(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160209
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
H04R1/02 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064833
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森下 恵太
(72)【発明者】
【氏名】田中 光憲
(72)【発明者】
【氏名】宇野 晴貴
(72)【発明者】
【氏名】黒田 大輔
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BC02
5D017BC14
(57)【要約】
【課題】集音の音響特性が高く、しかも、生産工程が簡単である電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、筐体(11)外部の音を筐体内に導く受音孔(15)が形成された筐体と、筐体内に配置され、マイクロフォン(14)が実装されている基板(13)と、受音孔周辺の筐体の内壁と基板との間に空間が形成されるように、受音孔周辺以外の筐体の内壁と基板との間隙を埋めるように配置された弾性部材(12)と、空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材(16)とを備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該筐体外部の音を当該筐体内に導く受音孔が形成された筐体と、
前記筐体内に配置され、マイクロフォンが実装されている基板と、
前記受音孔周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に空間が形成されるように、前記受音孔周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された弾性部材と、
前記空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材と
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記空間占有部材は、前記筐体の内壁から前記空間に向けて突出するよう形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記空間占有部材は環状であり、
前記空間占有部材の内径は、前記受音孔の外径と一致する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記空間占有部材は環状であり、
前記空間占有部材の内径は、前記受音孔の外径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記空間占有部材は、前記受音孔の一部を囲い込むよう配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記空間は、前記筐体の法線方向から見て多角形状を有しており、
前記空間占有部材の外縁は、前記筐体の法線方向から見て多角形状を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記筐体には受音孔が複数設けられ、
前記空間占有部材には、前記各受音孔に対応する位置に孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体には受音孔が複数設けられ、
前記空間占有部材は環状であり、
前記空間占有部材の内縁は、前記受音孔の外縁の外側にある
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項9】
前記受音孔の一部を占有するよう配置された第2の空間占有部材を備えている
ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記空間占有部材は、前記基板の前記空間側に配置されている
ことを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記空間占有部材は、前記基板から前記空間に向けて突出するよう形成されている
ことを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記マイクロフォンは前記基板の前記空間とは反対側の面に配置されており、
前記基板には、当該基板の空間側の面から前記マイクロフォン側の面まで貫通する導音孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記マイクロフォンは、前記基板の空間側に配置されている
ことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
当該筐体外部の音を当該筐体内に導く第1の受音孔群および第2の受音孔群が形成された筐体と、
前記筐体内に配置され、前記第1の受音孔群からの音を受ける第1のマイクロフォンおよび前記第2の受音孔群からの音を受ける第2のマイクロフォンが実装されている基板と、
前記第1の受音孔群周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に第1の空間が形成されるように、前記第1の受音孔群周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された第1の弾性部材と、
前記第2の受音孔群周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に第2の空間が形成されるように、前記第2の受音孔群周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された第2の弾性部材と、
前記第1の空間の一部を占有するよう配置された第1の空間占有部材と、
前記第2の空間の一部を占有するよう配置された第2の空間占有部材と、
を備え、
前記第1の空間占有部材と前記第2の空間占有部材の配置位置、形状、前記第1の空間と前記第2の空間の体積、および前記第1の受音孔群および前記第2の受音孔群に含まれる受音孔の数のうち何れかが異なることを特徴とする電子機器。
【請求項15】
当該筐体外部の音を当該筐体内に導く受音孔が形成された筐体と、
前記筐体内に配置され、マイクロフォンが実装されている基板と、
前記受音孔周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に空間が形成されるように、前記受音孔周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された弾性部材と、
前記空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材と
を備えていることを特徴とするテレビ受像機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
TV受像機、タブレット、携帯電話などのマイクロフォン機構が備わっている電子機器では、受音レベルを向上させるための様々な技術が開発されている。例えば、特開2008-193249号公報には、以下のような構成を有する電子機器(携帯電話)が開示されている。
【0003】
電子機器の前部筐体に外部からの音を拾うための複数の受音孔が設けられ、筐体内部に配置されたマイクロフォンを搭載する基板にはマイクロフォンに音を導く導音孔が形成されている。受音孔から筐体内に入った音は、導音孔を介してマイクロフォンまで導かれる。受音孔以外からの音の漏れを防ぐために、筐体と基板との間の空間の受音孔周辺を弾性部材(立壁部)で覆う。弾性部材には、音をマイクロフォンに導くための孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、筐体内に形成される空間は、例えば、携帯電話のマイクロフォンのように、機器の近くで音を拾うニアフィールドマイクロフォンである場合には、ある程度広くてもよい。
これに対して、例えば、TV受像機のマイクロフォンのように、機器からある程度離れた距離の音を拾うファーフィールドマイクロフォンである場合には、筐体内に形成される空間は狭い方が集音の音響特性がよい。従って、上記筐体と基板との間を覆う弾性部材に設けられる孔は小さくする方がよい。しかし、弾性部材の孔を小さくすると、生産工程において、弾性部材に形成される孔、受音孔、および導音孔の間で位置合わせするのが困難になり、組み立て時に音の通り道である空間を塞いでしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、集音の音響特性がよく、しかも、生産工程での組み立てが容易な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、筐体外部の音を当該筐体内に導く受音孔が形成された筐体と、前記筐体内に配置され、マイクロフォンが実装されている基板と、前記受音孔周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に空間が形成されるように、前記受音孔周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された弾性部材と、前記空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材を備えている。
【0008】
