(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160164
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】バタフライバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 41/00 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
F16K41/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064744
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福川 展弘
(72)【発明者】
【氏名】角谷 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 康典
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA02
3H066DA14
(57)【要約】
【課題】
磁性流体シール部に過大な圧力が負荷されることを防止することで、磁性流体シールの破壊を防止することが可能なバタフライバルブを提供すること。
【解決手段】
流路30から挿通孔8dを通じて、磁性流体シール部19へ制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、バタフライバルブ1に供給するためのパージガス流路60を備えること、パージガス流路60には、上流側から、パージガス流路60の開閉を行う開閉弁62と、パージガス流路60の圧力値を測定する圧力計64と、が設けられていること、パージガス流路60は、圧力計64の下流側で、バタフライバルブ1の磁性流体シール部19と流路30の間に接続されるとともに、挿通孔8dを通じて流路30に連通していること、少なくとも開閉弁62を制御する制御装置70を備えること、制御装置70は、圧力値Pの監視を行う監視プログラムを備えること、を特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、制御流体が流れる流路と、一端が前記モータに結合されるとともに他端が前記流路に挿し込まれるロッドと、前記流路内で前記ロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブにおいて、
前記モータと前記流路との間に磁性流体シール部を備えること、
前記磁性流体シール部は、前記流路から、前記流路の前記ロッドが挿し込まれている挿込部を通じて、前記モータへ前記制御流体が漏れることを防ぐこと、
前記流路から前記挿込部を通じて、前記磁性流体シール部へ前記制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、前記バタフライバルブに供給するためのパージガス流路を備えること、
前記パージガス流路には、上流側から、前記パージガス流路の開閉を行う開閉弁と、前記パージガス流路の圧力値を測定する圧力計と、が設けられていること、
前記パージガス流路は、前記圧力計の下流側で、前記バタフライバルブの前記磁性流体シール部と前記流路の間に接続されるとともに、前記挿込部を通じて前記流路に連通していること、
少なくとも前記開閉弁を制御する制御装置を備えること、
前記制御装置は、前記圧力値の監視を行う監視プログラムを備えること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるときに、前記開閉弁を開弁することの指令を出力すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、所定の単位時間毎に前記圧力値を取得し、n回目に取得した前記圧力値とn-1回目に取得した前記圧力値との差の絶対値が、所定の第2閾値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、
前記圧力値が 前記磁性流体シール部の耐圧値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記制御装置は、前記パージガス流路における前記圧力値が前記制御装置により安定状態とされた時の前記圧力値を、定常圧力値として記憶する記憶手段を備えること、
前記監視プログラムは、前記圧力値と前記定常圧力値との差の絶対値が、所定の第3閾値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記パージガス流路には、前記開閉弁と前記圧力計との間に、前記制御装置から出力される流量指令値に基づいて前記パージガスの流量を制御するとともに、前記パージガスの流量値を検出する流量コントローラが設けられていること、
前記監視プログラムは、前記流量指令値に対して、前記流量値が異なる状態にある時に、前記流量値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと、制御流体が流れる流路と、一端がモータに結合されるとともに他端が流路に挿し込まれるロッドと、流路内でロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程では、真空チャンバと真空ポンプとの間に、真空圧力制御装置として、流路のコンダクタンスが大きいバタフライバルブを配置し、真空チャンバの真空圧力を制御することが多い。バタフライバルブとしては、例えば、特許文献1に開示されるような、モータを備える駆動部と、内部に流路およびバタフライ弁体を備える弁部と、が結合されてなり、モータに接続されたロッドが、駆動部から延伸し、弁部の備える挿通孔から流路に挿入され、バタフライ弁体に結合されているものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)の普及により、半導体の製造サイクルが高速化されている。これに伴い、バタフライバルブのロッドの回転回数として、数千万回の高耐久性が求められる。上記のバタフライバルブにおいては、制御流体(例えばプロセスガス)が流路からロッドを挿通する挿通孔を通ってバタフライバルブの外部へ流出しないよう、ロッド外周面にOリングを配設し、挿通孔のシールを行っているが、Oリングは数千万回の回転に耐えられるような十分な耐久性を有していない。
【0005】
そこで、本願出願人は、特願2020-009768号のバタフライバルブを提案している。該バタフライバルブは、モータと弁部との間のロッド外周において磁性流体シール部が形成されており、この磁性流体シール部により、流路から挿通孔を通ってバタフライバルブの外部へ流出しようとするプロセスガスを遮断している。磁性流体シール部は、ロッドが数千万回の回転を行っても劣化しにくく、Oリングに比べてロッドの回転に対するシールの耐久性が高いことが特徴である。
【0006】
さらに、特願2020-009768号に開示されるバタフライバルブは、挿通孔を介して流路に連通するパージガス流路を備えており、該パージガス流路から挿通孔を介して流路にパージガスを流すことで、流路から挿通孔を介して駆動部側へ侵入しようとするプロセスガスを、流路に押し戻すことが可能となっている。
【0007】
上記した磁性流体シール部は磁性流体が磁力により保持されることでなる。よって、磁性流体シール部に、磁力により保持する力を超えた圧力が負荷されると、磁性流体シール部が破壊されるおそれがある。
【0008】
