(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160218
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】無線アクセスポイント配置方法及び無線アクセスポイント配置装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20221012BHJP
【FI】
H04W16/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064843
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井上 順治
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 孝治
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD44
5K067DD47
5K067EE10
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】配置対象エリアに配置するアクセスポイントの数を最適化することができる無線アクセスポイント配置方法及び無線アクセスポイント配置装置を提供する。
【解決手段】アクセスポイントの配置対象エリア内に存在する構造物の形状情報を含むマップを用いて配置対象エリアにおける構造物の密度を得る第1ステップと、密度に応じた電波伝搬特性に基づいてアクセスポイントのカバーエリアの半径Rca1,Rca3を算出する第2ステップと、カバーエリアの半径Rca1,Rca3を用いて配置対象エリアへのアクセスポイントAP1,AP2,AP3,AP10,AP11の配置を行う第3ステップと、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントの配置対象エリア内に存在する構造物の形状情報を含むマップを用いて前記配置対象エリアにおける前記構造物の密度を得る第1ステップと、
前記密度に応じた電波伝搬特性に基づいて前記アクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する第2ステップと、
前記カバーエリアの半径を用いて前記配置対象エリアへの前記アクセスポイントの配置を行う第3ステップと、
を有することを特徴とする無線アクセスポイント配置方法。
【請求項2】
前記第1ステップにおいて前記マップに含まれた前記構造物の形状情報から前記密度を計算にて算出することを特徴とする請求項1に記載の無線アクセスポイント配置方法。
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、前記密度に応じて複数のクラスを設け、前記クラスに応じた前記電波伝搬特性に基づき前記半径を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線アクセスポイント配置方法。
【請求項4】
アクセスポイントの配置対象エリアのマップを記憶する記憶部と、
前記マップから、前記配置対象エリアにおける構造物の形状情報を収集して前記構造物の密度を算出する密度算出部と、
前記密度に応じた電波伝搬特性に基づいて前記アクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する半径算出部と、
前記カバーエリアの半径を用いて前記配置対象エリアへの前記アクセスポイントの配置を行うアクセスポイント配置部と、
を備えることを特徴とする無線アクセスポイント配置装置。
【請求項5】
前記密度算出部は、前記マップに含まれた前記構造物の形状情報から前記密度を計算にて算出することを特徴とする請求項4に記載の無線アクセスポイント配置装置。
【請求項6】
前記半径算出部は、前記密度に応じて複数のクラスを設け、前記クラスに応じた前記電波伝搬特性に基づき前記半径を算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の無線アクセスポイント配置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスポイント配置方法及び無線アクセスポイント配置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線アクセスポイントを配置する際に、アクセスポイントを中心とする円で所定強度の電波が伝搬できるカバーエリアを設定しており、配置対象エリアを過不足なくカバーエリアがカバーするようにアクセスポイントの位置が決定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配置対象エリア全体で一律にカバーエリアを求めると、場所によって電波の伝搬しやすさが異なる場合、電波が伝搬しにくい場所ではカバーエリアが不足したり、電波が伝搬しやすい場所では必要数以上のアクセスポイントを配置してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための無線アクセスポイント配置方法は、アクセスポイントの配置対象エリア内に存在する構造物の形状情報を含むマップを用いて前記配置対象エリアにおける前記構造物の密度を得る第1ステップと、前記密度に応じた電波伝搬特性に基づいて前記アクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する第2ステップと、前記カバーエリアの半径を用いて前記配置対象エリアへの前記アクセスポイントの配置を行う第3ステップと、を有することを要旨とする。
【0006】
これによれば、配置対象エリアに配置するアクセスポイントの数を最適化することができる。
