(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160271
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】筐体及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221012BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064920
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 公洋
【テーマコード(参考)】
5E322
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322DA00
5E322EA10
5E322FA01
5E322FA05
5H770HA02Z
5H770PA12
5H770PA21
5H770PA42
5H770PA43
5H770QA01
5H770QA02
5H770QA06
5H770QA13
5H770QA21
5H770QA27
(57)【要約】
【課題】コンデンサを有効に冷却しつつ大型化を抑えることが可能な筐体及び電力変換装置を提供する。
【解決手段】筐体は、コンデンサとパワーモジュールとを有した電力変換装置の筐体であって、冷媒の流れる流路を形成する冷媒流路形成部と、前記冷媒流路形成部の一部と一体に形成されてコンデンサを収容するコンデンサ収容空間を形成するコンデンサ収容部と、前記冷媒流路形成部の残部と前記コンデンサ収容部とともに少なくともパワーモジュールを収容するパワーモジュール収容空間を画成するカバー部と、を備え、前記冷媒流路形成部は、前記コンデンサ収容部を冷却するコンデンサ冷却部と、前記パワーモジュールを冷却するパワーモジュール冷却部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサとパワーモジュールとを有した電力変換装置の筐体であって、
冷媒の流れる流路を形成する冷媒流路形成部と、
前記冷媒流路形成部の一部と一体に形成されてコンデンサを収容するコンデンサ収容空間を形成するコンデンサ収容部と、
前記冷媒流路形成部の残部と前記コンデンサ収容部とともに少なくともパワーモジュールを収容するパワーモジュール収容空間を画成するカバー部と、を備え、
前記冷媒流路形成部は、前記コンデンサ収容部を冷却するコンデンサ冷却部と、前記パワーモジュールを冷却するパワーモジュール冷却部と、を有する筐体。
【請求項2】
前記コンデンサ冷却部は、
前記冷媒流路形成部の第一壁部に沿う第一流路を形成する第一流路形成部と、
前記第一流路形成部と連通し前記コンデンサ収容部の側壁に沿う第二流路を形成する第二流路形成部と、を備える
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記パワーモジュール冷却部は、
前記パワーモジュール収容空間と、前記流路とを連通させる連通開口部を有している
請求項1又は2の何れか一項に記載の筐体。
【請求項4】
前記カバー部は、前記パワーモジュールに接続される導体を貫通可能な貫通孔を有し、
前記パワーモジュール収容空間は、前記導体を流れる電流を測定する電流センサーを収容可能とされている
請求項1から3の何れか一項に記載の筐体。
【請求項5】
前記コンデンサ収容部は、コンデンサ収容空間を複数の区画に隔てる壁部を備える請求項1から4の何れか一項に記載の筐体。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の筐体と、
前記コンデンサ収容空間に収容されたコンデンサと、
前記パワーモジュール収容空間に収容されたパワーモジュールと、を備える
電力変換装置。
【請求項7】
前記コンデンサ収容空間は、充填剤により満たされている
請求項6に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ等の電力変換装置においては、パワーモジュールを冷やすために冷却水等の冷媒を用いて冷却する場合がある。さらに、このような電力変換装置においては、パワーモジュール以外にも、コンデンサが温度上昇する場合があり、コンデンサについても冷却する必要が生じる場合がある。