磁性流体シール部に過大な圧力が負荷される場合としては、以下のような場合が考えられる。例えば、真空ポンプが動作していない状態、つまりバタフライバルブの流路が負圧となっていない状態で、パージガスをバタフライバルブに供給すると、パージガスが流路に蓄積し、バタフライバルブ内の圧力が上昇してしまう。また、真空ポンプが動作している状態、つまりバタフライバルブの流路が負圧となっている状態で、パージガスが供給されていない状態が長時間続くと、流路内の圧力が低下し、バタフライバルブ内が高真空状態となる。このように、バタフライバルブ内において圧力が上昇することや負圧状態となることは、磁性流体シール部に過大な圧力が負荷され、磁性流体シール部が破壊されるおそれがある。よって、磁性流体シール部の保護のために、パージガスの供給の開始または停止の管理を行う必要がある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、磁性流体シール部に過大な圧力が負荷されることを防止することで、磁性流体シールの破壊を防止することが可能なバタフライバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のバタフライバルブは、次のような構成を有している。
【0011】
モータと、制御流体が流れる流路と、一端が前記モータに結合されるとともに他端が前記流路に挿し込まれるロッドと、前記流路内で前記ロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブにおいて、前記モータと前記流路との間に磁性流体シール部を備えること、前記磁性流体シール部は、前記流路から、前記流路の前記ロッドが挿し込まれている挿込部を通じて、前記モータへ前記制御流体が漏れることを防ぐこと、前記流路から、前記挿込部を通じて、前記磁性流体シール部へ前記制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、前記バタフライバルブに供給するためのパージガス流路を備えること、前記パージガス流路には、上流側から、前記パージガス流路の開閉を行う開閉弁と、前記パージガス流路の圧力値を測定する圧力計と、が設けられていること、前記パージガス流路は、前記圧力計の下流側で、前記バタフライバルブの前記磁性流体シール部と前記流路の間に接続されるとともに、前記挿込部を通じて前記流路に連通していること、少なくとも前記開閉弁を制御する制御装置を備えること、前記制御装置は、前記圧力値の監視を行う監視プログラムを備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバタフライバルブは、制御装置を備えており、該制御装置は、少なくともパージガス流路の開閉を行う開閉弁を制御するものであるとともに、パージガス流路の圧力値を測定し、監視プログラムにより該圧力値の監視を行うものである。パージガス流路は、圧力計の下流側で、バタフライバルブの磁性流体シール部と流路の間に接続されているため、パージガス流路の圧力値の測定および監視を行うことは、磁性流体シール部に負荷される圧力の測定および監視を行うことに同じである。
【0013】
制御装置が、パージガス流路の圧力値の測定および監視を行いながら(つまり、磁性流体シール部に負荷される圧力の測定および監視を行いながら)、開閉弁を制御することで、パージガスの供給の開始または停止の管理を行うことができる。これにより、磁性流体シール部に過大な圧力が負荷されることを防止することができ、磁性流体シール部の破壊を防止することが可能である。
また、パージガス流路は、ロッドが挿し込まれる挿込部により流路に連通しているため、パージガス流路の圧力値の測定および監視を行うことで、流路の異常状態を検知することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るバタフライバルブを用いた真空圧力制御システムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るバタフライバルブの、回転軸の軸線に平行かつ流路に平行な方向に切断した断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るバタフライバルブの、回転軸の軸線に平行かつ流路に直交する方向に切断した断面図である。
【
図6】監視プログラムの動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のバタフライバルブの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るバタフライバルブ1を用いた真空圧力制御システムの概略図である。
【0016】
本実施形態のバタフライバルブ1は、半導体製造工程に用いられるものである。例えば、
図1に示すように、ウエハへの成膜を行う真空チャンバ32と、真空チャンバ32の排気を行うための真空ポンプ33と、を接続する配管34上に配設され、プロセスガス供給源37からプロセスガス(制御流体の一例)が供給されている真空チャンバ32の圧力を制御する真空圧力制御装置として使用される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係るバタフライバルブ1の、回転軸11aの軸線RAに平行かつ流路30に平行な方向に切断した断面図である。また、
図3は、本発明の実施形態に係るバタフライバルブ1の、回転軸11aの軸線RAに平行かつ流路30に直交する方向に切断した断面図である。なお、
図2、
図3ともに閉弁状態を表している。また、
図4は、
図3のX2部分の部分拡大図である。
図5は、
図2のX1部分の部分拡大図である。
【0018】
図2および
図3に示すように、バタフライバルブ1は、駆動部2と弁部3とからなる。駆動部2は、耐久性に優れたダイレクトドライブモータ(モータの一例。以下DDモータ)11を有している。DDモータ11は減速機等の中間機構を要さないため、駆動部2の小型化、騒音の低減の他、応答性能、速度安定性能、位置決め精度が向上される。よって、バタフライバルブ1による真空圧力制御の精度が高まる。また、DDモータ11は、
図2および
図3に示すように、回転軸11aを有しており、回転軸11aの回転中心を軸線RAとする。
【0019】
回転軸11aには、
図2および
図3に示すように、金属板ばね式のカップリング17を介してロッド10の一端(
図2,3において上端)が接続されている。カップリング17により、ロッド10が、後述する流路30を流れるプロセスガス(例えば、摂氏200度程度のガス)によって熱せられても、その熱がDDモータ11に伝わりにくくなっている。
【0020】
また、駆動部2は、ハウジング16と、断熱部材7と、ヒートシンク15とDDモータ11とが積みあがるようにして結合されることで、構成されている。駆動部2は、DDモータ11と弁部3との間に、ヒートシンク15と断熱部材7を有するため、弁部3が、プロセスガスや、後述するヒータ27A,27Bにより熱せられたても、その熱がDDモータ11に伝わりにくくなっている。
【0021】
ハウジング16は中空円筒状に形成されており、内部にロッド10が挿通されている。また、ロッド10と同軸に、ロッド10の外周面を覆う円筒状の磁性部材18が配置されている。磁性部材18の内径は、ロッド10の外径よりも大きくされており、磁性部材18の内周面181とロッド10の外周面101との間には、空隙16eが設けられている。空隙16eには、磁性部材18の磁力に保持された磁性流体が、軸線RAに沿って複数の膜191を形成しており、この複数の膜191によって、磁性流体シール部19が形成されている。
【0022】
ハウジング16と弁部3との間には、Oリング31が配設されており、Oリング31によって、後述する流路30およびバッファ容積51の気密を保っている。
【0023】
磁性流体シール部19のDDモータ11側には、ロッド10の軸方向に隣接して並ぶ2つのボールベアリング21A,21Bが配設されており、このボールベアリング21A,21Bは、ロッド10を回転可能に軸支している。ボールベアリング21A,21Bは、軸受け押さえ24と、磁性部材18とによって、
図2および
図3において上下方向から挟まれることで固定されている。
【0024】
また、ハウジング16は、弁部3側の端部16cに、ロッド10の外径よりも大きい内径を有する貫通孔16bを有しており、ハウジング16に挿通されたロッド10は、貫通孔16bを通り、弁部3へ挿入される。
