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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160153
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】放送波検出方法及び放送波検出装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
H04B1/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064730
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 広志
(72)【発明者】
【氏名】國井 壮志
(72)【発明者】
【氏名】高田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】松倉 雄二郎
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061AA03
5K061AA11
5K061AA13
5K061BB06
5K061CC53
(57)【要約】
【課題】オールデジタル方式の放送波信号の探索に要する時間を短縮させた放送波検出方法を提供する。
【解決手段】放送波検出方法は、チューナー20が受信した第1周波数の放送波信号の受信品質が設定条件を満たす場合に、チューナー20に受信させる周波数を第1周波数から第2周波数に変更させ、チューナー20が受信した第2周波数の放送波信号を中間周波数に変換した信号の周波数と、基準周波数とのズレ量が、予め設定された範囲内にあるか否かを判定し、中間周波数の信号の周波数と、基準周波数とのズレ量が予め設定された範囲内にある場合に、第1周波数の放送波信号を復調処理し、第1周波数の放送波信号に含まれるデータを取得し、取得したデータに基づいて第1周波数の放送波信号が放送局の放送波信号であるか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オールデジタル方式のラジオ放送の放送波信号を検出する放送波検出方法であって、
第1周波数の放送波信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した前記第1周波数の放送波信号の受信品質が設定条件を満たすか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1周波数の放送波信号の受信品質が前記設定条件を満たすと第1判定ステップにより判定された場合に、前記受信ステップに受信させる周波数を前記第1周波数から予め設定された範囲内の第2周波数に変更させる変更ステップと、
受信ステップにより受信した前記第2周波数の放送波信号を中間周波数の信号に変換する変換ステップと、
変換された前記中間周波数の信号の周波数と、基準周波数とのズレ量である周波数オフセットが、予め設定された範囲内にあるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにより、前記周波数オフセットが予め設定された範囲内にあると判定された場合に、前記第1周波数の放送波信号を復調処理し、前記第1周波数の放送波信号に含まれるデータを取得する取得ステップと、
取得した前記データに予め設定されたデータが含まれるか否かを判定して、前記第1周波数の放送波信号が放送局の放送波信号であるか否かを判定する第3判定ステップと、
を含むことを特徴とする放送波検出方法。
【請求項2】
前記第2判定ステップは、前記第2周波数の放送波信号の電界レベルが予め設定された閾値以上であるか否かをさらに判定し、前記第2周波数の放送波信号の電界レベルが予め設定された閾値以上である場合に、前記取得ステップを実行させる、ことを特徴とする請求項1記載の放送波検出方法。
【請求項3】
前記第2判定ステップは、前記周波数オフセットが-2kHz以上、2kHz以下の範囲内である場合、前記取得ステップに前記復調処理を実行させる、ことを特徴とする請求項1又は2記載の放送波検出方法。
【請求項4】
前記第2判定ステップは、
放送波信号の電界レベルが、20dBuV以上であり、
前記周波数オフセットが-2kHz以上、2kHz以下の範囲内である場合、前記取得ステップに前記復調処理を実行させる、ことを特徴とする請求項2記載の放送波検出方法。
【請求項5】
前記設定条件は、
放送波信号の電界レベルが、30dBuV以上であり、
周波数オフセットが、-2kHz以上、2kHz以下の範囲内であり、
