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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160143
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】遺伝カウンセリング支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20221012BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064706
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】507091819
【氏名又は名称】株式会社AIT
(71)【出願人】
【識別番号】510126379
【氏名又は名称】地方独立行政法人神奈川県立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】成松 宏人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 杏
(72)【発明者】
【氏名】羽田 恵梨
(72)【発明者】
【氏名】竹下 順子
(72)【発明者】
【氏名】清野 正文
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】認定遺伝カウンセラーの業務のうち、定型化に親和性の高い業務を認定遺伝カウンセラーに代わって行う遺伝カウンセリング支援システムを提供する。
【解決手段】遺伝カウンセリング支援システム1は、患者の癌罹患有無の情報を含む患者情報の入力を促すUIを表示させる患者情報入力受付部と、遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報の入力を促すUIを表示させる判定対象患者情報入力受付部と、入力された遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報に基づいて、患者情報を記憶部から取得するとともに、取得した患者情報を、遺伝カウンセリングの要否の判定基準となる判定項目情報に係る判定項目にあてはめて、患者情報に係る患者又はその親族が遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定する判定部と、判定した結果についての判定結果情報を作成し、判定結果情報を医療従事者端末に送出する判定結果情報作成部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関に配備される端末であって、患者に使用させる医療機関端末に対して、前記患者の癌罹患有無の情報を含む患者情報の入力を促すUIを表示させる患者情報入力受付部と、
認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者が使用する医療従事者端末に対して、遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報の入力を促すUIを表示させる判定対象患者情報入力受付部と、
入力された前記遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報に基づいて、当該情報に係る前記患者情報を記憶部から取得するとともに、取得した前記患者情報を、前記遺伝カウンセリングの要否の判定基準となる判定項目情報に係る判定項目にあてはめて、前記取得した前記患者情報に係る前記患者又はその親族が前記遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定する判定部と、
前記判定した結果についての判定結果情報を作成し、当該判定結果情報を前記医療従事者端末に送出する判定結果情報作成部と、
を備える遺伝カウンセリング支援システム。
【請求項2】
前記患者情報は、
前記患者本人の前記癌罹患有無の情報を含む患者第一情報と、
前記患者の親族について前記癌罹患有無の情報を含む患者第二情報と、で構成される
請求項1記載の遺伝カウンセリング支援システム。
【請求項3】
前記患者情報入力受付部は、前記UI上にチャットボットウインドウを表示し、前記医療機関端末に対して、前記チャットボットウインドウにおいて前記患者情報の入力を促す
請求項1又は2記載の遺伝カウンセリング支援システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の遺伝カウンセリング支援システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遺伝カウンセラーの業務を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
癌の発症には遺伝要因と環境要因があり、遺伝要因によって発生する腫瘍は遺伝性腫瘍と呼ばれ、遺伝学的検査で診断される。この遺伝学的検査を受ける対象患者を拾い上げ、受けるかどうかの意志決定支援を行う遺伝カウンセリングは、専門の資格を有する認定遺伝カウンセラーが専門医と協力して行う。