上記構成によれば、電子機器の筐体と基板との間に形成される空間の一部を占有する占有部材を設けることにより、空間の体積を小さくし、マイクロフォンの集音の音響特性を向上させ、音声認識率を高めることができる。また、受音孔からの音をマイクロフォンへ導くために弾性部材に形成する孔を比較的大きくすることができるため、生産工程において組み立てを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、集音の音響特性がよく、しかも生産工程において組み立てが容易な電子機器を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子機器(TV受像機)の外観の一例を示す斜視図、およびその一部拡大図である。
【
図2】
図1に示す電子機器に備えられるマイクロフォンユニット装置の背面図である。
【
図3】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の分解斜視図である。
【
図4】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の上面視断面図である。
【
図6】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の側面視断面図である。
【
図8】
図2に示すマイクロフォンユニット装置における筐体に基板を取り付けた状態を筐体内部側から見た図である。
【
図9】
図7の枠内における変形例の構成を示す図である。
【
図10】
図7の枠内における別な変形例の構成を示す図である。
【
図11】
図7の枠内における別な変形例の構成を示す図である。
【
図12】
図7の枠内における別な変形例の構成を示す図である。
【
図13】
図7の枠内における別な変形例の構成を示す図である。
【
図14】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【
図15】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態を示す図である。
【
図16】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【
図17】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【
図18】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【
図19】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【
図20】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【
図21】
図2に示すマイクロフォンユニット装置の筐体に弾性部材を取り付けた状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)について、図面に基づいて説明する。
【0012】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<TV受像機の構成>
図1は本実施形態に係る電子機器(TV受像機)1の外観の一例を示す斜視図である。本発明が適用される電子機器としては、TV受像機の他にもタブレット等であってもよい。TV受像機1の表示画面の底部には、マイクロフォンユニット装置10が備えられている。以下では、マイクロフォンユニット装置10の構成について説明する。なお、以下の説明では、TV受像機1の表示画面側を前方(または正面)、反対側を後方(または背面)とする。
【0013】
<マイクロフォンユニット装置の構成>
図2は、マイクロフォンユニット装置10の背面図であり、
図3はマイクロフォンユニット装置10の斜め前方から見た分解斜視図である。
図3に示すように、マイクロフォンユニット装置10は、筐体11、基板13および基板ホルダー20から構成され、ネジSによって組付けられている。
【0014】
筐体11は、例えば、ポリカーボネート等の材料でできており、マイクロフォンユニット装置10の正面側を覆う。筐体11の左右方向の中央からほぼ均等な位置に、筐体11外部の音を筐体11内に導く2つの受音孔15が形成されている。
【0015】
基板13には、2つのマイクロフォン14が搭載されている。基板13は例えば、プリント回路基板で構成され、マイクロフォン14の他、マイクロフォンユニット装置10を構成するための各種の構成部品が実装されている。構成部品は、例えば、コネクタ、抵抗およびコンデンサなどである。
【0016】
筐体11に設けられた2つの受音孔15と2つのマイクロフォン14はそれぞれ対応する位置に配置される。また、受音孔15周辺の筐体11の内壁と基板13との間に空間が形成されるように、受音孔15周辺以外の筐体11の内壁と基板13との間隙を埋めるように弾性部材12が配置されている。
【0017】