S/N比が20dB未満である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の放送波検出方法。
【請求項6】
前記第2周波数は、4906Hz以上、9448Hz以下の範囲で設定される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の放送波検出方法。
【請求項7】
前記第2周波数は、前記第1周波数に8kHzを加算した周波数である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の放送波検出方法。
【請求項8】
オールデジタル方式のラジオ放送の放送波信号を検出する放送波検出装置であって、
第1周波数の放送波信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記第1周波数の放送波信号の受信品質が設定条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、
前記第1周波数の放送波信号の受信品質が前記設定条件を満たすと前記第1判定部より判定された場合に、前記受信部に受信させる周波数を前記第1周波数から予め設定された範囲内の第2周波数に変更させる変更部と、
前記受信部が受信した前記第2周波数の放送波信号を中間周波数に変換した信号の周波数と、基準周波数とのズレ量である周波数オフセットが、予め設定された範囲内にあるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により、前記周波数オフセットが予め設定された範囲内にあると判定された場合に、前記第1周波数の放送波信号を復調処理し、前記第1周波数の放送波信号に含まれるデータを取得する復調部と、
前記復調部が取得したデータに予め設定されたデータが含まれるか否かを判定して、前記第1周波数の放送波信号が放送局の放送波信号であるか否かを判定する第3判定部と、
を備えることを特徴とする放送波検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波検出方法及び放送波検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IBOC(In Band On Channel)方式を採用したデジタルラジオ放送には、放送波の伝送方式として、ハイブリット方式とオールデジタル方式とがある。
ハイブリット方式は、アナログ電波にデジタル信号を追加することで、従来のアナログ方式のラジオ受信機で同じ内容の放送を受信できると共に、デジタル受信に対応したHDラジオ受信機ではデジタル放送も聴取できる。オールデジタル方式は、アナログ電波が占有していた周波数帯域にデジタル信号を配置した方式であり、ハイブリット方式に変わって運用されるであろうと期待されている方式である。
【0003】
特許文献1は、アンテナを通して受信された各放送波の中から周波数同調された放送波を選択出力する放送選択手段と、局検索時に設定される周波数に対応する受信信号の電界強度レベルを検知する受信電界強度検知手段と、放送選択手段及び受信電界強度検知手段に動作可能に接続された制御手段とを具備し、制御手段は、放送選択手段に対し受信周波数を所定のステップ単位で移行させて局検索を行っているときに、受信電界強度検知手段で検知された結果に基づいて、当該受信周波数の信号にIBOC放送波又はアナログ放送波が含まれていると判定したときに当該放送波を選択出力させることを特徴とするIBOC放送受信機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-5848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オールデジタル方式には、アナログ放送が含まれないため、特許文献1のようにアナログ放送波が含まれていると判定したときに当該放送波を選択出力する探索方式を用いた場合、放送局の放送波の探索に時間を要するという課題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オールデジタル方式の放送波の探索に要する時間を短縮させた放送波検出方法及び放送波検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の放送波検出方法は、オールデジタル方式のラジオ放送の放送波信号を検出する放送波検出方法であって、第1周波数の放送波信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにより受信した前記第1周波数の放送波信号の受信品質が設定条件を満たすか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1周波数の放送波信号の受信品質が前記設定条件を満たすと第1判定ステップにより判定された場合に、前記受信ステップに受信させる周波数を前記第1周波数から予め設定された範囲内の第2周波数に変更させる変更ステップと、受信ステップにより受信した前記第2周波数の放送波信号を中間周波数の信号に変換する変換ステップと、変換された前記中間周波数の信号の周波数と、基準周波数とのズレ量である周波数オフセットが、予め設定された範囲内にあるか否かを判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップにより、前記周波数オフセットが予め設定された範囲内にあると判定された場合に、前記第1周波数の放送波信号を復調処理し、前記第1周波数の放送波信号に含まれるデータを取得する取得ステップと、取得した前記データに予め設定されたデータが含まれるか否かを判定して、前記第1周波数の放送波信号が放送局の放送波信号であるか否かを判定する第3判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オールデジタル方式の放送波信号の探索に要する時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】放送波検出装置の概略構成を示すロック図である。
図2】従来のハイブリッド方式のデジタルラジオの放送波信号の周波数帯域を示す図である。
図3】オールデジタル形式のAMデジタルラジオのサブキャリア割り当ての概略を示す図である。
図4】放送波検出装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、放送波検出装置1の概略構成を示したブロック図である。
放送波検出装置1は、例えば、車載オーディオ装置として車両に搭載される。放送波検出装置1は、アンテナ10と、チューナー20、HDデコーダー30と、スピーカー40と、制御部50とを備える。
【0011】
アンテナ10は、デジタルラジオ放送の放送波信号を受信する。
【0012】
チューナー20は、受信部に相当する。チューナー20は、制御部50の制御に従い、アンテナ10が受信した放送波信号に対して周波数同調を行う。チューナー20は、周知の高周波(RF)増幅器、混合器、局部発振器、中間周波数(IF)フィルタ等を備える。RF増幅器、混合器、局部発振器及びIFフィルタの図示は省略する。チューナー20は、アンテナ10が受信した放送波信号をRF増幅器により増幅した後、混合器において、制御部50により制御される局部発振器からの局部発振信号と混合されて中間周波数信号に変換され、さらにIFフィルタを通してHDデコーダー30に出力される。
【0013】
また、チューナー20は、アンテナ10が受信した放送波信号に基づいて受信品質情報を生成し、生成した受信品質情報を制御部50に出力する。受信品質情報には、放送波信号の電界レベルと、FOF値(Frequency Ofset)と、S/N比(signal-noise ratio)とが含まれる。
FOF値は、局部発振信号と混合されて生成された中間周波数信号の基準周波数からのズレ量を示す。本実施形態では、基準周波数が0Hzである場合を例に説明するが、基準周波数は0Hzでなくてもよい。
【0014】
HDデコーダー30は、復調部に相当する。HDデコーダー30は、チューナー20から入力された中間周波数信号を検波した後、マルチプレクサによりアナログのステレオオーディオ信号(L/Rチャンネルの各オーディオ信号)に復調し、アンプにより増幅する。HDデコーダー30は、アンプにより増幅したオーディオ信号をスピーカー40に出力する。マルチプレクサ及びアンプの図示は省略する。
【0015】
また、HDデコーダー30は、以下に示す6つのオーディオコーデックを備える。
(1):FM hybrid single-stream on P1 channel
(2):FM all digital dual-stream with mono core (typically used with MP5)
(3):AM hybrid/all digital dual-stream
(4):FM all digital dual-stream with stereo core (typically used with MP6)
(5):FM dual-stream on SPS
(6):FM hybrid/all digital single-stream on P3 channel
