(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160110
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20221012BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20221012BHJP
【FI】
G08B21/24
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064642
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】槇 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】影本 多加夫
【テーマコード(参考)】
5C086
5L049
【Fターム(参考)】
5C086AA21
5C086BA17
5C086BA19
5C086CB37
5C086DA08
5C086EA11
5C086EA13
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA06
5C086FA18
5L049CC41
(57)【要約】
【課題】線路閉鎖工事の終了予定時刻またはその近くになっても回収済みとなっていない線路閉鎖用表示灯がある場合、その旨を報知することを可能とする技術を提供する。
【解決手段】置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システムは、鉄道用の線路の工事作業に用いられ、情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯と、識別情報を読み取る読み取り手段と、読み取られた情報を記憶する記憶手段と、線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、回収予定時刻と、を対応づけて記憶させる登録手段と、アラート時刻を設定するアラート設定手段と、読み取られた識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、回収済みと判定されていない線路閉鎖用表示灯にかかるアラート時刻になると、未回収であることを報知出力する報知手段と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯と、
前記情報記録部に記録された前記識別情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた情報を記憶する記憶手段と、
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録手段と、
前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理手段と、
前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知手段と、
を備える置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
【請求項2】
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の使用場所を示す使用場所情報の入力を受け付ける使用場所受付手段と、情報記録部作成手段と、をさらに備え、
前記情報記録部作成手段は、前記使用場所受付手段が前記使用場所情報の入力を受け付けると、前記線路閉鎖用表示灯に係る前記識別情報と前記使用場所情報とが記録された前記情報記録部を作成する請求項1に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
【請求項3】
前記情報記録部作成手段は、所定の面に蓄光剤を塗布して蓄光剤層が設けられたシートの当該所定の面に前記情報記録部を作成することを特徴とする請求項2に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
【請求項4】
前記報知手段は、前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻より第一期間前の時刻になると、前記報知出力とは異なる報知出力を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
【請求項5】
表示手段をさらに備え、
前記表示手段は、
前記登録手段によって前記記憶手段に前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、が対応づけて記憶されると、当該線路閉鎖用表示灯が前記読み取り手段によって読み取られたことを示す情報を表示し、
前記回収処理手段によって前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定すると、当該回収済みと判定された前記線路閉鎖用表示灯が回収された旨を示す情報を表示する請求項1から請求項4の何れか一項に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
【請求項6】
携帯端末をさらに備え、
前記携帯端末は、前記読み取り手段、前記記憶手段、前記予定時刻受付手段、前記登録手段、前記アラート設定手段、前記回収処理手段および前記報知手段を備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
【請求項7】
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯とともに用いられる携帯端末であって、
前記情報記録部に記録された前記識別情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた情報を記憶する記憶手段と、
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録手段と、
前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理手段と、
前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知手段と、
を備える携帯端末。
【請求項8】
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯とともに用いられ、前記識別情報の読み取り手段および記憶手段を備える携帯端末を動作させるコンピュータプログラムであって、
前記情報記録部に記録された前記識別情報を前記読み取り手段により読み取る読み取り処理と、
前記読み取り手段によって読み取られた情報を前記記憶手段に記憶させる記憶処理と、
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付処理と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録処理と、
前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定処理と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理と、
前記回収処理により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知処理と、
を前記携帯端末に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられる線路閉鎖用表示灯であって、
架台と、前記架台の上部に設けられ前記工事作業の照明に用いられる発光部と、前記線路閉鎖用表示灯の個体を識別する識別情報が記憶された二次元バーコードと、を有し、
所定の面に蓄光剤を塗布して蓄光剤層が設けられたシートの当該所定の面に前記二次元バーコードが設けられており、前記シートが前記架台または前記発光部に貼付されていることを特徴とする置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路閉鎖工事の際に用いられる表示灯管理システム技術に関する。
【背景技術】
【0002】
