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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016013
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】廃棄物収集システム
(51)【国際特許分類】
   B65F 5/00 20060101AFI20220114BHJP
   B65F 9/00 20060101ALI20220114BHJP
   B65F 3/00 20060101ALI20220114BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20220114BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220114BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20220114BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20220114BHJP
【FI】
B65F5/00
B65F9/00
B65F3/00 A
G06Q10/08 300
G06Q50/10
G16Y10/35
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119261
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸野 裕司
【テーマコード(参考)】
3E024
3E025
5L049
【Fターム(参考)】
3E024AA09
3E024BA03
3E025AA04
3E025EA10
3E025EB06
5L049AA16
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】居住者の依頼に応じて廃棄物を収集する。
【解決手段】収集システム10では、監理サーバ20が、端末装置16から発せられた廃棄物の収集依頼を受け付けると、廃棄物の収集を依頼した住宅の住宅情報をデータサーバ18から取得し、取得した住宅情報から収集車14の収集経路を設定する。また、監理サーバ20は、設定した収集経路を収集車14に送信する。収集車14は、設定された収集経路を受信すると、受信した収集経路に沿って走行し、廃棄物の収集を依頼した住宅の各々から廃棄物を収集する。これにより、依頼した住宅の各々から円滑に廃棄物を収集できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を排出する建物ごとに設けられて、前記廃棄物の収集を依頼する依頼手段と、
予め設定された収集経路に沿って走行して、前記廃棄物を収集する収集車と、
前記依頼を受け付けて、受け付けた依頼に応じて前記収集車の前記収集経路を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された前記収集経路に沿って移動して前記廃棄物を収集するように前記収集車の走行経路を制御する制御手段と、
を含む廃棄物収集システム。
【請求項2】
前記設定手段は、予め設定している前記収集車の前記収集経路を、新たに受付けた前記依頼に応じて変更することを含む請求項1に記載の廃棄物収集システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記依頼を受け付けてから前記依頼された前記廃棄物が予め設定された時間以内に収集されるように前記収集経路、前記収集車の収集開始タイミングを設定する請求項1又は請求項2に記載の廃棄物収集システム。
【請求項4】
前記設定手段は、収集のための走行中の前記収集車の前記収集経路を、新たに受け付けた前記依頼に応じて変更することを含む請求項1から請求項3の何れか1項に記載の廃棄物収集システム。
【請求項5】
前記建物と前記収集車との間を移動して前記廃棄物が収容された収容箱を前記収集車に搬送する搬送車を含む請求項1から請求項4の何れか1項に記載の廃棄物収集システム。
【請求項6】
前記収容箱には、収容された前記廃棄物の発臭を抑制する抑制手段を備える請求項5に記載の廃棄物収集システム。
【請求項7】
前記収集車は、前記廃棄物を前記収容箱から取り出す取出し手段を備える請求項5又は請求項6に記載の廃棄物収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を収集するための廃棄物収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の生ゴミ処理機は、集合住宅に設けられ、利用者がユーザ認識カードを用いることで、制御部が許可された利用者であるか否かを確認し、利用者が許可された利用者である場合に、投入口を解錠して生ゴミの投入を可能とする。また、制御部は、投入された生ゴミの重量を検知し、検知した重量に応じた特典をユーザ認識カードにより特定される利用者に付与することで、利用者の生ゴミ処理機の利用度を高めて、生ゴミの量の削減等が図られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-264715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、住宅から廃棄される廃棄物については、地域(地区)ごとに収集日(曜日)が指定されており、住民は、指定された収集日に自宅前や予め定められている集積場所に廃棄物を持ち出すようにしている。
【0005】
しかしながら、廃棄物(例えば、生ゴミなど)によっては、収集日まで住宅内に保管していると、臭気が生じることがあり、このために、頻繁な廃棄物の収集や、住民の希望に合わせた廃棄物の収集が望まれている。
【0006】
