(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160307
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】カメラ付ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20221012BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221012BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20221012BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G09F9/00 324
H04N5/225 100
G02B5/32
G02F1/13357
G09F9/00 366Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064973
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】513143537
【氏名又は名称】株式会社アーティエンス・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】白倉 明
【テーマコード(参考)】
2H249
2H391
5C122
5G435
【Fターム(参考)】
2H249CA01
2H249CA05
2H249CA08
2H249CA09
2H249CA15
2H249CA22
2H391AA12
2H391AB04
2H391AB23
2H391AC02
2H391AC07
2H391AD13
2H391AD25
2H391CB12
2H391CB22
2H391EA02
2H391EA13
2H391EA21
2H391FA01
5C122EA12
5C122GE11
5C122HB02
5G435AA00
5G435BB12
5G435DD09
5G435DD10
5G435DD13
5G435EE04
5G435EE27
5G435EE49
5G435FF06
5G435FF08
5G435FF11
5G435GG01
5G435GG23
5G435HH04
5G435LL04
5G435LL14
(57)【要約】
【課題】表示部の背面にカメラを配置しても、カメラにより撮像される画像をぼかすことなく、表示部に表示する画像の視野角を広くできるようにする。
【解決手段】液晶パネル10と、バックライト装置2と、液晶パネル10の背面側に設置され、液晶パネル10の画面に向き合う視聴者を撮影するカメラ11を備え、バックライト装置2は、基板3と、基板3の後面3Rの液晶パネル10と向き合う領域に取り付けられた拡散性ホログラフィック光学素子4と、基板3の前面3Fの拡散性ホログラフィック光学素子4から離れた位置に取り付けられたホログラフィック回折格子5a~5iと、LED9a~9iとを備え、LED9a~9iから照射された光がホログラフィック回折格子5a~5iで平行光に回折されて基板3内を伝搬して拡散性ホログラフィック光学素子4を照射し、拡散性ホログラフィック光学素子4で回折された拡散光が液晶パネル10を照射するようにしたカメラ付ディスプレイ装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明表示デバイスと、該透明表示デバイスを照射する透明表示デバイス照射装置と、前記透明表示デバイスの背面側に設置され、前記透明表示デバイスの画面に向き合う視聴者を撮影するカメラを備えたカメラ付ディスプレイ装置であって、
前記透明表示デバイス照射装置は、
前記透明表示デバイスに空気を介して接する第1の面と該第1の面に平行な第2の面を有し、内部が透明な平板状の基板と、
前記基板の第1の面又は第2の面の前記透明表示デバイスと向き合う領域に取り付けられた拡散性ホログラフィック光学素子と、
前記基板の第1の面又は第2の面の前記拡散性ホログラフィック光学素子から離れた位置に取り付けられた複数のホログラフィック回折格子と、
前記ホログラフィック回折格子と対向する位置に取り付けられ、前記ホログラフィック回折格子を照射する光源とを備え、
前記ホログラフィック回折格子は、前記光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、
前記ホログラフィック回折格子で回折された平行光は、前記基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬して前記拡散性ホログラフィック光学素子を照射し、
前記拡散性ホログラフィック光学素子は、前記拡散性ホログラフィック光学素子を照射する前記平行光を、前記第1面又は前記第2面の法線に対して上下方向と左右方向に所定の角度で拡散する拡散光に回折し、
