(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160169
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】磁気継手、巻取装置及び分繊装置
(51)【国際特許分類】
B65H 54/44 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B65H54/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064751
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】504350832
【氏名又は名称】株式会社斎藤撚糸
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 憲資
(57)【要約】
【課題】磁気継手の着脱を容易に行うことを可能とする。
【解決手段】第一継手部と、第一継手部と一体的に回転する第一軸部と、第一軸部を回転可能に支持する第一支持部と、第二継手部と、第二継手部と一体的に回転する第二軸部と、第二軸部を回転可能に支持する第二支持部と、連結部と、を備え、連結部は、基端を第一支持部に対して固定可能であり、先端を第二支持部に対して固定可能であり、第一継手部は、第二継手部に対して、磁力により回転力を伝達することが可能であるため、磁気継手の着脱を容易に行うことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一継手部と、
前記第一継手部と一体的に回転する第一軸部と、
前記第一軸部を回転可能に支持する第一支持部と、
第二継手部と、
前記第二継手部と一体的に回転する第二軸部と、
前記第二軸部を回転可能に支持する第二支持部と、
連結部と、
を備える磁気継手であって、
前記連結部は、基端を前記第一支持部に対して固定可能であり、先端を前記第二支持部に対して固定可能であり、
前記第一継手部は、前記第二継手部に対して、磁力により回転力を伝達することが可能であることを特徴とする磁気継手。
【請求項2】
前記連結部は、中空の形状であり、
前記第一継手部及び前記第二継手部は、前記連結部に内包されることを特徴とする請求項1記載の磁気継手。
【請求項3】
前記連結部は、円筒形であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気継手。
【請求項4】
前記連結部は、外周及び内周の少なくとも一方に、ねじ部を有することを特徴とする請求項1~3記載の磁気継手。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の磁気継手と、
糸を巻装可能な巻回部と、
を備えることを特徴とする巻取装置。
【請求項6】
請求項5記載の巻取装置と、
親糸を巻装可能な親糸巻回部と、
を備えることを特徴とする分繊装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気継手、巻取装置及び分繊装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気継手が広く用いられている。このような従来技術として、特許文献1には、合成繊維等が巻かれるボビンを駆動する方法と装置が提案されている。特許文献1が開示する装置は、磁気的な継手を用いて、ボビンを駆動することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の磁気継手は、着脱に工具等を必要とするものであり、手間を要するものであった。
【0005】
本発明に係る磁気継手は、上記課題を解決するためになされたものであり、工具等を必要とせず、着脱を容易に行うことができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る磁気継手は、第一継手部と、第一継手部と一体的に回転する第一軸部と、第一軸部を回転可能に支持する第一支持部と、第二継手部と、第二継手部と一体的に回転する第二軸部と、第二軸部を回転可能に支持する第二支持部と、連結部と、を備える磁気継手であって、連結部は、基端を第一支持部に対して固定可能であり、先端を第二支持部に対して固定可能であり、第一継手部は、第二継手部に対して、磁力により回転力を伝達することが可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る磁気継手において、連結部は、中空の形状であり、第一継手部及び第二継手部は、連結部に内包されることが好ましい。
【0008】
本発明に係る磁気継手において、連結部は、円筒形であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る磁気継手において、連結部は、外周及び内周の少なくとも一方に、ねじ部を有することが好ましい。