特許文献1には、電力変換装置の筐体内に設けられたコンデンサの周囲に冷却水路を設けて、コンデンサを冷却する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電力変換装置のように、コンデンサの周囲に冷却水路を設けた場合、コンデンサ専用の冷却水路を設けるスペースが必要となり、電力変換装置の筐体が大型化してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンデンサを有効に冷却しつつ大型化を抑えることが可能な筐体及び電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様に係る筐体は、コンデンサとパワーモジュールとを有した電力変換装置の筐体であって、冷媒の流れる流路を形成する冷媒流路形成部と、前記冷媒流路形成部の一部と一体に形成されてコンデンサを収容するコンデンサ収容空間を形成するコンデンサ収容部と、前記冷媒流路形成部の残部と前記コンデンサ収容部とともに少なくともパワーモジュールを収容するパワーモジュール収容空間を画成するカバー部と、を備え、前記冷媒流路形成部は、前記コンデンサ収容部を冷却するコンデンサ冷却部と、前記パワーモジュールを冷却するパワーモジュール冷却部と、を有する。
本開示の第二態様に係る電力変換装置は、上記筐体と、前記コンデンサ収容空間に収容されたコンデンサと、前記パワーモジュール収容空間に収容されたパワーモジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る筐体及び電力変換装置によれば、コンデンサを有効に冷却しつつ大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第一実施形態における電力変換装置の斜視図である。
【
図2】本開示の第一実施形態における電力変換装置の斜視図であり、カバーを外した状態を示している。
【
図3】本開示の第一実施形態における電力変換装置の斜視図であり、
図2の制御基板及び電流センサーを外した状態を示している。
【
図4】
図1の電力変換装置を下方から見た図である。
【
図5】
図4の蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図6】本開示の第一実施形態におけるコンデンサ収容部の部分断面を示す斜視図である。
【
図7】本開示の第二実施形態における冷媒流路形成部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本開示の第一実施形態における筐体及び電力変換装置を図面に基づき説明する。
図1は、本開示の第一実施形態における電力変換装置の斜視図である。
図2は、本開示の第一実施形態における電力変換装置の斜視図であり、カバーを外した状態を示している。
図3は、本開示の第一実施形態における電力変換装置の斜視図であり、
図2の制御基板及び電流センサーを外した状態を示している。
図4は、
図1の電力変換装置を下方から見た図である。
第一実施形態の電力変換装置100は、直流電力を交流電力へ変換するインバータや、交流電力を直流電力に変換するコンバータ等として用いられる電力変換装置100である。この電力変換装置100は、例えば、電気自動車の駆動源である三相のブラシレスモーターを制御する電力変換装置等として用いることができる。
図1、
図2に示すように、本実施形態の電力変換装置100は、筐体11と、コンデンサ12と、パワーモジュール13と、制御基板14と、バスバー15と、電流センサー16と、をそれぞれ備えている。
【0010】
筐体11は、コンデンサ12、パワーモジュール13、制御基板14、及び電流センサー16をそれぞれ収容するための筐体11である。筐体11は、例えば、熱伝導率の高い金属や合成樹脂等により形成することができる。筐体11は、冷媒流路形成部21と、コンデンサ収容部22と、カバー部23と、を備えている。
【0011】
冷媒流路形成部21は、冷媒の流れる流路R(後述する)を形成している。
図1、
