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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160279
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】電池温度管理システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20221012BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20221012BHJP
【FI】
B60K11/04 L
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/633
H01M10/651
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064931
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】大路 潔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 敏貴
(72)【発明者】
【氏名】増田 渉
(72)【発明者】
【氏名】小池 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】種平 貴文
(72)【発明者】
【氏名】三国 祐亮
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC05
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC14
3D038AC23
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】車両停車時やアイドルストップ時にも電池を冷却することができる電池温度管理システムを提供する。
【解決手段】電池温度管理システム13は、電池130、筐体131、吸気路132、排気路133、制御部を備える。電池130は、エンジンルーム1aに搭載されている。筐体131は、内部空間131aに電池130を収容する。吸気路132は、内部空間131aと車室1bとを接続する。排気路133は、内部空間131aとタイヤハウス1gの内側空間とを接続する。制御部は、車両の停車中に、ラジエータファン12を駆動させる。車両の走行時および停車時において、タイヤハウス1gの内側空間は負圧状態となり、吸気路132を通り内部空間131aに導入された空気は、排気路133を通り、タイヤハウス1gの内側空間へと流れる。これにより内部空間131aに収容された電池130は冷却される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータファンが設けられた車両のエンジンルームに搭載された電池と、
前記電池を収容する筐体と、
前記筐体に接続され、当該筐体内に前記エンジンルームの外から空気を導入するための第1通気路と、
前記筐体に接続され、当該筐体内から前記エンジンルームの外へと空気を導出するための第2通気路と、
前記車両の停車中に、前記ラジエータファンを駆動させる制御部と、
を備え、
前記第2通気路は、前記筐体に接続されたのとは反対側の端部が、前記車両の走行時、および前記車両の停車時且つ前記ラジエータファンの駆動時に、ともに負圧状態となる箇所に配置されている、
電池温度管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記車両は、前記エンジンルームの鉛直方向の下部を覆うアンダーカバーを有しており、
前記負圧状態となる箇所は、タイヤハウスの内側空間またはフロアトンネルの内側空間である、
電池温度管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記負圧状態となる箇所は、タイヤハウスの内側空間であり、
前記車両は、前記エンジンルームと前記タイヤハウスとの間を仕切るスプラッシュシールドを有しており、
前記スプラッシュシールドは、前記エンジンで生成された駆動力を前記タイヤハウスに配された車輪に伝達するためのドライブシャフトが挿通するためのドライブシャフト挿通部を有し、
前記第2通気路は、前記ドライブシャフト挿通部を介して前記タイヤハウスの内側空間に配置されている、
電池温度管理システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第2通気路は、鉛直方向に延びるように形成された上下方向延設部を有する、
電池温度管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第2通気路は、前記上下方向延設部の下端に接続され、当該下端から前記鉛直方向に対して交差する方向に延びるように形成された交差方向延設部をさらに有する、
電池温度管理システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れかに記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第2通気路は、前記筐体に対して、当該筐体の底部に接続されている、
電池温度管理システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の電池温度管理システムにおいて、
前記第1通気路は、前記筐体に接続されたのとは反対側の端部が、前記車両の車室に配置されている、
