(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160325
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】スイング式ホットプレート
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
A47J37/06 321
A47J37/06 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064996
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】521146193
【氏名又は名称】株式会社K&WORKS
(74)【代理人】
【識別番号】100160185
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 茂晴
(72)【発明者】
【氏名】川口 忠士
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AC03
4B040AD01
4B040AD14
4B040AE01
4B040CA05
4B040CA12
4B040CB04
4B040EB20
(57)【要約】
【課題】様々な調理に適した使い勝手のよいスイング式ホットプレートを提供する。
【解決手段】スイング式ホットプレート1は、台座部10と、台座部10から立ち上げた支柱部20と、支柱部20に取り付けられ、正面視で上部が開放された舟型の熱板30と、熱板30をスイングさせるスイング機構と、スイングの軸23に一方端が固定的に取り付けられたターナーとを備える。このような構成において、熱板30がスイングすることにより、ターナーの他方端側で熱板30の上の食材が調理される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、
前記台座部から立ち上げた支柱部と、
前記支柱部に取り付けられ、正面視で上部が開放された舟型の熱板と、
前記熱板をスイングさせるスイング機構と、
前記スイングの軸に一方端が固定的に取り付けられたターナーとを備え、
前記熱板がスイングすることにより、前記ターナーの他方端側で前記熱板の上の食材が調理されることを特徴とするスイング式ホットプレート。
【請求項2】
前記スイング機構は、動作モードとして、片道パスでスイングさせるワンパスモードと、往復パスでスイングさせるスイングモードとを有する請求項1に記載のスイング式ホットプレート。
【請求項3】
前記スイング機構は、調理が終わったときに前記熱板を所定の角度までスイングさせ、前記熱板の上の食材を落下させる請求項1または2に記載のスイング式ホットプレート。
【請求項4】
前記熱板の表面には、前記熱板のスイング方向に連続する複数の凹凸が形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のスイング式ホットプレート。
【請求項5】
前記複数の凹凸の凹部の大きさが前記熱板の一方端から他方端に向けて徐々に大きくなる請求項4に記載のスイング式ホットプレート。
【請求項6】
更に、正面視で上部が開放された舟型のヒーター部を備え、
前記スイング機構は、前記ヒーター部と前記熱板とを一体的にスイングさせる請求項1から5のいずれか1項に記載のスイング式ホットプレート。
【請求項7】
前記ヒーター部に接続される電気配線をスイングに追従させるための配線溝が前記支柱部に形成されている請求項6に記載のスイング式ホットプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭での調理に利用されるスイング式ホットプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食チェーン店などでチャーハンを作る工程においてドラム式の連続炒め装置が利用されている。例えば、特許文献1には、円筒体の加熱ドラムを設けた米飯の連続炒め装置が開示されている。このような連続炒め装置によれば、チャーハンのような米飯炒め製品を安定した状態で連続的に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の連続炒め装置は、業務用にチャーハンなどの単一の料理を大量に製造することに特化しているため、様々な食材を様々な焼き方、炒め方で調理したい場合には不向きである。すなわち、円筒体の加熱ドラムを用いると、途中で調理具合を見たり、途中で調味料を足したりすることが困難である。また、調理が終わったら料理を皿に乗せる必要があり、手間がかかるという課題もある。更に、従来の連続炒め装置は、ドラム式の大型のものがほとんどであり、家庭で利用できるサイズ感ではないため、身近な調理装置とは思えない。