図3に示すように、本実施形態における冷媒流路形成部21は、平面視における輪郭が長方形をなした第一壁部25及び第二壁部26を有している。冷媒流路形成部21は、さらに、第一壁部25及び第二壁部26を繋ぐ四つの側壁27a~27dを有している。なお、以下の説明では、冷媒流路形成部21の第一壁部25及び第二壁部26の長辺の延びる方向を長手方向Daと称し、上記長方形の短辺の延びる方向を幅方向Dwと称する。また、第一壁部25及び第二壁部26と垂直な方向を厚さ方向Dtとし、厚さ方向で第一壁部25から離間する側を厚さ方向第一側Dtu、第二壁部26から離間する側を厚さ方向第二側Dtdと称する。
【0012】
図5は、
図4の蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
図4、
図5に示すように、本実施形態の冷媒流路形成部21は、冷媒流路形成部本体28と、蓋部29とを備えている。冷媒流路形成部本体28は、第二壁部26側に開口する流路凹部30を備えている。蓋部29は、平板状に形成された蓋部本体31と、この蓋部本体31に取り付けられた冷媒入口32及び冷媒出口33とを備えている。蓋部本体31は、流路凹部30を塞いでいる。本実施形態の蓋部本体31は、冷媒流路形成部本体28の流路凹部30を塞いだ状態において、冷媒流路形成部21の第二壁部26をなしている。
【0013】
冷媒入口32と冷媒出口33とは、それぞれ蓋部本体31から厚さ方向第二側に延びている。これら冷媒入口32と冷媒出口33とは、冷媒流路形成部21の内部と外部とを連通している。冷媒入口32は、冷媒流路形成部21の内部に形成された流路Rに冷媒を供給するための入口であり、冷媒出口33は、冷媒流路形成部21の内部に形成された流路Rを流れ終えた冷媒を冷媒流路形成部21の外部に排出するための出口である。本実施形態における冷媒入口32と冷媒出口33とは、蓋部本体31のうち、平面視長方形の対角位置にそれぞれ配置されている。すなわち、冷媒入口32から冷媒を流入させると、冷媒流路形成部21内の流路Rを流れた後、冷媒出口33から冷媒流路形成部21の外部に排出される。
【0014】
図3に示すように、コンデンサ収容部22は、コンデンサ12を収容するコンデンサ収容空間35を形成している。コンデンサ収容部22は、冷媒流路形成部21の一部と一体に形成されている。具体的には、コンデンサ収容部22は、冷媒流路形成部21の第一壁部25と共にコンデンサ12を収容するコンデンサ収容空間35を形成している。本実施形態のコンデンサ収容部22は、冷媒流路形成部21の幅方向Dwの両側に位置する側壁27b(
図4参照)及び側壁27dと平行に厚さ方向第一側Dtuに向かって延びる二つの幅方向側壁36b,36dと、冷媒流路形成部21の長手方向Daの第一側Da1に位置する側壁27cと平行に厚さ方向第一側Dtuに向かって延びる一つの長手方向側壁36cと、これら幅方向側壁36b,36dの厚さ方向第一側Dtuの縁部と、長手方向側壁36cの厚さ方向第一側Dtuの縁部とを繋いで長手方向Da及び幅方向Dwに広がる天井壁37と、を備えている。
【0015】
コンデンサ収容部22は、更に、長手方向Daにおいて長手方向側壁36cとは反対側に開口部38を有している。この開口部38は、長手方向Daの第二側Da2を向いている。この開口部38を介して、コンデンサ収容部22の内部のコンデンサ収容空間35へコンデンサ12を収容することが可能となっている。なお、本実施形態の長手方向側壁36cには、コンデンサ12とコンデンサ収容部22の外部とを電気的に接続するための端子部39が形成されている。
【0016】
本実施形態のコンデンサ収容部22には、コンデンサ収容空間35を複数の区画に隔てる隔壁41が形成されている。これら隔壁41は、上述した幅方向側壁36b,36d、長手方向側壁36c、天井壁37、及び冷媒流路形成部本体28のうち、少なくとも一つに接続されている。言い換えれば、隔壁41に伝わった熱は、幅方向側壁36b,36d、長手方向側壁36c、天井壁37を介して間接的に冷媒流路形成部本体28に伝わるか、又は直接的に冷媒流路形成部本体28に伝わるようになっている。本実施形態の隔壁41には、図示しない挿通孔が形成されており、コンデンサ12に接続される配線(図示せず)は、この挿通孔を挿通されている。なお、隔壁41は、適宜設ければよく、省略してもよい。
【0017】
