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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160337
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/02 20120101AFI20221012BHJP
   B60W 50/04 20060101ALI20221012BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B60W50/02
B60W50/04
F02D45/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065023
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】300052246
【氏名又は名称】日本電産エレシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100176692
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 ▲廣▼志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 澄信
【テーマコード(参考)】
3D241
3G384
【Fターム(参考)】
3D241BA41
3D241BA60
3D241BA64
3D241BA65
3D241CE05
3G384DA44
3G384EE11
(57)【要約】
【課題】多入力・多出力の処理を行うADAS用制御装置に搭載する回路基板を低コスト化する。
【解決手段】CPU2により外部からの入力信号を処理するとともに第1のCAN通信部と情報通信を行い、CPU1は外部への出力信号を処理するとともに第2のCAN通信部と情報通信を行う。また、CPU1,2相互間において異常監視信号を含む信号の送受信を行うとともに、分岐/論理回路12により、CPU1,2間に共通のCAN信号をCPU1,2それぞれに分岐して伝送し、さらには、CPU1,2それぞれから出力される信号を論理処理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御部と第2の制御部とを備える制御装置用の回路基板であって、
前記第1の制御部と前記第2の制御部間の相互通信を可能にする通信手段と、
前記第1の制御部と通信可能に構成された第1のCAN(Controller Area Network)通信部と、
前記第2の制御部と通信可能に構成された第2のCAN(Controller Area Network)通信部と、
前記第1の制御部および前記第2の制御部に対して共通に通信可能に構成された第3のCAN(Controller Area Network)通信部と、
を備え、
前記第1の制御部は外部からの入力信号を処理するとともに前記第1のCAN通信部と情報通信を行い、前記第2の制御部は外部への出力信号を処理するとともに前記第2のCAN通信部と情報通信を行い、
前記通信手段は、前記第1の制御部と前記第2の制御部間における少なくとも異常監視信号を含む信号の送受信を可能にし、
前記第3のCAN通信部は、前記第1の制御部と前記第2の制御部に共通のCAN信号を該第1の制御部と該第2の制御部それぞれに分岐して伝送する分岐手段と、該第1の制御部と該第2の制御部それぞれから出力される信号を論理処理する論理処理手段とを備える回路基板。
【請求項2】
前記異常監視信号はウォッチドッグ信号であり、前記第1の制御部は前記通信手段を介して前記第2の制御部の前記ウォッチドッグ信号を監視し、前記第2の制御部は前記通信手段を介して前記第1の制御部の前記ウォッチドッグ信号を監視し、
前記第1の制御部および前記第2の制御部は、前記ウォッチドッグ信号の監視結果に基づく所定の異常を検知した場合、少なくとも前記外部への出力信号と、前記第1、第2、および第3のCAN通信部によるCAN通信とを停止する請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1の制御部および前記第2の制御部各々は、前記異常監視信号に基づいて自己の異常を検知する自己診断手段を備える請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記分岐手段と前記論理処理手段は、一方端が前記第3のCAN通信部とのインタフェース側に接続され、他方端が前記第1の制御部と前記第2の制御部それぞれに接続された単一の回路素子で構成される請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