電池温度管理システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の電池温度管理システムにおいて、
前記制御部は、
前記エンジンの水温、前記エンジンルームの温度、および前記電池の温度をそれぞれ取得し、
前記車両の停車中において、前記エンジンの水温、前記エンジンルームの温度、および前記電池の温度のそれぞれについて、予め規定されたそれぞれの所定温度を超える場合に、前記ラジエータファンを駆動させる、
電池温度管理システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の電池温度管理システムにおいて、
前記電池は、非水電解質電池である、
電池温度管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池温度管理システムに関し、特に、車両のエンジンルームに搭載される電池温度管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される電池としては、従来から鉛電池が用いられてきたが、近年では、エネルギー密度が鉛電池に比べて高いリチウムイオン電池等の非水電解質電池へと置き換えが検討されている。非水電解質電池は、上記のようにエネルギー密度が鉛電池よりも高いため、小型・軽量化を図ることができる。このため、鉛電池を非水電解質電池へと置き換えることにより、車両全体の軽量化・小型化を図ることができるとともに、車両設計の自由度を高くすることもできる。
【0003】
ところで、車両においては、鉛電池はエンジンルームに搭載されていた。このため、鉛電池を非水電解質電池へと置き換えるにあたっても、搭載場所をエンジンルームとすることが車両設計という観点から好適である。
【0004】
ここで、電池は電気化学反応により電力を生成するため、温度管理が重要となる。特に、非水電解質電池に対する温度管理は、従来の鉛電池に比べてより重要となる。例えば、高温環境下に非水電解質電池が置かれた場合には、性能の低下や寿命の劣化という問題を生じ易い。このため、従来の鉛電池では、走行風やラジエータファンの風などで冷却を行っていたが、非水電解質電池への置き換えにあたり電池の冷却手段は、より重要な課題となる。このような問題に対して、エンジンルームに搭載される電池の冷却手段が種々検討されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1には、電池が収容された筐体に空気導入管と空気導出管とが接続された構成が開示されている。空気導入管は、外気を導入可能な箇所まで延伸形成され、空気導出管は、エンジンに空気を送るためのエアダクトに接続されている。エンジンが駆動している状態において、空気導出管におけるエアダクトへの接続箇所には負圧が発生し、これにより空気導入管から筐体内を介してエアダクトへと空気の流れが形成され、電池が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-178814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の構成では、吸気負圧による空気の流れを用いて電池を冷却する構成となっているので、アイドルストップ時などには電池の冷却が行えないことが問題となる。
【0008】
なお、電池を冷却するための専用のファンを設けることも考えられるが、この場合には、エンジンルーム内にファンを設置するための領域を確保することが必要となるため、鉛電池を非水電解質電池へと置き換えることによる小型化のメリットが相殺されてしまう。また、専用のファンを設けることによるコストの上昇を招くことにもなる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、車両停車時やアイドルストップ時にも電池を冷却することができる電池温度管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る電池温度管理システムは、電池と、筐体と、第1通気路と、第2通気路と、制御部とを備える。前記電池は、ラジエータファンが設けられた車両のエンジンルームに搭載されている。前記筐体は、前記電池を収容する。前記第1通気路は、前記筐体に接続され、当該筐体内に前記エンジンルームの外から空気を導入するための通気路である。前記第2通気路は、前記筐体に接続され、当該筐体内から前記エンジンルームの外へと空気を導出するための通気路である。前記制御部は、前記車両の停車中に、前記ラジエータファンを駆動させる。
【0011】
本態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第2通気路は、前記筐体に接続されたのとは反対側の端部が、前記車両の走行時、および前記車両の停車時且つ前記ラジエータファンの駆動時に、ともに負圧状態となる箇所に配置されている。
【0012】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第2通気路の一端が筐体に接続され、他端(上記反対側の端部)が上記負圧状態となる箇所に配置されている。上記の負圧状態は、車両の走行時においては走行風により生成される負圧状態であり、車両の停車時においてはラジエータファンの駆動により発生する風の流れの乱れによる生成される負圧状態である。