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであって、様々な調理に適した使い勝手のよいスイング式ホットプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スイング式ホットプレートであって、台座部と、前記台座部から立ち上げた支柱部と、前記支柱部に取り付けられ、正面視で上部が開放された舟型の熱板と、前記熱板をスイングさせるスイング機構と、前記スイングの軸に一方端が固定的に取り付けられたターナーとを備える。このような構成において、前記熱板がスイングすることにより、前記ターナーの他方端側で前記熱板の上の食材が調理される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な調理に適した使い勝手のよいスイング式ホットプレートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明におけるスイング式ホットプレートの斜視図である。
【
図2】本発明におけるスイング式ホットプレートの正面図である。
【
図3】本発明におけるスイング式ホットプレートの右側面図である。
【
図4】本発明におけるスイング式ホットプレートの背面図である。
【
図5】本発明におけるスイング式ホットプレートの排出イメージを示す正面図である。
【
図6】本発明におけるスイング式ホットプレートのスイングイメージを示す正面図である。
【
図7】本発明におけるスイング式ホットプレートのスイングイメージを示す正面図である。
【
図8】本発明における出汁巻きターナーの斜視図である。
【
図9】本発明におけるローリングターナーの斜視図である。
【
図10】本発明におけるメッシュターナーの斜視図である。
【
図11】本発明におけるスクレーパー式ターナーの斜視図である。
【
図12】本発明における別のスイング式ホットプレート(直火タイプ)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本考案の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施の形態は、あくまでも例示である。すなわち、以下に説明する実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0010】
[概要]
図1は、本発明におけるスイング式ホットプレート1の斜視図である。このスイング式ホットプレート1は、主に家庭での調理に利用される“卓上型の動くホットプレート”である。舟型の二層熱板(30,40)をスイングさせ、スイングの軸23に固定的に取り付けられたターナー(例えば出汁巻きターナー61)を用いて食材を調理する。複数種類のターナーの中から、調理に適したタイプのものを用いることができるようになっている。
【0011】
一層目の固定熱板(以下、ヒーター部40)にはヒーターが埋め込まれ、二層目の着脱式熱板(以下、熱板30)の金属面がホットプレートとして機能する。ホットプレートを舟型に形成しているため、途中で調理具合を見たり、途中で調味料を足したりすることが容易であり、また、大きな設置面積が不要である。調理が終わったときに二層熱板(30,40)を大きくスイングさせて食材を落下させ、台座部10の上に置かれた皿に載せるようになっている。
【0012】
[基本構成]
図2、
図3、
図4は、本発明におけるスイング式ホットプレート1の正面図、右側面図、背面図である。
図4では、説明をわかりやすくするため、収納ボックスの一部は描いていない。
【0013】
図2、
図3、
図4に示すように、台座部10は、スイング式ホットプレート1の台座部分である。台座部10の上面11は、皿を置くことができるようにフラットに形成されている。台座部10の側面には電源スイッチ18が設けられ、台座部10の手前側にはボタン群12~17が設けられている。
【0014】
台座部10の内部には、電源基板や制御基板などの各種基板が内蔵されている。電源基板は、電源コードから入力された電力をもとにスイング式ホットプレート1の作動に必要な電力を生成する。制御基板は、ボタン群12~17から指示された信号をもとに、スイング機構やヒーター部40など、各部の制御を行う。
【0015】
速度調節ダイヤル12は、スイング速度を調節するためのダイヤルである。温度調節ダイヤル13は、熱板30の温度を調節するためのダイヤルである。時間調節ダイヤル14は、スイング時間(2分、5分、10分など)を調節するためのダイヤルである。モード切替ボタン15は、ワンパスモードとスイングモードとを切り替えるための切替つまみである。ワンパスモードは、片道パス(ワンパス)でスイングさせる動作モードである。スイングモードは、往復パスでスイングさせる動作モードである。スタートボタン16は、スイングを開始するためのボタンである。停止ボタン17は、スイングを停止するためのボタンである。