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、戸建て住宅などの建物において居住者の要求に応じた廃棄物の収集を可能にする廃棄物収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の廃棄物収集システムは、廃棄物を排出する建物ごとに設けられて、前記廃棄物の収集を依頼する依頼手段と、予め設定された収集経路に沿って走行して、前記廃棄物を収集する収集車と、前記依頼を受け付けて、受け付けた依頼に応じて前記収集車の前記収集経路を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された前記収集経路に沿って移動して前記廃棄物を収集するように前記収集車の走行経路を制御する制御手段と、を含む。
【0008】
第1の態様の廃棄物収集システムでは、廃棄物を収集する収集車が予め設定された収集経路(走行経路)に沿って走行して、廃棄物を収集する。各建物には、依頼手段が設けられており、廃棄物の収集を依頼する際には、依頼手段によって廃棄物の収集を依頼する。依頼手段によって廃棄物の収集を依頼する依頼者は、建物に居住する居住者や建物を使用している使用者であり、建物の住所と共に予め登録されていればよい。
【0009】
ここで、設定手段は、廃棄物の収集の依頼を受け付けると、受け付けた依頼に応じて収集車の収集経路を設定する。また、制御手段は、設定された収集経路に沿って走行するように収集車の走行(走行経路)を制御する。これにより、依頼者である居住者の要求に応じて廃棄物を収集することができる。
【0010】
第2の態様の廃棄物収集システムは、第1の態様において、前記設定手段は、予め設定している前記収集車の前記収集経路を、新たに受付けた前記依頼に応じて変更することを含む。
【0011】
第2の態様の廃棄物収集システムでは、収集車の収集経路が予め設定されており、予め設定されている収集経路は、例えば、定期的な廃棄物の収集のために設定されている巡回経路が適用されてもよく、また、既に依頼された廃棄物の収集のための収集経路であってもよい。
【0012】
設定手段は、受け付けた依頼に応じ、既に設定されている収集経路を変更する。これにより、依頼された廃棄物を迅速に収集することができ、居住者の要求に応じて効率的に廃棄物を収集することができる。
【0013】
第3の態様の廃棄物収集システムは、第1又は第2の対応において、前記設定手段は、前記依頼を受け付けてから前記依頼された前記廃棄物が予め設定された時間以内に収集されるように前記収集経路、前記収集車の収集開始タイミングを設定する。
【0014】
第3の態様の廃棄物収集システムでは、依頼を受けてから、依頼された廃棄物を収集車に収集するまでの時間を予め設定している。設定手段は、依頼された廃棄物が設定時間(予め設定されている時間)以内に収集車に収集されるように収集車の走行経路と共に、収集車の走行開始のタイミングを設定する。これにより、居住者の要求に応じて廃棄物を迅速に収集することができる。
【0015】
第4の態様の廃棄物収集システムは、第1から第3の何れか1の態様において、前記設定手段は、収集のための走行中の前記収集車の前記収集経路を、新たに受け付けた前記依頼に応じて変更することを含む。
【0016】
第4の態様の廃棄物収集システムでは、既に受け付けた依頼に応じた廃棄物の収集のために設定されている収集経路に沿った収集車の走行中において、新たな依頼を受け付けた際、新たに依頼された廃棄物を収集するために、設定手段が収集経路を変更する。これにより、依頼された廃棄物をより迅速に収集することができ、居住者の要求に応じてより効率的に廃棄物を収集することができる。
【0017】
第5の態様の廃棄物収集システムは、第1から第4の何れか1の態様において、前記建物と前記収集車との間を移動して前記廃棄物が収容された収容箱を前記収集車に搬送する搬送車を含む。
【0018】
第5の態様の廃棄物収集システムでは、建物と収集車との間を搬送車が移動することで、廃棄物が収容された収容箱が建物から持ち出されて収集車に搬送される。これにより、収集車は、廃棄物を収集するために建物の敷地内に入る必要がなくなるので、廃棄物を一層効率的に収集することができる。
【0019】
第6の態様の廃棄物収集システムは、第5の態様において、前記収容箱には、収容された前記廃棄物の発臭を抑制する抑制手段を備える。
【0020】
第6の態様の廃棄物収集システムでは、廃棄物を収容する収容箱に廃棄物の発臭を抑制する抑制手段が設けられている。これにより、収集前の生ゴミなどの廃棄物が臭いを発するのを抑制できる。
【0021】
第7の態様の廃棄物収集システムは、前記収集車は、前記廃棄物を前記収容箱から取り出す取出し手段を備える。
【0022】
第7の態様の廃棄物収集システムでは、廃棄物を収容箱から取り出す取出し手段が収集車に備えられている。これにより、収容箱から廃棄物を円滑に取り出して収集できる。
【発明の効果】
【0023】
第1の態様の廃棄物収集システムによれば、受け付けた収集依頼に応じて廃棄物を収集するので、住民の要求に応じて廃棄物を収集することができる、という効果を有する。
【0024】
第2の態様の廃棄物収集システムによれば、受け付けた依頼に応じ、既に設定されている収集経路が変更されるので居住者の要求に応じて効率的に廃棄物を収集することができる、という効果を有する。
【0025】
第3の態様の廃棄物収集システムによれば、依頼された廃棄物が設定時間以内に収集車に収集されるように収集車の収集経路と共に、収集車の走行開始のタイミングが設定されるので、居住者の要求に応じて廃棄物を迅速に収集することができる、という効果を有する。
【0026】
第4の態様の廃棄物収集システムによれば、走行中の収集車の収集経路が新たな依頼に応じて変更されるので、居住者の要求に応じてより効率的に廃棄物を収集することができる、という効果を有する。
【0027】
第5の態様の廃棄物収集システムでは、建物と収集車との間を搬送車が移動するので、廃棄物を一層効率的に収集することができる、という効果を有する。
【0028】
第6の態様の廃棄物収集システムによれば、収集前の生ゴミなどの廃棄物が臭いを発するのを抑制できる、という効果を有する。
【0029】
第7の態様の廃棄物収集システムによれば、取出し手段が廃棄物を収容箱から取り出して収集車に収集するので、収容箱から廃棄物を円滑に取り出して収集できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る収集システムの概略構成図である。
図2】収集システムの監理する地域を示す概略図である。
図3】(A)~(C)は、各々搬送車を示す斜視図であり、(A)には分割状態が示され、(B)には収縮状態が示され、(C)には伸長状態が示されている。
図4】搬送車の概略構成を示すブロック図である。
図5】収集車の主要部を示す概略斜視図である。
図6】本実施形態の収集処理における監理サーバの処理の概略を示す流れ図である。
図7】本実施形態の収集処理における収集車の処理の概略を示す流れ図である。
図8】本実施形態の収集処理における端末装置及び搬送車の処理の概略を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1には、本実施形態に係る廃棄物収集システムとしての収集システム10が概略構成図にて示され、図2には、収集システム10により廃棄物の収集が管理される地域12が概略構成図にて示されている。
【0032】
本実施形態では、廃棄物収集のために設定された地域12における廃棄物の収集を例に説明する。図1及び図2に示すように、収集システム10は、各々が走行しながら廃棄物を収集する複数台の収集車14と、地域12内の建物の各々に設置された複数の端末装置16と、端末装置16が設置された建物ごとの情報が格納されたデータサーバ18と、収集車14の走行(移動)を監理することで収集車14を用いた廃棄物の収集を監理する監理サーバ20とを含んでいる。
【0033】
地域12には、廃棄物を例えば焼却することで、廃棄物を処分する集中処理施設22が設置されている。また、収集システム10は、例えば、地域12を複数の地区24(24A、24B、・・・、24n)に区分けし、複数の収集車14により各地区24から収集した廃棄物を集中処理施設22に搬送し、集中処理施設22において廃棄処理(例えば焼却処理)する。
【0034】
本実施形態では、廃棄物の収集を依頼する建物として住宅26を適用しており、地区24は、戸数(住宅26の数)や街区などによって区分けされている。収集システム10は、端末装置16が設置された住宅26を対象として、対象とする住宅26から収集依頼される廃棄物を収集して廃棄処理する。
【0035】
収集システム10では、収集車14、端末装置16、データサーバ18及び監理サーバ20が、インターネットやWAN(Wide Area Network)などのネットワーク28を介してデータの送受信可能に接続されている。
【0036】
各住宅26に設置される端末装置16には、各々を特定する識別子としての端末IDが設定されている。また、端末装置16は、依頼手段として機能し、端末装置16には、依頼情報等の入力に用いられる入力部30A、入力部30Aから入力された廃棄物の収集依頼を監理サーバ20に送信するなどの通信処理を行う通信部30B、及び入力部30Aと通信部30Bとの作動を制御して端末装置16の作動を制御する制御部30Cが形成されている。
【0037】
また、住宅26には、搬送手段としての搬送車32が設置されており、搬送車32は、廃棄物を収容して走行可能とされている。通信部30Bは、収集車14及び搬送車32と通信を行うことで、収集車14の廃棄物の収集を支援する。なお、住宅26にHEMS(Home Energy Management Service)が設置されている場合、HEMSが端末装置16として機能してもよい。
【0038】
データサーバ18は、記憶部34A及び通信部34Bを備えている。記憶部34Aには、端末装置16が設置された住宅26を特定する情報(住宅情報)が格納されている。住宅26の住宅情報(住宅26を特定する情報)には、住宅26を特定する住宅ID(住宅26の居住者を特定する居住者IDでもよい)、住宅26に設置された端末装置16を特定する情報(端末ID等)、及び住宅26の住所などが含まれる。また、住宅26の住宅情報には、住宅26の敷地情報、地図情報及び廃棄物の受け渡し位置などが含まれる。
【0039】
収集車14は、自動運転装置36A、収集作動部36B及び通信部36Cなどを備える。また、収集車14には、廃棄物を収容するコンテナ部38が一体に設けられている。自動運転装置36Aは、自車の位置情報、地図情報、自車の周囲の環境情報(走行環境情報)及び自車の走行情報(走行状態を示す情報)等を取得しながら、予め設定された走行経路に沿って走行するように収集車14の走行を制御(一般的な自動走行制御)する。これにより、収集車14は、乗員の運転操作を介さずに自動運転されて走行する。
【0040】
通信部36Cは、監理サーバ20と通信することで、自車の走行経路を取得する。また、通信部36Cは、住宅26における受け渡し位置に収集車14が停止すると、当該住宅26の端末装置16及び搬送車32との間で廃棄物の受け渡しのための通信を行う。収集作動部36Bは、搬送車32から廃棄物を受け取って、コンテナ部38に収容させるため動作を実行する。
【0041】
一方、監理サーバ20には、通信部40、受付部42、設定部44、及び配車制御部46が形成されている。監理サーバ20には、CPU、ROM、RAM、及び不揮発性のストレージ等がバスによって相互に接続されたマイクロコンピュータ(図示省略)が設けられている。監理サーバ20では、CPUがROM及びストレージに記憶されたプログラムをRAMに展開しながら実行することで、通信部40、受付部42、設定部44、及び配車制御部46の各機能が実現される。
【0042】