HDデコーダー30は、AMオールデジタル方式のデジタルラジオ放送を受信する場合、AM hybrid/all digital dual-streamを用いて復号化処理を行う。
【0016】
スピーカー40は、車室内に複数個、例えば、左右の前席のドアや、左右の後席のドア等に設けられる。図1には、便宜上1つのスピーカー40を1つの機能ブロックとして示したが、スピーカー40の設置数は1つに限定されるものではなく、必要に応じて複数個設置することも可能である。
【0017】
制御部50は、メモリー60と、プロセッサー70とを備えるコンピュータ装置である。
メモリ60は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)により構成される。RAMは、各種データ等の一時記憶に用いられ、ROMは、放送波検出装置1の動作を制御するための制御プログラム61や、各種設定情報等を記憶する。
【0018】
プロセッサー70は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)により構成される演算処理装置である。プロセッサー70は、制御プログラム61を実行して放送波検出装置1の各部を制御する。
【0019】
制御部50は、機能ブロックとして、設定部71、第1判定部73、第2判定部75及び第3判定部77を備える。これらの機能ブロックは、プロセッサー70が制御プログラム61に従った演算処理を実行することで実現される機能をブロックにより便宜的に示したものである。
【0020】
設定部71は、変更部に相当する。設定部71は、チューナー20に同調させる周波数を設定する。設定部71は、チューナー20に同調させる周波数を、予め設定された周波数単位で設定し、放送局の放送波信号を受信可能な放送チャネルを探索するシーク動作を実行する。ここで、設定部71がチューナー20に設定する周波数を第1周波数という。
【0021】
また、設定部71は、チューナー20が受信した放送波信号の受信品質が、後述する第1条件を満たす場合に、チューナー20に同調させる周波数を第1周波数から第2周波数に変更させる。
第2周波数は、第1周波数から予め設定された範囲内の周波数であり、IBOS規格により設定された4906Hz以上、9448Hz以下の範囲に設定される周波数である。本実施形態では、第1周波数に8kHzを加算した周波数が第2周波数として設定される。また、第2周波数として、第1周波数から8kHzを減算した周波数を設定してもよい。
【0022】
第1判定部73は、チューナー20が受信した第1周波数の放送波信号の受信品質を判定する。
第1判定部73には、受信品質情報として、第1周波数の放送波信号の電界レベル、FOF値及びS/N比がチューナー20から入力される。第1判定部73は、入力された電界レベルを予め設定された第1レベル閾値と比較し、入力されたFOF値を予め設定された第1オフセット範囲と比較し、入力されたS/N比を予め設定されたS/N閾値と比較して、第1周波数の放送波信号が第1条件を満たすか否かを判定する。
【0023】
第1レベル閾値は、本実施形態では30dBuVに設定される。第1判定部73は、入力された電界レベルが30dBuV以上であるか否かを判定する。
また、第1オフセット範囲は、本実施形態では-2kHz以上、+2kHz以下の範囲に設定される。第1判定部73は、入力されたFOF値が±2kHz以内であるか否かを判定する。
また、S/N閾値は、本実施形態では20dBに設定される。第1判定部73は、入力されたS/N比が20dB以上であるか否かを判定する。
【0024】
第1判定部73は、電界レベルが第1レベル閾値以上であり、FOF値が第1オフセット範囲以内であり、かつS/N比がS/N閾値以上である場合、第1周波数の放送波信号が、放送局が放送する放送波信号の周波数であると判定する。第1判定部73は、第1周波数の放送波信号をチューナー20に受信させる周波数に設定する。すなわち、チューナー20が受信した第1周波数の放送波信号をHDデコーダー30に処理させてオーディオ信号を生成し、生成したオーディオ信号をスピーカー40に出力させる。
【0025】
本実施形態では、第1条件は、電界レベルが第1レベル閾値以上であり、FOF値が第1オフセット範囲以内であり、かつS/N比がS/N閾値未満であることに設定される。
第1判定部73は、電界レベル、FOF値及びS/N比が第1条件を満たすと判定した場合、第1周波数の放送波信号が、第1条件を満たしたことを設定部71に通知する。第1条件は、設定条件に相当する。