【0016】
支柱部20は、熱板30などを支える支柱部分であり、支柱本体24が収納ボックスに収納された構造になっている。台座部10の上面11に皿を置くため、台座部10の上面11の奥側から支柱部20を立ち上げ、台座部10の上面11の手前側にフラットなスペースを確保している。支柱部20の上部には、熱板30をスイングさせるスイング機構が設けられている。
【0017】
熱板30は、支柱部20に取り付けられた舟型のホットプレートである。舟型とは、言い換えると、正面視で上部が開放された円弧状である。熱板30の表面31の手前側と奥側にリブ32,33が立設されている。熱板30は、例えばアルミダイキャスト製であり、表面31にPFAなどのフッ素樹脂がコーティングされている。熱板30は、ヒーター部40に対して着脱可能であり、簡単に洗浄することができるようになっている。
【0018】
様々な調理に対応するため、表面31のタイプが異なる複数種類の熱板30を備え、調理に応じて付け替えるのが望ましい。例えば、出汁巻き卵やチャーハンを作る場合は、表面31に複数の凹凸が形成されたタイプの熱板30を用いるのが望ましい。一方、飴色玉ねぎやジャムなどを作る場合は、凹凸が小さいディンプル加工された熱板30や、あるいは、凹凸がない平板タイプの熱板30を用いるのが望ましい。
【0019】
ヒーター部40は、熱板30を加熱するための舟型の加熱部である。ヒーター部40も、例えばアルミダイキャスト製であり、平面的にレイアウトされたシーズヒーターがアルミダイキャストに埋め込まれている。シーズヒーターに電流を流すと、ヒーター部40が全面的に発熱する。熱板30と密着する形状になっているため、非常に熱効率がよい構造と言える。
【0020】
ターナーは、熱板30の上の食材を調理する調理器具である。スイング式ホットプレート1に適した特殊ターナーということもできる。スイングの軸23に一方端が固定的に取り付けられ、熱板30がスイングする際に他方端側で熱板30の上の食材が調理される。ターナーの材質としては、バネ性(スプリング機能)のあるものを用い、表面31にはフッ素樹脂がコーティングされている。ターナーの長さは、先端が熱板30の表面31に接触可能な長さとし、ターナーの幅は、熱板30の幅と同程度とするのが望ましい。ターナーの形状、材質、大きさなどは調理に応じて適宜変更することが可能である。
【0021】
なお、本発明におけるスイング式ホットプレート1は、一般的なホットプレートと同様、安全装置を備えている。例えば、ヒーター部40の近くにバイメタル・サーモスタットを配置し、温度が一定以上になるとヒーター部40への電気を遮断するようにしてもよい。
【0022】
[スイング機構]
以下、スイング式ホットプレート1のスイング機構について説明する。スイング機構は、熱板30をスイングさせる機構であって、
図4に示すように、ステッピングモーター51、タイミングベルト52、タイミングプーリー53などを備える。
【0023】
具体的には、支柱部20に開口部21を形成し、支柱部20の背面にステッピングモーター51を取り付け、ステッピングモーター51の出力軸とタイミングプーリー53にタイミングベルト52を掛け渡し、タイミングプーリー53から放射状に延びる4本のスポークの先端をヒーター部40に固定している。
【0024】
ステッピングモーター51は、パルス信号によって回転角度・回転速度を正確に制御できるモーターであり、支柱部20の内部を通じて台座部10の制御基板に接続されている。ステッピングモーター51を作動させると、ステッピングモーター51の出力軸の回転がタイミングベルト52・タイミングプーリー53に伝達され、ヒーター部40がスイングする。ヒーター部40には熱板30が差し込まれているため、ヒーター部40と熱板30とが一体となってスイングするようになっている。
【0025】
なお、ヒーター部40を発熱させるための電気配線群は、伸縮性の高い素材で保護された配線集結パイプ41によって1本にまとめられ、スイング角度に対して余裕のある長さをもって、支柱部20を通じて台座部10に配線されている。具体的な配線方法は特に限定されるものではないが、支柱部20の収納ボックスに逆U字状の配線溝22を形成し、その上部にリブ26を設け、支柱部20の収納ボックス内において配線集結パイプ41を下方向に折り返すのが望ましい。これにより、ヒーター部40のスイングに追従して配線集結パイプ41が配線溝22を移動することになるため、例えば100°程度の大きな角度でスイングしても、配線集結パイプ41が他の部材と干渉しにくくなる。
【0026】
[排出イメージ]
図5は、本発明におけるスイング式ホットプレート1の排出イメージを示す正面図である。ここでは、ワンパスモードで出汁巻き卵100を作る場合において、調理が終わったタイミングで出汁巻き卵100を排出する様子をイメージしている。
【0027】
