(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160524
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】成形用包装材および表面印刷がなされた蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20221012BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20221012BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20221012BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20221012BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/121
H01M50/119
H01M50/129
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119577
(22)【出願日】2022-07-27
(62)【分割の表示】P 2017022816の分割
【原出願日】2017-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】南堀 勇二
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 大介
(57)【要約】
【課題】成形時及びヒートシール時において、また高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも、印刷箇所のインキが滲むことがなく、印刷部が溶剤等との接触により剥がれることがない成形用包装材を提供する。
【解決手段】本発明の成形用包装材1は、外側層としての耐熱性樹脂層2と、内側層としての熱融着性樹脂層3と、これら両層間に配設された金属箔層4と、を含む成形用包装材であって、前記耐熱性樹脂層2の外側に印刷改善樹脂層7が積層された構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側層としての耐熱性樹脂層と、内側層としての熱融着性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、を含む電池ケース成形用包装材であって、
前記耐熱性樹脂層のさらに外側に印刷改善樹脂層が積層され、
前記印刷改善樹脂層は樹脂-水系エマルジョンで構成されていることを特徴とする成形用包装材。
【請求項2】
前記印刷改善樹脂層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸樹脂、メタアクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる請求項1に記載の成形用包装材。
【請求項3】
前記印刷改善樹脂層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる請求項1に記載の成形用包装材。
【請求項4】
前記印刷改善樹脂層において、前記ウレタン樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である請求項3に記載の成形用包装材。
【請求項5】
前記印刷改善樹脂層は、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる請求項1に記載の成形用包装材。
【請求項6】
前記印刷改善樹脂層において、前記アクリル樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である請求項5に記載の成形用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型の二次電池(リチウムイオン二次電池)のケースとして好適に用いられ、また食品の包装材、医薬品の包装材として好適に用いられる成形用包装材、表面印刷がなされた蓄電デバイスの製造方法および前記成形用包装材を用いた成形ケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池用の外装材の外面に、ロット番号、QRコード(登録商標である)等の印刷を行うことが多くなってきている。上記印刷は、染料インキ等のインキを用いて行われる。
【0003】
例えば、電池外枠に染料インキ(油性染料インキなど)による印刷が設けられ、当該印刷上に隠蔽性粘着ラベルが貼り付けられた電池パックであって、前記隠蔽性粘着ラベルが、白色樹脂フィルム基材の一方の面に白色インキ層を有し、他方の面に黒色インキ層と粘着剤層とを有する隠蔽性粘着ラベルである構成のものが公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電池包装材の外側樹脂層の外面に、ロット番号、QRコード(登録商標である)等を印刷した場合には次のような問題があった。
【0006】
即ち、前記包装材で包装してなる電池が、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された際に、上記印刷箇所のインキが滲むという問題があり、また印刷部が溶剤等との接触により剥がれやすいという問題もあった。前記諸問題は、包装材の成形時やヒートシール時にも発生しやすかった。
【0007】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、成形時及びヒートシール時において、また高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、印刷箇所のインキが滲むことがなく、印刷部が溶剤等との接触により剥がれることがない成形用包装材、表面に印刷がなされた蓄電デバイスの製造方法および前記成形用包装材を用いた成形ケースの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]外側層としての耐熱性樹脂層と、内側層としての熱融着性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、を含む成形用包装材であって、
前記耐熱性樹脂層のさらに外側に印刷改善樹脂層が積層されていることを特徴とする成形用包装材。
【0010】
[2]前記印刷改善樹脂層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸樹脂、メタアクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる前項1に記載の成形用包装材。
【0011】
[3]前記印刷改善樹脂層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる前項1に記載の成形用包装材。
【0012】
