IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特開2022-160365エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム
<>
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図1
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図1A
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図2
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図3
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図3A
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図3B
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図4
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図5
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図6
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図7
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図8
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図9
  • 特開-エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160365
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20221012BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221012BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20221012BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/6564 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20221012BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20221012BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221012BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221012BHJP
   B64D 25/00 20060101ALI20221012BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20221012BHJP
   B60L 50/72 20190101ALN20221012BHJP
   B60L 58/27 20190101ALN20221012BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/249
H01M50/383
H01M10/613
H01M10/6557
H01M10/6564
H01M10/6568
H01M10/42 Z
H01M10/48 301
H01M10/625
B64D25/00
B60L3/00 S
B60L50/72
B60L58/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022035220
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】63/171,164
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ディー・グリフィン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・イー・ファーガソン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ジェイ・カッツマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エー・トレラ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ラコー
【テーマコード(参考)】
5H012
5H030
5H031
5H040
5H125
【Fターム(参考)】
5H012CC08
5H012DD05
5H012EE01
5H012FF03
5H030AA06
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF26
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040LL01
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD09
5H125EE25
5H125EE26
5H125FF05
5H125FF27
(57)【要約】
【課題】リチウムイオン電池など高エネルギー密度電池における熱暴走事象を抑制するという点で現在の航空機保護の方法論では不十分である。
【解決手段】エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステム。1つのエネルギー貯蔵システムは、複数の電池セルを支持する容器と、容器内に配置され、容器によって支持された複数の電池セルと、容器に取り付けられた薬剤供給ポートと、容器内に配置され、閉口端及び開口端を有する管とを備える。管の開口端は、薬剤供給ポートと流体連通している。管は、管の他の部分の溶融温度又は軟化温度よりも低い温度で溶融又は軟化するように設計された可融性部分を含む。管の可融性部分の溶融又は軟化に応答して、加圧発熱反応抑制剤が管を介して容器内に供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを支持するように構成された容器と、
前記容器に取り付けられた薬剤供給ポートと、
前記容器内に配置され、前記容器によって支持された複数の電池セルと、
前記容器内に配置され、閉口端及び開口端を有する管であって、前記管の前記開口端は前記薬剤供給ポートと流体連通し、前記管は前記管の他の部分の溶融温度又は軟化温度よりも低い温度で溶融又は軟化するように設計された可融性部分を含む、管と
を備える、エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記管の前記他の部分は、壁の比較的厚い部分を備え、前記管の前記可融性部分は、前記壁の比較的薄い部分を備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記管の前記他の部分は、開口部を有する壁を備え、前記管の前記可融性部分は、可融性カバーの温度が前記可融性カバーの溶融温度又は軟化温度よりも低い場合に前記開口部を覆う前記可融性カバーを備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記管の前記他の部分は、第1の開口部及び第2の開口部を有する壁を備え、前記管の前記可融性部分は、ストリップを備え、前記ストリップは前記ストリップの温度が前記ストリップの溶融温度又は軟化温度よりも低い場合に前記第1の開口部及び前記第2の開口部を覆う、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記ストリップに取り付けられた加熱要素を更に備え、前記管はアルミニウム合金で作られ、前記ストリップはスズ合金で作られ、前記加熱要素はニクロムで作られる、請求項4に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記加熱要素に電気的に接続されるスイッチと、前記スイッチに電気的に接続される電源と、前記スイッチに電気的に接続され、前記スイッチの状態を制御するよう構成されたコントローラーと、前記コントローラーに電気的に接続され、前記容器内での有害な発熱反応の発生に応答して前記コントローラーに電気信号を出力するよう構成された検出器とを更に備える、請求項4に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記容器は、ベントプレナムを画定するように構成されており、前記システムは、前記ベントプレナムと流体連通するベントを更に備え、前記管は、前記ベントプレナム内の空間を占有し、前記容器は、前記複数の電池セルを支持するトレイと、前記ベントプレナムを部分的に画定するカバーとを更に備え、前記システムは、前記トレイと前記カバーとの間に配置され、前記管と一体的に形成された縁部シールを更に備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記複数の電池セルは、2×2アレイに配置された第1~第4の電池セルを含み、前記管は、前記2×2アレイの中心に、前記第1~第4の電池セルと平行に配置される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
発熱反応抑制剤を流体状態で収容した加圧容器と、
前記加圧容器及び前記薬剤供給ポートと流体連通する∩形状のパイプと
を更に備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
複数の電池セルを支持するよう構成された容器と、
前記容器に取り付けられた薬剤供給ポートと、
前記容器内に配置され、前記容器によって支持された複数の電池セルと、
前記薬剤供給ポートと流体連通する薬剤プレナムと、
前記容器内に配置され、前記薬剤プレナムと流体連通している複数の管であって、各管は第1の溶融温度を有する第1の材料で作られ、各管は閉口端及び複数の開口部を有する壁を備える、複数の管と、
前記複数の管にそれぞれ取り付けられ、前記複数の開口部をそれぞれ覆う複数のストリップであって、各ストリップは前記第1の溶融温度よりも低い第2の溶融温度を有する第2の材料で作られる、複数のストリップと