通信部40は、ネットワーク28を介して、収集車14、端末装置16、及びデータサーバ18の各々と通信を行うことで各種の情報の入出力を行う。受付部42は、住宅26の端末装置16から出力される廃棄物の収集依頼を受け付ける。設定部44は、廃棄物の収集依頼を出力した端末装置16を特定することで、廃棄物を収集する住宅26を特定する。また、設定部44は、特定した住宅26についての住宅情報をデータサーバ18から取得し、廃棄物を収集するための収集車14ごとの走行経路を設定する。配車制御部46は、設定部44において設定された走行経路に基づいて、収集車14の各々の走行を制御する。
【0043】
図3(A)、図3(B)及び図3(C)には、搬送車32の一例が斜視図にて示され、図4には、搬送車32の概略構成がブロック図にて示されている。また、図5には、収集車14の主要部が斜視図にて示されている。なお、図3(A)には、搬送車32の分割した状態が示され、図3(B)には、移動時における搬送車32の収縮した状態が示され、図3(C)には、待機位置における搬送車32の伸長された状態が示されている。
【0044】
図3(A)~図3(C)及び図4に示すように、搬送車32は、蓄電駆動部48、昇降冷却部50、及び収容箱としてのダストボックス部52を備えている。蓄電駆動部48には、箱状のケーシング48A内に駆動部54A、及び蓄電手段としての蓄電池を含む蓄電部54Bが配置されている。また、蓄電駆動部48には、ケーシング48Aの下側にベース54Cが配置され、ベース54Cには、複数の車輪54D(無限軌道などでもよい)が取り付けられていると共に、ケーシング48Aが取り付けられている。
【0045】
搬送車32では、駆動部54Aが蓄電部54Bから供給される電力により作動することで、車輪54Dが回転駆動されて走行される。住宅26には、搬送車32の待機位置が設定されており、待機位置は、住宅の勝手口近傍などの敷地外からは目立たない位置とされ、搬送車32は、待機位置において外壁に接するように配置される。また、住宅26には、廃棄物を収集車14に受け渡す受け渡し位置が設定されており、搬送車32は、駆動部54Aが作動されることで、待機位置と受け渡し位置との間を移動する。
【0046】
昇降冷却部50には、ケーシング50A内に昇降部56A、及び冷却部56Bが配置されている。また、ダストボックス部52には、箱状のケーシング52A内に廃棄物が収容される収容タンク58が配置されている。
【0047】
ダストボックス部52には、ケーシング52Aの上面に蓋部52Bが形成されている。ダストボックス部52では、蓋部52Bが開けられることで収容タンク58内に廃棄物を投入でき、蓋部52Bが閉じられることで収容タンク58内を緊密に閉塞する。これにより、ダストボックス部52では、収容タンク58内で臭気が発生しても、発生した臭気がケーシング52A外に漏れるのが抑制されている。なお、蓋部52Bは、図示しないアクチュエータにより開閉可能にされていてもよい。
【0048】
昇降冷却部50は、蓄電駆動部48に重ねられて取り付けられており、昇降冷却部50は、昇降部56A及び冷却部56Bが、蓄電部54Bから供給される電力によって作動される。また、昇降冷却部50には、ケーシング50Aの上部に矩形状のテーブル56Cが配置されており、テーブル56Cは、伸縮部56Dを介して昇降冷却部50に取り付けられている。搬送車32では、テーブル56C上にダストボックス部52が載置されており、ダストボックス部52は、図示しないロック手段によってテーブル56C上に着脱可能に固定されている。
【0049】
伸縮部56Dは、昇降部56Aが作動することで上下方向に収縮及び伸長され、伸縮部56Dが上方に伸長されることで、テーブル56Cと共にダストボックス部52が所定高さまで上昇され、伸縮部56Dが収縮されることで、テーブル56Cと共にダストボックス部52が下降される。昇降冷却部50では、伸縮部56Dの最も収縮されることでテーブル56Cがケーシング50Aの上面上に配置される。これにより、搬送車32では、伸縮部56Dを介してダストボックス部52が支持され、上下移動可能になっている。
【0050】
冷却部56Bには、伸縮部56D内を通してテーブル56C内部との間で水などの冷媒が循環される。冷却部56Bには、例えば冷凍サイクルによって冷却された冷媒と水との熱交換を行うことで水を冷却し、冷却した水によりテーブル56Cと共に、ダストボックス部52の収容タンク58内を冷却する。これにより、搬送車32では、収容タンク58内の温度を、例えば、10°C以下などの予め設定された温度以下となるようにして、収容タンク58内に廃棄物として生ゴミなどが収容されていても、収容タンク58内で異臭が発生するのを抑制する。
【0051】
一方、搬送車32には、自車位置を検知するための位置センサ60A、周囲の対象物との距離を検知するための距離センサ60B、給電部62、通信部64及び制御手段としての制御部66が設けられている。位置センサ60A及び距離センサ60Bは、例えば、昇降冷却部50のケーシング50A側面に取り付けられ、自車位置の検知及び周囲の障害物の検知することで、搬送車32の待機位置と受け渡し位置との間の円滑な走行を図る。
【0052】
給電部62は、例えば、昇降冷却部50のケーシング50Aの側面に取り付けられ、搬送車32が待機位置で停止中において、例えば、住宅26の外壁に設置された図示しない供給部に対向される。給電部62には、例えば、ワイヤレス電力伝送方式(非接触電力伝送方式)が適用されており、給電部62は、供給部に対向されることで、供給部から電力が供給される。
【0053】
給電部62は、蓄電部54Bに電気的に接続されており、給電部62は、供給部から供給される電力を蓄電部54Bに出力することで、蓄電部54Bを充電する。給電部62のワイヤレス電力伝送方式は、電磁誘導式や磁界共振方式などの磁界結合式が適用されてもよく、非放射型の磁界結合式に限らず、他の非放射型が適用されてもよく、電磁波などを用いる放射型であってもよい。なお、給電部は、住宅26の外壁に限らず、地面上に立設されていてもよい。
【0054】