前記拡散性ホログラフィック光学素子によって回折された拡散光は、前記透明表示デバイスを照射するようにしたことを特徴とするカメラ付ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記複数のホログラフィック回折格子は、各ホログラフィック回折格子が左右方向に隙間なく配置されたホログラフィック回折格子列を形成することを特徴とする請求項1記載のカメラ付ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記拡散性ホログラフィック光学素子によって回折された拡散光が、前記平行光の前記基板内の伝搬方向に対して均一となるように、前記拡散性ホログラフィック光学素子の回折効率を変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカメラ付ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記光源が一定の間隔で発光し、前記カメラが撮影する視聴者の映像データを生成する映像信号処理手段が、前記光源が発光していないときに前記映像データを生成するように、前記光源の発光タイミングと前記映像信号処理手段の前記映像データの生成タイミングとを制御する発光映像生成タイミング制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載したカメラ付ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記映像信号処理手段は、前記拡散性ホログラフィック光学素子を照射する前記平行光のうち前記カメラ側に漏れる光を前記カメラが撮影して生成された不要な映像データを除去する不要映像データ除去手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のカメラ付ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記透明表示デバイスを照射する前記拡散光の拡散角度より大きい角度から視認する前記透明表示デバイスを不透明にする視野角制御フィルムを前記透明表示デバイスと前記基板の間に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載したカメラ付ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ会議等に使用されるカメラ付ディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器・通信回線、コンピュータ等の発展により、遠隔地等の別の場所にいる相手と画面を介して対面しながら対話を行うテレビ会議が普及している。
このテレビ会議では、別々の場所にカメラ付ディスプレイ装置を設置し、各カメラ付ディスプレイ装置を通信回線で接続し、参加者は、ディスプレイ装置の画面に表示された相手方の顔を見ながら対話を行うことができる。
その場合、カメラ付ディスプレイ装置において、画面の外側にカメラが設置されていると、画面に表示される相手方と視線が合わず違和感が生ずる。
そのため、画面の背面側にカメラを取り付けて、画面に向き合っている参加者の顔を撮影し、画面に表示される相手方と視線が合うようにした種々のカメラ付ディスプレイ装置が提案されている。
例えば、特許文献1(特開平6-245209号公報)には、ディスプレイ本体内に、駆動可能に構成された液晶層3と、液晶層3のフロント側とリア側にそれぞれ配置された偏光板5a、5bと、リア側の偏光板5bのさらにリア側に配置されたバックライト部6とをそれぞれ設け、バックライト部6の光のフロント側への透過を液晶層3で制御して画像を作り出すカメラ一体型ディスプレイ装置において、リア側の偏光板5bにフロント側からの光を取り込む孔7を設け、孔7より取り込んだ光を入光するカメラ9を設けたカメラ一体型ディスプレイ装置が開示されている(特許文献1の[請求項1]、段落[0012]~[0014]、
図1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1のカメラ一体型ディスプレイ装置では、バックライト部6から液晶層3を照射して前方に出射する光を上下左右方向に拡散する手段が設けられておらず、液晶表示部2に表示される画像の視野角が狭くなり、液晶表示部2に表示された画像を、斜め方向から視認できないという問題がある。
この場合、バックライト部6から光を上下左右方向に拡散する拡散板等の拡散手段を設けることも考えられるが、このような拡散手段を設けると、カメラ9に入る光が拡散手段で拡散され、カメラ9で撮影した視聴者の映像がぼけるという問題が生ずる。
また、特許文献1のカメラ一体型ディスプレイ装置では、リア側の偏光板5bにフロント側からの光を取り込む孔7を設けていることから、バックライト部6からの光が孔7の部分で遮られて、液晶層3に照射されるバックライト部6の光の均一性が損なわれ、特に、孔7と対向する部分の液晶層3に照射される光が弱くなり、液晶表示部2に表示される画像の画質が低下するという欠点がある。
さらに、特許文献1では、液晶層3のリア側に密着された駆動素子付き透明ガラス体4bに対してリア側の偏光板5bは一定の間隔dを隔てて配置されていることから、液晶表示部2が前後方向に厚くなるという欠点がある。
【0004】
次に、特許文献2(特開平7-143469号公報)には、フラット・パネル・ディスプレイ1(表示部)、バックライト2、撮像用レンズ3、撮像素子4、撮像レンズの前面に配置する透明度が増大するように制御可能な反射部材5、反射板6等からなる撮像表示一体装置であって、本装置の撮像部が撮像時には、表示部は表示をせず、表示部のフラット・パネル・ディスプレイ1および反射部材5が共に、透明度が増大するよう制御され、フラット・パネル・ディスプレイ1の前方からの光が撮像用レンズ3によって撮像素子4の受光部に結像し、装置の表示部が表示時には、撮像部は撮像せず、バックライト2が発光し、その発光光および反射板6および反射部材5によって反射した光がフラット・パネル・ディスプレイ1を通過することによりフラット・パネル・ディスプレイ1のフィルタ制御状態に基づいた濃淡あるいは彩りで、例えば別の撮像表示一体装置により撮像され、伝送された映像を表示するようにした撮像表示一体装置が開示されている(特許文献2の段落[0015]~[0017])。