線路工事の際に用いられる工具類の置き忘れを防ぐ方法として、工具に二次元コードを付し、作業開始前に二次元コードを撮影し、二次元コードが示す工具識別情報を認識し、作業終了後に再度二次元コードを撮影し、二次元コードが示す工具識別情報を認識し、作業開始前に認識した工具識別情報と作業終了後に認識した工具識別情報とを比較し、工具個数に不一致がある場合、置き忘れている工具情報を視覚的にわかるように表示することで、置き忘れた工具を特定できるようにするものがある(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、置き忘れている工具を特定することはできるが、特定できるのは作業終了後であるため、例えば、夜間に行われる線路閉鎖工事の際に用いられる表示灯のような大きいものや線路に置いて用いられるものの場合、夜間ゆえに置き忘れを目視で発見することは困難であり、また、日中でも特に曇天や濃霧など視界不良の日は表示灯が好適に用いられるが視界不良ゆえに置き忘れを目視で発見することは困難であり、さらに、作業終了後に置き忘れた工具を特定できたのでは、工事後の列車の運行に間に合わず大きな事故となることを防ぐことはできていなかった。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、線路閉鎖工事から表示灯を確実に回収することを可能とする技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯と、前記情報記録部に記録された前記識別情報を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段によって読み取られた情報を記憶する記憶手段と、前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録手段と、前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定手段と、前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理手段と、前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知手段と、を備える置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システムに関する。
【0007】
また、本発明は、鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯とともに用いられる携帯端末であって、前記情報記録部に記録された前記識別情報を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段によって読み取られた情報を記憶する記憶手段と、前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録手段と、前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定手段と、前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理手段と、
前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知手段と、を備える携帯端末に関する。
【0008】
また、本発明は、鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯とともに用いられ、前記識別情報の読み取り手段および記憶手段を備える携帯端末を動作させるコンピュータプログラムであって、前記情報記録部に記録された前記識別情報を前記読み取り手段により読み取る読み取り処理と、前記読み取り手段によって読み取られた情報を前記記憶手段に記憶させる記憶処理と、前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付処理と、前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録処理と、前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定処理と、前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理と、前記回収処理により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知処理と、を前記携帯端末に実行させることを特徴とするコンピュータプログラムに関する。
【0009】
また、本発明は、鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられる線路閉鎖用表示灯であって、架台と、前記架台の上部に設けられ前記工事作業の照明に用いられる発光部と、前記線路閉鎖用表示灯の個体を識別する表示灯識別情報が記憶された二次元バーコードと、を有し、所定の面に蓄光剤を塗布して蓄光剤層が設けられたシートの当該所定の面に前記二次元バーコードが設けられており、前記シートが前記架台または前記発光部に貼付されていることを特徴とする置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により提供される技術によれば、線路閉鎖工事の終了予定時刻またはその近くになっても回収済みとなっていない線路閉鎖用表示灯ある場合、その旨を報知することが可能であるため、線路閉鎖用表示灯の置き忘れを防止して確実な回収を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10のブロック図である。
【
図2】(a)は線路閉鎖用表示灯200の前面のイメージ図であり、(b)は線路閉鎖用表示灯200の背面のイメージ図である。
【
図3】置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10を用いた場合の概念図である。
【
図4】(a)は工事管理事務所から線路閉鎖用表示灯200を持ち出す作業が行われるときの表示装置180の画面の遷移を示すイメージ図であり、(b)は工事管理事務所に線路閉鎖用表示灯200を返却する作業が行われるときの表示装置180の画面の遷移を示すイメージ図である。
【
図5】(a)は工事管理事務所から線路閉鎖用表示灯200を持ち出す際の登録処理が行われるときの表示装置180の画面イメージ図であり、(b)は工事管理事務所に線路閉鎖用表示灯200を返却する際の回収処理が行われるときの表示装置180の画面イメージ図である。
【
図6】置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の処理フローチャートである。
【
図7】(a)は情報記録部330の断面図であり、(b)は情報記録部330のイメージ図である。
【
図8】置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム11(変形例)のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
はじめに、本実施形態の概要について説明する。
図1は、本実施形態における置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10のブロック図である。
図1に示したように、本実施形態の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10(以下、本システムと表示する場合がある)は、情報記録部230が貼付された線路閉鎖用表示灯200と、この情報記録部230から線路閉鎖用表示灯200の個体を識別する識別情報を読み取る読み取り部110を有する情報処理端末100と、を少なくとも備える。情報処理端末100は、読み取り部110のほか、記憶部120と、予定時刻受付部130と、登録部140と、アラート設定部150と、回収処理部160と、報知部170とを含む。情報処理端末100には、この他に、表示装置180およびスピーカ185を備えることが好ましい。
線路閉鎖用表示灯200は、鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられる。線路閉鎖用表示灯200は、工事作業により線路を閉鎖していることを周知するための発光部220が設けられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部230が貼付されている。