【0013】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、車両の走行時には走行風により生成される負圧状態により第1通気路から筐体を通り第2通気路への空気の流れができることで電池が冷却される。また、上記態様に係る電池温度管理システムでは、車両の停車時にはラジエータファンの駆動に伴って生成される負圧状態により第1通気路から筐体を通り第2通気路への空気の流れができることで電池が冷却される。なお、上記態様に係る電池温度管理システムでは、上記特許文献1に開示の装置のようにエンジンの駆動時にのみ負圧状態が生成されるエアダクトに第2通気路を接続するものではないので、アイドルストップ時においても電池の冷却がなされる。
【0014】
また、上記態様に係る電池温度管理システムでは、エンジンルームに搭載された電池を冷却するための専用のファンを設けるのではなく、既存のラジエータファンの駆動により負圧状態が生成される箇所に第2通気路の端部を配置するものであるので、システムの大型化やコストの上昇などを抑えることができる。
【0015】
以上のように、上記態様に係る電池温度管理システムでは、車両の走行時はもちろん、車両の停車時やアイドルストップ時にも電池を冷却することができる。
【0016】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記車両は、前記エンジンルームの鉛直方向の下部を覆うアンダーカバーを有しており、前記負圧状態となる箇所は、タイヤハウスの内側空間またはフロアトンネルの内側空間である、とすることも可能である。
【0017】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、エンジンルームの下部がアンダーカバーで覆われており、上記負圧状態となる箇所がタイヤハウスの内側空間またはフロアトンネルの内側空間としている。ここで、本発明者等は、鋭意検討の結果、エンジンルームの下部がアンダーカバーで覆われている場合において、車両の走行時、および車両の停車時にラジエータファンを駆動させたとき時の両方で負圧状態となる箇所(エンジンルーム周辺で負圧状態となる箇所)がタイヤハウスの内側空間またはフロアトンネルの内側空間であることを究明した。これより、上記態様に係る電池温度管理システムでは、第2通気路の他端をタイヤハウスの内側空間またはフロアトンネルの内側空間に配置することとしている。よって、上記態様に係る電池温度管理システムでは、車両が走行中か停車中かの如何にかかわらず、エンジンルームに搭載された電池を冷却することができる。
【0018】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記負圧状態となる箇所は、タイヤハウスであり、前記車両は、前記エンジンルームと前記タイヤハウスとの間を仕切るスプラッシュシールドを有しており、前記スプラッシュシールドは、前記エンジンで生成された駆動力を前記タイヤハウスに配された車輪に伝達するためのドライブシャフトが挿通するためのドライブシャフト挿通部を有し、前記第2通気路は、前記ドライブシャフト挿通部を介して前記タイヤハウスの内側空間に配置されている、とすることも可能である。
【0019】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第2通気路の他端をタイヤハウスの内側空間に配置することとしている。そして、第2通気路がスプラッシュシールドのドライブシャフト挿通部を介してタイヤハウスの内側空間に挿通させた構成を採用している。このように、スプラッシュシールドのドライブシャフト挿通部を利用して第2通気路の他端をタイヤハウスの内側空間に配置させることとすれば、第2通気路を挿通させるために車体に孔などを開ける必要がない。
【0020】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第2通気路は、鉛直方向に延びるように形成された上下方向延設部を有する、とすることも可能である。
【0021】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第2通気路が上下方向延設部を有することとしている。このため、仮に第2通気路の他端から水や異物が侵入した場合であっても、上下方向延設部により侵入した水や異物が筐体内に侵入するのを防ぐことができる。このため、電池の高い安全性を確保することができる。
【0022】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第2通気路は、前記上下方向延設部の下端に接続され、当該下端から前記鉛直方向に対して交差する方向に延びるように形成された交差方向延設部をさらに有する、とすることも可能である。
【0023】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、上下方向延設部の下端で接続され上記交差方向に延びるように形成された交差方向延設部を有することとしている。このため、仮に第2通気路の他端から水や異物が侵入した場合であっても、上下方向延設部と交差方向延設部との交差部分に侵入した水や異物が衝突し、当該交差部分よりも筐体側に水や異物が侵入するのを防ぐことができる。よって、電池のより高い安全性を確保することができる。
【0024】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第2通気路は、前記筐体に対して、当該筐体の底部に接続されている、とすることも可能である。
【0025】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第2通気路が筐体の底部に接続されていることとしている。このため、仮に第2通気路の他端から水や異物が侵入した場合にあっても、これら水や異物が筐体内に侵入するのを確実に防ぐことができる。また、第2通気路に結露が生じた場合にも、結露水が筐体内に侵入するのを防ぐこともできる。さらに、筐体内で結露が生じた場合にも、結露水が第2通気路を通じて排出される。よって、電池のより高い安全性を確保することができる。