しかしながら、特許文献2の撮像表示一体装置では、表示部の表示時に、フラット・パネル・ディスプレイ1を通過する光を上下左右方向に拡散する手段が設けられておらず、特許文献1と同様に、フラット・パネル・ディスプレイ1(表示部)に表示される映像の視野角が狭くなるという問題があり、これを解決するためフラット・パネル・ディスプレイ1を通過する光を上下左右に拡散する手段を設けると、撮像部の撮像時に、撮像用レンズ3及び撮像素子4に入る光が拡散され、撮像部が撮像した映像がぼけるという問題が生ずる。
また、特許文献2の撮像表示一体装置では、撮像部の撮像時には、表示部は表示をせず、表示部のフラット・パネル・ディスプレイ1と反射部材5の透明度が増大するよう制御し、フラット・パネル・ディスプレイ1の前方の被写体を撮像し、表示部の表示時には、撮像部は撮像せず、バックライト2が発光し、その発光光と、反射板6および反射部材5によって反射した光がフラット・パネル・ディスプレイ1を通過して映像を表示すること(特許文献2の段落[0016]、[0017])、すなわち、表示部の表示と撮像部の撮像を交互に繰り返すことから、表示部には時間的に連続した映像が表示されず、フリッカー等が生ずるという欠点があり、撮像部も時間的に連続した画像を撮像できず、再生される画像の動きが不自然になるという欠点がある。
【0005】
次に、特許文献3(特開2015-126461号公報)には、表示パネル1の表示画面には画像を表示する多数の画素部が格子状に構成され、画素部は有機EL等からなり、各画素の有機発光層が発光して画像を表示するようになっており、表示パネル1の少なくとも一部には、表示面からその裏側の面まで透過する光透過領域が施され、撮像装置6の撮像光学系が、表示パネル1の背面でほぼ中央の光透過領域6aに配置され、表示パネル1の透過光を撮像できる表示装置が開示されている(特許文献3の段落[0011]~[0015]、
図1、2)。
しかしながら、特許文献3の表示装置では、表示パネル1は回折格子の構造となっており、表示パネル1を光が通過する際、撮像された観察者の撮像画像は、回折現象により画像の鮮鋭度が低下することから、回折補正処理回路32が設けられているが(特許文献3の段落[0021])、回折現象の影響を完全に取り除くことはできず、撮像画像の鮮鋭度が劣るという欠点がある。
また、特許文献3の表示装置では、不要な表示光を撮像することを防止するため、撮像タイミングが表示のタイミングとはずらして行われ、周期的な非表示の期間において撮像動作が行われることから(特許文献3の段落[0021])、特許文献2と同様に、表示パネル1には時間的に連続した映像が表示されず、フリッカー等が生ずるという欠点があり、撮像装置6も時間的に連続した画像を撮像できず、再生される画像の動きが不自然になるという欠点がある。
さらに、特許文献3では、有機発光層の非発光時に撮像装置6による撮像が行われるが、非発光時の有機発光層の透明度を高くすることは難しく、撮像装置6に入る光の一部が有機発光層により遮られ、観察者の撮像画像が暗くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-245209号公報
【特許文献2】特開平7-143469号公報
【特許文献3】特開2015-126461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、光を当てて表示部に画像を表示するようにしたカメラ付ディスプレイ装置において、表示部の背面にカメラを配置しても、カメラにより撮像される画像をぼかすことなく、表示部に表示する画像の視野角を広くできるようにすることであり、また、カメラ付ディスプレイ装置において、撮像される画像の質を落とすことなく時間的に連続した画像を表示部に表示できるようにすることであり、さらに、表示部の背面にカメラを配置して、表示部に画像を表示しながら表示部に向き合う視聴者を連続的に撮影でき、再生される画像を暗くすることなくその動きが自然になるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、透明表示デバイスと、該透明表示デバイスを照射する透明表示デバイス照射装置と、前記透明表示デバイスの背面側に設置され、前記透明表示デバイスの画面に向き合う視聴者を撮影するカメラを備えたカメラ付ディスプレイ装置であって、前記透明表示デバイス照射装置は、前記透明表示デバイスに空気を介して接する第1の面と該第1の面に平行な第2の面を有し、内部が透明な平板状の基板と、前記基板の第1の面又は第2の面の前記透明表示デバイスと向き合う領域に取り付けられた拡散性ホログラフィック光学素子と、前記基板の第1の面又は第2の面の前記拡散性ホログラフィック光学素子から離れた位置に取り付けられた複数のホログラフィック回折格子と、前記ホログラフィック回折格子と対向する位置に取り付けられ、前記ホログラフィック回折格子を照射する光源とを備え、前記ホログラフィック回折格子は、前記光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、前記ホログラフィック回折格子で回折された平行光は、前記基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬して前記拡散性ホログラフィック光学素子を照射し、前記拡散性ホログラフィック光学素子は、前記拡散性ホログラフィック光学素子を照射する前記平行光を、前記第1面又は前記第2面の法線に対して上下方向と左右方向に所定の角度で拡散する拡散光に回折し、前記拡散性ホログラフィック光学素子によって回折された拡散光は、前記透明表示デバイスを照射するようにしたカメラ付ディスプレイ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記複数のホログラフィック回折格子は、各ホログラフィック回折格子が左右方向に隙間なく配置されたホログラフィック回折格子列を形成するカメラ付ディスプレイ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記拡散性ホログラフィック光学素子によって回折された拡散光が、前記平行光の前記基板内の伝搬方向に対して均一となるように、前記拡散性ホログラフィック光学素子の回折効率を変化させるカメラ付ディスプレイ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記光源が一定の間隔で発光し、前記カメラが撮影する視聴者の映像データを生成する映像信号処理手段が、前記光源が発光していないときに前記映像データを生成するように、前記光源の発光タイミングと前記映像信号処理手段の前記映像データの生成タイミングとを制御する発光映像生成タイミング制御手段をさらに備えたカメラ付ディスプレイ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5の発明は、前記映像信号処理手段は、前記拡散性ホログラフィック光学素子を照射する前記平行光のうち前記カメラ側に漏れる光を前記カメラが撮影して生成された不要な映像データを除去する不要映像データ除去手段を備えたカメラ付ディスプレイ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、前記透明表示デバイスを照射する前記拡散光の拡散角度より大きい角度から視認する前記透明表示デバイスを不透明にする視野角制御フィルムを前記透明表示デバイスと前記基板の間に設けたカメラ付ディスプレイ装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明のカメラ付ディスプレイ装置においては、透明表示デバイスの背面にカメラを配置しても、カメラにより撮像される画像をぼかすことなく、透明表示デバイスの画面に表示する画像の視野角を広くでき、また、撮像される画像の質を落とすことなく時間的に連続した画像を透明表示デバイスの画面に表示することもでき、さらに、透明表示デバイスの画面に画像を表示しながら画面に向き合う視聴者を連続的に撮影することもで、その際、再生される画像を暗くすることなくその動きが自然になるようにすることができるという効果を奏する。
【0015】
請求項2に記載の発明のカメラ付ディスプレイ装置においては、さらに、透明表示デバイスを照射する光を左右方向に均一にできるという効果を奏する。
【0016】
請求項3に記載の発明のカメラ付ディスプレイ装置においては、さらに、透明表示デバイスを照射する光を上下方向に均一にできるという効果を奏する。
【0017】
請求項4に記載の発明のカメラ付ディスプレイ装置においては、さらに、カメラで撮像する視聴者の映像のコントラストを低下させないという効果を奏する。
【0018】
請求項5に記載の発明のカメラ付ディスプレイ装置においては、さらに、拡散性ホログラフィック光学素子からカメラ側に漏れる光によりカメラで撮像する視聴者の映像のコントラストが低下したりフレアが生じたりするのを防止できるという効果を奏する。
【0019】
請求項6に記載の発明のカメラ付ディスプレイ装置においては、透明表示デバイスの画面の視野角より大きい角度からカメラが視認されないようにできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のカメラ付ディスプレイ装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すカメラ付ディスプレイ装置の左側面図である。
【
図3】
図1に示すカメラ付ディスプレイ装置の正面図である。
【
図4】
図1に示すカメラ付ディスプレイ装置の背面図である。
【
図6】カメラ付ディスプレイ装置1の制御装置の構成を表したブロック図である。
【
図7】基板3の左側面から見た基板3内を伝搬する光を説明する説明図である。
【
図8】液晶パネル10とその照射光を除いて基板3内を伝搬する光を説明する説明図及び基板3の正面から見た基板3内を伝搬する光を説明する説明図である。
【
図9】LED9a~9iを発光させるタイミングと映像データと生成するタイミングを表したタイミングチャートである。
【
図10】本発明のバックライト装置と視野角制御フィルムを組み合わせたカメラ付ディスプレイ装置の平面図である。
【
図11】カメラ付ディスプレイ装置1’の画像表示部(液晶パネル10の画面)の左右方向の視野角(視界)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[カメラ付ディスプレイ装置の構成]
図1は、本発明のカメラ付ディスプレイ装置の斜視図、
図2は、
図1に示すカメラ付ディスプレイ装置の左側面図、
図3は、
図1に示すカメラ付ディスプレイ装置の正面図、
図4は、
図1に示すカメラ付ディスプレイ装置の背面図、
図5は、光源装置の正面図である。