読み取り部110は、読み取り式の情報記録部230に記録された識別情報を読み取る手段である。記憶部120は、読み取り部110によって読み取られた情報を記憶する手段である。予定時刻受付部130は、線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける手段である。登録部140は、読み取り部110によって読み取られた線路閉鎖用表示灯200にかかる識別情報と、予定時刻受付部130が受け付けた線路閉鎖用表示灯にかかる時刻情報と、を対応づけて記憶部120に記憶させる手段である。アラート設定部150は、回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって線路閉鎖用表示灯200ごとに定められるアラート時刻を設定する手段である。回収処理部160は、読み取り部110によって読み取られた識別情報が記憶部120に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に識別情報にかかる線路閉鎖用表示灯200を回収済みと判定する手段である。そして、報知部170は、回収処理部160により回収済みと判定されていない線路閉鎖用表示灯200にかかるアラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯200が未回収であることを報知出力する手段である。
【0013】
本発明者らは、これまでの技術、例えば、特許文献1では、工具に二次元コードを付し、作業開始前に二次元コードを撮影し、二次元コードが示す工具識別情報を認識し、作業終了後に再度二次元コードを撮影し、二次元コードが示す工具識別情報を認識し、作業開始前に認識した工具識別情報と作業終了後に認識した工具識別情報とを比較し、工具個数に不一致がある場合、置き忘れている工具情報を視覚的にわかるように表示していたため、置き忘れている工具情報が特定できるのは作業終了後であり、線路工事後の列車の運行の安全性を確保できていないとの見識に至った、すなわち、特許文献1の発明によれば、置き忘れている工具を特定することはできても工事終了後であり、置き忘れている工具を特定する前に線路工事後の列車が運行される可能性があり、大きな事故となることを防ぐことはできていなかった。
そこで、本システムにおいては、線路閉鎖用表示灯200と、読み取り部110と、記憶部120と、予定時刻受付部130と、登録部140と、アラート設定部150と、回収処理部160と、報知部170とを備え、読み取り部110によって読み取られた識別情報が記憶部120に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に回収処理部160によって識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯200を回収済みと判定し、回収処理部160により回収済みと判定されていない線路閉鎖用表示灯200にかかるアラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯200が未回収であることを報知部170によって報知出力するようにする。
【0014】
以下、本システムについて更に詳細に説明する。
【0015】
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業とは、例えば、鉄道の運行終了後や鉄道の運休時などに、鉄道用の線路に車両を走らせない状態で行われる工事作業である。したがって、鉄道用の線路を閉鎖していることを周知する必要がある。特に、鉄道の運行終了後に行う場合は夜間であるため、発光部を備えた表示灯を用いて鉄道用の線路を閉鎖していることを周知することが効率的である。そこで、鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業時には、
図2に示す線路閉鎖用表示灯200を用いて鉄道用の線路を閉鎖していることを周知する方法がとられている。ここで、
図2を用いて線路閉鎖用表示灯200について説明する。
【0016】
図2(a)に示すように、線路閉鎖用表示灯200は、発光部220と、この発光部220を支える架台210とで構成されている。また、図示はしていないが、線路閉鎖用表示灯200は、発光部220を発光させるバッテリーを備えている。なお、線路閉鎖用表示灯200に内蔵されたバッテリーの他、線路閉鎖用表示灯200とは別にバッテリーを設けてもよい。
図2(b)に示すように、発光部220の背面には、読み取り式の情報記録部230が設けられている。なお、読み取り式の情報記録部230を設ける場所は
図2(b)に示した場所に限らず線路閉鎖用表示灯200に設けられればよい。読み取り部110による読み取り作業のし易さや線路閉鎖用表示灯200の機能(線路を閉鎖していることを周知する機能)に影響のない場所に設けられることが好ましいため、架台210または発光部220に貼付されることが好ましい。本実施形態では、情報記録部230は、線路閉鎖用表示灯200に貼付することで設けられるが、例えば、所定の透明ケースにいれて線路閉鎖用表示灯200にぶらさげてもよい。
【0017】
個体を識別する識別情報とは、線路閉鎖用表示灯200を識別する情報であり、具体的には、線閉1、線閉2、・・・のような数字を含んだ情報により個体を識別するものや、例えば、線路閉鎖する場所であるA線上り、A線下りのように、線路閉鎖用表示灯200を使用する場所を含んだ情報である。このほか、識別情報は単なる数字(1、2、・・・)でもよい。識別情報の内容は、情報記録部230に記憶できる情報量や作業者が識別しやすいかなどを考慮して決められたものでよい。本実施形態では、線閉1、線閉2、・・・を記憶することとする。
読み取り式の情報記録部230とは、所定の読み取り装置によって読み取ることで記録されている情報を抽出できるものである、具体的には、ICタグ、バーコード、二次元バーコードである。何れを採用してもよいが、記録できる情報量や情報記録部230を作成する際の容易性などを考慮し、本実施形態では、情報記録部230は二次元バーコードで構成されるものとする。
【0018】
情報処理端末100は、各種の処理を実行可能なコンピュータであり、具体的には後述するように持ち運び可能な携帯端末である。情報処理端末100は、タッチ式デバイスやポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置(CPU)、メモリーなどの記憶装置を備えている。
読み取り部110は、情報記録部230に記録されている情報を抽出する装置であり、入力装置の一つである。読み取り部110は、情報記録部230の種類によって、読み取りを光で行うもの、電波で行うものなど種類が異なる。本実施形態では、情報記録部230を二次元バーコードで構成されるものとしたため、読み取り部110は、二次元バーコードリーダで構成されるものとする。本実施形態の読み取り部110は、情報処理端末100に備えられたカメラを用いて二次元バーコードを読み取る機能が相当するが、情報記録部230を読み取る機能のみを備えた装置を情報処理端末100とは別に設け、読み取った結果を情報処理端末100に入力するようにしてもよい。本実施形態では、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10を簡易な構成とするために、情報処理端末100に読み取り部110を備えるように構成している。
読み取り部110によって読み取られた情報を記憶する記憶部120は、情報処理端末100に設けられた記憶装置であり、具体的には、情報処理端末100に設けられたRAM(Random Access Memory)が相当する。しかし、情報処理端末100に設けられた記憶装置に限らず、例えば、ネットワークを介してアクセスできるネットワーク上に設けられた記憶装置でもよい。本実施形態では、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10を簡易な構成とするために、情報処理端末100に記憶部120を備えるように構成している。
【0019】
工事作業に用いられる線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻は、線路を閉鎖して行われる工事を終了する時刻に基づき予め決められた時刻である。回収予定時刻は、線路を閉鎖して行われる工事を終了する時刻でもよいし、線路の閉鎖を終了し、鉄道の運行が開始される時刻に対し所定時間前の時刻でもよい。また、○○時○○分のような日本標準時や、工事開始から○○時間のような期間でもよい。本実施形態では、作業のし易さを考慮し、線路を閉鎖して行われる工事を終了する時刻に基づき予め決められた日本標準時とする。