図3に示すように、基板13の後方には基板ホルダー20が配置され、矢印dに示すように、基板ホルダー20が後方から基板13を筐体11側に押し付けることによって、弾性部材12を圧縮させた状態で保持することができ、基板13を筐体11に密着させることができる。
【0018】
図4は、上述のようにして組み立てられたマイクロフォンユニット装置10の上面視断面図であり、
図4の下側がTV受像機1(およびマイクロフォンユニット装置10)の前方に当たり、上側がTV受像機1の後方に当たる。
【0019】
また、
図5は
図4における枠内の部分拡大図であり、マイクロフォンユニット装置10に搭載される2つにマイクロフォン14のうち、一方のマイクロフォン14の周辺の構成を示す図である。
図6はマイクロフォンユニット装置10のマイクロフォン14を含む切断面での側面断面図であり、
図6における右側がTV受像機1の前方、左側がTV受像機1の後方に当たる。
【0020】
また、
図7は
図5における枠内の部分拡大図である。但し、
図7では
図5とは上下方向が逆になっており、
図7で上側がTV受像機1(またはマイクロフォンユニット装置10)の前方、下側がTV受像機1の後方に当たる。以下では、
図7を参照して、実施形態におけるマイクロフォンユニット装置10の受音孔15周辺の構成について詳細に説明する。
【0021】
上述したように、マイクロフォンユニット装置10の正面部分は筐体11によって覆われており、外部の音は筐体11に設けられた受音孔15から筐体11内部へと導かれる。また、筐体11には、空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材16が配置される。
図7に示すように、空間占有部材16は筐体11の内壁から空間に向けて突出するよう形成されていてもよい。
【0022】
筐体11内部に配置されている基板13には、マイクロフォン14が搭載される。本実施形態では、マイクロフォン14は基板13の空間とは反対側の面に配置されている。基板13には、当該基板13の空間側の面からマイクロフォン14側の面まで貫通する導音孔17が形成されている。
【0023】
また、弾性部材12が、受音孔15周辺の筐体11の内壁と基板13との間に空間が形成されるように、受音孔15周辺以外の筐体11の内壁と基板13との間隙を埋めるように配置される。
【0024】
弾性部材12は、例えば、ゴム、ウレタンおよび発砲ウレタン等の弾性を備えたクッション材料で形成され、基板13と筐体(フロントカバー)11の間の隙間を埋め、基板13と筐体11の間を密着させて筐体11の受音孔15以外からの音の侵入を防ぐ。
図7に示すように、弾性部材12には受音孔15と導音孔17をつなぐ部分に孔19が設けられている。受音孔15から筐体11内部へと導かれた音は、弾性部材12の孔19および導音孔17を介してマイクロフォン14へと導かれる。弾性部材12と基板13との間には、固定手段として両面テープが設置されている。
【0025】
基板13には両面テープで弾性部材12が固定され、弾性部材12の上に基板13が重ねられ、弾性部材12と基板13は、筐体11と基板ホルダー20との間に挟み込まれ、筐体11と基板ホルダー20とが固定ネジSで締め付けられて固定される。
【0026】
このマイクロフォンユニット装置10全体の音孔は、筐体11の受音孔15から基板13の導音孔17までの間に形成された音の通り道であって、筐体11内の受音孔15の空間、基板13内の導音孔17の空間、および弾性部材12内の音孔19の空間で形成される。
【0027】
このような構成によれば、受音孔15から孔19に音が入り、その際、全体の音孔は共鳴空間として機能し、基板13の導音孔17を通してマイクロフォン14に音が入る。マイクロフォン14は入った音を電気信号に変換し、変換した音に応じたレベルを持つ電気信号が得られる。
【0028】
ここで重要なのが、全体の音孔の大きさ(体積)である。例えば、TV受像機1でハンズフリーの音声認識機能を実現するには、遠くの音を拾うファーフィールドマイクロフォンが必要になるが、その場合のマイクロフォンユニット装置10の音孔の大きさは、より小さい方が、集音の音響特性が良く、音声認識率も高くなる。
【0029】
従って、弾性部材12に形成される孔19も小さい方がよい。しかし、弾性部材12は、基板13及び筐体11とは別素材から構成されているため、生産工程で基板13及び筐体11への取り付けが必要である。従って、組み立て時に音孔を塞いでしまうリスクを避けるために、弾性部材12の孔19は出来るだけ大きくする方が好ましい。しかし、上述したように音孔の体積は小さい方が集音の音響特性が良く、音声認識率が向上する。このため、筐体11の内側に空間占有部材16を設けて、音孔を囲い込む部分を2重にし、全体の音孔の体積を小さくすることにより、受音特性を改善し音声認識率を良好なものとすることができる。
【0030】
なお、
