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特開2022-16021果菜保持方法、果菜パック詰め方法、果菜保持装置、及び果菜パック詰め装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016021
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】果菜保持方法、果菜パック詰め方法、果菜保持装置、及び果菜パック詰め装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 23/00 20060101AFI20220114BHJP
   B65B 35/18 20060101ALI20220114BHJP
   B65B 5/08 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B65B23/00
B65B35/18
B65B5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119270
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
(72)【発明者】
【氏名】太田 徳雄
【テーマコード(参考)】
3E003
3E043
3E054
【Fターム(参考)】
3E003AB10
3E003BC01
3E003BD01
3E003BD04
3E003CA02
3E003DA02
3E003DA03
3E043AA02
3E043BA20
3E043DA01
3E043DA02
3E043DB01
3E043EA01
3E043GA10
3E054AA10
3E054CA08
3E054DC11
3E054DC13
3E054DC15
3E054DD01
3E054FD02
3E054GA01
3E054GB05
3E054GC03
3E054GC07
3E054HA04
3E054HA07
(57)【要約】
【課題】 果菜が落下しにくく、パック詰めを確実に行うことができる果菜保持方法及び果菜パック詰め方法、並びに果菜保持装置及び果菜パック詰め装置を提供する。
【解決手段】 本発明の果菜保持方法は、吸上げ手段10で果菜を吸い上げ、その果菜を把持手段20で把持することで果菜を保持する方法である。本発明の果菜パック詰め方法は、前記果菜保持方法で保持した果菜をパックPの上方で果菜の吸上げ及び果菜の把持を解除して果菜をパックPに収容する方法である。本発明の果菜保持装置は、果菜を吸い上げる吸上げ手段10と、吸上げ手段10で吸い上げられた果菜を把持する把持手段20を備えたものである。本発明の果菜パック詰め装置は、果菜搬送体40と撮影手段50とロボットアーム60と前記果菜保持装置1を備えたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜を保持する果菜保持方法において、
吸上げ手段を果菜に接近させて果菜を吸い上げ、
前記吸上げ手段で吸い上げられた果菜を把持手段で把持することによって果菜を保持する、
ことを特徴とする果菜保持方法。
【請求項2】
所定数の果菜をパック詰めする果菜パック詰め方法において、
請求項1記載の果菜保持方法によって保持した果菜をパックの上方へ移動し、
前記パックの上方で吸上げ手段での果菜の吸上げ及び把持手段での果菜の把持を解除することによって、当該果菜を前記パックに収容する、
ことを特徴とする果菜パック詰め方法。
【請求項3】
請求項2記載の果菜パック詰め方法において、
把持手段での果菜の把持を解除したのち、吸上げ手段での果菜の吸上げを解除する、
ことを特徴とする果菜パック詰め方法。
【請求項4】
請求項2記載の果菜パック詰め方法において、
把持手段での果菜の把持を解除したのち、吸上げ手段をパックに接近する方向に降下させ、降下した位置で吸上げ手段での果菜の吸上げを解除する、
ことを特徴とする果菜パック詰め方法。
【請求項5】
果菜を保持する果菜保持装置において、
果菜を吸い上げる吸上げ手段と、当該吸上げ手段で吸い上げられた果菜を把持する把持手段を備え、
