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特開2022-160566自己識別外科用クランプ、このようなクランプと共に使用するための基準要素、ならびにこのようなクランプおよび基準要素を備えるキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160566
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】自己識別外科用クランプ、このようなクランプと共に使用するための基準要素、ならびにこのようなクランプおよび基準要素を備えるキット
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20221012BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20221012BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/122
A61B17/70
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124376
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2020512921の分割
【原出願日】2017-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】519402638
【氏名又は名称】サイバー、サージェリー、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】CYBER SURGERY, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】ホン、オニャティビア、ブラーボ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ、プレサ、アロンソ
(72)【発明者】
【氏名】アルバロ、エスクデーロ、マルティネス、デ、イバレタ
(72)【発明者】
【氏名】アルフォンソ、ウルサインキ、グラリア
(72)【発明者】
【氏名】アルバロ、ベルテルセン、シモネッティ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】手術室内で事前に計画された手術部位を正確に特定および追跡するための外科用クランプを提示する。
【解決手段】2つの半体を備える外科用クランプであって、各半体は上部2および下部を有し、下部は手術部位と接触するようになっている2つのジョー3を形成し、上部のうちの1つには、運動連結機構4、5、および異なるインピーダンスのため、異なるクランプを識別することが可能となるような所定のインピーダンス値を有する受動回路が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの半体を備える外科用クランプ(1)であって、各半体は上部(2)および下部(3)を有し、一方の半体の前記下部および他方の半体の前記下部は手術部位と接触するようになっている2つのジョー(3)を形成し、
前記上部(2)のうちの1つには、
位置合わせ基準要素(1’)に連結するように、または追跡装置に連結するように構成された運動連結機構(4、5)と、
所定のインピーダンス値を有する受動回路であって、前記追跡装置が前記外科用クランプ(1)の前記運動連結機構(4、5)に連結するとき前記追跡装置に接続するように構成された、受動回路と、
が設けられていることを特徴とする、外科用クランプ(1)。
【請求項2】
前記運動連結機構は、第1の磁石(5)および3つのV字溝(4)を備え、前記各V字溝(4)は少なくとも1つの導電部を有し、前記3つのV字溝(4)は、放射状に配置され3つの角度を形成しており、導電性の球体に接触して前記受動回路と前記追跡装置との間の電気的接続を確立するように構成されている、請求項1に記載の外科用クランプ(1)。
【請求項3】
前記3つのV字溝は、第1のV字溝、第2のV字溝および第3のV字溝であり、動作モードにおいて前記外科用クランプ(1)が前記追跡装置に結合されているとき、前記受動回路と前記追跡装置との間の電気的接続は、前記受動回路が前記第1のV字溝と、前記第2のV字溝と前記第3のV字溝間の接続との間に設けられて、前記第1のV字溝と前記第2のV字溝との間の第1のインピーダンスと、前記第1のV字溝と前記第3のV字溝との間の第2のインピーダンスが並列接続されるように構成される、請求項2に記載の外科用クランプ(1)と追跡装置。
【請求項4】
前記角度のうちの一つは他の2つの角度と異なる、請求項2に記載の外科用クランプ(1)。
【請求項5】
各外科用クランプ(1)の前記受動回路は、他の外科用クランプ(1)の前記受動回路と互いに異なるインピーダンスを有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複数の外科用クランプ(1)によって形成されたキット。
【請求項6】
放射線透過性材料を備え、前記外科用クランプ(1)の前記運動連結機構(4、5)とマッチングする運動連結機構(4’、5’)が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の外科用クランプ(1)と共に使用するための、位置合わせ基準要素(1’)。
【請求項7】
頂部において放射線不透過性の球体(8、8’)の所定の構成を備える、請求項6に記載の位置合わせ基準要素(1’)。
【請求項8】