予定時刻受付部130は、上述した回収予定時刻を入力する手段であり、具体的には、情報処理端末100に設けられたタッチ式デバイスなどの入力装置を用いて入力を受け付けることである。なお、予定時刻受付部130によって入力された回収予定時刻は、記憶部120に記憶される。
登録部140は、読み取り部110によって読み取られた線路閉鎖用表示灯200にかかる識別情報と、予定時刻受付部130が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯200にかかる時刻情報と、を対応づけて記憶部120に記憶させる手段であり、情報処理端末100に設けられた演算処理装置が相当する。
【0020】
報知部170は計時手段を備え、現在時刻の情報を取得することができる。計時手段としては、携帯端末が有する時計機能を用いることができる。
アラート時刻は、回収予定時刻以前または以後に定められる時刻であって線路閉鎖用表示灯200ごとに定められる。アラート時刻は、予定時刻受付部130によって入力された回収予定時刻そのもの(ちょうどの時刻)でもよいし、回収予定時刻に対し所定期間前(たとえば30分前など)の時刻でもよい。または、鉄道の運行が開始される時刻よりも前であることを前提として、回収予定時刻以後(たとえば10分後など)にアラート時刻を設定してもよい。設定されるアラート時刻は、例えば、回収予定時刻そのもの一つでもよいし、回収予定時刻と、回収予定時刻に対し所定期間前の時刻との複数の時刻でもよい。設定するアラート時刻は、全ての線路閉鎖用表示灯200に対し同じ個数、回収予定時刻に対し同じ期間前の時刻でもよいし、線路閉鎖用表示灯200ごとに異なる個数、回収予定時刻に対し異なる期間前の時刻でもよい。線路を閉鎖して行われる工事作業内容やオペレーション方法などを考慮して設定することが好ましい。なお、アラート設定部150は、情報処理端末100に設けられた演算処理装置が相当する。
設定されるアラート時刻が回収予定時刻に対し所定期間(所定期間Aとする)前の時刻や、回収予定時刻の所定時間(所定期間Bとする)以後の時刻の場合、次のように設定される。所定期間Aや所定期間Bは予め記憶部120に記憶されている。回収予定時刻を入力するとアラート設定部150は記憶されている所定期間Aや所定期間Bを回収予定時刻に対し減算または加算し、アラート時刻として設定する。なお、本実施形態では所定期間Aや所定期間Bは予め記憶されているものとしたが、作業者によって変更できるようにしてもよい。作業者によって変更できるようにすることで、線路を閉鎖して行われる工事作業内容やオペレーション方法に適したアラート時刻を設定することができる。
【0021】
回収処理部160は、情報処理端末100に設けられた演算処理装置で行われる手段である。回収処理部160は、読み取り部110によって読み取られた識別情報が記憶部120に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に識別情報にかかる線路閉鎖用表示灯200を回収済みと判定する手段である。
報知部170は、計時手段から取得される現在時刻と上記のアラート時刻とを比較し、回収処理部160により回収済みと判定されていない線路閉鎖用表示灯200にかかるアラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯200が未回収であることを報知出力する。具体的には、報知部170は情報処理端末100に備えられた表示装置180やスピーカ185を用いて表示や音声により作業者に報知する。このように報知部170は、情報処理端末100に備えられた表示装置180やスピーカ185を用いて報知出力することで、線路閉鎖用表示灯200に置き忘れが発生していることを作業者に知得させることができる。なお、本実施形態では、報知部170は情報処理端末100に設けた表示装置180やスピーカ185としたがこれに限られない。例えば、情報処理端末100とは別に表示灯(図示しない)や表示装置(図示しない)、スピーカ(図示しない)を複数の作業者が把握しやすい位置に設け、情報処理端末100の演算処理装置から所定の制御信号を当該表示灯、表示装置やスピーカに送信して報知出力してもよい。このようにすることで、例えば、表示装置を工事管理事務所の壁などに設けたり、表示灯やスピーカを線路閉鎖用表示灯200の側に設けたりすると、複数の作業者が同時にアラート時刻になったことを把握しやすくできる。
【0022】
<置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の運用方法>
次に、
図3~
図5を用いて、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の運用方法について説明する。
本実施形態では、A線上り、A線下り、B線上り、B線下りの四本の線路を閉鎖して工事を行う場合について説明する。閉鎖する四本の線路のA線上りには識別情報として「線閉1」が付された線路閉鎖用表示灯200を、A線下りには識別情報として「線閉2」が付された線路閉鎖用表示灯200を、B線上りには識別情報として「線閉3」が付された線路閉鎖用表示灯200を、B線下りには識別情報として「線閉4」が付された線路閉鎖用表示灯200を配置して線路工事が行われる。
工事が行われる線路の側には工事管理事務所が設けられる。工事管理事務所には、情報処理端末100が設けられており、線路閉鎖用表示灯200に付された情報記録部230を読み取り部110によって読み取ること、予定時刻受付部130によって回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付けること、線路閉鎖用表示灯200を工事管理事務所に持ち込んだ際に線路閉鎖用表示灯200に付された情報記録部230を読み取り部110によって読み取ることなど、情報処理端末100を用いて行う作業は工事管理事務所で行われる。
【0023】
線路を閉鎖して工事を開始する前、線路閉鎖用表示灯200は工事管理事務所に保管されている。工事を開始時、作業者が工事管理事務所から線路閉鎖用表示灯200を持ち出す際に線路閉鎖用表示灯200に設けられた情報記録部230を読み取り部110によって読み取る。線路閉鎖用表示灯200に設けられた情報記録部230を読み取り部110によって読み取る際は、情報処理端末100(携帯端末)に設けられた表示装置180を用いて作業者が確認作業を行いながら行うことが好ましい。
情報処理端末(携帯端末)100には、読み取り処理、記憶処理、予定時刻受付処理、登録処理、アラート設定処理、回収処理、および、報知処理を情報処理端末(携帯端末)100に実行させるためのコンピュータプログラム(以下、本プログラム)がインストールされている。読み取り処理は、読み取り式の情報記録部230に記録された識別情報を読み取る処理である。記憶処理は、読み取り処理によって読み取られた情報を記憶させる処理である。予定時刻受付処理は、線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける処理である。登録処理は、読み取り処理によって読み取られた線路閉鎖用表示灯200にかかる識別情報と、予定時刻受付処理が受け付けた線路閉鎖用表示灯200にかかる時刻情報と、を対応づけて記憶させる処理である。アラート設定処理は、回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって線路閉鎖用表示灯200ごとに定められるアラート時刻を設定する処理である。回収処理は、読み取り処理によって読み取られた識別情報が記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に識別情報にかかる線路閉鎖用表示灯200を回収済みと判定する処理である。そして、報知処理は、回収処理により回収済みと判定されていない線路閉鎖用表示灯200にかかるアラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯200が未回収であることを報知出力する処理である。
【0024】
本プログラムを起動すると、表示装置180にはメニュー画面が表示され、「登録」および「回収」を含む複数種類の表示内容が表示される。メニュー画面から選択される複数種類の表示内容のうちの1つが
図4(a)の(1)である。線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230を読み取り部110によって読み取る際には、ユーザーはメニュー画面から「登録」を選択して
