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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160142
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】クーラント供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064703
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 純一
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011EE08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切削加工機側のクーラントの濃度が目標濃度に対して高い場合もしくは低い場合の何れであっても、切削加工機側のクーラントを目標濃度に向けて調整可能なクーラント供給装置を提供する。
【解決手段】切削加工機2(2-1~2-4)のクーラントタンク3にクーラントを供給するクーラント供給装置1は、切削加工機2が求める目標濃度よりも高濃度のクーラントを貯留する高濃度クーラントタンク12と、目標濃度よりも低濃度のクーラントを貯留する低濃度クーラントタンク14と、切削加工機2のクーラントタンク3内のクーラントが目標濃度となるように、切削加工機2のクーラントタンク3に対する高濃度クーラント及び/又は低濃度クーラントの供給を制御する供給制御手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削加工機のクーラントタンクにクーラントを供給する装置であって、
前記切削加工機が求めるクーラントの目標濃度よりも高濃度のクーラントを貯留する高濃度クーラントタンクと、
前記目標濃度よりも低濃度のクーラントを貯留する低濃度クーラントタンクと、
前記切削加工機のクーラントタンク内のクーラントが前記目標濃度となるように、前記切削加工機のクーラントタンクに対する高濃度クーラント及び/又は低濃度クーラントの供給を制御する供給制御手段と、
を備えていることを特徴とするクーラント供給装置。
【請求項2】
前記クーラントを供給する対象の前記切削加工機が複数接続されていることを特徴とする請求項1に記載のクーラント供給装置。
【請求項3】
前記高濃度クーラント及び前記低濃度クーラントを、切削液の原液と水から調整するミキシング部を備えていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載のクーラント供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、切削加工機のクーラントタンクにクーラントを供給するクーラント供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切削加工機では、被加工材を切削する場合、切削領域における発熱に対する冷却及び切削抵抗の減少のために、切削領域へのクーラントの供給が必要不可欠である。かかるクーラントについては、被加工材の材質や使用する工具等の加工条件に基づいて決定された適正な濃度で管理される必要がある。例えば、クーラントとして水溶性の切削液を使用する場合には、下記特許文献1に記載されているように、クーラント貯留タンク内に切削液の原液および水が供給され貯留タンク内のクーラントが適正な濃度となるように調整されている。
【0003】
ところで、工場内などに複数の切削加工機が設置されている場合、各切削加工機に対してクーラントを供給するクーラント供給装置が接続され、クーラント供給装置から各切削加工機に対して適正濃度に保たれたクーラントを自動的に補給することが行われている。
しかしながら、切削加工機が求めるクーラント濃度(目標濃度)は様々である。クーラント供給装置が備えるクーラントの貯留タンクが1槽であると、切削加工機側のクーラントに対して高濃度又は低濃度のいずれか一方のクーラントしか供給できず、クーラント供給装置から供給されるクーラントの濃度と、切削加工機側のクーラントの濃度の組み合わせによっては、切削加工機側のクーラントを目標濃度に調整することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5667230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような事情を背景とし、切削加工機側のクーラントの濃度が目標濃度に対して高い場合もしくは低い場合の何れであっても、切削加工機側のクーラントを目標濃度に向けて調整可能なクーラント供給装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下のように本発明に想到した。
