(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160150
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器
(51)【国際特許分類】
B32B 23/08 20060101AFI20221012BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20221012BHJP
B65D 81/24 20060101ALI20221012BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B32B23/08
B32B9/00 A
B65D81/24 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064725
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000235783
【氏名又は名称】尾池工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 彬希
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E067AB16
3E067AB81
3E067BB04
3E067BB11
3E067BB14
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3E067CA06
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3E067GD01
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3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB21
3E086CA01
3E086DA08
4F100AA18C
4F100AA19C
4F100AA20C
4F100AA21C
4F100AA25C
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4F100AB10C
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4F100AB18C
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4F100AH06B
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4F100AK01B
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4F100GB16
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4F100JD04
4F100JK06
(57)【要約】
【課題】セロファンフィルムを基材とし、層間密着性および外観性が優れたガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器を提供する。
【解決手段】セロファンフィルムと、セロファンフィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、アンダーコート層の表面に設けられたガスバリア層とを有し、アンダーコート層は、主剤と硬化剤と添加剤とを含む、ガスバリア層積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロファンフィルムと、前記セロファンフィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、前記アンダーコート層の表面に設けられたガスバリア層とを有し、
前記アンダーコート層は、主剤と硬化剤と添加剤とを含む、ガスバリア層積層体。
【請求項2】
前記添加剤は、シランカップリング剤を含む、請求項1記載のガスバリア層積層体。
【請求項3】
前記シランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ケイ酸エステル系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、または、アルキル系シランカップリング剤を含む、請求項2記載のガスバリア層積層体。
【請求項4】
前記ガスバリア層は、ケイ素、チタン、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群れから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア層積層体。
【請求項5】
前記主剤は、ガラス転移点が75℃以上である高分子樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリア層積層体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のガスバリア層積層体を用いた、包装材。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のガスバリア層積層体を用いた、紙器。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のガスバリア層積層体を用いた、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器に関する。より詳細には、本発明は、セロファンフィルムを基材とし、層間密着性および外観性が優れたガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
