(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160638
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、筋疾患またはカヘキシーの予防または処置のための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20221012BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221012BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20221012BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20221012BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20221012BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20221012BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61K48/00
A61P21/00
A61K35/76
A61K35/761
A61P21/02
A61P9/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127314
(22)【出願日】2022-08-09
(62)【分割の表示】P 2020557109の分割
【原出願日】2019-01-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0002557
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522025444
【氏名又は名称】アベンティ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AVENTI INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ギソン
(72)【発明者】
【氏名】イ・カンピョ
(72)【発明者】
【氏名】シン・ヨジン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ボラ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ソンミン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】筋疾患またはカヘキシーを予防または処置するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む医薬組成物であって、ここで、miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、医薬組成物とする。
【選択図】
図12c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、筋疾患を予防または処置するための医薬組成物。
【請求項2】
miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-431、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
miRNAがAtrogin-1/MAFbxタンパク質の発現レベルを低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
miRNAがAtrogin-1/MAFbxタンパク質をコードするポリヌクレオチドの3’非翻訳領域(3’-UTR)と直接相互作用し、Atrogin-1/MAFbx発現を抑制する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
筋疾患がサルコペニア、筋萎縮、筋ジストロフィーおよび心臓萎縮からなる群から選択される何れかである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、筋疾患を予防または処置するための医薬組成物。
【請求項7】
miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-431、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ベクターがプラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスおよびそれらのアナログからなる群から選択される何れかである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ウイルスがアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、カヘキシーを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項11】
miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-431、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、カヘキシーを予防または処置するための医薬組成物。
【請求項13】
miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-431、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ベクターがプラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスおよびそれらのアナログからなる群から選択される何れかである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ウイルスがアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
対象に請求項1~9の何れかに記載の医薬組成物を投与する過程を含む、筋疾患を予防または処置する方法。
【請求項17】
対象に請求項10~15の何れかに記載の医薬組成物を投与する過程を含む、カヘキシーを予防または処置する方法。
【請求項18】
筋疾患の予防または処置のための医薬の製造における、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用。
【請求項19】
筋疾患の予防または処置のための医薬の製造における、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用。
【請求項20】
カヘキシーの予防または処置のための医薬の製造における、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用。
【請求項21】
カヘキシーの予防または処置のための医薬の製造における、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、筋疾患またはカヘキシーの予防または処置のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨格筋の質量および機能は年齢と共に徐々に低下し、高齢者の死亡率および低クオリティ・オブ・ライフの主因となっている。加齢下での骨格筋は筋肉量の減少だけでなく、強度および機能に進行性の低下も示す。この疾患は「加齢性サルコペニア」と称される(Jun-Won Heo and et al., Aging-induced Sarcopenia and Exercise. The Official Journal of the Korean Academy of Kinesiology, 19(2). DOI: http://doi.org/10.15758/jkak.2017.19.2.43)。筋肉量は、30歳代で毎年約1%減少する。加齢性サルコペニアの有病率は60歳代の高齢者で約10%であり、80歳代で約50%に増加する。年齢による筋肉減少は、身体活動の障害ならびに2型糖尿病、肥満、異脂肪血症および高血圧などの種々の疾患を誘発する。それ故に、健康な筋肉のための有効な治療剤の開発が喫緊である。しかしながら、今日まで、米国食品医薬品局(FDA)で承認されている加齢性サルコペニアの治療剤はない。最近、加齢性サルコペニアについて、世界保健機構は、International Classification of Diseases, 10th Revision, Clinical Modification (ICD-10-CM)でその疾患コードを付けている。この状況に鑑み、加齢性サルコペニアの診断剤および治療剤の開発が加速することが期待される。