また、第1判定部73は、電界レベルが第1レベル閾値よりも小さい場合、又はFOF値が第1オフセット範囲よりも大きい場合、第1条件を満たさないことを設定部71に通知する。設定部71は、第1条件を満たさないとの通知が第1判定部73から入力されると、チューナー20に次に受信させる第1周波数を設定する。設定部71は、予め設定された周波数単位でチューナー20に受信させる第1周波数を設定してシーク動作を継続させる。
【0026】
ここで、ハイブリット方式及びオールデジタル方式のデジタルラジオの放送波信号の周波数割り当てについて説明する。
図2は、従来のハイブリッド方式のデジタルラジオの放送波信号の周波数帯域の割り当てを示す図である。従来のAM変調されたアナログ信号110と、デジタル放送波信号であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)サブキャリア信号120とのスペクトルは、約30kHzの帯域幅を有するチャネル130内に含まれる。このチャネル130は、上側周波数帯域140と下側周波数帯域150とに分割される。上側周波数帯域140は、チャネルの中心周波数から約+15kHzにまで広がる。下側周波数帯域150は、中心周波数から約-15kHzにまで広がる。
【0027】
上側周波数帯域140は、図2に示すように、一次区分141、二次区分142及び三次区分143に分割される。下側周波数帯域150は、一次区分151、二次区分152及び三次区分153に分割される。上側周波数帯域140の三次区分143及び下側周波数帯域150の三次区分153は、従来のAM変調されたアナログ信号110として使用される周波数帯域である。また、上側周波数帯域140の一次区分141及び二次区分142と、下側周波数帯域150の一次区分151及び二次区分152とは、OFDMサブキャリア信号の周波数帯域に割り当てられる。
【0028】
図3は、オールデジタル形式のAMデジタルラジオのサブキャリア割り当ての概略図である。AMデジタルラジオの放送波信号200は、上側周波数帯域210と下側周波数帯域220とを有する。上側周波数帯域210には、一次サブキャリアと呼ばれるサブキャリアグループ211と、二次サブキャリアと呼ばれるサブキャリアグループ213とが含まれる。サブキャリアグループ211は、例えば、182Hzから4906Hzの周波数範囲に設定され、サブキャリアグループ213は、例えば、4906Hzから9448Hzの周波数範囲に設定される。
また、下側周波数帯域220には、一次サブキャリアと呼ばれるサブキャリアグループ221と、二次サブキャリアと呼ばれるサブキャリアグループ223とが含まれる。サブキャリアグループ221は、例えば、-182Hzから-4906Hzの周波数範囲に設定され、サブキャリアグループ213は、例えば、-4906Hzから-9448Hzの周波数範囲に設定される。
【0029】
設定部71は、第1周波数の放送波信号が第1条件を満たしたとの通知が第1判定部73から入力されると、チューナー20に受信させる放送波信号の周波数を第2周波数に変更させる。この第2周波数は、IBOS規格により設定された4906Hz以上、9448Hz以下の範囲内で設定される。すなわち、第2周波数は、図3に示すサブキャリアグループ213又はサブキャリアグループ223の周波数範囲の周波数に設定される。本実施形態では、第2周波数は、第1周波数に8kHzを加算又は減算した周波数に設定される。
【0030】
チューナー20は、設定部71により設定された第2周波数の放送波信号を受信する。チューナー20は、受信した放送波信号の受信品質情報を制御部50に出力する。
【0031】
第2判定部75は、チューナー20が受信した第2周波数の放送波信号の受信品質を判定する。第2判定部75には、受信品質情報として、電界レベルと、FOF値と、S/N比とが入力されるが、ここでの判定では、S/N比は使用しない。上述のように第2周波数は、図3に示すサブキャリアグループ213又はサブキャリアグループ223の周波数範囲であるデジタル放送波信号の周波数に設定される。このため、第2判定部75は、アナログ信号の受信品質の判定に使用されるS/N比の判定を行わない。
【0032】
第2判定部75は、入力された電界レベルを予め設定された第2レベル閾値と比較し、入力されたFOF値を予め設定された第2オフセット範囲と比較して、第2周波数の放送波信号が、後述する第2条件を満たすか否かを判定する。
第2レベル閾値は、本実施形態では20dBuVに設定される。第2判定部75は、入力された電界レベルが20dBuV以上であるか否かを判定する。