セロファンフィルムは、パルプ由来であり、石油由来のプラスチックフィルムと比較して、環境負荷の低減を見込める。また、セロファンフィルムは、ガスバリアフィルムの基材としても使用することができる(たとえば特許文献1)。他方、従来の一般的なガスバリア層積層体は、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)の基材が用いられている(たとえば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-253477号公報
【特許文献2】特開2013-249070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のガスバリア層積層体は、遮光性を有しない。そのため、特許文献1に記載のガスバリア層積層体は、包装体として用いた場合に、紫外線などによって内容物が変質しやすい。また、特許文献1に記載のガスバリアフィルムは、水蒸気透過性に関して考慮されていない。
【0005】
ところで、プラスチック製品は、世界で深刻な海洋汚染の原因として問題視されている。また、国連サミットで合意された持続可能な開発目標(SDGs)においても、脱プラスチックの重要性が謳われている。したがって、特許文献2に記載のPETフィルム等を基材とするガスバリア層積層体は、代替が求められている。
【0006】
本発明者は、セロファンフィルムによる代替を検討した。すなわち、本発明者は、セロファンを基材として使用することにより、得られるガスバリア層積層体は、層間密着性、外観性が優れる点に着目した。しかしながら、セロファンフィルムにアルミニウムを蒸着すると、層間密着力が十分でないが故に界面に乱れが生じて平滑性が低下することから、たとえば光学干渉縞が生じるという問題があることがあらたに分かった。
【0007】
本発明者によれば、上記光学干渉縞の発生は、以下の機序によると分かった。すなわち、基材にたとえばアルミニウムを蒸着する場合、アルミニウムと基材との層間密着力を確保するために、その中間にアンダーコート層が設けられる。各層の界面(表面)が平滑であれば、それぞれの層に対する入射光および反射光が均等になるため、特段の波長の差異が生じることはなく、アルミニウムの金属光沢が得られる。一方、各層の界面(表面)が乱れるか、クラックが生じてしまうと、乱反射が発生する。これにより、光学干渉縞が視認される。その結果、たとえば医薬品などの包装材料において光学干渉縞が発生すると、包装材料表面の記載が見えづらくなる。
【0008】
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、セロファンフィルムを基材とし、たとえばアルミニウム等の金属を含むガスバリア層を選択的に設けることで遮光性を付与することにより、たとえば包装材として使用された場合に内容物の変質を防ぐことができ、かつ、層間密着性を向上させることで界面の平滑性を良い物とし、外観性が優れたガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器を提供することを目的とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明のガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器には、以下の構成が主に含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)セロファンフィルムと、前記セロファンフィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、前記アンダーコート層の表面に設けられたガスバリア層とを有し、前記アンダーコート層は、主剤と硬化剤と添加剤とを含む、ガスバリア層積層体。
【0011】
このような構成によれば、ガスバリア層積層体は、遮光性を示すことにより、たとえば包装材として使用された場合に内容物の変質を防ぐことができ、かつ、優れたガスバリア性、層間密着性、外観性を兼ね備える。
【0012】
(2)前記添加剤は、シランカップリング剤を含む、(1)記載のガスバリア層積層体。
【0013】
このような構成によれば、ガスバリア層積層体は、層間密着性がより優れる。
【0014】
(3)前記シランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ケイ酸エステル系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、または、アルキル系シランカップリング剤を含む、(2)記載のガスバリア層積層体。
【0015】
このような構成によれば、ガスバリア層積層体は、優れた外観性を維持しつつ、層間密着性がより優れる。
【0016】
(4)前記ガスバリア層は、ケイ素、チタン、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群れから選択される少なくとも1種を含む、(1)~(3)のいずれかに記載のガスバリア層積層体。
【0017】
このような構成によれば、ガスバリア層積層体は、緻密な無機連続膜層であるガスバリア層が形成され得る。
【0018】
(5)前記主剤は、ガラス転移点が75℃以上である高分子樹脂を含む、(1)~(4)のいずれかに記載のガスバリア層積層体。
【0019】
このような構成によれば、ガスバリア層積層体は、より外観性が優れ、貼り合わせなどの加熱加工を行った場合に変形せず、界面の平滑性が保たれることによって光学干渉縞がより発生しにくい。
【0020】
(6)(1)~(5)のいずれかに記載のガスバリア層積層体を用いた、包装材。
【0021】
このような構成によれば、元々はガスバリア性を有しない包装材であっても、ガスバリア性が付与され得る。
【0022】
(7)(1)~(5)のいずれかに記載のガスバリア層積層体を用いた、紙器。
【0023】
このような構成によれば、元々はガスバリア性を有しない紙器であっても、ガスバリア性が付与され得る。
【0024】
(8)(1)~(5)のいずれかに記載のガスバリア層積層体を用いた、容器。
【0025】