図5に示すように、熱板30を反時計回りにスイングさせ、出汁巻き卵100が出汁巻きターナー61の高さ位置に到達すると、出汁巻きターナー61によって出汁巻き卵100が返される。これにより、出汁巻き卵100が鉛直方向D2に落下して、台座部10の上面11に置かれた皿の上に載るようになっている。
【0028】
なお、ここでは、熱板30を反時計回りにスイングさせることとしているが、スイング方向はこれに限定されるものではない。すなわち、スイング方向は出汁巻きターナー61の取り付け角度との関係で決めればよく、適宜調整することが可能である。
【0029】
[スイングイメージ]
図6、
図7は、本発明におけるスイング式ホットプレート1のスイングイメージを示す正面図である。
図6は、時計回り方向にスイングさせた状態(左寄りの状態)を示し、
図7は、反時計回り方向にスイングさせた状態(右寄りの状態)を示している。
【0030】
ここでは、スイングモードでチャーハンを作る場合をイメージしている。スイングモード中は、スイングの軸23を中心として、スイング方向D3にヒーター部40と熱板30とが一体的にスイングし、右寄りの状態と左寄りの状態を行ったり来たりする。スイング時間が経過したら、食材を排出するために大きくスイングした後、一回転することなく、スイング方向D3を変えて初期位置に戻るようになっている。スイングの大きさや排出時のスイング角度は、特に限定されるものではなく、適宜調整することが可能である。
【0031】
[出汁巻きターナー]
図8は、本発明における出汁巻きターナー61の斜視図である。この出汁巻きターナー61は、出汁巻き卵100を作る場合のターナーの一例である。
【0032】
具体的には、
図8に示すように、スイングの軸23に固定的に取り付け可能な一方端61aと、一方端61aから延びるシャフト61bと、シャフト61bから複数本に枝分かれした櫛部61cとを備える。食材をひっくり返しやすくするため、櫛部61cの先端を内側に湾曲させている。
【0033】
[ローリングターナー]
図9は、本発明におけるローリングターナー62の斜視図である。このローリングターナー62は、チャーハンなどの炒め物を作る場合のターナーの一例である。
【0034】
具体的には、
図9に示すように、スイングの軸23に固定的に取り付け可能な一方端62aと、一方端62aから延びるシャフト62bと、シャフト62bに対して回転可能に取り付けられた複数個のローリング部62cとを備える。ローリング部62cには、内側に窪んだ複数の溝部62dが形成されている。ここでは図示していないが、ローリング部62cの側面には、食材をかき上げるための横フィンを設けてもよい。
【0035】
[メッシュターナー]
図10は、本発明におけるメッシュターナー63の斜視図である。このメッシュターナー63も、チャーハンなどの炒め物を作る場合のターナーの一例である。
【0036】
具体的には、
図10に示すように、スイングの軸23に固定的に取り付け可能な一方端63aと、一方端63aから延びるシャフト63bと、シャフト63bに対して回転可能に取り付けられた一対のローリング部63cと、一対のローリング部63cの下半分に取り付けられたメッシュ部63dとを備える。ローリング部63cの構造は、ローリングターナー62のものと同様である。メッシュ部63dの上半分を開放しているため、メッシュ部63d内に食材がとどまりにくい。
【0037】
[スクレーパー式ターナー]
図11は、本発明におけるスクレーパー式ターナー64の斜視図である。このスクレーパー式ターナー64は、飴色玉ねぎなどの粘性のあるものを低温でじっくり加熱する場合のターナーの一例である。
【0038】
具体的には、
図11に示すように、スイングの軸23に固定的に取り付け可能な一方端64aと、一方端64aから延びるシャフト64bと、シャフト64bに対して取り付けられた一対のヘラ部64cとを備える。ヘラ部64cは、密着タイプのフィンであり、スプリング機能を発揮できるように、湾曲しやすいハの字型に形成されている。
【0039】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では、スイング式ホットプレート1を用いて出汁巻き卵100を作る場合の手順について説明する。出汁巻き卵100以外にも、食材を加熱しながら巻いていく料理全般に適用することができる。
【0040】
まず、
図1に示すように、スイングの軸23にターナーを取り付ける。出汁巻き卵100を作る場合は、斜め下向き(例えば4時の方向)に出汁巻きターナー61を取り付ける。
【0041】
また、台座部10の上面11に皿を置き、熱板30に卵液を流し込む。熱板30の表面31には凹凸が設けられているため、多くの卵液は底の方の凹部に溜まることになる。卵液を流し込む方法は限定されるものではなく、熱板30の上に卵液の全部を一度に流し込んでもよいし、あるいは、小さな穴の開いたホッパーに卵液を入れ、その穴から徐々に卵液が熱板30上に流れ落ちるようにしてもよい。