【0026】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記第1通気路は、前記筐体に接続されたのとは反対側の端部が、前記車両の車室に配置されている、とすることも可能である。
【0027】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、第1通気路が車室と筐体とを繋ぐように設けられている。車室は、エンジンルームや車外に比べて安定した温度管理がなされるため、車室の空気を筐体に導入することで、電池を適切な温度域で管理するのに好適である。
【0028】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記制御部は、前記エンジンの水温、前記エンジンルームの温度、および前記電池の温度をそれぞれ取得し、前記車両の停車中において、前記エンジンの水温、前記エンジンルームの温度、および前記電池の温度のそれぞれについて、予め規定されたそれぞれの所定温度を超える場合に、前記ラジエータファンを駆動させる、とすることも可能である。
【0029】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、車両の停車時において、エンジンの水温、エンジンルームの温度、および電池の温度のそれぞれが所定温度を超えるか否かを判断した上でラジエータファンを駆動させるか否かを決めることとしている。このため、車両の停車中であっても、不必要にラジエータファンを駆動させることがなく、電力消費を抑えることができるとともに、車両の振動発生も抑えることができる。
【0030】
上記態様に係る電池温度管理システムにおいて、前記電池は、非水電解質電池である、とすることも可能である。
【0031】
上記態様に係る電池温度管理システムでは、電池として非水電解質電池を採用する。非水電解質電池は、高温となった場合に性能の低下や寿命の劣化といった問題を生じ易いが、上記のように車両の走行中および停車中、さらにはアイドルストップ中においても電池の冷却が可能であり、電池の性能の低下や寿命の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
上記の各態様に係る電池温度管理システムでは、車両停車時やアイドルストップ時にも電池を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態に係る電池温度管理システムが適用された車両の一部構成を示す模式図である。
図2】エンジンルーム内の一部構成を示す斜視図である。
図3】エンジンルームおよびタイヤハウスの構成を示す平面図である。
図4】ファン駆動時の空気の流れを示す模式図である。
図5】電池温度管理システムの構成を示す断面図である。
図6】筐体に接続された排気路の構成を示す断面図である。
図7】電池温度管理システムの制御に係る構成を示すブロック図である。
図8】コントローラが実行する電池の冷却方法を示すフローチャートである。
図9】(a)は車両が走行中における筐体からの空気の排出メカニズムを説明するための模式図であり、(b)は車両が停車中における筐体からの空気の排出メカニズムを説明するための模式図である。
図10】車両が走行中の場合と、車両が停車中の場合との電池温度の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0035】
以下の説明で用いる図において、「Up」は鉛直上方、「Lo」は鉛直下方、「Fr」は車両前方、「Re」は車両後方をそれぞれ示す。
【0036】
1.車両1のエンジンルーム1a
本実施形態に係る電池温度管理システム13が適用される車両1のエンジンルーム1a内の構成について、図1から図3を用いて説明する。
【0037】
図1および図2に示すように、車両1は、前部にエンジン10が搭載されるエンジンルーム1aと、エンジンルーム1aに対してダッシュパネル1cを挟んだ後方に設けられた車室1cと、エンジンルーム1aに連続し、車室1cの下方であって車幅方向の中央部分に設けられたフロアトンネル1eとを有する。エンジンルーム1aは、上部がボンネット1fで覆われ、下部がアンダーカバー1dで覆われている。
【0038】
エンジンルーム1aには、エンジン10の他に、ラジエータ11と、ラジエータファン12と、電池温度管理システム13とが搭載されている。ラジエータ11およびラジエータファン12は、エンジン10の前方に配置されており、エンジン10の冷却液を冷却するための装置である。
【0039】
電池温度管理システム13は、電池130と、電池130を収容する筐体131と、筐体131に接続された吸気路(第1通気路)132および排気路(第2通気路)133とを有する。本実施形態に係る電池温度管理システム13では、電池130の一例として非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)が採用されている。
【0040】
吸気路132は、一端が筐体131に接続され、他端がダッシュパネル1cを挿通して車室1bに配置されている。吸気路132は、車室1bの空気を筐体131内に導入するための通路部である。図1から図3に示すように、排気路133は、一端が筐体131に接続され、他端がタイヤハウス1gの内部区間に配置されている。
【0041】
図2および図3に示すように、タイヤハウス1gは、前後方向がマッドガード19で覆われ、車幅方向内側がスプラッシュシールド20,21で覆われている。スプラッシュシールド(フロント側スプラッシュシールド)20は、ドライブシャフト18が挿通する部分(ドライブシャフト挿通部)よりも前方に配されており、スプラッシュシールド(リヤ側スプラッシュシールド)21は、ドライブシャフト18が挿通する部分(ドライブシャフト挿通部)よりも後方に配されている。車両1の前後方向において、フロント側スプラッシュシールド20とリヤ側スプラッシュシールド21との間には隙間Gが開けられている。ドライブシャフト挿通部は、この隙間Gである。電池温度管理システム13の排気路133は、ドライブシャフト挿通部である隙間Gを挿通してタイヤハウス1gの内側空間に配置されている。
【0042】
図2に示すように、電池温度管理システム13の筐体131は、車両1の上下方向において、フロントフレーム14とフェンダーパネル17が接合されるエプロンフレーム15との間の位置に配されている。本実施形態では、筐体131は、車幅方向におけるサスペンションタワー16の内側に配されている。
【0043】
2.車両1の停車時にラジエータファン12を駆動した際の空気の流れ
車両1の停車中にラジエータファン12を駆動した際の空気の流れについて、図4を用いて説明する。
【0044】
図4に示すように、ラジエータファン12を駆動すると、車両1の外方からエンジンルーム1aへと空気が取り込まれる(矢印A1)。この際、空気は、ラジエータ11を通過する。エンジンルーム1a内に取り込まれた空気は、フロント側スプラッシュシールド20とリヤ側スプラッシュシールド21との隙間Gからタイヤハウス1gの内側空間に導出される(矢印A2)。そして、タイヤハウス1gの内側空間に配された車輪22との間の隙間を通過して(矢印A3)、車両1の外方に排出される。
【0045】
なお、エンジンルーム1aの下部はアンダーカバー1dで覆われ、上部はボンネット1fで覆われているため、エンジンルーム1aからの空気の排出経路は、隙間Gを通る経路ということになる。
【0046】
ただし、図4では図示を省略しているが、フロアトンネル1eの内側空間へもエンジンルーム1aからの空気が排出される。
【0047】
車両1の停車中において、ラジエータファン12の駆動によりエンジンルーム1aに取り込まれた空気の排出部であるタイヤハウス1gの内側空間およびフロアトンネル1eの内側空間では、負圧状態が生成される。
【0048】
3.電池温度管理システム13の構成
電池温度管理システム13の構成について、図5および図6を用いて説明する。なお、図5は、筐体131を車幅方向から断面視した図であり、図6は、筐体131および排気路133を前方から断面視した図である。
【0049】
図5に示すように、筐体131は、略直方体形状の内部空間131aを有する。筐体131の内部空間131aには、電池130が収容されている。なお、図5および図6では、電池130が筐体131の底壁131c上に載置されている状態で図示しているが、筐体131の底壁131cと電池130との間に隙間を開けた状態とすることもできる。
【0050】
図5に示すように、吸気路132は、筐体131のリヤ側側壁131bを貫通して、筐体131の内部空間131aに接続されている。排気路133は、筐体131の底壁131cを貫通して、筐体131の内部空間131aに接続されている。なお、吸気路132における筐体131の内部空間131aへの接続口、および排気路133における筐体131の内部空間131aへの接続口は、電池130で塞がれない位置にそれぞれ設けられている。
【0051】
筐体131の内部空間131aには、吸気路132を通り車室1b内の空気が導入される。そして、導入された空気は電池130を冷却した後、排気路133を通りタイヤハウス1gの内側空間に送られ、車両1の外に排出される。
【0052】
図6に示すように、排気路133は、上下方向延設部133aと幅方向延設部133bとを有する。上下方向延設部133aは、上端で筐体131の内部空間131aに接続されており、鉛直方向に沿って延びるように形成されている。なお、上下方向延設部133aが延びる方向については、厳密に鉛直方向に合致している必要はない。
【0053】
幅方向延設部133bは、上下方向延設部133aに対して当該上下方向延設部133aの下端で接続されており、車幅方向に沿って延びるように形成されている。幅方向延設部133bの端部開口133cは、上述のように隙間Gを挿通してタイヤハウス1gの内側空間に配置されている。
【0054】
4.電池温度管理システム13の制御に係る構成
電池温度管理システム13の制御に係る構成について、図7を用いて説明する。
【0055】
図7に示すように、電池温度管理システム13は、コントローラ(制御部)134を有する。コントローラ134は、MPU/CPU、ASIC、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサと、メモリとを有し構成されている。コントローラ134には、エンジン水温検出部23、エンジンルーム温度検出部24、電池温度検出部25、車速検出部26、およびラジエータファン12のそれぞれと信号接続されている。コントローラ134は、車速判断部134a、エンジン水温判断部134b、エンジンルーム温度判断部134c、電池温度判断部134d、およびファン駆動指令部134eを有する。これらが果たす役割については、後述する。
【0056】
コントローラ134は、各検出部23~26から取得した検出情報を基に、メモリに予め格納されたファームウェアを実行することにより、ラジエータファン12の駆動制御を実行する。