このような構成によれば、元々はガスバリア性を有しない容器であっても、ガスバリア性が付与され得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、セロファンフィルムを基材とし、遮光性を示すことにより、たとえば包装材として使用された場合に内容物の変質を防ぐことができ、かつ、層間密着性および外観性が優れたガスバリア層積層体、包装材、紙器、容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<ガスバリア層積層体>
本発明の一実施形態のガスバリア層積層体は、セロファンフィルムと、セロファンフィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、アンダーコート層の表面に設けられたガスバリア層とを有する。アンダーコート層は、主剤と硬化剤と添加剤とを含む。以下それぞれの構成について説明する。
【0028】
(セロファンフィルム)
セロファンフィルムは、ガスバリア層積層体の基材である。セロファンフィルムの原材料は、パルプ、木綿、麻など植物性繊維等である。セロファンフィルムは、生分解性を示し、環境負荷が小さい。セロファンフィルムは、原材料を水酸化ナトリウムなどのアルカリ条件下で二硫化炭素と反応させてビスコースとした後、酸で中和しながら製膜することで作製し得る。
【0029】
本実施形態のセロファンフィルムは、無色透明である。一例として、セロファンフィルムは、セロファンフィルム(PL、フタムラ化学(株)製、厚み:21μm)である。
【0030】
セロファンフィルムの厚みは特に限定されない。一例を挙げると、セロファンフィルムの厚みは、20μm以上であることが好ましい。また、セロファンフィルムの厚みは、40μm以下であることが好ましい。セロファンフィルムの厚みが上記範囲内であることにより、得られるガスバリア層積層体は、適度な剛性や強度を示し得る。
【0031】
セロファンフィルムは、後述するアンダーコート層を設ける面とは反対側の面に、防湿層(たとえば塩酢ビニル系樹脂など)を設けることが好ましい。これにより、セロファンフィルムは、蒸着加工時など真空乾燥や熱をかけた際に、破断やカールなどを生じにくい。
【0032】
セロファンフィルムに防湿層を設ける方法は特に限定されない。一例を挙げると、防湿層は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物(サランラテックスL232A、旭化成(株)製)をバーコーター法によって塗工することにより設けることができる。
【0033】
防湿層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、防湿層の厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。また、防湿層の厚みは、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。防湿層の厚みが上記範囲内であることにより、セロファンフィルムは、破断やカールなどを生じにくい。
【0034】
(アンダーコート層)
アンダーコート層は、セロファンフィルムの表面に設けられる。アンダーコート層は、主剤と硬化剤と添加剤とを含む。アンダーコート層は、ガスバリア層をセロファンフィルムと高密着させるために設けられる。
【0035】
・主剤
主剤は特に限定されない。一例を挙げると、主剤は、高分子樹脂である。高分子樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、高分子樹脂は、溶剤性または水性のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、アルコキシル基含有樹脂、変性スチレン樹脂および変性シリコーン樹脂等である。高分子樹脂は併用されてもよい。これらの中でも、高分子樹脂は、ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂を含む主剤を含むことにより、ガスバリア層積層体は、セロファンフィルムとアンダーコート層との層間密着性、および、アンダーコート層とガスバリア層との層間密着性の両方がより優れる。
【0036】
また、主剤は、ガラス転移点が75℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。主剤のガラス転移点が上記範囲内であることにより、ガスバリア層積層体は、外観性が優れ、貼り合わせなどの加熱加工を行った場合に光学干渉縞がより発生しにくい。
【0037】
アンダーコート層を構成する成分中、主剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、主剤の含有量は、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。また、主剤の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。主剤の含有量が上記範囲内であることにより、ガスバリア層積層体は、優れた層間密着性、外観性を示す。
【0038】
・硬化剤
硬化剤は特に限定されない。一例を挙げると、硬化剤は、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、アジリジン系硬化剤およびカルボジイミド系硬化剤等である。これらの中でも、硬化剤は、イソシアネート系であることが好ましい。
【0039】
アンダーコート層を構成する成分中、硬化剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、硬化剤の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましい。また、硬化剤の含有量は、18質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。硬化剤の含有量が上記範囲内であることにより、ガスバリア層積層体は、優れた層間密着性、外観性を示す。
【0040】
・添加剤
添加剤は特に限定されない。一例を挙げると、添加剤は、シランカップリング剤、シリコーンオイル、有機金属錯体等である。これらの中でも、添加剤は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤が含まれることにより、ガスバリア層積層体は、層間密着性がより優れる。