前記論理処理手段は、前記第1の制御部からの出力信号と前記第2の制御部からの出力信号との論理積をとる請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記外部からの入力信号は、先進運転支援システム(ADAS)の所定機能に対応させて設けた入力手段からの入力情報を含み、前記外部への出力信号は、前記ADASの所定機能に対応させたインジケータ表示用の出力情報である請求項1に記載の回路基板。
【請求項7】
前記制御装置は前記ADAS用の制御装置ADAS-ECU(ADAS-Electric Control Unit)である請求項6に記載の回路基板。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の回路基板を搭載した先進運転支援システム(ADAS)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばADAS-ECUに搭載する回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、その高機能化に伴い多数の電子制御ユニットECU(Electronic Control Unit)を搭載して、目的とする車両制御を行っている。また、車両の自動運転化のため先進運転支援システムADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)を搭載する自動運転車両は、車両周囲の状況を検出する多数のセンサ情報を入力して、車両を安全に自動運転させる指令情報を決定し、その指令情報の出力によって多数のアクチュエータ等を動作させている。
【0003】
例えば特許文献1は、自車両が同一車線内を走行している場合は、自車線の位置を表す自車線情報を用いて自車両の制御を行い、自車両が車線変更中である場合には、車線変更先の車線の位置を表す隣接車線情報を用いて自車両の制御を行う車両制御装置を開示している。この車両制御装置は、車線認識と車両制御の機能ごとにCPUを配置し、CPUどうしを車載ネットワークで接続した構成を有する。
【0004】
特許文献2には、複数のCPUからなる装置として、それぞれがマイクロコンピュータ等からなり相互に通信可能に接続された演算装置と監視装置を備える電子制御装置が開示されている。特許文献2では、特定条件下で演算装置から発行されたリセット信号を監視対象外のリセット信号と見做し、演算装置の本来の異常時に生じる監視対象リセット信号となるか、あるいは本来の異常時以外に生じる監視対象外リセット信号となるかを判別することで、意図しないタイミングでリセット信号が発行されても負荷を駆動停止することなく通常の処理を継続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6531697号公報
【特許文献2】特許第6690495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車両制御装置では、車線認識部と車両制御部間が車載ネットワークを介して接続されているが、車線認識部と車両制御部が相互に動作を監視する構成となっていない。このことから、監視から外れている処理部に動作異常等が生じた場合、車両制御装置における所望の性能を維持できず、例えば、ADASに要求されるような多入力・多出力の処理が困難になる。
【0007】
特許文献2に記載の電子制御装置は、監視装置側でのウォッチドッグ信号の監視結果に基づいて、演算装置へリセット信号を送信する構成であるため、監視装置そのものの動作異常等を監視できないという問題がある。
【0008】
先進運転支援システムADASが一般に普及するためには、低コスト化が望まれるが、多入力・多出力の処理を行い、かつ、瞬時に多くの判断を行うためには、高性能な処理機能(演算装置)を有する必要がある。
【0009】
