(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160148
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】配車制御装置及び配車制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221012BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20221012BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20221012BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20221012BHJP
G16H 50/80 20180101ALI20221012BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221012BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20221012BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20221012BHJP
G16Y 40/40 20200101ALI20221012BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/123 A
G08G1/0969
G01C21/34
G16H50/80
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064723
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政康
(72)【発明者】
【氏名】福山 祥代
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 奈都
(72)【発明者】
【氏名】中田 雄大
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
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2F129HH35
5H181AA14
5H181BB05
5H181FF01
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5H181FF12
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5H181FF25
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5H181FF33
5H181LL09
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5H181MB03
5L049CC11
5L099AA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】相乗り時の感染リスクを下げつつ輸送効率の低下を抑制する配車制御装置及び配車制御方法を提供する。
【解決手段】配車制御システムにおいて、配車制御装置は、第1ユーザが所有するユーザ端末装置から相乗りを許容する配車リクエストを示す信号を受信し、第1ユーザが所定の感染症の感染者であるか否かを判定しS201、第1ユーザが感染者でない場合に、第1ユーザの移動履歴に、混雑度が所定値以上の場所に所定期間以上、滞在した履歴である第1感染リスク履歴が含まれるか否かを判定しS210、感染者であるか又は移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれると判定された第1ユーザと、感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止するS203、S205。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザに共用される共用車両の利用を希望するユーザからの配車リクエストを処理するコントローラを備える配車制御装置であって、
前記コントローラは、
第1ユーザが所有するユーザ端末装置から相乗りを許容する前記配車リクエストを示す信号を受信し、
前記第1ユーザが所定の感染症の感染者であるか否かを判定し、
前記第1ユーザが前記感染者でない場合に、前記第1ユーザの移動履歴に、混雑度が所定値以上の場所に所定期間以上、滞在した履歴である第1感染リスク履歴が含まれるか否かを判定し、
前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された前記第1ユーザと、前記感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する、
配車制御装置。
【請求項2】
前記感染症の抗体を持っていない他のユーザは、感染した履歴がない、又は所定期間内に前記感染症のワクチンを打ったことが無い人である、
請求項1に記載の配車制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された前記第1ユーザと、前記感染症に感染した時に重症化する可能性を示す重症化リスクが所定の基準値よりも高い他のユーザとの相乗りを更に禁止する、
請求項1又は2に記載の配車制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1ユーザとの相乗りが禁止されていない他のユーザの中から前記第1ユーザと相乗りが可能な第2ユーザを特定し、
前記第1ユーザ及び前記第2ユーザが利用可能な共用車両を選択し、
