙間が視認できてしまい、タッチパネルの見栄えが悪くなる。また隙間から異物等が混入し、タッチパネルの機能が悪影響を受ける虞もある。
【0016】
そこで第1実施例では、第1電極基板14をケース20に対して位置決めする位置決め構造として、第1電極基板14の下面に凹部34を設け、ケース20の内側底面にボス又はリブ等の凸部36を設け、凹部34と凸部36とを係合させることによって基板アセンブリ26をケース20に対して位置決めし、粘着層28で固定する。このようにすれば、比較例のように基板アセンブリをケースに実装する際にケースの内面に突き当てる必要がなくなるので、基板アセンブリ26はケース20内で偏在せず、
図1に示すように第2電極基板18とケース20との隙間が全周に亘って一様な、意匠性の高いタッチパネル10が提供される。
【0017】
図示例では、凹部34は第1電極基板14の表面に垂直な方向に延びる貫通孔である。凹部34は、凸部36との係合の観点では必ずしも第1電極基板14を貫通するものでなくてもよいが、加工の容易性等の観点からは、貫通孔として形成されることが好ましい。凹部34を貫通孔として形成する場合、組み立て時に凸部36が加飾部22に接触しないように、凸部36の高さは、第1電極基板14の厚さより小さいことが望ましい。
【0018】
図示例では、凸部36は、凹部(貫通孔)34の内径より小さい外径を有する上端部38と、凹部34の内径と実質等しい外径を有する下端部40とを備えた円錐台として、ケース20の内側底面の上に立設される。ここで「実質」とは、凹部34の内径が突起36の下端部40の外径より僅かでも小さいと、ガラス製の第1電極基板14が組立時に損傷する虞があることから、凹部34の内径は円錐台36の下端部40の外径よりいくらか大きくすることが望ましいが、その差は、第1電極基板14がケース20に対して面方向に、視認できる程度に変位し得るような差ではないことを意味する。
【0019】
加飾部22は濃色又は不透光性の導電性カーボンであり、その背後に存在する部材は視認できない。そこで
図4に示すように、凹部34及び凸部36を、加飾部22の下方投影領域内に配置することにより、凹部34及び凸部36はユーザに視認されず、タッチパネル10の見栄えを損なわない。また凹部34内の空気は、第1電極基板14、ケース20、粘着層24及び28、並びに加飾部22によって画定された空間内に封止されるので、ITOである第2導電膜16には接触せず、故に第2導電膜16(ITO)の酸化を防止することができる。第1導電膜12については、その端面のみが凹部34内の空気に触れることになるが、その面積は微小であるので、第1導電膜12(ITO)の大半も酸化が防止される。また加飾部22の酸化を防止するために、加飾部22は耐候性のある材料から形成されることが好ましい。
【0020】
図示例では、凹部34及び凸部36はそれぞれ、タッチパネル10の短辺の略中央の2箇所に形成されているが、本開示はこれに限られない。例えば、タッチパネル10の4隅のうち、1つの対角線上にある2つの隅に凹部34及び凸部36をそれぞれ設けてもよいし、4隅の全てに設けてもよい。なお凹部34及び凸部36がそれぞれ1つであると、基板アセンブリ26の位置決め・固定時に基板アセンブリが凸部36について回転変位してしまうことがあるので、凹部34及び凸部36はそれぞれ2つ以上であることが好ましい。
【0021】
図7は、第2実施例に係るタッチパネル10bの側断面図であり、
図8は
図7のD部の拡大図である。第2実施例において、第1実施例と同様でよい構成要素については、第1実施例と同じ参照符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0022】
タッチパネル10bでは、第1電極基板14をケース20に対して位置決めする位置決め構造として、第1電極基板14の下面に凹部42を設け、ケース20の内側底面に凸部としてスナップフィット44を設け、スナップフィット44を凹部42にスナップ式に係合させることによって基板アセンブリ26をケース20に対して位置決めし固定する。このようにすれば、比較例のように基板アセンブリをケース内に実装する際にケースの内面に突き当てる必要がなくなるので、基板アセンブリ26はケース20内で偏在せず、
図1に示すように第2電極基板18とケース20との隙間が全周に亘って一様な、意匠性の高いタッチパネル10が提供される。
【0023】