【0003】
筋肉量は、同化と異化の動的つり合いにより決定される。筋萎縮はインターロイキン-1(IL-1)、腫瘍壊死因子(TNF-α)およびグルココルチコイドを含む種々の刺激を介して起こることが報告されている。このような筋萎縮で、筋肉特異的E3リガーゼ(例えば、MuRF1およびAtrogin-1/MAFbx)が重要な役割を有することが知られている。このようなE3リガーゼは、筋肉が長期間動かされない場合の、神経損傷、糖尿病、敗血症、甲状腺機能亢進症および癌誘発カヘキシーなどの種々の疾患で顕著に増加することが報告されている。加齢した筋肉でのE3リガーゼ制御機構はほとんど知られておらず、マウス、ラットおよびヒト筋肉におけるMuRF1およびAtrogin-1の遺伝子発現レベルのみが知られている。しかしながら、遺伝子発現試験のこれらの研究結果は、他の研究グループが提供する結果と矛盾するなど論議も呼んでいる。
【0004】
同時に、マイクロRNA(ここでは以後miRNAと称する)は、最も広く研究されている非コーディングRNAの一つであり、転写後レベルで遺伝子発現の制御に主要な役割を有する。各々約22ヌクレオチドからなる一本鎖分子であるマイクロRNA類は、しばしばポリシストロン性クラスターに配置され、同じ標的または同じ経路を共標的とする。デルタ様1ホモログタイプ3ヨードチロニンデヨージナーゼ(Dlk1-Dio3)は、知られる最大miRNAクラスターである。筋肉加齢におけるDlk1-Dio3クラスターの機能はほとんど知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明者らは、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNA類が、加齢が原因の筋肉減少に何らかの共通した役割を有するかを試験し、そして、その試験に基づき、加齢性サルコペニアの治療剤としてのそれらの使用の可能性を確認することを意図した。その結果、本発明者らは、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNA類がマウスで骨格筋および筋芽細胞の加齢に関与することを確認した。さらに、本発明者らは、筋肉加齢過程におけるmiRNA介在Atrogin-1発現制御機構を解明し、Dlk1-Dio3クラスターにおけるmiRNA類に基づく遺伝的治療法が筋肉加齢ならびに癌誘発カヘキシーに有効な予防効果を有することを確認し、そうして本発明を完成させた。
【0006】
本発明の目的は、Dlk1-Dio3クラスターにおけるmiRNAを活性成分として含む、筋肉加齢またはカヘキシーの予防または処置のための医薬組成物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、筋疾患の予防または処置のための医薬組成物を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、筋疾患の予防または処置のための医薬組成物を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、カヘキシーの予防または処置のための医薬組成物を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、カヘキシーの予防または処置のための医薬組成物を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、筋疾患を予防または処置するための医薬組成物を対象に投与することを含む、筋疾患を予防または処置する方法を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、カヘキシーを予防または処置するための医薬組成物を対象に投与することを含む、カヘキシーを予防または処置する方法を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、筋疾患を予防または処置するための医薬の製造のための、Dlkl-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、筋疾患を予防または処置するための医薬の製造のための、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、カヘキシーを予防または処置するための医薬の製造のための、Dlkl-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、カヘキシーを予防または処置するための医薬の製造のための、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明において、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNA類の発現が加齢により減少することが判明した。さらに十分に分化した筋管で特定のmiRNAが過発現されるとき、筋管直径の増加が確認された。さらに、Dlk1-Dio3クラスター内の種々のmiRNAがAtrogin-1 3’-UTRと相互作用し、筋肉特異的E3リガーゼであるAtrogin-1のタンパク質発現が抑制されることが確認された。さらに、高齢マウスの筋肉に該miRNAを発現するアデノウイルスを感染させたとき、骨格筋萎縮が劇的に改善された。さらに、腫瘍誘発カヘキシーマウスモデルおいても、カヘキシーが該miRNAを使用するAtrogin-1タンパク質阻害により改善されたことが確認された。それ故に、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントは、Atrogin-1依存性筋疾患予防およびカヘキシー改善に、有用に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a】
図1a~1dは、若齢マウスおよび高齢マウスから単離した前脛骨筋(TA)筋肉および筋繊維のmiRNA発現プロファイルの比較分析の実施により得た結果を示す。具体的に、
図1aは、年齢によりTA筋肉組織で異なって発現されるmiRNAの分布を示すチャートを示す。左側円グラフは、加齢したTA筋肉におけるmiRNA類の56%(61)が発現減少したことを示す。右側ドーナツグラフは、発現が減少したmiRNA類の69%(42)がDlk-Dio3ゲノム領域に位置することを示す。
【0019】
【
図1b】
図1bは、発現が増加した48個のmiRNA類および発現が減少した61個のmiRNA類を使用した109個のmiRNA類の発現レベル(>1.5倍)に基づく加齢による分類を示す。
【0020】
【
図1c】
図1cは、Dlk1-Dio3ゲノム領域に位置する42個のmiRNA類の発現レベルによる年齢による分類を示す。各カラムは、若齢マウス(6か月)および高齢マウス(24か月)のTA筋肉におけるmiRNA発現レベルを示す。
【0021】
【
図1d】
図1dは若齢マウス(3か月)および高齢マウス(27か月)から単離された筋芽細胞で異なって発現されるmiRNA類の分布を示すチャートを示す。左側円グラフは、加齢した筋芽細胞におけるmiRNA類の60%(71)が発現減少を示すことを示す。右側ドーナツグラフは、発現が減少したmiRNA類の83%(59)がDlk-Dio3ゲノム領域に位置することを示す。
【0022】
【
図1e】
図1eは、発現が増加した47個のmiRNA類および発現が減少した71個のmiRNA類を使用した118個のmiRNA類の発現レベル(>2倍)による分類を示す。
【0023】
【
図1f】
図1fは、Dlk1-Dio3ゲノム領域に位置する59個のmiRNA類の発現レベルに基づく加齢による分類を示す。各行は、若齢または高齢のTA筋肉から単離した筋芽細胞におけるmiRNAレベルを示す。
【0024】
【
図2】
図2は Dlk1-Dio3クラスターに存在するmiRNA類の発現レベルの加齢による変化を示す。具体的に、ヒト年齢(25~80歳)とヒトDlk1-Dio3クラスターに存在する18個のmiRNA類の発現レベルの相関が説明される。miRNA類はヒト大殿筋筋肉から単離された。データをスピアマンの相関検定を使用して評価した(ρ;95%CI;n=20)。
【0025】
【
図3a】
図3aは筋肥大表現型に至るmiRNA類のスクリーニング計画を示す。C2C12細胞の分化誘導4日後、miRNA模倣体を分化筋管に個々にトランスフェクトして、Dlk1-Dio3クラスターに存在するmiRNA類の活性を確認した。筋管直径をトランスフェクション24時間後に測定した。
【0026】
【
図3b】
図3bはmiRNA模倣体をトランスフェクトした分化筋肉細胞の画像を示す。筋管を、直径測定のためにエオシンYで染色した。目盛尺は50μmである。
【0027】
【
図3c】
図3cはmiRNA模倣体でトランスフェクション後種々の直径を有する筋管のパーセンテージを示す。色が濃いほど、直径が大きいことを示す。顕微鏡イメージングソフトウェア(NIS-Elements Basic Research, Nikon)を使用する直径測定のために、4画像を無作為に選択した。データを平均±SDで表した。