図8は、筐体11上に基板13を取り付けた状態を筐体内部側から見た図を示す。組み立て時に、受音孔15および弾性部材12に設けた孔19の位置合わせをして、音孔を塞ぐことがないようにする必要がある。このため、
図8に示すように、筐体11には位置決めリブ21が形成され、弾性部材12の対応する位置に位置決め用の穴が設けられて、筐体11と弾性部材12が正しく位置決めされるとともに、弾性部材12の横方向への変形防止が図られている。
【0031】
〔バリエーションの実施形態〕
以上説明した実施形態の構成は本発明の一例であり、本発明の電子機器1の受音孔15周辺の構成は、上記実施形態の構成以外にも、様々なバリエーションが考えられる。以下の
図9から
図13では、
図7の枠内において示された構成のバリエーションを示す図である。以下では、これらのバリエーションの構成について説明する。
【0032】
〔バリエーション1〕
実施形態では、空間占有部材16が、筐体11の内壁から空間に向けて突出するよう形成されている構成例について説明した。しかし、空間占有部材は、基板13から空間に向けて突出するよう形成されていてもよい。例えば、
図9に示すように、空間占有部材161を、基板13と一体で設けてもよい。
【0033】
上記構成によれば、空間占有部材161を設計変更する際に、筐体11の金型の変更が不要であり、製造工程を簡素化することができる。
【0034】
〔バリエーション2〕
空間占有部材は、筐体11側および基板13側の両方から空間に向けて突出していてもよい。例えば、
図10に示すように、筐体11側から空間に向けて空間占有部材162が突出し、基板13側から空間に向けて空間占有部材161が突出するように形成されていてもよい。
【0035】
上記構成によれば、筐体11および基板13の両方から空間に向けて空間占有部材161および162が突出しているため、空間全体の体積を更に小さくすることができ、集音の音響特性を向上させることができる。
【0036】
〔バリエーション3〕
また、マイクロフォンユニット装置10は、受音孔15の一部を占有するよう配置された第2の空間占有部材163を備えていてもよい。例えば、
図11に示すように、筐体11側から空間に向けて突出した第2の空間占有部材163によって、筐体11に複数の受音孔が形成されていてもよい。
【0037】
上記構成によれば、第2の空間占有部材163を備えることによって、空間全体の体積を更に小さくすることができ、集音の音響特性を向上させることができる。
【0038】
〔バリエーション4〕
また、マイクロフォンユニット装置10では、空間占有部材164は、基板13の空間側に配置されていてもよい。例えば、
図12に示すように、筐体11および基板13とは別体である空間占有部材164を基板13上に配置してもよい。空間占有部材164は、例えば、基板13に搭載されるマイクロフォンユニット装置10の構成部品であってもよい。また、空間占有部材164の配置位置、形状、大きさ等は任意であってよい。
【0039】
上記構成によれば、筐体11、基板13とは別体である空間占有部材164を基板13上に配置することができるため、空間占有部材164の形状、大きさ、配置位置を自由に設計することができる。
【0040】
〔バリエーション5〕
また、マイクロフォンユニット装置10では、
図13に示すように、マイクロフォン14は、基板13の空間側に配置されていてもよい。
上記構成によれば、マイクロフォン14自体が空間を占有して空間の体積を減少させるため、空間占有部材162と組み合わせることにより、集音の音響効果を上げることができる。また、基板13に導音孔を形成する必要がないため、製造工程を簡素化することができる。
【0041】
また、マイクロフォンユニット装置10は、マイクロフォン14を基板13の空間側に配置した上で、更に、マイクロフォン14および筐体11および基板13とは別体である空間占有部材をマイクロフォン14と同じ基板13の空間側の空いた箇所に配置してもよい。また、マイクロフォン14を構成する面のうち基板13と接する面とは反対側の面上の領域であってマイクロフォン14の受音性能が落ちない程度の領域に、空間占有部材を両面テープや接着剤で貼り付けてもよい。このような構成によれば、マイクロフォン14および基板の空間側に配置された空間部占有部材によって、空間の体積を減少させることができ、集音の音響効果を高めることができる。
【0042】
更に、マイクロフォンユニット装置10は、マイクロフォン14および基板13とは別体である空間占有部材を基板13の空間側に配置した上で、
図13に示すような筐体11から突出する空間占有部材162を備えていてもよい。このような構成によれば、マイクロフォン14、筐体11から突出する空間占有部材162および筐体11および基板13とは別体である空間部材によって、空間の体積を減少させることができ、一層、集音の音響効果を高めることができる。
【0043】
以下の