通信部64は、LANなどを介して住宅26内の端末装置16と通信が可能となっていると共に、端末装置16を介して又は無線通信によって収集車14と通信が可能となっている。
【0055】
制御部66には、位置センサ60A、距離センサ60B、通信部64、駆動部54A、蓄電部54B、昇降部56A、冷却部56B、及びテーブル56Cのロック手段の各々が電気的に接続されている。
【0056】
制御部66は、通信部64を介して端末装置16及び収集車14と通信を行うことで、搬送車32から収集車14に廃棄物を受け渡し可能にする。また、制御部66は、位置センサ60A及び距離センサ60B等の出力信号に応じて駆動部54Aの作動を制御することで、搬送車32を待機位置と受け渡し位置との間を移動させる。また、制御部66は、昇降部56Aの作動を制御することで、ダストボックス部52の位置を上下方向に変更し、冷却部56Bの作動を制御することで、収容タンク58内の温度調整(温度上昇の抑制)を行う。さらに、制御部66は、テーブル56Cのロック手段を制御してダストボックス部52の着脱を可能にしている。
【0057】
一方、図5に示すように、収集車14には、例えば、車体側面(車体後面でもよい)に投入口68が形成されており、投入口68は、図示しないシャッタにより開閉可能とされている。また、収集車14には、取出し手段としての一対のアーム(ロボットハンド)70が取り付けられている。収集車14では、搬送車32が受け渡し位置に停止していることで、搬送車32のダストボックス部52が投入口68に対向され、搬送車32では、受け渡し位置においてダストボックス部52がロック解除される。
【0058】
収集車14の収集作動部36Bは、一対のアーム70によりダストボックス部52のケーシング52Aを挟んで持ち上げて、投入口68内に引き入れると共に、蓋部52Bを下方に向ける。これにより、収集作動部36Bは、ダストボックス部52の蓋部52Bを開いて収容タンク58内の廃棄物をコンテナ部38内に投入する。なお、アーム70の操作は、例えば、カメラ等によって受け渡し位置における搬送車32を撮像し、撮影画像に対して画像処理を行うことでダストボックス部52の位置を特定し、特定した位置に合わせて一対のアーム70を動作させるなどの一般的手法が適用される。
【0059】
次に本実施形態の作用として収集システム10による廃棄物の収集を説明する。
収集システム10では、地域12内の各住宅26に端末装置16が設置されると共に、搬送車32が配置されている。また、データサーバ18には、端末装置16が設置された住宅26についての住宅情報が記憶されている。
【0060】
住宅26に設置される搬送車32には、ダストボックス部52が配置されており、居住者は、廃棄を依頼する廃棄物をダストボックス部52の収容タンク58に投入する。収集システム10において、居住者は、端末装置16を用いて、搬送車32のダストボックス部52の廃棄物を廃棄するための収集を監理サーバ20に依頼する。廃棄物の収集依頼は、端末装置16を用いることで、住所や氏名などの情報の入力を不要にできる。なお、廃棄物の収集依頼の際は、何時以降であれば収集可能などの時間的制限や、廃棄物の量などを含めるようにしてもよい。
【0061】
収集システム10では、監理サーバ20が廃棄物の収集依頼を受け付けると、収集車14によって廃棄物を住宅26から収集して、収集した廃棄物を集中処理施設22に搬送するように管理する。収集システム10では、監理サーバ20の設定に基づいて収集車14と端末装置16(端末装置16及び搬送車32)が連携して廃棄物の収集が行われる。
【0062】
図6には、収集システム10の廃棄物の収集処理において監理サーバ20で実行される配車処理の概略が流れ図にて示されている。また、図7には、収集車14の廃棄物の受け取り処理の概略が流れ図にて示され、図8には、搬送車32から収集車14への廃棄物の受け渡し処理の概略が流れ図にて示されている。なお、図7の処理は、収集車14に設けられた自動運転装置36A又は、自動運転装置36A及び収集作動部36Bの作動を制御する収集車14の図示しない制御装置によって実行される。また、図8の処理は、端末装置16及び端末装置16によって制御される搬送車32の制御部66により実行される。
【0063】
図6に示すように、監理サーバ20は、最初のステップ100において、廃棄物の収集依頼を受信したか否かを確認する。監理サーバ20は、何れかの住宅26において端末装置16から廃棄物の収集依頼が発せられると、ステップ100において肯定判定してステップ102に移行する。ステップ102では、監理サーバ20が廃棄物の収集依頼を受信して、廃棄物の収集依頼を受け付ける。
【0064】
廃棄物の収集依頼を受け付けると、監理サーバ20は、ステップ104において収集依頼を発した端末装置16を特定することで、廃棄物の収集する対象の住宅26を特定し、特定した住宅26の住宅情報をデータサーバ18から取得する。これにより、監理サーバ20は、取得した住宅情報から収集対象の住宅26の地区24及び住所(所在地)を特定でき、監理サーバ20は、収集車14が複数の住宅26について廃棄物を収集しながら回る廃棄物収集リストを必要に応じて作成できる。
【0065】
監理サーバ20は、廃棄物の収集依頼を受け付けると、ステップ106において住宅情報に基づき廃棄物を収集するための収集車14の走行経路としての収集経路を設定する。なお、収集経路は、例えば、既に設定されている収集経路に沿って移動している収集車14の稼働中(例えば日中)であれば、廃棄物の収集依頼を受け付けるごとに設定(既存の収集経路の変更)を行ってもよい。また、収集経路は、例えば、収集車14の稼働停止中(夜間、例えば、収集車14の稼働終了後から翌日の稼働開始までの間)であれば、廃棄物の収集依頼を順に受け付けて上記廃棄物収集リストを作成し、作成した廃棄物収集リストに基づいて設定してもよい。
【0066】
監理サーバ20では、ステップ106において収集車14の収集経路を設定すると、ステップ108において、設定した収集経路を収集車14ごとに割り当てる。この後、監理サーバ20は、ステップ110において各収集車14に収集経路の情報を送信して、各収集車14を収集経路に沿って稼働させる。