【0041】
シランカップリング剤は特に限定されない。シランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ケイ酸エステル系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、または、アルキル系シランカップリング剤であることが好ましい。これにより、得られるガスバリア積層体は、優れた外観性を維持しつつ、アンダーコート層とガスバリア層との層間密着性がより優れる。シランカップリング剤は、併用されてもよい。また、シランカップリング剤は、酸や塩基とあらかじめ混合させることによって加水分解させておくことが好ましい。これにより、得られるガスバリア層積層体は、より優れた外観性を維持しつつ、アンダーコート層とガスバリア層との層間密着性がさらに優れる。
【0042】
エポキシ系シランカップリング剤は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(またはGLYMO(3-Glycidyloxypropyltrimethoxysilane))であることが好ましく、メルカプト系シランカップリング剤は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(またはMTMO((3-Mercaptoppropyl)trimethoxysilane))であることが好ましく、ケイ酸エステル系シランカップリング剤は、テトラエチルオルソシリケートであることが好ましく、ビニル系シランカップリング剤は、オリゴマー状反応性シロキサンであることが好ましく、アルキル系シランカップリング剤は、メチルトリエトキシシラン(あるいはMTES(Methyltriethoxysilane))であることが好ましい。
【0043】
シランカップリング剤が含まれる場合、シランカップリング剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、シランカップリング剤の含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。また、シランカップリング剤の含有量は、15質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内であることにより、得られるガスバリア層積層体は、適度な層間密着性を示し得る。
【0044】
アンダーコート層全体の説明に戻り、アンダーコート層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、アンダーコート層の厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、1μm以下であることが好ましい。アンダーコート層の厚みが上記範囲内であることにより、得られるガスバリア層積層体は、セロファンフィルムとアンダーコート層との層間密着性、および、アンダーコート層とガスバリア層との層間密着性の両方がより優れる。
【0045】
アンダーコート層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、アンダーコート層は、グラビア法、リバース法、ダイコーター法、バーコーター法、スプレーコーター法、スピンコーター法等により成膜することができる。
【0046】
(ガスバリア層)
ガスバリア層は、アンダーコート層の表面に設けられる。ガスバリア層は、ガスバリア性物質を含む。
【0047】
ガスバリア性物質は、ケイ素、チタン、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群れから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、ガスバリア性物質は、これら群の金属酸化物、窒化物、炭化物、硫化物などの化合物であってもよい。ガスバリア層積層体は、これらのガスバリア性物質を含むことにより、緻密な無機連続膜層であるガスバリア層が形成され得る。これにより、ガスバリア層積層体は、優れたガスバリア性を示す。
【0048】
ガスバリア性物質は、透過性を示す原材料(たとえば酸化ケイ素など)であることが好ましい。これにより、ガスバリア層積層体は、他の構成に関しても透過性を示す原材料を用いることによって、ガスバリア層積層体全体を透明にすることができる。このようなガスバリア層積層体は、包装材料として使用されることにより、内容物を容易に視認し得る。その結果、ガスバリア層積層体は、ガスから内容物を保護することができるだけでなく、内容物の視認性が優れる。
【0049】
ガスバリア層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、ガスバリア層は、ガスバリア性物質を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法や化学的蒸着法など、従来公知の技術を適宜用いることにより、形成し得る。これらの中でも、本実施形態のガスバリア層積層体は、真空蒸着法によりガスバリア層を形成することが好ましい。
【0050】
ガスバリア層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、ガスバリア層の厚みは、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。また、ガスバリア層の厚みは、400nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。ガスバリア層の厚みが上記範囲内であることにより、得られるガスバリア層積層体は、充分なガスバリア性が得られやすく、かつ、適度な可撓性を維持することができる。
【0051】
ガスバリア層積層体全体の説明に戻り、本実施形態のガスバリア層積層体は、水蒸気透過率(WVTR)が2(g/m2/日)以下であることが好ましく、1.5(g/m2/日)以下であることがより好ましい。なお、本実施形態において、水蒸気透過率は、「MOCON法(JIS K 7129(B))」により測定し得る。水蒸気透過率(WVTR)が上記範囲内であることにより、ガスバリア層積層体は、優れたガスバリア性を示す。