【0025】
駆動部2と連結している弁部3は、バルブボディ8と、バタフライ弁体9とを有している。バルブボディ8は、耐腐食性や耐熱性を有するステンレス鋼からなる。
【0026】
バルブボディ8は、
図2中の左端部に継手5を、
図2中の右端部に継手6を備えており、継手5の内壁には入力側流路8bが形成され、継手6の内壁には出力側流路8cが形成されている。そして、入力側流路8bと出力側流路8cとの間には、
図3において断面円弧状の内壁からなる弁孔8aが形成されている。入力側流路8bと弁孔8aと出力側流路8cは、
図2に示すように、同軸上に設けられるとともに連通し、一連の流路30を構成する。そして、例えば半導体製造工程においては、継手5は真空チャンバ32(
図1参照)に、継手6は真空ポンプ33(
図1参照)に、それぞれ配管34(
図1参照)を介して接続され、流路30によって真空チャンバ32の排気を行う。
【0027】
また、バルブボディ8は、
図3に示すように、バルブボディ8の温度を計測する温度センサとしての熱電対28を備えている。さらに、バルブボディ8は、流路30を流れる流体の温度を保つため、弁孔8aをその直径方向から挟むように、一対のヒータ27A,27Bを備えている。ヒータ27A,27Bは、カートリッジヒータであり、バタフライバルブ1の外部の制御装置(図示せず)と接続されている。そして、ヒータ27A,27Bは、制御装置によって熱電対28の計測値に基づいたONまたはOFFの制御がされ、バルブボディ8の温度を調整する。また、バルブボディ8は、サーモスタット29を備えている。サーモスタット29は、ヒータ27A,27Bが暴走して、バルブボディ8が過剰に加熱された場合に作動する。サーモスタット29が作動すると、制御装置は、ヒータ27A,27Bを停止させる。
【0028】
さらに、バルブボディ8は、
図2および
図3に示すように、駆動部2に結合される端面(以下、上端面8e)から弁孔8aまでを貫通する挿通孔8d(挿込部の一例)を有している。この挿通孔8dは、ハウジング16の貫通孔16bと同軸上に位置するとともに、相互に連通している。つまり、磁性流体シール部19が形成されている空隙16eと流路30とは、貫通孔16bと挿通孔8dとにより連通された状態となっている。なお、
図1において、磁性流体シール部19が、貫通孔16bと挿通孔8dとにより、流路30と接続して表されているのは、貫通孔16bと挿通孔8dとにより磁性流体シール部19が形成されている空隙16eと流路30とが連通された状態を模式的に表しているものである。
【0029】
磁性流体シール部19が形成されている空隙16eと流路30とが連通されているため、真空チャンバ32から排気されるプロセスガスが流路30を流れると、該プロセスガスは、挿通孔8dから駆動部2へ侵入しようとする。しかし、ハウジング16の空隙16eには、磁性流体シール部19が形成されているため、プロセスガスは、磁性流体シール部19に阻まれて、DDモータ11には到達することができない。これにより、プロセスガスがバタフライバルブ1の外部へ流出し、外気が汚染されることや、バタフライバルブ1の寿命の低下、ひいては半導体製造効率の低下を防止することができる。また、磁性流体シール部19はロッド10が数千万回の回転を行ったとしてもシール性が劣化しにくく、回転回数の増大に対する耐久性が非常に高い。
【0030】
また、貫通孔16bと挿通孔8dとが連通していることで、貫通孔16bに挿通されるロッド10を、さらに挿通孔8dに挿通することができる。そして、挿通孔8dに挿通されたロッド10は、弁孔8aに、流路30に対して直交する方向に架設されている。また、挿通孔8dは、ブッシュ20を備えており、ブッシュ20の内周面20aが挿通孔8dの内周面の一部を形成している。ブッシュ20は耐腐食性が高く、摺動性の良い樹脂からなっているため、ロッド10のスムーズな回転が確保されている。
【0031】
挿通孔8dの上端部(上端面8eに開口する部位)は、ブッシュ20を備える部分に比べて拡径されており、
図4に示すように、ロッド10の外周面との間に第1空間511が形成されている。さらに、ハウジング16の貫通孔16bの内周面とロッド10の外周面との間に第2空間512が形成されており、第1空間511と第2空間512とによりバッファ容積51が形成されている。バッファ容積51が設けられていることで、例えば流路30において急激な圧力低下が発生したとしても、駆動部2内から流路30へ吸い出される気体の量が、バッファ容積51が設けられていない場合に比べて増加する。これにより、磁性流体シール部19に加わる圧力衝撃が緩和され、磁性流体シール部19の破壊を防止することができる。
【0032】
ロッド10は、非磁性の耐腐食性合金であるステンレス鋼(例えばSUS316L)を削り出して、円柱状に形成されたものである。ロッド10の挿通孔8dに挿通されている部分の外周面には、
図5に示すように、ロッド10の軸方向に並ぶ複数の凹部10a~10eが設けられており、挿通孔8dの内周面(ブッシュ20の内周面20a)と複数の凹部10a~10eとによりラビリンスシール50が形成されている。ラビリンスシール50は、流路30に急激な圧力低下が発生したとしても駆動部2内から流路30へ吸い出される気体の量を絞るため、駆動部2内の圧力の急激な低下を防止することができる。これにより、磁性流体シール部19に加わる圧力衝撃が緩和され、磁性流体シール部19の破壊を防止することができる。
【0033】
また、ロッド10は、
図2および
図3に示すように、流路30に挿通されている側の一端(
図2,3において下端)が、ブッシュ22によって回転可能に軸支されている。ブッシュ22は耐腐食性が高く、摺動性の良い樹脂からなる。上記した通り、ロッド10は、ボールベアリング21A,21Bによっても軸支されているため、ロッド10は、ボールベアリング21A,21Bとブッシュ22とによって、両持ち状態に軸支されていることになる。ロッド10は、両持ち状態に軸支されることで、回転中心軸が安定し、ぶれにくくなっている。
【0034】
ロッド10の流路30に挿入されている部分は、弁体取付部10fを備えており、この弁体取付部10fにバタフライ弁体9が結合されている。バタフライ弁体9は、例えば、耐腐食性や耐熱性を有するステンレス鋼を削り出して円板状に形成したものである。外径は、弁孔8aの内径とほぼ同一であり、バタフライ弁体9の外周と、弁孔8aの内壁との隙間は極小となっている。
【0035】
バタフライ弁体9は、
図2に示すように、例えば、ねじ25A,25B,25Cおよび座金26A,26B,26Cによりロッド10に結合されている。なお、ねじ25A,25B,25Cは3つとも全て同一種類のねじであり、座金26A,26B,26Cも3つとも全て同一種類の座金である。
【0036】
バタフライ弁体9がロッド10に結合されているため、DDモータ11の回転軸11aが軸線RAを中心に回転するに伴い、回転軸11aとカップリング17を介して接続されたロッド10が回転され、バタフライ弁体9も回転される。例えば、
図2および3に示すバタフライバルブ1は、バタフライ弁体9が弁孔8aを塞ぐ全閉位置にある状態である。この状態から、DDモータ11の回転軸11aが軸線RAを中心に正方向Kに90度回転すると、ロッド10がK方向に回転し、バタフライ弁体9も同方向に90度回転される。これにより、バタフライ弁体9は全開位置となる。バタフライ弁体9が全開位置となると、流路30が開放され、真空ポンプ33によって真空チャンバ32から大量のプロセスガスを排気することが可能となる。
【0037】