【0057】
5.電池温度管理システム13による電池130の冷却方法
電池温度管理システム13による電池130の冷却方法について、図8および図9を用いて説明する。
【0058】
図8に示すように、電池温度管理システム13のコントローラ134は、各検出部23~26から、エンジン水温Tw、エンジンルーム温度Tr、電池温度Tb、および車速Vを読み込む(ステップS1)。なお、各検出結果の読み込みは、車両1のキーオン状態の間は連続的または断続的に継続してなされる。
【0059】
次に、コントローラ134の車速判断部134aは、読み込んだ車速Vが予め設定された所定速度Vth以下であるか否かを判断する(ステップS2)。車速判断部134aによるステップS2の判断は、車両1が実質的に停車しているか否かの判断である。よって、所定速度Vthは、例えば5km/hとすることができる。
【0060】
車速判断部134aが車速Vが所定速度Vthを超えると判断した場合には(ステップS2:NO)、制御をリターンする。この場合には、車両1は走行中であると判断される。例えば、図9(a)に示すように、車両1が5km/hよりも高速の速度Vxで走行している場合には、タイヤハウス1gには走行風B1による負圧が発生する。
【0061】
走行風B1によりタイヤハウス1gの内側空間が負圧状態となると、吸気路132を通り車室1b内の空気が筐体131の内部空間131aに吸引される(矢印B2)。そして、筐体131の内部空間131aに導入された空気は、内部空間131aを流通することで電池130を冷却して(矢印B3)、排気路133を通りタイヤハウス1gの内側空間へと排気される(矢印B4)。このように、車両1の走行中においては、必ずしもラジエータファン12を駆動しなくても、走行風B1によりタイヤハウス1gの内側空間に発生する負圧を利用して電池130を冷却することができる。
【0062】
図8に戻って、車速判断部134aが、車速Vが所定速度Vth以下で車両1が実質的に停車していると判断した場合には(ステップS2:YES)、エンジン水温判断部134bが、読み込んだエンジン水温Twが予め設定された所定水温Twthよりも高いか否かを判断する(ステップS3)。
【0063】
エンジン水温判断部134bが車速Vが所定水温Twth以下であると判断した場合には(ステップS3:NO)、エンジンルーム温度判断部134cが、読み込んだエンジンルーム温度Trが予め設定された所定温度Trthよりも高いか否かを判断する(ステップS4)。
【0064】
エンジンルーム温度判断部134cがエンジンルーム温度Trが所定温度Trth以下であると判断した場合には(ステップS4:NO)、電池温度判断部134dが、読み込んだ電池温度Tbが予め設定された所定温度Tbthよりも高いか否かを判断する(ステップS5)。ステップS3からステップS5までの判断ステップの全てにおいて“NO”の場合には、コントローラ134は、制御をリターンする。即ち、車両1の停車中であっても、ラジエータファン12を駆動することによりタイヤハウス1gの内側空間に負圧状態を生成して電池130を冷却する必要はないと判断される場合には、制御がリターンされる。
【0065】
一方、ステップS3からステップS5の判断ステップの何れかが“YES”の場合には、コントローラ134のファン駆動指令部134eが、ラジエータファン12を駆動させる(ステップS6)。図9(b)に示すように、車両1が実質的に停車している状態(渋滞で車両1が極定速で走行している状態を含む。)において、ラジエータファン12を駆動することにより、エンジンルーム1a内に取り込まれた空気C1は、タイヤハウス1gの内側空間から車両1の外に排出される(矢印C5)。このとき、タイヤハウス1gの内側空間は負圧状態となる。
【0066】
ラジエータファン12の駆動に伴ってタイヤハウス1gの内側空間が負圧状態となると、吸気路132を通り車室1b内の空気が筐体131の内部空間131aに吸引される(矢印C2)。そして、筐体131の内部空間131aに導入された空気は、内部空間131aを流通することで電池130を冷却して(矢印C3)、排気路133を通りタイヤハウス1gの内側空間へと排気される(矢印C4)。このように、車両1の停車中においても、ラジエータファン12の駆動に伴いタイヤハウス1gの内側空間を負圧状態とすることにより、電池130を冷却することができる。
【0067】
6.効果
本実施形態に係る電池温度管理システム13では、排気路(第2通気路)133の一端が筐体131の内部空間131aに接続され、他端(幅方向延設部133bの端部開口133c)がタイヤハウス1gの内側空間に配置されている。タイヤハウス1gの内側空間は、車両1の走行時においては走行風B1により負圧状態となり、車両1の停車時においてはラジエータファン12の駆動により発生する風の乱れにより負圧状態となる。
【0068】
電池温度管理システム13では、車両1の走行時には走行風B1により生成される負圧状態により吸気路132から筐体131の内部空間131aを通り排気路133への空気の流れ(B2~B4)ができることで電池130が冷却される。また、電池温度管理システム13では、車両1の停車時にはラジエータファン12の駆動に伴ってタイヤハウス1gの内側空間に生成される負圧状態により吸気路132から筐体131の内部空間131aを通り排気路133への空気の流れ(C2~C4)ができることで電池130が冷却される。なお、電池温度管理システム13では、上記特許文献1に開示の装置のようにエンジンの駆動時にのみ負圧状態が生成されるエアダクトに排気路133を接続するものではないので、アイドルストップ時においても電池130の冷却がなされる。