前記吸上げ手段は、吸上げグリッパと吸上げグリッパに圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段を備え、
前記把持手段は、果菜を把持する把持アームと、当該把持アームを把持方向と解除方向に開閉させる開閉手段を備え、
前記圧縮空気供給手段によって吸上げグリッパに圧縮空気が供給されると、当該吸上げグリッパによって果菜が吸い上げられ、
前記開閉手段によって把持アームが把持方向に閉じられると吸上げ手段で吸い上げられた果菜が当該把持アームで保持される、
ことを特徴とする果菜保持装置。
【請求項6】
請求項5記載の果菜保持装置において、
吸上げ手段は上下方向に移動可能である、
ことを特徴とする果菜保持装置。
【請求項7】
所定数の果菜をパック詰めする果菜パック詰め装置において、
果菜を搬送する果菜搬送体と、
前記果菜搬送体で搬送される果菜を撮影し、当該果菜搬送体上における果菜の位置情報を取得する撮影手段と、
前記撮影手段によって取得された位置情報に基づいて動作するロボットアームと、
前記ロボットアームに設けられ、前記果菜搬送体上の果菜を保持してパック内に収容する請求項5又は請求項6記載の果菜保持装置を備えた、
ことを特徴とする果菜パック詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜を一つずつ保持する果菜保持方法及び保持した果菜をパックに詰める果菜パック詰め方法、並びにこれら方法に用いる果菜保持装置及び果菜パック詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、吸上げ手段を用いて搬送路上の果菜(イチゴ)を吸い上げ、吸い上げたイチゴをパック詰めする方法及び装置を開発した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-001788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の装置では、吸い上げたイチゴを搬送路上からパックまで移動する際に、振動によってイチゴが落下し、イチゴを正確にパック詰めできないことがあった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、イチゴなどの果菜が落下しにくく、パック詰めを確実に行うことができる果菜保持方法及び果菜パック詰め方法、並びに果菜保持装置及び果菜パック詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[果菜保持方法]
本発明の果菜保持方法は、吸上げ手段を果菜に接近させて果菜を吸い上げ、吸い上げられた果菜を把持手段で把持することによって果菜を保持する方法である。
【0007】
[果菜パック詰め方法]
本発明の果菜パック詰め方法は、前記果菜保持方法によって保持した果菜をパックの上方へ移動し、当該パックの上方で果菜の吸上げ及び把持手段での果菜の把持を解除することによって当該果菜をパックに収容する方法である。
【0008】
[果菜保持装置]
本発明の果菜保持装置は、果菜を吸い上げる吸上げ手段と、吸上げ手段で吸い上げられた果菜を把持する把持手段を備えている。吸上げ手段は、吸上げグリッパと吸上げグリッパに圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段を備え、把持手段は、果菜を把持する把持アームと、当該把持アームを把持方向と解除方向に開閉させる開閉手段を備えている。圧縮空気供給手段によって吸上げグリッパに圧縮空気が供給されると当該吸上げグリッパによって果菜が吸い上げられ、開閉手段によって把持アームが把持方向に閉じられると吸上げ手段で吸い上げられた果菜が当該把持アームで把持されるように構成されている。
【0009】
[果菜パック詰め装置]
本発明の果菜パック詰め装置は、果菜を搬送する果菜搬送体と、果菜搬送体で搬送される果菜を撮影して当該果菜搬送体上における果菜の位置情報を取得する撮影手段と、撮影手段によって取得された位置情報に基づいて動作するロボットアームと、ロボットアームに設けられ、果菜搬送体上の果菜を保持してパック内に収容する前記果菜保持装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、吸上げ手段と把持手段という二つの手段によって果菜を保持できるため、吸上げ手段のみで果菜を保持する場合よりも果菜が落下しにくく、果菜のパック詰めを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は果菜保持装置の一例を示す斜視図、(b)は(a)に示す果菜保持装置の内部構造の説明図。