一方、バタフライ弁体9が全開位置となった状態で、DDモータ11の回転軸11aが軸線RAを中心に、開弁時とは逆方向である負方向-Kに90度回転すると、ロッド10が-K方向に回転し、これに伴いバタフライ弁体9が全閉位置となる。なお、バタフライ弁体9が全閉位置となったとき、バタフライ弁体9の外周面と弁孔8aの内壁との間には、極小の隙間が設けられているため、流路30は完全にシールされている状態ではない。つまり、バタフライ弁体9は絞りの役割を果たしている。したがって、バタフライ弁体9が全閉位置にあっても、真空チャンバ32は、排気が完全に停止されることなく、絶えず排気されている状態にある。これは、ALDでは真空チャンバ32の圧力が制御できていれば良く、完全に流路30をシールする必要がないためである。
【0038】
次に、磁性流体シール部19の保護について、耐腐食性および耐圧性の観点から説明する。
【0039】
まずは耐腐食性の観点からの磁性流体シール部19の保護について説明する。磁性流体シール部19を構成する磁性流体は耐腐食性が低いため、プロセスガスが接触すると腐食するおそれがある。そこで、バタフライバルブ1には、磁性流体シール部19までプロセスガスが到達することを防ぐためのパージガス(例えば窒素ガス)が供給されている。該パージガスは、
図1に示すように、パージガス供給源61から延伸するパージガス流路60が、磁性流体シール部19と流路30との間に接続されることで、バタフライバルブ1に供給される。流量は例えば500cc~1000cc/分であり、圧力値は絶対圧で数KPa程度とされる。
【0040】
パージガス流路60は、配管65と、バタフライバルブ1の弁部3の内部に構成される内部流路44(
図4参照)と、により構成される。配管65には、パージガス供給源61を上流として、上流側から順に、開閉弁62と、流量コントローラ63と、圧力計64とを備えている。開閉弁62は、弁閉状態にあっては、バタフライバルブ1へのパージガスの供給を遮断する。一方で、開状態にあっては、バタフライバルブ1へパージガスを供給することが可能である。流量コントローラ63は、制御装置70から出力される流量指令値F11に基づき、バタフライバルブ1に供給するパージガスの流量を制御することが可能である。圧力計64は、例えば歪ゲージ式の圧力センサであり、パージガス流路60の圧力値を測定するものである。開閉弁62および圧力計64、流量コントローラ63は、制御装置70と接続されている。
【0041】
制御装置70は、CPU701と、記憶手段702と、通信手段703と、を内蔵している。記憶手段702は、圧力計64が測定するパージガス流路60の圧力値の監視を行う監視プログラムを記憶している。また、圧力計64が測定した測定値や、流量コントローラ63が測定した流量値を記憶することも可能である。開閉弁62および圧力計64、流量コントローラ63は、通信手段703により、無線または有線で制御装置70と接続されている。
【0042】
CPU701は、記憶手段702および通信手段703と電気的に接続されており、記憶手段702に記憶された監視プログラムに従って、開閉弁62の開弁または閉弁動作や、圧力計64による圧力値の測定や、測定した圧力値の記憶手段702への記憶や、流量コントローラ63の制御および流量値の測定や、測定した流量値の記憶手段702への記憶や、通信手段703を介して外部の装置に後述するアラームの通知を行う。なお、圧力計64による圧力値の測定は、所定の単位時間毎(例えば、数msec毎)に圧力値のサンプリングをすることで行う。また、アラームの通知については、制御装置70が表示装置を備えることで、該表示装置にアラーム表示を行うこととしても良い。
【0043】
配管65は、圧力計64の下流側で弁部3に接続されている。より具体的には、バルブボディ8には、
図3に示すように、パージガスを供給するための入力ポート41が、パージガス管42を介して接続されており、該入力ポート41に配管65が接続される。これにより、配管65は、内部流路44と接続される。
【0044】
内部流路44は、
図4に示すように、パージガス管42の内部に構成される流路42aと、連通孔8gと、後述する熱交換器43を挿入するための挿入孔8f(空間81)と、熱交換器43の中空部43aと、連通孔8h,8iとにより、構成される。
【0045】
パージガス管42は、入力ポート41からバルブボディ8に向かって延伸している。これにより、入力ポート41に供給されたパージガスは、パージガス管42の流路42aを通り、バルブボディ8の内部へ流れていく。
【0046】
挿入孔8fは、バルブボディ8の上端面8eからヒータ27A付近まで、軸線RAに対して角度を持って穿設されている。この挿入孔8fは、連通孔8gにより、パージガス管42の流路42aに連通されるとともに、連通孔8h,8iにより、バルブボディ8の挿通孔8dにも連通している。
【0047】
挿入孔8fには、挿入孔8fの内径よりもやや小さい外径を有するとともに、内部に中空部43aを有する円筒状の熱交換器43が挿入されている。熱交換器43が挿入孔8fの内径よりもやや小さい外径を有するため、熱交換器43の外周面と挿入孔8fとの間に空間81が形成される。そして、熱交換器43の、バルブボディ8の上端面8e側の端部にはOリング45が取り付けられており、挿入孔8fにより圧縮されるOリング45が、空間81を密閉している。そして、内部流路44は、バルブボディ8の挿通孔8dにより、流路30に連通している。
【0048】
以上のようなパージガス流路60には、以下のようにしてパージガスが流れる。パージガス供給源61から供給され、配管65を通るパージガスは、入力ポート41からパージガス管42の流路42aに導入される。その後、パージガスは、連通孔8gを通り、挿入孔8fに達する。このとき、Oリング45はパージガスがバルブボディ8の上端面8e側へ流れることを防ぐ。このため、パージガスは、挿入孔8f(空間81)を、ヒータ27A側の最下端へ向かって流れていく。そして、挿入孔8f(空間81)の最下端に達したパージガスは、熱交換器43の中空部43aを通り、バルブボディ8の上端面8e側へ向かって流れていく。熱交換器43は、ヒータ27Aにより、摂氏200度程度まで熱せられているため、パージガスは、挿入孔8f(空間81)と中空部43aとを通る際に加熱される。そして、中空部43aを通り、バルブボディ8の上端面8eに達したパージガスは、さらに連通孔8h,8iを通り、挿通孔8dまで流れる。挿通孔8dの上方は、磁性流体シール部19が形成されているため、パージガスがDDモータ11側へ流入することはなく、挿通孔8dに達したパージガスは、流路30へ出力される。
【0049】
パージガスが、挿通孔8dを通って流路30に出力されているため、流路30から挿通孔8dを通って、バタフライバルブ1の外部へ流出しようとするプロセスガスは流路30に押し戻される。よって、プロセスガスが、磁性流体シール部19に到達することを防止することができ、磁性流体がプロセスガスと接触することによって腐食することを防止することができる。
【0050】
なお、プロセスガスは、常温では固体または液体であるため、例えば摂氏200度程度まで熱せられて用いられる。このため、パージガスの温度が低いと、パージガスとプロセスガスが接触した際に、プロセスガスが固形化または液化し、流路30や配管34に固形化したプロセスガス等の生成物が堆積するおそれがある。しかし、本実施形態においては、パージガスが内部流路44を流れる際に、熱交換器43により、例えば摂氏160度程度まで熱せられているため、パージガスがプロセスガスに接触しても、プロセスガスを固形化または液化させるおそれがない。
【0051】
次に、磁性流体シール部19の保護について、耐圧性の観点から説明する。磁性流体シール部19を形成する磁性流体は、磁性部材18の磁力により保持されている。したがって、この磁力により保持する力を超える圧力が磁性流体シール部19に負荷されると、磁性部材18が磁性流体を保持しきれなくなり、磁性流体シール部19が破壊されるおそれがある。
【0052】
磁性流体シール部19に過大な圧力が負荷される場合としては、以下のような場合が考えられる。例えば、真空ポンプ33が動作していない状態、つまり流路30が負圧となっていない状態で、パージガスをバタフライバルブ1に供給すると、パージガスが流路30に蓄積する。パージガスが流路30に蓄積すると、挿通孔8dを通じて、バッファ容積51内の圧力が上昇する。バッファ容積51内の圧力が上昇すると、磁性流体シール部19は、過剰な圧力が負荷されて、破壊されるおそれがある。