前記第1ユーザ及び前記第2ユーザが所有するユーザ端末装置の各々に、少なくとも前記共用車両の予約の完了、及び前記共用車両の相乗り走行計画を提示する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の配車制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された前記第1ユーザが利用した後の前記共用車両の車室に対して消毒又は換気の少なくとも一方の処置を行うことを前記共用車両の管理者に対して提案する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の配車制御装置。
【請求項6】
前記第1感染リスク履歴の有無の判断基準は、前記感染症の種別に応じて異なる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の配車制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された前記第1ユーザと、全ての他のユーザとの相乗りを禁止する、
請求項1又は2に記載の配車制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記感染者でなく、且つ前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれないと判定された前記第1ユーザに対して、前記感染者でなく、且つ前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれないと判定された他のユーザの中から、前記第1ユーザと相乗りが可能性な第2ユーザを特定する、
請求項7に記載の配車制御装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記第1ユーザが前記共用車両を利用した履歴の中に、前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された他のユーザと相乗りした履歴が含まれているかを判定し、
前記感染者でない、且つ前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれないと判定された前記第1ユーザであって、更に、前記共用車両を利用した履歴の中に、前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された他のユーザと相乗りした履歴が含まれている前記第1ユーザと、前記感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する
請求項1~6のいずれか一項に記載の配車制御装置。
【請求項10】
複数のユーザに共用される共用車両の利用を希望するユーザからの配車リクエストを処理する配車制御方法であって、
第1ユーザから相乗りを許容する前記配車リクエストを示す信号を受信し、
前記第1ユーザが所定の感染症の感染者であるか否かを判定し、
前記第1ユーザが前記感染者でない場合に、前記第1ユーザの移動履歴に、混雑度が所定値以上の場所に所定期間以上、滞在した履歴である第1感染リスク履歴が含まれるか否かを判定し、
前記感染者である、又は前記移動履歴に前記第1感染リスク履歴が含まれると判定された前記第1ユーザと、前記感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する、
配車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車制御装置及び配車制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗合移動体の利用を支援し得る乗合車両の利用支援システムが知られている(特許文献1参照)。利用支援システムは、乗合車両の運行情報を認識し、利用者が希望する乗車条件及び降車条件に適合する乗合車両を抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、利用者が感染症に感染するリスク及び乗合相手を感染させるリスク(纏めて、「感染リスク」と呼ぶ)について考慮されていない。その一方で、乗合を禁止することによる乗合移動体の輸送効率の低下は、エネルギーの消費を増加させてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、相乗り時の感染リスクを下げつつ輸送効率の低下を抑制する配車制御装置及び配車制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に鑑み、本発明の一態様に係る配車制御装置は、第1ユーザが所有するユーザ端末装置から相乗りを許容する配車リクエストを示す信号を受信し、第1ユーザが所定の感染症の感染者であるか否かを判定し、第1ユーザが感染者でない場合に、第1ユーザの移動履歴に、混雑度が所定値以上の場所に所定期間以上、滞在した第1感染リスク履歴が含まれるか否かを判定し、感染者である、又は移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれると判定された第1ユーザと、感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、相乗り時の感染リスクを下げつつ輸送効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る配車制御装置100を含む配車制御システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、配車制御装置100の制御装置10(コントローラ)による制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る
図2のステップS02の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る