[4]前記印刷改善樹脂層において、前記ウレタン樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である前項3に記載の成形用包装材。
【0013】
[5]前記印刷改善樹脂層は、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる前項1に記載の成形用包装材。
【0014】
[6]前記印刷改善樹脂層において、前記アクリル樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である前項5に記載の成形用包装材。
【0015】
[7]前記印刷改善樹脂層は、樹脂-水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂層に塗布されて形成された接着層である前項1~6のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【0016】
[8]前記耐熱性樹脂層は、2軸延伸ポリアミドフィルム、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムで形成されている前項1~7のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【0017】
[9]前記印刷改善樹脂層の外側の表面に滑剤が付着している前項1~8のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【0018】
[10]前記熱融着性樹脂層が滑剤を含有し、
前記印刷改善樹脂層の外側表面の滑剤は、前記熱融着性樹脂層の表面に存在する滑剤が、前記印刷改善樹脂層の外側表面に転写されたものである前項9に記載の成形用包装材。
【0019】
[11]前項1~10のいずれか1項に記載の成形用包装材を深絞り成形または張り出し成形することを特徴とする成形ケースの製造方法。
【0020】
[12]前項1~10のいずれか1項に記載の成形用包装材を深絞り成形または張り出し成形することを特徴とする電池ケースの製造方法。
【0021】
[13]前記熱融着性樹脂層が滑剤を含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の成形用包装材を、前記熱融着性樹脂層と前記印刷改善樹脂層とが接触する態様でロール状に重ねてロール体を得る工程と、
前記ロール体から前記成形用包装材を引き出し、該引き出された成形用包装材で蓄電デバイス本体部を外装して蓄電デバイスを得る工程と、
前記蓄電デバイスの外装状態の成形用包装材の印刷改善樹脂層の外側の表面に印刷を行う印刷工程と、を含むことを特徴とする表面印刷がなされた蓄電デバイスの製造方法。
【0022】
[14]前記ロール体から引き出された成形用包装材の印刷改善樹脂層の外側の表面に滑剤が付着しており、前記印刷改善樹脂層の外側表面の滑剤は、前記ロール状に重ねたときに前記熱融着性樹脂層の表面に存在する滑剤が前記印刷改善樹脂層の外側表面に転写されたものであり、
前記印刷工程において、前記滑剤が付着した印刷改善樹脂層の外側表面に前記印刷を行う前項13に記載の表面印刷がなされた蓄電デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
[1]の発明では、耐熱性樹脂層のさらに外側に印刷改善樹脂層が積層されているので、この成形用包装材に深絞り成形、張り出し成形等の成形を行った時、封止のために包装材をヒートシールした時に、印刷箇所のインキが滲むことがなく、印刷部が溶剤等との接触により剥がれることがない。また高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、印刷箇所のインキが滲むことがなく、印刷部が溶剤等との接触により剥がれることがない。
【0024】
[2]の発明では、印刷改善樹脂層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸樹脂、メタアクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる構成であるから、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みを十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することも十分に防止できる。
【0025】
[3]の発明では、印刷改善樹脂層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるから、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みをより十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより十分に防止できる。
【0026】
[4]の発明では、ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲であるから、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みをより一層十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより一層十分に防止できる。
【0027】
[5]の発明では、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる構成であるから、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みをより十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより十分に防止できる。
【0028】
[6]の発明では、アクリル樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲であるから、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みをより一層十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより一層十分に防止できる。
【0029】
[7]の発明では、印刷改善樹脂層は、樹脂-水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂層に塗布されて形成された接着層であるから、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みをさらに十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもさらに十分に防止できる。
【0030】