図14~21は、様々なバリエーションについて、筐体11上に弾性部材12を取り付けた状態をマイクロフォンユニット装置10の背面側(即ち、筐体11の内部側)から見た図である。以下では、
図14~21を参照して、様々なバリエーションの構成について、別な角度から説明する。
【0044】
〔バリエーション6〕
バリエーション6では、
図14に示すように、空間占有部材16は環状であり、空間占有部材16の内径は、受音孔15の外径と一致してもよい。即ち、
図14は、
図7の断面図に対応する。
上記構成によれば、空間占有部材16の体積を大きくすることができ、集音の音響効果を向上させることができる。
【0045】
〔バリエーション7〕
バリエーション7では、
図15に示すように、空間占有部材16は環状であり、空間占有部材16の内径は、受音孔15の外径よりも大きくてもよい。
【0046】
上記構成によれば、筐体11に後から受音孔15をドリルで開ける場合に、作業性を向上させることができる。
【0047】
〔バリエーション8〕
バリエーション8では、空間占有部材16は、受音孔15の一部を囲い込むよう配置されていてもよい。例えば、
図16に示すように、空間占有部材16は、受音孔15の周囲全体を囲まず、
図16の横方向のみで受音孔15を囲い込むように配置してもよい。
【0048】
上記構成によれば、縦方向に十分なスペースがない場合には、適切に空間占有部材16を配置ことができる。また、空間占有部材16を受音孔15から離れて配置すれば、筐体11に後から受音孔15をドリルで開ける場合に、作業性を向上させることができる。
【0049】
〔バリエーション9〕
実施形態および上記バリエーションでは、空間および空間占有部材16の外縁は環状である例について説明した。しかし、本発明のマイクロフォンユニット装置10では、空間は、筐体11の法線方向から見て多角形状を有しており、空間占有部材16の外縁は、筐体11の法線方向から見て多角形状を有していてもよい。例えば、
図17及び18に示すように、空間および空間占有部材16の外縁とも長方形であってもよい。また、
図18に示すように、空間占有部材16は、横方向のみで受音孔15を囲い込むように配置してもよい。
【0050】
上記構成によれば、空間占有部材16を多角形にすることにより、空間占有部材16の体積を大きくすることができる。その結果、空間の体積を小さくすることができ、集音の音響効果を向上させることができる。
【0051】
〔バリエーション10〕
バリエーション10では、
図19に示すように、筐体11に受音孔15が複数設けられ、受音孔15に対応する位置に孔が形成されていてもよい。
上記構成によれば、相対的に空間の面積を小さくすることができ、集音の音響特性を向上させることができる。
【0052】
〔バリエーション11〕
バリエーション11では、
図20に示すように、筐体11に受音孔15が複数設けられ、空間占有部材16は環状であり、空間占有部材16の内縁は、受音孔15の外縁の外側にあってもよい。即ち、
図20は上記
図11に対応する。
上記構成によれば、相対的に空間の面積を小さくすることができ、集音の音響特性を向上させることができる。筐体11に後から受音孔15をドリルで開ける場合に、作業性を向上させることができる。
【0053】
〔バリエーション12〕
本実施形態では、当該筐体外部の音を当該筐体内に導く第1の受音孔群および第2の受音孔群が形成された筐体と、前記筐体内に配置され、前記第1の受音孔群からの音を受ける第1のマイクロフォンおよび前記第2の受音孔群からの音を受ける第2のマイクロフォンが実装されている基板と、前記第1の受音孔群周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に第1の空間が形成されるように、前記第1の受音孔群周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された第1の弾性部材と、前記第2の受音孔群周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に第2の空間が形成されるように、前記第2の受音孔群周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された第2の弾性部材と、前記第1の空間の一部を占有するよう配置された第1の空間占有部材と、前記第2の空間の一部を占有するよう配置された第2の空間占有部材と、を備え、前記第1の空間占有部材と前記第2の空間占有部材の配置位置、形状、前記第1の空間と前記第2の空間の体積、および前記第1の受音孔群および前記第2の受音孔群に含まれる受音孔の数のうち何れかが異なってもよい。例えば、