すなわち、本発明のクーラント供給装置は、
切削加工機のクーラントタンクにクーラントを供給する装置であって、
前記切削加工機が求めるクーラントの目標濃度よりも高濃度のクーラントを貯留する高濃度クーラントタンクと、
前記目標濃度よりも低濃度のクーラントを貯留する低濃度クーラントタンクと、
前記切削加工機のクーラントタンク内のクーラントが前記目標濃度となるように、前記切削加工機のクーラントタンクに対する高濃度クーラント及び/又は低濃度クーラントの供給を制御する供給制御手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、濃度の異なる2種類のクーラント、詳しくは、切削加工機が求める目標濃度よりも高濃度のクーラントと、目標濃度よりも低濃度のクーラントを切削加工機に対して供給することができる。このため、切削加工機側のクーラントの濃度が目標濃度に対して高い場合もしくは低い場合の何れであっても、切削加工機側のクーラントを目標濃度に向けて調整することができる。
【0008】
ここで本発明では、前記クーラントを供給する対象の前記切削加工機を複数接続することができる。
【0009】
また本発明では、前記高濃度クーラント及び前記低濃度クーラントを、切削液の原液と水から調整するミキシング部を備えるように構成することができる。このようにすれば、切削加工機で使用されるクーラントの目標濃度に応じて、切削加工機に供給する高濃度クーラント及び低濃度クーラントの濃度を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のクーラント供給装置を切削加工機と接続された状態で示した概略構成図である。
図2図1の高濃度クーラントタンク及び低濃度クーラントタンクの概略構成図である。
図3】同クーラント供給装置の電気系統のブロック図である。
図4】同クーラント供給装置におけるクーラント供給動作についてのフローチャートである。
図5図4のフローチャートの変形例である。
図6図4,5とは異なるクーラント供給動作についてのフローチャートである。
図7】同クーラント供給装置に対する変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の一実施形態のクーラント供給装置を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本実施形態のクーラント供給装置を切削加工機と接続された状態で示した概略構成図である。同図において、1はクーラント供給装置、2はクーラント供給装置1に接続された切削加工機である。本例では2-1、2-2、2-3、2-4で示す4つの切削加工機がクーラント供給装置1に接続され、クーラント供給装置1からクーラントの供給を受ける。
【0012】
各切削加工機2はそれぞれクーラントタンク3を備えており、クーラントタンク3内にクーラントが貯留される。クーラントタンク3に貯留されたクーラントは図示を省略するポンプで汲み上げられてワーク加工部4内の切削領域に向かって放出される。放出されたクーラントは図示を省略する管路を経由してクーラントタンク3に回収される。かかるクーラントについては、被加工材の材質や使用する工具等の加工条件に基づいて決定された目標濃度で管理される必要がある。本例では、クーラント供給装置1からのクーラントの供給に基づいて切削加工機2側のクーラントの濃度が調整可能とされている。
【0013】
各切削加工機2が備えるクーラントタンク3は、クーラントの液面を計測する液面センサ31及びクーラント濃度を計測する濃度センサ32を備えている。これら液面センサ31及び濃度センサ32は、後述するクーラント供給装置1の制御部40(図3参照)に接続されている。なお、クーラントタンク3については、液面センサ31、濃度センサ32の他、液温を計測するための温度センサやPHセンサ、コンタミ確認センサ等を設けておくことが可能である。また、クーラントタンク3には内部のクーラントを外部に排出するための排出管34及び排出弁35が設けられている。
【0014】
クーラント供給装置1は、切削加工機2側のクーラントが所定の目標濃度に近づくように、切削加工機2に対してクーラントの供給を行うもので、ミキシング部10と、高濃度クーラントタンク12と、低濃度クーラントタンク14と、これら貯留用のタンク12,14とミキシング部10とを繋ぐ第1の供給管16と、高濃度クーラントタンク12と各切削加工機2とを繋ぐ第2の供給管18と、低濃度クーラントタンク14と各切削加工機2とを繋ぐ第3の供給管20と、制御部40(図3参照)と、を備えている。
【0015】