図2のステップS02の詳細な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る配車制御装置100を配車制御システム1について説明する。配車制御システム1は、複数のユーザで共用される複数の共用車両の配車を制御するシステムである。配車制御装置100は、複数のユーザからの配車リクエストを処理し、共用車両の配車を行う。配車制御システム1は、配車制御装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1~Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)にそれぞれ設けられる車載装置200V1~200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザによりそれぞれ所持されるユーザ端末装置400A~400Z(以下、ユーザ端末装置400Aと総称することもある)とを有する。本実施形態の配車制御システム1を構成する、車載装置200V1~200Vn、ユーザ端末装置400A~400Zの台数は限定されない。
【0011】
共用車両Vnは、無人で自動的に走行可能な自動運転機能を備える車両である。共用車両Vnは駆動機構や操舵機構を備えており、これらの機構は自動運転機能により、完全に自動で制御される。なお、共用車両Vnは、運転者の運転操作により走行することができる手動運転機能を備えてもよく、自動運転機能と手動運転機能の切り替えが可能な車両であってもよい。本実施形態の自動運転機能には、本願出願時における自動運転技術を適宜に用いることができる。なお、共用車両Vnは自動運転機能を備えなくてもよい。
【0012】
配車制御装置100、車載装置200V1~200Vn及びユーザ端末装置400A~400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。
【0013】
本実施形態のユーザ端末装置400Aは、本実施形態に係るユーザ端末装置400Aに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とを備えるコンピュータである。ユーザ端末装置400Aは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
【0014】
ユーザ端末装置400Aは、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める利用要求(配車リスクエスト)を受け付ける入力装置410と、通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。制御装置440は、ユーザ端末装置400Aに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Aを操作するユーザの現在位置の情報を取得する。制御装置440は、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、配車制御装置100に送信する。制御装置440は、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める利用要求(配車リクエスト)などの入力情報を、通信装置420を介して、配車制御装置100に送信する。利用要求(配車リスクエスト)には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザの希望乗車地の情報、ユーザの希望降車地の情報、ユーザの希望乗車時刻などが含まれる。
【0015】
車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、配車制御装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、配車制御装置100に送信する。制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、配車制御装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、配車制御装置100から、共用車両Vnへの相乗りを希望している他のユーザに関する情報などを受信して、ユーザに通知する。本実施形態の「相乗り」とは、一台の共用車両に複数人数が一緒に乗り合わせることを示し、例えば、他人同士が一台の共用車両に乗ることを示す。
【0016】
配車制御装置100は、配車制御システム1のサーバとして機能し、配車制御システム1を管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vn及びユーザ端末装置400Aとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報などを記憶するデータベース30とを備える。データベース30は、共用車両情報31と、ユーザから受け付けた利用要求32(配車リクエスト)と、地図情報33と、ユーザ情報34と、交通情報35を記憶する。
【0017】
共用車両情報31は、各共用車両Vnに関する情報である。共用車両情報31には、各共用車両Vnの現在位置の情報、各共用車両Vnの燃料残量又は電力残容量、故障情報、各共用車両Vnの現在の利用状況などが含まれる。
【0018】
利用要求32は、ユーザ端末装置400Aを介して各ユーザにより入力された共用車両Vnの利用要求情報である。利用要求32には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した乗車位置(出発地)、降車位置(目的地)、乗車予定時刻(出発予定時刻)、降車予定時刻(到着予定時刻)等を示す情報などが含まれる。乗車予定時刻及び降車予定時刻は、それぞれ時間の幅をもたせてもよい。乗車位置及び降車位置は、それぞれ一定値以上の面積を有する乗車領域及び降車領域であってもよい。
【0019】
地図情報33は、道路構造や施設などの情報を含む地図情報である。ユーザ情報34は、配車制御システムを利用することができる全ユーザの情報である。ユーザ情報34には、全ユーザのID情報、全ユーザの現在位置の情報が含まれる。交通情報35は、道路をそうこうする車両の交通状況、道路上で行われている工事の状況、交通事故に関する情報を含む交通情報である。
【0020】
配車制御装置100の制御装置10(コントローラ)は、