【0042】
次に、ワンパスモードを選択し、スタートボタン16を押す。これにより、熱板30が出汁巻き卵100に適した温度(例えば180度)に加熱され、出汁巻き卵100に適したスイング速度で反時計回りに動き出す。
【0043】
この間、卵液の焼き固まっていない液体部分が熱板30の底方向に流れる一方で、焼き固まった固形部分が熱板30の凹部に張り付いたまま熱板30とともに回転する。そして、
図5に示すように、熱板30の凹部に張り付いた固形部分が出汁巻きターナー61の高さ位置まで到達すると、出汁巻きターナー61によって固形部分がひっくり返され、後段の凹部に張り付いた固形部分とともに巻かれていく。その後、最終段の凹部に張り付いた固形部分まで巻かれると、出汁巻き卵100が鉛直方向D2に落下して、台座部10の上面11に置かれた皿の上に載るようになっている。
【0044】
なお、
図5に示すように、熱板30のスイング方向D1に連続する複数の凹凸の凹部31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h,31i,31jの大きさは、熱板30の一方端から他方端に向けて徐々に大きくするのが望ましい。ここでは、凹部31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h,31i,31jの順に、7%ずつ大きくしている。この7%の数値は、もちろん単なる一例であるが、出汁巻き卵100を作る用途であれば7~10%の範囲とするのが望ましい。
【0045】
最も小さな凹部31aと最も大きな凹部31jとで深さに5mm程度の差があるものの、スイングの軸23から全ての凸部までの距離はほぼ同一である。これにより、出汁巻きターナー61の先端が各凸部に接触するため、最後まで出汁巻きターナー61のスプリング機能を保ちながら、出汁巻き卵100をひっくり返すことができる。
【0046】
以上のように、第1の実施の形態によれば、卵液を流しておくだけで、ある程度、形を整えながら出汁巻き卵100を作ることができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、スイング式ホットプレート1を用いてチャーハンを作る場合の手順について説明する。チャーハン以外にも、炒め物全般に適用することができる。
【0048】
まず、スイングの軸23にターナーを取り付ける。チャーハンを作る場合は、
図6,
図7に示すように、下向きにローリングターナー62を取り付ける。
【0049】
また、台座部10の上面11に皿を置き、熱板30にチャーハンの材料を投入する。もちろん、材料を投入するタイミングは材料ごとに異なってもよい。調味料も任意のタイミングで投入すればよい。
【0050】
次に、スイングモードを選択し、スイング速度とスイング時間を設定のうえ、スタートボタン16を押す。これにより、設定されたスイング速度で、設定されたスイング時間だけ、スイング方向D3に熱板30がスイングする。
【0051】
この間、熱板30の凸部とローリングターナー62の溝部62dとが噛み合い、ローリング部62cが回転する。熱板30とローリング部62cは常に接触しているわけではないので、ご飯などの固まった部分が入り込み、ローリング部62cがご飯などの固まった部分を半ば切り分けながら進むイメージになる。
【0052】
その後、設定されたスイング時間に到達すると、熱板30を大きくスイングさせて食材を排出する。その結果、チャーハンが鉛直方向D2に落下して、台座部10の上面11に置かれた皿の上に載るようになっている。
【0053】
以上のように、第2の実施の形態によれば、チャーハンの材料を投入しておくだけで、ご飯をばらしながらチャーハンを作ることができる。ここでは、ローリングターナー62を用いることとしているが、ご飯のかたまりを崩しながらバラバラにすることができるものであればよく、メッシュターナー63などを用いるようにしてもよい。
【0054】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、スイング式ホットプレート1を用いて飴色玉ねぎを作る場合の手順について説明する。飴色玉ねぎ以外にも、ジャムを作る場合や、大豆などの豆類を炒る場合にも適用することができる。
【0055】
まず、飴色玉ねぎを作る場合は、熱板30を凹凸の小さいタイプのものに付け替える。また、スイングの軸23に下向きにスクレーパー式ターナー64を取り付ける。この取り付けイメージは、第2の実施の形態(
図6,
図7)と同様である。更に、台座部10の上面11に皿を置き、熱板30に玉ねぎを投入する。
【0056】