図2に示すように、カバー部23は、コンデンサ収容部22の形成されていない冷媒流路形成部21の残部と、コンデンサ収容部22と共に、少なくともパワーモジュール13を収容するパワーモジュール収容空間42を画成している。ここで、冷媒流路形成部21の残部とは、冷媒流路形成部21のうち、コンデンサ収容部22と一体に形成されている部分を除いた部分である。カバー部23は、冷媒流路形成部21及びコンデンサ収容部22に対して着脱可能に構成されている。
【0018】
本実施形態のカバー部23は、冷媒流路形成部21の残部及びコンデンサ収容部22に取り付けられてパワーモジュール収容空間42を画成している状態(言い換えれば閉塞している状態)で、冷媒流路形成部21の残部の幅方向Dwの側壁27b,27dと平行に厚さ方向第一側Dtuに向かって延びる二つの幅方向カバー側壁43b,43dと、冷媒流路形成部21の長手方向Daの第二側Da2に位置する側壁27aと平行に厚さ方向第一側Dtuに向かって延びる一つの長手方向カバー側壁43aと、幅方向カバー側壁43b,43dの厚さ方向第一側Dtuの縁部と、長手方向カバー側壁43aの厚さ方向第一側の縁部とを繋いて長手方向Da及び幅方向Dwに広がるカバー天井壁44と、を有している。
【0019】
長手方向カバー側壁43aには、パワーモジュール13と筐体11の外部とを電気的に接続するためのバスバー15などの導体を貫通させるための複数の貫通孔45が形成されている。そして、本実施形態のバスバー15には、それぞれ貫通型の電流センサー16が取り付けられており、これら電流センサー16が、パワーモジュール13と共にパワーモジュール収容空間42に収容されている。さらに、本実施形態では、パワーモジュール13の動作を制御する制御基板14もパワーモジュール収容空間42に収容されている。
【0020】
本実施形態における冷媒流路形成部21においては、コンデンサ収容部22と一体に形成された冷媒流路形成部21の一部がコンデンサ冷却部21Aをなし、コンデンサ冷却部21Aを除く冷媒流路形成部21の残部がパワーモジュール冷却部21Bをなしている。
【0021】
コンデンサ12は、電力変換装置100へ入力される外部電力から、例えば高周波成分等を除去する。本実施形態におけるコンデンサ12としては、例えば、フィルムコンデンサ等を例示できる。本実施形態の電力変換装置100は、複数のコンデンサ12を備えており、これら複数のコンデンサ12が全てコンデンサ収容部22に収容されている。
【0022】
図6は、本開示の第一実施形態におけるコンデンサ収容部の部分断面を示す斜視図である。
図6に示すように、本実施形態におけるコンデンサ収容部22には、コンデンサ12が収容された状態で、熱伝導性に優れて且つ電気絶縁性の高い充填剤46により満たされている。つまり、コンデンサ12の外面には充填剤46が密着しており、コンデンサ12の熱は、充填剤46を介してコンデンサ収容部22及び冷媒流路形成部21に伝わる。このコンデンサ収容部22内を満たす充填剤46としては、例えば、液体の状態でコンデンサ収容部22に流し込まれた後に固化するタイプの充填剤46を用いることができる。
【0023】
パワーモジュール13は、面実装タイプのパワーMOSFETやIGBT等のパワー半導体素子を回路基板上に複数実装したモジュールである。
図3に示すように、本実施形態においては、三相電力を出力可能なパワーモジュール13を例示している。パワーモジュール13は、上記の筐体11のパワーモジュール収容空間42の内部に設置されている。より具体的には、本実施形態のパワーモジュール13は、冷媒流路形成部21の残部の表面に固定されている。そして、本実施形態のパワーモジュール13は、その回路基板の広がる方向と冷媒流路形成部21の第一壁部25の広がる方向とを一致させた姿勢で設置されている。
【0024】
ここで、上記冷媒流路形成部21の残部であるパワーモジュール冷却部21Bは、冷媒流路形成部本体28の表面に、パワーモジュール収容空間42と冷媒流路形成部21の内部の流路Rとを連通させる連通開口部47を有している。本実施形態のパワーモジュール13は、この連通開口部47よりも大きく形成され、連通開口部47を塞ぐように冷媒流路形成部21に固定されている。なお、連通開口部47の周囲は、連通開口部47とパワーモジュール13との隙間から冷媒が漏出しないようにシールされている。
【0025】