[8]の発明では、耐熱性樹脂層は、2軸延伸ポリアミドフィルム、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムで形成されているから、印刷箇所のインキの滲みをさらに十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもさらに十分に防止できる。
【0031】
[9]及び[10]の発明では、印刷改善樹脂層の外側の表面に滑剤が付着しているが、このような状況にある成形用包装材の印刷改善樹脂層の外面にロット番号、QRコード(登録商標である)等の印刷を行ったものに関し、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みを十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することも十分に防止できる。
【0032】
なお、耐熱性樹脂層の表面に直接に滑剤が付着している場合、即ちこの滑剤が付着した耐熱性樹脂層の表面にインキ印刷を行った場合、インキが定着し難く、良好な印刷部(印刷層等)が形成され難いのであるが、[9]及び[10]の発明では、耐熱性樹脂層の外側に設けられた印刷改善樹脂層の外側の表面に滑剤が付着した構成になっており、間に滑剤が存在していても印刷改善樹脂層とインキとの親和性が向上するので、印刷インキがはじかれることがなくて(即ち印刷インキが滑剤を押し退けて)、印刷インキが良好に定着して安定な印刷部(印刷層等)が形成され得る。
【0033】
[11]の発明では、ヒートシール時は勿論のこと、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、印刷箇所のインキの滲みを防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することも防止できる成形ケースを製造できる。
【0034】
[12]の発明では、ヒートシール時は勿論のこと、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、印刷箇所のインキの滲みを防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することも防止できる電池ケースを製造できる。
【0035】
[13]及び[14]の発明では、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みを防止できると共に印刷部が溶剤等との接触により剥離することも防止できる表面印刷された蓄電デバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る成形用包装材の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る成形用包装材の他の実施形態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る、表面印刷がなされた蓄電デバイスにおける成形用包装材の一部を示す断面図である。
【
図4】表面印刷がなされた蓄電デバイスの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係る成形用包装材1の一実施形態を
図1に示す。この成形用包装材1は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として用いられるものである。即ち、前記成形用包装材1は、深絞り成形等の成形に供されて2次電池ケースとして用いられるものである。
【0038】
前記成形用包装材1は、金属箔層4の一方の面(上面)に第1接着剤層5を介して耐熱性樹脂層(外側層)2が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の他方の面(下面)に第2接着剤層6を介して熱融着性樹脂層(内側層)3が積層一体化され、前記耐熱性樹脂層2の外側に(前記耐熱性樹脂層2における前記金属箔層4側とは反対側に)印刷改善樹脂層7が積層された構成からなる。本実施形態では、前記耐熱性樹脂層2の外面に(前記耐熱性樹脂層2における前記金属箔層4側とは反対側の面に)前記印刷改善樹脂層7が積層されている(
図1参照)。また、本実施形態では、前記耐熱性樹脂層2の外面に直接に、グラビアコート法により樹脂組成物が塗布されて前記印刷改善樹脂層7が積層されている。
【0039】
前記耐熱性樹脂層(外側層)2は、包装材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時の金属箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。
【0040】
前記耐熱性樹脂層(外側層)2を構成する耐熱性樹脂としては、成形用包装材をヒートシールする際のヒートシール温度で溶融しない耐熱性樹脂を用いる。前記耐熱性樹脂としては、熱融着性樹脂層3を構成する樹脂の融点より10℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが好ましく、熱融着性樹脂層3を構成する樹脂の融点より20℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが特に好ましい。
【0041】
前記耐熱性樹脂層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、延伸ナイロンフィルム等の延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルム等が挙げられる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが特に好ましい。また、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、同時2軸延伸法により延伸された耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。また、「T方向における熱水収縮率」に対する「M方向における熱水収縮率」の比(MD/TD)が0.9~1.1の範囲にある耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。前記比(MD/TD)が0.9~1.1の範囲にある構成を採用した場合には、特に良好な成形性を有した包装材を得ることができる。なお、前記「M方向」は、「機械流れ方向」を意味し、前記「T方向」は、「M方向に対して直交する方向」を意味する。前記ナイロンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、MXDナイロン等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂層2は、単層(単一の延伸フィルム)で形成されていても良いし、或いは、例えば延伸ポリエステルフィルム/延伸ポリアミドフィルムからなる複層(延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルムからなる複層等)で形成されていても良い。