を備える、エネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記複数のストリップにそれぞれ取り付けられた複数の加熱要素を更に備え、前記管はアルミニウム合金で作られ、前記ストリップはスズ合金で作られ、前記加熱要素はニクロムで作られる、請求項10に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
前記複数の加熱要素にそれぞれ電気的に接続される複数のスイッチと、前記複数のスイッチに電気的に接続される電源と、前記複数のスイッチに電気的に接続され、前記複数のスイッチの状態を制御するコントローラーと、前記コントローラーに電気的に接続され、前記容器内での有害な発熱反応の発生に応答して前記コントローラーに電気信号を出力する検出器とを更に備える、請求項11に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
発熱反応抑制剤を流体状態で収容した加圧容器と、
前記加圧容器及び前記薬剤供給ポートと流体連通する∩形状のパイプと
を更に備える、請求項12に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
複数の電池セルを支持するよう構成された容器と、
前記容器内に配置され、前記容器によって支持された複数の電池セルと、
前記電池セルの間に配置され、複数の開口部を有する管であって、前記管は第1の溶融温度を有する第1の材料から作られる、管と、
前記管に取り付けられ、前記複数の開口部を覆う複数のストリップであって、前記ストリップが、前記第1の溶融温度よりも低い第2の溶融温度を有する第2の材料から作られる、複数のストリップと
を備える、エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
前記複数のストリップにそれぞれ取り付けられる複数の加熱要素と、
前記複数の加熱要素にそれぞれ電気的に接続される複数のスイッチと、
前記複数のスイッチに電気的に接続される電源と、
前記容器内での有害な発熱反応の発生に応答して電気信号を出力する検出器と、
前記検出器及び前記複数のスイッチに電気的に接続されるコントローラーであって、前記コントローラーは前記検出器からの前記電気信号の受信に応答して前記複数のスイッチを開くように構成されている、コントローラーと
を更に備える、請求項14に記載のエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応(例えば、火災又は熱暴走)の抑制に関し、より詳細には、航空機に搭載された電池内での有害な発熱反応の抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
火災抑制システムは、多くの場合、有害な発熱反応が検出されたときに放出される圧縮ガスなどの加圧流体を使用する。いくつかの自動火災抑制システムでは、圧縮ガス(例えば、二酸化炭素)で満たされたシリンダが、ある長さの可融性管に接続される。可融性管は、圧縮ガスが有害な発熱反応の箇所で放出されるように、十分に高い温度に加熱されると破断するように設計されている。産業機械、電気パネル及び装置、ならびにビークルにこのようなシステムを設置することができる。
【0003】
航空機、特に、民間航空機は、通常、貨物室に防火システムを備えている。一般的な防火システムは、2つのサブシステム、即ち、火災検出システムと火災抑制システムを備える。火災検出システムは、1つ又は複数の火災検出器(例えば、煙検出器)を備え、火災抑制システムは、消火剤を吐出することができる。貨物室内で火災が検知されると、消火剤が放出され、貨物室内を水浸しにする。薬剤の放出は、火災検出器による検出に応答して自動的に行われる場合もあり、代替的にパイロットの手動介入(例えば、警告信号に続いてスイッチを入れる)に応答して行われる場合もある。
【0004】
現在の航空機保護には、初期事象を緩和することで航空機を保護するために、エネルギー貯蔵容器の包装規制又は貨物内容物の制限を規定することが含まれている。航空機用電池の場合、この方法は非常に深刻で、航空機に性能上の不利益を課してしまう。電池の貨物輸送の場合、緩和には、航空輸送を利用する航空会社と製造業者の両方からのあるレベルの誓約が必要となる。現在の取り決めを実施することは困難である。航空機でのエネルギー貯蔵容器の使用に関しては、現在進行中の火災事象を抑制するための方法論が利用可能である。しかしながら、リチウムイオン電池などの高エネルギー密度電池において進行中の熱暴走事象を抑制するために使用する場合には、これらの方法論では不十分である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に開示される主題は、エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステムに関する。様々な実施形態によれば、保護システムは、エネルギー貯蔵容器の構造部品として一体化される。システムは、エネルギー貯蔵容器内に引き回しされる剛性管を備える。剛性管は、発熱反応を抑制する非導電性薬剤を液体状態で供給するための手段として機能する。本明細書で使用される場合、「管(tubing)」という用語は、複数の管を意味する。このような複数の管は、共通の薬剤供給ポートと流体連通していてもよい。剛性管は、また、エネルギー貯蔵容器内の電気部品(電池セルなど)を支持するように構成されていてもよい。
【0006】