図21に示すように、左側の第1のマイクロフォン14の周辺では第1の空間占有部材16を大きくし、右側の第2のマイクロフォンの周辺では第2の空間占有部材を小さくしてもよい。あるいは、第1のマイクロフォン14の周辺では空間占有部材16を設けず、第2のマイクロフォン14の周辺にのみ空間占有部材16を設けてもよい。上記構成によれば、一方のマイクロフォンでニアフィールドの音を拾い、他方のマイクロフォンでファーフィールドの音を拾うことができる。従って、ニアフィールドおよびファーフィールド両方の音に対応することができる。
【0054】
〔製造方法〕
次に、マイクロフォンユニット装置10の製造方法の一例を説明する。マイクロフォンユニット装置10の製造方法には、次のような成形工程、基板成形工程及び組立工程が含まれている。
(a)成形工程
予め、筐体11及び基板ホルダー20の成形を行う。弾性部材12は、所定形状に加工する。
(b)基板成形工程
基板13を成形し、基板13にマイクロフォン14やその他構成部品を実装する。
(c)組立工程
弾性部材12の突部で包囲された面部に両面テープを貼付ける。基板13の上に弾性部材12を載せ、その基板13に基板ホルダー20を載せて覆い、筐体11にはめ込む。その際に、基板13に設けた孔を筐体11側に設けた位置決めリブ21に挿入する。それにより、基板13の導音孔17と筐体11の受音孔15との位置ズレを防止することができる。
また、基板ホルダー20を筐体11に設けたツメ部に嵌め込むことにより、基板13を背面方向から押しながら固定することができる。基板ホルダー20と筐体11を固定ネジSで固定し、組立工程が完了する。
【0055】
組み立ては手作業であり、弾性部材12の孔19が小さすぎると、作業者の違いによるばらつきや作業時ばらつき、弾性部材12の孔19の寸法のばらつき等により、組み立て時に筐体11の受音孔15、基板13の導音孔17、および弾性部材12の孔19の間で位置ずれ等が発生し、音の通り道が塞がれてしまい、マイクロフォン14に音が入らなくなり、音声を認識しないリスクが発生する。
【0056】
しかしながら、本発明によると、弾性部材12の孔19はある程度大きくすることができるので、上記の製造方法であれば、組み立て工程が手作業でも、不具合のないマイクロフォンユニット装置の量産を実現することができる。
【0057】
〔まとめ〕
〔態様1〕
本発明の一態様に係る電子機器は、当該筐体外部の音を当該筐体内に導く受音孔が形成された筐体と、前記筐体内に配置され、マイクロフォンが実装されている基板と、前記受音孔周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に空間が形成されるように、前記受音孔周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された弾性部材と、前記空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材とを備えている。
上記構成によれば、空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材によって、空間の体積が小さくなるため、機器の音響特性を向上させることができる。また、受音孔と弾性部材に孔を小さくしなくてもよいため、生産工程において、位置合わせがしやすい。
【0058】
〔態様2〕
本発明の一態様に係る電子機器では、前記空間占有部材は、前記筐体の内壁から前記空間に向けて突出するよう形成されていてもよい。
上記構成によれば、空間占有部材は筐体と一体で成形することができるため、電子機器の生産コストを抑えることができる。
【0059】
〔態様3〕
本発明の一態様に係る電子機器では、前記空間占有部材は環状であり、前記空間占有部材の内径は、前記受音孔の外径と一致する。
上記構成によれば、空間占有部材の体積を大きくすることができ、集音の音響効果を向上させることができる。
【0060】
〔態様4〕
本発明の一態様に係る電子機器において、前記空間占有部材は環状であり、前記空間占有部材の内径は、前記導音孔の外径よりも大きい。
上記構成によれば、受音孔を後からドリルで開ける場合に、作業性を向上させることができる。
【0061】
〔態様5〕
本発明の一態様に係る電子機器は、前記空間占有部材は、前記受音孔の一部を囲い込むよう配置されている。
上記構成によれば、受音孔を後からドリルで開ける場合に、作業性を向上させることができる。
【0062】
〔態様6〕
本発明の一態様に係る電子機器は、前記空間は、前記筐体の法線方向から見て多角形状を有しており、前記空間占有部材の外縁は、前記筐体の法線方向から見て多角形状を有している。
上記構成によれば、空間占有部材を多角形にすることにより、空間占有部材の体積を大きくすることができる。その結果、空間の体積を小さくすることができ、集音の音響効果を向上させることができる。
【0063】
〔態様7〕
本発明の一態様に係る電子機器において、受音孔が複数設けられ、前記空間占有部材には、前記各受音孔に対応する位置に孔が形成されている。
上記構成によれば、相対的に空間の面積を小さくすることができる。