各位置合わせ基準要素(1’)は、放射線不透過性の球体の異なる構成を有する、請求項6または請求項7に記載の複数の位置合わせ基準要素(1’)によって形成されたキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科装置に関し、より詳細には、ナビゲーションシステムまたはロボットシステムで使用するための外科用クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューター支援手術(CAS)システムは、安全性を高め、既存の手術のリスクを減らすために開発され、低侵襲手術などの新しい手術手順の実施を可能にした。CASシステムは、米国特許第6351659B1号明細書に記載されるものなど、介入中に外科医を誘導するナビゲータを含む。ナビゲータは通常、固定座標系に対する患者およびいくつかの手術器具の位置および配向を継続的に判断する光学追跡システムに基づいている。このような情報は、外科医に視覚的フィードバックを与えるために、患者の解剖学的構造の仮想表現と一致する。すると外科医は、たとえば軟組織で隠れているため他の方法では見えないいくつかの解剖学的部位に対する手術器具の軌跡を監察することができる。別のタイプのCASシステムは、光学または機械式トラッカーに基づくロボットアシスタントである。米国特許公開第2014/0350571A1号明細書に記載されるもののようなロボットアシスタントは、手術器具が事前に計画された解剖学的部位に到達するための軌跡を提供する物理的ガイドを提示する。これら全てのシステムは、患者の解剖学的部位に、運動機構の一部である基準要素を固定することに基づいている。
【0003】
いくつかの脊椎手術では、たとえばUghwanogho et al.2010(E.Ughwanogho,J.M.Flynn,“Current Navigation Modalities in Spine Surgery”,University of Pennsylvania Orthopaedic Journal,vol.20,pages 65-69,2010年5月)に記載されるいくつかの脊椎レベルで動作するために、介入中に2つ以上の解剖学的部位が追跡されなければならない。このような介入では、領域が介入され、次の領域に移動するために開放されるとき、標的椎骨にクランプを固定することによって異なる領域を順次手術するために、独特なクランプを使用することができる。別の選択肢は、異なる領域に同時に2つ以上のクランプを固定し、これらのうちの1つをシステムに追跡させることである。いずれの場合も、患者の手術前画像をクランプの現在位置と関連付けるために、外科医はシステムに、トラッカーが実装されている場所、またはどの基準アレイが見えているかを通知する必要がある。人為的エラーによって、トラッカーが真の物理的位置に対応しない手術部位と関連付けられているとシステムに思わせる可能性があるため、この手順はいくつかのリスクを呈する。このような状況では、患者の仮想表現に関して外科医に提示される軌跡は、これに伴うリスクを有する物理的位置に対応しない。現在の技術では、トラッカーが実装された場所をシステムに知らせるための自動識別機構を説明するシステムはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6351659B1号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2014/0350571A1号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ughwanogho et al.2010(E.Ughwanogho,J.M.Flynn,“Current Navigation Modalities in Spine Surgery”,University of Pennsylvania Orthopaedic Journal,vol.20,pages 65-69,2010年5月)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、追跡装置によって自動的に識別され得る所定のインピーダンス値を有する受動電気回路の形態の固有の識別子が与えられた基準クランプを提供する。複数のクランプを備えるキットでは、識別子は、患者の位置合わせプロセス中の介入の初期に、異なる解剖学的部位と自動的に関連付けられる。本発明は、クランプを保管する基準と、放射線不透過性の球体の異なる構成が各々設けられた基準要素のキットとを、さらに備える。
【0007】
説明を完成させ、本発明のより良い理解を提供するために、1組の図面が提供される。前記図面は、本発明の好適な実施形態を示すが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、本発明がどのように実行されるかの単なる一例として解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるクランプおよび位置合わせ基準要素を示す図である。
図2】患者の脊椎に取り付けられた、本発明による3つのクランプのセットを示す図である。
図3】位置合わせ基準要素が取り付けられた同じ3つのクランプを示す図である。
図4】クランプのうちの1つに実装された機械式トラッカーおよびロボットアシスタントを有する同じ3つのクランプを示す図である。