また、第2オフセット範囲は、本実施形態では-2kHz以上、+2kHz以下の範囲に設定される。第2判定部75は、入力されたFOF値が±2kHz以内であるか否かを判定する。
【0033】
本実施形態では、第2条件は、電界レベルが第2レベル閾値以上であり、かつ、FOF値が第2オフセット範囲以内であること、に設定される。
第2周波数は、図3に示すサブキャリアグループ213又はサブキャリアグループ223の周波数範囲の周波数に設定される。このため、第1周波数の放送波信号が、AMオールデジタル放送の放送波信号である場合、第2周波数の放送波信号のFOF値として±2kHz以内の値が検出される。第2判定部75は、電界レベル及びFOF値が第2条件を満たしたと判定すると、第1周波数の放送波信号の復調処理をHDデコーダー30に開始させる。
また、第2判定部75は、電界レベル及びFOF値の少なくとも一方が第2条件を満たさないと判定した場合、第2条件を満たさないことを設定部71に通知する。設定部71は、第2条件を満たさないとの通知が第2判定部75から入力されると、チューナー20に次に受信させる第1周波数を設定する。
【0034】
HDデコーダー30は、チューナー20が受信し、中間周波数に変換された第1周波数の放送波信号を復調処理し、放送波信号に含まれるデータを取得する。HDデコーダー30は、復調処理して取得したデータを第3判定部77に出力する。
【0035】
第3判定部77は、HDデコーダー30からデータが入力される。第3判定部77は、HDデコーダー30から入力されるデータに、AMオールデジタル放送であることを示すデータが含まれる場合、第1周波数の放送波信号は、AMオールデジタル放送の放送局から受信した放送波信号であると判定する。
第3判定部77は、HDデコーダー30から入力されるデータに、例えば、AM Hybrid/all digital dual streamのデータが含まれる場合、第1周波数の放送波信号は、AMオールデジタル放送の放送局から受信した放送波信号であると判定する。
また、第3判定部77は、HDデコーダー30から入力されるデータに、AMオールデジタル放送であることを示すデータが含まれない場合、第1周波数の放送波信号は、AMオールデジタル放送の放送局から受信した放送波信号ではないと判定する。この場合、第3判定部77は、第1周波数の放送波信号がオールデジタル方式の放送波信号ではない旨を設定部71に通知する。設定部71は、第1周波数の放送波信号がオールデジタル方式の放送波信号ではないとの通知が第3判定部77から入力されると、チューナー20に次に受信させる第1周波数を設定する。
【0036】
図4は、放送波検出装置1の動作を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートを参照しながら放送波検出装置1の動作について説明する。
まず、制御部50は、チューナー20に受信させる第1周波数を設定する(ステップS1)。ステップS1は、受信ステップに相当する。制御部50は、現在、放送波信号を受信中の周波数に、予め設定された周波数を加算又は減算した周波数を、第1周波数に設定する。
【0037】
チューナー20は、制御部50により設定された第1周波数の放送波信号を受信し、受信した第1周波数の放送波信号の受信品質情報を生成する(ステップS2)。受信品質情報には、電界レベル、FOF値及びS/N比が含まれる。チューナー20は、生成した受信品質情報を制御部50に出力する。
【0038】
制御部50は、入力された受信品質情報をメモリー60に一時的に記憶させる。次に、制御部50は、メモリー60から電界レベル及びFOF値を取得し、取得した電界レベルを第1レベル閾値と比較し、取得したFOF値を第1オフセット範囲と比較する(ステップS3)。ステップS3は、第1判定ステップに相当する。
【0039】
制御部50は、電界レベルが第1レベル閾値よりも小さい場合、又はFOF値が第1オフセット範囲外の値である場合(ステップS3/NO)、制御部50は、デジタルラジオ放送の周波数範囲の探索を終了したか否か判定する(ステップS10)。つまり、制御部50は、チューナー20に受信させる次の第1周波数が、AMオールデジタル方式のデジタルラジオ放送の周波数帯域の範囲外の周波数であるか否かを判定する(ステップS10)。制御部50は、チューナー20に受信させる次の第1周波数が、AMオールデジタル方式のデジタルラジオ放送の周波数帯域の範囲外の周波数である場合(ステップS10/YES)、この処理フローを終了させる。また、制御部50は、チューナー20に受信させる次の第1周波数が、AMオールデジタル方式のデジタルラジオ放送の周波数帯域の範囲内の周波数である場合(ステップS10/NO)、ステップS1に戻り第1周波数を設定する。