【0042】
なお、前記耐熱性樹脂層(外側層)2は、耐熱性樹脂が塗布されることにより形成された樹脂層であってもよい。
【0043】
本発明において、前記耐熱性樹脂層2は、熱水収縮率が2%~20%の耐熱性樹脂延伸フィルムにより構成されているのが好ましい。熱水収縮率が2%以上であることで、成形時に耐熱性樹脂層2が局所的に変形する(伸びる)ことを防止できて、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において印刷部(印刷層等)7が耐熱性樹脂層2から剥離することを防止できるし、熱水収縮率が20%以下であることで、深絞り成形や張り出し成形等の成形を行った際に耐熱性樹脂層2の収縮によって成形用包装材の印刷部(印刷層等)7が耐熱性樹脂層2から剥離することを防止できる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2.5~10%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが好ましい。更に、熱水収縮率が3.0%~6.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのがより好ましく、更には熱水収縮率が3.5%~5.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが特に好ましい。
【0044】
中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム2として、熱水収縮率が2~20%の2軸延伸ポリアミドフィルム、熱水収縮率が2~20%の2軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、熱水収縮率が2~20%の2軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム又は熱水収縮率が2~20%の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるのが好ましい。この場合には、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷部(印刷層等)11が印刷改善樹脂層7から剥離するのを防止する効果をさらに高めることができる。
【0045】
なお、前記「熱水収縮率」とは、耐熱性樹脂延伸フィルム2の試験片(10cm×10cm)を95℃の熱水中に30分間浸漬した際の浸漬前後の試験片の延伸方向における寸法変化率であり、次式で求められる。
【0046】
熱水収縮率(%)={(X-Y)/X}×100
X:浸漬処理前の延伸方向の寸法
Y:浸漬処理後の延伸方向の寸法。
【0047】
なお、2軸延伸フィルムを採用する場合におけるその熱水収縮率は、2つの延伸方向における寸法変化率の平均値である。
【0048】
前記耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率は、例えば、延伸加工時の熱固定温度を調整することにより制御することができる。
【0049】
前記耐熱性樹脂層2の厚さは、12μm~50μmであるのが好ましい。ポリエステル樹脂を用いる場合には厚さは12μm~50μmであるのが好ましく、ナイロン樹脂を用いる場合には厚さは15μm~50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで成形用包装材1として十分な強度を確保できると共に、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0050】
本発明において、前記耐熱性樹脂層2の外側に(前記耐熱性樹脂層2における前記金属箔層4側とは反対側に)印刷改善樹脂層7が積層されている必要がある。このような印刷改善樹脂層7が前記耐熱性樹脂層2の外側に設けられていることにより、成形時、ヒートシール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、印刷箇所のインキの滲みを防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することも防止できるという効果が得られる。なお、前記耐熱性樹脂層2の外面(印刷改善樹脂層7を積層する面)に印刷改善樹脂層7を積層する前に予めコロナ処理等を行って濡れ性を高めておくのが好ましい。
【0051】
前記印刷改善樹脂層7は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸樹脂(アクリル酸エステル樹脂を含まない)、メタアクリル酸樹脂(メタアクリル酸エステル樹脂を含まない)、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有した層で形成されているのが好ましい。この場合には、成形用包装材1が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも、印刷部のインキの滲みを十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することも十分に防止できる。
【0052】
中でも、前記印刷改善樹脂層7は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成、又は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるのが特に好ましい。この場合には、成形用包装材1が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも、印刷部のインキの滲みをより十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより十分に防止できる。
【0053】
上記前者の構成を採用する場合において、印刷改善樹脂層7におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2~40/60の範囲であるのが好ましく、この場合には、成形用包装材1が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも、印刷部のインキの滲みをより十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより十分に防止できる。前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりもウレタン樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、印刷改善樹脂層7の耐溶剤性が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりもウレタン樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、印刷改善樹脂層7におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10~50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0054】