【0028】
【
図4a】
図4aはマウスAtrogin-1 3’UTRで、miRNA類の38結合部位(その中で12がヒトで保存される)が予測されることを示す。
【0029】
【
図4b】
図4bは、miRNAでトランスフェクトした293T細胞でAtrogin-1 3’UTRを有するルシフェラーゼレポーターの相対的活性を示す(
* P<0.05、
** P<0.01、
*** P<0.001)。
【0030】
【
図4c】
図4cはmiRNAでトランスフェクトした分化C2C12細胞の免疫ブロットアッセイ結果を示す。結果をGAPDHで標準化した。
【0031】
【
図4d】
図4dは
図4cのAtrogin-1の相対的発現レベルの定量化を示す。
【0032】
【
図4e】
図4eはMiR-493、miR-376bおよびmiR-433でトランスフェクトしたC2C12筋管のAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。Atrogin-1の発現レベルをImageJソフトウェアを使用して定量化し、結果をGAPDH発現で標準化した。
【0033】
【
図4f】
図4fはmiRNAでトランスフェクトした分化ヒト骨格筋肉筋芽細胞(HSMM)の免疫ブロットアッセイ結果を示す。結果をGAPDHで標準化した。
【0034】
【
図4g】
図4gは
図4fの相対的Atrogin-1の発現レベルの定量化を示す。
【0035】
【
図4h】
図4hは、若齢マウスまたは高齢マウスから単離したTA筋肉のAtrogin-1の免疫アッセイおよび定量化結果を示す。結果を平均ACTNl発現レベルで標準化した(
*** P<0.001)。
【0036】
【
図4i】
図4iは、若齢マウスまたは高齢マウスから単離したTA筋肉のAtrogin-1の免疫アッセイおよび定量化結果を示す。結果を平均ACTNl発現レベルで標準化した(
*** P<0.001)。
【0037】
【
図4j】
図4jは、示す年齢でのヒト筋肉組織におけるAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。結果をGAPDHで標準化した。
【0038】
【
図4k】
図4kはヒト年齢とAtrogin-1発現の相関分析の結果を示す。結果をスピアマンの相関検定を使用して評価した(ρ;95%CI)。
【0039】
【
図4l】
図4lは若齢マウスまたは高齢マウスから単離したTA筋肉の相対的Atrogin-1 mRNAの発現レベルを示す。結果をACTBで標準化した。
【0040】
【
図4m】
図4mは25~80歳のヒト対象の筋肉におけるAtrogin-1 mRNAの発現レベルを示す。結果をGAPDHで標準化した。結果をスピアマンの相関検定を使用して評価した(ρ;95%CI;n=20)。
【0041】
【
図4n】
図4nは逐次分析に含まれるmiRNA類を示す。ここで、
*はヒトで保存される。
【0042】
【
図5a】
図5aは高齢マウスにおける筋肉重量および体重の比率を示す。
【0043】
【
図5b】
図5bは若齢マウスおよび高齢マウスの筋肉の断面像を示す(赤色、ラミニン;青色、DAPI;目盛尺、50μm)。
【0044】
【
図5c】
図5cは断面領域(CSA)の形態学的分析結果を示す。4つの異なる画像を無作為に選択し、各CSAをImageJソフトウェアを使用して分析した(
* P<0.05)。
【0045】
【
図6】
図6は若齢のTA筋肉および高齢のTA筋肉のC2C12筋肥大表現型を強くもたらす、上位5つのmiRNA類の発現を示す。具体的に、若齢または高齢のTA筋肉(n=5)のmiR-668、miR-376c、miR-494、miR-541およびmiR-1197の相対的発現レベルが説明される。結果をU6小核RNA(snRNA)レベルで標準化し、平均±SDとして表した(
* P<0.05)。
【0046】
【
図7a】
図7aはマウスAtrogin-1の完全長3’UTR(上部)および切断型3’UTR(下部)でのmiR-376c-3pの推定結合部位を示す。ヒトとマウス間で保存されている領域のみ含まれる。
【0047】
【
図7b】
図7bは野生型(WT)Atrogin-1 3’UTRまたは欠失変異(Mut)Atrogin-1 3’UTRでのルシフェラーゼレポーター活性を測定することによる、miR-376c-3pのWTまたは変異体3’UTRに対する効果の確認を示す(
*** P<0.001)。
【0048】
【
図7c】
図7cはASO(ビオチンを伴うまたは伴わない)およびストレプトアビジンビーズを使用して得たプルダウン分析結果を示す。定量分析をqRT-PCRにより実施した(
** P<0.01)。
【0049】
【
図8】
図8はC2C12細胞におけるストレプトアビジンビーズを使用して得たAtrogin-1 3’UTRのプルダウン分析結果を示す。データを、3つの独立した実験の平均±SDとして表した。
【0050】
【
図9a】
図9aは、miR-376C-3pまたは阻害剤(I)-miR-376C-3pをトランスフェクトした分化初代筋芽細胞(
図9a)およびHSMM(
図9b)のAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。Atrogin-1の発現レベルをImageJソフトウェアを使用して定量化し、ACTBで標準化した。
【0051】
【
図9b】
図9bは、miR-376C-3pまたは阻害剤(I)-miR-376C-3pをトランスフェクトした分化初代筋芽細胞(
図9a)およびHSMM(
図9b)のAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。Atrogin-1の発現レベルをImageJソフトウェアを使用して定量化し、ACTBで標準化した。
【0052】
【
図9c】
図9cはmiR-376C-3pまたは阻害剤(I)-miR-376C-3pでトランスフェクトしたC2C12細胞のAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。結果をACTB発現で標準化した。
【0053】
【
図10a】
図10aはmiR-376c-3pまたは対照(野生型、Ctrl)を発現する分化筋肉細胞の画像を示す(緑色、MyHC;青色、DAPI;目盛尺、50μm)。
【0054】
【
図10b】
図10bはmiR-376c-3pまたは対照(野生型、Ctrl)を発現する分化筋肉細胞の繊維直径のパーセンテージについての定量化グラフを示す。
【0055】
【
図10c】
図10cはmiR-376c-3pまたは対照(野生型、Ctrl)を発現する分化筋肉細胞の繊維直径の平均の定量化グラフを示す(
** P<0.01)。
【0056】
【
図10d】
図10dはmiR-376c-3pまたは対照でトランスフェクトした分化HSMMのゲノムDNA含量で標準化したタンパク質割合を示す(
** P<0.01)。
【0057】
【
図10e】
図10eは23か月齢マウスのTA筋肉(AdmiRa-376c-3p)および対照TA筋肉(AdmiRa-Ctrl)へのアデノウイルス注射の計画を示す。
【0058】
【
図11a】
図11aはAdmiRa-376c-3pまたは対照(AdmiRa-Ctrl)を感染させたC2C12筋管のAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。C2C12細胞の筋管への分化3日後、筋肉細胞をAdmiRa-376c-3pまたは対照(AdmiRa-Ctrl)で感染させた。アデノウイルス感染24時間後、Atrogin-1発現をウェスタンブロッティングで測定し、ACTBの結果で標準化した。
【0059】
【
図11b】
図11bはGFP標識AdmiRa-376c-3pまたは対照で観戦させた23か月齢TA筋肉組織の感染後7日目の蛍光画像を示す(目盛尺、1mm)。
【0060】
【
図12a】
図12aはウイルス感染筋肉断面の画像のグラフ(
図12a)、そのパーセンテージ(
図12b)およびその平均(
図12c)を示す(赤色、ラミニン;青色、DAPI;目盛尺、50μm;
* P<0.05;
** P<0.01)。
【0061】
【
図12b】
図12bはウイルス感染筋肉断面の画像のグラフ(
図12a)、そのパーセンテージ(
図12b)およびその平均(
図12c)を示す(赤色、ラミニン;青色、DAPI;目盛尺、50μm;
* P<0.05;
** P<0.01)。
【0062】
【
図12c】
図12cはウイルス感染筋肉断面の画像のグラフ(
図12a)、そのパーセンテージ(
図12b)およびその平均(
図12c)を示す(赤色、ラミニン;青色、DAPI;目盛尺、50μm;
* P<0.05;
** P<0.01)。
【0063】
【
図12d】
図12dは23か月齢マウスのAdmiRa-Ctrl-または376c-3p感染TA筋肉組織のAtrogin-1およびeIF3fの免疫ブロットアッセイ結果を示す。