【0003】
しかし、この認定遺伝カウンセラーの有資格者は現在250名程度であり、その専門性の高さから、有資格者数を飛躍的に増やすことは事実上困難である。また、認定遺伝カウンセラーは、その資格内で各専門の遺伝分野に細分化されており、遺伝性腫瘍専門のカウンセラーは、有資格者数の半分にも満たない数(100名程度)である。そのため、遺伝性腫瘍の患者について、必要な遺伝診療が受けられる患者数が増えていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-201092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした実情から、遺伝カウンセリングを受けられる患者が限定されており、結果として、遺伝診療を受けられる患者が限定されていた。また、認定遺伝カウンセラーのいない病院が多数存在しており、この面からも遺伝診療を受けられる患者が限定されていた。
【0006】
この発明は、認定遺伝カウンセラーの業務のうち、定型化に親和性の高い業務を認定遺伝カウンセラーに代わって行う遺伝カウンセリング支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
医療機関に配備される端末であって、患者に使用させる医療機関端末に対して、前記患者の癌罹患有無の情報を含む患者情報の入力を促すUIを表示させる患者情報入力受付部と、
認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者が使用する医療従事者端末に対して、遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報の入力を促すUIを表示させる判定対象患者情報入力受付部と、
入力された前記遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報に基づいて、当該情報に係る前記患者情報を記憶部から取得するとともに、取得した前記患者情報を、前記遺伝カウンセリングの要否の判定基準となる判定項目情報に係る判定項目にあてはめて、前記取得した前記患者情報に係る前記患者又はその親族が前記遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定する判定部と、
前記判定した結果についての判定結果情報を作成し、当該判定結果情報を前記医療従事者端末に送出する判定結果情報作成部と、
を備える遺伝カウンセリング支援システム。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、認定遺伝カウンセラーの業務のうち、定型化に親和性の高い業務を認定遺伝カウンセラーに代わって行う遺伝カウンセリング支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の遺伝カウンセリング支援システムを含むシステム全体の構成の一例を表す図である。
図2】本実施形態の遺伝カウンセリング支援システムによる初期処理の一例を表すフロー図である。
図3】本実施形態の遺伝カウンセリング支援システムによる患者本人の本人歴の聞き取り処理の一例を表すフロー図である。
図4】本実施形態の遺伝カウンセリング支援システムによる患者の家族歴の聞き取り処理の一例を表すフロー図である。
図5】本実施形態の遺伝カウンセリング支援システムによる遺伝カウンセリングの要否を判定する処理の一例を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。
【0011】
本実施形態の遺伝カウンセリング支援システム1は、一又は複数のコンピュータで構成され、医療機関が、遺伝性腫瘍が疑われる者とその親族について遺伝カウンセリングの適応の要否を判断する際に使用されるものである。
【0012】
一実施形態として、医療機関が、乳がんが疑われる者とその親族に対して問診を行い、問診結果をもとに遺伝カウンセリングの専門家である認定遺伝カウンセラーが、乳がんが疑われる者とその親族に遺伝カウンセリングを行う際に使用される遺伝カウンセリング支援システムである。なお、本明細書において、遺伝性腫瘍が疑われる者と乳がんが疑われる者を「患者」ということがある。
【0013】
このような遺伝カウンセリング支援システムは、医療機関に対して、遺伝カウンセリング支援サービスを提供するシステム提供者が一又は複数のコンピュータを用いて構築、管理するシステムである。
【0014】
一実施形態として、上述した医療機関が使用する端末と通信ネットワークを介して通信可能に接続され、上述した認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者が使用する端末と通信ネットワークを介して通信可能に接続され、前記医療機関が使用する端末から送信される乳がんが疑われる者とその親族に対する問診の結果を、前記認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者が使用する端末に表示する形態で遺伝カウンセリング支援システム1を構築することができる。
【0015】