【0052】
本実施形態のガスバリア層積層体は、酸素透過率(OTR)が2(cc/m2/日/atm)以下であることが好ましく、1.5(cc/m2/日/atm)以下であることがより好ましい。なお、本実施形態において、酸素透過率は、「MOCON法(JIS K 7126-2(A))」により測定し得る。酸素透過率(OTR)が上記範囲内であることにより、ガスバリア層積層体は、優れたガスバリア性を示す。
【0053】
本実施形態のガスバリア層積層体は、層間密着性が200(gf/15mm)以上であることが好ましく、300(gf/15mm)以上であることがより好ましい。また、ガスバリア層積層体は、層間密着性が1000(gf/15mm)以下であることが好ましく、800(gf/15mm)以下であることがより好ましい。なお、本実施形態において、層間密着性はオートグラフ(AGS-100A、(株)島津製作所製)を用いて測定し得る。層間密着性が上記範囲内であることにより、ガスバリア層積層体は、適度な層間密着性を示し、故に好適な界面の平滑性を得られる。
【0054】
本実施形態のガスバリア層積層体は、フィルムに掛かる温度が100℃の条件下においても外観変化しないことが好ましい。なお、本実施形態において、フィルムに掛かる温度はヒートラベルを用いて測定し、加熱式乾燥機を用いて加熱前後の外観変化を観察し得る。
【0055】
以上、本実施形態のガスバリア層積層体は、優れたガスバリア性、層間密着性および外観性を示す。そのため、たとえば、菓子類などの食品包装用途、洗剤などの液体詰め替え包装用途や、贈答品や化粧品等の紙貼合用途等の、種々の包装材、紙器、容器の用途に適応可能である。これにより、元々はガスバリア性を有しない包装材、紙器、容器であっても、ガスバリア性が付与され得る。
【0056】
また、本実施形態のガスバリア層積層体は、アルミ蒸着などの金属膜を積層することができる積層体である。一般に金属は自由電子を持ち、光の持つエネルギーは自由電子に吸収されて振動に変わり、元の光と同じ振動数の光を再放出するため、遮光する。そのため、ガスバリア層積層体は、遮光性を示し、たとえば、包装材として使用された場合において、内容物の変質を防止することができる。
【実施例0057】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0058】
<実施例1>
(セロファンフィルム)
セロファンフィルム(PL、フタムラ化学(株)製、厚み:21μm)を使用した。
【0059】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-9885、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌した。ここに、3.5%塩酸を用いて加水分解した添加剤(Dynasylan GLYMO、エボニックジャパン(株)製)をポリエステルポリオールに対して5.0質量%添加し、混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層a)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は82℃であった。
【0060】
(ガスバリア層)
アンダーコート層の表面に、真空槽内が5.0×10-2Pa以下という条件において真空蒸着を行い、ガスバリア性物質であるAlを含むガスバリア層(蒸着層)を形成し、ガスバリア層積層体を得た。得られたガスバリア層の厚みは、50nmであった。
【0061】
<実施例2>
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。なお、セロファンフィルムは、ガスバリア層と反対側の面に防湿層(塩酢ビ系樹脂層、厚み:1.0μm)が設けられた片面防湿セロファンフィルム(MOT、フタムラ化学(株)製、厚み:21μm)を使用した。
【0062】
<実施例3>
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。なお、セロファンフィルムは、ガスバリア層と反対側の面に防湿層(ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物(サランラテックスL232A、旭化成(株)製))をバーコーター法によって塗工した。得られた防湿層の厚みは0.1μmであった。
【0063】
<実施例4>
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。なお、ガスバリア層は、酸化ケイ素(SiOx)を用いて形成した。得られたガスバリア層の厚みは、20nmであった。
【0064】
<実施例5>
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例4と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。なお、セロファンフィルムは、ガスバリア層と反対側の面に防湿層(塩酢ビ系樹脂層、厚み:1.0μm)が設けられた片面防湿セロファンフィルム(MOT、フタムラ化学(株)製、厚み:21μm)を使用した。
【0065】
<実施例6>
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例4と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。なお、セロファンフィルムは、ガスバリア層と反対側の面に防湿層(ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物(サランラテックスL232A、旭化成(株)製))をバーコーター法によって塗工した。得られた防湿層の厚みは0.1μmであった。
【0066】