【0064】
【
図12e】
図12eは
図12dの免疫ブロットアッセイ結果におけるImageJを使用した相対的Atrogin-1およびeIF3fの発現レベルを示す。結果を平均ACTN1レベルで標準化した。データを平均±SDとして表した(
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0065】
【
図12f】
図12fは若齢または高齢マウスのTA筋肉疲労分析により得た結果を示す。
【0066】
【
図12g】
図12gはアデノウイルス感染高齢マウスのTA筋肉疲労分析により得た結果を示す。
【0067】
【
図13a】
図13aはmiR-376c-3pまたはsi-Atrogin-1でトランスフェクトしたC2C12筋管の画像を示す。100μM デキサメサゾン(dex)での24時間処置を行ったまたは行わなかった(緑色、MyHC;青色、DAPI;目盛尺、50μm)。
【0068】
【
図13b】
図13bは
図13aの筋繊維の定量化直径のパーセンテージ(b)および平均(c)をグラフ的に説明する。筋管直径測定のために4つの異なる画像を無作為に選択した(
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0069】
【
図13c】
図13cは
図13aの筋繊維の定量化直径のパーセンテージ(b)および平均(c)をグラフ的に説明する。筋管直径測定のために4つの異なる画像を無作為に選択した(
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0070】
【
図13d】
図13dはAtrogin-1の免疫ブロットアッセイ結果を示す。
【0071】
【
図13e】
図13eはmiR-376c-3pまたはsi-Atrogin-1でトランスフェクトしたC2C12筋管の相対的ゲノムDNA含量で標準化したタンパク質割合を示す(
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0072】
【
図14a】
図14aは正常C2C12筋管またはAtrogin-1発現が阻害されたC2C12筋管の画像を示す(緑色、MyHC;青色、DAPI;目盛尺、50μm)。
【0073】
【
図14b】
図14bは、定量化筋管直径のパーセンテージ(
図14b)および平均(
図14c)をグラフ的に説明する。筋管直径測定のために4つの異なる画像を無作為に選択した(
* P<0.05)。
【0074】
【
図14c】
図14cは、定量化筋管直径のパーセンテージ(
図14b)および平均(
図14c)をグラフ的に説明する。筋管直径測定のために4つの異なる画像を無作為に選択した(
* P<0.05)。
【0075】
【
図15a】
図15aはcolon-26(C26)培養培地(CM)を用いてまたは用いずに培養したmiR-376c-3pまたは対照でトランスフェクトしたC2C12筋管の画像を示す(緑色、MyHC;青色、DAPI;目盛尺、50μm)。
【0076】
【
図15b】
図15bは定量化繊維直径のパーセンテージ(
図15b)および平均(
図15c)を示す。筋管直径測定のために3画像を無作為に選択した(
* P<0.05)。
【0077】
【
図15c】
図15cは定量化繊維直径のパーセンテージ(
図15b)および平均(
図15c)を示す。筋管直径測定のために3画像を無作為に選択した(
* P<0.05)。
【0078】
【
図15d】
図15dはCMの存在または非存在によりmiR-376c-3pでトランスフェクトしたC2C12筋肉細胞のAtrogin-1およびeIF3fの免疫ブロットアッセイ結果を示す。相対的Atrogin-1およびeIF3fタンパク質の発現レベルをImageJを使用して測定した。結果をGAPDH発現で標準化した。
【0079】
【
図15e】
図15eはC26腫瘍担持マウス(n=6)のTA筋肉組織にアデノウイルスを注射する方法の略図を示す。C26腫瘍細胞を有する8週齢マウスに接種後7日目および10日目、AdmirRa-376c-3pまたはAdmiRa-対照(10
8CFU/50μl/注射)をそれぞれ一方のTA筋肉およびその対側筋肉に注射した。
【0080】
【
図16a】
図16aはC26腫瘍接種前およびC26腫瘍接種後14日目に測定した体重を示す。
【0081】
【
図16b】
図16bは腫瘍接種マウス(カヘキシー誘発群)および非腫瘍接種マウス(正常)のTA筋肉重量対脛骨長比を示す。データを平均±SDとして表した(n=6;
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0082】
【
図17a】
図17aは腫瘍注射後14日目のAdmiRa-376c-3pまたは対照ウイルスを感染させたTA筋肉組織の重量のパーセンテージを示す。データを脛骨長で標準化した(
** P<0.01)。
【0083】
【
図17b】
図17bは断面領域(CSA)の形態学的分析結果を示す。CSA測定のためにImageJソフトウェアを使用して6画像を無作為に選択し、測定を実施した。データを平均±SDとして表した(
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0084】
【
図17c】
図17cは断面領域(CSA)の形態学的分析結果を示す。CSA測定のためにImageJソフトウェアを使用して6画像を無作為に選択し、測定を実施した。データを平均±SDとして表した(
* P<0.05、
** P<0.01)。
【0085】
【
図18】
図18はDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNA類の加齢が介在するAtrogin-1タンパク質発現制御モデルを示す。Atrogin-1タンパク質発現レベルは、高齢の筋肉組織のDlk1-Dio3ゲノム領域におけるmiRNA類の全体的発現減少により増加した。加齢によるAtrogin-1発現増加はeIF3fなどの標的タンパク質の分解を誘発する可能性があり、故に加齢した筋肉の筋萎縮をもたらし得る。この一連の事象は加齢性サルコペニア発症の根底にある重要な機序であることが解明された。
【0086】
【
図19a】
図19aはヒト年齢とmiR-23a-3pの発現の相関分析の結果を示す。結果をqRT-PCRにより定量化した。さらに、結果をスピアマンの相関検定を使用して評価した(ρ;95%CI)。
【0087】
【
図19b】
図19bは加齢によるTA筋肉におけるmiR-23a-5p、miR-23a-3p、miR-19a-3pおよびmiR-19b-3pの相対的発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
ある態様において、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、筋疾患の予防または処置のための医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明において、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAはmiRNA-668(配列番号1)、miRNA-376c(配列番号2)、miRNA-494(配列番号4)、miRNA-541(配列番号5)、miRNA-377(配列番号10)、miRNA-1197(配列番号6)、miRNA-495(配列番号7)、miRNA-300(配列番号14)、miRNA-409(配列番号16)、miRNA-544a(配列番号18)、miRNA-379(配列番号19)、miRNA-431(配列番号23)、miRNA-543(配列番号30)およびmiRNA-337(配列番号36)からなる群から選択される何れかであり得る。
【0090】
ここで使用する用語「Dlk1-Dio3クラスター」は「デルタ様1ホモログタイプ3ヨードチロニンデヨージナーゼ」の略であり、最大miRNAクラスターとして知られる。
【0091】
ここで使用する用語「miRNA」は、DNAから翻訳されるが、タンパク質に翻訳されない約21~24ヌクレオチドの非コーディングRNAをいう。miRNAはpri-miRNAとして知られる初代転写物からpre-miRNAと名付けられた短ステムループ構造、そして最後に機能的miRNAに加工される。成熟の間、各pre-miRNAは高相補性の2つの独特なフラグメントを提供し、該フラグメントの一方はpri-miRNAをコードする遺伝子の5’アームに端を起点とし、他方はpri-miRNAをコードする遺伝子の3’アームに端を起点とする。成熟miRNA分子は1以上のメッセンジャーRNA(mRNA)と部分的に相補的であり、その主機能は遺伝子発現の下方制御である。
【0092】
miRNA類は、国際命名法により、予め決定された形式の固有名が次のとおり定められている。
【0093】