また、無線アクセスポイント配置方法において、前記第1ステップにおいて前記マップに含まれた前記構造物の形状情報から前記密度を計算にて算出するとよい。
【0007】
また、無線アクセスポイント配置方法において、前記第2ステップにおいて、前記密度に応じて複数のクラスを設け、前記クラスに応じた前記電波伝搬特性に基づき前記半径を算出するとよい。
【0008】
上記課題を解決するための無線アクセスポイント配置装置は、アクセスポイントの配置対象エリアのマップを記憶する記憶部と、前記マップから、前記配置対象エリアにおける構造物の形状情報を収集して前記構造物の密度を算出する密度算出部と、前記密度に応じた電波伝搬特性に基づいて前記アクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する半径算出部と、前記カバーエリアの半径を用いて前記配置対象エリアへの前記アクセスポイントの配置を行うアクセスポイント配置部と、を備えることを要旨とする。
【0009】
これによれば、配置対象エリアに配置するアクセスポイントの数を最適化することができる。
また、無線アクセスポイント配置装置において、前記密度算出部は、前記マップに含まれた前記構造物の形状情報から前記密度を計算にて算出するとよい。
【0010】
また、無線アクセスポイント配置装置において、前記半径算出部は、前記密度に応じて複数のクラスを設け、前記クラスに応じた前記電波伝搬特性に基づき前記半径を算出するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配置対象エリアに配置するアクセスポイントの数を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態における無線アクセスポイント配置装置の概略構成図。
【
図5】電波伝搬特性線を用いたカバーエリアの半径算出の説明図。
【
図6】(a)は高密度の場合のアクセスポイントの配置例を示す図、(b)は低密度の場合のアクセスポイントの配置例を示す図。
【
図8】別例のカバーエリアの計算プロセスの説明図。
【
図9】別例の電波伝搬特性線を用いたカバーエリアの半径算出の説明図。
【
図11】別例のアクセスポイントの配置例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、無線アクセスポイント配置装置10は、例えば、制御部20と、記憶部30とを備える。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0014】
記憶部30は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)や、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体により実現される。記憶部30には、例えば、制御部20を実現するプログラムの他、アクセスポイントの配置対象エリアのマップが記憶される。
【0015】
アクセスポイントの配置対象エリアのマップは、エリア内に存在する構造物の三次元形状情報(3D)を含んでいる。具体的には、配置対象エリアにおける構造物の三次元形状情報(3D)は、壁や設備などの構造物についての情報、例えば、構造物の面積、構造物の体積、構造物の高さ、天井の高さなどを含んでいる。
【0016】
制御部20は、密度算出部21と、半径算出部22と、アクセスポイント配置部23とを備える。
記憶部30において記憶される配置対象エリアのマップの一例を、
図2(a)、
図2(b)に示す。例えば、
図2(a)、
図2(b)は、工場フロア(平面図)を示しており、工場内には設備Faが配置されている。
図2(a)に示す配置対象エリアと
図2(b)に示す配置対象エリアでは設備Faの密度が異なっている。
図2(a)に示す配置対象エリアでは設備Faが高密度に配置されている。
図2(b)に示す配置対象エリアでは設備Faが低密度に配置されている。
【0017】
無線アクセスポイントを配置する際において、カバーエリアは、アクセスポイントを中心とする円で設定され、電波伝搬特性から所定強度の電波が伝搬できる距離を求め、その距離をカバーエリアの半径とする。そのため、
図1における記憶部30には、
図3に示す電波伝搬特性についての情報が記憶されている。具体的には、電波伝搬特性は、伝搬モデル式で記憶している。伝搬モデル式は、次の式(1)で表される。
【0018】
E=C-N×log(L)…(1)
E:電波強度
C:定数
N:減衰係数
L:距離
図3の横軸に距離Lをとっている。
図3の縦軸に電波強度Eをとっている。
図3において設備Faの密度に応じて3本の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlが用意されている。なお、伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlは実験等を通じて予め準備されている。
【0019】
この3本の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlを用いて、基準値となる所定の電波強度Eから距離Lを算出することができる。距離Lが、アクセスポイントのカバーエリアの半径となる。
【0020】
設備Faの密度を3つのクラスに分類する。第1のクラスが、
図2(a)に示すような構造物(設備Fa)が配置対象エリア内に高密度に配置されている「密度:高」である。第3のクラスが、
図2(b)に示すような構造物(設備Fa)が配置対象エリア内に低密度に配置されている「密度:低」である。第2のクラスが、第1のクラスと第3のクラスの間の構造物(設備等)が配置対象エリア内に中密度に配置されている「密度:中」である。
【0021】
この各クラスに対応して