【0053】
一方で、真空ポンプ33が動作している状態、つまり流路30が負圧となっている状態で、パージガスが供給されていない状態が長時間続くと、流路30の圧力が更に低下し、高真空状態となる。流路30が高真空状態となると、駆動部2内の気体が流路30へ吸引され、駆動部2内も高真空状態となる。そうすると、磁性流体シール部19を構成する磁性流体の基油が揮発し、磁性流体シール部19が破壊されるおそれがある。したがって、磁性流体シール部19の保護のため、パージガス流路60の圧力値を見ながら、パージガスの供給の開始または停止の管理を行う必要がある。
【0054】
また、真空チャンバ32の急激な圧力変動により、バタフライバルブ1に過大な圧力衝撃が加わると、磁性部材18の保持力が、圧力衝撃に耐えることができず、磁性流体シール部19が破壊されるおそれがある。
【0055】
例えば、作業者が真空ポンプ33の操作を誤るなどし、真空チャンバ32の圧力が急激に低下した場合、流路30に急激な圧力低下が発生する。駆動部2には、入力ポート41からパージガスが供給されているが、流路30に急激な圧力低下が生じると、パージガスの供給量が追い付かず、駆動部2内の気体が流路30へ急激に吸い出され、駆動部2内の圧力が急激に低下する。駆動部2内の圧力が急激に低下すると、磁性流体シール部19に過大な圧力衝撃が加わり、磁性流体シール部19が破壊され、機能しなくなるおそれがある。
【0056】
また例えば、作業者が真空ポンプ33の操作を誤るなどし、真空チャンバ32の圧力が急激に上昇した場合、流路30内の圧力が急激に上昇する。流路30内の圧力が急激に上昇すると、流路30からバッファ容積51内にプロセスガスが急激に流入し、バッファ容積51内の圧力が急激に上昇する。そうすると、磁性流体シール部19に過大な圧力衝撃が加わり、磁性流体シール部19が破壊され、機能しなくなるおそれがある。
【0057】
さらにまた、磁性流体シール部19の耐圧値以上の圧力が負荷された場合も、磁性流体シール部19の破壊、ひいては、バタフライバルブ1自体が破壊されるおそれがある。よって、磁性流体シール部19の保護のために、流路30の圧力値に異常が生じていないかどうか(つまり、圧力衝撃や耐圧値以上の圧力が生じていないかどうか)を監視する必要がある。
【0058】
そこで、本実施形態に係るバタフライバルブ1は、上記した監視プログラムによって、パージガスの供給の開始または停止の管理および流路30の圧力値に異常が生じていないかどうかの監視を行うこととしている。以下に、
図6を用いて監視プログラムの動作について説明する。
図6は、監視プログラムの動作フローを示すフローチャートである。
【0059】
まず、圧力計64によりパージガス流路60の圧力値Pの計測を行う(S11)。パージガス流路60はバタフライバルブ1の磁性流体シール部19と流路30の間に接続されているため、パージガス流路60の圧力値の測定および監視を行うことは、磁性流体シール部19に負荷される圧力の測定および監視を行うことに同じである。また、パージガス流路60は挿通孔8dにより流路30に連通しているため、パージガス流路60の圧力値の測定および監視を行うことで、流路30の異常状態を検知することも可能である。
【0060】
次に、計測した圧力値Pが、第1閾値Aよりも小さいか否かの判断を行う(S12)。この第1閾値Aは例えば、大気圧である。圧力値Pが大気圧よりも小さいか否かの判断を行うことで、真空ポンプ33が動作しているか否か(つまり流路30が負圧となっているか否か)を監視している。
【0061】
真空ポンプ33が動作していなければ、流路30およびパージガス流路60の圧力値は大気圧と同等となる。この状態でパージガスを供給すれば、上記の通り、バッファ容積51内において、パージガスが蓄積して圧力が上昇し、磁性流体シールが破壊されるおそれがある。したがって、圧力値Pが第1閾値A(大気圧)以上と判断されると(S12:NO)、開閉弁62は弁閉状態とされる(S21)。つまり、開閉弁62が弁閉状態であれば、その状態が維持され、パージガスはバタフライバルブ1に供給されない。一方で、開閉弁62が弁開状態であれば弁閉状態とされ、パージガスの供給が停止される。
【0062】
真空ポンプ33が動作していれば、流路30およびパージガス流路60が負圧となる。この状態で、パージガスが供給されていない状態が長時間続くと、上記の通り、磁性流体シール部19を構成する磁性流体の基油が揮発し、磁性流体シール部19が破壊されるおそれがある。したがって、圧力値Pが第1閾値A(大気圧)よりも小さいと判断されると(S12:YES)、開閉弁62は弁開状態とされる(S13)。つまり、開閉弁62が弁開状態であれば、その状態が維持され、パージガスはバタフライバルブ1に供給され続ける。一方で、開閉弁62が弁閉状態であれば弁開状態とされ、パージガスの供給が開始される。監視プログラムは、以上のように、磁性流体シール部19の保護のため、パージガスの供給の開始または停止の管理を行うことで、磁性流体シール部19の破壊を防止することが可能である。
【0063】
次に、監視プログラムは、パージガス流路60の圧力が制御装置70により安定状態とされた時(S14:YES)、その時のパージガス流路60の圧力値Pを、定常圧力値P0として記憶手段702に記憶させる(S22)。
【0064】
次に、監視プログラムは、磁性流体シール部19に圧力衝撃が加わっていないかどうかの判定を行う(S15)。具体的には、制御装置70は、圧力計64により、所定の単位時間毎(例えば、数msec毎)に圧力値を取得しているため、現在の圧力値P(n回目に取得した圧力値)と、前回取得した圧力値Pb(n-1回目に取得した圧力値)との差の絶対値を求める。パージガス流路60における瞬間的な圧力変動が大きければ大きいほど、圧力値Pと圧力値Pbとの差の絶対値が大きくなり、この絶対値の大きさが圧力衝撃の大きさに当たる。よって、この絶対値が所定の第2閾値B以上であるか否かにより圧力衝撃が生じているか否かの判定を行うこととしている。この第2閾値Bは、例えば、磁性流体シール部19の単位時間あたりの耐圧力衝撃の仕様値である。圧力値Pと圧力値Pbとの差の絶対値が第2閾値B以上であれば、流路30(パージガス流路60)の圧力値に異常が生じていると判定する。つまり、圧力衝撃が生じていると判定する(S15:YES)。この際、制御装置70は、通信手段703を介してアラーム通知を行う(S23)。一方で、圧力値Pと圧力値Pbとの差の絶対値が第2閾値Bよりも小さければ、流路30(パージガス流路60)の圧力値は正常である判定する。つまり、磁性流体シール部19に圧力衝撃が加わっていないと判定する(S15:NO)。
【0065】
次に、監視プログラムは、磁性流体シール部19に、磁性流体シール部19の耐圧値以上の圧力が負荷されていないかどうかの判定を行う(S16)。具体的には、制御装置70が、所定の単位時間毎(例えば、数msec毎)に測定される圧力値Pが耐圧値C以上か否かを監視し、圧力値Pが耐圧値C以上であれば、流路30(パージガス流路60)の圧力値が異常であると判定する(S16:YES)。この際、制御装置70は、通信手段703を介してアラーム通知を行う(S24)。一方で、圧力値Pが耐圧値Cよりも小さければ、流路30(パージガス流路60)の圧力値は正常である判定する(S16:NO)。監視プログラムは、以上のように、流路30(パージガス流路60)の圧力値に異常が生じていないかどうか(つまり、圧力衝撃や耐圧値以上の圧力が生じていないかどうか)、監視を行うことが可能である。
【0066】