図1に示すように、配車制御システム1を管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、配車制御装置100として機能する動作回路としてのCPU11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM13とを備える。
【0021】
図2を参照して、
図1の配車制御装置100の制御装置10(コントローラ)による制御フロー(配車制御方法)の一例を説明する。ステップS01にて、制御装置10は、ユーザ端末装置400Aと通信を行い、第1ユーザから共用車両Vnの利用を求める利用要求(配車リクエスト)を含む入力情報を示す信号を受信する。利用要求には、共用車両Vnの単独での乗車を希望するか、或いは他のユーザとの相乗りを許容するかのいずれか一方を示す相乗り可否情報が含まれる。制御装置10は、利用要求に基づき走行計画を算出する。走行計画は、乗車位置の位置座標、降車位置の位置座標、共用車両Vnの走行経路、乗車位置における出発予定時刻、降車位置における到着予定時刻により定まる。制御装置10は、乗車位置から降車位置までのルート演算時に、地図情報33及び交通情報35を用いて、道路混雑による車両の到着遅延などを考慮する。本実施形態では、ステップS01にて、制御装置10が第1ユーザから他のユーザとの相乗りを許容する利用要求を受け付けた場合を説明する。
【0022】
ステップS02に進み、制御装置10は、第1ユーザが相乗り相手を感染させるリスクに基づいて、他のユーザとの相乗りを禁止するか否かを判断する。感染させるリスクが高い場合には、感染するリスクが高い他のユーザとの相乗りを禁止することにより、感染リスクが高くなるペアリングを回避することができる。ステップS02の詳細は、
図3を参照して後述する。
【0023】
ステップS03に進み、制御装置10は、ステップS02にて相乗りが禁止されていない他のユーザの中から、相乗り条件を満たす、第1ユーザと相乗りが可能な第2ユーザを検索する。相乗り条件を満たす候補相手が見つかった場合(ステップS04でYES)ステップS05へ進み、相乗り条件を満たす候補相手が見つからなかった場合(ステップS04でNO)ステップS08へ進む。相乗り条件には、相乗りに伴う第1ユーザの走行計画(乗車位置、降車位置、走行経路、乗車予定時刻、降車予定時刻)の変更許容幅、相乗り相手の性別、年齢などが含まれる。例えば、第1ユーザと第2ユーザとが相乗りする場合の走行計画が、第1ユーザの利用要求32に示された乗車予定時刻及び降車予定時刻の時間幅、及び乗車領域及び降車領域に収まっていれば、相乗り条件を満たすと判断できる。
【0024】
ステップS05にて、制御装置10は、第1ユーザ及び第2ユーザの利用要求32及び相乗り条件に基づき、第1ユーザと第2ユーザとが相乗りする場合の新たな走行計画(相乗り走行計画)を算出する。相乗り走行計画には、走行経路の他に、第1ユーザ及び第2ユーザの各々の乗車位置、降車位置、乗車時刻、降車時刻が含まれる。ステップS06に進み、制御装置10は、相乗り走行計画に基づき、共用車両情報31を参照して、複数の共用車両Vnから利用可能な共用車両を選択する。
【0025】
ステップS07に進み、制御装置10は、第1ユーザ及び第2ユーザの各々のユーザ端末装置400Aと通信を行い、利用される共用車両V1の予約の完了と相乗り走行計画を示す信号を送信する。当該信号を受信したユーザ端末装置400Aの表示装置430には、共用車両V1の予約の完了及び相乗り走行計画が提示される。同時に、制御装置10は、利用される共用車両V1の車載装置200Vnと通信を行い、相乗り走行計画を示す信号を送信して配車する。これにより、第1ユーザ及び第2ユーザが、一台の共用車両V1に一緒に乗り合わせることができる。
【0026】
一方、ステップS08にて、制御装置10は、ステップS01で算出された走行計画に基づき、共用車両情報31を参照して、複数の共用車両Vnから利用可能な共用車両を選択する。ステップS09に進み、制御装置10は、第1ユーザのユーザ端末装置400Aと通信を行い、利用される共用車両V1の予約の完了と走行計画を示す信号を送信する。当該信号を受信したユーザ端末装置400Aの表示装置430には、共用車両V1の予約の完了及び走行計画が提示される。同時に、制御装置10は、利用される共用車両V1の車載装置200Vnと通信を行い、走行計画を示す信号を送信して配車する。これにより、第1ユーザが、単独で共用車両V1を利用することができる。
【0027】
このようにして、配車制御装置100は、第1ユーザ及び第2ユーザを含む複数のユーザからの配車リクエストを処理して、利用される共用車両の配車を行うことができる。
【0028】
次に、
図3を参照して、配車制御装置100が、相乗り時の感染リスクを下げつつ輸送効率の低下を抑制するために行う、相乗り禁止の判断処理(
図2のステップS02)の具体的な内容について説明する。ステップS02は、
図3のステップS201~S211を有する。
【0029】
ステップS201にて、制御装置10は、現在、第1ユーザが所定の感染症に感染しているか否かを判断する。具体的な判断方法としては、第1ユーザからの自己申告、又は国、地方自治体、公立病院などの公的機関から提供される所定の感染症の感染者情報などに基づいて判断する方法がある。例えば、新型コロナ感染症の場合、厚生労働省において、感染者等の情報を一元的に把握・管理するために開発、導入されている、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)を利用する方法がある。
【0030】
現在、感染者であると判断された場合(S201でYES)、ステップS202にて、制御装置10は、第1ユーザを感染者として判定する。ステップS203に進み、制御装置10は、感染者であると判定された第1ユーザと、感染するリスクが高い他のユーザとの相乗りを禁止する。具体的には、制御装置10は、感染者であると判定された第1ユーザと、感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する。感染症の抗体を持っていない他のユーザは、感染した履歴がない、又は所定期間内に感染症のワクチンを打ったことが無い人である。これにより、感染症の抗体を持っていない他のユーザがステップS03の検索対象から除外され、感染させるリスクが高い第1ユーザとのペアリングが禁止される。よって、感染させるリスクが高い第1ユーザと、感染するリスクが高い感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗り、すなわち、感染リスクが高い相乗りが禁止される。