図3の3本の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlのいずれかが選択される。第1のクラス「密度:高」に対応するのが伝搬特性線(伝搬モデル式)Lthである。第3のクラス「密度:低」に対応するのが伝搬特性線(伝搬モデル式)Ltlである。第2のクラス「密度:中」に対応するのが伝搬特性線(伝搬モデル式)Ltmである。
【0022】
このように、
図3に示すように、電波伝搬の障害となる設備などの構造物の密度に応じて、複数の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlを用意している。この複数の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlのいずれかを選択するのみで、配置対象エリアに配置するアクセスポイントの最適化を可能とする。
【0023】
図4は、カバーエリア計算のプロセスを示す図である。
図4に示すように、制御部20は、マップにおける壁や設備などの構造物を含む3D情報から構造物の密度を計算する。この際、制御部20は、構造物面積と構造物体積と構造物高さと天井高さ等から密度を計算する。そして、制御部20は、得られた密度が第1~3のクラスのいずれに該当するかを判定し、判定したクラスに対応する伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlのいずれかを選択する。さらに、
図5に示すように、選択した伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlのいずれかと、電波強度Eの基準値から、計算により基準値の電波強度が伝搬できる距離を算出し、この距離をカバーエリアの半径とする。制御部20は、このようにして得られたカバーエリアの半径に基づいて無線アクセスポイント配置を行う。
【0024】
次に、作用について説明する。
記憶部30において、アクセスポイントの配置対象エリアのマップが記憶されている。無線アクセスポイント配置方法は、以下の第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを有する。
【0025】
まず、第1ステップにおいて、アクセスポイントの配置対象エリア内に存在する構造物の形状情報を含むマップを用いて配置対象エリアにおける構造物の密度を得る。詳しくは、第1ステップにおいてマップに含まれた構造物の形状情報から密度を計算にて算出する。
【0026】
具体的には、密度算出部21は、マップから、配置対象エリアにおける構造物の形状情報を収集して構造物の密度を算出する。詳しくは、密度算出部21は、マップに含まれた構造物の形状情報から密度を計算にて算出する。
【0027】
そして、第2ステップにおいて、密度に応じた電波伝搬特性に基づいてアクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する。詳しくは、第2ステップにおいて、密度に応じて複数のクラスを設け、クラスに応じた電波伝搬特性に基づき半径を算出する。
【0028】
具体的には、半径算出部22は、密度に応じた電波伝搬特性に基づいてアクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する。詳しくは、半径算出部22は、密度に応じて複数のクラスを設け、クラスに応じた電波伝搬特性に基づき半径を算出する。
【0029】
図3、
図5を用いて説明する。
算出した密度から、密度に応じた電波伝搬特性に基づく
図3の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlのいずれに該当するか判定する。即ち、高密度であれば、伝搬特性線(伝搬モデル式)Lthに該当し、中密度であれば、伝搬特性線(伝搬モデル式)Ltmに該当し、低密度であれば、伝搬特性線(伝搬モデル式)Ltlに該当する。構造物の密度から、密度に応じた電波伝搬特性に基づく
図3の伝搬特性線(伝搬モデル式)Lth,Ltm,Ltlから
図5に示すように電界強度の基準値でのアクセスポイントのカバーエリアの半径を算出する。電界強度の基準値は、ユーザの仕様(高品質とか低品質とかのレベル)で決まり、安定して高速で通信するための値である。
【0030】
さらに、第3ステップにおいて、
図6(a)、
図6(b)に示すように、カバーエリアの半径を用いて配置対象エリアへのアクセスポイントの配置を行う。具体的には、アクセスポイント配置部23は、カバーエリアの半径を用いて配置対象エリアへのアクセスポイントの配置を行う。
【0031】
詳しくは、
図6(a)に示すように、アクセスポイントのカバーエリアの半径Rca1から円C1を求め、円C1に内接する正方形のセルS1を求める。そして、アクセスポイント配置対象エリアについて正方形のセルS1の1辺が重なるようにして正方形のセルS1を配列する。このようにして、通信対象のカバーエリアAc1,Ac2,Ac3が決定される。また、
図6(b)に示すように、アクセスポイントのカバーエリアの半径Rca3から円C3を求め、円C3に内接する正方形のセルS3を求める。そして、アクセスポイント配置対象エリアについて正方形のセルS3の1辺が重なるようにして正方形のセルS3を配列する。アクセスポイントのカバーエリアの半径Rca2についても同様にして正方形のセルを配列する。このようにして、通信対象のカバーエリアAc10,Ac11が決定される。カバーエリアAc1,Ac2,Ac3は小さく、カバーエリアAc10,Ac11は大きい。
【0032】
このように、
図6(a)には、高密度の場合の無線アクセスポイント配置の例を示す。
図6(b)には、低密度の場合の無線アクセスポイント配置の例を示す。
図6(a)において、配置対象エリアに対し、アクセスポイントAP1,AP2,AP3を中心として得られた半径の円C1を表している。その円C1から正方形のセルS1の1辺を求めて、辺を隣接し、配列することで通信対象エリアをカバーするようアクセスポイントAP1,AP2,AP3を配置する。また、