図5に示すように、パワーモジュール13は、更に、パワー半導体素子を冷却するための冷却フィン48を備えている。冷却フィン48は、パワー半導体素子の実装される実装面とは反対側を向く回路基板の裏面に固定されている。冷却フィン48は、回路基板と電気的に絶縁されており、パワー半導体素子から発せられた熱が伝わるようになっている。この冷却フィン48の少なくとも一部は、上記冷媒流路形成部21の連通開口部47を介して、冷媒流路形成部21の流路R内に位置している。つまり、冷却フィン48及び回路基板等を介してパワー半導体素子と冷媒とが間接的に熱交換可能とされている。
【0026】
図に示すように、上記冷媒流路形成部21のうちのパワーモジュール冷却部21Bは、流路Rとして、上述した連通開口部47と連通するモジュール冷却流路51を有している。このモジュール冷却流路51には、上述したパワーモジュール13の冷却フィン48が配置されている。このモジュール冷却流路51は、厚さ方向Dtから見て冷媒入口32と重なる位置に形成され、冷媒入口32から冷媒が流入するようになっている。本実施形態のモジュール冷却流路51は、厚さ方向Dtから見て連通開口部47と同一の長方形状に形成されている。また、本実施形態のモジュール冷却流路51は、幅方向Dwに長い長方形状をなしている。また、本実施形態のモジュール冷却流路51は、厚さ方向Dtで冷却フィン48と蓋部29とにより挟まれている。なお、モジュール冷却流路51は、上記形状に限られず、例えば、冷却フィン48の形状に応じて適宜形成すればよい。
【0027】
コンデンサ冷却部21Aは、パワーモジュール冷却部21Bのモジュール冷却流路51の下流側に連通されたコンデンサ冷却流路52を有している。本実施形態のコンデンサ冷却流路52は、モジュール冷却流路51に対して、幅方向Dwの一方側に位置して長手方向に延びる接続流路53を介して連通している。コンデンサ冷却流路52は、上記流路凹部30としてのコンデンサ流路凹部54と、幅方向Dwの一方側から他方側に向かって延びる第一流路壁55と、幅方向Dwの他方側から一方側に向かって延びる第二流路壁56とを備えている。第一流路壁55の端部55tは、コンデンサ流路凹部54の幅方向Dw他方側の縁部57から離間し、第二流路壁56の端部56tは、コンデンサ流路凹部54の幅方向Dw一方側の縁部58から離間している。そして、これら第一流路壁55と第二流路壁56とは、長手方向Daに間隔をあけて交互に形成されている。さらに、第一流路壁55及び第二流路壁56の蓋部29側の縁部55e,56eは、それぞれ蓋部29と密着している。つまり、コンデンサ冷却部21Aのコンデンサ冷却流路52を流れる冷媒は、幅方向Dwの第一側に向かった後、第二側に向かって流れ、また、幅方向Dwの第一側に向かう、というように、繰り返し向きを変えて蛇行しながら流れることとなる。
【0028】
《作用効果》
上記第一実施形態の筐体11は、冷媒流路形成部21と、コンデンサ収容部22と、カバー部23と、を備えている。冷媒流路形成部21は、冷媒の流れる流路Rを形成している。コンデンサ収容部22は、冷媒流路形成部21の一部と一体に形成されてコンデンサ12を収容するコンデンサ収容空間35を形成している。カバー部23は、冷媒流路形成部21の残部とコンデンサ収容部22とともに少なくともパワーモジュール13を収容するパワーモジュール収容空間42を画成している。そして、冷媒流路形成部21は、コンデンサ収容部22を冷却するコンデンサ冷却部21Aと、パワーモジュール13を冷却するパワーモジュール冷却部21Bと、を有している。
【0029】
このような筐体11によれば、冷媒流路形成部21によりコンデンサ12とパワーモジュール13の両方を冷却することができる。さらに、コンデンサ収容部22と冷媒流路形成部21の一部とを一体に形成していることで、冷媒流路形成部21の一部を有効利用してコンデンサ収容空間35を画成することができる。また、カバー部23だけではなく、冷媒流路形成部21の残部とコンデンサ収容部22とを有効利用してパワーモジュール収容空間42を形成しているので、パワーモジュール収容空間42をコンパクトに形成することができる。さらに、カバー部23とコンデンサ収容部22と冷媒流路形成部21とにより筐体11の外殻を形成することができるため、コンデンサ冷却構造を外側から覆うケーシングを別途設ける必要がなくなる。したがって、コンデンサ12を有効に冷却しつつ大型化を抑えることができる。