【0067】
ここで、ステップ106における収集経路の設定は、廃棄物収集リストが作成されている場合、例えば、一つの地区24(又は、複数の地区24)を対象地区として、対象地区内の住宅26の収集依頼に基づき、対象地区内での走行経路を設定すると共に、対象地区までの収集車14の走行経路、及び集中処理施設22までの走行経路を設定し、これらの走行経路を含めて収集経路を設定する。なお、収集予定当日の朝までに受け付けた廃棄物収取リストは、少なくとも当日のうちに収集されるように収集経路が設定される。
【0068】
対象地区内での走行経路は、対象地区内で廃棄物の収集依頼をした各住宅26を経由するように設定される。この際、例えば、対象地区内の住宅26の各々を地図上にマッピングして、地図上において収集車14を地区24の一側から他側に向けて移動するように収集経路を設定するなど、各種の設定方法を適用できる。
【0069】
また、収集経路の設定は、依頼された各廃棄物について少なくとも収集依頼を受け付けた日の翌日中には、依頼された廃棄物を収集できるように、収集する住宅26の数、収集のための収集車14の走行経路、及び収集車14の出発時刻(稼働開始時刻)等が含められる。なお、依頼された廃棄物の収集は、収集依頼を受け付けてからの時間が短いことが好ましく、例えば、収集依頼を受け付けてから収集するまでの時間が、例えば24時間以内となるように収集経路が設定されてもよい。
【0070】
また、新たに収集経路を設定する場合、収集車14の稼働開始時刻(収集のために走行を開始する時刻)を設定する。この際、廃棄物の収集依頼において、廃棄物の収集が可能となる時刻や時間帯が設定されている場合、その住宅26への到着時刻に合わせて収集車14の稼働開始時刻を設定してもよい。
【0071】
また、廃棄物の収集依頼において収集可能となる時刻(収集の準備できる時刻)や時間帯などが通知されている場合、その住宅26に収集車14の到着予測時刻が、廃棄物を収集可能となる時刻(又は時間帯)となるように収集順序(各住宅26に立ち寄る順序)などを調整して収集経路を設定してもよい。
【0072】
収集経路の設定は、既に設定されている収集経路を変更するものであってもよい。既に設定されている収集経路としては、定期的な収集経路であってもよく、既に収集車14により廃棄物の収集のための走行(稼働)が開始されている収集経路(定期的な収集経路を含む)であってもよい。
【0073】
この場合、廃棄物を収集する新たな住宅26位置(住所)が既に収集するように設定されている2つの住宅26の付近あれば、この2つの住宅26の間に新たな住宅26を回る(立ち寄る)ように収集経路を設定してもよい。
【0074】
また、走行中の収集車14の収集経路が新たな住宅26の付近を通っている場合、対応する収集車14の自動運転装置36Aから位置情報、及び予定の収集経路を取得し、取得した収集車14の位置及び収集経路から新たな住宅26に立ち寄る(回る)ことが可能か否かを確認する。これにより、新たな住宅26に立ち寄ることが可能であれば、その収集車14の収集経路を新たな住宅26を通るように変更し、変更した収集経路を収集車14に送信すればよい。
【0075】
また、新たな住宅26と同じ地区24を対象に廃棄物を収集する収集車14が既にない場合(その地区24の収集が終了している場合)、他の地区24を収集中の収集車14が新たな住宅26に立ち寄ることができるか否かを確認してもよい。この際、新たな住宅26に他の地区24を回った収集車14が立ち寄り可能であれば、その収集車14の収集経路を変更するようにしてもよい。
【0076】
このように、収集車14の収集経路を廃棄物の収集依頼を受けるごとに変更することで、廃棄物の収集依頼を受けてから収集依頼を受けた廃棄物の収集までの時間を短縮できると共に、廃棄物の収集を効率よく行うことができる。
【0077】
一方、図7に示すように、収集車14は、最初のステップ120において、監理サーバ20から送信された収集経路を受信して、自車に対する収集経路を取得する。また、ステップ122では、予め設定された時刻(例えば、収集経路において稼働開始が設定された時刻、又は予め設定されている収集業務の開始時刻)となったか否かを確認する。
【0078】
これにより、稼働開始時刻となると、ステップ122において肯定判定して、ステップ124に移行し、収集車14が設定された収集経路に沿う走行を開始する。
【0079】
収集車14は、廃棄物を収集する対象地区に入ると、収集経路において設定された住宅26の受け渡し位置(収集車14から見て受け取り位置)に停止して、廃棄物の収集のための受け取り動作を実行する。
【0080】
この廃棄物の受け取り動作は、ステップ126において対象の住宅26の受け渡し位置に停止し、次のステップ128では、対象の住宅26の端末装置16に廃棄物の受け渡し要求を行う。この後、ステップ130では、廃棄物の受け渡し要求を受信したか否かを確認する。
【0081】
一方、図8に示すように、端末装置16は、ステップ150において、居住者により廃棄物の収集依頼が入力されると、ステップ152では、入力された廃棄物の収集依頼を監理サーバ20に送信する。これにより、監理サーバ20が廃棄物の収集依頼を受け付ける(図6のステップ102参照)。
【0082】
この後、端末装置16では、ステップ154において収集車14から廃棄物の受け渡し要求(図7のステップ128参照)を受信したか否かを確認し、受け渡し要求を受信すると、ステップ154において肯定判定してステップ156に移行する。このステップ156では、端末装置16が搬送車32に対して受け渡し位置への移動を指示する。これにより、搬送車32がダストボックス部52の収容タンク58内に廃棄物を収容した状態で受け渡し位置へ向けて移動する。
【0083】