また、上記後者の構成を採用する場合において、印刷改善樹脂層7における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2~40/60の範囲であるのが好ましく、この場合には、成形用包装材1が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも、印刷部のインキの滲みをより十分に防止できると共に、印刷部が溶剤等との接触により剥離することもより十分に防止できる。前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、印刷改善樹脂層7の耐溶剤性が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、印刷改善樹脂層7における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10~50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0055】
前記印刷改善樹脂層7を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂-水系エマルジョン)には、グリコール類、グリコールのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤を添加してもよく、この場合には樹脂水性エマルジョンにおいて十分な消泡効果を得ることができるので、表面平滑性に優れた印刷改善樹脂層7を形成できる。前記界面活性剤は、前記樹脂水性エマルジョン中に0.01質量%~2.0質量%含有せしめるのが好ましい。
【0056】
また、前記印刷改善樹脂層7を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂-水系エマルジョン)には、シリカ、コロイダルシリカ等の無機微粒子を含有させるのが好ましく、この場合にはブロッキング防止効果を得ることができる。前記無機微粒子は、前記樹脂分100質量部に対して0.1質量部~10質量部添加するのが好ましい。
【0057】
前記印刷改善樹脂層7の形成量(乾燥後の固形分量)は、0.01g/m2~0.5g/m2の範囲であるのが好ましい。0.01g/m2以上であることで、印刷改善樹脂層7の耐溶剤性を向上できるし、0.5g/m2以下であることでコストを低減できて経済的である。
【0058】
また、前記印刷改善樹脂層7の厚さ(乾燥後の厚さ)は、0.01μm~10μmが好ましく、中でも0.1μm~5μmがより好ましい。
【0059】
前記印刷改善樹脂層(乾燥後)7における前記樹脂の含有率は、88質量%~99.9質量%であるのが好ましい。
【0060】
前記印刷改善樹脂層7の形成方法は、特に限定されないが、例えば、前記耐熱性樹脂層2の表面に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂の水性エマルジョン(水系エマルジョン)を塗布して乾燥させることによって印刷改善樹脂層7を形成することができる。前記塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スプレーコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、リップコート法等が挙げられる。
【0061】
前記熱融着性樹脂層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、成形用包装材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
【0062】
前記熱融着性樹脂層3としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂未延伸フィルム層であるのが好ましい。前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。
【0063】
前記熱融着性樹脂層3の厚さは、20μm~80μmに設定されるのが好ましい。20μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、80μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記熱融着性樹脂層3の厚さは30μm~50μmに設定されるのが特に好ましい。なお、前記熱融着性樹脂層3は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0064】
前記熱融着性樹脂層3には、通常、滑剤が添加される。前記滑剤が添加されていることで成形時の成形性を向上させることができる。前記熱融着性樹脂層3における滑剤の含有率は、200ppm~5000ppmの範囲に設定されるのが好ましい。
【0065】
前記滑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族系ビスアミド等が挙げられる。
【0066】
前記飽和脂肪酸アミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。前記不飽和脂肪酸アミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
【0067】
前記置換アミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、N-オレイルパルチミン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。また、前記メチロールアミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチロールステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0068】
前記飽和脂肪酸ビスアミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド等が挙げられる。
【0069】
前記不飽和脂肪酸ビスアミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
【0070】
前記脂肪酸エステルアミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ステアロアミドエチルステアレート等が挙げられる。前記芳香族系ビスアミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-システアリルイソフタル酸アミド等が挙げられる。