本明細書で提案される実施形態は、剛性管に取り付けられるか、又はそれと一体化される可融性部品を含む。1つの受動的な実施形態によれば、各可融性部品は、管のそれぞれの開口部を覆い、管の溶融温度よりも低い溶融温度を有する材料で作られる。別の受動的な実施形態によれば、管の相対的に厚い部分よりも相対的に薄い部分がより速く溶融するので、各可融性部品は、それぞれの開口部を形成する管の相対的に薄い部分と一体となっている。各可融性部品の溶融により、発熱反応抑制液を目標の箇所に吐出して、(特に、航空機において、加圧された占有容積の中での)火災や熱暴走事象の伝播を緩和することができる。1つの積極的な実施形態によれば、選択された可融性部品は、可融性部品の溶融の手動又は自動始動を可能にするために、電気加熱要素に電気的に結合される。更なるハイブリッドな実施形態によれば、システムは、受動的な可融性部品と始動可能な可融性部品の両方を備えることができる。このようなハイブリッドな実施形態の1つの利点は、発熱反応抑制液を分散させる方法の始動を受動的又は電気的に行うことができることであり、冗長性と故障低減を可能にする。
【0007】
様々な実施形態によれば、可融性部品は、エネルギー貯蔵容器内の内部流体供給ネットワークにおいて、進行中の火災又は熱暴走事象に関与又は寄与する領域(複数可)への非導電性の気体又は液体の発熱反応抑制剤(以下、「発熱反応抑制剤」)の標的放出のために使用される。任意選択的に、発熱反応に対する即時応答を迅速化するために、供給ネットワークを予め発熱反応抑制剤で充填しておいてもよい。初期放出後、発熱反応抑制剤は、外部の加圧容器から供給ネットワークに供給され続ける。1つの提案された実施形態では、可融性部品は、エネルギー貯蔵容器全体のいくつかの箇所で電気作動ベースの部品に結合されており、これにより、パイロットは、火災又は熱暴走事象の関係のない実体への伝播を緩和する目的で、流体の供給を作動させることができる。
【0008】
エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステムの様々な実施形態を以下である程度詳細に説明するが、それらの実施形態のうちの1つ又は複数は、以下の態様のうちの1つ又は複数によって特徴付けられる場合がある。
【0009】
以下に詳細に開示される主題の一態様は、複数の電池セルを支持する容器と、容器内に配置され、容器に支持された複数の電池セルと、電池セル間に配置された管と、管に取り付けられた複数のストリップとを備えるエネルギー貯蔵システムである。管は、複数の開口部を有する。ストリップは、複数の開口部を覆う。管は、第1の溶融温度を有する第1の材料で作られる。ストリップは、第1の溶融温度よりも低い第2の溶融温度を有する第2の材料で作られる。第2の材料の溶融による開口部の露出に応答して、加圧発熱反応抑制剤が管を介して容器内に供給される。
【0010】
以下に詳細に開示される主題の別の態様は、複数の電池セルを支持する容器と、容器に取り付けられた薬剤供給ポートと、容器内に配置され、容器によって支持される複数の電池セルと、容器内に配置され、閉口端と開口端を有する管であって、管の開口端は薬剤供給ポートと流体連通し、管の他の部分の溶融温度又は軟化温度よりも低い温度で溶融又は軟化するように設計された可融性部分を備える、管とを備える、エネルギー貯蔵システムである。エネルギー貯蔵システムのいくつかの実施形態によれば、管の他の部分は、壁の相対的に厚い部分を備え、管の可融性部分は、壁の相対的に薄い部分を備える。エネルギー貯蔵システムの他の実施形態によれば、管の他の部分は、開口部を有する壁を備え、管の可融性部分は、可融性カバーの温度が可融性カバーの溶融温度又は軟化温度よりも低い場合に開口部を覆う可融性カバーを備える。エネルギー貯蔵システムの更なる実施形態によれば、管の他の部分は、第1の開口部と第2の開口部とを有する壁を備え、管の可融性部分は、ストリップの温度がストリップの溶融温度又は軟化温度よりも低い場合に第1の開口部と第2の開口部とを覆うストリップを備える。
【0011】
以下に詳細に開示される主題の更なる態様は、複数の電池セルを支持する容器と、容器に取り付けられた薬剤供給ポートと、容器内に配置され、容器に支持された複数の電池セルと、薬剤供給ポートと流体連通する薬剤プレナムと、容器内に配置され、薬剤プレナムと流体連通している複数の管であって、各管が第1の溶融温度を有する第1の材料で作られ、各管が閉口端と複数の開口部を有する壁とを備える、複数の管と、複数の管にそれぞれ取り付けられ、複数の開口部をそれぞれ覆う複数のストリップであって、各ストリップは、第1の溶融温度よりも低い第2の溶融温度を有する第2の材料で作られる、複数のストリップとを備える、エネルギー貯蔵システムのためのシステムである。
【0012】
エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステムの他の態様を以下に開示する。
【0013】
前項で説明した形状、機能及び効果を様々な実施形態で個別に実現したり、更に別の実施形態に組み込んだりしてもよい。以下、上述の態様と他の態様とを図示するために、図面を参照して様々な実施形態を説明する。どの図も正確な縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態による、内部発熱反応を抑制するための流体供給ネットワークの部品を組み込んだ電池モジュールの立体(3D)図である。