図4(a)の(1)の表示内容を表示させる。
線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230を読み取り部110によって読み取る際には、表示装置180に
図4(a)の(1)に示した表示内容が表示される。作業者は、工事管理事務所から持ち出す線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230の読み出しを開始するために、
図4(a)の(1)に示した画面の「登録」を入力すると、
図4(a)の(2)に示した表示内容が表示される。そして、作業者は持ち出す線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230を読み取り部110で読み取ることにより、
図4(a)の(3)に示した表示内容が表示される。今回、情報記録部230の読み取りを行った線路閉鎖用表示灯200は識別情報として「線閉1」が記録されているため、
図4(a)の(3)に示した表示内容のように、「線閉1」が表示されるとともに、回収予定時刻を示す時刻情報入力する画面が表示される。そこで、作業者は「線閉1」が記録された線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻として、「4:00」を入力し、「登録」を入力する。これで、「線閉1」が記録された線路閉鎖用表示灯200を持ち出すこと、および、当該線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻として「4:00」が登録されたこととなる。表示装置180には、
図5(a)に示した表示内容が表示され、「線閉1」が記録された線路閉鎖用表示灯200を持ち出し管理対象となったこと、当該線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻として「4:00」が登録されたこと、および、持ち出されていること(回収されていないこと)を作業者が確認することが可能となる。そして、作業者は線路閉鎖用表示灯200を工事管理事務所から持ち出し、A線上りの線路工事現場で用いる。
【0025】
次に、工事が終了し、作業者が線路閉鎖用表示灯200を工事管理事務所に持ち込む際に工事管理事務所で、作業者が工事管理事務所に持ち込む線路閉鎖用表示灯200に設けられた情報記録部230を読み取り部110によって読み取る。
線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230を工事管理事務所に持ち込む際には、本プログラムを起動し、メニュー画面から「回収」を選択すると、表示装置180に
図4(b)の(1)に示した表示内容が表示される。作業者は、工事管理事務所に持ち込む線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230の読み出しを開始するために、
図4(b)の(1)に示した画面の「回収」を入力すると、
図4(b)の(2)に示した表示内容が表示される。そして、作業者は持ち込む線路閉鎖用表示灯200の情報記録部230を読み取り部110で読み取ることにより、
図4(b)の(3)に示した表示内容が表示される。今回、情報記録部230の読み取りを行った線路閉鎖用表示灯200は識別情報として「線閉1」が記録されているため、
図4(b)の(3)に示した表示内容のように、「線閉1」が表示され、誤っていなければ「回収」を入力すると工事管理事務所に線路閉鎖用表示灯200が持ち込まれたこと(回収されたこと)が登録される。このとき、表示装置180には、
図5(b)に示したように、線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻が登録されたことによって表示された「線閉1」と回収予定時刻である「4:00」が消去され、作業者は「線閉1」が記録された情報記録部230を備えた線路閉鎖用表示灯200は工事管理事務所に持ち込まれている(返却されている)ことを把握することが可能となる。なお、
図5(b)の「線閉1」と回収予定時刻である「4:00」が破線で記載されているのは、消去される様子を表現したものであり、実際に破線による表示が行われるわけではない。
【0026】
上述した運用は、作業者が工事管理事務所から線路閉鎖用表示灯200を持ち出す際に行う場合と設定した回収予定時刻より前(設定したアラーム時刻より前)に作業者が工事管理事務所に線路閉鎖用表示灯200を持ち込んだ場合の内容である。
次に示す運用は、作業者が設定した回収予定時刻(設定したアラーム時刻)になっても作業者が工事管理事務所に線路閉鎖用表示灯200を持ち込めなかった場合の内容である。
作業者が工事管理事務所から線路閉鎖用表示灯200を持ち出す際に行う場合に設定した回収予定時刻に基づき、アラート設定部150によってアラート時刻を設定する。この設定は、回収予定時刻と同様に、作業者が線路閉鎖用表示灯200ごとに入力装置を用いて設定してもよいが、本実施形態では、回収予定時刻に対して所定期間前が自動的に設定されるものとし、回収予定時刻の5分前に第一報知を、回収予定時刻に第二報知が行われるように設定される。したがって、作業者が回収予定時刻を設定すると、アラート時刻も設定されたこととなる。
図5(a)は、情報処理端末100の表示装置180の表示画面に表示される工事管理事務所から持ち出された線路閉鎖用表示灯200の一覧を示す表示内容である。
図5(a)では、工事管理事務所から持ち出された線路閉鎖用表示灯200は、「線閉1」、「線閉2」、「線閉3」、「線閉4」の四つであることを示している。また、「線閉1」は回収予定時間として「4:00」が設定され、同様に、「線閉2」は「3:00」、「線閉3」は「2:00」、「線閉4」は「0:00」が設定されていることを示している。
図5(a)の右上に現在時刻(12:57)が表示されている。
ここで、線路閉鎖用表示灯200に設定された回収予定時刻と現在時刻を比較すると、「線閉1」は現在時刻が回収予定時刻を過ぎていないため、黒字の表示としている。同様に比較すると、「線閉2」は現在時刻が回収予定時刻を過ぎていないため、黒字の表示としている。同様に比較すると、「線閉3」は現在時刻が回収予定時刻およびアラート時刻を過ぎているため、「未」の表示とともに「線閉3」に係る表示内容を赤字で表示(
図5(a)、(b)では太字で表示)することで、回収予定時刻およびアラート時刻を過ぎていることを報知している。同様に比較すると、「線閉4」は現在時刻が回収予定時刻を過ぎていないが、アラート時刻を過ぎているため、「未」の表示とともに「線閉4」に係る表示内容を赤字で表示(
図5(a)、(b)では太字で表示)することで、アラート時刻を過ぎていることを報知している。また、「線閉3」はアラート時刻に加え、回収予定時刻も過ぎているため、表示装置180での報知に加え、スピーカ185からの音声による報知や、情報処理端末100に備えられているバイブレーション機能を用いてバイブレーションによる報知でもよい。
このように、アラート時刻および回収予定時刻を過ぎても工事管理事務所に線路閉鎖用表示灯200が持ち込まれていない(回収されていない)と判定されると、作業者は情報処理端末100を用いて持ち込まれていない線路閉鎖用表示灯200を把握することができるため、鉄道の運行が開始される前に線路閉鎖用表示灯200を確実に回収することができ、運行の安全性を確保することができる。
なお、上述した、情報処理端末100の表示装置180に表示される表示内容や読み込む線路閉鎖用表示灯200の個数、設定する各種情報はあくまでも一例であり、線路工事状況に応じた内容となることは言うまでもない。
【0027】
<置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の処理の流れ>
次に、
図6を用いて、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の処理の流れについて説明する。
図6は、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の処理フローチャートである。なお、
図6には、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の中心となる処理についてのみ示している。したがって、
図6に示した処理の他、例えば、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の運用方法で説明したように、情報処理端末100に設けられた表示装置180を表示制御する処理なども行われる。