搬送車32は、住宅26の廃棄物を収容する待機位置において、昇降部56Aがダストボックス部52を所定高さまで上昇させており、搬送車32は、受け渡し位置への移動が指示されると、昇降部56Aを作動させて、ダストボックス部52を下降させる。これにより、搬送車32は、重心が低くなるので、安定した走行(移動)が可能となる。
【0084】
この後、搬送車32は、受け渡し位置に達すると、駆動部54Aを停止する。端末装置16(搬送車32の制御部66でもよい)は、ステップ158において、収集車14に対して廃棄物の受け取り要求を発信する。この際、搬送車32は、ダストボックス部52に対してロック解除を行う。
【0085】
図7に示すように、収集車14は、搬送車32側から発せられる廃棄物の受け取り要求を受信すると、ステップ130において肯定判定して、ステップ132に移行し、廃棄物の受け取り処理を実行する。
【0086】
この廃棄物の受け取り処理では、投入口68を閉止しているシャッタを開いて、廃棄物をコンテナ部38内に収容可能な状態として、一対のアーム70を動作させることで、搬送車32からダストボックス部52を持ち上げ、持ち上げたダストボックス部52を傾けることでダストボックス部52内の廃棄物を投入口68からコンテナ部38内に投入する。これにより、廃棄物が収集車14内に収容される。なお、ダストボックス部52は、アーム70により持ち上げられることで、蓋部52Bが開かれて、廃棄物の排出が可能になればよい。
【0087】
この後、収集車14は、ダストボックス部52を搬送車32のテーブル56C上に戻すと、ステップ134において、端末装置16(又は搬送車32)に廃棄物の収集処理(受け取り)の終了を通知する。
【0088】
図8に示すように、端末装置16では、搬送車32が廃棄物の受け取り要求を発信すると、ステップ160において収集車14が廃棄物の収集処理の終了を通知したか否かを確認する。端末装置16は、収集車14が発信する受け取りの終了通知(図7のステップ134参照)を受信すると、ステップ162において、搬送車32を待機位置へ移動させて、廃棄物の収集依頼に対する受け渡し処理を終了する。
【0089】
搬送車32は、廃棄物の受け渡し処理が終了して待機位置への移動が指示されると、ロック手段を作動させてダストボックス部52をテーブル56C上に保持した後、待機位置に向けて移動して待機する。
【0090】
図7に示すように、収集車14は、廃棄物の受け取り処理の終了を通知すると、ステップ136に移行し、全ての住宅26に対する廃棄物の収集処理を終了したか否かを確認する。この際、廃棄物を収集する住宅26が残っている場合には、収集車14は、ステップ136において否定判定して、ステップ138に移行し、次の住宅26から廃棄物を収集するために、その住宅26の受け渡し位置に向けた移動を開始する(走行を開始しながらステップ126に移行)。
【0091】
これに対して、対象の住宅26の全てから廃棄物を収集すると、収集車14は、ステップ136において肯定判定してステップ140に移行し、集中処理施設22に向けた走行を開始する。これにより、収集車14が収集した廃棄物を集中処理施設22に持ち込むことで、廃棄物が廃棄処理される。
【0092】
一方、収集車14では、稼働を介してから集中処理施設22に移動するまで、監理サーバ20が発する新たな指示(新たな収集経路)の受信を可能にしている。このため、監理サーバ20が新たな収集依頼を受け付けて、廃棄物を収集する住宅26を追加した収集経路を収集車14に送信すると、収集車14は、新たに受信した収集経路に沿った廃棄物の収集処理を開始する。
【0093】
これにより、収集システム110では、収集車14が、最初に設定された収集経路に含まれる地区24の住宅26のみならず、他の地区24の廃棄物も収集するので、収集車14を効率よく稼働させて、廃棄物の収集作業を円滑に行うことができる。しかも、廃棄物が収集車14に迅速に収集されるので、廃棄物が住宅26に長時間にわたって貯留されてしまうのを確実に抑制できる。
【0094】
このように、収集システム10では、収集車14が監理サーバ20により設定された収集経路に沿って走行し、端末装置16により収集依頼した住宅26の各々から廃棄物を収集する。この際、監理サーバ20は、受け付けた収集依頼に基づいて収集経路を設定する。これにより、各住宅の居住者の依頼に応じて廃棄物を収集することができる。
【0095】
また、監理サーバ20は、既に設定されている収集経路を、新たに受け付けた廃棄物の収集依頼に応じて変更する。これにより、依頼された廃棄物を迅速に収集することができ、居住者の依頼に応じて効率的に廃棄物を収集することができる。
【0096】
また、監理サーバ20は、収集車14が走行している収集経路を、新たに受け付けた廃棄物の収集依頼に応じて変更する。これにより、走行中の収集車14を効果的に用いて、依頼された廃棄物をより迅速に収集することができる。
【0097】
さらに、監理サーバ20では、廃棄物の収集依頼を受け付けてから、予め設定された時間以内に収集依頼された廃棄物を収集できるように収集経路を設定する。これにより、収集依頼された廃棄物が、収集されずに住宅26に残るのを防止できる。
【0098】
また、収集システム10では、廃棄物が収容されたダストボックス部52を搬送車32が住宅26の待機位置と収集車14への受け渡し位置との間を搬送する。これにより、収集車14は、廃棄物を収集するために住宅26の敷地内に入る必要がないので、廃棄物を円滑に収集できる。しかも、収集前の廃棄物が路上に置かれることがない。
【0099】
さらに、搬送車32には、冷却部56Bが設定されており、搬送車32を日の当たる屋外に配置しても、収容タンク58内に温度上昇が生じるのを抑制できて、温度上昇により廃棄物の腐敗が進行するのを抑制できる。しかも、冷却部56Bが、搬送車32に一体に設けられているので、廃棄物を冷却するための構成が住宅26の敷地の空きスペースを狭めてしまうことがない。
【0100】