【0010】
本発明に係る巻取装置は、本発明に係る磁気継手と、糸を巻装可能な巻回部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る分繊装置は、本発明に係る巻取装置と、親糸を巻装可能な親糸巻回部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る磁気継手は、第一継手部と、第一継手部と一体的に回転する第一軸部と、第一軸部を回転可能に支持する第一支持部と、第二継手部と、第二継手部と一体的に回転する第二軸部と、第二軸部を回転可能に支持する第二支持部と、連結部と、を備え、連結部は、基端を第一支持部に対して固定可能であり、先端を第二支持部に対して固定可能であり、第一継手部は、第二継手部に対して、磁力により回転力を伝達することが可能であるため、着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る巻取装置の一例を示す正面図である。
【
図2】
図1のA-A線による本例の巻取装置の概略断面図である。
【
図3】本例の巻取装置を分解した状態を示す概略断面図である。
【
図4】本例の巻取装置における磁気継手を取り外した状態を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る分繊装置の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。以下、
図1における図面上方向を上とし、
図1における図面下方向を下として説明する。
【0015】
図1~2に示すように、本例の巻取装置200は、磁気継手100を備える。
【0016】
図1~3に示すように、本例の磁気継手100は、第一継手部111、第一軸部113、第一支持部114、第二継手部121、第二軸部123、第二支持部124、及び連結部130を備える。
【0017】
第一継手部111は、略円筒形で上側が開口した形状となっている。第一継手部111は、内周面において、回転力伝達部112を有する。本例の磁気継手100において、回転力伝達部112は、第一継手部111の内周面に等間隔となるように配置された複数の磁石により構成される。
【0018】
略円筒形である第一継手部111は、中心に、第一軸部113を通すための孔を有する。第一継手部111の有する孔、及び、第一軸部113は、第一継手部111を第一軸部113に対して固定する構造を備えるため、第一継手部111及び第一軸部113は、一体的に回転する構成となっている。
【0019】
図2に示すように、本例の磁気継手100において、第一継手部111を第一軸部113に対して固定する構造は、第一継手部111の有する、回転軸方向に対して直交する方向へ延びた雌ねじと、第一軸部113の有する、回転軸方向に対して直交する方向へ延びた雌ねじに対して、雄ねじを通し、締め付けることにより、第一継手部111を第一軸部113に対して固定する構造となっている。
【0020】
本例の磁気継手100において、第一継手部111は、第一軸部113と分離しており、第一軸部113に対して固定される構成となっているが、本発明の磁気継手において、第一継手部及び第一軸部は、一体的に回転するものであれば、同一の部材により構成されるものであってもよい。
【0021】
第一軸部113は、基端において、モータ140の有する回転軸に対して固定され、先端において、第一継手部111の有する孔に嵌合する構成となっている。モータ140が作動すると、モータ140の有する回転軸に対して固定された第一軸部113は、モータ140の有する回転軸と連動して回転する。第一軸部113が回転すると、第一軸部113に対して固定された第一継手部111は、第一軸部113と連動して回転する。
【0022】
本例の磁気継手100において、第一軸部113は、モータ140の有する回転軸と分離しており、基端において、モータ140の有する回転軸に対して固定される構成となっているが、本発明の磁気継手において、第一軸部は、モータの有する回転軸により構成されるものであってもよい。
【0023】
第一支持部114は、モータ140の上部に対して固定される。第一支持部114は、上方へ略円筒形に突出した突出部を有する。第一支持部114の突出部は、側面において、螺旋状の溝により構成されるねじ部115を有する。
【0024】
略円筒形である第一支持部114の突出部は、中心に、第一軸部113を通すための孔を有する。第一支持部114の突出部が有する孔は、第一軸部113を回転可能に支持する構造(図示しない)を備えるため、第一軸部113及び第一支持部114は、一体的に回転しない構成となっている。
【0025】
本例の磁気継手100において、第一支持部114が第一軸部113を回転可能に支持する構造は、第一支持部114の有する転がり軸受により、第一軸部113を回転可能に支持する構造となっている。本発明の磁気継手において、第一支持部が第一軸部を回転可能に支持する構造は、本例の構成に限定されず、第一支持部の有するすべり軸受等により、第一軸部を回転可能に支持する構造であってもよい。