【0030】
上記第一実施形態のパワーモジュール冷却部21Bは、更に、パワーモジュール収容空間42と、流路Rとを連通させる連通開口部47を有している。
このような筐体11によれば、パワーモジュール13の冷却フィン48を冷媒に直接接触させることが可能となり、パワーモジュール13をより効率よく冷却することが可能となる。
【0031】
上記第一実施形態におけるカバー部23は、パワーモジュール13に接続されるバスバー15を貫通可能な貫通孔45を有している。そして、パワーモジュール収容空間42は、バスバー15を流れる電流を測定する電流センサー16を収容可能とされている。
したがって、パワーモジュール収容空間42に電流センサー16を収容できるため、例えば、電流センサー16を冷媒流路形成部21に接触させることで、電流センサー16も冷却することが可能となる。したがって、電流センサー16を冷却するための冷却機構を個別に設ける場合と比較して設置スペースが小さくて済むため、筐体11の設置自由度を向上させることができる。
【0032】
上記第一実施形態におけるコンデンサ収容部22は、コンデンサ収容空間35を複数の区画に隔てる隔壁41を備えている。
このように構成することで、コンデンサ収容部22に収容されたコンデンサ12の熱が隔壁41を介してコンデンサ冷却部21Aに伝わるようになる。したがって、コンデンサ12をより効率よく冷却することが可能となる。
【0033】
上記第一実施形態におけるコンデンサ収容空間35は、充填剤46により満たされている。
このようにすることで、コンデンサ12の周囲に充填剤46が接触し、充填剤46がコンデンサ収容部22の各壁部(幅方向側壁36b,36d、天井壁37)及びコンデンサ冷却部21Aに接触する状態となる。そのため、コンデンサ12の熱が充填剤46を介して、各壁部及びコンデンサ冷却部21Aに伝わるため、充填剤46が充填されていない場合と比較して、冷却効率を更に高めることができる。
【0034】
《第二実施形態》
次に、本開示の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態の筐体は、上述した第一実施形態の筐体11に対して、冷却流路形成部の構成のみが異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図7は、本開示の第二実施形態における冷媒流路形成部の部分断面図である。
図8は、
図7における要部拡大図である。
【0035】
この第二実施形態における電力変換装置は、第一実施形態の電力変換装置100と同様に、筐体11と、コンデンサ12と、パワーモジュール13と、制御基板14と、バスバー15と、電流センサー16と、をそれぞれ備えている。また、第二実施形態における筐体11は、冷媒流路形成部21と、コンデンサ収容部22と、カバー部23と、を備えている。
【0036】
図7に示すように、この第二実施形態における冷媒流路形成部21は、第一実施形態の冷媒流路形成部21と同様に、コンデンサ収容部22と一体に形成されたコンデンサ冷却部21Aと、パワーモジュール13を冷却するパワーモジュール冷却部21Bとを備えている。
【0037】
さらに、
図7、
図8に示すように、この第二実施形態のコンデンサ冷却部21Aは、第一流路形成部61と、第二流路形成部62とを備えている。第一流路形成部61は、冷媒流路形成部21の第一壁部25に沿う第一流路63を形成している。第二流路形成部62は、第一流路形成部61と連通しコンデンサ収容部22の長手方向側壁36cに沿う第二流路64を形成している。第二流路形成部62は、コンデンサ収容部22の長手方向側壁36cと一体に形成されている。この第二実施形態の第二流路形成部62は、第一流路形成部61のうち、最も長手方向の第一側Da1から厚さ方向第一側Dtuに延びる流路Rを形成している。この第二流路形成部62によって形成された第二流路64には、第一流路63を流れた冷媒の一部が流入するようになっている。この第二流路64を流入した冷媒は、第二流路64に流入しなかった冷媒と共に冷媒出口33から冷媒流路形成部21の外部に排出される。なお、第二流路64が長手方向側壁36cに沿うように形成される場合について説明したが、第二流路64は、長手方向側壁36cに沿うように形成される場合に限られない。第二流路64は、例えば、二つの幅方向側壁36b,36dのうちの一方に沿うように形成されてもよい。つまり、第二流路64は、二つの幅方向側壁36b,36d及び長手方向側壁36cのうち、何れか一つの側壁に沿うように形成されてもよい。更に、第二流路64は、二つの幅方向側壁36b,36d及び長手方向側壁36cのうち、何れか二つ又は全ての側壁に沿うように形成されてもよい。