図2】果菜保持装置の吸上げ手段の一例を示す説明図。
図3】(a)は吸上げ手段の吸収手段の説明図、(b)は(a)のIIIb-IIIb断面図。
図4】(a)は吸収手段が上昇位置にある状態の正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は吸収手段が降下位置にある状態の正面図、(d)は(c)の側面図。
図5】果菜保持装置の把持手段の一例を示す説明図。
図6】(a)は把持アームが開いた状態の正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は把持アームが閉じた状態の正面図、(d)は(c)の側面図。
図7】果菜保持装置の吸上げ手段の他例を示す説明図。
図8】果菜パック詰め装置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(果菜保持方法及び果菜保持装置の実施形態)
本発明の果菜保持方法及び果菜保持装置1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の果菜保持方法及び果菜保持装置1はイチゴSやビワなどの各種果菜の保持に用いることができるが、ここでは、果菜がイチゴSの場合を一例として説明する。
【0013】
一例として図1(a)(b)に示す果菜保持装置1は、イチゴSを吸い上げる吸上げ手段10と、吸上げ手段10で吸い上げられたイチゴSを把持する把持手段20を備えている。吸上げ手段10や把持手段20は下面開口のケース30内に収容されている。
【0014】
前記吸上げ手段10は、イチゴSを吸い上げて保持するための手段である。この実施形態の吸上げ手段10は、図2に示すように、吸上げグリッパ11と、吸上げグリッパ11に接続された吸収手段12と、吸上げグリッパ11に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段(コンプレッサ)13を備えている。
【0015】
前記吸上げグリッパ11はイチゴSを吸い上げるための空気の流れを形成する装置である。この実施形態では、吸上げグリッパ11として、シュマルツ株式会社製のコンポジットグリッパーを用いている。このコンポジットグリッパーは真空発生器が内蔵されたものであり、エア供給口と吸気口と排気口を備えている。コンプレッサ13からエア供給口に圧縮空気が供給されると、吸気口から吸気され、排気口から排気されるように構成されている。吸上げグリッパ11には、これ以外のものを用いることもできる。
【0016】
図3(b)に示すように、前記吸収手段12は、軸材12aと、軸材12aの外周に装着された摺動体12bと、摺動体12bの下端側に設けられた吸着パッド12cと、摺動体12bの上端側に設けられた吸収ばね12dを備えている。
【0017】
前記軸材12aは吸上げグリッパ11に接続される部材である。一例として図3(a)(b)に示す軸材12aは、細長の円筒状の胴体部12eと、胴体部12eの上側に設けられた上嵌合部12fと、上嵌合部12fの上側に設けられた大径部12gを備えている。胴体部12eは摺動体12bが装着される部分、上嵌合部12fは吸収ばね12dの上端側が嵌合する部分、大径部12gは吸上げグリッパ11に接続される部分である。大径部12gの内面には吸収手段12との接続に用いられる接続部12hが設けられている。
【0018】
前記軸材12aの外周には円筒状の摺動体12bが被せられている。摺動体12bは摺動(上下動)可能に軸材12aにねじ止めされている。摺動体12bの上端側には吸収ばね12dの下端側が嵌合する下嵌合部12iが設けられている。摺動体12bの下端側には嵌合凹部12jが摺動体12bの外周に沿って形成され、その嵌合凹部12jに吸着パッド12cが装着されている。
【0019】