図1A】管材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する材料で作られたカバーによって閉じられる開口部を有する管の一部の側面図である。
図2】第2の実施形態による内部発熱反応を抑制するための流体供給ネットワークの部品を組み込んだ電池モジュールの一部の3D図である。
図3】第3の実施形態による内部発熱反応を抑制するための流体供給ネットワークの部品を組み込んだ電池モジュールの3D図である。
図3A図3に示す電池モジュールの正面図である。
図3B図3に示す電池モジュールの内部形状を明らかにするために3Dモデルの表面要素が除去された破断図である。
図4】一実施形態による、図1に示すタイプの複数の電池モジュールが各々ベントシステムと加圧発熱反応抑制剤供給システムとに接続されているシステムの部品を識別するハイブリッド図である。
図5】一実施形態による加圧発熱反応抑制剤供給システムの部品を識別するプロセスフロー図である。
図6】代替的な実施形態による加圧発熱反応抑制剤供給システムの部品を識別するプロセスフロー図である。
図7】受動的及び能動的な熱暴走伝播の緩和を可能にするための液体冷却手段を組み込んだ電池モジュールの一部の3D図である。
図8】複数の開口部を覆う可融性ストリップに取り付けられた蛇行加熱要素を示す図である。
図9】更なる実施形態による蛇行流体供給ネットワークによって保護されている電池セルの列の正面図である。
図10】一実施形態による発熱反応抑制剤の放出を電気的に始動するためのシステムの部品を識別するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、異なる図面における類似の要素に同じ参照番号を付した図面を参照することができる。
【0016】
エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステムの例示的な実施形態を、以下に若干詳細に説明する。ただし、実際の実施形態の全ての形状が本明細書で説明されているわけではない。当業者であれば、このような任意の実施形態の開発において、システム関連及びビジネス関連の制約への準拠など、実施形態ごとに異なる開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施形態固有の決定を行わなければならないことを理解するであろう。更に、このような開発努力は複雑で時間がかかる可能性があるが、それでも本開示の利益を有する当業者にとっては日常的な仕事であることが理解されるであろう。
【0017】
説明のために、以下に説明するシステムは、航空機に搭載される機器として設置される、又は貨物として格納されるエネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するように構成されている。しかしながら、本明細書で提案される技術は、航空機への適用に限定されず、地上に設置された、又は自動車、産業用トラック、及び列車などの他の種類のビークルに搭載されたエネルギー貯蔵容器にも適用することができる。
【0018】
図1は、第1の実施形態による、内部発熱反応を抑制するための流体供給ネットワークの部品を組み込んだ電池モジュール2の形態のエネルギー貯蔵容器の3D図である。電池モジュール2は、エネルギー貯蔵容器4(以下、「容器4」)の内部に配置され、かつ容器4によって支持される複数の電池セル12を備える。容器4は、複数の電池セル12を支持するように構成されているトレイ4aと、ベントプレナム18を部分的に画定する蓋4bとを備える。ベントプレナム18は、電池セル12と蓋4bとの間の開放空間である。電池モジュール2は、蓋4bに取り付けられるベント8を更に備える。ベント8は、ベントプレナム18と流体連通している。例えば、ベントプレナム18内の煙は、ベント8を介してベントプレナム18から出ることができる。ベント8は、図1には示されていないベントマニホールド(ただし、図4のベントマニホールド60を参照)に接続されている。
【0019】
図1に示す電池モジュール2は、閉口端15と連続壁13aとを有する管14を更に備える。管14は、ベントプレナム18内に配置されている。管14の開口端は、薬剤供給ポート6に接続されており、薬剤供給ポート6と流体連通している。1つの提案された実施形態によれば、薬剤供給ポート6は、容器4の蓋4bに取り付けられる取付具である。薬剤供給ポート6は、薬剤マニホールド(図1には示されていないが、図4の薬剤マニホールド58を参照)に接続されている。次いで、薬剤マニホールドは、加圧容器(図1には示されていないが、図4の加圧容器42を参照)に接続されており、この容器は、気体又は液体の形態の加圧発熱反応抑制剤(図4の加圧薬剤16参照)を収容する。
【0020】
容器4の内部での有害な発熱反応の検出に応答して、発熱反応抑制剤が管14を介してベントプレナム18内に分散される。いくつかの実施形態によれば、管14の連続壁13aの材料は、容器4の内部で有害な発熱反応が発生したときのベントプレナム18の内部の予想温度に応じて選択される。より具体的には、管材料は、容器4内での火災又は熱暴走の場合に予想される温度よりも低い溶融温度を有するべきである。このような管14は、しばしば「可融性管」と呼ばれる。連続壁13aの溶融又は軟化中に薬剤が管14から放出及び分散されるように、管14を予め加圧発熱反応抑制剤で充填しておいてもよい。