第1実施例では、第1電極基板14とケース20との固定に粘着層28を使用するが、第2実施例ではスナップフィット44が位置決め機能に加えて固定機能も具備するので、粘着層28は使用しなくてもよい。但し、基板アセンブリが比較的大きい場合又は重い場合等、スナップフィットだけではケースと基板アセンブリとの間の固定力が不足し得る場合は、図示するように粘着層28を設けてもよい。
【0024】
凹部42は、第1電極基板14を面方向に垂直に貫通する貫通孔である。凹部42は、スナップフィット44との係合の観点では必ずしも第1電極基板14を貫通するものでなくてもよいが、加工の容易性等の観点からは、貫通孔として形成されることが好ましい。また凹部42を貫通孔として形成する場合、組み立て時に係止部48が加飾部22に接触しないように、スナップフィット44の高さは、第1電極基板14の厚さより小さいことが望ましい。凹部42の上方には、凹部42と同心でかつ凹部42より大径のザグリ穴50が形成されている。
【0025】
スナップフィット44は、ケース20の内側底面に立設された棒状の基部46と、面方向について互いに反対方向に延びるように基部46に接続された少なくとも2つの爪状の係止部48とを有し、2つの係止部48は、互いに対して面方向に接離するように弾性変位可能に構成される。さらにスナップフィット44における係止部48の各々は、傾斜面を有することが好ましい。このようにすれば、基板アセンブリ26をケース20内に実装するときに、2つの係止部48が互いに接近するように弾性変形することで凹部42を通過し、通過後は2つの係止部48が互いに離隔するように変位してザグリ穴50に係止して、その結果、基板アセンブリ26がケース20に対して正確に位置決めされて固定される。
【0026】
加飾部22は濃色又は不透光性の導電性カーボンであり、その背後に存在する部材は視認できない。そこで
図8に示すように、スナップフィット44、凹部42及びザグリ穴50を、加飾部22の下方投影領域内に配置することにより、スナップフィット44、凹部42及びザグリ穴50はユーザに視認されず、タッチパネル10bの見栄えを損なわない。また凹部42内の空気は、第1電極基板14、ケース20、粘着層24及び28、並びに加飾部22によって画定された空間内に封止されるので、ITOである第2導電膜16には接触せず、故に第2導電膜16(ITO)の酸化を防止することができる。第1導電膜12については、その端面のみが凹部42内の空気に触れることになるが、その面積は微小であるので、第1導電膜12(ITO)の大半も酸化が防止される。また加飾部22の酸化を防止するために、加飾部22は耐候性のある材料から形成されることが好ましい。
【0027】
スナップフィット44及び凹部42はそれぞれ、
図2に示す第1実施例と同様に、タッチパネル10の短辺の略中央の2箇所に形成することができるが、本開示はこれに限られない。例えば、タッチパネル10bの4隅のうち、1つの対角線上にある2つの隅にスナップフィット44及び凹部42をそれぞれ設けてもよいし、4隅の全てに設けてもよい。なおスナップフィット44及び凹部42がそれぞれ1つであると、基板アセンブリ26の位置決め・固定時に基板アセンブリがスナップフィット44について回転変位してしまうことがあるので、スナップフィット44及び凹部42はそれぞれ2つ以上であることが好ましい。
【0028】
図9は、第3実施例に係るタッチパネル10cの部分拡大図である。第3実施例において、第1実施例と同様でよい構成要素については、第1実施例と同じ参照符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0029】
タッチパネル10cは、凸部としてスナップフィットを用いる点ではタッチパネル10bと共通するが、タッチパネル10bのようにスナップフィットを貫通孔に通すのではなく、第1電極基板14の外周端面に設けた凹部58に係合させる。具体的には、タッチパネル10cが有するスナップフィット52は、ケース20の内側底面に形成された棒状の基部54と、基部54から面方向内側に延びる爪状の係止部56とを有し、係止部56は、面方向に弾性変位可能に構成される。
【0030】
組み立て時に係止部56が加飾部22に接触しないように、スナップフィット52の高さは、第1電極基板14の厚さより小さいことが望ましい。第1電極基板14の外周端面には、係止部56を受容可能な凹部58が形成される。このようにすれば、基板アセンブリ26をケース20内に実装するときに、係止部56が凹部58内に進入して係合し、その結果、基板アセンブリ26がケース20に対して正確に位置決めされて固定される。