前記吸収ばね12dはイチゴSの個体差を吸収するための部材である。工業製品と異なり、イチゴSなどの果菜は二つとして同じ形状のものは存在しない。本実施形態のように吸収ばね12dを設けることで、イチゴSの大きさや形状に応じて吸収ばね12dが弾性変形し、個体差が吸収されてイチゴSが潰れたり傷ついたりするのを防止することができる。吸収ばね12dは上嵌合部12fと下嵌合部12iの間に配置され、通常時は下向きに付勢されている。
【0020】
前記吸着パッド12cはイチゴSを吸着するためのパッドである。一例として図3(a)(b)に示す吸着パッド12cは円筒状である。吸着パッド12cの上端側の内面には、嵌合凹部12jに嵌合する嵌合部12kが設けられている。吸着パッド12cにはくびれ部12mとその下側に連続する広がり部12nを備えている。吸着パッド12cにはシリコン製のものなど、可撓性を有し、且つイチゴSを傷つけにくい材質のものを用いるのが好ましい。
【0021】
吸収手段12の内部には空気通路12pが形成されている。吸上げグリッパ11から空気通路12p内に圧縮空気が供給されると、吸着パッド12c側から空気が吸引され、この吸引力によってイチゴSが吸着パッド12c側に吸い上げられる。なお、吸収手段12は省略することもできる。この場合、吸上げグリッパ11に吸着パッド12cを直接取り付ければよい。
【0022】
前記吸上げ手段10は昇降手段14によって上下動するように構成されている。この実施形態では、昇降手段14としてエアシリンダを用いている。図2に示すように、エアシリンダのロッドの先端には、吸上げ手段10が取り付けられた取付け座15に固定されている。
【0023】
この実施形態では、収縮状態のエアシリンダ(図4(a)(b))が伸長する(図4(c)(d))と、取付け座15が降下して吸収手段12が降下し、伸長状態のエアシリンダ(図4(c)(d))が収縮する(図4(a)(b))と、取付け座15が上昇して吸収手段12が上昇する。
【0024】
前記把持手段20は、吸上げ手段10で吸い上げられたイチゴSを把持する手段である。この実施形態の把持手段20は、図5に示すように、イチゴSを把持する把持アーム21と、把持アーム21を把持する方向(以下「把持方向」という)と把持を解除する方向(以下「解除方向」という)に開閉させる開閉手段22を備えている。
【0025】
この実施形態の把持アーム21は、アーム部21aとアーム部21aの先端に設けられた把持パッド21bを備えている。この実施形態のアーム部21aは縦長の板ばねで構成されている。アーム部21aは、上端がシリンダに固定された固定プレート23に取り付けられている。アーム部21aの先端は内向きに屈曲しており、当該屈曲部分に把持パッド21bとしてシリコンパッドが取り付けられている。
【0026】
この実施形態では、摺動体12bの周方向に沿って四本の把持アーム21が間隔をあけて設けられている。各把持アーム21は下端側に向けて外広がりとなるようにしてある。把持アーム21は前記開閉手段22によって、把持方向と解除方向に弾性変形するように構成されている。
【0027】
この実施形態では、把持アーム21が四本の場合を一例としているが、把持アーム21は四本より多くても少なくてもよい。把持アーム21を構成するアーム部21aは、開閉手段22によって動作する程度の弾性を有するものであれば板ばね以外であってもよい。また、把持アーム21を構成する把持パッド21bはイチゴSなどの果菜を傷つけない程度の弾性を有するものであればシリコンパッド以外であってもよい。
【0028】
前記開閉手段22は、把持アーム21を把持方向と解錠方向に動かすための手段である。一例として図1(a)(b)及び図5に示す開閉手段22は、エアシリンダ22aとエアシリンダ22aのロッド22bの先端に設けられた調整プレート22cを備えている。
【0029】
図1(b)に示すように、この実施形態の調整プレート22cは一部が切り欠かれたリング状(C字状)の板材である。調整プレート22cは、すべての把持アーム21が調整プレート22cの内側に収まるように、把持アーム21の外側に配置されている。調整プレート22cの内側の広さは、調整プレート22cを最上位に位置したときには把持アーム21に接触せず、最下位に位置したときには把持アーム21に接触して把持方向に弾性変形させられるような広さとしてある。
【0030】