<実施例7>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層bを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0067】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-9885、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌した。ここに、3.5%塩酸を用いて加水分解した添加剤(Dynasylan MTMO、エボニックジャパン(株)製)をポリエステルポリオールに対して5.0質量%添加し、混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層b)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は82℃であった。
【0068】
<実施例8>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層cを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0069】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-9885、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌した。ここに、3.5%塩酸を用いて加水分解した添加剤(Dynasylan MTES、エボニックジャパン(株)製)をポリエステルポリオールに対して5.0質量%添加し、混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層c)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は82℃であった。
【0070】
<実施例9>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層dを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0071】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-9900、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌した。ここに、3.5%塩酸を用いて加水分解した添加剤(Dynasylan GLYMO、エボニックジャパン(株)製)をポリエステルポリオールに対して5.0質量%添加し、混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層d)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は101℃であった。
【0072】
<実施例10>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層eを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0073】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-9800、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌した。ここに、3.5%塩酸を用いて加水分解した添加剤(Dynasylan GLYMO、エボニックジャパン(株)製)をポリエステルポリオールに対して5.0質量%添加し、混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層e)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は85℃であった。
【0074】
<実施例11>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層fを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0075】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-3600、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌した。ここに、3.5%塩酸を用いて加水分解した添加剤(Dynasylan GLYMO、エボニックジャパン(株)製)をポリエステルポリオールに対して5.0質量%添加し、混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層f)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は75℃であった。
【0076】
<比較例1>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層gを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0077】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-3380、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層g)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は60℃であった。
【0078】
<比較例2>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層hを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0079】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-3320、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層h)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は40℃であった。