【0040】
また、制御部50は、電界レベルが第1レベル閾値以上であり、FOF値が第1オフセット範囲以内である場合(ステップS3/YES)、メモリー60からS/N比を取得し、取得したS/N比とS/N閾値とを比較する(ステップS4)。
制御部50は、取得したS/N比がS/N閾値以上である場合(ステップS4/YES)、第1周波数の放送波信号が、放送局の放送周波数であると判定する。制御部50は、チューナー20に受信させる周波数を、ステップS1で設定した第1周波数に設定し、放送波信号の受信を開始する。
【0041】
また、制御部50は、取得したS/N比がS/N閾値よりも小さい場合(ステップS4/NO)、チューナー20に受信させる周波数として、第1周波数に予め設定された周波数である8kHzを加算した第2周波数に設定する(ステップS5)。この処理フローでは、第1周波数に8kHzを加算した周波数を第2周波数に設定する場合について説明するが、第1周波数から8kHzを減算した周波数を第2周波数に設定してもよい。ステップS5は、変更ステップに相当する。チューナー20は、制御部50により設定された第2周波数の放送波信号を受信し、受信した第2周波数の放送波信号の受信品質情報を生成する(ステップS6)。チューナー20は、生成した受信品質情報を制御部50に出力する。ステップS6は、変換ステップに相当する。
【0042】
制御部50は、入力された受信品質情報をメモリー60に一時的に記憶させる。次に、制御部50は、メモリー60から電界レベル及びFOF値を取得し、取得した電界レベルを第2レベル閾値と比較し、取得したFOF値を第2オフセット範囲と比較する(ステップS7)。ステップS7は、第2判定ステップに相当する。
【0043】
制御部50は、電界レベルが第2レベル閾値よりも小さい場合、又はFOF値が第2オフセット範囲外である場合(ステップS7/NO)、ステップS10の判定に移行し、デジタルラジオ放送の周波数範囲の探索を終了したか否か判定する(ステップS10)。
また、制御部50は、電界レベルが第2レベル閾値以上であり、FOF値が第2オフセット範囲以内である場合(ステップS7/NO)、第1周波数を、HDデコーダー30に復調処理させる放送波信号の周波数に決定する。HDデコーダー30は、チューナー20が受信し、中間周波数に変換された放送波信号を復調処理し(ステップS8)、放送波信号に含まれるデータを取得する。ステップS8は、取得ステップに相当する。HDデコーダー30は、取得したデータを制御部50に出力する。制御部50は、HDデコーダー30から入力されるデータに所定のデータが含まれるか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9は、第3判定ステップに相当する。
【0044】
制御部50は、入力されたデータに、AM Hybrid/all digital dual streamのデータが含まれる場合(ステップS9/YES)、オールデジタル方式の放送波信号であると判定する。制御部50は、チューナー20に受信させる周波数を、ステップS1で設定した第1周波数に設定し、放送波信号の受信を開始する。
また、制御部50は、入力されたデータに、AM Hybrid/all digital dual streamのデータが含まれない場合(ステップS9/NO)、オールデジタル方式の放送波信号ではないと判定する。この場合、制御部50は、ステップS10の判定に移行し、デジタルラジオ放送の周波数範囲の探索を終了したか否か判定する(ステップS10)。制御部50は、チューナー20に受信させる次の第1周波数が、AMオールデジタル方式のデジタルラジオ放送の周波数帯域の範囲内の周波数である場合(ステップS10/NO)、ステップS1に戻り第1周波数を設定する。
【0045】
以上説明したように本実施形態の放送波検出装置1は、受信可能なラジオ放送の放送波を検出する装置である。
放送波検出装置1は、チューナー20と、HDデコーダー30と、制御部50と、を備える。
チューナー20は、制御部50により設定された第1周波数の放送波信号を受信する。
HDデコーダー30は、放送波に含まれるデータを復調処理する。
制御部50は、設定部71、第1判定部73、第2判定部75及び第3判定部77を備える。
【0046】
第1判定部73は、チューナー20が受信した第1周波数の放送波信号の受信品質が第1条件を満たすか否かを判定する。
設定部71は、第1周波数の放送波信号の受信品質が第1条件を満たすと第1判定部73が判定した場合に、チューナー20に受信させる周波数として、第1周波数から予め設定された範囲内の第2周波数を設定する。