成熟miRNAは「sss-miR-X-Y」の形式で命名され、ここで「sss」はmiRNA種を表す三文字コードであり、例えば、ヒトを記号化する「hsa」であり得る。miRで、大文字「R」はmiRNAが、成熟miRNAであることを示す。Xは特定の種のmiRNA配列に割り当てられる、何らかの固有番号である。いくつかの高度に相同性のmiRNA類が知られるとき、該番号の後に文字が付される。例えば、「376a」および「376b」は高度に相同性のmiRNAをいう。Yは成熟miRNAがpri-miRNAをコードする遺伝子の5’アーム(この場合、Yは「-5p」)またはその3’アーム(この場合、Yは「-3p」)に対応するpre-miRNAの開裂により得られたかを示す。
【0094】
本明細書で述べるDlk1-Dio3領域に位置するmiRNA類で、例として「hsa-miR-376c-3p」で、「hsa」はmiRNAがヒトmiRNAに関することをいい、「miR」は成熟miRNAに関することをいい、「376」はこの特定のmiRNAに割り当てられる何らかの番号をいい、そして「3p」は成熟miRNAがpri-miRNAをコードする遺伝子の3’アームから得られていることを意味する。
【0095】
同時に、本発明において、Dlk1-Dio3領域に位置するmiRNAは-3pおよび/または-5pに対応するmiRNAであり得る。ある実施態様において、本発明のmiRNA-376cはmiR-376c-3pまたはmiRNA376c-5pであり得る。
【0096】
ここで使用する用語「miRNAバリアント」は、本発明によるDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNA(配列番号1、2、4、5、6、7、10、14、16、18、19、23、30または36)と90%以上、より具体的に95%以上およびさらにより具体的に98%の相同性を維持する塩基配列を有するmiRNAをいう。本発明において、miRNAバリアントはmiRNAフラグメントであり得る。
【0097】
ここで使用する用語「miRNAフラグメント」は、miRNA参照配列との比較の場合、欠失を有する配列または対応する位置で参照配列と同じ配列セグメントのセグメントを含み得る。「参照配列」は、配列比較の基礎として使用することが指定された配列をいう。本発明において、miRNA参照配列は、配列番号1、2、4、5、6、7、10、14、16、18、19、23、30または36の配列を有するポリヌクレオチドであり得る。
【0098】
ここで使用する用語「miRNA模倣体」は、miRNA作用を模倣できるポリヌクレオチドをいい、該模倣体は治療的に標的化され得る。
【0099】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAはAtrogin-1/MAFbxタンパク質の発現レベルを低下させる。さらに、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAはAtrogin-1/MAFbxタンパク質をコードするポリヌクレオチドの3’非翻訳領域(3’-UTR)と直接相互作用し、筋肉分解酵素であるAtrogin-1/MAFbxの発現を抑制できる。
【0100】
ここで使用する用語「Atrogin-1」は、MuRF1などの代表的筋肉特異的E3リガーゼの一つをいう。他の筋疾患と異なり、筋肉加齢におけるAtrogin-1の役割は比較的知見が少ない。本発明のある実施態様において、高齢マウスの筋肉組織で、Atrogin-1のタンパク質レベルは顕著に増加し、一方その遺伝子発現レベルはほとんど変化しなかった。これは、miRNAがAtrogin-1発現を転写後方式で制御することを意味する(
図18参照)。今日までの研究で、miR-19a、miR-19bおよびmiR-23aはAtrogin-1を標的として筋肥大をもたらすことが知られる。しかしながら、本発明において、これらmiRNA類は若齢の筋肉組織と高齢の筋肉組織で異なって発現されなかった(
図19aおよび19b参照)。この観点から、発現が加齢により減少するDlk-1-Dio3クラスターのmiRNAが、Atrogin-1介在加齢性サルコペニアの重要な内部因子であり得ることを見ることができる。
【0101】
ここで使用する用語「筋疾患」は筋肉強度弱化により発症し得る全ての疾患をいい、その例は、サルコペニア、筋萎縮、筋ジストロフィーまたは心臓萎縮を含むが、これらに限定されない。具体的に、「サルコペニア」は加齢性サルコペニアであり得る。
【0102】
「筋肉強度弱化」は、1以上の筋肉の強度が低下した状態を意味する。筋肉強度弱化はどこか一つの筋肉、体の一部、上肢、下肢などに限定され得るかまたは体中に出現し得る。さらに、筋肉疲労および筋肉痛を含む筋肉強度弱化の主観的症状を、身体検査により客観的方法で定量化し得る。筋肉強度弱化の原因は、筋肉損傷、筋肉細胞分化減少による筋肉量減少および筋肉加齢を含むが、これらに限定されない。
【0103】
加齢性サルコペニアは、腕、脚などを形成する骨格筋が大きく減少し、加齢および運動不足による筋肉細胞の減少が原因である、筋疾患をいう。サルコペニアは、筋肉を意味する「サルコ」と欠如または減少を意味するペニアの複合語である。2017年初頭、世界保健機構(WHO)は、公式な疾患として、正常より筋肉量が少ない状態として認定し、加齢性サルコペニアに疾患分類コードを割り当てた。
【0104】
筋萎縮は、筋肉が縮小し、腕および脚の筋肉がほとんど対称性に徐々に縮小する疾患である。種々の形態の筋萎縮がある。筋萎縮性側索硬化症および進行性脊髄性筋萎縮症は最も一般的である。何れの疾患も、運動神経繊維および脊髄の細胞の進行性変性によるが、その原因は不明である。具体的に、筋萎縮性側索硬化症は「ルー・ゲーリック病」とも称され、脊髄または間脳の運動細胞が徐々に破壊され、これら細胞の制御下にある筋肉が縮小し、それにより強さを発揮することが不可能となる、疾患である。進行性脊髄性筋萎縮症において、錐体路の変性は示されず、脊髄前角細胞の変性は慢性に進行する。
【0105】
筋肉退行性萎縮は、徐々に筋萎縮および筋肉弱化が顕在化する疾患であり、病理学的観点で、筋繊維壊死により特徴づけられる、変性性筋障害を意味する。筋肉退行性萎縮において、筋肉細胞膜損傷は、筋肉強度弱化および萎縮が生じるように、筋繊維を壊死および変性過程に向かわせる。筋肉退行性萎縮は弱化筋肉の程度および分布、発症年齢、進行速度、症状重症度および家族歴により下位疾患に分類され得る。このような筋肉退行性萎縮の非限定的例は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、末梢型筋ジストロフィーおよび先天性筋ジストロフィーを含む。
【0106】
心臓萎縮は、外部または内部因子により心臓が縮小する疾患である。飢餓、消耗性疾患または老化の場合、心臓萎縮は、心筋繊維を痩せて薄いものとし、そうして脂肪組織減少をもたらす、心臓の褐色萎縮症状に至り得る。
【0107】
他の態様において、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、筋疾患の予防または処置のための医薬組成物を提供する。ここで、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAは上記のとおりである。
【0108】
ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスおよびそのアナログを含み得るが、これらに限定されない。具体的に、ウイルスは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルスおよびポックスウイルスからなる群から選択される任意の1以上であり得る。より具体的に、ウイルスは、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスであり得るが、これらに限定されない。Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが搭載されたベクターは、当分野で知られるクローニング法により製造でき、その製造はこのような方法に特に限定されない。
【0109】
同時に、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドを搭載したベクターを活性成分として含む、筋疾患を予防または処置するための本発明の医薬組成物の好ましい投与量は個体の状態および体重、疾患重症度、薬物の形態、投与経路および期間により変わり、当業者により適切に選択され得る。具体的に、患者は、1×105~1×1018のウイルス粒子、感染性ウイルス単位(TCID50)またはプラーク形成単位(pfu)を投与され得る。好ましくは、患者は1×105、2×105、5×105、1×106、2×106、5×106、1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017以上のウイルス粒子、感染性ウイルス単位またはプラーク形成単位を投与され得て、個々の数値および範囲はその間に含まれ得る。さらに、ウイルスの投与用量は0.1ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml以上であってよく、その間の全数値および範囲を含み得る。