【0031】
スナップフィット52は、第1電極基板14をケース20に対して押し付ける力に加え、外周から中央に向かう側圧も第1電極基板14に加えることができる。そこでスナップフィット52及び凹部58は、例えば
図2に示すようなタッチパネル中心について互いに反対側の位置に、少なくとも2つ設けられることが好ましい。このようにすれば、第1電極基板14をケース20に対してより安定的に位置決め・固定することができる。
【0032】
スナップフィット52は、第1電極基板14の外周端面に隣接配置されるので、ケース20と第2電極基板18との間の隙間から、スナップフィット52がユーザに視認されてしまい、タッチパネル10bの見栄えが損なわれる虞がある。そこで
図9に示すように、第2電極基板18の外周部において、第1電極基板14より大きくなるように拡張部分60を形成し、拡張部分60を含む第2電極基板18に形成された濃色又は不透光性の加飾部22の下方投影領域内にスナップフィット52が包含されるようにすることが好ましい。このようにすれば、スナップフィット52はユーザに視認されず、タッチパネル10bの見栄えは損なわれない。なお凹部58は、加工のし易さ等の観点から、第1電極基板14の外周端面の全周に亘って、第1電極基板14の側面に平行に延びる溝として形成されることが好ましい。
【0033】
図10は、第4実施例に係るタッチパネル10dの部分拡大図である。第4実施例において、第3実施例と同様でよい構成要素については、第3実施例と同じ参照符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0034】
タッチパネル10dは、第1電極基板14の外周端面に隣接配置されたスナップフィット52を用いる点ではタッチパネル10cと共通するが、タッチパネル10cの凹部58よりも深い凹部62を有する点でタッチパネル10cと異なる。
【0035】
タッチパネル10cにおいては、凹部58は係止部56を受容可能な深さを備えて設けられた。タッチパネル10dにおいては、凹部62は係止部56のみならず、基部54も受容可能な深さを備える。このためタッチパネル10dにおいては、第1電極基板14に形成された凹部62に対してスナップフィット52が係合したときに、スナップフィット52は第2電極基板18に形成された濃色又は不透光性の加飾部22の下方投影領域内に包含されることになる。よって第4実施例では、タッチパネル10cのように、第2電極基板18が第1電極基板14よりも大きくなるように拡張部分60を形成する必要がない。
【0036】
なお凹部62も、タッチパネル10cの凹部58と同様に、加工のし易さ等の観点から、第1電極基板14の外周端面の全周に亘って、第1電極基板14の側面に平行に延びる溝として形成されることが好ましい。
【0037】
第3実施例及び第4実施例ではスナップフィットが位置決め機能に加えて固定機能も具備するので、粘着層28は必ずしも必要ではない。但し、基板アセンブリが比較的大きい場合又は重い場合等、スナップフィットだけではケースと基板アセンブリとの間の固定力が不足し得る場合は、図示するように粘着層28を設けてもよい。
【0038】
第1~第4実施例のいずれにおいても、第1電極基板14に凹部を形成する加工方法としては、レーザードリリング加工、ウォータージェット加工、研磨(砥石)加工、超音波加工、ポリッシング加工、又はこれらの組み合わせが挙げられる。またケース20にボスやスナップフィット等の凸部を形成する方法としては、樹脂の射出成形等によってケース20と一体的に成形することが挙げられるが、凸部を有さないケース20を射出成形等で成形した後に、凸部に相当する部材を接着剤等で取り付けてもよい。
【0039】
上述の実施例はいずれも抵抗膜方式タッチパネルを対象として説明したが、本開示はこれに限られない。例えば、本開示に係るタッチパネルは静電容量方式又は静電結合方式でもよいし、抵抗膜方式である場合でも4線式、5線式、7線式又は8線式等のいずれでもよい。また、ITOは導電ポリマー等に置換されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10,10b,10c,10d,110 タッチパネル、12 ITO、
14 第1電極基板、16 ITO、18 第2電極基板、20 ケース、
22 加飾部、24,28 粘着層、26 基板アセンブリ、34,42 凹部、
36 ボス、44,52 スナップフィット、50 ザグリ穴、58,62 溝