次に、監視プログラムは、パージガス流路60におけるパージガスの流量に異常が生じていないか判定を行う(S17)。具体的には、流量コントローラ63により、常時パージガス流路60におけるパージガスの流量値(制御流量値F21)を監視しながら、該制御流量値F21と、制御装置から出力される流量指令値F11とを比較し、制御流量値F21が流量指令値F11と異なる値となっているか否かにより判定を行う。制御流量値F21が流量指令値F11と異なる値であれば、パージガスの流量に異常が生じていると判定する(S17:YES)。この際、制御装置70は、通信手段703を介してアラーム通知を行う(S25)。一方で、制御流量値F21が流量指令値F11と同じ値であれば、パージガスの流量は正常であると判定する(S17:NO)。なお、制御流量値F21が流量指令値F11と異なる値であるか否かは、誤差を考慮して判定が行われる。例えば、制御流量値F21が、流量指令値F11に対して、流量コントローラ63の仕様精度相当の誤差が認められる場合には、制御流量値F21が、流量指令値F11と同一の値でなくても、当該誤差の範囲に入っていれば、制御流量値F21が流量指令値F11と同じ値であり、パージガスの流量は正常であると判定される。なお、上記した誤差は一例であり、流路30を流れるプロセスガスの流量等により、パージガスの流量の誤差も変動する。制御流量値F21が流量指令値F11と異なる値となってしまうと、パージガス流路60内の圧力を定常圧力値P0に維持することができなくなる。そこで、上記の通り、パージガス流路60におけるパージガスの流量値に異常が生じていないか判定を行うことで、パージガス流路60内の圧力を定常圧力値P0に維持できるよう監視を行っているのである。
【0067】
次に、監視プログラムは、流路30およびパージガス流路60において、圧力値が不安定となっていないかどうかの判定を行う(S18)。真空チャンバ32、真空ポンプ33、その他の機器の異常により、流路30の圧力値が不安定となることが想定される。圧力値が不安定であることは、磁性流体シール部19に直接の悪影響を与えるものでない場合もあるが、真空チャンバ32における成膜プロセスに問題が生じる場合があるため、監視プログラムによって監視するものとしている。
【0068】
具体的には、制御装置70が、所定の単位時間毎(例えば、数msec毎)に測定される圧力値Pと記憶手段702に記憶された定常圧力値P0(
図6中のS22参照)との差の絶対値を求め、その絶対値が所定の第3閾値D以上であるか否かにより判定を行う。この第3閾値Dは、例えば、半導体製造プロセス内の使用圧力の変動幅である。圧力値Pと定常圧力値P0との差の絶対値が第3閾値D以上であれば、流路30(パージガス流路60)の圧力値が不安定であると判定する(S18:YES)。この際、制御装置70は、通信手段703を介してアラーム通知を行う(S26)。一方で、圧力値Pと定常圧力値P0との差の絶対値が第3閾値Dよりも小さければ、流路30(パージガス流路60)の圧力値は正常である判定する(S18:NO)。
【0069】
次に、監視プログラムは、アラームの有無を確認する(S19)。
図6中のS23、S24、S25、S26でなされるアラーム通知の内、いずれか一つでもアラーム通知が行われている場合には(S19:YES)、バタフライバルブ1のバタフライ弁体9を全閉位置に位置させる(S20)。これにより、配管34を流れるプロセスガスを遮断し、安全を図る。その後、監視プログラムは終了する。一方で、アラーム通知がなされていない場合には(S19:NO)、
図6中S11に戻り、フローチャートに沿って、流路30(パージガス流路60)の圧力値の監視を継続する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態のバタフライバルブ1によれば、
(1)モータ(例えばDDモータ11)と、制御流体(例えばプロセスガス)が流れる流路30と、一端がモータ(DDモータ11)に結合されるとともに他端が流路30に挿し込まれるロッド10と、流路30内でロッド10に結合されたバタフライ弁体9と、を備えるバタフライバルブ1において、モータ(DDモータ11)と流路30との間に磁性流体シール部19を備えること、磁性流体シール部19は、流路30から、流路30のロッド10が挿し込まれている挿込部(例えば挿通孔8d)を通じて、モータ(DDモータ11)に制御流体(プロセスガス)が漏れることを防ぐこと、流路30から挿込部(挿通孔8d)を通じて、磁性流体シール部19へ制御流体(プロセスガス)が流入することを防ぐためのパージガスを、バタフライバルブ1に供給するためのパージガス流路60を備えること、パージガス流路60には、上流側から、パージガス流路60の開閉を行う開閉弁62と、パージガス流路60の圧力値を測定する圧力計64と、が設けられていること、パージガス流路60は、圧力計64の下流側で、バタフライバルブ1の磁性流体シール部19と流路30の間に接続されるとともに、挿込部(挿通孔8d)を通じて流路30に連通していること、少なくとも開閉弁62を制御する制御装置70を備えること、制御装置70は、圧力値Pの監視を行う監視プログラムを備えること、を特徴とする。
【0071】
(1)に記載のバタフライバルブ1は、制御装置70を備えており、該制御装置70は、少なくともパージガス流路60の開閉を行う開閉弁62を制御するものであるとともに、パージガス流路60の圧力値を測定し、監視プログラムにより該圧力値の監視を行うものである。パージガス流路60は、圧力計64の下流側で、バタフライバルブ1の磁性流体シール部19と流路30の間に接続されているため、パージガス流路60の圧力値の測定および監視を行うことは、磁性流体シール部19に負荷される圧力の測定および監視を行うことに同じである。
【0072】
制御装置70が、パージガス流路60の圧力値の測定および監視を行いながら(つまり、磁性流体シール部19に負荷される圧力の測定および監視を行いながら)、開閉弁62を制御することで、パージガスの供給の開始または停止の管理を行うことができる。これにより、磁性流体シール部19に過大な圧力が負荷されることを防止することができ、磁性流体シール部19の破壊を防止することが可能である。
また、パージガス流路60は、ロッド10が挿し込まれる挿込部(挿通孔8d)により流路30に連通しているため、パージガス流路60の圧力値の測定および監視を行うことで、流路30の異常状態を検知することも可能である。
【0073】
(2)(1)に記載のバタフライバルブ1において、監視プログラム(例えば
図6中のS11~S26)は、圧力値Pが所定の第1閾値A(例えば大気圧)よりも小さい値であるときに、開閉弁62を開弁することの指令を出力すること、を特徴とする。
【0074】
真空ポンプ33が動作していない状態、つまりバタフライバルブ1の流路30が負圧となっていない状態で、パージガスをバタフライバルブ1に供給すると、パージガスが流路30に蓄積し、バタフライバルブ1内の圧力が上昇してしまう。また、真空ポンプ33が動作している状態、つまりバタフライバルブ1の流路30が負圧となっている状態で、パージガスが供給されていない状態が長時間続くと、流路30内の圧力が低下し、バタフライバルブ1内が高真空状態となる。このように、バタフライバルブ1内の圧力が、上昇したり、負圧となることで、磁性流体シール部19に過剰な圧力が負荷され、磁性流体シール部19が破壊されるおそれがある。
【0075】
(2)に記載のバタフライバルブ1によれば、圧力値Pが所定の第1閾値A(例えば大気圧)よりも小さい値であれば、真空ポンプ33が動作している状態であると判断可能であり、圧力値Pが所定の第1閾値A(例えば大気圧)以上であれば、真空ポンプ33が動作していない状態と判断可能である。よって、圧力値Pが所定の第1閾値A(例えば大気圧)よりも小さい値であるか否かに基づき、開閉弁62の制御をし、パージガスの供給の開始または停止の管理を行うことが可能である。これにより、磁性流体シール部19に過大な圧力が負荷され、磁性流体シール部19が破壊されることを防止することができる。
【0076】
(3)(1)または(2)に記載のバタフライバルブ1において、監視プログラム(