【0026】
本例の磁気継手100において、第一支持部114は、モータ140と分離しており、モータ140の上部に対して固定される構成となっているが、本発明の磁気継手において、第一支持部は、第一軸部を回転可能に支持するものであれば、モータの有する軸受により構成されるものであってもよい。
【0027】
第二継手部121は、略円筒形で下側が開口した形状となっている。第二継手部121は、外周面において、回転力伝達部122を有する。本例の磁気継手100において、回転力伝達部122は、第二継手部121の外周面を覆うように設けられた強磁性体を含む部材により構成される。本例の磁気継手100において、回転力伝達部122は、鉄を含む部材により構成される。
【0028】
略円筒形である第二継手部121は、中心に、第二軸部123を通すための孔を有する。第二継手部121の有する孔、及び、第二軸部123は、第二継手部121を第二軸部123に対して固定する構造を備えるため、第二継手部121及び第二軸部123は、一体的に回転する構成となっている。
【0029】
図2に示すように、本例の磁気継手100において、第二継手部121を第二軸部123に対して固定する構造は、第二継手部121の有する、回転軸方向に対して直交する方向へ延びた雌ねじと、第二軸部123の有する、回転軸方向に対して直交する方向へ延びた雌ねじに対して、雄ねじを通し、締め付けることにより、第二継手部121を第二軸部123に対して固定する構造となっている。
【0030】
本例の磁気継手100において、第二継手部121は、第二軸部123と分離しており、第二軸部123に対して固定される構成となっているが、本発明の磁気継手において、第二継手部及び第二軸部は、一体的に回転するものであれば、同一の部材により構成されるものであってもよい。
【0031】
第二軸部123は、基端において、第二継手部121の有する孔に嵌合し、基端より上方において、第二支持部124の有する孔を通る構成となっている。
【0032】
第二支持部124は、下方へ略円筒形に突出した突出部を有する。第二支持部124の突出部は、側面において、螺旋状の溝により構成されるねじ部125を有する。
【0033】
略円筒形である第二支持部124の突出部は、中心に、第二軸部123を通すための孔を有する。第二支持部124の突出部が有する孔は、第二軸部123を回転可能に支持する構造(図示しない)を備えるため、第二軸部123及び第二支持部124は、一体的に回転しない構成となっている。
【0034】
本例の磁気継手100において、第二支持部124が第二軸部123を回転可能に支持する構造は、第二支持部124の有する転がり軸受により、第二軸部123を回転可能に支持する構造となっている。本発明の磁気継手において、第二支持部が第二軸部を回転可能に支持する構造は、本例の構成に限定されず、第二支持部の有するすべり軸受等により、第二軸部を回転可能に支持する構造であってもよい。
【0035】
連結部130は、中空の円筒形で上側及び下側が開口した形状となっている。連結部130は、内周面において、螺旋状の溝により構成されるねじ部131,132を有する。一方のねじ部131は、連結部130の基端に設けられ、他方のねじ部132は、連結部130の先端に設けられる構成となっている。
【0036】
内周面にねじ部131を有する連結部130の基端側を雌ねじとして、側面にねじ部115を有する第一支持部114の突出部を雄ねじとして、これらを構成する螺旋状の溝をかみ合わせ、締め付けることにより、連結部130は、第一支持部114に対して固定される。また、内周面にねじ部132を有する連結部130の先端側を雌ねじとして、側面にねじ部125を有する第二支持部124の突出部を雄ねじとして、これらを構成する螺旋状の溝をかみ合わせ、締め付けることにより、連結部130は、第二支持部124に対して固定される。
【0037】
本例の磁気継手100において、連結部130の有するねじ部131,132は、連結部130の内周に設けられる構成となっているが、本発明の磁気継手において、連結部の有するねじ部は、連結部の外周に設けられる構成であってよく、本例の構成に限定されない。
【0038】
連結部の有するねじ部を、連結部の外周に設けられる構成とした場合、第一支持部は、下方へ略円筒形に凹んだ凹部を有し、第二支持部は、上方へ略円筒形に凹んだ凹部を有し、これらの凹部は、内周において、ねじ部を有し、外周にねじ部を有する連結部を雄ねじとして、内周にねじ部を有する第一支持部の凹部及び第二支持部の凹部を雌ねじとして、連結部を第一支持部及び第二支持部に対して固定する構成とすることができる。
【0039】