【0069】
また、電池温度管理システム13では、エンジンルーム1aに搭載された電池130を冷却するための専用のファンを設けるのではなく、既存のラジエータファン12の駆動により停車中にもタイヤハウス1gの内側空間を負圧状態とし、当該タイヤハウス1gの内側空間に排気路133の端部を配置することにより空気の流れをつくるものであるので、システムの大型化やコストの上昇などを抑えることができる。
【0070】
本実施形態に係る電池温度管理システム13が適用される車両1においては、エンジンルーム1aの下部がアンダーカバー1dで覆われた構成を採用した。本発明者等は、本実施形態のようにエンジンルーム1aの下部がアンダーカバー1dで覆われている場合において、車両1の走行時、および車両1の停車時にラジエータファン12を駆動させたとき時の両方で負圧状態となる箇所(エンジンルーム1a周辺で負圧状態となる箇所)がタイヤハウス1gの内側空間またはフロアトンネル1eの内側空間であることを究明した。特に、タイヤハウス1gの内側空間については、車両1の走行時や、車両1の停車時にラジエータファン12を駆動させた場合に、フロアトンネル1eの内側空間よりも顕著に負圧状態となることを見出した。本実施形態に係る電池温度管理システム13では、上記のような究明結果に基づき、排気路133の端部開口133cをタイヤハウス1gの内側空間に配置することとしている。よって、電池温度管理システム13では、車両1が走行中であるか停車中であるかの如何にかかわらず、エンジンルーム1aに搭載された電池130を確実に冷却することができる。
【0071】
本実施形態に係る電池温度管理システム13では、排気路133をフロント側スプラッシュシールド20とリヤ側スプラッシュシールド21との隙間(ドライブシャフト挿通部)Gを連通してタイヤハウス1gに接続する構成を採用している。このように、フロント側スプラッシュシールド20とリヤ側スプラッシュシールド21との隙間(ドライブシャフト挿通部)Gを利用して排気路133の端部開口133cをタイヤハウス1gの内側空間に配置することとすれば、排気路133をタイヤハウス1gの内側空間まで挿通させるために車体に孔などを開ける必要がない。
【0072】
電池温度管理システム13では、排気路133が上下方向延設部133aを有する構成が採用されている。このため、仮に排気路133の端部開口133cから水や異物が侵入した場合であっても、上下方向延設部133aにより侵入した水や異物が筐体131の内部空間131aに侵入するのを防ぐことができる。このため、電池130の高い安全性を確保することができる。
【0073】
また、電池温度管理システム13では、排気路133が幅方向延設部(交差方向延設部)133bも有する構成が採用されている。このため、仮に排気路133の端部開口133cから水や異物が侵入した場合であっても、上下方向延設部133aと幅方向延設部133bとの交差部分に侵入した水や異物が衝突し、当該交差部分よりも筐体131側に水や異物が侵入するのを防ぐことができる。よって、電池130のより高い安全性を確保することができる。
【0074】
また、電池温度管理システム13では、排気路133が底壁131cを貫通して、筐体131の内部空間131aに接続されている。このため、仮に排気路133の端部開口133cから水や異物が侵入した場合にあっても、これら水や異物が筐体131の内部空間131aに侵入するのを確実に防ぐことができる。また、排気路133に結露が生じた場合にも、結露水が筐体131の内部空間131aに侵入するのを防ぐこともできる。さらに、筐体131の内部空間131aで結露が生じた場合にも、結露水が排気路133を通じて筐体131外に排出される。よって、電池130のより高い安全性を確保することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る電池温度管理システム13では、吸気路(第1通気路)132が車室1bと筐体131の内部空間131aとを接続するように設けられている。車室1bは、人が登場する領域であるため、エンジンルーム1aや車外に比べて安定した温度管理がなされる。よって、車室1bの空気を筐体131の内部空間131aに導入することで、電池130を適切な温度域で管理することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る電池温度管理システム13では、車両1の停車時において、エンジン10の水温、エンジンルーム1aの温度、および電池130の温度のそれぞれが所定温度Twth,Trth,Tbthを超えるか否かを判断した上でラジエータファン12を駆動させるか否かを決めることとしている。このため、車両1の停車中であっても、不必要にラジエータファン12を駆動させることがなく、電力消費を抑えることができるとともに、車両1の振動発生も抑えることができる。
【0077】
さらに、本実施形態に係る電池温度管理システム13では、電池130として非水電解質電池(例えば、リチウムイオン電池)を採用する。非水電解質電池は、高温となった場合に性能の低下や寿命の劣化といった問題を生じ易いが、上記のように本実施形態に係る電池温度管理システム13では、車両1の走行中および停車中、さらにはアイドルストップ中においても電池130の冷却が可能であり、電池130の性能の低下や寿命の劣化を抑制することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る電池温度管理システム13では、車両1の停車時やアイドルストップ時にも電池130を冷却することができ、電池130の性能低下や寿命劣化を抑制することができる。