【0038】
《作用効果》
上記第二実施形態のコンデンサ冷却部21Aは、冷媒流路形成部21の第一壁部25に沿う第一流路63を形成する第一流路形成部61と、第一流路形成部61と連通しコンデンサ収容部22の長手方向側壁36cに沿う第二流路64を形成する第二流路形成部62と、を備えている。
したがって、第一実施形態の作用効果に加え、コンデンサ収容部22のうち、冷媒流路形成部21の第一壁部25側だけではなく、長手方向側壁36c側からもコンデンサ収容部22を冷却することが可能となる。その結果、装置の大型化を抑制しつつ、コンデンサ収容部22に収容されたコンデンサ12をより効率よく冷却することが可能となる。
【0039】
《他の実施形態》
本開示は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した各実施形態では、平面視で筐体11が長方形に形成される場合について説明したが、筐体11の平面視形状は、長方形に限られない。
【0040】
また、上記第一実施形態では、電流センサー16がパワーモジュール収容空間42に収容されている場合について説明したが、電流センサー16は、筐体11の外部に配置してもよい。また、制御基板14も、筐体11の外部に配置するようにしてもよい。
上記第一実施形態では、隔壁41によってコンデンサ収容空間35を複数の区画に隔てる場合について説明したが、隔壁41を省略してもよい。同様にコンデンサ収容空間35を充填剤により満たす場合について説明したが、充填剤を省略してもよい。
さらに、上記第一実施形態では、パワーモジュール冷却部21Bがパワーモジュール収容空間42と流路Rとを連通させる連通開口部47を備える場合について説明したが、連通開口部47は、必要に応じて設ければよく、例えば、連通開口部47を設けない構成としてもよい。
【0041】
〈付記〉
実施形態に記載の筐体及び電力変換装置は、例えば以下のように把握される。
【0042】
(1)第1の態様によれば筐体11は、コンデンサ12とパワーモジュール13とを有した電力変換装置100の筐体11であって、冷媒の流れる流路Rを形成する冷媒流路形成部21と、前記冷媒流路形成部21の一部と一体に形成されてコンデンサ12を収容するコンデンサ収容空間35を形成するコンデンサ収容部22と、前記冷媒流路形成部21の残部と前記コンデンサ収容部22とともに少なくともパワーモジュール13を収容するパワーモジュール収容空間42を画成するカバー部23と、を備え、前記冷媒流路形成部21は、前記コンデンサ収容部22を冷却するコンデンサ冷却部21Aと、前記パワーモジュール13を冷却するパワーモジュール冷却部21Bと、を有する。
電力変換装置100としては、例えば、インバータ装置、コンバータ装置、及び、これらインバータとコンバータとを組み合わせた装置が挙げられる。
【0043】
これにより、冷媒流路形成部21によりコンデンサ12とパワーモジュール13の両方を冷却することができる。さらに、コンデンサ収容部22と冷媒流路形成部21の一部とを一体に形成していることで、冷媒流路形成部21の一部を有効利用してコンデンサ収容空間35を画成することができる。また、カバー部23だけではなく、冷媒流路形成部21の残部とコンデンサ収容部22とを有効利用してパワーモジュール収容空間42を形成しているので、パワーモジュール収容空間42をコンパクトに形成することができる。さらに、カバー部23とコンデンサ収容部22と冷媒流路形成部21とにより筐体11の外殻を形成することができるため、コンデンサ冷却構造を外側から覆うケーシングを別途設ける必要がなくなる。したがって、コンデンサ12を有効に冷却しつつ大型化を抑えることができる。
【0044】