第2判定部75は、チューナー20が受信し、中間周波数の信号に変換された第2周波数の放送波信号の周波数オフセットを取得する。第2判定部75は、取得した周波数オフセットが予め設定された範囲内にあるか否かを判定する。
HDデコーダー30は、周波数オフセットが予め設定された範囲内にある場合、第1周波数の放送波信号を復調処理し、第1周波数の放送波信号に含まれるデータを取得する。
第3判定部77は、取得したデータに予め設定されたデータが含まれるか否かを判定して、第2周波数の放送波信号が放送局の放送波信号であるか否かを判定する。
オールデジタル方式の場合、第1周波数から予め設定された範囲内の第2周波数にもデジタル信号の帯域があるため、周波数オフセットとして予め設定された範囲内の値が出力される。この第2周波数の放送波信号の周波数オフセットが予め設定された範囲内である場合に、第1周波数の放送波信号を復調処理することで、復調処理を実行する周波数を制限することができ、オールデジタル方式の放送波の探索に要する時間を短縮させることができる。
【0047】
また、第2判定部75は、第2周波数の放送波信号の電界レベルが予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、第2周波数の放送波信号の電界レベルが予め設定された閾値以上である場合に、取得ステップを実行させる。
従って、放送局の放送周波数である確率の高い周波数の放送波信号を復調処理することができ、オールデジタル方式の放送波の探索に要する時間をさらに短縮させることができる。
【0048】
第2判定部75は、周波数オフセットが-2kHz以上、2kHz以下の範囲内である場合、HDデコーダー30に復調処理させる。
従って、オールデジタル方式の放送周波数である確率の高い周波数の放送波信号を復調処理することができ、オールデジタル方式の放送波の探索に要する時間をさらに短縮させることができる。
【0049】
第2判定部75は、放送波信号の電界レベルが、20dBuV以上であり、周波数オフセットが-2kHz以上、2kHz以下の範囲内である場合、HDデコーダー30に復調処理させる。
従って、オールデジタル方式の放送周波数である確率の高い周波数の放送波信号を復調処理することができ、オールデジタル方式の放送波の探索に要する時間をさらに短縮させることができる。
【0050】
また、設定条件は、放送波信号の電界レベルが、30dBuV以上であり、周波数オフセットが、-2kHz以上、2kHz以下の範囲内であり、S/N比が20dB未満である。
従って、オールデジタル方式の放送周波数である確率の高い周波数の放送波信号を復調処理することができ、オールデジタル方式の放送波の探索に要する時間をさらに短縮させることができる。
【0051】
また、第2周波数は、4906Hz以上、9448Hz以下の範囲に設定される。
第2周波数は、第1周波数を8kHz変更した周波数である。
従って、AMデジタルラジオ放送波のサブキャリアの周波数帯域に第2周波数を設定することができる。
【0052】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0053】
また、本発明の放送波検出方法を、コンピュータを用いて実現する場合、このコンピュータに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。
【0054】
また、図4に示すフローチャートの処理単位は、制御部50の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。制御部50の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、制御部50の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 放送波検出装置
10 アンテナ
20 チューナー
30 HDデコーダー
40 スピーカー
50 制御部
60 メモリー
61 制御プログラム
70 プロセッサー
71 設定部
73 第1判定部
75 第2判定部
77 第3判定部
100 駐車支援装置
110 AMアナログ信号
120 デジタルラジオ放送波信号
130 上側周波数帯域
132 下側周波数帯域
141 一次区分
142 二次区分
143 三次区分
151 一次区分
152 二次区分
153 三次区分
200 放送波信号
210 上側帯域
211 サブキャリアグループ
213 サブキャリアグループ
220 下側帯域
221 サブキャリアグループ
223 サブキャリアグループ
図1
図2
図3
図4