このような高性能処理を実現するために、ADAS用制御装置にコスト(単価)の高い単一のプロセッサを設ける構成とした場合、ADAS用制御装置そのものの高コスト化を招くという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多入力・多出力の処理を行うADAS用制御装置に搭載する回路基板を低コスト化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として以下の構成を備える。すなわち、本願の例示的な第1の発明は、第1の制御部と第2の制御部とを備える制御装置用の回路基板であって、前記第1の制御部と前記第2の制御部間の相互通信を可能にする通信手段と、前記第1の制御部と通信可能に構成された第1のCAN(Controller Area Network)通信部と、前記第2の制御部と通信可能に構成された第2のCAN(Controller Area Network)通信部と、前記第1の制御部および前記第2の制御部に対して共通に通信可能に構成された第3のCAN(Controller Area Network)通信部とを備え、前記第1の制御部は外部からの入力信号を処理するとともに前記第1のCAN通信部と情報通信を行い、前記第2の制御部は外部への出力信号を処理するとともに前記第2のCAN通信部と情報通信を行い、前記通信手段は、前記第1の制御部と前記第2の制御部間における少なくとも異常監視信号を含む信号の送受信を可能にし、前記第3のCAN通信部は、前記第1の制御部と前記第2の制御部に共通のCAN信号を該第1の制御部と該第2の制御部それぞれに分岐して伝送する分岐手段と、該第1の制御部と該第2の制御部それぞれから出力される信号を論理処理する論理処理手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本願の例示的な第2の発明は、先進運転支援システム(ADAS)であって、上記例示的な第1の発明に係る回路基板を搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多入力・多出力処理を迅速に行う制御装置の低コスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回路基板が搭載されたADAS用制御装置のシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、CPU1,2における相互監視の構成を模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態に係る回路基板が搭載されたADAS用制御装置における故障処理(故障診断シーケンス)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、実施形態に係る回路基板として、車両に搭載される電子制御ユニットECUのうち、先進運転支援システムであるADAS用の制御装置ADAS-ECU(ADAS-Electric Control Unit)における回路基板を例示する。
【0016】
図1は、実施形態に係る回路基板が搭載されたADAS用制御装置のシステム構成の一例を示す。図1において、ADAS用制御装置(以下、単に制御装置ともいう)10は、相互通信が可能に構成された2つのマイクロプロセッサである制御部1(CPU1)と制御部2(CPU2)を備える。CPU1,2は、それぞれクロック発振部(不図示)より入力した所定周波数の動作クロックに基づいてADASに必要な制御動作、演算動作等を実行する。
【0017】
CPU1,2間では、SPI(Serial Peripheral Interface)通信を使用して、相互に高速通信によるデータ交換を行っている。
【0018】
ここでは、CPU1をMainCPU、CPU2をSubCPUとする。SubCPUであるCPU2は、内蔵メモリ8等に格納された制御プログラムに従って、制御装置10の外部から入力される信号を処理する。MainCPUであるCPU1は、内蔵メモリ7等に格納された制御プログラムに従って、制御装置10の外部へ信号を出力する処理を実行する。機能ごとに分けたCPU1,2による信号処理、情報処理によって、所望のADAS機能が実現される。
【0019】
内蔵メモリ7には、ADASアプリケーション・プログラムに加えて、ADAS処理に必要なADAS指令値等が格納される。また、内蔵メモリ8は、後述するスイッチ、センサ等のインタフェースに対応した信号を処理し、補完等するソフトウェアであるセンサフュージョン・アプリケーションを有する。
【0020】
なお、ここではCPU1,2として、高価な単一の高機能CPUではなく、それに比べて廉価なマイクロプロセッサを使用する。また、CPU1,2には、それぞれ同等の情報処理機能を有するマイクロプロセッサを選定する。その際、ADAS用制御装置の構成、機能等に係る仕様を考慮して、それらに対応するマイクロプロセッサを選択してもよい。
【0021】
制御装置10の外部からCPU2へ入力される信号として、スイッチSW1~SW3からの入力信号がある。例えば、SW1は、ADASにおける車間距離警報音のON/OFF切替え操作スイッチである。SW2は、ADASにおける車線維持走行支援/ドライバー異常時対応システムの機能を作動あるいはキャンセルの切替えスイッチである。また、SW3は、ドライバー異常時対応機能の切替え用の予備スイッチである。