第一支持部114及び第二支持部124に対して連結部130が固定された状態において、第一支持部114の上方に位置する第一継手部111、及び、第二支持部124の下方に位置する第二継手部121は、中空の形状である連結部130に内包される。このとき、第一継手部111の開口部分の内周は、第二継手部121の外周より大きいため、第二継手部121は、第一継手部111と接触することなく、第一継手部111の開口部分により形成された空間に入り込む構成となっている。
【0040】
第一継手部111の開口部分により形成された空間に、第二継手部121が入り込んだ場合において、第一継手部111の有する回転力伝達部112、及び、第二継手部121の有する回転力伝達部122は、一定の距離を保ちつつ、向かい合う構成となっている。
【0041】
第一継手部111の有する回転力伝達部112は、第一継手部111の内周面に等間隔となるように配置された複数の磁石により構成され、第二継手部121の有する回転力伝達部122は、第二継手部121の外周面を覆うように設けられた鉄を含む部材により構成される。このため、モータ140の作動により、第一継手部111が回転すると、第一継手部111は、回転力伝達部112と回転力伝達部122との間に発生する磁力により、第二継手部121に対して、回転力を伝達することができる。
【0042】
第一継手部111から第二継手部121へ回転力が伝達されると、第二支持部124により回転可能に支持された第二軸部123は、第二継手部121と一体的に回転する。
【0043】
本例の磁気継手100において、第一継手部111は、磁石を有し、第二継手部121は、強磁性体を含む部材を有する構成となっているが、本発明の磁気継手において、第一継手部及び第二継手部は、本例の構成に限定されず、第一継手部が強磁性体を含む部材を有し、第二継手部が磁石を有する構成であってもよい。また、本発明の磁気継手において、第一継手部及び第二継手部は、それぞれ磁石を有し、第一継手部は、第二継手部に対して、当該磁石の間に発生する磁力により回転力を伝達する構成であってもよい。
【0044】
本例の磁気継手100において、第一継手部111の開口部分により形成された空間に、第二継手部121が入り込む構成となっているが、本発明の磁気継手は、本例の構成に限定されず、第二継手部の開口部分により形成された空間に、第一継手部が入り込む構成であってもよい。
【0045】
本例の磁気継手100において、連結部130は、中空の形状であり、第一継手部111及び第二継手部121は、連結部130に内包される構成となっている。こうした構成とすることで、本例の磁気継手100は、第一継手部111及び第二継手部121を露出させることなく、回転力の伝達を行うことが可能であり、第一継手111及び第二継手121に対して物が接触する等といった問題を防止することができる。
【0046】
本例の磁気継手100において、連結部130は円筒形であるため、連結部130が多角形である場合と比較すると、狭い空間においても着脱を行うことが可能である。また、本例の磁気継手100において、連結部130は円筒形であるため、連結部130の外周及び内周の少なくとも一方に、ねじ部131,132を設けることが容易である。
【0047】
図4に示すように、本例の磁気継手100は、第一継手部111、第一軸部113、及び第一支持部114により構成される第一構成部と、連結部130と、第二継手部121、第二軸部123、及び第二支持部124により構成される第二構成部とに分けることができる。
【0048】
第一構成部と、連結部130と、第二構成部とが分離した状態において、第一構成部に含まれる第一支持部114に対して、連結部130を固定し、連結部130に対して、第二構成部に含まれる第二支持部124を固定することで、本例の磁気継手100は、上記各構成部を連結させることができる。ここで、上記各構成部は、それぞれの有するねじ部115,125,131,132を締め付けることにより固定されるため、作業者は、工具等を必要とせず、これらを容易に取り付けることができる。
【0049】
第一構成部と、連結部130と、第二構成部とが連結した状態において、第二構成部に含まれる第二支持部124による連結部130への固定を解除し、連結部130による第一構成部に含まれる第一支持部114への固定を解除することで、本例の磁気継手100は、上記各構成部を分離させることができる。ここで、上記各構成部は、それぞれの有するねじ部115,125,131,132の締め付けを緩めることにより固定が解除されるため、作業者は、工具等を必要とせず、これらを容易に取り外すことができる。
【0050】
第一構成部と、連結部130と、第二構成部とが連結した状態において、第一継手部111の有する回転力伝達部112、及び、第二継手部121の有する回転力伝達部122は、一定の距離を保ちつつ、向かい合う構成となる。このため、本例の磁気継手100は、連結部130を用いて、第一構成部と第二構成部とを連結させることにより、回転力伝達部112,122の位置合わせを行うことが可能となり、着脱を容易としつつ、磁力による回転力の伝達を安定して行うことができる。