この実施形態では、収縮状態のエアシリンダ(図6(a)(b))が伸長する(図6(c)(d))と、調整プレート22cが降下して把持アーム21が把持方向に弾性変形してイチゴSが把持され、伸長状態のエアシリンダ(図6(c)(d))が収縮する(図6(a)(b))と、調整プレート22cが上昇して把持アーム21が解除方向に復帰してイチゴSの把持が解除される。
【0031】
本実施形態の果菜保持装置1でのイチゴSの保持は、次のように行う。
(1)吸上げ手段10をイチゴSに接近させる。
(2)吸上げグリッパ11を動作させ、吸上げ手段10でイチゴSを保持する。
(3)調整プレート22cを降下させて把持アーム21を把持方向に弾性変形させ、吸上げ手段10で保持されたイチゴSを把持アーム21で把持する。
【0032】
本実施形態の果菜保持装置1で保持されたイチゴSの解放は、次のように行う。
(1)昇降手段14によって吸上げ手段10を降下させる。
(2)調整プレート22cを上昇させ、把持アーム21でのイチゴSの把持を解除する。
(3)吸上げグリッパ11の動作を停止し、吸上げ手段10によるイチゴSの保持を解除する。
【0033】
(果菜保持方法及び果菜保持装置のその他の実施形態)
前記実施形態では、圧縮空気を吸上げグリッパ11のエア供給口(図示しない)内に供給することによって、イチゴSを吸着パッド12c側に吸い上げる果菜保持装置1を一例としているが、吸上げ手段10は、図7に示すように、負圧を利用してイチゴSを吸い上げるような構成とすることもできる。
【0034】
一例として図7に示す吸上げ手段10は、本体部31、外カバー32、エア供給ホース33及び緩衝部材34を備えている。
【0035】
この実施形態の本体部31は円柱状の胴体部31aと、胴体部31aの下端側に設けられたエア拡散部31bを備えている。胴体部31aには上下方向に貫通するエア通路31cが設けられている。エア通路31cはエア拡散部31bの内部に設けられた拡散空間31dと連通している。
【0036】
前記拡散空間31dのうち、エア通路31cの出口(ノズル)近傍には、円盤状の拡散板31eが設けられている。拡散板31eはエア通路31cに対して垂直になるように設けてある。エア通路31cの出口と拡散板31eの間には隙間が設けてあり、エア通路31cの出口から排出されるエアが拡散板31eにぶつかり、当該拡散板31eの周方向に拡散されながら排出されるようにしてある。
【0037】
前記本体部31の外側には外カバー32が設けられている。この実施形態の外カバー32は筒状部材であり、その下端側にはイチゴSの吸上口となる開口部32aが設けられている。開口部32aの外側(下側)には、イチゴSの吸い上げ時に当該イチゴSに押し跡がつくのを防止するリング状の緩衝部材34が設けられている。この実施形態の緩衝部材34は開口部32aの周縁32bと同形状又は略同形状のものである。緩衝部材34はスポンジ等のクッション性を有する材料で構成することができる。
【0038】
外カバー32は中実部32cと中空部32dを備え、中実部32cには肉厚方向に貫通する第1の貫通孔32eが設けられている。第1の貫通孔32eは平面から見たときに外カバー32の上面の中心付近に設けられている。第1の貫通孔32eは本体部31の胴体部31aが通過可能な広さ、且つエア拡散部31bが通過不可能な広さとしてある。第1の貫通孔32eには本体部31の胴体部31aが上下動自在に挿通されている。
【0039】
第1の貫通孔32eの周面と胴体部31aの間にはクリアランスが確保してあり、胴体部31aをスムーズに上下動させられるようにしてある。この実施形態では、本体部31を上方に上げることによって、胴体部31aの底面位置が緩衝部材34の底面位置よりも奥側に位置するようにし、吸い上げたイチゴSが胴体部31aの底面に接触することによるイチゴSの傷つきを防止できるようにしてある。
【0040】
胴体部31aのうち外カバー32の上面よりも上方に突出した部分の外周に、本体部31(胴体部31a)が外カバー32(第1の貫通孔32e)から抜けるのを防止する抜け止めリング31fが設けられている。抜け止めリング31fは図示しない止めピンによって胴体部31aに固定されている。
【0041】