図1に示す形態では、遺伝カウンセリング支援システム1は専用通信ネットワークを介して医療機関端末2と医療従事者端末3とそれぞれ通信可能に接続されている。
【0016】
本実施形態には、この実施形態で説明する遺伝カウンセリング支援システム1としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムを含む。
【0017】
医療機関端末2は、医療機関内に配備される端末であって、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、等の端末である。本実施形態の医療機関端末2は、遺伝カウンセリング支援システム1と協働して、遺伝性腫瘍が疑われる者とその親族に対する問診を行うための問診情報を表示するウェブブラウザを備えている。あるいは、医療機関端末2には、このような問診を行うアプリケーションプログラムがダウンロード、インストールされている。
【0018】
図示していないが、医療機関端末2は、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、内蔵ストレージ等の補助記憶装置と、液晶ディスプレイ等の情報表示部と、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力部と、各種情報の送受信を行う通信部と、を備えている。
【0019】
医療従事者端末3は、医療機関内における医師、看護師、認定遺伝カウンセラー、これらの者の指揮・監督下におかれる医療事務者、等の医療従事者が使用する端末であって、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、等の端末である。本実施形態の医療従事者端末3は、遺伝カウンセリング支援システム1と協働して、医療機関端末2から送信される遺伝性腫瘍が疑われる者とその親族に対する問診の結果を解析し、解析結果に基づく遺伝カウンセリングの適応の要否の判定結果を表示するウェブブラウザを備えている。あるいは、医療従事者端末3には、このような遺伝カウンセリングの要否の判定結果を取得するためのアプリケーションプログラムがダウンロード、インストールされている。
【0020】
図示していないが、医療従事者端末3は、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、内蔵ストレージ等の補助記憶装置と、液晶ディスプレイ等の情報表示部と、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力部と、各種情報の送受信を行う通信部と、を備えている。
【0021】
遺伝カウンセリング支援システム1は、一又は複数のサーバで構成される。本実施形態では、上述した遺伝カウンセリング支援サービスを提供するシステム提供者が構築、管理するシステムとしており、図1に示すように、遺伝カウンセリング支援システム1は情報送受信部4、制御部5、記憶部6、患者第一情報入力受付部10、患者第二情報入力受付部11、判定対象患者情報入力受付部12、判定部13及び判定結果情報作成部14を備えている。
【0022】
図示していないが、遺伝カウンセリング支援システム1を構成するサーバは、CPU等に構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、液晶ディスプレイ等の情報表示部と、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力部と、を備えている。
【0023】
遺伝カウンセリング支援システム1は、上述したように一又は複数のコンピュータで構成されるので、上記各処理部に対応したサーバや、機器、装置で構成する態様とすることができる。また、サーバについては複数の機器で構成してもよく、又はクラウド上で実現されるサーバであってもよい。
【0024】
情報送受信部4は、医療機関端末2及び医療従事者端末3との間でそれぞれ情報の送受信を行う。
【0025】
制御部5は、遺伝カウンセリング支援システム1が備える各処理部による情報処理を制御する。
【0026】
記憶部6は、内蔵ストレージ等の補助記憶装置である。記憶部6には図1に示すように、問診情報7、患者情報8及び判定項目情報9が記憶されている。
【0027】
問診情報7は、遺伝性腫瘍が疑われる者とその親族についての病歴の有無を問う情報であって、所定の入力フォームで作成されて記憶部6に記憶されている。問診情報7には、表1に示すような患者及びその親族の「年齢」、「性別」、「癌罹患有無」、「罹患した癌の種類」、「癌の罹患年齢」といった問診項目が含まれている。
【0028】
【表1】
【0029】
患者情報8は、問診情報7に係る問診に対して患者が医療機関端末2を操作して入力した情報である。本実施形態では、患者情報8は図1に示すように患者第一情報8aと患者第二情報8bとで構成される。
【0030】
患者第一情報8aは、患者IDに紐づく患者本人の癌罹患有無の情報を含む情報であって、問診情報7に係る患者本人への上述した問診項目に対して患者が医療機関端末2を操作して入力した回答情報である。
【0031】
患者第二情報8bは、患者IDに紐づく患者の親族の癌罹患有無の情報を含む情報であって、問診情報7に係る患者の親族への上述した問診項目に対して患者が医療機関端末2を操作して入力した回答情報である。