図6(b)において、配置対象エリアに対し、アクセスポイントAP10,AP11を中心として得られた半径の円C3を表している。その円C3から正方形のセルS3の1辺を求めて、辺を隣接し、配列することで通信対象エリアをカバーするようアクセスポイントAP10,AP11を配置する。よって、配置対象エリア(構造物の密度の違い)に応じてアクセスポイント配置が可能となる。
【0033】
このように、
図4に示すように、アクセスポイントの配置対象エリアのマップから、壁や設備などの構造物から三次元(3D)情報を収集し、構造物の面積や体積などの密度計算を行う。計算結果から密度のクラス(高/中/低など)に分けて、
図3、
図5に示すように、それぞれの密度で伝搬モデル式をパターン化し、パターン選択によりアクセスポイントのカバーエリア半径を確定し配置対象エリアに応じたアクセスポイント配置を可能とする。
【0034】
上記実施形態の無線アクセスポイント配置方法及び無線アクセスポイント配置装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)配置対象エリアに配置するアクセスポイントの数を最適化することができる。また、カバー不足がなくなるためアクセスポイント設置作業の工数が削減できる。
【0035】
(2)配置対象エリアのマップから密度計算するので、自動化を図ることができる。
(3)密度計算の際にクラス分けするので、処理が容易となる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0036】
・アクセスポイント配置に使用するセルは正方形だけでなく、三角形、六角形などの多角形でもよい。
・マップから密度を自動計算したが、これに限るものではなく、マップを人が見て密度の高低を判断し、密度の高低を選択するようにしてもよい。
【0037】
・配置対象エリアのマップから密度計算したが、これに代わり、手入力でもよい。
・密度に応じてクラス分けしたが、これに代わり、密度と半径の関係をデータベース化しておき、密度から半径を算出してもよい。
【0038】
・マップに含まれた構造物の形状情報は、三次元形状情報(3D)以外にも、二次元形状情報(2D)でもよい。即ち、二次元形状は平面形状であり、三次元形状情報では構造物の密度は体積密度であったが、二次元形状情報では構造物の密度は面密度となる。
【0039】
・
図7に示したようなフロア図(平面図)であった場合において、配置対象エリアにおいて、設備Faが密集する領域Z11と、設備の無い領域Z10に分ける。
図8に示すように、電波伝搬モデル式をベースに、電波強度基準値を見通しで電波が届くようなレベルに設定した領域(通信可能範囲)Z10と、電波強度基準値を見通しの悪い場所でも届くようなレベルに設定した領域(通信安定範囲)Z11を求める。そして、それぞれの配置対象エリアに応じたカバーエリアの半径を求める。
【0040】
図9に示すように、電波伝搬特性は伝搬モデル式で表せる。伝搬特性線(伝搬モデル式)Lt10の例は、次の式(2)である。
E=C-N×log(L)…(2)
E:電波強度
N:減衰係数
C:定数
L:距離
図9における電界強度の基準値Aは、設備の無い領域Z10での基準値である。
図9における電界強度の基準値Bは、設備Faが密集する領域Z11での基準値である。電界強度の基準値Aでの距離、即ち、カバーエリアの半径Rca10は、電界強度の基準値Bでの距離、即ち、カバーエリアの半径Rca11よりも大きい。つまり、
図10に示すように、半径Rca10の円C10は半径Rca11の円C11より大きい。
【0041】
図11にはアクセスポイントの配置例を示す。アクセスポイントのカバーエリアの半径Rca10から円C10を求め、円C10に内接する正方形のセルS10を求める。そして、正方形のセルS10の1辺が重なるようにして正方形のセルS10を配列する。また、アクセスポイントのカバーエリアの半径Rca11から円C11を求め、円C11に内接する正方形のセルS11を求める。そして、正方形のセルS11の1辺が重なるようにして正方形のセルS11を配列する。
【0042】
このように、設備のような障害物が無い領域Z10が、障害物がなく通信できる通信可能範囲となる。設備Faが密集している領域Z11が、障害物があっても通信できる通信安定範囲となる。こうすることで効率良くアクセスポイント配置することができる。つまり、カバーエリアの概念として、領域Z10が、設備がなければ通信できる通信可能範囲であり、領域Z11が、設備Faがあっても通信できる通信安定範囲である。
【0043】
図11において、配置対象エリアにおいて、設備Faが密集する領域Z11と、設備の無い領域Z10が存在する。設備Faが密集する領域Z11は、カバーエリアの半径Rca10が小さい。設備の無い領域Z10は、カバーエリアの半径Rca11が大きい。そして、これらの円C10,C11から正方形のセルS10,S11の辺を求めて、辺を隣接し、配列することで通信対象エリアをカバーするよう配置する。
【0044】
このように、アクセスポイント配置例において、設備Faのような障害物の有無に応じてアクセスポイント配置が可能となる。
この場合も、アクセスポイント配置に使用するセルは正方形だけでなく、三角形、六角形などの多角形でもよい。また、伝搬モデル式は上記の式(2)だけでなく、ITUなどで規格化された公式でもよい。
【0045】
よって、配置対象エリアに配置するアクセスポイントの数を最適化することができる。また、カバー不足がなくなるためアクセスポイント設置作業の工数が削減できる。
【符号の説明】
【0046】
10…無線アクセスポイント配置装置、21…密度算出部、22…半径算出部、23…アクセスポイント配置部、30…記憶部、Ac1,Ac2,Ac3,Ac10,Ac11…カバーエリア、Rca1,Rca3…半径。