図中、1はカメラ付ディスプレイ装置、2はバックライト装置、3は基板、3Fは前面、3Rは後面、4は拡散性ホログラフィック光学素子、4Sは後面、5はホログラフィック回折格子列、5a~5iはホログラフィック回折格子、6は光源装置、7は光源ケース、8は開口部列、8a~8iは開口部、9はLED列、9a~9iはLED、10は液晶パネル、11はカメラである。
図に示すように、カメラ付ディスプレイ装置1は、バックライト装置2、透過型の液晶パネル10、カメラ11、制御装置(後述する)、液晶駆動回路(図示せず)、電源回路(図示せず)等を備え、これらは筐体(図示せず)に収納される。
バックライト装置2は、本発明の透明表示デバイス照射装置となるもので、基板3、拡散性ホログラフィック光学素子4、ホログラフィック回折格子列5、光源装置6等からなる。
本発明の透明表示デバイス照射装置は、背面から透過型の液晶パネル10を照射するバックライト装置2に限定されるものではなく、液晶パネル10を反射型とし、前面から液晶パネル10を照射するフロントライト装置と、液晶パネル10の背面に設置されフロントライト装置からの光を反射する反射板からなるものであってもよく、その場合、フロントライト装置は、バックライト装置2と同様の構成を有する。
基板3は、光学的屈折率が1.3~1.7のプラスチック材料等からなる平板状の無色透明な板、例えば、光学的屈折率が約1.5で、厚さが5mmの無色透明のアクリル板であり、本発明の第1の面となる前面3Fと、本発明の第2の面となる後面3Rを有し、前面3Fと後面3Rは平行である。
拡散性ホログラフィック光学素子4は、基板3の後面3Rの液晶パネル10と向き合う領域に空気を介さずに貼り合わされている。
拡散性ホログラフィック光学素子4は、反射型であり、光学的屈折率が約1.5の透明な体積型ホログラフィック記録材料からなり、この拡散性ホログラフィック光学素子4には、前面3F側から後面3Rの法線に対して約60度の角度で、白色の平行光が照射されたとき、平行光を後面3Rの法線に対して上下方向に±20度、左右方向に±50度の拡散光として全面3F側に回折する干渉縞が記録されている。
この拡散性ホログラフィック光学素子4は、透過型であってもよく、その場合は、基板3の前面3Fの液晶パネル10と向き合う領域に空気を介さずに貼り合わされる。
また、拡散性ホログラフィック光学素子4により回折される拡散光の拡散角は、上下方向10度~70度、左右方向20度~80度の範囲で設定することができる。
【0022】
ホログラフィック回折格子列5は、左右方向に隙間なく配置された9個のホログラフィック回折格子5a~5iからなり、基板3の前面3Fの液晶パネル10と向き合う領域の下側に空気を介さずに貼り合わされ、拡散性ホログラフィック光学素子4から離れた位置にホログラフィック回折格子列5が取り付けられている。
ホログラフィック回折格子5a~5iは、拡散性ホログラフィック光学素子4と同様に、反射型であり、光学的屈折率が約1.5の透明な体積型ホログラフィック記録材料からなり、後面3R側から前面3Fの法線方向に、白色光の発散光が照射されたとき、前面3Fの法線に対して角度60度の方向に白色の平行光として後面3R側に回折する干渉縞が記録されている。
光源装置6は、光源ケース7、LED列9、発光回路(図示せず)等を備えている。
光源ケース7は、格子状の仕切り壁により形成される9個のセルを有し、この9個のセルにより光源ケース11の正面側に開口部列8が形成され、開口部列8がホログラフィック回折格子列5に対向するようにして、光源ケース7が、基板2の後面3R側にスペーサ(図示せず)を介して取り付けられている。
開口部列8においては、9個の開口部8a~8iが、各ホログラフィック回折格子5a~5iに対向するに配置され、開口部8a~8iを形成する各セルの中にはLED9a~9iが取り付けられ、LED9a~9iによりLED列9が形成される。
そして、各LED9a~9iが発光して、各開口部8a~8iから出射される発散光が、対向するホログラフィック回折格子5a~5iの全面だけを照射するようになっている。
なお、ホログラフィック回折格子5a~5iは、透過型であってもよく、その場合は、光源ケース7が取り付けられる面(本実施形態では基板2の後面3R)に空気を介さずに貼り合わされる。
また、LED列9を形成するホログラフィック回折格子の個数も、1~500の範囲で適宜設定できる。
【0023】
液晶パネル10は、本発明の透明表示デバイスとなるもので、液晶層、カラーフィルタ基板、偏向フィルタ等から構成される透過型の液晶パネルである。
この液晶パネル10と液晶駆動回路、電源回路等からカメラ付ディスプレイ装置1の画像表示部が形成され、テレビ会議中、この画像表示部には、カメラ11で撮像した視聴者の映像と、カメラ付ディスプレイ装置1と通信接続された別のカメラ付ディスプレイ装置のカメラで撮像した相手方の映像が表示される。
カメラ11は、液晶パネル10の画面に向き合う視聴者を撮像する動画撮像装置であり、レンズ、撮像素子、映像信号処理部等を備えている。
このカメラ11においては、液晶パネル10の画面に向き合う視聴者の像がレンズにより撮像素子に結像されて映像信号に変換され、映像信号処理部により視聴者の映像データが生成される。
【0024】
図6は、カメラ付ディスプレイ装置1の制御装置の構成を表したブロック図であり、図中、12は制御装置、12aはシステム制御部、12bは液晶駆動回路制御部、12cはカメラ制御部、12dは映像信号処理部、12eは発光映像生成タイミング制御部、12gは光源装置制御部、12hは通信制御部である。
制御装置12は、システム制御部12a、液晶駆動回路制御部12b、カメラ制御部12c、映像信号処理部12d、発光映像生成タイミング制御部12e及び光源装置制御部12gを備えている。