【0071】
前記金属箔層4は、成形用包装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられ、アルミニウム箔が一般的に用いられる。前記金属箔層4の厚さは、20μm~100μmであるのが好ましい。20μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できると共に、100μm以下であることで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0072】
前記金属箔層4は、少なくとも内側の面4a(第2接着剤層6側の面)に、化成処理が施されているのが好ましい。このような化成処理が施されていることによって内容物(電池の電解液、食品、医薬品等)による金属箔表面の腐食を十分に防止できる。例えば次のような処理をすることによって金属箔に化成処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸、クロム酸及びフッ化物の金属塩の混合物からなる水溶液
2)リン酸、クロム酸、フッ化物金属塩及び非金属塩の混合物からなる水溶液
3)アクリル系樹脂又は/及びフェノール系樹脂と、リン酸と、クロム酸と、フッ化物金属塩との混合物からなる水溶液
のいずれかを塗工した後乾燥することにより化成処理を施す。
【0073】
前記第1接着剤層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、2液反応型接着剤により形成された接着剤層等が挙げられる。前記2液反応型接着剤としては、例えば、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液反応型接着剤などが挙げられる。前記第1接着剤層5は、例えば、前記2液反応型接着剤等の接着剤が、前記「金属箔層4の上面」に、又は/及び、「前記耐熱性樹脂層2の下面」に、グラビアコート法等の手法により塗布されることによって形成される。
【0074】
前記第2接着剤層6としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等により形成された接着剤層が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤を用いるのが好ましく、この場合には、成形用包装材1の耐電解液性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、第1接着剤層5と第2接着剤層6を設けた構成を採用しているが、これら両層5、6は、いずれも必須の構成層ではなく、これらを設けない構成を採用することもできる。
【0076】
また、上記実施形態では、金属箔層4と耐熱性樹脂層2とが第1接着剤層5を介して積層一体化されているが、前記耐熱性樹脂層2における金属箔層4側の面に、上記印刷改善樹脂層7として各種例示したのと同一構成(同一組成)の樹脂層8が積層され、該樹脂層8に第1接着剤層5を介して金属箔層4が積層された構成(
図2参照)を採用してもよい。このような構成を採用することで、金属箔層4と耐熱性樹脂層(外側層)2との接着強度をより向上させることができる。
【0077】
しかして、本発明に係る成形用包装材1を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、
図4に示すような成形ケース(電池ケース等)1Aを得ることができる。前記成形ケースの形状としては、特に限定されないが、例えば、
図4に示すような1つの面(上面)が開放された略直方体形状等が挙げられる。
【0078】
上述したように、前記成形用包装材の熱融着性樹脂層3には、通常、滑剤が添加されるが、この滑剤は、経時によりその一部がブリードすることで熱融着性樹脂層3の表面に存在するものとなる(表面に付着している)。
【0079】
このように熱融着性樹脂層3が滑剤を含有した成形用包装材1を、前記熱融着性樹脂層3と前記印刷改善樹脂層7とが接触する態様でロール状に巻いて(捲回して)ロール体にして保管する又は次の工程に備える、等ということが一般に行われている。
【0080】
しかして、表面印刷がなされた蓄電デバイス30は、例えば次のようにして製造することができる。即ち、前記ロール体から前記成形用包装材を引き出し、該引き出された成形用包装材で蓄電デバイス本体部31を外装して蓄電デバイスを得、次いで、該蓄電デバイスの外装状態の成形用包装材1の印刷改善樹脂層7の外側の表面(外面)にインキ等により印刷を行うことによって、表面印刷がなされた蓄電デバイス30を製造する(
図4参照)。前記印刷により、例えば、ロット番号、QRコード(登録商標である)等を印刷する。
【0081】
前記ロール体から引き出した成形用包装材の熱融着性樹脂層3の表面に存在する滑剤の付着量は、0.05mg/m2~6mg/m2であるのが好ましく、前記ロール体から引き出した成形用包装材の印刷改善樹脂層7の表面(外面)の滑剤付着量は、0.1mg/m2~5mg/m2であるのが好ましい。
【0082】
前記印刷改善樹脂層7の外側表面の滑剤は、前記ロール状に重ねたときに前記熱融着性樹脂層3の表面に存在する滑剤が前記印刷改善樹脂層7の外側表面に転写されたものであり、前記滑剤が付着した印刷改善樹脂層7の外側表面に前記印刷を行うものとなる。
【0083】
こうして得られた表面印刷がなされた蓄電デバイス30において、蓄電デバイス本体部31を外装している成形用包装材1の印刷改善樹脂層7の外面に(前記印刷改善樹脂層7における前記金属箔層4側とは反対側の面に)印刷部(印刷インキ層等)11が積層されている(
図3参照)。前記蓄電デバイス30の成形用包装材1の外面に印刷部(印刷インキ層等)11が設けられていることにより、例えば、ロット番号、QRコード(登録商標である)等が表示される。
【0084】
上記の表面印刷がなされた蓄電デバイス30の一実施形態を
図4に示す。
図4に示すように、本発明の成形用包装材1を成形して得られた成形ケース1Aの収容凹部内に、略直方体形状の蓄電デバイス本体部31が収容され、該蓄電デバイス本体部31の上に、本発明の成形用包装材1がその内側層3側を内方(下側)にして配置され、該平面状包装材1の内側層3の周縁部と、前記成形ケース1Aのフランジ部(封止用周縁部)29の内側層3とがヒートシールによりシール接合されて封止されることによって、本発明の蓄電デバイス30が構成されている。
【0085】
図4において、39は、前記包装材1の周縁部と、前記成形ケース1Aのフランジ部(封止用周縁部)29とが接合(溶着)されたヒートシール部である。
【0086】
前記蓄電デバイス本体部31としては、特に限定されるものではないが、例えば、電池本体部、キャパシタ本体部、コンデンサ本体部等が挙げられる。
【実施例0087】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0088】