(2)第2の態様によれば筐体11は、(1)の筐体11であって、前記コンデンサ冷却部21Aは、前記冷媒流路形成部21の第一壁部25に沿う第一流路63を形成する第一流路形成部61と、前記第一流路形成部61と連通し前記コンデンサ収容部22の側壁に沿う第二流路64を形成する第二流路形成部62と、を備える。
これにより、コンデンサ収容部22のうち、冷媒流路形成部21の第一壁部25側だけではなく、長手方向側壁36c側からもコンデンサ収容部22を冷却することが可能となる。その結果、大型化を抑制しつつ、コンデンサ収容部22に収容されたコンデンサ12をより効率よく冷却することが可能となる。
【0045】
(3)第3の態様によれば筐体11は、(1)又は(2)の筐体11であって、前記パワーモジュール冷却部21Bは、前記パワーモジュール収容空間42と、前記流路Rとを連通させる連通開口部47を有している。
これにより、パワーモジュール13の冷却フィン48を冷媒に直接接触させることが可能となり、パワーモジュール13をより効率よく冷却することが可能となる。
【0046】
(4)第4の態様によれば筐体11は、(1)から(3)の何れか一つの筐体11であって、前記カバー部23は、前記パワーモジュール13に接続される導体を貫通可能な貫通孔45を有し、前記パワーモジュール収容空間42は、前記導体を流れる電流を測定する電流センサー16を収容可能とされている。
これにより、パワーモジュール収容空間42に電流センサー16を収容できるため、例えば、電流センサー16を冷媒流路形成部21に接触させることで、電流センサー16も冷却することが可能となる。したがって、電流センサー16を冷却するための冷却機構を個別に設ける場合と比較して設置スペースが小さくて済むため、筐体11の設置自由度を向上させることができる。
【0047】
(5)第5の態様によれば筐体11は、(1)から(4)の何れか一つの筐体11であって、前記コンデンサ収容部22は、コンデンサ収容空間35を複数の区画に隔てる壁部41を備える。
壁部41としては、例えば、隔壁が挙げられる。
これにより、コンデンサ収容部22に収容されたコンデンサ12の熱が壁部41を介してコンデンサ冷却部21Aに伝わるようになる。したがって、コンデンサ12をより効率よく冷却することが可能となる。
【0048】
(6)第6の態様によれば電力変換装置100は、(1)から(5)の何れか一つの筐体11と、前記コンデンサ収容空間35に収容されたコンデンサ12と、前記パワーモジュール収容空間42に収容されたパワーモジュール13と、を備える。
これにより、コンデンサ12とパワーモジュール13とを備える電力変換装置100のコンパクト化を図ることができる。
【0049】
(7)第7の態様によれば電力変換装置100は、(6)の電力変換装置100であって、前記コンデンサ収容空間35は、充填剤46により満たされている。
これにより、コンデンサ12の周囲に充填剤が接触し、充填剤46がコンデンサ収容部22の各壁部に接触する状態となる。そのため、コンデンサ12の熱が充填剤を介して、壁部41及びコンデンサ冷却部21Aに伝わるため、充填剤46が充填されていない場合と比較して、冷却効率を更に高めることができる。
【符号の説明】
【0050】
11…筐体 12…コンデンサ 13…パワーモジュール 14…制御基板 15…バスバー 16…電流センサー 21…冷媒流路形成部 21A…コンデンサ冷却部 21B…パワーモジュール冷却部 22…コンデンサ収容部 23…カバー部 25…第一壁部 26…第二壁部 27a~27d…側壁 28…冷媒流路形成部本体 29…蓋部 30…流路凹部 31…蓋部本体 32…冷媒入口 33…冷媒出口 35…コンデンサ収容空間 36c…長手方向側壁 36b,36d…幅方向側壁 37…天井壁 38…開口部 39…端子部 41…隔壁 42…パワーモジュール収容空間 43a…長手方向カバー側壁 43b,43d…幅方向カバー側壁 44…カバー天井壁 45…貫通孔 46…充填剤 47…連通開口部 48…冷却フィン 51…モジュール冷却流路 52…コンデンサ冷却流路 53…接続流路 54…コンデンサ流路凹部 55…第一流路壁 56…第二流路壁 56t,57t…端部 57,58…縁部 61…第一流路形成部 62…第二流路形成部 63…第一流路 64…第二流路 100…電力変換装置 R…流路