【0110】
さらに他の態様において、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、カヘキシーの予防または処置のための医薬組成物を提供する。本発明において、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAおよびそのバリアントは上記のとおりである。
【0111】
ここで使用する用語「カヘキシー」は、癌、結核、血友病などの末期に見られ得る、高度な全身衰弱の症状をいう。カヘキシーは、全身の各種臓器障害に起因する一種の中毒状態と考えられる。筋肉弱化、急速な体重減少、貧血、嗜眠および皮膚黄色化を含む症状が起こる。カヘキシーの根底の疾患は悪性腫瘍、バセドウ甲状腺腫、下垂体機能低下症などを含む。マクロファージにより産生される腫瘍壊死因子(TNF)などの生物学的活性物質もカヘキシーを増悪させる因子であることが判明している。
【0112】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む筋疾患またはカヘキシーを予防または処置するための本発明の医薬組成物において、活性成分は、活性成分が活性を発揮し得る限り、用途、製剤配合目的などにより任意の量(有効量)で含まれてよい。典型的有効量は、組成物の総重量に基づき、0.001重量%~20.0重量%の範囲内で決定され得る。ここで、用語「有効量」は、筋疾患またはカヘキシーに治療効果を発揮できる活性成分の量をいう。このような有効量は、当業者の通常の技術の範囲内で経験的に決定され得る。
【0113】
さらに、筋疾患またはカヘキシーを予防または処置するための本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含み得る。薬学的に許容される担体として、担体が患者への送達に適する非毒性物質である限り、あらゆる担体が使用され得る。蒸留水、アルコール、脂肪、蝋および不活性固体が担体として含まれ得る。薬理学的に許容されるアジュバント(緩衝液または分散剤)も医薬組成物に含まれ得る。
【0114】
具体的に、本発明の医薬組成物は、医薬組成物が当分野で知られる慣用の方法により投与経路に応じて非経腸製剤に製剤され得るように、活性成分に加えて薬学的に許容される担体を含む。ここで、用語「薬学的に許容される」は、担体が活性成分の活性を抑制することなく、適用(処方)される対象が順応可能であるよりも強い毒性を有しないことを意味する。
【0115】
筋疾患またはカヘキシーを予防または処置するための本発明の医薬組成物が非経腸製剤に製剤されるとき、医薬組成物を、当分野で知られる方法により、適当な担体と共に、注射剤の形態、経皮投与剤、経鼻吸入剤および坐剤として製剤される。注射剤に製剤されるとき、適当な担体として、滅菌水、エタノール、グリセロールおよびプロピレングリコールなどのポリオールまたはこれらの混合物が使用され得る。具体的に、リンゲル液、トリエタノールアミンまたは注射用滅菌水含有リン酸緩衝化食塩水(PBS)、5%デキストロースなどの等張溶液などが使用され得る。
【0116】
筋疾患またはカヘキシーを予防または処置するための本発明の医薬組成物の投与量は、患者の状態、体重、性別または年齢、患者の重症度または投与経路により、1日あたり0.01μg/kg~10g/kgの範囲、特に、1日あたり0.01mg/kg~1g/kgの範囲であり得る。投与は1日1回または数回実施し得る。このような投与量は、決して本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。
【0117】
さらに、本発明は、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、カヘキシーの予防または処置のための医薬組成物を提供する。ここで、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAは上記のとおりである。
【0118】
上記のとおり、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスおよびそのアナログを含み得るが、これらに限定されない。具体的に、ウイルスは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルスおよびポックスウイルスからなる群から選択される任意の1以上であり得る。より具体的に、ウイルスは、アデノウイルスであり得るが、これらに限定されない。Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが負荷されたベクターは、当分野で知られるクローニング法により製造でき、その製造はこのような方法に特に限定されない。
【0119】
同時に、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドを搭載したベクターを活性成分として含む、カヘキシーを予防または処置するための本発明の医薬組成物の好ましい投与量は個体の状態および体重、疾患重症度、薬物の形態、投与経路および期間により変わり、当業者により適切に選択され得る。具体的に、患者は、1×105~1×1018のウイルス粒子、感染性ウイルス単位(TCID50)またはプラーク形成単位(pfu)を投与され得る。好ましくは、患者は1×105、2×105、5×105、1×106、2×106、5×106、1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017以上のウイルス粒子、感染性ウイルス単位またはプラーク形成単位を投与され得て、個々の数値および範囲はその間に含まれ得る。さらに、ウイルスの投与用量は0.1ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml以上であり得て、その用量に全数値および範囲を含み得る。
【0120】
さらに、本発明は、対象に筋疾患を予防または処置するための本発明の医薬組成物を投与する過程を含む、筋疾患を予防または処置する方法を提供する。
【0121】
さらに、本発明は、対象にカヘキシーを予防または処置するための本発明の医薬組成物を投与する過程を含む、カヘキシーを予防または処置する方法を提供する。
【0122】
対象は哺乳動物、特に、ヒトであり得るが、それらに限定されない。さらに、投与は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、鼻腔内、肺内、直腸内、動脈内、脳室内、病巣内、髄腔内、局所およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、ある任意の経路により実施され得る。投与方式は、投与する薬物のタイプにより変わり得る。
【0123】
さらに、本発明は、筋疾患の予防または処置のための医薬の製造におけるDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用を提供し、そして筋疾患を予防または処置するための医薬の製造のための、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用を提供する。
【0124】
さらに、本発明は、カヘキシーの予防または処置のための医薬の製造におけるDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用を提供し、そしてカヘキシーを予防または処置するための医薬の製造のための、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用を提供する。
【実施例0125】
以下、本発明を下記実施例を参照してさらに詳細に説明する。しかしながら、下記実施例は本発明を説明するためのみに提供し、本発明の範囲はそれに限定されない。
【0126】
実施例1. サンプル調製
Seoul National University Bundang Hospital(SNUBH)で全人工股関節置換術(関節形成術)(THRA)を受けた患者からのヒト骨格筋(大殿筋筋肉)を直ぐに液体窒素に移し、-70℃で除増した。SNUBH’s Institutional Review Board(B-1710-050-009)は本実験を承認した。同意書を参加者または法定後見人から得て、計20患者サンプル(25歳、27歳、32歳、33歳(2患者サンプル)、41歳、46歳(2患者サンプル)、50歳(2患者サンプル)、51歳、55歳、66歳、67歳、70歳、71歳、75歳、79歳(2患者サンプル)および80歳)をmiRNAまたはAtrogin-1タンパク質の発現評価に使用した。