<印刷改善樹脂層形成用樹脂組成物>
(樹脂組成物W)
水系ウレタン樹脂として三井化学株式会社製「タケラックW-6010」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の樹脂組成物Wを得た。
(樹脂組成物V)
水系アクリル酸エステル樹脂として中央理化工業株式会社製「リカボンドSA-513」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の樹脂組成物Vを得た。
(樹脂組成物Z)
水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」100質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の樹脂組成物Zを得た。
【0089】
<実施例1>
同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ナイロン(6ナイロン)フィルム(MD/TD=0.95、耐熱性樹脂層)2の一方の面に、上記樹脂組成物Wをグラビアロールコート法により塗布して乾燥させた後、40℃環境下で1日放置することにより硬化反応を進行させて、形成量0.1g/m2の印刷改善樹脂層7を形成した。
【0090】
一方、厚さ35μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、リン酸、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が10mg/m2となるようにした。
【0091】
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、ポリエステル系ポリウレタン接着剤5を介して前記二軸延伸ナイロンフィルム2の他方の面(前記印刷改善樹脂層7が形成された側と反対側の面)を貼り合わせ、次いでアルミニウム箔4の他方の面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン接着剤6を介して厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(熱融着性樹脂層)3を貼り合わせた後、40℃環境下で5日間放置することによって、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0092】
なお、前記未延伸ポリプロピレンフィルム3として、3μmのランダムポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率1000ppm)/24μmのブロックポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率3000ppm)/3μmのランダムポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率1000ppm)の3層積層構成のフィルムを用いた。
【0093】
次に、得られた成形用包装材1を、熱融着性樹脂層3と印刷改善樹脂層7とが接触する態様でロール状に重ねてロール体を得てこの状態で40℃で5日間保管した後、ロール体から成形用包装材を引き出した。前記ロール体から引き出した成形用包装材における印刷改善樹脂層7の表面(外面)のエルカ酸アマイド付着量が2.5mg/m2であり、熱融着性樹脂層3の表面のエルカ酸アマイド付着量が3.0mg/m2であった。
【0094】
<実施例2>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率2.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0095】
<実施例3>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0096】
<実施例4>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0097】
<実施例5>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率10%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0098】
<実施例6>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.05)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0099】
<比較例1>
印刷改善樹脂層7を設けない構成とした以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た。
【0100】
<実施例7>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0101】
<実施例8>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0102】
<実施例9>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0103】
<比較例2>
印刷改善樹脂層7をを設けない構成とした以外は、実施例8と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た。
【0104】
<実施例10>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0105】
<実施例11>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0106】
<実施例12>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0107】
<比較例3>
印刷改善樹脂層7を設けない構成とした以外は、実施例11と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た。
【0108】
<実施例13>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ポリブチレンナフタレート(PBT)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0109】
<実施例14>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率6.0%の二軸延伸ポリブチレンナフタレート(PBT)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0110】