図5】自動識別電気回路の2つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、手術室内で事前に計画された手術部位を正確に一特定および追跡するための外科用クランプを提示する。本発明のおかげで、ナビゲーション手術またはロボット支援手術は、高精度で最小限の侵襲で実行される。対象となる手術は、椎骨への椎弓根スクリューの挿入であるが、他の種類の手術にも及ぶことができる。スクリューの正確な位置は、患者が手術室に入る前に患者の手術前画像上で計画されてもよく、または術中三次元撮像装置、通常はコンピューター断層撮影システム(CT)が利用可能な場合には、手術注意計画されることが可能である。手術の計画は、標的椎骨内の椎弓根スクリューのサイズ、位置、および配向の画定を含む。
【0010】
患者が手術室に入る前に、解剖学的部位の三次元画像を撮影することができる。この例では、この解剖学的部位は、患者の脊椎の一部に対応する。外科医は、この術前画像上で手術を計画する。なお、このステップは、手術が予定されているよりも数日前に実行され得ることに留意されたい。患者が手術室に入るとき、ナビゲーションシステムまたはロボットアシスタントを使用して手術を実行するために、解剖学的部位に対する追跡装置の相対位置および配向が確立されなければならない。これは、2段階プロセスによって実現される。最初に、骨にしっかり固定された基準に対する標的椎骨の相対位置および配向が記録される。図1に示されるような、本発明のクランプ(1)は、骨にしっかりと固定され、基準として機能する。位置合わせステップを完了するために、2つのジョー(jaw)(3)によって椎骨の棘突起にクランプが固定されると、既知の幾何形状を有する要素がクランプ(1’)に一時的に実装される。この要素は、文献では位置合わせ基準要素として知られている。位置合わせステップが完了すると、位置合わせ基準要素はクランプから取り外される。なお、クランプはまだ骨に取り付けられていることに留意されたい。次に、機械または光学追跡装置を用いて、手術中にクランプの相対位置および配向が追跡される。基準クランプの下部(3)は、そのジョーによって骨にしっかりと固定され、上部(2)は運動連結機構(4、5)を提示する。運動連結機構は、様々なマーカまたは追跡装置の一端で位置合わせ基準要素を受けるように準備されている。
【0011】
図3を参照すると、位置合わせ基準要素(1’)は、既知の幾何形状でいくつかの放射線不透過性の球体(8’)が設けられた、放射線透過性材料でできた剛体である。放射線不透過性の球体は、位置合わせ基準要素を構成する物体の残部に対して高いコントラストを示すため、二次元放射線写真または三次元コンピューター断層撮影で容易に識別される。基準クランプが標的骨に固定され、位置合わせ基準要素がクランプに実装されると、領域の術中画像が撮影される。より高い精度を実現するために、三次元術中取得装置を使用することが望ましい。このような装置が利用できない場合、球体の二次元投影から基準要素の空間内の位置を正確に特定できるようにするために、少なくとも2つの二次元放射線写真が異なる配向で取得される必要がある。本発明では固有の識別子を有するいくつかのクランプが利用可能であり、各クランプは固有の球体構成の関連する基準要素を有する。放射線不透過性の球体のこれらの異なる構成により、位置合わせ手順の間にクランプの明確な識別が可能になる。したがって、位置合わせ手順が完了すると、システムは、手術が行われる異なる解剖学的部位にどのクランプが固定されているかが正確にわかる。
【0012】
位置合わせ手順の精度は、基準要素の球体と標的領域との間の距離に大きく依存する。したがって、精度を向上する他面に、可能な限り標的の近くに球体を配置することが望ましい。この実施形態では、標的領域は椎骨の椎弓根であり、この領域により近いシステムの要素は基準クランプである。本発明では、基準クランプはまた、位置合わせプロセスで使用される上部に放射線不透過性の球体(8)を含むこともできる。これにより、位置合わせ手順はより堅牢になり、システム全体の精度が向上し、介入に固有のリスクを低減する。
【0013】
位置合わせ手順はまず、基準クランプの正確な位置を確立する。これは、放射線不透過性の球体が術中画像において容易に検出され、基準クランプおよび基準要素の幾何形状が既知であるという事実のおかげで実現できる。前述のように、術中画像は、対象の領域の三次元再構築またはいくつかの二次元放射線写真であり得る。三次元術中取得の場合、基準クランプの位置は、三次元体積内で放射線不透過性の球体を見つけることによって、容易に確立される。位置合わせが二次元放射線写真を利用して行われる場合、球体の位置は、二次元画像からそれらの位置を逆投影し、各球体の様々な投影を三角測量することで三次元空間内のそれらの位置を見出すことによって、得られる。
【0014】
次に、三次元術前画像における椎骨の位置および配向が、椎骨の術中画像と一致させられる。これは、2つの幾何形状を関連付ける変換を見つける標準強度ベースの位置合わせアルゴリズムを使用して実行される。この時点で、椎骨の術前画像上で画定された手術部位が、基準クランプに対して手術室内で特定され得る。基準クランプが骨にしっかりと固定され、結果的にクランプと骨との間に相対運動がないことに留意することが、重要である。したがって、位置合わせ基準要素は、基準クランプを骨に固定したままで取り外されることが可能である。この点から、基準クランプの位置および配向を追跡することによって、椎骨の位置および配向は手術中に正確に追跡される。次に説明される連結機構のおかげで、位置合わせ基準要素は基準クランプから容易に取り外されることが可能である。
【0015】