【0028】
ステップS111は、読み取り部110による情報記録部230の読み取りがあったか否かを判定する処理である。読み取り部110による情報記録部230の読み取りがあった場合はステップS112へ、なかった場合はステップS118へ進む。
【0029】
ステップS112は、ステップS111で読み取った識別情報が記憶部120に記憶されているか否かを判定する処理である。ステップS111で読み取った識別情報が記憶部120に記憶されていない場合はステップS113へ、記憶されている場合はステップS117へ進む。なお、ステップS111で読み取った識別情報が記憶部120に記憶されていない場合は、作業者が工事管理事務所から線路閉鎖用表示灯200を持ち出す際の読み取り部110によって情報記録部230を読み取る場合で、記憶されている場合は、作業者が工事管理事務所へ線路閉鎖用表示灯200を持ち込む際の読み取り部110によって情報記録部230を読み取る場合である。
【0030】
ステップS113は、ステップS111で読み取った識別情報を記憶部120に記憶する処理である。
【0031】
ステップS114は、ステップS111で読み取った識別情報が記録された情報記録部230を備えた線路閉鎖用表示灯200の回収予定時刻を入力する処理である。この処理は、作業者が入力装置を用いて入力した時刻情報の入力を受け付ける処理でもある。線路閉鎖用表示灯200ごとに回収予定時刻を入力(設定)することが可能である。
【0032】
ステップS115は、ステップS111で読み取った識別情報とステップS114で入力された時刻情報とを対応づけて記憶部120に登録する処理である。
【0033】
ステップS116は、ステップ115で登録された時刻情報(回収予定時刻)以前の時刻をアラート時刻として設定する処理である。アラート時刻は、ステップS115で登録された時刻情報(回収予定時刻)と同一でもよいし、時刻情報(回収予定時刻)の所定期間前を設定してもよいし、複数設定してもよい。
【0034】
ステップS117は、ステップS112でステップS111で読み取った識別情報が記憶部120に記憶されていた場合の処理であり、当該識別情報が記録された情報記録部230を備えた線路閉鎖用表示灯200を回収済みとし、記憶部120に回収済みである旨の情報を記憶する。
【0035】
ステップS118は、線路閉鎖用表示灯200それぞれに設定されたアラート時刻の何れかのアラート時刻であるか否かを判定する処理である。アラート時刻である旨の判定がされなかった場合は、本処理を終了する。一方、アラート時刻である旨の判定がされた場合は、ステップS119へ進む。
【0036】
ステップS119は、ステップS118でアラート時刻である旨の判定がされた場合、アラート時刻である線路閉鎖用表示灯200が回収済みであるか否かを判定する処理である。アラート時刻である線路閉鎖用表示灯200が回収済みであれば本処理を終了する。一方、回収済みでないと判定された場合は、ステップS120へ進む。なお、対象の線路閉鎖用表示灯200が回収済みであるか否かは、ステップS117で記憶部120に記憶した回収済みである旨の情報に基づき判定する。
【0037】
ステップS120は、ステップS119で対象の線路閉鎖用表示灯200が回収済みでないと判定された場合は、未回収であることを報知部170によって報知出力する処理である。
【0038】
このようにして、置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム10の処理を行うことで、工事管理事務所から工事現場へ持ち出した線路閉鎖用表示灯200の管理および工事現場から工事管理事務所へ持ち込まれた線路閉鎖用表示灯200の管理を行えるため、回収予定時刻になっても工事管理事務所へ返却(回収)されていない線路閉鎖用表示灯200を特定でき、また、回収予定時刻に未回収の線路閉鎖用表示灯200がある場合はその旨の報知を行うことができる。
【0039】
<線路閉鎖用表示灯の変形例>
以下に、変形例にかかる線路閉鎖用表示灯300について説明する。
本変形例の線路閉鎖用表示灯300は、情報記録部330の構成が上記実施形態で説明した情報記録部230と異なる。言い換えれば、情報記録部330の構成以外は、線路閉鎖用表示灯200と同様である。
線路閉鎖用表示灯300は、
図2(a)および
図2(b)に示したように、架台210と、その上部に設けられて工事作業の照明に用いられる発光部220と、を備える。
【0040】
図7を用いて、本変形例の情報記録部330について説明する。
図7(a)に示すように、情報記録部330は、基材331、粘着剤層332、剥離紙333、白色塗料層334、蓄光剤層335、透明フィルム336および二次元バーコード337で構成されている。
基材331は、シート状をした基材であり、紙、プラスチックフィルム等を用いる。
粘着剤層332は、基材331の裏面に塗布されており、線路閉鎖用表示灯300の発光部320の背面に貼付することができる。
剥離紙333は、粘着剤層332の下(基材331と反対側)に貼着されている。
白色塗料層334は、基材331の表面側(粘着剤層332と反対側)に設けられ、基材331の表面側に白色塗料を塗布してある。なお、白色塗料層334は蓄光剤層335からの発光を目立たせるために設けたため、基材331が白色の場合や蓄光剤層335からの発光が強力な場合などには設けなくてもよい。
蓄光剤層335は、白色塗料層334の上に蓄光剤を塗布することで形成される層である。ここで、蓄光剤は、紫外線を含んだ光にさらされると光エネルギーを吸収して可視光線を放射する物質であり、硫化ストロンチウム、硫化亜鉛、硫化カドミウムなどのリン光物質である。
透明フィルム336は、蓄光剤層335の上面に設けることで、蓄光剤層335を保護するとともに、二次元バーコード337を印刷するために設けられている。
【0041】
<線路閉鎖用表示灯管理システムの変形例>
図8を用いて、本変形例の線路閉鎖用表示灯管理システム11について説明する。
図8に示したように、本実施形態の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム11(以下、本システムと表示する場合がある)は、情報記録部330が貼付された線路閉鎖用表示灯300と、この情報記録部330から線路閉鎖用表示灯300の個体を識別する識別情報を読み取る読み取り部110を有する情報処理端末100と、を少なくとも備える。情報処理端末100は、読み取り部110のほか、記憶部120と、予定時刻受付部130と、登録部140と、アラート設定部150と、回収処理部160と、報知部170とを含む。情報処理端末100には、この他に、表示装置180およびスピーカ185を備えることが好ましい。情報処理端末100とは別に、コンピュータ400とバーコードプリンタ410を備える。コンピュータ400とバーコードプリンタ410は情報処理端末100とネットワーク接続されている必要はない。コンピュータ400とバーコードプリンタ410が情報処理端末100とネットワーク接続されていてもよいことは言うまでもない。線路閉鎖用表示灯管理システム11は、情報記録部330の構成と、コンピュータ400およびバーコードプリンタ410を備える以外は、線路閉鎖用表示灯管理システム10と同様である。
コンピュータ400は、バーコードプリンタ410を制御し、
図7(a)に示したシートに識別情報を記録した二次元バーコードを印刷させる。具体的には、コンピュータ400は、
図7(a)に示したシートに印刷したい二次元バーコードの情報をバーコードプリンタ410へ送信し、バーコードプリンタ410は受信した情報に基づき当該二次元バーコードをシートに印刷する。なお、本実施形態では、情報処理端末100とは別にコンピュータ400を設け、バーコードプリンタ410の制御を行うようにしたが、情報処理端末100が印刷したい二次元バーコードの情報をバーコードプリンタ410に送信し、当該バーコードプリンタ410を制御してもよい。本実施形態では、情報処理端末100を線路閉鎖用表示灯300の持ち出し/回収の管理専用として用いた方がオペレーションミスを防げるため、情報処理端末100とは別にコンピュータ400を設けるように構成する。
【0042】
図7(b)に、印刷された情報記録部330のイメージ図を示す。
図7(b)に示した情報記録部330を線路閉鎖用表示灯300の発光部320の背面に貼付する。