システム制御部12aは、制御装置12全体を統括的に制御する。
液晶駆動回路制御部12bは、液晶パネル10の液晶駆動回路の動作を制御し、光源装置6のLED9a~9iが発光していないとき、液晶駆動回路の動作を停止し、液晶パネル10を透明にする。
カメラ制御部12cは、カメラ11を構成する各機器(シャッター等)や映像信号処理部12dの動作を制御する。
映像信号処理部12dは、カメラ11の撮像素子から映像信号の処理を行い、カメラ付ディスプレイ装置1の画像表示部に表示する画像(映像)、及び、カメラ付ディスプレイ装置1と通信接続された別のカメラ付ディスプレイ装置の画像表示部に表示する映像データを生成する。
また、映像信号処理部12dは、拡散性ホログラフィック光学素子4を照射する平行光のうちカメラ11側に漏れる光をカメラ11が撮影して生成された不要な映像データを除去する不要映像データ除去部(図示せず)を備えている。
発光映像生成タイミング制御部12eは、光源装置6のLED9a~9iが発光するタイミングと、映像信号処理部12dが生成する映像データの生成タイミングを制御する。
光源装置制御部12gは、光源装置6の発光回路の動作を制御し、LED9a~9iの発光を制御する。
通信制御部12hは、映像信号処理部12dが生成した映像データをカメラ付ディスプレイ装置1に接続された通信回線に送出する制御を行い、また、この通信回線を介して別のカメラ付ディスプレイ装置からカメラ付ディスプレイ装置1に送信された映像データを受信し、液晶駆動回路制御部12bに送る制御を行う。
【0025】
[カメラ付ディスプレイ装置の動作]
まず、バックライト装置2が液晶パネル10を照射する動作を説明する。
図7は、基板3の左側面から見た基板3内を伝搬する光を説明する説明図、
図8(a)は、
図7から液晶パネル10とその照射光を除いて基板3内を伝搬する光を説明する説明図、
図8(b)は、基板3の正面から見た基板3内を伝搬する光を説明する説明図である。
図7、
図8において、5番目のLED9eから出射される発散光abを一点鎖線で表し、LED9eと対向するホログラフィック回折格子5eで回折されて基板3の前面3F、後面3Rで全反射しながら伝搬する平行光a1~a6、b1~b5を二点鎖線で表し、拡散性ホログラフィック光学素子4で回折されて液晶パネル10を照射する照射光c1~c5を点線で表し、
図8(b)において、ホログラフィック回折格子5eで回折された平行光が伝搬する部分(領域)を灰色で表す。
図に示すようにLED9eから出射される発散光abは、ホログラフィック回折格子5eに入射して伝搬角θの平行光a1に回折され、平行光a1は、基板3の後面3Rの領域A1に当たって全反射して平行光b1となり、平行光b1は、前面3Fの領域B1に当たって全反射して平行光a2となり、平行光a2は、ホログラム素子4に入って一部の光が透過して後面4Sの領域A2に当たって全反射して平行光b2となり、平行光b2は、基板3内に入って前面3Fの領域B2に当たって全反射して平行光a3となり、平行光a3は、ホログラム素子4に入って一部の光が透過して後面4Sの領域A3に当たって全反射して平行光b3となり、平行光b3は、基板3内に入って前面3Fの領域B3に当たって全反射し、これを繰り返して基板3内を平行光a4、b4、a5、b5、a6が伝搬して行く。
この場合、ホログラフィック回折格子5eで回折され、後面3R、後面4S、前面3Fで全反射される平行光(a1、b1、a2、b2、a3、b3・・・)は、
図8(b)に示すように伝搬方向に直交し基板3の厚み方向に直交する方向に拡散せず平行であり(
図8(b)に示されている灰色の帯状領域)、その伝搬方向の長さyは、基板3の厚さをtとすると、y=2t×tanθとなり、平行光(a1、b1、a2、b2、a3、b3・・・)が、後面3R、4S、前面3Fに伝搬方向に隙間なく当たるためには、ホログラフィック回折格子5eの光の伝搬方向の長さMyと長さyを等しくする必要がある。例えば、θ=60度、t=5mmの場合、My=y=2×5×tan60°=17.3mmとなる。
【0026】
一方、拡散性ホログラフィック光学素子4に入った平行光a2、a3、a4、a5、a6のうち透過しない光は、拡散性ホログラフィック光学素子4で後面3Rの法線に対して上下方向に±10度、左右方向に±50度の拡散光c1、c2、c3、c4、c5として全面3F側に回折され、拡散光c1、c2、c3、c4、c5が液晶パネル10を照射する。
この場合、拡散光c1、c2、c3、c4、c5の強さが均一になるように、拡散性ホログラフィック光学素子4の回折効率を変化させ、例えば、拡散性ホログラフィック光学素子4に最初に入る平行光a2の回折効率を20%、次の平行光a3の回折効率を25%、次の平行光a4の回折効率を33.3%、次の平行光a5の回折効率を50%、最後の平行光a6の回折効率を100%とすると、拡散光c1、c2、c3、c4、c5の強さが均一になる。
また、基板3と液晶パネル10の間に空気が介在するため、基板3を出た拡散光c1、c2、c3、c4、c5は、収束するように屈折して液晶パネル10を照射することから、拡散光c1、c2、c3、c4、c5の拡散角を、液晶パネル10を照射する光が均一となるように調整する。
【0027】
以上のように、LED9eから出射される発散光abは、ホログラフィック回折格子5eで平行光に回折され、この平行光は、基板3内を全反射しながら伝搬し、拡散性ホログラフィック光学素子4で拡散光に回折されて、液晶パネル10を照射し、他のLED9a~9i(9eを除く)から出射される発散光も、ホログラフィック回折格子5a~5iで平行光に回折され、同様にして液晶パネル10を照射する。