次に、スイングモードを選択し、スイング速度とスイング時間を設定のうえ、スタートボタン16を押す。これにより、設定されたスイング速度で、設定されたスイング時間だけ、スイング方向D3に熱板30がスイングする。この間、スクレーパー式ターナー64のヘラ部64cは熱板30と密着しているため、粘性のあるものを低温でじっくり加熱する場合でも、熱板30の底の方からすくい上げて焦げ等を防止することができる。
【0057】
その後、設定されたスイング時間に到達すると、熱板30を大きくスイングさせて飴色玉ねぎを排出する。その結果、飴色玉ねぎが鉛直方向D2に落下して、台座部10の上面11に置かれた皿の上に載るようになっている。
【0058】
以上のように、第3の実施の形態によれば、玉ねぎを投入しておくだけで、焦げ付きを防止しながら飴色玉ねぎを作ることができる。長時間の加熱が必要な場合、調理にかかり切りにならなくて済むため、特に有用である。
【0059】
[直火タイプ]
図12は、本発明における別のスイング式ホットプレート1の斜視図である。このスイング式ホットプレート1は、直火タイプのホットプレートである。
【0060】
具体的には、
図12に示すように、ヒーター部40に代えて、炎により熱板30を加熱するガスコンロなどのコンロ部40Aを備えている。ヒーター部40を備えていないため、配線集結パイプ41や配線溝22は必要ない。台座部10は横長の形状とし、横方向にスライド溝19を形成している。調理が終了すると、支柱部20をスライド溝19に沿ってスライド方向D4にスライドさせ、スライド溝19の左端まで到達すると、熱板30を大きくスイングさせて食材を排出するようになっている。
【0061】
[本発明の特徴的構成とその効果]
以上のように、本発明におけるスイング式ホットプレート1は、台座部10と、台座部10から立ち上げた支柱部20と、支柱部20に取り付けられ、正面視で上部が開放された舟型の熱板30と、熱板30をスイングさせるスイング機構と、スイングの軸23に一方端が固定的に取り付けられたターナーとを備える。このような構成において、熱板30がスイングすることにより、ターナーの他方端側で熱板30の上の食材が調理される。これにより、様々な調理に適した使い勝手のよいスイング式ホットプレート1を提供することが可能となる。
【0062】
スイング機構は、動作モードとして、片道パスでスイングさせるワンパスモードと、往復パスでスイングさせるスイングモードとを有するのが望ましい。これにより、出汁巻き卵100、チャーハン、飴色玉ねぎ、ジャムなど、それぞれに適した調理法で作ることが可能となる。
【0063】
また、スイング機構は、調理が終わったときに熱板30を所定の角度までスイングさせ、熱板30の上の食材を落下させるのが望ましい。これにより、台座部10の上に皿を置いておけば、調理が終わったときに自動的に料理を皿の上に載せることが可能となる。
【0064】
また、熱板30の表面31には、熱板30のスイング方向D1(D3)に連続する複数の凹凸が形成されているのが望ましい。これにより、熱板30の表面31に食材がとどまり易くなるため、ターナーを用いて効率的に調理することが可能となる。
【0065】
また、複数の凹凸の凹部の大きさが熱板30の一方端から他方端に向けて徐々に大きくなるのが望ましい。これにより、出汁巻き卵100が徐々に大きくなっていっても、ある程度、形を整えながら巻いていくことが可能となる。
【0066】
更に、正面視で上部が開放された舟型のヒーター部40を備え、スイング機構は、ヒーター部40と熱板30とを一体的にスイングさせるのが望ましい。これにより、熱板30の下方にガスコンロなどを備える必要がないため、装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0067】
また、ヒーター部40に接続される電気配線をスイングに追従させるための配線溝22が支柱部20に形成されているのが望ましい。これにより、ヒーター部40がスイングしても、配線集結パイプ41が他の部材と干渉しにくくなる。
【0068】
[その他の実施の形態]
以上のように、本発明の実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0069】
1 スイング式ホットプレート
10 台座部
11 台座部の上面
12 速度調節ダイヤル
13 温度調節ダイヤル
14 時間調節ダイヤル
15 モード切替ボタン
16 スタートボタン
17 停止ボタン
18 電源スイッチ
20 支柱部
21 開口部
22 配線溝
23 スイングの軸
30 熱板
31 熱板の表面
32 リブ
33 リブ
40 ヒーター部
41 配線集結パイプ
51 ステッピングモーター(スイング機構)
52 タイミングベルト(スイング機構)
53 タイミングプーリー(スイング機構)
61 出汁巻きターナー
62 ローリングターナー
63 メッシュターナー
64 スクレーパー式ターナー
D1 スイング方向
D2 鉛直方向
D3 スイング方向
D4 スライド方向