【0022】
一方、CPU1から外部へ出力される信号(情報)として、複数の発光ダイオード(LED)で構成されるLED表示部15への表示情報(指示情報)、ホーン作動用のリレー17の駆動情報がある。LED表示部15には、表示情報としてローサイドスイッチ11によりパルス幅変調(PWM)された制御信号が送信され、それにより、LED表示部15に設けたインジケータ表示用LEDがON/OFFされる。
【0023】
CPU1とローサイドスイッチ11間には、LED表示部15への表示情報に合わせて4チャンネルの信号線が接続されている。一方、リレー17には、CPU1よりハイサイドスイッチ13を介して、ホーン作動用のリレー駆動信号が出力される。
【0024】
さらにCPU1,2は、車両の各種情報を授受する車載ネットワーク(Controller Area Network:CAN)に接続されたCAN信号線(CAN通信バスCAN1~CAN5)を介して、他の制御ユニット(ECU)等とCANプロトコルによるデータ通信を行う。CAN信号線は2線式の通信線である。
【0025】
CAN1,2は、種々のセンサ系の情報を取得する。例えばCAN1は、車両の前方監視カメラ等の画像センサ系情報を取得し、CANインタフェース(CAN IC)31を介して情報がCPU2へ送られる。CAN2は、自車の位置情報に関する情報を取得し、その情報はCANインタフェース33を介してCPU2へ送られる。
【0026】
CAN3~5は、車両系の情報を取得する。例えばCAN3により、車両の周辺レーダ系の情報が取得され、CANインタフェース35を介してCPU1へ送信される。CAN4は、車両制御系(ボディ系)情報を取得し、CANインタフェース37を介して、その情報をCPU1へ入力する。
【0027】
CAN5は、CPU1,2に対する共通CANラインである。CAN5は、車両制御系(環境系)情報を取得し、その情報はCANインタフェース39へ入力され、分岐/論理回路12で分岐された後、共通情報としてCPU1,2へ送信される。
【0028】
CPU1,2それぞれの共通CAN入出力端子CM1,2より出力されたデータは、分岐/論理回路12で論理積(AND)演算された後、CANインタフェース39を介してCAN5へ出力される。
【0029】
IG-SWはイグニッションスイッチであり、その一方端がバッテリBTに接続され、他方端は電源部41に接続されるとともに、CPU1,2に接続されている。電源部41は、バッテリBTから供給された電圧+B(例えば24V)を、CPU1,2、その他のIC等の動作電圧(例えば、ロジックレベルの電圧V(5V),V(3.3V),V(1.25V))に変換して出力する。
【0030】
次に、本実施形態に係る回路基板が搭載されたADAS用制御装置の動作について説明する。図2は、CPU1,2における相互監視の構成を模式的に示している。本実施形態に係る回路基板は、外付けのウォッチドッグ(WD)ICを使用しない構成となっている。
【0031】
例えば、CPU2のコア2は、タスク処理起動時に10ミリ秒の周期でアプリケーション起動カウンタ2aをカウントアップする。また、CPU2のコア2は、上記10ミリ秒の処理終了時にCPU1に対して割り込みをかけて、CPU1にアプリケーション起動を指示する。
【0032】
CPU1のコア2は、CPU2より割り込み信号を受けて、アプリケーション起動時にアプリケーション起動カウンタ1aをカウントアップする。
【0033】
CPU1は、コア1に内部ウォッチドッグ1bを備え、CPU2は、コア1に内部ウォッチドッグ2bを備えており、CPU1のプロセッサ内部には外部ウォッチドッグ1cが組み込まれ、CPU2のプロセッサ内部に外部ウォッチドッグ2cが組み込まれた構成を有する。
【0034】
CPU2のコア1は、10ミリ秒の周期でコア2のプリケーション起動を監視し、更新があったならば、外部ウォッチドッグ2cより、CPU1の外部ウォッチドッグ1cに対して所定パルスを送信する。
【0035】
同様に、CPU1のコア1は、10ミリ秒の周期でコア2のプリケーション起動を監視し、更新があれば、外部ウォッチドッグ1cより、CPU2の外部ウォッチドッグ2cに対して所定パルスを送信する。こうすることで、外部ウォッチドッグ1c,2cによりCPU1とCPU2間の相互監視診断を行う。
【0036】
図3は、本実施形態に係る回路基板が搭載されたADAS用制御装置における故障処理(故障診断シーケンス)の一例を示すフローチャートである。
【0037】
CPU1,2は、図3のステップS11において、電源部41から供給される電源電圧が最低動作電源電圧以上であるか等を監視する、パワーオンリセット(POR)ICからなるリセット部4,5より正常な信号が入力されているか否かを判断する。