この場合、基板3、拡散性ホログラフィック光学素子4、液晶パネル10はすべて透明材料からなるため、液晶パネル10の前面から入射する光は、液晶パネル10、基板3、拡散性ホログラフィック光学素子4を透過し、基板3の背面側に設置されたカメラ11に入射する。
これより、液晶パネル10の画面に画像を表示した状態で、液晶パネル10の画面に向き合う視聴者を、カメラ11で連続的に撮影することができる。
また、拡散性ホログラフィック光学素子4で回折されて、液晶パネル10を照射し拡散光の拡散角は、上下方向10度~70度、左右方向20度~80度の範囲であり、この拡散角が液晶パネル10の画面に表示される画像の視野角となるから、この視野角を広くできる。
さらに、カメラ11のレンズから撮像素子に入る光は、途中で拡散等されないため、カメラ11により撮像される視聴者の画像(映像)がぼかされることもない。
なお、拡散性ホログラフィック光学素子4で回折された拡散光c1、c2、c3、c4、c5のうち、僅かではあるがカメラ11側に漏れる光が生じ、この漏れる光をカメラ11が取り込み、不要な映像データが生成され、カメラ11により撮像される視聴者の画像(映像)のコントラストが低下したり、フレアが生じたりする場合があるが、これについては後述する。
【0028】
次に、液晶パネル10の画面に画像を表示し、カメラ11で視聴者を撮像して映像データを生成する動作を説明する。
上述のように発光装置6のLED9a~9iを発光させて液晶パネル10の画面に画像を表示した状態で、液晶パネル10の画面に向き合う視聴者を、カメラ11で連続的に撮影することができるが、実際には、液晶パネル10を照射する光の一部は、わずかではあるが基板3の背面側に漏れる。
このため、発光装置6のLED9a~9iを連続的に発光させて液晶パネル10の画面に画像を表示して、液晶パネル10の画面に向き合う視聴者を、カメラ11で連続的に撮影すると、基板3の背面側に漏れる光がカメラ11に取り込まれ、カメラ11で撮像した視聴者の映像のコントラストが低下する。
よって、LED9a~9iを一定の間隔で発光させて、LED9a~9iが発光していないときにカメラ11が撮像する映像信号から、視聴者の映像データを生成し、この映像データを液晶パネル10の画面に表示し、カメラ付ディスプレイ装置1と通信接続された別のカメラ付ディスプレイ装置に送信するのが望ましい。
【0029】
図9は、LED9a~9iを発光させるタイミングと映像データと生成するタイミングを表したタイミングチャートであり、図中、TC1はLED9a~9iの発光のタイミングを示すタイミングチャート、TC2は映像データの生成タイミングを示すタイミングチャート、図において横軸は時間t(秒)を表す。
以下、LED9a~9iを発光させて液晶パネル10の画面に画像を表示させる動作と、カメラ11が視聴者を撮像して視聴者の映像データを生成する動作について説明する。
まず、発光映像生成タイミング制御部12eが、光源装置制御部12gによるLED9a~9iの発光のタイミングを制御し、LED9a~9iを一定の間隔で発光させる。
具体的には、
図9のTC1に示すように、時間0~t1、t2~t3、t4~t5、・・・でLED9a~9iを発光させ、時間t1~t2、t3~t4でLED9a~9iを非発光にする。
LED9a~9iが発光している時間の長さΔ1と発光していない時間の長さΔ0は等しく、液晶パネル10の画面に表示される画像(動画)のフレームレートをnfps(frames per second)とすると、Δ1=Δ0=1/n(秒)となる。例えば、n=60の場合、Δ1=Δ0=1/60(秒)となり、LED9a~9iは、1/60秒間隔で1/60秒間発光する。
そして、液晶駆動回路制御部12bが、液晶パネル10の液晶駆動回路の動作を制御し、光源装置6のLED9a~9iが発光していないとき、液晶駆動回路の動作を停止し、液晶パネル10を透明にする。
この場合、カメラ付ディスプレイ装置1の画像表示部(液晶パネル10の画面)には、1フレームおきに、光源装置6のLED9a~9iが発光して拡散性ホログラフィック光学素子4で回折された拡散光が液晶パネル10を照射して、視野角の広い画像(映像)が表示される。
なお、上記画像表示部(液晶パネル10の画面)に表示される画像は、1フレームおきの画像(映像)であるが、画像(映像)のフレームレートを30fps以上とすれば、自然な画像(映像)として視認される。
【0030】
一方、カメラ11の映像信号処理部12dにおいては、撮像素子からの視聴者の映像信号に対して、発光映像生成タイミング制御部12eが映像データの生成タイミングを制御し、LED9a~9iが発光しておらず液晶パネル10が透明となったときに映像データが生成される。
具体的には、
図9のTC2に示すように、LED9a~9iが発光していない時間t1~t2、t3~t4、・・・のうち時間t1’~t2 ’、t3’~t4 ’、t5’~t6 ’・・・の映像信号のみから映像データが生成される。
映像信号処理部12dにおいて映像データが生成される時間の長さΔ1’は、LED9a~9iが発光している時間の長さΔ1より少し短くし、生成される映像データが、LED9a~9iの発光の影響を受けないようにしている。
これにより、LED9a~9iの発光の影響を受けずコントラストが低下しない映像データが生成される。
また、カメラ11のレンズから撮像素子に入る光は、途中で拡散等されないため、ぼかされない映像データが生成される。