【0021】
一実施形態によれば、壁厚が可変の等方性プラスチック材料で管14を作ってもよい。より具体的には、管14は、第1の厚さよりも厚い第2の厚さの厚い部分よりも速く溶融する、第1の厚さの薄い部分を有していてもよい。例えば、管14の開口部-薄い部分(厚い部分ではない)が溶融したときに形成される-を、電池モジュール2内の戦略的箇所で発熱反応抑制剤を放出するように配置及び成形してもよい。
【0022】
他の実施形態によれば、管14は、有害な発熱反応中に溶融しない多孔壁を有し、代わりに、管14の多孔壁は、容器4内で有害な発熱反応が発生したときに溶融又は軟化するそれぞれのカバーによって閉じられる複数の開口部(穿孔)を有する。カバーが溶融又は軟化する場合、管14の多孔壁は溶融せず、多孔壁の現在開いている開口部を介して発熱反応抑制剤がベントプレナム18内に吐出される。
【0023】
図1Aは、第1の溶融温度を有する第1の材料で作られた多孔壁13bを有し、管14の開口端と閉口端との間に配置された複数の開口部24を有する管14の一部の側面図である。図1Aには1つの開口部24のみが示されているが、複数の開口部が管14の長さに沿って等間隔で配置されてもよいことを理解すべきである。各開口部24は、第1の溶融温度よりも低い第2の溶融温度を有する材料で作られたそれぞれのカバー21によって閉じられる。ベントプレナム18内の温度が第2の溶融温度(第1の溶融温度ではない)を超えると、カバー21が破断する程度にカバー21が溶融又は軟化し、管14内の加圧発熱反応抑制剤が覆われていない開口部24を介してベントプレナム18内に吐出される。
【0024】
可融性カバー21の破断に先立ち、可融性カバー21によって閉じられた開口部24を有する管14を予め加圧発熱反応抑制剤で充填しておいてもよい。代替的に、破断に先立ち、管14を不活性ガスで充填しておいてもよい。後者の場合、発熱反応抑制剤は、加圧容器42(図4参照)から管14に流入し、次いで開口部24から流出してベントプレナム18に流入する。
【0025】
図2は、第2の実施形態による、内部発熱反応を抑制するための流体供給ネットワークの部品を組み込んだ電池モジュール2の一部の3D図である。この例では、管14は、トレイ4aと蓋4bとの界面で容器4を密封する縁部シール20と一体的に形成される。前述のように、管14は、溶融又は軟化する材料で作られた連続壁、又は容器4の内部の有害な発熱反応に応答して溶融又は軟化する材料で作られたカバー21を有する多孔壁のいずれかを備えることができる。管14は、トレイ4aと蓋4bとの界面の周囲の1つ又は複数の側面を延伸してもよい。
【0026】
図3は、第3の実施形態による、内部発熱反応を抑制するための流体供給ネットワークの部品を組み込んだ(蓋が取り外された)電池モジュール2の3D図である。図3Aは、図3に示す電池モジュール2の正面図である。図3Bは、電池モジュール2内部の形状を明らかにするために3Dモデルの表面要素を除去した破断図である。
【0027】
図3図3A及び図3Bに示す電池モジュール2は、エネルギー貯蔵容器4のトレイ4aの内部に並列に配置され、トレイ4aによって支持された複数の電池セル12を備える。図3Aに最もよく示されているように、電池セル12は、任意の1つの行における隣接する電池セルの各対と、隣接する行における隣接する電池セルの対とが、4つのセルの中心が正方形の各角に位置するそれぞれの2×2のセルアレイを形成するように、行及び列に配置される。
【0028】
図3図3A及び図3Bに示す電池モジュール2は、各電池セル12の間に配置され、かつ電池セル12に平行な複数の管14を更に備え、各管14の中心は、それぞれの2×2セルアレイによって形成される正方形の中心に位置する。各管14は、閉口端15及び開口端を有する。管14の開口端は、薬剤プレナム19に接続され、流体連通している。次いで、薬剤プレナム19は、薬剤供給ポート6と流体連通している。この例では、薬剤供給ポート6は、取付具である。
【0029】
薬剤プレナム19及び管14を予め加圧発熱反応抑制剤で充填しておいてもよい。各管14は、溶融又は軟化して薬剤を放出する材料で作られた連続壁、又は容器4内の有害な発熱反応に反応して溶融又は軟化して薬剤を放出する材料で作られたカバー(図3図3A及び図3Bに図示せず)を有する多孔壁のいずれかを備えてもよい。代替の提案された実施形態では、最初に、薬剤プレナム19及び管14を不活性ガスで充填しておいてもよい。有害な発熱反応が検出された後、加圧発熱反応抑制剤は、加圧容器から薬剤供給ポート6を介して薬剤プレナム19に供給される。
【0030】
図4は、一実施形態による、図1に示すタイプの複数の電池モジュール2が各々薬剤供給システム40及びベントシステム41に接続されている電池システム10の部品を識別するハイブリッド図である。各電池モジュール2は、薬剤供給システム40に接続された薬剤供給ポート6と、ベントシステム41に接続されたベント8とを備える。
【0031】
ベントシステム41は、ベントマニホールド60を介してベント8に接続され、ベント8と流体連通する船外ベント62を備える。ベントシステム41は、ベントマニホールド60を通って流れるガス中の燃焼副生成物の存在を検出するように構成されている検出器28(例えば、煙又はガス検出器)を更に備える。
【0032】