【0031】
現在、感染者でないと判断された場合(S201でNO)、ステップS204にて、制御装置10は、現在から所定の感染症潜伏期間前までの第1ユーザの移動履歴を示すデータが、所定期間以上の長さで途切れることなく、存在するか否かを判断する。「所定の感染症潜伏期間」は、所定の感染症に感染してから発症するまでの期間、例えば、12.5日間(新型コロナウイルス感染の場合)である。移動履歴は、ユーザ端末装置400Aが備える位置取得装置を用いて取得された第1ユーザの現在位置の情報から算出することができる。「所定期間以上の長さ」としては、例えば、飛行機での移動など、数時間又は半日以上、第1ユーザの現在位置を追跡できない場合、その期間に感染するリスクが高い第1ユーザの行動が含まれている可能性がある。このため、制御装置10は、否定的に判断し(S204でNO)ステップS205に進む。
【0032】
ステップS205にて、制御装置10は、第1ユーザを感染している可能性が高い人として判定する。ステップS206に進み、制御装置10は、感染している可能性が高い人として判定された第1ユーザと、感染するリスクが高い、例えば感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する。これにより、感染症の抗体を持っていない他のユーザがステップS03の検索対象から除外され、感染させるリスクが高い第1ユーザとのペアリングが禁止される。
【0033】
一方ステップS204にて肯定的に判断された場合、ステップS207に進み、制御装置10は、現在から所定の感染症潜伏期間前までの第1ユーザの移動履歴の一部に欠損している部分があるか否かを判断する。すなわち、制御装置10は、第1ユーザの直近の移動履歴の中に所定期間未満の長さで途切れている部分があるか否かを判断する。否定的判断(S207でNO)の場合、ステップS210へ進み、肯定的判断(S207でYES)の場合、ステップS208へ進む。
【0034】
ステップS208にて、制御装置10は、所定の感染症潜伏期間よりも前の第1ユーザの移動履歴が有るか否かを判断する。肯定的判断の場合(S208でYES)、所定の感染症潜伏期間よりも前の第1ユーザの移動履歴を用いて、現在から所定の感染症潜伏期間前までの移動履歴の欠損部分を補完する。例えば、制御装置10は、所定の感染症潜伏期間よりも前の同じ月、同じ曜日、及び同じ時間帯の少なくとも1つの移動履歴と同じ行動ととるであろうと推測して、欠損部分の移動履歴を補完する。その後、ステップS210へ進む。
【0035】
ステップS210にて、制御装置10は、現在から所定の感染症潜伏期間前までの第1ユーザの移動履歴に、第1感染リスク履歴が含まれるか否かを判定する。「第1感染リスク履歴」とは、混雑度が所定値以上の場所に所定期間(15分)以上、滞在した履歴である。第1感染リスク履歴の有無の判断基準は、感染症の種別に応じて異なる。具体的には、混雑度の判断基準値(所定値)及び滞在期間の判断基準期間(所定期間)は、感染症の種別によって変化する。これにより、感染症の種別に応じて適切に第1感染リスク履歴の有無を判断することができる。「混雑度が所定値以上の場所」は、感染リスクPOIデータベースに登録された施設が含まれる。感染リスクPOIデータベースは、国、地方自治体、公立病院などの公的機関からの情報により更新される。感染リスクPOIデータベースには、以下の(1)~(3)の条件を満たす施設が登録される。なお、「密閉」とは、ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合しない屋内空間を示す。「密集」とは、標準的な運用形態において最大収容人数利用時の密度が0.5人/m2以上であることを示す。「密接」とは、標準的な運用形態において1m以内の距離で会話や発声が行われることを示す。
(1)集団感染が発生した施設であること
(2)人口当たりの感染者数が所定値よりも多い市区町村にあること
(3)密閉、密集、密接の条件を満たす施設(公表値もしくは施設の建設年代、用途等から推定した分類)
【0036】
ステップS210で肯定的な判断の場合、前述したステップS205に進み、ステップS210で否定的な判断の場合、ステップS211へ進む。第1ユーザは感染者ではなく、且つ第1ユーザの移動履歴に、混雑度が所定値以上の場所に所定期間以上、滞在した履歴である第1感染リスク履歴も含まれていない。このため、ステップS211にて、制御装置10は、第1ユーザを感染している可能性が低い人として判定する。この場合、第1ユーザは、ステップS03以降において、感染症の抗体を持っていない他のユーザを含む感染するリスクが高い他のユーザとの相乗りが許容される。このため、相乗り時の感染リスクを下げつつ、相乗りによる輸送効率の向上を図ることができる。
【0037】
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0038】
制御装置10は、ステップS203及びS206において、感染者である、又は移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれると判定された第1ユーザと、感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止する。これにより、感染させるリスクが高い第1ユーザと、感染するリスクが高い他のユーザとの相乗りが禁止される。よって、相乗り時の感染リスクを下げつつ輸送効率の低下を抑制することができる。
【0039】
感染症の抗体を持っていない他のユーザは、感染した履歴がない、又は所定期間内に感染症のワクチンを打ったことが無い人である。これにより、感染症の抗体を持っていない他のユーザを正しく判断することができる。感染履歴及びワクチンの接種履歴の具体的な判断方法としては、感染者情報と同様に、第1ユーザからの自己申告、又は国、地方自治体、公立病院などの公的機関から提供される所定の感染症の感染者情報などに基づいて判断する方法がある。