本体部31を下方向に移動させた際には、抜け止めリング31fの底面が外カバー32の上面に当接して胴体部31aの第1の貫通孔32eからの抜けが防止され、本体部31を上方向に移動させた際には、エア拡散部31bの上面が外カバー32の中実部32cの底面に当接して胴体部31aの第1の貫通孔32eからの抜けが防止されるようにしてある。
【0042】
外カバー32の中実部32cには、図示しない光電センサを取り付けるための第2の貫通孔32fが設けられている。光電センサは、イチゴSが緩衝部材34の外側にイチゴSを吸い上げたことを検知するものである。イチゴSを吸い上げたか否かは圧力センサなどの他の手段で検知するようにしてもよい。
【0043】
前記エア供給ホース33は、エア通路31c内に圧縮空気を送り込むためのホースである。エア供給ホース33の一端側には図示しない圧縮空気供給手段(コンプレッサ)35が接続され、他端側には胴体部31aに接続するネジ部36aを備えた接続具36が設けられている。エア供給ホース33は、接続具36のネジ部36aが胴体部31aの頂部に設けられた凹部(図示しない)の雌ネジに螺合されることによって胴体部31aに接続されている。
【0044】
コンプレッサ35から供給されるエアは、当該エア供給ホース33を通じて胴体部31aのエア通路31cに供給される。エア供給ホース33には図示しない電磁弁が設けられ、電磁的にエア供給ホース33が開閉されるようにしてある。
【0045】
図7の吸上げ手段10では、次のようにしてイチゴSを吸い上げることができる。
(1)吸上げ手段10をイチゴSの上方に移動し、開口部32a側(緩衝部材34側)をイチゴSの腹部付近に接近させる。
(2)前記(1)の状態でコンプレッサ35からエア供給ホース33を介してエア通路31cにエアを供給する。
(3)エア通路31cに供給されたエアはエア通路31cを通過してその出口から排出され、拡散板31eに沿ってその周方向に拡散される。
(4)拡散されたエアは開口部32aとイチゴSの間から抜け、これによって外カバー32の中空部32d内が負圧となり、開口部32aにイチゴSが吸い上げられる。
(5)なお、イチゴSの吸上げは電磁弁を閉めてエアの供給を停止することで解除することができる。
【0046】
(果菜パック詰め方法及び果菜パック詰め装置の実施形態)
次に、本発明の果菜パック詰め方法及び果菜パック詰め装置の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。なお、果菜保持方法及び果菜保持装置1の実施形態と同様、本発明の果菜パック詰め方法及び果菜パック詰め装置も、イチゴSやビワなどの各種果菜の保持に用いることができるが、ここでは、果菜がイチゴSの場合を一例として説明する。
【0047】
図8は、本発明の果菜パック詰め装置の一例を示すものである。図8において、1は果菜保持装置、40は果菜搬送体、50は撮影手段、60はロボットアーム、70はパック搬送体、80は果菜自動選別装置の果菜搬送体である。
【0048】
前記果菜保持装置1は、イチゴSを保持する手段である。果菜保持装置1には、前記果菜保持方法及び果菜保持装置の実施形態で説明したものを用いることができる。果菜保持装置1については既に説明済みであるため、ここではその説明を省略する。なお、果菜保持装置1には前記実施形態で説明したもの以外のものを用いることもできる。
【0049】
前記果菜搬送体40は、イチゴSを搬送するための手段である。果菜搬送体40にはベルトコンベア等を用いることができる。果菜搬送体40には、例えば、既存の果菜自動選別装置80のプールコンベア等を用いることができる。
【0050】
前記撮影手段50は、果菜搬送体40上のイチゴSを撮影し、当該イチゴSの位置情報を取得するための手段である。撮影手段50には、例えば、位置情報検出機能付デジタルカメラを用いることができる。撮影手段50は果菜搬送体40の上方に固定してある。撮影手段50によって得られた位置情報はロボットアーム60の制御装置に送信され、当該位置情報に基づいてロボットアーム60が動作するようにしてある。
【0051】