この後、映像信号処理部12dで生成された映像データは、液晶パネル10の液晶駆動回路に送られ液晶パネル10の画面(画面の一部)に表示されると共に、通信制御部12hに送られ、カメラ付ディスプレイ装置1と通信接続された別のカメラ付ディスプレイ装置に送信される。
この場合、映像信号処理部12dで生成される映像データは、連続的な映像データに比べて、一定の時間間隔毎の不連続な映像データであるが、2フレーム中に長さΔ1’の映像データが存在し、液晶パネル10の画面等に表示した場合、ほぼ自然な映像として視認される。
さらに、拡散性ホログラフィック光学素子4で回折された拡散光のうち、僅かにカメラ11側に漏れる光が生じて、不要な映像データが生成される場合、漏れる光の位置や波長成分は、拡散性ホログラフィック光学素子4の特性により特定され、この特定される光の位置や波長成分に基づいて、映像信号処理部12dの不要映像データ除去部が上記不要な映像データを除去し、液晶パネル10の画面等に表示される視聴者の画像(映像)のコントラストが低下したり、フレアが生じたりするのが防止される。
なお、液晶パネル10を反射型とし、本発明の透明表示デバイス照射装置としてバックライト装置2に代えてフロントライト装置と反射板を組み合わせたものを使用した場合、カメラ11は、反射板の背面側に設置され、反射板に鏡状態と透明状態が切り替わる調光ミラーデバイスを使用し、LED9a~9iが発光しているとき、調光ミラーデバイスを鏡状態として拡散性ホログラフィック光学素子4で回折された拡散光を反射し、LED9a~9iが発光していないとき調光ミラーデバイスを透明状態として、カメラ11で視聴者を撮像するようにすればよい。
【0031】
[バックライト装置と視野角制御フィルムとの組合せ]
図10は、本発明のバックライト装置と視野角制御フィルムを組み合わせたカメラ付ディスプレイ装置の平面図であり、図中、1’はカメラ付ディスプレイ装置、13は視野角制御フィルムであり、
図1~
図5に示すカメラ付ディスプレイ装置1と同一のものには同一の符号を付す。
図10に示すように、カメラ付ディスプレイ装置1’は、
図1~
図5に示すカメラ付ディスプレイ装置1の基板3の前面3Fに視野角制御フィルム13を貼り付けた構成となっている。
視野角制御フィルム13は、ルーバー構造等により、特定の角度範囲から入る光を遮断し、表示装置の視野角(視界)を特定の範囲に限定するフィルムであり、限定する視野角(視界)の範囲は適宜設定できるようになっている。
図11は、カメラ付ディスプレイ装置1’の画像表示部(液晶パネル10の画面)の左右方向の視野角(視界)を説明する説明図であり、図中、二点鎖線で示すVa1は、拡散性ホログラフィック光学素子4からの拡散光による画像表示部(液晶パネル10の画面)の視野角を表す角度線、二点鎖線で示すVa2は、視野角制御フィルム13により遮られる視界の最大角度を表す角度線である。
上述のように拡散性ホログラフィック光学素子4は、発光装置6のLED9a~9iが発光して基板3内を伝搬する光を拡散光に回折し、液晶パネル10を照射し、カメラ付ディスプレイ装置1’の画像表示部(液晶パネル10の画面)の左右方向の視野角(上記拡散光の拡散角)は、角度線Va1で表される±θ1となる(
図11で密度の小さい網点で示す角度範囲)。
そして、視野角制御フィルム13は、角度線Va1と角度線Va2(±θ2の角度を示す角度線)で挟まれた±θ1~±θ2の角度範囲(
図11で普通の密度の網点で示す角度範囲)から入る光を遮断する。
これより、画像表示部(液晶パネル10の画面)に向き合う視聴者等が、上記視野角±θ1を外れた角度から画像表示部(液晶パネル10の画面)を見ても、画像表示部(液晶パネル10の画面)の背面にある光源装置6やカメラ11を視認できず、画像表示部(液晶パネル10の画面)の背面側を隠すことができる。
この場合、θ1=50度とすると、θ2は、60度~80度の範囲で適宜設定される。
なお、視野角制御フィルム13は、左右方向の視野角(視界)を制御するものであるが、視野角制御フィルム13にさらに上下方向の視野角(視界)を制御する機能を付加してもよく、また、上下方向の視野角(視界)を制御する別の視野角制御フィルムと視野角制御フィルム13とを組み合わせて使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のカメラ付ディスプレイ装置は、表示部の背面にカメラを配置しても、カメラにより撮像される画像をぼかすことなく、表示部に表示する画像の視野角を広くでき、また、撮像される画像の質を落とすことなく時間的に連続した画像を表示部に表示して、表示部に向き合う視聴者を連続的に撮影しても、再生される画像を暗くすることなくその動きが自然になるようすることもでき、バックライトを使用したカメラ付ディスプレイ装置に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 カメラ付ディスプレイ装置
1’ カメラ付ディスプレイ装置
2 バックライト装置
3 基板
3F 前面
3R 後面
4 拡散性ホログラフィック光学素子
4S 後面
5 ホログラフィック回折格子列
5a~5i ホログラフィック回折格子
6 光源装置
7 光源ケース
8 開口部列
8a~8i 開口部
9 LED列
9a~9i LED
10 液晶パネル
11 カメラ
12 制御装置
12a システム制御部
12b 液晶駆動回路制御部
12c カメラ制御部
12d 映像信号処理部
12e 発光映像生成タイミング制御部
12g 光源装置制御部
13 視野角制御フィルム