本例のクーラント供給装置1は、切削加工機2に供給するためのクーラントとして、切削加工機2が求める目標濃度よりも高濃度のクーラントと、切削加工機2が求める目標濃度よりも低濃度のクーラントとの2種類を備えている。ここでは、各切削加工機2-1~2-4が採用し得るクーラントの目標濃度が8~12%の範囲内であるとし、高濃度クーラントタンク12に貯留される高濃度クーラントの濃度を15%とし、低濃度クーラントタンク14に貯留される低濃度クーラントの濃度を5%としている。
【0016】
本例で使用されるクーラントは水溶性の切削液(原液)を希釈したものである。ミキシング部10には切削液の原液(原液供給源)と希釈用の水(水源)とがそれぞれ接続され、所定の濃度にミキシングされたクーラントが下流側のタンク12,14に向けて送られる。詳しくはミキシング部10において高濃度用に調整されたクーラントは第1の供給管16を通じて高濃度クーラントタンク12に送られる。また、ミキシング部10において低濃度用に調整されたクーラントは第1の供給管16を通じて低濃度クーラントタンク14に送られる。
【0017】
図2は、高濃度クーラントタンク12及び低濃度クーラントタンク14の概略構成を示した図である。高濃度クーラントタンク12は、タンク内のクーラントを攪拌する攪拌装置22A、クーラントの液面を計測する液面センサ23A、クーラント濃度を計測する濃度センサ24A及びタンク内のクーラントを切削加工機2に向けて送り出する液送ポンプ25Aを備えている。これら攪拌装置22A、液面センサ23A、濃度センサ24A及び液送ポンプ25Aは制御部40に接続されており、クーラント供給装置1では液送ポンプ25Aによる送り出し動作に伴なう液面の低下が液面センサ23Aにより検出された際には、ミキシング部10によって高濃度用に調整されたクーラントが第1の供給管16及び電磁弁17Aを通じて高濃度クーラントタンク12内に供給される。
【0018】
一方、低濃度クーラントタンク14は、タンク内のクーラントを攪拌する攪拌装置22B、クーラントの液面を計測する液面センサ23B、クーラント濃度を計測する濃度センサ24B及びタンク内のクーラントを切削加工機2に向けて送り出する液送ポンプ25Bを備えている。これら攪拌装置22B、液面センサ23B、濃度センサ24B及び液送ポンプ25Bは制御部40に接続されており、クーラント供給装置1では液送ポンプ25Bによる送り出し動作に伴なう液面の低下が液面センサ23Bにより検出された際には、ミキシング部10によって低濃度用に調整されたクーラントが第1の供給管16及び電磁弁17Bを通じて低濃度クーラントタンク14内に供給される。
【0019】
図1で示すように、高濃度クーラントタンク12と各切削加工機2のクーラントタンク3とは、第2の供給管18によって接続されている。第2の供給管18は基管18aと基管18aから分岐し各切削加工機に対応する分岐管18bとで構成され、分岐管18b上には電磁弁19が設けられている。電磁弁19は制御部40に接続されており、液送ポンプ25Aにより送り出された高濃度のクーラントは分岐管18b上の電磁弁19を開くことで連通状態とされたクーラントタンク3に供給される。
【0020】
一方、低濃度クーラントタンク14と各切削加工機2のクーラントタンク3とは、第3の供給管20によって接続されている。第3の供給管20は基管20aと基管20aから分岐し各切削加工機に対応する分岐管20bとで構成され、分岐管20b上には電磁弁21が設けられている。電磁弁21は制御部40に接続されており、液送ポンプ25Bにより送り出された低濃度のクーラントは分岐管20b上の電磁弁21を開くことで連通状態とされたクーラントタンク3に供給される。
【0021】
次に、図3はクーラント供給装置1の電気系統のブロック図である。同図で示すように、マイクロコンピュータからなる制御部40は、各種センサからの計測信号の他、操作部42に設けられた設定手段からの入力を受け付け、制御部40は各切削加工機2毎のクーラントの目標濃度を記憶する。そして、制御部40は濃度センサ32で計測された各切削加工機2毎のクーラントタンク3内のクーラント濃度が目標濃度に近づくように、クーラントタンク3に対する高濃度クーランド及び/又は低濃度クーラントの供給を制御する。即ち、本例のクーラント供給装置1では、クーラントタンク3内のクーラント濃度を計測する濃度センサ32、制御部40、クーラントタンク3に向けてクーラントを送り出す液送ポンプ25A、25Bおよび供給路の連通/遮断状態を切り替える電磁弁19、21が本発明における供給制御手段に相当する。尚、図3では液面センサ31、濃度センサ32、電磁弁19,21及び排出弁35が1つずつ記載されているが、実際にはクーラント供給装置1に接続された切削加工機2に対応した数の液面センサ31、濃度センサ32、電磁弁19,21及び排出弁35が制御部40に接続されている。