【0040】
制御装置10は、相乗りが禁止されていない他のユーザの中から第1ユーザと相乗りが可能な第2ユーザを特定し(S03、S04でYES)、第1ユーザ及び第2ユーザが利用可能な共用車両を選択し(S06)、第1ユーザ及び第2ユーザが所有するユーザ端末装置400Aに、少なくとも共用車両V1の予約の完了、及び共用車両V1の走行計画を提示する。これにより、感染リスクが低い相乗りを提示することができるので、相乗り時の感染リスクを下げつつ輸送効率の低下を抑制することができる。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ステップS02にて、制御装置10が、相乗り相手を感染させるリスクが高い第1ユーザと、感染した時に重症化する可能性が高い他のユーザとの相乗りを禁止する例を説明する。第2実施形態において、
図2のステップS02は、
図3のステップS211の後に実施する
図4のステップS212~S214を更に備える。制御装置10は、第1ユーザの相乗り相手となりうる他のユーザに対しても、第1ユーザと同様にして、
図3及び
図4に示す感染リスクに基づく相乗り禁止判断を実行する。
【0042】
具体的に、ステップS211の後、ステップS212に進み、制御装置10は、感染している可能性が低い人として判定された他のユーザが、感染症に感染すると重症化する可能性が高い人であるか否かを判断する。感染症に感染すると重症化する可能性が高い人の判断基準は、感染症の種別に応じて予め定められている。具体的には、65歳以上の高齢者であること、5歳以下の乳幼児であること、妊娠中であること、持病・基礎疾患があること、BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)が30以上であることのいずれか少なくとも1つに該当する場合、感染症に感染すると重症化する可能性が高い人であること判断することができる。
【0043】
ステップS212で肯定的判断の場合、制御装置10は、他のユーザを、感染している可能性が低く、且つ染症に感染すると重症化する可能性が高い人として判定する(ステップS213)。一方、ステップS212で否定的判断の場合、制御装置10は、他のユーザを、感染している可能性が低く、且つ感染症に感染しても重症化する可能性が低い人として判定する(ステップS214)。
【0044】
一方、第1ユーザに対するステップS203及びS206の処理において、制御装置10は、感染者であると判定された第1ユーザと、感染症に感染すると重症化する可能性が高い他のユーザとの相乗りを禁止する。すなわち、制御装置10は、ステップS201で肯定的に判定された第1ユーザと、ステップS212で肯定的に判定された他のユーザとの相乗りを禁止する。これにより、感染者であると判定された第1ユーザは、感染症の抗体を持っていない(感染するリスクが高い)他のユーザとの相乗りのみならず、感染症に感染すると重症化する可能性が高い(重症化リスクが高い)他のユーザとの相乗りも禁止されることになる。このため、感染リスクを更に低くなるので、ユーザは安心して配車サービスを利用することができる。
【0045】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0046】
制御装置10は、感染者である、又は移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれると判定された第1ユーザが利用した後の共用車両V1の車室に対して消毒又は換気の少なくとも一方の処置を行うことを共用車両V1の管理者に対して提案してもよい。これにより、第1ユーザが利用した後の共用車両V1に残留したウィルス又は細菌による感染リスクを低減することができる。
【0047】
制御装置10は、感染者である、又は移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれると判定された第1ユーザと、全ての他のユーザとの相乗りを禁止してもよい。これにより、感染リスク高い第1ユーザは共用車両V1に単独で乗車することとなり、感染リスクを更に低減することができるので、ユーザは安心して配車サービスを利用できるようになる。
【0048】
制御装置10は、感染者でなく、且つ移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれないと判定された第1ユーザに対して、感染者でなく、且つ移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれないと判定された他のユーザの中から、第1ユーザと相乗りが可能性な第2ユーザを特定してもよい。これにより、相乗り相手を感染させるリスクが低い者同士で相乗りすることとなるため、感染リスクを更に低減することができるので、ユーザは安心して配車サービスを利用できるようになる。
【0049】
制御装置10は、第1ユーザが共用車両V1を利用した履歴に、感染リスクが高い他のユーザと相乗りした履歴(第2感染リスク履歴)が含まれているか否かを判定してもよい。肯定的な判断の場合、制御装置10は、第1ユーザを感染リスクが高い人として判断し、感染症の抗体を持っていない他のユーザとの相乗りを禁止してもよい。或いは、制御装置10は、感染症に感染した時に重症化する可能性を示す重症化リスクが所定の基準値よりも高い他のユーザとの相乗りを更に禁止してもよい。このように、第1ユーザの相乗り履歴の中に、感染するリスクが高い相乗り履歴(第2感染リスク履歴)が含まれている場合、感染者である場合、及び第1ユーザの移動履歴に第1感染リスク履歴が含まれている場合と同様にして他のユーザとの相乗りを禁止することができる。これにより、感染リスクを更に低減することができるので、ユーザは安心して配車サービスを利用できるようになる。
【符号の説明】
【0050】
10 制御装置(コントローラ)
32 利用要求(配車リクエスト)
100 配車制御装置
400A ユーザ端末装置
Vn 共用車両