全20サンプルをmiRNA発現アッセイに使用した。しかしながら、溶解度による制限のため、8サンプルのみ免疫ブロッティングに利用可能であった。30μg以下のヒトサンプルからRNAおよびタンパク質を単離し、精製した。MiRNA発現を分析するために、TRIzol(Invitrogen)を使用してRNAをさらに精製した。免疫ブロットアッセイのために、筋肉組織をT 10 Basic Ultra-Turrax Disperser(IKA, China)を使用して均質化し、次いでPRO-PREP(iNtRON Biotech)を使用して溶解した。
【0127】
実施例2. 動物モデル
若齢C57BL/6マウス(3か月齢)および高齢C57BL/6マウス(24か月齢)を、Laboratory Animal Resource Center(Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology (KRIBB)の)から購入した。BALB/c(6週齢)マウスをDamul Science(Daejeon, Korea)から購入した。この試験の全マウスは、Damul Science(Daejeon, Korea)から購入した給餌機を使用して標準実験餌(3.1kcal/g)で飼育した。筋肉組織でmiRNA模倣体を過発現させるため、50μl(108CFU)のアデノウイルス、AdmiRa-376c-3pまたは対照(Applied Biological Materials Inc, Canada)を、若齢マウスおよび高齢マウスのTA筋肉またはその対側筋肉にそれぞれ注射した。
注射を週1回29G(0.33mm)インスリンシリンジを使用して実施した。注射4週間後、筋肉組織をアデノウイルス注射マウスから単離し、分析に使用した。カヘキシーマウスモデルを作るため、BABL/cマウスに、インスリンシリンジを使用してC26細胞(PBS50μl中5×105細胞)を皮下注射した。腫瘍接種後7日目および10日目、50μl(108CFU)を腫瘍担持マウスのTA筋肉またはその対側筋肉に筋肉内注射した。
結腸26細胞(CLS Cell Lines Service)を、アンホテリシンB-ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10%FBSを含むRPMI1640(Gibco)で培養した。マウスおよびウイルス実験は、KRIBB's Animal Care and Use Committeeにより承認されたプロトコールに従い実施した。
【0128】
実施例3. 細胞培養
初代筋芽細胞を、実施例2のマウスの後脚筋肉から単離した。筋肉組織をはさみで細かく薄片とし、次いでディスパーゼII(2.4U/mL、Roche)、コラゲナーゼD(1%、Roche)および2.5μM CaCl2を含む分離緩衝液に入れ、その後37℃で20分間インキュベートした。スラリーをセロロジカル・ピペットを使用して摩砕し、70μmナイロンメッシュ(BD Biosciences)を通して、デブリを除去した。
細胞を採取し、アンホテリシンB-ペニシリン-ストレプトマイシンおよび5ng/mLのbFGFを含む20%FBSを加えたHamのF-10(Gibco)で培養した。線維芽細胞を除くために、細胞を非被覆プレートに1時間塗布し、固定化細胞をコラーゲン被覆培養皿に移した。初代筋繊維の分化を、細胞を抗生物質および5%ウマ血清を含むDMEM(Gibco)分化培地で培養することにより誘導した。C2C12細胞(ATCC)をアンホテリシンB-ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10%FBSを含むDMEM(Gibco)で培養した。細胞塗布24時間または48時間後に分化が開始されるよう、培地を分化培地で置換した。
デキサメサゾン誘発萎縮について、C2C12細胞を最初に4日間分化させ、次いで100μM デキサメサゾン(Sigma-Aldrich)を培地に加えた。ヒト骨格筋肉(Lonza)を17歳ドナーから得て、ゲンタマイシン-アンホテリシンB、ヒト上皮細胞増殖因子(hEGF)、デキサメサゾン、L-グルタミンおよび10%FBSを含む骨格筋肉基底培地2(Lonza)で培養した。24~48時間後、分化が始まり、ゲンタマイシン-アンホテリシンBおよび2%ウマ血清を含むDMEM/F12(Gibco)で培養した。
結腸26(C26)条件培地について、結腸26を10%ウシ胎児血清含有DMEM(Gibco)からなる培地で培養した。72時間後、上清を集め、0.22ミクロンフィルターで濾過した。C26培養培地処理は、分化培地(2%ウマ血清含有DMEM)で50%であった。
【0129】
実施例4. トランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイ
miRNAの模倣体および阻害剤をmirVana(Invitrogen)またはAccuTargetTM(Bioneer)から購入した(下記表1および2参照)。siRNAの情報を下記表3にさらに加える。初代筋芽細胞、C2C12またはヒト骨格筋肉筋芽細胞を、RNAiMAX(Invitrogen)を使用してmiRNAおよびsiRNAの模倣体および阻害剤(各50nM~100nM)でトランスフェクトした。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
ルシフェラーゼアッセイについて、Atrogin-1 mRNAの完全長5598nt 3’UTRまたはヒトとマウス間で保存されたmiR-376c-3pの結合部位のみを含むその2840nt 3’UTRフラグメントをpmirGLO(Promega)にクローン化した。ベクターluc2(ルシフェラーゼ遺伝子)のコーディング配列が複数クローニング部位に存在し、ベクターhRluc-neoコーディング配列のコーディング配列は内部対照として存在した。miR-376c-3p結合部分(3781~3787に位置)が欠失したAtrogin-1 3’UTR変異体もルシフェラーゼアッセイのためにpmirGLOベクターにクローン化した。
293T細胞をLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用して50nMのmiRNA模倣体およびルシフェラーゼプラスミド(200mg)でトランスフェクトした。形質導入48時間後、細胞ライセートをDual-Luciferase Reporter Assay System(Promega)およびVictor X3(Perkin Elmer)を使用するアッセイに付した。
【0134】
実施例5. 定量的RT-PCRおよびmiRNA発現アッセイ
RNA単離およびcDNA合成を標準プロトコールにより実施した。定量的RT-PCR分析を、cDNA、プライマーおよびSYBR Master Mix(Applied Biosystems)を含む20μlの総反応量でStepOnePlusTM(Applied Biosystems)を使用して実施した。プライマー配列を下表4に示す。
【0135】
【0136】
データを、各反応においてACTBまたはGAPDHのmRNA発現レベルを使用して標準化した。成熟マイクロRNAの発現アッセイについて、TaqMan MicroRNAアッセイを製造業者のプロトコールに従い実施した(Applied Biosystems)。RT-qPCR反応をTaqMan Universal PCR Master Mix II(ウラシル-Nグリコシラーゼ不含)およびTaqMan Small RNA Assay mixを含む96ウェルプレートで実施した。使用したRNA特異的プライマーおよび小RNA特異的TaqMan MGBプローブの配列を表5に示す。U6 snRNAを正規化のために使用した。
【0137】
【0138】
実施例6. アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)プルダウン分析
miRNA-mRNA相互作用分析のために、マイクロRNAと結合した標的mRNAをハイブリダイゼーションに基づく方法を使用して精製した。C2C12細胞を野生型または欠失変異miR-376c-3p結合部位を含むAtrogin-1 3’UTRを有するルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトした。細胞ライセート(1mg)を4℃で3時間インキュベートし、次いで、Atrogin-1-3’UTRまたはルシフェラーゼ2 mRNAと特異的にハイブリダイズするように設計されている2μgのビオチン付加ASO(表6参照)とインキュベートした。
【0139】
【0140】