【0022】
次に、クーラント供給装置1におけるクーラント供給動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
同図で示すように、本例では、先ずクーラントタンク3内のクーラント濃度(計測濃度)が目標濃度であるか判断し(ステップS001)、計測濃度が目標濃度である場合にはステップS002にてクーラントタンク3内のクーラントの液面低下があるか判断する。液面低下が無い場合にはステップS001に戻る一方、液面低下がある場合には、ステップS004にてクーラントタンク3内のクーラント濃度が維持されるように(目標濃度となるように)、且つ、低下量を考慮してクーラントタンク3内のクーラントの液面が基準位置まで上昇するように、高濃度クーラント及び低濃度クーラントの両方を所定の比率で供給する。
これらS001~S004のステップは、クーラントの液面低下はあるが、クーラント濃度がすでに目標濃度となっている場合に実行されるステップである。例えば計測濃度が目標濃度と同じ10%の場合において、かかる濃度が維持されるように、15%の高濃度クーラント及び5%の低濃度クーラントが供給される。
【0023】
ステップS001にてクーラントタンク3内のクーラント濃度(計測濃度)が目標濃度で無いと判断した場合、制御部40は液面低下に相当する量の供給でタンク3内のクーラント濃度を目標濃度とするために必要な高濃度クーラント及び/又は低濃度クーラントの供給量を算出する。また、液面低下に相当する量の供給だけでは目標濃度に届かない場合には、クーラントの供給に先立ってクーラントタンク3内のクーラントを外部に排出する量(必要排出量)を算出する。ここで必要排出量とは、液面低下量+排出量に相当する高濃度クーラント(もしくは低濃度クーラント)を供給したとき目標濃度となる場合の排出量である。
【0024】
そして、濃度調整のためにクーラントの排出は不要である場合(ステップS006)、ステップS012にてクーラントタンク3内のクーラント濃度が目標濃度となるように、且つ、低下量を考慮してクーラントタンク3内のクーラントの液面が基準位置まで上昇するように、高濃度クーラント、低濃度クーラントの何れか一方、又は、高濃度クーラント及び低濃度クーラントの両方を供給する。これによりクーラントタンク3内のクーラント濃度が調整される。
【0025】
一方、濃度調整のためにクーラントタンク3内のクーラントの排出が必要である場合(ステップS006)、クーラントタンク3内のクーラントを必要排出量だけ排出し(ステップS007)、その後クーラントの液面低下量及び排出量を考慮してクーラントタンク3内のクーラントの液面が基準位置にまで上昇するように、高濃度クーラント又は低濃度クーラントをクーラントタンク3内に供給する(ステップS008)。
これらS006~S008のステップは、クーラントタンク3内のクーラントの液量は十分であるが、クーラントタンク3内のクーラントの濃度を変更する場合等に実行されるステップである。例えば、計測濃度が12%で、目標濃度がそれまでの12%から8%に変更された場合に、クーラントタンク3内のクーラントが所定量排出され、その後5%の低濃度クーラントが供給され、クーラントタンク3内のクーラント濃度が調整される。
【0026】
以上、切削加工機に対するクーラント供給動作を説明したが、このクーラント供給動作はクーラント供給装置1に接続された4つの切削加工機2-1~2-4に対して順次実行される。
【0027】
尚、クーラント供給動作についてのフローは、図4の例に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、クーラントタンク3内のクーラントをリフレッシュしたい場合には、図5で示すように、ステップS004、ステップS012に先立って、クーラントタンク3内のクーラントを所定量排出することも可能である(ステップS003、S011参照)。その場合には、ステップS004、ステップS012において、タンク3内のクーラントの液面低下量及び排出量を考慮して、タンク3内にクーラントが供給される。
【0028】
更に、図6図4,5とは異なるクーラント供給動作についてのフローである。
図6の例では、先ずクーラントタンク3内のクーラントの液面低下があるか判断し(ステップS101)、液面低下が無い場合にはステップS102にてクーラントタンク3内のクーラント濃度(計測濃度)が目標濃度であるか判断する。
目標濃度である場合にはステップS101に戻る一方、クーラント濃度(計測濃度)が目標濃度で無いと判断した場合には、図4の例と同様、制御部40がクーラントタンク3内のクーラント濃度を目標濃度とするために必要なクーラントタンク3内のクーラントの必要排出量、及び、高濃度クーラント又は低濃度クーラントのクーラントタンク3内への供給量を算出する。