【0038】
POR信号が正常(パワーオンリセット機能が正常)であれば、ステップS13において、上述したCPU1とCPU2間におけるウォッチドッグ信号の送受信を行う。
【0039】
続くステップS15において、CPU1,2各々は相手からの信号の有無を判断する。相手CPUからのウォッチドッグ信号が受信されない場合、受信元となるCPUは、ステップS17において、GPIO(General Purpose Input/Output)を介して、相手CPUへ故障検知の信号を送出する。
【0040】
一方、CPU1,2は、ステップS11において、リセット部4,5から正常な信号が送信されていないと判断した場合には、ステップS27において、相手CPUへ故障検知の信号(ER OUTZ)を送出する。
【0041】
CPU1,2は、上記のステップS17あるいはS27において故障検知信号が送出された場合、ステップS19において、送信停止部(TX_STOP)3に対して起動信号を送る。その結果、ステップS21おいて、CPU1,2によるCAN通信、およびCPU1からの外部出力を停止する。
【0042】
続くステップS23において、CPU1,2は、イグニッションスイッチ(IG-SW)がOFFとなっているかを判断する。ここでは、例えば、CPU1,2においてイグニッション(IG)電圧値をAD変換し、変換後のデジタル電圧値をもとに、IG-SWのOFF状態を判定する。
【0043】
CPU1,2は、IG-SWがOFFになっていないと判断した場合、ステップS21の状態(ラッチ状態)を維持する。IG-SWがOFFとなった場合には、ステップS25において、上記のように検知された故障を記録する。
【0044】
具体的には、電気的に書き込みおよび消去が可能なEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、あるいは電気的に書き換え可能なフラッシュメモリである外部メモリ6に、検知した故障事例、故障モード、発生時間等を記録する。これにより、次回のシステム起動時(IG-SWがOFFからONになった時)に利用可能な情報が保持され、他のECU等に対して故障報告が可能となる。
【0045】
上述した故障処理(故障診断シーケンス)の実行により、故障検知後においてADAS用制御装置が確実に停止された安全な状態が維持される。このようなラッチ状態は、電源が再投入(IG-SWがON)され、パワーオンリセットによってCPU1,2がリセットされたときに解除され、故障要因が無くなっていれば正常状態に復帰する。
【0046】
なお、CPU1,2は、上記の処理に加えて、例えば、制御プログラム等が格納されたメモリ7,8内のチェックサムの確認、CPU1,2の診断機能BIST(Built-In Self-Test)による自己診断、CPUが有する機能の初期化等を行う。
【0047】
以上説明したように本実施形態に係る回路基板は、単一の高機能CPUに比べて廉価であり、それと同等の情報処理機能を有する、相互に通信可能な2つの制御部(CPU)を備えるので、必要な機能処理性能を維持したまま回路基板の低コスト化が可能になる。さらに、機能ごとに制御部(CPU)を分け、制御部が異常監視信号であるウォッチドッグ信号を相互に監視する構成とし、異常監視用の専用デバイスを不要としたことで低コスト化ができる。
【0048】
加えて、2つの制御部に共通のCAN情報を、単一のCANインタフェースを介して送受信する構成とすることで、回路基板を低コスト化できる。
【0049】
さらには、1つの回路基板に処理機能および処理信号ごとに対応させた2つの制御部を設けることで、多入力・多出力の処理を迅速に行う必要のある装置に適した回路基板を提供できる。
【0050】
本実施形態に係る回路基板を先進運転支援システムADAS用の制御装置ADAS-ECU(ADAS-Electric Control Unit)に搭載することで、ADASにおいて低コストの回路基板を使用した高速な多入力・多出力処理が可能となる。それにより、ADAS用制御装置を低コスト化できる。
【符号の説明】
【0051】
1 制御部1(MainCPU)
2 制御部2(SubCPU)
3 送信停止部
4,5 リセット部
6 外部メモリ
7,8 内蔵メモリ
10 ADAS用制御装置
11 ローサイドスイッチ
12 分岐/論理回路
13 ハイサイドスイッチ
15 LED表示部
17 リレー
31,33,35,37,39 CANインタフェース
41 電源部
BT バッテリ
CAN1~CAN5 CAN通信バス
IG-SW イグニッションスイッチ
SW1~SW3 スイッチ
図1
図2
図3