前記ロボットアーム60は、果菜保持装置1を動作させるための手段である。この実施形態では、ロボットアーム60として既存の多関節ロボットを用いている。ロボットアーム60の先端には、ハンドルとして果菜保持装置1が実装されている。この実施形態では、ロボットアーム60によって、当該果菜保持装置1を、少なくとも、果菜搬送体40上のイチゴSを保持可能な位置と保持したイチゴSをパック搬送体70上のパックP内に移載可能な位置に移動させられるようにしてある。この実施形態のロボットアーム60は、イチゴSの向きに合わせて果菜保持装置1の向きや角度を調整できるようにしてある。
【0052】
前記パック搬送体70は、イチゴSを収容するパックPを搬送するための装置である。パック搬送体70には、既存のベルトコンベアやローラーコンベアなどを用いることができる。パック搬送体70に代えて、固定式のパック載置台を用いることもできる。なお、図示は省略しているが、パック搬送体70の近傍にはパックPを収容しておくためのストッカーが設けられている。ここで用いるパックPはイチゴSを詰める既存のプラスチックパックである。
【0053】
前記果菜自動選別装置80は、果菜をその搬送中に等階級別に選別する装置である。図8に示す果菜自動選別装置80は、等階級選別済みの果菜を等階級ごとにプールするプールコンベアが設けられている。この実施形態では、プールコンベアを果菜搬送体40として利用している。なお、果菜自動選別装置80には、本件出願人が開発した各種果菜自動選別装置を用いることができる。
【0054】
本実施形態の果菜パック詰め装置でのイチゴSのパック詰めは、次のように行う。
(1)撮影手段50によって果菜搬送体40で搬送中のイチゴSを撮影し、イチゴSの位置情報を取得する。
(2)取得した位置情報に基づきロボットアーム60を動作させ、保持対象であるイチゴSの上方に果菜保持装置1を移動させる。
(3)果菜保持装置1の吸上げグリッパ11を動作させ、吸上げ手段10でイチゴSを保持する。
(4)調整プレート22cを降下させて把持アーム21を把持方向に弾性変形させ、吸上げ手段10で保持されたイチゴSを把持アーム21で把持する。
(5)ロボットアーム60を動作させ、イチゴSを保持した果菜保持装置1をパック搬送体70上のパックPの上方に移動させる。
(6)昇降手段14によって吸上げ手段10を降下させる。
(7)調整プレート22cを上昇させ、把持アーム21でのイチゴSの把持を解除する。
(8)吸上げグリッパ11の動作を停止し、吸上げ手段10によるイチゴSの保持を解除し、パックPの所定箇所にイチゴSを収容する。
(9)以降、前記工程を所定回数繰り返し、パックP内に所定数のイチゴSを収容する。
【0055】
以上、各実施形態で説明した構成は一例であり、本発明の果菜保持方法、果菜保持装置、果菜パック詰め方法及び果菜パック詰め装置は、各発明の要旨を超えない範囲で他の構成に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のイチゴSの保持やパック詰めのほか、ビワなどの保持やパック詰めに用いることもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 果菜保持装置
10 吸上げ手段
11 吸上げグリッパ
12 吸収手段
12a 軸材
12b 摺動体
12c 吸着パッド
12d 吸収ばね
12e 胴体部
12f 上嵌合部
12g 大径部
12h 接続部
12i 下嵌合部
12j 嵌合凹部
12k 嵌合部
12m くびれ部
12n 広がり部
12p 空気通路
13 圧縮空気供給手段(コンプレッサ)
14 昇降手段
15 取付け座
20 把持手段
21 把持アーム
21a アーム部
21b 把持パッド
22 開閉手段
22a エアシリンダ
22b ロッド
22c 調整プレート
23 固定プレート
30 ケース
31 本体部
31a 胴体部
31b エア拡散部
31c エア通路
31d 拡散空間
31e 拡散板
31f 抜け止めリング
32 外カバー
32a 開口部
32b 周縁
32c 中実部
32d 中空部
32e 第1の貫通孔
32f 第2の貫通孔
33 エア供給ホース
34 緩衝部材
35 圧縮空気供給手段(コンプレッサ)
36 接続具
36a ネジ部
40 果菜搬送体
50 撮影手段
60 ロボットアーム
70 パック搬送体
80 果菜自動選別装置
P パック
S イチゴ(果菜)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8