そしてクーラントタンク3内のクーラントを必要排出量だけ排出し(ステップS103)、その後クーラントの排出量を考慮してクーラントタンク3内のクーラントの液面が基準位置にまで上昇するように、高濃度クーラント又は低濃度クーラントをクーラントタンク3内に供給する(ステップS104)。
【0029】
ステップS101にてクーラントの液面低下ありと判断した場合、制御部40は液面低下に相当する量の供給でタンク3内のクーラント濃度を目標濃度とするために必要な高濃度クーラント及び/又は低濃度クーラントの供給量を算出する。また、液面低下に相当する量の供給だけでは目標濃度に届かない場合には、クーラントの供給に先立ってクーラントタンク3内のクーラントを外部に排出する量(必要排出量)を算出する。
【0030】
そして、濃度調整のためにクーラントの排出は不要である場合(ステップS106)、ステップS112にてクーラントタンク3内のクーラント濃度が目標濃度となるように、且つ、液面低下量を考慮してクーラントタンク3内のクーラントの液面が基準位置まで上昇するように、高濃度クーラント、低濃度クーラントの何れか一方、又は、高濃度クーラント及び低濃度クーラントの両方を供給する。これによりクーラントタンク3内のクーラント濃度が調整される。
尚、クーラントタンク3内のクーラントをリフレッシュしたい等の場合には、上記ステップS112に先立って、クーラントタンク3内のクーラントを所定量の排出することも可能である(例えば図5のステップS011参照)。
【0031】
一方、濃度調整のためにクーラントタンク3内のクーラントの排出が必要である場合(ステップS106)、クーラントタンク3内のクーラントを必要排出量だけ排出し(ステップS107)、その後クーラントの液面低下量及び排出量を考慮してクーラントタンク3内のクーラントの液面が基準位置にまで上昇するように、高濃度クーラント又は低濃度クーラントをクーラントタンク3内に供給する(ステップS108)。
【0032】
以上のように本実施形態のクーラント供給装置1によれば、濃度の異なる2種類のクーラント、詳しくは、切削加工機2が求める目標濃度よりも高濃度の高濃度クーラントと、目標濃度よりも低濃度の低濃度クーラントを切削加工機2に対して供給することができる。このため、切削加工機2側のクーラントの濃度が目標濃度に対して高い場合もしくは低い場合の何れであっても、これらの高濃度クーラント、低濃度クーラントの何れかを選択的に供給することで、切削加工機2側のクーラントを目標濃度に向けて調整することができる。また本実施形態のクーラント供給装置1では、高濃度クーラントと低濃度クーラントの両方を所定の比率で供給することで、切削加工機2側のクーラントを目標濃度に向けて効率的に調整することができる。
【0033】
また本実施形態のクーラント供給装置1では、図1で示すように、クーラントを供給する対象の切削加工機が複数の場合であっても、それぞれの切削加工機のクーラントについて、その濃度を目標濃度に向けて調整することができる。
【0034】
また本実施形態のクーラント供給装置1では、高濃度クーラント及び低濃度クーラントを切削液の原液と水から調整するミキシング部10を備えており、切削加工機2で使用されるクーラントの目標濃度に応じて、切削加工機2に供給する高濃度クーラント及び低濃度クーラントの濃度を容易に変更することができる。
【0035】
以上本発明の実施形態について詳しく説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、高濃度クーラントを切削加工機に供給するための供給管と、低濃度クーラントを切削加工機に供給するための供給管をそれぞれ独立して設けているが、図7で示すように切削加工機2と接続させる分岐管部分18bを共通化することも可能である。
また、上記実施形態では、高濃度クーラント及び低濃度クーラントがそれぞれ1種類であったが、高濃度クーラントタンクを2つ以上設けて、濃度が異なる複数の高濃度クーラントを切削加工機に供給できるように構成することも可能であるし、低濃度クーラントタンクを2つ以上設けて、濃度が異なる複数の低濃度クーラントを切削加工機に供給できるように構成することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 クーラント供給装置
2、2-1、2-2、2-3、2-4 切削加工機
3 クーラントタンク
10 ミキシング部
12 高濃度クーラントタンク
14 低濃度クーラントタンク
40 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7