【0080】
<比較例3>
アンダーコート層として、以下のアンダーコート層iを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリア層積層体を作製した。
【0081】
(アンダーコート層)
セロファンフィルムの表面に、ポリエステルポリオール(主剤、エリーテルUE-9885、ユニチカ(株)製)とポリイソシアネート(硬化剤、スタビオD370N、三井化学(株)製)を含むアンダーコート層を設けた。まず、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチルを、8/1/1の比率(質量%)で混合し、混合溶媒とした。次にポリエステルポリオールに混合溶媒を加え、ポリイソシアネートをポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=82/18の比率(質量%)で混合・攪拌して高分子樹脂溶液を得た。高分子樹脂溶液をバーコーター法により塗工し、乾燥した。得られたアンダーコート層(アンダーコート層i)の厚みは0.1μmであった。なお、主剤のガラス転移点は82℃であった。
【0082】
【0083】
実施例1~11、比較例1~3によって得られたガスバリア層積層体に関して、以下の評価方法により水蒸気透過率(WVTR)、酸素透過率(OTR)、層間密着性を測定し、ガスバリア性、層間密着性、外観性、生分解性、遮光性を評価した。結果を表1に示す。
【0084】
<水蒸気透過率(WVTR)>
ガスバリア層積層体のガスバリア層側にLLDPE(T.U.X FC-S、直鎖状低密度ポリエチレン、厚み:50μm、三井化学東セロ(株)製)を、塗布量(固形分)4.0g/m2のドライラミネート用接着剤を介してドライラミネートした。水蒸気透過率(%)は、「MOCON法(JIS K 7129(B))」により測定した。
【0085】
<酸素透過率(OTR)>
ガスバリア層積層体のガスバリア層側にLLDPE(T.U.X FC-S、直鎖状低密度ポリエチレン、厚み:50μm、三井化学東セロ(株)製)を、塗布量(固形分)4.0g/m2のドライラミネート用接着剤を介してドライラミネートした。酸素透過率(%)は、「MOCON法(JIS K 7126-2(A))」により測定した。
【0086】
<層間密着性(T型剥離)>
ガスバリア層積層体のガスバリア層側にLLDPE(T.U.X FC-S、直鎖状低密度ポリエチレン、厚み:50μm、三井化学東セロ(株)製)を、防湿コート層にNY(ONBC、厚み:15μm、ユニチカ(株)製)を、塗布量(固形分)4.0g/m2のドライラミネート用接着剤を介してドライラミネートした。オートグラフ(AGS-100A、(株)島津製作所製)を使用し、LLDPEを引張速度300mm/分で引っ張り、ガスバリア層からLLDPEが剥離した際の荷重(gf/15mm)を測定した。なお、剥離に際し、セロファンフィルムと防湿層との間や、セロファンフィルムとアンダーコート層との間に生じないかどうかも確認した。
【0087】
<ガスバリア性>
以下の評価基準にしたがってガスバリア性を評価した。
◎:ガスバリア層積層体は、WVTRが1.5(g/m2/日)以下であり、かつ、酸素透過率(OTR)が1.5(cc/m2/日/atm)以下であった。
○:ガスバリア層積層体は、蒸気透過率(WVTR)が2.0(g/m2/日)以下であり、かつ、酸素透過率(OTR)が2.0(cc/m2/日/atm)以下であった。
×:ガスバリア層積層体は、蒸気透過率(WVTR)が2.0(g/m2/日)超過であり、かつ、酸素透過率(OTR)が2.0(cc/m2/日/atm)超過であった。
【0088】
<層間密着性>
以下の評価基準にしたがって層間密着性を評価した。
◎:層間密着性は、300(gf/15mm)以上であった。
○:層間密着性は、200(gf/15mm)以上、300(gf/15mm)未満であった。
×:層間密着性は、200(gf/15mm)未満であった。
【0089】
<外観性1>
温風式乾燥機を用いて、乾燥機の設定温度120℃×付与時間30秒によってフィルム自体に100℃の熱を掛け、以下の評価基準にしたがって外観性(外観性1)を評価した。
◎:ガスバリア層積層体は、100℃の熱を掛けた際、外観変化せず、光学干渉縞が発現しなかった。
×:ガスバリア層積層体は、100℃の熱を掛けた際、外観変化し、光学干渉縞が発現した。
【0090】
<生分解性>
質量既知のガスバリア層積層体を天然土壌中に埋没し、1か月経過後に質量測定を行い、以下の評価基準にしたがって生分解性を評価した。
○:ガスバリア層積層体は、処理前後の質量変化が5.0%以上であった。
×:ガスバリア層積層体は、処理前後の質量変化が5.0%未満であった。
【0091】
<遮光性>
ガスバリア層積層体を用いた包装材の中に食用油を梱包し、1か月間日光に晒した後、色の変化を目視で確認して以下の評価基準にしたがって遮光性を評価した。
○:ガスバリア積層体は、色の変化が確認できなかった。
×:ガスバリア積層体は、色の変化が確認できた。
【0092】
またガスバリア層積層体に関して、以下の評価方法を用いて外観性(外観性2)を測定した。
【0093】
<外観性2>
得られたガスバリア層積層体のうち、実施例1、9、10、比較例1~2について、加熱式乾燥機を用いて表2に記載の評価温度にそれぞれ加熱し(加熱条件:温風式乾燥機(120℃)に30秒間投入した)、以下の評価基準にしたがって外観性(外観性2)を評価した。
(評価基準)
○:ガスバリア層積層体は、光学干渉縞を発生しなかった。
△:ガスバリア層積層体は、一部に光学干渉縞が発生した。
×:ガスバリア層積層体は、全体に光学干渉縞が発生した。
【0094】
【0095】
表1~表2に示されるように、本発明の実施例1~11のガスバリア層積層体は、優れたガスバリア性、層間密着性、外観性を示した。一方、ガラス転移点が比較的低い比較例1~2のガスバリア層積層体は、外観性で劣り、光学干渉縞が発生し易い結果となった。また、添加剤であるシランカップリング剤を添加しなかった比較例3のガスバリア層積層体は、密着性が劣った。