図6中のS11~S26)は、所定の単位時間毎(例えば、数msec毎)に圧力値を取得し、n回目に取得した圧力値Pとn-1回目に取得した圧力値Pbとの差の絶対値が、所定の第2閾値B以上であるときに、圧力値Pに異常が生じていると判定すること、を特徴とする。
【0077】
例えば、作業者が真空ポンプ33の操作を誤るなどし、真空チャンバ32の圧力が急激に低下または上昇した場合には、バタフライバルブ1の流路30の圧力が急激に低下または上昇する。このような圧力衝撃によっても、バタフライバルブ1の挿通孔8dを介して、磁性流体シール部19に過大な圧力衝撃が加わり、磁性流体シール部19が破壊されるおそれがある。
【0078】
(3)に記載のバタフライバルブ1は、所定の単位時間毎(例えば、数msec毎)に圧力値を取得しており、n回目に取得した圧力値Pとn-1回目に取得した圧力値Pbとの差の絶対値を求める。瞬間的な圧力変動が大きければ大きいほど、圧力値Pと圧力値Pbとの差の絶対値が大きくなり、この絶対値の大きさが圧力衝撃の大きさに当たる。よって、この絶対値が所定の第2閾値B以上であるか否かにより圧力衝撃が生じているか否かの判定を行うこととしている。第2閾値Bは、例えば、磁性流体シール部19の単位時間あたりの耐圧力衝撃の仕様値である。圧力値Pと圧力値Pbとの差の絶対値が第2閾値B以上であれば、パージガス流路60の圧力値に異常が生じていると判定する。つまり、圧力衝撃が生じていると判定することが可能である。これに基づき、例えば、バタフライバルブ1の弁閉等を行うこととすれば、磁性流体シール部19に過大な圧力衝撃が加わり、磁性流体シール部19が破壊されるおそれを軽減することができる。
【0079】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のバタフライバルブ1において、監視プログラム(
図6中のS11~S26)は、圧力値Pが磁性流体シール部19の耐圧値C以上であるときに、圧力値Pに異常が生じていると判定すること、を特徴とする。
【0080】
例えば、作業者が真空ポンプ33の操作を誤るなどし、磁性流体シール部19の耐圧値以上の圧力が負荷された場合も、磁性流体シール部19の破壊、ひいては、バタフライバルブ自体が破壊されるおそれがある。パージガス流路60の圧力値Pが磁性流体シール部19の耐圧値C以上である場合には、磁性流体シール部19に耐圧値C以上の圧力が負荷されていると言える。
よって、(4)に記載のバタフライバルブ1によれば、磁性流体シール部19の耐圧値C以上であるか否かにより流路30の圧力値に異常が生じていないかを監視することができる。これに基づき、例えば、バタフライバルブ1の弁閉等を行うこととすれば、磁性流体シール部19に過大な圧力が負荷され、磁性流体シール部19が破壊されるおそれを軽減することができる。
【0081】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のバタフライバルブ1において、制御装置70は、パージガス流路60における圧力値Pが制御装置70により安定状態とされた時の圧力値Pを、定常圧力値P0として記憶する記憶手段702を備えること、監視プログラム(
図6中のS11~S26)は、圧力値Pと定常圧力値P0との差の絶対値が、所定の第3閾値D以上であるときに、圧力値Pに異常が生じていると判定すること、を特徴とする。
【0082】
真空チャンバ32、真空ポンプ33、その他の機器の異常により、バタフライバルブ1の流路30の圧力値が不安定となることが想定される。圧力値が不安定であることは、磁性流体シール部19に直接の悪影響を与えるものでない場合もあるが、真空チャンバ32における成膜プロセスに問題が生じる場合がある。
【0083】
そこで、(5)に記載のバタフライバルブ1のように、圧力値Pと定常圧力値P0との差の絶対値を求め、第3閾値D以上であるときに、圧力値Pに異常が生じていると判定するものとすれば、成膜プロセスに問題が生じることを防ぐことが可能である。ここで、第3閾値Dは、例えば、半導体製造プロセス内の使用圧力の変動幅である。なお、上記絶対値が一度だけ第3閾値D以上であったときに、すぐに圧力値Pに異常が生じていると判定するものとしても良いが、上記絶対値が所定の回数だけ第3閾値D以上であったときに、圧力値Pに異常が生じていると判定するものとしても良い。
【0084】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のバタフライバルブ1において、パージガス流路60には、開閉弁62と圧力計64との間に、制御装置70から出力される流量指令値F11に基づいてパージガスの流量を制御するとともに、パージガスの流量値(制御流量値F21)を検出する流量コントローラ63が設けられていること、監視プログラム(
図6中のS11~S26)は、流量指令値F11に対して、流量値(制御流量値F21)が異なる状態にある時に、流量値(制御流量値F21)に異常が生じていると判定すること、を特徴とする。
【0085】
パージガスの流量値(制御流量値F21)が流量指令値F11と異なる値となってしまうと、パージガス流路60内の圧力を定常圧力値P0に維持することができなくなる。そこで、パージガス流路60におけるパージガスの流量値に異常が生じていないか判定を行うことで、パージガス流路60内の圧力を定常圧力値P0に維持できるよう監視を行うことが可能である。
【0086】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、本実施形態においては、バタフライ弁体9が全閉位置にあっても、流路30を完全にシールするものとなっていないが、弁孔8aに弁座を設け、弁座にバタフライ弁体9を当接させることで、完全にシールできるものとしても良い。
【符号の説明】
【0087】
1 バタフライバルブ
2 駆動部
3 弁部
8d 挿通孔(挿込部の一例)
9 バタフライ弁体
10 ロッド
11 DDモータ(モータの一例)
18 磁性部材
19 磁性流体シール部
30 流路
32 真空チャンバ
33 真空ポンプ
34 配管
【手続補正書】
【提出日】2022-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
モータと、制御流体が流れる流路と、一端が前記モータに結合されるとともに他端が前記流路に挿し込まれるロッドと、前記流路内で前記ロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブにおいて、前記モータと前記流路との間に磁性流体シール部を備えること、前記磁性流体シール部は、前記流路から、前記流路の前記ロッドが挿し込まれている挿込部を通じて、前記モータへ前記制御流体が漏れることを防ぐこと、前記流路から前記挿込部を通じて、前記磁性流体シール部へ前記制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、前記バタフライバルブに供給するためのパージガス流路を備えること、前記パージガス流路には、上流側から、前記パージガス流路の開閉を行う開閉弁と、前記パージガス流路の圧力値を測定する圧力計と、が設けられていること、前記パージガス流路は、前記圧力計の下流側で、前記バタフライバルブの前記磁性流体シール部と前記流路の間に接続されるとともに、前記挿込部を通じて前記流路に連通しており、前記バタフライバルブに供給された前記パージガスは、前記挿込部を通じて、前記流路に出力されること、少なくとも前記開閉弁を制御する制御装置を備えること、前記制御装置は、前記圧力値の監視を行う監視プログラムを備えること、前記監視プログラムは、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるときに、前記開閉弁を開弁することの指令を出力し、前記パージガスを前記バタフライバルブに供給すること、を特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、制御流体が流れる流路と、一端が前記モータに結合されるとともに他端が前記流路に挿し込まれるロッドと、前記流路内で前記ロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブにおいて、