【0032】
判定項目情報9は、後述する判定部13による患者又はその親族が遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定する処理(クライテリア判定処理)を行う際に使用される情報である。本実施形態では、癌が乳がんである場合、一例として表2のような判定項目情報9が記憶部6に記憶されている。
【0033】
【表2】
【0034】
患者第一情報入力受付部10は、患者に使用させる医療機関端末2に対して、患者第一情報8aの入力を促すUIを表示させる処理を行う。
【0035】
患者第二情報入力受付部11は、患者に使用させる医療機関端末2に対して、患者第二情報8bの入力を促すUIを表示させる処理を行う。
【0036】
判定対象患者情報入力受付部12は、認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者が使用する医療従事者端末3に対して、遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報の入力を促すUIを表示させる処理を行う。
【0037】
判定部13は、入力された前記遺伝カウンセリングの要否の判定対象となる患者の情報に基づいて、当該情報に係る患者情報8を記憶部6から取得するとともに、取得した患者情報8を、記憶部6に記憶されている遺伝カウンセリングの要否の判定基準となる判定項目情報9に係る判定項目にあてはめて、前記取得した患者情報8に係る前記患者又はその親族が前記遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定する処理を行う。
【0038】
判定結果情報作成部14は、判定部13が判定した結果についての判定結果情報を作成し、当該判定結果情報を医療従事者端末3に送出する処理を行う。
【0039】
判定結果情報は、患者又はその親族が遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定した結果についての情報である。なお、図示していないが、作成された判定結果情報は記憶部6に記憶されるように処理されてもよい。
【0040】
以下、一例として遺伝カウンセリング支援システム1による乳がんの遺伝カウンセリングの適応の要否についての情報処理を図2図5を参照して説明する。
【0041】
[初期処理]
(S101)患者第一情報入力受付部10は医療機関端末2のUI上にチャットボットウインドウを表示する。
【0042】
(S102)患者第一情報入力受付部10は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、匿名符号または患者IDの入力を促す。
【0043】
(S103)乳がんが疑われる者や乳がん患者は、医療機関端末2を操作して医療機関から発行された匿名符号または患者IDを入力する。
【0044】
[患者本人の本人歴の聞き取り処理]
(S201~S206)患者第一情報入力受付部10は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、表1に示すような問診情報7に係る患者本人への問診項目「年齢」、「性別」、「癌罹患有無」への回答の入力を促す。
乳がんが疑われる者や乳がん患者は、医療機関端末2を操作して問診項目「年齢」、「性別」、「癌罹患有無」への回答を入力する。
問診項目「癌罹患有無」に対して癌罹患なしとの回答が入力された場合、後述する患者の家族歴の聞き取り処理へと移行する。
【0045】
(S207~S210)問診項目「癌罹患有無」に対して癌罹患ありとの回答が入力された場合、患者第一情報入力受付部10は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、表1に示すような問診情報7に係る患者本人への問診項目「罹患した癌の種類」、「癌の罹患年齢」への回答の入力を促す。
乳がんが疑われる者や乳がん患者は、医療機関端末2を操作して問診項目「罹患した癌の種類」、「癌の罹患年齢」への回答を入力する。
【0046】
(S211~S212)患者第一情報入力受付部10は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、他に癌に罹患しているか否か回答の入力を促す。
他の癌罹患なしとの回答が入力された場合、後述する後述する患者の家族歴の聞き取り処理へと移行する。
他の癌罹患ありとの回答が入力された場合、患者第一情報入力受付部10はS207~S212の処理を繰り返し行う。
入力された乳がんが疑われる者や乳がん患者への問診に対する回答は患者第一情報8aとして記憶部6に記憶される。
【0047】
[患者の家族歴の聞き取り処理]
(S301~S302)患者第二情報入力受付部11は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、親族の有無について回答の入力を促す。本実施形態では、一例として患者本人と血縁関係のある4親等までの血縁者についてその有無の回答を入力するようにしている。
乳がんが疑われる者や乳がん患者は、医療機関端末2を操作して親族の有無を入力する。