薬剤供給システム40は、加圧発熱反応抑制剤16(以下、「加圧薬剤16」)を、薬剤マニホールド58を介して薬剤供給ポート6に供給する加圧容器42を備える。管が破断した電池モジュールにのみ、薬剤が受動的に供給される。あるいは、破断した管への薬剤の供給は、電池モジュール2のいずれか1つの内部での有害な発熱反応の発生を示す検出器28からの信号の受信に応答して、コントローラー(図4には図示せず)によってトリガされてもよい。
【0033】
図5は、一実施形態による薬剤供給システム40の部品を識別するプロセスフロー図である。薬剤供給システム40は、液状の加圧薬剤16と、加圧容器42内の加圧薬剤16の上方の空間を占める加圧不活性アレージガス17(例えば、窒素)とを含有する加圧容器42を備える。加圧容器42には、電池モジュール2内で有害な発熱反応が発生する前に、充填ポートを介して加圧薬剤16が部分的に充填される。有害な発熱反応の発生に応答して、加圧薬剤16は、加圧容器42から流出し、薬剤マニホールド58を通って電池モジュール2に流入する(図4に示す)。
【0034】
図5に示す薬剤供給システム40は、高圧の不活性補給ガスを収容する加圧容器44を更に備える。加圧容器44は、パイプ64を介して加圧容器42に接続される。薬剤供給システム40は、パイプ64内のアレージガス圧力(加圧容器42内のアレージガス圧力に等しい)を測定する圧力計46を更に備える。加圧容器44から加圧容器42への不活性アレージガスの供給は、圧力調整器48によって調整される。提案された一実施形態によれば、圧力調整器48は、加圧容器42内の加圧薬剤16が枯渇すると、アレージガス圧力を一定に維持する、ダイヤフラム内臓の自己完結型装置である。
【0035】
図6は、電池モジュール2(図4参照)内の管14に液体薬剤が事前に充填されていない代替の実施形態による、薬剤供給システム50の部品を識別するプロセスフロー図である。薬剤供給システム50は、液状の加圧薬剤16と、加圧不活性アレージガス17とを含有する加圧容器42を備える。加圧容器42内のアレージガス圧力は、圧力計46によって測定される。加圧容器42は、二方弁54を介して流体で満たされる。アレージガス17はまた、二方弁54を介して排気されてもよい。加圧容器42は、∩形状のパイプ52を介して薬剤マニホールド58(図4参照)と流体連通している。より具体的には、∩形状のパイプ52は、薬剤マニホールド58を介して薬剤供給ポート6に接続されている。火災抑制システムの作動に先立ち、電池モジュール2内の管14には、一方向弁56を介して不活性ガスが充填されている。∩形状のパイプ52は、可融性管又は可融性カバーが破断するまで、加圧薬剤16を薬剤マニホールド58から遠ざけておくものである。管がどこかで破断する前に、ネットワーク内のガスは流れる場所がないため、液体抑制剤が移動する。管の破断によって薬剤マニホールド58内の圧力が低下して、加圧薬剤16が∩形状のパイプ52、少なくとも薬剤マニホールド58の一部を通って流れ、次いで管が破断した任意の電池モジュール2に流入することができる。健全な管を備えた電池モジュール2と薬剤マニホールド58とを接続するパイプ内にアレージガス17が存在することにより、液体抑制剤がこれらのパイプ内に閉じ込められるのが防止される。
【0036】
薬剤供給システムの代替的な実施形態では、加圧薬剤16はクリーン剤であってもよい。クリーン剤は、蒸発時に残留物を残さない電気的に非導電性の揮発性又は気体状の消火剤である。クリーン剤は、2つの広範な種類の薬剤である、不活性ガス剤及びハロカーボン剤からなる。一般的な不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、二酸化炭素、及びこれらの混合物が挙げられる。不活性ガス剤は液体状態に圧縮することができないため、高圧ガスとして貯蔵しなければならない。ハイドロフルオロカーボン(HFC)などのハロカーボン剤は液体として保存できるため、同じ容積に保存できる薬剤の質量が不活性ガスと比べて非常に大きくなる。
【0037】
図5及び図6に示す実施形態によれば、加圧薬剤16は周囲条件において液体である。加圧薬剤16は、非反応性で、高絶縁耐力、高熱質量、及び低粘度であるべきである。1つの適切なクリーン剤は、ミネソタ州セントポールの3M社から市販されているNovec(商標)1230防火液である。この薬剤の化学名はドデカフルオロ-2-メチルペンタン-3-オンである。Novec(商標)649、Novec(商標)7100(3M社専売のハイドロフルオロエーテル)、又はエチレングリコール/水混合物も、潜在的な代替品である。
【0038】
図7は、受動的及び能動的な熱暴走伝播の緩和を可能にするための液体冷却手段を組み込んだ電池モジュールの一部の3D図である。図7に示す電池モジュール部品は、マルチポート押出(MPE)管25と、MPE管25に隣接して配置された1対の電池セル12a及び12bとを備える。MPE管25は、MPE管25の内部容積を複数の流路に仕切る複数の内壁27を備える。作動流体(加圧薬剤)は、流路を流れる。代替的な実施形態では、内壁は省略されてもよく、その結果、単一の平坦な流通管となる。
【0039】