前記モータと前記流路との間に磁性流体シール部を備えること、
前記磁性流体シール部は、前記流路から、前記流路の前記ロッドが挿し込まれている挿込部を通じて、前記モータへ前記制御流体が漏れることを防ぐこと、
前記流路から前記挿込部を通じて、前記磁性流体シール部へ前記制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、前記バタフライバルブに供給するためのパージガス流路を備えること、
前記パージガス流路には、上流側から、前記パージガス流路の開閉を行う開閉弁と、前記パージガス流路の圧力値を測定する圧力計と、が設けられていること、
前記パージガス流路は、前記圧力計の下流側で、前記バタフライバルブの前記磁性流体シール部と前記流路の間に接続されるとともに、前記挿込部を通じて前記流路に連通しており、前記バタフライバルブに供給された前記パージガスは、前記挿込部を通じて、前記流路に出力されること、
少なくとも前記開閉弁を制御する制御装置を備えること、
前記制御装置は、前記圧力値の監視を行う監視プログラムを備えること、
前記監視プログラムは、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるときに、前記開閉弁を開弁することの指令を出力し、前記パージガスを前記バタフライバルブに供給すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、所定の単位時間毎に前記圧力値を取得し、n回目に取得した前記圧力値とn-1回目に取得した前記圧力値との差の絶対値が、所定の第2閾値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、
前記圧力値が 前記磁性流体シール部の耐圧値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記制御装置は、前記パージガス流路における前記圧力値が前記制御装置により安定状態とされた時の前記圧力値を、定常圧力値として記憶する記憶手段を備えること、
前記監視プログラムは、前記圧力値と前記定常圧力値との差の絶対値が、所定の第3閾値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記パージガス流路には、前記開閉弁と前記圧力計との間に、前記制御装置から出力される流量指令値に基づいて前記パージガスの流量を制御するとともに、前記パージガスの流量値を検出する流量コントローラが設けられていること、
前記監視プログラムは、前記流量指令値に対して、前記流量値が異なる状態にある時に、前記流量値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
モータと、制御流体が流れる流路と、一端が前記モータに結合されるとともに他端が前記流路に挿し込まれるロッドと、前記流路内で前記ロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブにおいて、前記モータと前記流路との間に磁性流体シール部を備えること、前記磁性流体シール部は、前記流路から、前記流路の前記ロッドが挿し込まれている挿込部を通じて、前記モータへ前記制御流体が漏れることを防ぐこと、前記流路から前記挿込部を通じて、前記磁性流体シール部へ前記制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、前記バタフライバルブに供給するためのパージガス流路を備えること、前記パージガス流路には、上流側から、前記パージガス流路の開閉を行う開閉弁と、前記パージガス流路の圧力値を測定する圧力計と、が設けられていること、前記パージガス流路は、前記圧力計の下流側で、前記バタフライバルブの前記磁性流体シール部と前記流路の間に接続されるとともに、前記挿込部を通じて前記流路に連通しており、前記バタフライバルブに供給された前記パージガスは、前記挿込部を通じて、前記流路に出力されること、少なくとも前記開閉弁を制御する制御装置を備えること、前記制御装置は、前記圧力値の監視を行う監視プログラムを備えること、前記監視プログラムは、前記流路が負圧であるか否かを、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるか否かにより監視し、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるときに、前記開閉弁を開弁することの指令を出力し、前記パージガスを前記バタフライバルブに供給すること、を特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、制御流体が流れる流路と、一端が前記モータに結合されるとともに他端が前記流路に挿し込まれるロッドと、前記流路内で前記ロッドに結合されたバタフライ弁体と、を備えるバタフライバルブにおいて、
前記モータと前記流路との間に磁性流体シール部を備えること、
前記磁性流体シール部は、前記流路から、前記流路の前記ロッドが挿し込まれている挿込部を通じて、前記モータへ前記制御流体が漏れることを防ぐこと、
前記流路から前記挿込部を通じて、前記磁性流体シール部へ前記制御流体が流入することを防ぐためのパージガスを、前記バタフライバルブに供給するためのパージガス流路を備えること、
前記パージガス流路には、上流側から、前記パージガス流路の開閉を行う開閉弁と、前記パージガス流路の圧力値を測定する圧力計と、が設けられていること、
前記パージガス流路は、前記圧力計の下流側で、前記バタフライバルブの前記磁性流体シール部と前記流路の間に接続されるとともに、前記挿込部を通じて前記流路に連通しており、前記バタフライバルブに供給された前記パージガスは、前記挿込部を通じて、前記流路に出力されること、
少なくとも前記開閉弁を制御する制御装置を備えること、
前記制御装置は、前記圧力値の監視を行う監視プログラムを備えること、
前記監視プログラムは、前記流路が負圧であるか否かを、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるか否かにより監視し、前記圧力値が所定の第1閾値よりも小さい値であるときに、前記開閉弁を開弁することの指令を出力し、前記パージガスを前記バタフライバルブに供給すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、所定の単位時間毎に前記圧力値を取得し、n回目に取得した前記圧力値とn-1回目に取得した前記圧力値との差の絶対値が、所定の第2閾値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバタフライバルブにおいて、
前記監視プログラムは、
前記圧力値が 前記磁性流体シール部の耐圧値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記制御装置は、前記パージガス流路における前記圧力値が前記制御装置により安定状態とされた時の前記圧力値を、定常圧力値として記憶する記憶手段を備えること、
前記監視プログラムは、前記圧力値と前記定常圧力値との差の絶対値が、所定の第3閾値以上であるときに、前記圧力値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載のバタフライバルブにおいて、
前記パージガス流路には、前記開閉弁と前記圧力計との間に、前記制御装置から出力される流量指令値に基づいて前記パージガスの流量を制御するとともに、前記パージガスの流量値を検出する流量コントローラが設けられていること、
前記監視プログラムは、前記流量指令値に対して、前記流量値が異なる状態にある時に、前記流量値に異常が生じていると判定すること、
を特徴とするバタフライバルブ。