連結機構(図1)は、有利だが必須ではなく2つの部分を備える磁気運動連結システムに基づいており、各部分は磁石(5、5’)を備え、磁石は互いに協力して連結器を形成するように、互いに逆極性である。実装可能な要素は、位置合わせ基準要素またはトラッカー装置であり得る。好ましくは、クランプ部分の3つのV字溝(4)および他の部分(基準要素またはトラッカー)の3つの球体(4’)は、磁石と共に磁石結合を提供する。この結合は、2つの剛体の間に正確で再現性のあるインターフェースを作成する。このシステムは、クランプとトラッカーの先端との間の相対運動の6自由度(位置のために3自由度および回転のために残りの3自由度)を連結機構が制限することを保証するために、6つの接点(球体1つあたり2つの接点)を提供する。各部分の中心の磁石(5、5’)は、両方の部分を一緒に保つことによってクランプとトラッカーの先端との間のいかなる相対運動も回避するために必要とされる強度を提供する。磁石が及ぼす力は、介入中のクランプとトラッカーとの間の接続を保証するようになっている。しかしながら、この力は、いつでも容易にシステムを取り外せるようにするために、人間のオペレータによって接続が解放され得るようになっている。最も安定した運動連結は、3つのV字溝が120°の角度を形成するときに得られる。しかしながら、本発明では、3つのV字溝は、連結機構が固有の位置でのみ嵌合できるような3つの角度を形成することが好ましい。たとえば、110°、110°、および140°の角度は、連結機構が固有の位置に嵌合することを保証する。この目的のために、角度のうちの少なくとも1つは、残りの2つとは異なる必要がある。
【0016】
クランプは2つの半体で構成され、各半体はその下部(3)にスパイクのあるジョーを示す。各ジョーのスパイクは、クランプが介入中にしっかりと骨に固定されることを保証するために、骨の方面に貫通する。半体の一方の上部(2)は、3つのV字溝を有する運動連結機構の基部を呈する。もう1方の半体は、補助工具でのクランプの締め付けを容易にするために、その上部に丸みを帯びた末端を呈する。この工具は、本クランプを締め付けるようになっている。クランプは、骨に対するクランプの締め付けを許容し、介入中にクランプが骨から解放されるのを防止するための、ラチェット歯機構を呈する。ラチェット締め付け機構は、締め付け方向のみの運動を許容するために、クランプの両方の半体に歯を呈する。
【0017】
クランプおよびトラッカー(図4)は、トラッカーがクランプに取り付けられたときにシステムに通知する検出機構を呈する。この検出機構は、いつ接続が確立されたかを特定することが可能な処理ユニットに接続された電気回路である。連結機構のクランプ部分は、クランプの上部に、受動電気回路および連結機構のトラッカー部分を有し、これは後者の先端に位置し、ベース部分を処理ユニットに接続する。処理ユニットは小さな電圧を印加するので、接続が確立すると、電気回路は閉じられて電流が検出される。
【0018】
先に説明された運動連結機構の球体は、導電性材料で作られており、処理ユニットに接続されている。V字溝は、頂部と底部との間に電気的接続を確立するために、球体が接触する導電部を呈する。図5aおよび図5bは、この検出機構を実装する電気回路の2つの例である。いずれの場合も、異なる接点の間で値Zの2つのインピーダンスが使用される。最初の例では、処理ユニットによって電圧Vが印加されると、回路を流れる電流はI=2V/Zの値を取る。第2の例では、処理ユニットによって電圧Vが印加されると、回路を流れる電流はI=V/2Zの値を取る。
【0019】
受動回路の別の構成は、1つ以上の抵抗、コンデンサ、コイル、またはこれらの任意の組み合わせを含む。このアイディアは、異なるクランプを自動的に検出するために、本発明において拡張される。介入する必要のある椎骨の数は、手術の種類に依存し、わずか2つから10以上になり得る。これに関連して、異なる箇所に堅牢な基準を有するために、外科医は、異なる椎骨にいくつかのクランプを固定することができる。するとロボットシステムは、各椎骨に挿入される必要のあるスクリューの軌跡を示す。これを実現するために、スクリューの軌跡は椎骨ごとに異なるので、トラッカーが固定された椎骨をシステムが常に認識することが重要である。異なるクランプを自動的にシステムに検出させるために、各クランプは、検出回路内で異なるインピーダンスZを示す。したがって、処理ユニットは、クランプ内を循環している電流を測定することによって、トラッカーがどのクランプに接続されているかを識別することができる。異なるクランプは、これに関連付けられた識別子を有する。
【0020】
異なる識別子を有するクランプは、やはり位置合わせ手順中にクランプを識別するために、これらに関連付けられた異なる位置合わせ基準要素を有する。異なる位置合わせ基準要素は、放射線透過性材料の同じ物体を呈するが、放射線不透過性の球体の構成は異なる。球体の異なる構成は、位置合わせステップ中にクランプを識別すること、したがってどのクランプがどの椎骨に固定されているかを識別することを、可能にする。このためシステムは、椎骨をクランプ識別子に関連付けることができ、トラッカーがクランプに接続されると、システムはトラッカーがどのクランプに実装されているかを直ちに識別することができる。
【0021】
クランプは、介入中に骨にしっかりと固定され、その結果、これは硬質で生体適合性の材料で作られる必要がある。チタンは、両方の特性を満たすので、多くの医療用途で選択される金属である。チタン合金Ti6Al4Vは、義肢または機具類で一般に使用され、したがって、クランプ向けの公的な材料である。ステンレス鋼もまた、このような用途に適しているあるいは、クランプは、放射線透過性であるという利点を有する炭素繊維強化セラミック材料で作られることが可能である。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b