鉄道用の線路を閉鎖して行う工事は夜間に行われることが多いため、情報記録部330の位置を作業者が把握しにくい虞がある。そこで、このように構成された線路閉鎖用表示灯300を用いることで、暗闇でも情報記録部330の位置を作業者が把握しやすいため、作業を効率的に行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、蓄光剤層335が塗布され当該蓄光剤層335の上面に透明フィルム336を設けた基材331に二次元バーコード337を印刷するように構成したが、所定のシート(図示しない)に二次元バーコード337を印刷し、印刷した所定のシートを蓄光剤層335が塗布され当該蓄光剤層335の上面に透明フィルム336を設けた基材331に貼付してもよい。このように作成された情報記録部330を線路閉鎖用表示灯300に設けた場合も暗闇でも情報記録部330の位置を作業者が把握しやすいため、作業を効率的に行うことが可能となる。
【0043】
本発明の実施は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、改良等が可能である。
【0044】
上述した実施形態およびその変形例では、情報記録部230,330には線路閉鎖用表示灯200,300の個体を識別する識別情報を記録していたが、これに加え、工事作業で線路閉鎖用表示灯200,300を使用する場所の情報である使用場所情報を合わせて記録してもよい。
具体的には、
図3に示したように、「線閉1」の識別情報が記録された情報記録部230を備えた線路閉鎖用表示灯200はA線上りに用いられ、「線閉2」の識別情報が記録された情報記録部230を備えた線路閉鎖用表示灯200はA線下りに用いられる。そこで、「線閉1」の識別情報に合わせて「A線上り」の情報を情報記録部230に記録し、当該情報記録部230を線路閉鎖用表示灯200に設けるようにする。そして、読み取り部110で情報記録部230を読み取ると、「線閉1」に加え「A線上り」の情報も読み取れるため、これらの情報を記憶部120に記憶するようにする。また、線路閉鎖用表示灯200を設ける使用場所情報としては、「A線上り」のような線路名ではなく、「○○キロ地点」のような情報でもよい。このように構成することで、読み取り部110によって読み取った線路閉鎖用表示灯200を配置する場所を作業者が把握しやすくなる。また、
図5に示したように、工事管理事務所から持ち出された線路閉鎖用表示灯200のうち、作業者による未回収の線路閉鎖用表示灯200を配置した場所の特定が容易になり、作業効率が向上する。
【0045】
図8に示した変形例にかかる線路閉鎖用表示灯管理システム11を用いて、情報記録部330に使用場所情報を記録する方法について説明する。なお、
図8に示した変形例にかかる線路閉鎖用表示灯管理システム11では、二次元バーコードを蓄光剤が設けられたシートにバーコードプリンタ410によって印刷したが、蓄光剤が設けられていないシートに二次元バーコードを印刷してもよい。すなわち、情報記録部230に使用場所情報を記録する際も同様に行うことができる。
図8に示したように、コンピュータ400およびバーコードプリンタ410は情報処理端末100とネットワーク接続されている必要はない。
線路閉鎖用表示灯300を配置する場所は、工事現場によって決まるため、作業者が使用場所情報を入力できると作業効率がよい。本実施形態では、作業者が使用場所情報を入力する使用場所受付手段をコンピュータ400に設ける。作業者は使用場所情報をコンピュータ400に設けられたキーボード、タッチペンなどの入力装置(図示しない)を用いて入力する。そして、使用場所受付手段で受け付けた情報に基づき、「線閉1」と「A線上り」の情報を記録した二次元バーコードをバーコードプリンタ410を用いて印刷する。このようにすることで、工事現場に適した情報を情報記録部330に記録させることができる。なお、本実施形態では、線路閉鎖用表示灯300の個体を識別する識別情報である「線閉1」と使用場所情報である「A線上り」の両方を情報記録部330に記録させたが、使用場所情報である「A線上り」だけでもよい。この場合、「A線上り」は、線路閉鎖用表示灯300の個体を識別する識別情報でもあり、使用場所情報でもある。このように情報記録部330にどのような情報を記録させるかを情報記録部330に記録可能な情報量の範囲内で作業者が設定できるため、作業効率を向上させることが可能となる。
【0046】
上述した実施形態では、アラート設定部150は1つのアラート時刻を設定し、報知部170は、当該アラート時刻になると報知出力するようにした。しかし、線路閉鎖用表示灯200の置き忘れは大きな事故につながる可能性が高いため、アラート時刻に複数の時刻を設定し、複数回の報知出力を行うことが好ましい。
例えば、「線閉1」の識別情報が記録された情報記録部230を備えた線路閉鎖用表示灯200の場合、回収予定時刻、4:00に対し、5分前である3:55分に第一報知を、回収予定時刻である4:00に第二報知を行うようにしてもよい。そして、第一報知と第二報知とを同じ報知態様としてもよいが、第一報知より第二報知のほうがスピーカ185から報知出力される報知音が大きい、表示装置180に報知出力される色が濃い、第一報知は表示装置180に報知出力するだけに対し第二報知は表示装置180とスピーカ185の両方を用いた報知出力とする、バイブレーションによる報知出力も追加するなどのように、第一報知より第二報知のほうが作業者が把握しやすい報知出力とすることが好ましい。このように第一報知と第二報知とを異なる報知態様とすることで、何れの報知であるのか作業者が把握しやすくなり、また、回収予定時刻により近い第二報知の方を第一報知より作業者が把握しやすい報知態様とすることで、作業者にさらに回収予定時刻が近いこと(回収予定時刻になっていること)を報知することができる。このため、回収予定時刻に未回収の線路閉鎖用表示灯200の回収を確実に行いやすくすることが可能となり、工事後の鉄道運行に支障をきたさないようにすることが可能となる。
【0047】
情報処理端末100は表示装置180(表示手段)を備えている。表示装置180には、登録部140によって記憶部120に線路閉鎖用表示灯200に係る識別情報と、予定時刻受付部130が受け付けた線路閉鎖用表示灯200にかかる時刻情報とを対応づけて記録されると、
図5(a)に示したように、識別情報(
図5(a)では「線閉1」が相当)と時刻情報(
図5(a)では「4:00」が相当)とが1行に表示される。これにより、作業者は、線路閉鎖用表示灯200が読み取り部110によって読み取られ、予定時刻受付部130によって回収予定時刻が受け付けられたことを視覚的に把握できる。回収処理部160によって線路閉鎖用表示灯200を回収済みと判定すると、
図5(b)に示したように、1行に表示されていた識別情報(
図5(b)では「線閉1」が相当)と時刻情報(
図5(b)では「4:00」が相当)とが表示内容から消滅する。これにより、作業者は情報記録部230に「線閉1」の識別情報が記録された線路閉鎖用表示灯200が回収されたことを視覚的に把握できる。
なお、上記では表示手段として情報処理端末100に設けられた表示装置180を例示したが、情報処理端末100と別に表示手段を設けてもよい。例えば、表示手段として大型モニタを工事管理事務所内に設けてもよい。このように構成することで、複数の作業者が線路閉鎖用表示灯200の持ち出し/回収状態を把握しやすくなる。
【0048】
上述したように、工事管理事務所に情報処理端末100に読み取り部110、記憶部120、予定時刻受付部130、登録部140、アラート設定部150、回収処理部160および報知部170を設けるようにする。また、情報処理端末100は、携帯電話機やタブレット端末などの持ち運び可能な携帯端末であることが好ましい。携帯電話機やタブレット端末のように、日常生活でも使用されることが多い携帯電話機やタブレット端末を情報処理端末100として用いることで、情報処理端末100に対する知識が深くない作業者でも操作方法を習得しやすくなる。
【0049】
上述した本実施形態では、情報処理端末100は工事管理事務所に備え、線路閉鎖用表示灯200に設けられた情報記録部230の読み取り部110による読み取りは、工事管理事務所内で行うようにした。しかし、持ち運び可能な情報処理端末100を用いる場合であれば、情報処理端末100を作業者が工事管理事務所から持ち出し、線路閉鎖用表示灯200を配置する場所で当該線路閉鎖用表示灯200に設けられた情報記録部230の読み取り部110による読み取りを行うようにしてもよい。例えば、線路閉鎖用表示灯200を配置する工事現場で、工事開始時に読み取り部110によって識別情報を読み取り、登録処理を行い、工事終了時に読み取り部110によって識別情報を読み取り、回収処理を行うようにしてもよい。そして、情報処理端末100に表示される表示内容(特に、