【0051】
図1~4に示すように、本例の巻取装置200は、磁気継手100の上方に、糸を巻装可能な巻回部210を備える。
【0052】
巻回部210は、略円筒形で、外周側に突出した鍔部を上端及び下端に有する形状となっている。略円筒形である巻回部210は、中心に、第二軸部123を通すための孔を有する。巻回部210は、第二軸部123に対して固定され、第二軸部123と一体的に回転する構成となっている。
【0053】
巻回部210は、回転方向へ糸を巻き付けられる。巻回部210は、第二軸部123と連動して回転することにより、外部から巻回部210へ向かって延びた糸を巻き取ることができる。
【0054】
巻回部210の回転により、外部から巻回部210へ向かって延びた糸を巻き取ることで、当該糸の張力は大きくなる。当該糸の張力が大きくなった状態において、モータ140による回転力を、巻回部210に対して弱めることなく伝達し続けると、当該糸が切れるといった問題が生じるおそれがある。本例の巻取装置200において、磁気継手100は、互いに接触しない第一継手部111及び第二継手部121を用いて、磁力により回転力を伝達する構成となっているため、当該糸の張力が大きくなった場合においても、回転方向と反対の方向へ作用する糸の張力により、モータ140から巻回部210へ伝達する回転力を弱めることが可能であり、当該糸が切れることを防止することができる。また、本例の巻取装置200は、磁気継手100により構成されるため、巻き取る対象の糸が切れることを防止しつつ、着脱を容易に行うことができるものである。
【0055】
図5に示すように、本例の分繊装置300は、複数の巻取装置200と、親糸を巻装可能な親糸巻回部310とを備える。
【0056】
親糸巻回部310は、円筒形であり、分繊装置300の有する台320により、回転可能に支持される構成となっている。親糸巻回部310は、回転方向へ親糸を巻き付けられる。本例の分繊装置300において、親糸は、複数の単糸により形成される糸である。
【0057】
親糸巻回部310において、親糸は、複数の糸330に分けられる。親糸から分けられた糸330は、それぞれ浸漬部340を通過し、先端において、巻取装置200の有する巻回部210に巻き付けられる構成となっている。
【0058】
浸漬部340は、下面及び側面により形成され、上方が開口しており、液体を貯留可能な形状となっている。本例の分繊装置300において、浸漬部340は、界面活性剤を含む繊維用油剤を貯留する構成となっている。
【0059】
本例の分繊装置300は、親糸から分けられた糸330を、浸漬部340に貯留された繊維用油剤に浸漬させることで、糸330の表面を潤滑にし、摩擦による糸330の損傷を防止することができる。
【0060】
本例の分繊装置300において、浸漬部340は、界面活性剤を含む繊維用油剤を貯留する構成となっているが、本発明の分繊装置において、浸漬部に貯留される液体は、本例の構成に限定されない。
【0061】
本例の分繊装置300において、浸漬部340は、超音波振動子を有する構成としてもよい。当該超音波振動子は、浸漬部340に貯留された液体へ向かって超音波を発生させることにより、液体に浸漬された糸330を洗浄し、巻回部210に巻き取られる糸の品質を高めることができる。
【0062】
巻取装置200の有するモータ140の作動により、巻回部210が回転すると、巻回部210に先端を巻き付けられた複数の糸330は、親糸巻回部310から巻回部210へ向かってそれぞれ巻き取られる。このように、本例の分繊装置300は、親糸券回部310に巻装された親糸から、分割された複数の糸を製造することができる。
【0063】
複数の巻取装置200において、各モータ140は、巻き付けられた糸330の強度に対応して、それぞれ回転力を変更することができる。これにより、本例の分繊装置300は、糸330が切れることを防止することができる。
【0064】
本例の分繊装置300は、磁気継手100を備える巻取装置200により構成されるため、糸330の張力が大きくなった場合においても、回転方向と反対の方向へ作用する糸330の張力により、モータ140から巻回部210へ伝達する回転力を弱めることが可能であり、糸330が切れることを防止することができる。また、本例の分繊装置300は、磁気継手100を備える巻取装置200により構成されるため、巻き取る対象の糸が切れることを防止しつつ、着脱を容易に行うことができるものである。
【符号の説明】
【0065】
100 磁気継手
111 第一継手部
112 回転力伝達部
113 第一軸部
114 第一支持部
115 ねじ部
121 第二継手部
122 回転力伝達部
123 第二軸部
124 第二支持部
125 ねじ部
130 連結部
131 ねじ部
132 ねじ部
140 モータ
200 巻取装置
210 巻回部
300 分繊装置
310 親糸巻回部
320 台
330 糸
340 浸漬部