更に、MPE管25は、電池セル12aと12bとの間の領域に配置された複数の開口部24(図7において破線の楕円で示されている)を有する。開口部24は、MPE管25にろう付けされる可融性ストリップ22によって覆われる。可融性ストリップ22は、図7には示されていない加熱要素によって溶融温度まで加熱されると溶融する材料からなる。図8は、複数の開口部24(破線円で示す)を覆う可融性ストリップ22に取り付けられた蛇行加熱要素26を示す。加熱要素26は、電気エネルギーを可融性ストリップ22の材料を溶融するのに十分な熱に変換し、それによって作動流体を開口部24を介してMPE管25からエネルギー貯蔵容器内に逃がすことができるようにする。
【0040】
再び図7を参照すると、加熱要素26は、絶縁電気配線32を介して5VのDC電源(図示せず)から直流(DC)を受電する。加熱要素26への直流の供給については、電池モジュール内での有害な発熱反応の発生に応答して、パイロットが手動で、又はプログラムされたコントローラーが自動的に始動してもよい。任意選択的に、可融性ストリップ22を、有害な発熱反応に起因して電池モジュール内の温度が上昇したときにも溶融する材料で作ってもよい。このような実施形態により、発熱反応抑制剤の放出を受動的又は能動的に始動できるシステムが提供される。提案されている一実施形態によれば、MPE管25はアルミニウムで作られ、可融性ストリップはスズで作られ、加熱要素はニクロムで作られる。
【0041】
図9は、更なる実施形態による、流体供給ネットワークによって保護されている電池セル12の列の正面図である。この例における流体供給ネットワークは、平行な区分を有してその間に2列の電池セル12が配置されている蛇行管14を含む。蛇行管14には、電池セル12が部分的に占有する大気容積内に放出される加圧薬剤16を、事前に充填しておいてもよい。
【0042】
図10は、一実施形態による複数の加熱要素26を電気的に始動するための抑制作動システム30の部品を識別するブロック図である。抑制作動システム30は、加熱要素26に電気的に接続される複数のスイッチ34と、スイッチが閉じられたときに加熱要素26に直流を供給するためにスイッチ34に電気的に接続されるDC電源36とを備える。抑制作動システム30は、スイッチ34に電気的に接続され、スイッチの状態を制御するように構成されているコントローラー38を更に備える。更に、抑制作動システム30は、コントローラー38に電気的に接続される検出器28を備える。前述のように、検出器28は、例えば、電池モジュール2(図4参照)内での有害な発熱反応が存在することに応答して電気信号をコントローラー38に出力するように構成されている。コントローラー38は、電池モジュール2内での有害な発熱反応の発生を示す信号を検出器28から受信したことに応じて、スイッチ34を閉じる。加熱要素26及びDC電源36は、加熱要素26に供給されるDC電力が、加圧薬剤を放出するために可融性ストリップの状態を変化させるのに十分であるように設計されてもよい。
【0043】
上記の実施形態は、1つ又は複数のコントローラーを使用する。一般的にはこのような装置には、例えば、中央処理装置、マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路、プログラム可能論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号プロセッサ及び/又は本明細書で説明されている機能を発揮することができるその他任意の回路若しくは処理装置などのプロセッサ又はコンピュータが含まれる。
【0044】
エネルギー貯蔵容器内での有害な発熱反応を抑制するためのシステムが様々な実施形態を参照して説明されてきたが、本明細書の教示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を等価物で置き換えることができることが当業者には理解されるであろう。これに加えて、本明細書の教示を特定の状況に適応させるために、その教示の範囲を逸脱することなく、多数の修正を行ってもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【0045】
本明細書に添付された方法クレームにおいては、ステップの任意のアルファベット順は、後で、先行するステップへの簡潔な参照を可能にすることのみを目的としており、方法ステップをアルファベット順で実行することを要求するために特許請求の範囲を限定することを目的としていない。
【符号の説明】
【0046】
2 電池モジュール
4 エネルギー貯蔵容器/容器
4a トレイ
4b 蓋
6 薬剤供給ポート
8 ベント
10 電池システム
12 電池セル
12a 電池セル
12b 電池セル
13a 連続壁
13b 多孔壁
14 管
15 閉口端
16 加圧発熱反応抑制剤/加圧薬剤
17 加圧不活性アレージガス
18 ベントプレナム
19 薬剤プレナム
20 縁部シール
21 可融性カバー
22 可融性ストリップ
24 開口部
25 マルチポート押出(MPE)管
26 加熱要素
27 内壁
28 検出器
30 抑制作動システム
32 絶縁電気配線
34 スイッチ
36 DC電源
38 コントローラー
40 薬剤供給システム
41 ベントシステム
42 加圧容器
44 加圧容器
46 圧力計
48 圧力調整器
50 薬剤供給システム
52 ∩形状のパイプ
54 二方弁
56 一方向弁
58 薬剤マニホールド
60 ベントマニホールド
62 船外ベント
64 パイプ
図1
図1A
図2
図3
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】