また、搬送車32は、ダストボックス部52の収容タンク58内の臭いを検知する臭いセンサを設けることで、臭いセンサの検知結果に基づいて冷却部56Bを作動させることができる。これにより、冷却部56Bを不必要に作動させることによる電力消費を抑えながら、収容タンク58内の廃棄物が異臭を発生するのを効果的に抑制できる。
【0101】
また、収集車14では、アーム70によって搬送車32のダストボックス部52を持ち上げ、ダストボックス部52(収容タンク58)内の廃棄物をコンテナ部38に投入する。これにより、搬送車32から廃棄物を容易かつ円滑に収集車14に収集できる。
【0102】
一方、搬送車32には、昇降部56Aが設置されており、昇降部56Aが伸縮部56Dを伸縮させることで、ダストボックス部52を上下移動させて、廃棄物の投入が容易となる高さにできる。また、ダストボックス部52を下げることで、搬送車32の重心位置を下げることができるので、搬送車32が安定して走行できる。
【0103】
また、搬送車32には、給電部62が設けられており、給電部62を介して住宅26から供給される電力により蓄電部54Bを充電できる。これにより、搬送車32は、蓄電部54Bに充電された電力を用いて移動できるので、電力を供給するための配線(ケーブル)が搬送車32の走行を妨げることがなく、搬送車32は、住宅26の敷地内において円滑に走行できる。しかも、搬送車32では、待機位置において蓄電部54Bに電力が充電されるので、充電が不足することにより収集車14への廃棄物の搬送途中で停止してしまうのを防止できる。
【0104】
なお、本実施形態では、ワイヤレス電力伝送方式を適用した給電部62を用いたが、蓄電部54Bへの電力供給は、搬送車32に太陽光発電パネルを設置して、太陽光発電パネルの発電電力が供給されてもよい。また、これらに限らず、蓄電部54Bへの電力供給は、公知の電力供給方式を適用してもよい。
【0105】
一方、住宅26における搬送車32の待機位置は、住宅26の勝手口近傍でもよいが、勝手口近傍に限らず、キッチン(台所)と屋外とを仕切る壁に近接する位置であってもよい。また、その壁に廃棄物の投入用の開口部を設け、搬送車32は、投入用の開口部の屋外側下縁がダストボックス部52の上面となる位置に待機されるようにしてもよい。
【0106】
この場合、屋外側において投入用の開口部と搬送車32の上部(少なくともダストボックス部52を覆って投入用の開口部とダストボックス部52の収容タンク58内とを連通可能とするフードなどの被覆部を設けると共に、キッチン側に蓋部52Bの開閉用スイッチを設けることが好ましい。
【0107】
これにより、キッチン内からダストボックス部52の収容タンク58内に廃棄物を投入できる。しかも、フードによって蓋部52Bが開閉するダストボックス部52の上面の開口を覆うことができるので、この開口から収容タンク58内に雨水等が入り込むのを抑制できるので、雨水等により収容タンク58内の廃棄物の腐敗などが促進する野を抑制できる。
【0108】
また、外壁に投入用の開口部を設けた場合に限らず、搬送車32を住宅26の外壁近傍に配置する際には、風雨や日射を遮るためのフード等を設けるようにしてもよい。これにより、収容タンク58内の廃棄物の腐敗抑制のみならず、搬送車32の外観品質の低下などを抑制できる。
【0109】
さらに、搬送車32の待機位置としては、住宅26の外壁に搬送車32が入り込む凹部を形成し、この凹部内を搬送車32の待機位置としてもよい。これにより、搬送車32を風雨や日射から保護可能になるので、搬送車32の劣化を抑制可能になる。しかも、住宅26の外壁から搬送車32が突出することがないので、搬送車32が住宅26の外観を損ねるのを抑制できる。
【0110】
外壁に形成した凹部内を搬送車32の待機位置とする際、搬送車32の周囲(凹部の内面)に冷却機構を配置してもよい。これにより、搬送車32の冷却部56Bを不要にできて、搬送車32の軽量化を図ることができる。また、外壁に形成した凹部内を搬送車32の待機位置とする場合、凹部内の天井部分に投入用の開口部を形成してもよく、これにより、凹部内に搬送車32を配置してもダストボックス部52への廃棄物の投入を容易にできる。
【0111】
一方、本実施形態では、搬送車32を端末装置16と共に住宅26に設置した。しかしながら、搬送車は、収集車に設けられていてもよい。例えば、収集車に複数台の搬送車を搭載し、収集車の停止位置の周囲の住宅に搬送車の各々が個別に移動し、住宅から廃棄物を収集するようにしてもよい。この際、搬送車にマジックハンドなどの取出し手段を設け、搬送車が住宅の端末装置に対して廃棄部の受け渡し要求を行い、許可されることで搬送車が住宅ごとに定められている受け渡し位置に敷地内を移動して、廃棄物を収集するようにしてもよい。
【0112】
なお、以上説明した本実施形態では、搬送車32に蓄電駆動部48、昇降冷却部50及びダストボックス部52を設けた。しかしながら、搬送車は、廃棄物を収容した収容箱を住宅の所定位置から収集車へ廃棄物を受け渡す位置まで移動できる構成であればよい。例えば、搬送車は、住宅の所定位置に置かれた収容箱を牽引するなどして移動する構成などの各種の構成を適用できる。
【0113】
また、本実施形態では、廃棄物を日中に収集するように説明したが、収集システム10では、乗員の運転操作を介さない自動運転で走行が可能な収集車14を用いると共に、住宅26では、居住者を介さずに廃棄物を受け渡すことができる搬送車32を用いている。ここから、廃棄物の収集は、夜間や早朝に行われてもよい。
【0114】
さらに、本発明は、実施形態に記載の態様に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0115】
10 収集システム(廃棄物収集システム)
14 収集車
16 端末装置
18 データサーバ
20 監理サーバ
22 集中処理施設
32 搬送車
42 受付部
44 設定部
46 配車制御部
52 ダストボックス部(収容箱)
56B 冷却部(抑制手段)
58 収容タンク(収容箱)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8