【0079】
7.効果の確認
上記のような効果を確認するために行ったシミュレーションの結果について、図10を用いて説明する。
【0080】
本シミュレーションでは、次のようなモデルを用いた。
【0081】
(1)実施例
上記実施形態に係る電池温度管理システム13を備える車両1を実施例とした。
【0082】
(2)比較例1
エンジンルーム1aに搭載された従来の鉛電池を非水電解質電池に置き換えただけの車両を比較例1とした。
【0083】
(3)比較例2
比較例1に係る車両に対して、非水電解質電池の周囲を断熱材で覆った構成を有する車両を比較例2とした。
【0084】
(4)シミュレーション条件
シミュレーションは、初期温度が25℃、環境温度が90℃とし、実施例、比較例1,2の車両を停車した状態で電池温度を計測した。また、実施例に係る車両については、-50Paの負圧がタイヤハウス1gの内側空間に生じるように走行させた状態でも電池の温度を計測した。
【0085】
図10に示すように、比較例1に係る車両では、停車してからの経過時間が長くなればなるほど、電池温度が上昇し、経過時間が8時間を超えた時点で80℃を超える状態となった。
【0086】
電池の周囲を断熱材で覆った比較例2に係る車両では、比較例1に係る車両よりも電池温度の上昇度合は低いものの、経過時間が長くなればなるほど電池温度が上昇し、経過時間が5時間を超えた時点で50℃を超えた。
【0087】
一方、実施例に係る車両1を停車させた場合には、停車から4時間程度経過するまでは電池温度が上昇したが、それ以降は電池温度が略一定(45℃程度)に維持された。この程度の温度であれば、電池130の性能低下や寿命劣化を抑えることができると考えられる。
【0088】
また、実施例に係る車両1を走行させた場合には、タイヤハウス1gの内側空間に生じる負圧が停車時よりも高いことから、経過時間が2時間を超えると電池温度が略40℃で一定に維持された。この場合にも、電池の制帽低下や寿命劣化を抑えることができると考えられる。
【0089】
[変形例]
上記実施形態では、排気路133をタイヤハウス1gの内側空間に配置することとしたが、本発明は、これに限定されるものではない。車両の走行時に負圧状態となり、且つ、車両の停車時にラジエータファンを駆動することで負圧状態となる箇所に対して排気路を接続することができる。例えば、フロアトンネルの内側空間に排気路の端部を配置することも可能である。また、排気路を分岐したり、2本の排気路を設けたりして、タイヤハウスの内側空間とフロアトンネルの内側空間の両方に対して排気路の端部を配置することも可能である。
【0090】
上記実施形態では、吸気路132を車室1bに接続することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車両の外方に吸気路の端部を配置することにすればよい。ただし、排気路の端部が配置される箇所よりも高い圧力となる箇所に接続することが必要である。
【0091】
上記実施形態では、筐体131の底壁131cを貫通して排気路133が筐体131の内部空間131aに接続された構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。筐体の側壁を貫通して筐体の内部空間に対して排気路を接続することもできる。
【0092】
上記実施形態では、上下方向延設部133aと幅方向延設部133bとを有する排気路133を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、鉛直方向に沿って延びる部分だけからなる排気路を採用してもよいし、車幅方向に沿って延びる部分だけからなる排気路を採用してもよい。
【0093】
上記実施形態では、車両1の停車中において、エンジン水温Tw、エンジンルーム温度Tr、電池温度Tbなどを考慮してラジエータファン12を駆動させることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車両の停車中においては、排気路における端部開口(筐体に接続された端部とは反対側の端部の開口)に圧力検出を設けておき、当該圧力検出部が検出する圧力に応じてラジエータファンを駆動させるようにしてもよい。また、車両の停車した場合には、一律でラジエータファンを駆動させるようにしてもよい。
【0094】
上記実施形態では、電池130の一例として非水電解質電池を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、鉛電池や全固体二次電池などを採用することも可能である。
【0095】
上記実施形態では、車両1の前部にエンジンルーム1aが設けられた構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車室の後方にエンジンルームが設けられた車両に上記の電池温度管理システムを適用することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 車両
1a エンジンルーム
1d アンダーパネル
1g タイヤハウス
10 エンジン
12 ラジエータファン
13 電池温度管理システム
18 ドライブシャフト
20 フロント側スプラッシュシールド
21 リヤ側スプラッシュシールド
130 電池
131 筐体
132 吸気路(第1通気路)
133 排気路(第2通気路)
G 隙間(ドライブシャフト延出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10