【0064】
〔態様8〕
本発明の一態様に係る電子機器において、受音孔が複数設けられ、前記空間占有部材は環状であり、前記空間占有部材の内縁は、前記受音孔の外縁の外側にある。
上記構成によれば、相対的に空間の面積を小さくすることができる。
【0065】
〔態様9〕
本発明の一態様に係る電子機器において、前記受音孔の一部を占有するよう配置された第2の空間占有部材を備えていてもよい。
上記構成によれば、第2の空間占有部材を備えることによって、空間全体の体積を更に小さくすることができ、集音の音響特性を向上させることができる。
【0066】
〔態様10〕
本発明の一態様に係る電子機器では、前記空間占有部材は、前記基板の前記空間側に配置されていてもよい。
上記構成によれば、空間占有部材を筐体および基板とは別体として成形してもよいため、空間占有部材の配置位置、形状、大きさ等を自由に設計することができる。また、空間占有部材のみ設計変更を行い、筐体、基板とも修正する必要がないため、製造工程を簡素化することができる。
〔態様11〕
本発明の一態様に係る電子機器では、前記空間占有部材は、前記基板から前記空間に向けて突出するよう形成されていてもよい。
上記構成によれば、空間占有部材は基板と一体で成形することができるため、電子機器の生産コストを抑えることができる。
【0067】
〔態様12〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器において、マイクロフォンは基板の前記空間とは反対側の面に配置されており、基板には、当該基板の空間側の面から前記マイクロフォン側の面まで貫通する複数の導音孔が形成されている。
上記構成によれば、マイクロフォン14を他の構成部品と基板の同じ側に搭載することができるため、基板13の空間側には何も部品を実装しないことで基板13の片面をフラットにし、筐体11の内側の面と最小限な距離で隙間なく密着させることが出来て、空間の体積を小さくし、集音の音響特性を向上させることができる。
【0068】
〔態様13〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器において、前記マイクロフォンは、前記基板の空間側に配置されている。
上記構成によれば、基板に導音孔を形成する必要がないため、生産工程を簡略化することができる。
【0069】
〔態様14〕
本発明の一態様に係る電子機器において、当該筐体外部の音を当該筐体内に導く第1の受音孔群および第2の受音孔群が形成された筐体と、前記筐体内に配置され、前記第1の受音孔群からの音を受ける第1のマイクロフォンおよび前記第2の受音孔群からの音を受ける第2のマイクロフォンが実装されている基板と、前記第1の受音孔群周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に第1の空間が形成されるように、前記第1の受音孔群周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された第1の弾性部材と、前記第2の受音孔群周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に第2の空間が形成されるように、前記第2の受音孔群周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された第2の弾性部材と、前記第1の空間の一部を占有するよう配置された第1の空間占有部材と、前記第2の空間の一部を占有するよう配置された第2の空間占有部材と、を備え、前記第1の空間占有部材と前記第2の空間占有部材の配置位置、形状、前記第1の空間と前記第2の空間の体積、および前記第1の受音孔群および前記第2の受音孔群に含まれる受音孔の数のうち何れかが異なる。
上記構成によれば、2つのマイクロフォンの周辺の構造を変えることによって、電子機器から近い音も遠い音も、集音の音響特性を向上させることができる。
【0070】
〔態様15〕
本発明の一態様に係るTV受像機において、当該筐体外部の音を当該筐体内に導く受音孔が形成された筐体と、前記筐体内に配置され、マイクロフォンが実装されている基板と、前記受音孔周辺の前記筐体の内壁と前記基板との間に空間が形成されるように、前記受音孔周辺以外の前記筐体の内壁と前記基板との間隙を埋めるように配置された弾性部材と、前記空間の一部を占有するよう配置された空間占有部材とを備えている。
上記構成によれば、電子機器と同様の効果を奏する。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 TV受像機(電子機器)
10 マイクロフォンユニット装置
11 筐体
12 弾性部材
13 基板
14 マイクロフォン
15 受音孔
16、161、162、163、164 空間占有部材
17 導音孔
19 (弾性部材の)孔
20 基板ホルダー
21 位置決めリブ