<実施例15>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸ポリブチレンナフタレート(PBT)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0111】
<比較例4>
印刷改善樹脂層7を設けない構成とした以外は、実施例14と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た。
【0112】
<実施例16>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0113】
<実施例17>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率10%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0114】
<実施例18>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0115】
<実施例19>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率6.0%の二軸延伸ポリブチレンナフタレート(PBT)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0116】
<実施例20>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率10%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0117】
<実施例21>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材1を得た(
図1参照)。
【0118】
<実施例22>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た(
図1参照)。
【0119】
<実施例23>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率6.0%の二軸延伸ポリブチレンナフタレート(PBT)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た(
図1参照)。
【0120】
<実施例24>
前記未延伸ポリプロピレンフィルム3として、3μmのランダムポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率500ppm)/24μmのブロックポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率1500ppm)/3μmのランダムポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率500ppm)の3層積層構成のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た(
図1参照)。
【0121】
ロール体から引き出された成形用包装材における印刷改善樹脂層7の表面(外面)のエルカ酸アマイド付着量が0.8mg/m2であり、熱融着性樹脂層3の表面のエルカ酸アマイド付着量が1.0mg/m2であった。
【0122】
<実施例25>
前記未延伸ポリプロピレンフィルム3として、3μmのランダムポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率1500ppm)/24μmのブロックポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率3000ppm)/3μmのランダムポリプロピレン層(エルカ酸アマイド含有率1500ppm)の3層積層構成のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、ロール体から引き出した成形用包装材を得た(
図1参照)。
【0123】
ロール体から引き出された成形用包装材における印刷改善樹脂層7の表面(外面)のエルカ酸アマイド付着量が3.5mg/m2であり、熱融着性樹脂層3の表面のエルカ酸アマイド付着量が4.0mg/m2であった。
【0124】
上記のようにして得られた各成形用包装材について下記評価法に基づいて評価を行った。その評価結果を表1~4に示す。
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
<印刷インキ部の剥がれの有無の評価法>
各実施例毎、各比較例毎に、それぞれ30個の成形用包装材を製造し、成形用包装材の印刷改善樹脂層の表面の一部の領域に、インクジェットプリンターを使用して白インキで文字及びバーコードを印刷した。これら表面印刷がなされた成形用包装材について、印刷インキ部の文字やバーコードの滲みの有無、印刷インキ部の剥離の有無を肉眼で、下記a)、b)の2つの状態時において調べ、下記判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
「◎」…印刷インキ部が、滲んだもの又は/及び剥離したものが、30個中0個である
「○」…印刷インキ部が、滲んだもの又は/及び剥離したものが、30個中、1個又は2個である
「△」…印刷インキ部が、滲んだもの又は/及び剥離したものが、30個中、3個又は4個である
「×」…印刷インキ部が、滲んだもの又は/及び剥離したものが、30個中、5個~30個である。
【0130】
a)深絞り成形した直後の表面印刷成形用包装材(上記表面印刷成形用包装材を、パンチとダイス等を用いて、内側層であるポリプロピレン層3をパンチと接触させる態様で、縦50mm×横35mm×深さ6.0mmの直方体形状に深絞り成形を行って得た成形直後の成形ケース)
b)高温高湿試験を適用した後の表面印刷成形用包装材(上記表面印刷成形用包装材を、85℃×95%RHの高温高湿試験機の中に72時間入れ続けた後、取り出して常温で5日間経過後の表面印刷成形用包装材)。
【0131】
表1~4から明らかなように、本発明に係る実施例1~25の成形用包装材は、深絞り成形を行った時に印刷インキ部が滲んだり剥離することがないし、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも印刷インキ部が滲んだり剥離することがない。
【0132】
これに対し、比較例1~4の成形用包装材では、印刷改善樹脂層が設けられていないので、上記a)、b)の2つの状態のうち少なくともいずれか一方の状態時において、印刷インキ部が滲んだり、剥離するものがあった。
本発明に係る成形用包装材は、ノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型のリチウムイオンポリマー二次電池等の電池のケースとして好適に用いられ、これ以外にも、食品の包装材、医薬品の包装材として好適であるが、特にこれらの用途に限定されるものではない。中でも、電池ケース用として特に好適である。