図5参照)を確認しながら、線路閉鎖用表示灯200の配置位置に誤りがないか確認する運用としてもよい。このような運用とすることで、線路閉鎖用表示灯200を作業者が配置する位置を誤ることや、誤った線路閉鎖用表示灯200を工事管理事務所に持ち込む誤運用の発生を防ぐことができる。なお、同日(同タイミング)に行われる工事において、情報処理端末100を用いた処理を工事管理事務所と工事現場との両方で行ってもよいし、どちらか一方のみで行ってもよく、工事現場の状況に応じて決めればよい。
【0050】
上述した本実施形態では、線路閉鎖用表示灯200は夜間に行われる線路閉鎖工事で用いることを想定した記載である。しかし、上述した線路閉鎖用表示灯200を日中に行われる工事に用いてもよい。日中に行われる工事の場合でも、特に曇天や濃霧など視界不良の日は線路閉鎖用表示灯200が好適に用いられる。曇天や濃霧などにより視界不良のような置き忘れを目視で発見することは困難な場合でも工事現場から表示灯を確実に回収することを可能とすることは言うまでもない。
【0051】
以上で説明した本発明は、上述の説明に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0052】
<付記>
本実施形態は、次のような技術思想を包含する。
(1)
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯と、
前記情報記録部に記録された前記識別情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた情報を記憶する記憶手段と、
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録手段と、
前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理手段と、
前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知手段と、
を備える置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
(2)
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の使用場所を示す使用場所情報の入力を受け付ける使用場所受付手段と、情報記録部作成手段と、をさらに備え、
前記情報記録部作成手段は、前記使用場所受付手段が前記使用場所情報の入力を受け付けると、前記線路閉鎖用表示灯に係る前記識別情報と前記使用場所情報とが記録された前記情報記録部を作成する(1)に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
(3)
前記情報記録部作成手段は、所定の面に蓄光剤を塗布して蓄光剤層が設けられたシートの当該所定の面に前記情報記録部を作成することを特徴とする(2)に記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
(4)
前記報知手段は、前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻より第一期間前の時刻になると、前記報知出力とは異なる報知出力を行うことを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
(5)
表示手段をさらに備え、
前記表示手段は、
前記登録手段によって前記記憶手段に前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、が対応づけて記憶されると、当該線路閉鎖用表示灯が前記読み取り手段によって読み取られたことを示す情報を表示し、
前記回収処理手段によって前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定すると、当該回収済みと判定された前記線路閉鎖用表示灯が回収された旨を示す情報を表示する(1)から(4)の何れかに記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
(6)
携帯端末をさらに備え、
前記携帯端末は、前記読み取り手段、前記記憶手段、前記予定時刻受付手段、前記登録手段、前記アラート設定手段、前記回収処理手段および前記報知手段を備える(1)から(5)の何れかに記載の置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯管理システム。
(7)
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯とともに用いられる携帯端末であって、
前記情報記録部に記録された前記識別情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた情報を記憶する記憶手段と、
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録手段と、
前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理手段と、
前記回収処理手段により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知手段と、
を備える携帯端末。
(8)
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられ、個体を識別する識別情報が記録された読み取り式の情報記録部が貼付された線路閉鎖用表示灯とともに用いられ、前記識別情報の読み取り手段および記憶手段を備える携帯端末を動作させるコンピュータプログラムであって、
前記情報記録部に記録された前記識別情報を前記読み取り手段により読み取る読み取り処理と、
前記読み取り手段によって読み取られた情報を前記記憶手段に記憶させる記憶処理と、
前記工事作業に用いられる前記線路閉鎖用表示灯の回収予定時刻を示す時刻情報の入力を受け付ける予定時刻受付処理と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記識別情報と、前記予定時刻受付手段が受け付けた当該線路閉鎖用表示灯にかかる前記時刻情報と、を対応づけて前記記憶手段に記憶させる登録処理と、
前記回収予定時刻以前または以後に定められる所定の時刻であって前記線路閉鎖用表示灯ごとに定められるアラート時刻を設定するアラート設定処理と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記識別情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合に前記識別情報にかかる前記線路閉鎖用表示灯を回収済みと判定する回収処理と、
前記回収処理により回収済みと判定されていない前記線路閉鎖用表示灯にかかる前記アラート時刻になると、当該線路閉鎖用表示灯が未回収であることを報知出力する報知処理と、
を前記携帯端末に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
(9)
鉄道用の線路を閉鎖して行われる工事作業に用いられる線路閉鎖用表示灯であって、
架台と、前記架台の上部に設けられ前記工事作業の照明に用いられる発光部と、前記線路閉鎖用表示灯の個体を識別する識別情報が記憶された二次元バーコードと、を有し、
所定の面に蓄光剤を塗布して蓄光剤層が設けられたシートの当該所定の面に前記二次元バーコードが設けられており、前記シートが前記架台または前記発光部に貼付されていることを特徴とする置き忘れ防止機能付き線路閉鎖用表示灯。
【符号の説明】
【0053】
10 線路閉鎖用表示灯管理システム
11 線路閉鎖用表示灯管理システム
100 情報処理端末
110 読み取り手段
120 記憶手段
130 予定時刻受付手段
140 登録手段
150 アラート設定手段
160 回収処理手段
170 報知手段
180 表示装置
185 スピーカ
200 線路閉鎖用表示灯
210 架台
220 発光部
230,330 情報記録部
300 線路閉鎖用表示灯
331 基材
332 粘着剤層
333 剥離紙
334 白色塗料層
335 蓄光剤層
336 透明フィルム
337 二次元バーコード
400 コンピュータ(使用場所受付手段)
410 バーコードプリンタ(情報記録部作成手段)