親族なしとの回答が入力された場合、問診は終了となる。
【0048】
(S303~S308)親族ありとの回答が入力された場合、患者第二情報入力受付部11は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、表1に示すような問診情報7に係る患者の親族への問診項目「年齢」、「性別」、「癌罹患有無」への回答の入力を促す。
乳がんが疑われる者や乳がん患者は、医療機関端末2を操作して親族への問診項目「年齢」、「性別」、「癌罹患有無」への回答を入力する。
親族への問診項目「癌罹患有無」に対して癌罹患なしとの回答が入力された場合、患者第二情報入力受付部11はS301~S308の処理を繰り返し行う。
【0049】
(S309~S312)親族への問診項目「癌罹患有無」に対して癌罹患ありとの回答が入力された場合、患者第二情報入力受付部11は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、表1に示すような問診情報7に係る患者の親族への問診項目「罹患した癌の種類」、「癌の罹患年齢」への回答の入力を促す。
乳がんが疑われる者や乳がん患者は、医療機関端末2を操作して親族への問診項目「罹患した癌の種類」、「癌の罹患年齢」への回答を入力する。
【0050】
(S313~S314)患者第二情報入力受付部11は、チャットボットウインドウにおいて乳がんが疑われる者や乳がん患者に対して、親族が他に癌に罹患しているか否か回答の入力を促す。
親族に他の癌罹患なしとの回答が入力された場合、患者第二情報入力受付部11はS301~S314の処理を繰り返し行う。
親族に他の癌罹患ありとの回答が入力された場合、患者第二情報入力受付部11はS309~S314の処理を繰り返し行う。
入力された乳がんが疑われる者や乳がん患者の親族への問診に対する回答は患者第二情報8bとして記憶部6に記憶される。
【0051】
[遺伝カウンセリングの要否判定処理]
(S401)認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者は任意の患者について遺伝カウンセリングの要否を把握するため、医療従事者端末3を使用して遺伝カウンセリング支援システム1にアクセスする。
判定対象患者情報入力受付部12は、所定の入力フォームで構成されるクライテリア判定操作画面を医療従事者端末3に表示させる。
【0052】
(S402)判定対象患者情報入力受付部12は、クライテリア判定操作画面において認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者に対して、遺伝カウンセリングの要否の対象となる患者の患者IDの入力を促す。
【0053】
(S403)認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者は、遺伝カウンセリングの要否を把握したい患者について、電子カルテ、等に記載されている患者IDを入力する。
【0054】
(S404)判定部13は、入力された患者IDに基づいて、当該患者IDに係る患者第一情報8a及び患者第二情報8bを記憶部6から取得する。
【0055】
(S405)判定部13は、取得した患者第一情報8a及び患者第二情報8bに係る問診項目に対する回答情報を、記憶部6に記憶されている表2に示すような判定項目情報9に係る判定項目にあてはめて、前記取得した患者第一情報8a及び患者第二情報8bに係る乳がんが疑われる者や、乳がん患者の親族が遺伝カウンセリングの対象となるかどうかを判定する処理を行う。
【0056】
(S406)判定結果情報作成部14は、判定部13が判定した結果についての判定結果情報を所定のフォームで作成し、当該判定結果情報を医療従事者端末3に送出する処理を行う。
認定遺伝カウンセラーを含む医療従事者は対象となる患者について遺伝カウンセリングの要否を判定結果情報によって把握することができる。
【0057】
このように、本実施形態の遺伝カウンセリング支援システム1は、認定遺伝カウンセラーの業務のうち問診から遺伝カウンセリングの要否の判定支援までの業務を担うので、これまで把握できなかった遺伝カウンセリングの対象者の情報を収集することができる。
【0058】
また、本実施形態の遺伝カウンセリング支援システム1が認定遺伝カウンセラーの業務のうち問診から遺伝カウンセリングの要否の判定までの業務を担うことで、認定遺伝カウンセラーは遺伝カウンセリングの要否の判定以降の業務を担当することになるので、業務の負担が改善されるとともに、これまでより多くの患者及びその親族に対して遺伝カウンセリングを提供することができ、ひいては遺伝性腫瘍の検査・治療をより多くの患者に提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 遺伝カウンセリング支援システム
2 医療機関端末
3 医療従事者端末
4 情報送受信部
5 制御部
6 記憶部
7 問診情報
8 患者情報
8a 患者第一情報
8b 患者第二情報
9 判定項目情報
10 患者第一情報入力受付部
11 患者第二情報入力受付部
12 判定対象患者情報入力受付部
13 判定部
14 判定結果情報作成部
図1
図2
図3
図4
図5