ストレプトアビジン-アガロースビーズ(Novagene)を合わせた混合物に加え、次いで4℃で2時間さらにインキュベートした。ビーズを1mlのNT2緩衝液(50mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl、1mM MgCl2および0.05%NP-40)で3回洗浄し、次いで複合体を20単位のRNaseフリーDNase(15分、37℃)および0.1%SDS/0.5mg/mlプロテイナーゼK(15分間、55℃)で処理して、それぞれDNAおよびタンパク質を除去した。cDNAを酸フェノール抽出およびqScript microRNA cDNA合成キット(Quanta Biosciences)を使用してmiRNAから合成し、またはRNAをMaxima逆転写酵素を使用してランダム六量体を用いて合成して、RNAをASOプルダウンにより得た物質から単離した。cDNAをBio-Rad iCyclerを使用してSYBR(Kapa Biosystems)を用いるqPCR分析により発現を評価した。ASOプルダウン結果の標準化のために、各サンプルのU6 snRNAまたはGAPDH mRNAの相対的レベルを定量した。
【0141】
実施例7. 免疫ブロットアッセイ
筋肉組織および単離筋肉細胞を、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む溶解緩衝液(50mM Tris-Cl、pH7.4、150mM NaCl、0.5%Triton X-100、1mM EDTA、1mM MgCl2)で均質化した。ライセートを15,000×gで20分間、4℃で遠心分離し、得られた上清をSDS-PAGEと続く免疫ブロットアッセイに付した。免疫ブロッティングに使用した抗体は、ACTB(β-アクチン、Abcam)、ACTN1(Santa Cruz Biotechnology)、AKT(Santa Cruz Biotechnology)、mTOR(Cell Signaling Technology)、S6K(Cell Signaling Technology)、4EBP(Cell Signaling Technology)、FOXO3a(Cell Signaling Technology)、MuRF1(Santa Cruz Biotechnology)、Atrogin-1(Thermo scientific, ECM)およびeIF3f(Novus)であった。GAPDHについて、社内開発抗体を使用した。ACTB、ACTN1またはGAPDHを正規化のために使用した。
【0142】
実施例8. 細胞推計学分析
免疫染色のために、分化C2C12筋管細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.3%Triton X-100とインキュベートして、透過性を改善した。固定サンプルを3%FBS含有PBSで遮断し、抗MyHC(Santa Cruz Biotechnology)で処理し、PBSで洗浄し、AlexaFluor 488(Invitrogen)二次抗体と反応させた。エオシン染色のために、分化C2C12筋管細胞を冷メタノールに15分間、-20℃で固定し、エオシンY(Thermo Scientific)で15分間染色した。
サンプルを蒸留水で3回洗浄し、その画像をNikon Eclipse Ti-U顕微鏡を使用して分析した。筋管細胞直径の分析のために、4画像を無作為に選択した。選択画像の筋管細胞直径を、顕微鏡イメージングソフトウェア(NIS-Elements Basic Research, Nikon)を使用して計算した。ゲノムDNAを特異的ゲノムDNAキット(NANOHELIX)を使用して単離し、細胞ライセートのタンパク質濃度をBCAタンパク質分析試薬(Pierce)により分析して、タンパク質対ゲノムDNA比を測定した。
免疫組織化学的分析のために、マウスTA筋肉組織を4%パラホルムアルデヒドで固定し、15%~30%スクロースを浸透させた。厚さ10μmの凍結マウス筋肉切片をクライオスタット(Leica)を使用して製造し、標準プロトコールに従いDAPIおよび抗体で染色した。サンプルを、0.05%Tween-20を含むPBS中3%FBSで遮断し、抗ラミニン(Sigma-Aldrich)で処理し、PBSで洗浄し、AlexaFluor 546(Invitrogen)二次抗体と反応させた。断面積測定のため、6画像を無作為に選択した。これら画像の断面積を、NIH ImageJソフトウェアを使用して計算した。
【0143】
実施例9. 統計分析
定量的データは、特に断らない限り平均±標準偏差で表した。平均の差異は、スチューデントの独立t検定を使用して評価し、P<0.05を統計的有意として分析した。
【0144】
実験例1. 年齢による筋肉のDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAの発現
ヒト骨格筋肉組織におけるDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAの年齢による発現パターンを試験した。ヒトDlk1-Dio3遺伝子座位は99個の成熟miRNA(54個のpre-miRNA)を含み、そのうち87個がヒトゲノムとマウスゲノム間で保存されている。骨格筋組織サンプル(n=20)を、25~80歳のヒト参加者から得て、Dlk1-Dio3に存在するmiRNAから無作為に選択した18個のpre-miRNAの発現をqRT-PCRにより分析した。結果を
図1a~1dおよび
図2に示す。
図1a~1dおよび
図2に示されるとおり、10個のpre-miRNAは年齢と共に顕著な発現減少を示し(P<0.05)、残りの8個のpre-miRNAは年齢と共に発現が減少する傾向があった。マウスおよびヒト筋肉におけるDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAの年齢による一貫した発現パターン減少は、これらの分子の筋肉加齢における重要な役割を示唆する。
【0145】
実験例2. 筋管細胞直径に対するDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAの効果の確認
Dlk1-Dio3遺伝子座位に位置するmiRNAでマウスおよびヒトで配列が保存されているmiRNAが、加齢した筋肉の主表現型の一つであった筋萎縮に関与するかを試験するために、miRNA模倣体を、筋管細胞に完全に分化したC2C12細胞で過発現させ、筋管細胞直径に対するその効果を評価した。上記実験の操作は
図3aに示し、上記実験の結果は
図3bおよび3cに示す。
図3bおよび3cに示すとおり、試験した42個のpre-miRNAのうち36が対照より顕著に大きい直径を誘発した。この結果から、Dlk1-Dio3クラスターに存在するmiRNAが年齢による骨格筋萎縮に寄与する可能性が確認され、miRNAの投与が骨格筋肉サイズを増加させることを観察することができる。
【0146】
実験例3. Atrogin-1タンパク質発現を制御するDlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNA
TargetScan algorithm(www.targetscan.org)を使用して、模倣体トランスフェクト筋管細胞で見られる抗萎縮性表現型に介在するmiRNAの標的を同定した。結果を
図4a~4nに示す。
23個のpre-miRNA由来の38成熟miRNAは、筋肉特異的E3リガーゼをコードするAtrogin-1の3’UTRを標的とすると予測された(
図4a、表7)。ここで、下表7の
*は、ヒトAtrogin-1 3’UTRにおける保存された位置を意味する。
【表9】
【0147】
ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用して、これらmiRNAが実際Atrogin-1 3’UTRを標的とするか否かを確認した。その結果、23個のpre-miRNA中14が半分以下までレポーター活性を顕著に低下させ(
図4b)、Dlk1-Dio3クラスターの少なくとも14個のpre-miRNAがAtrogin-1 3’UTRに直接結語うできることを示す。Pre-miRNAでトランスフェクトしたC2C12筋肉細胞で、Atorgin-1タンパク質の発現は特異的に減少したが、AKT、mTOR、S6K、4EBP、FOXO3aおよびMuRF1などの筋肉ホメオスタシスに関与する主タンパク質は変わらなかった。
6個のmiRNA(miR-381、654、127、1193、369および370)は、対照と比較してレポーター活性が33%~50%減少し、3個のmiRNA(miR-433、376bおよび493)はAtrogin-1発現に影響しなかった(
図4e)。またヒト骨格筋肉筋芽細胞(HSMM)で、保存miRNAはAtrogin-1発現抑制をもたらし、一方他の主タンパク質に影響はなかった(
図4fおよび4g)。さらに、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAが加齢した筋肉組織で顕著な発現減少を示すとの事実から推測できるとおり、Atrogin-1タンパク質発現がマウスおよびヒト両者で若齢の筋肉組織と比較して、年齢と共に増加することを観察することができる(
図4h~4k)。
しかしながら、Atrogin-1発現遺伝子に差はなく、年齢によるAtrogin-1タンパク質発現増加が、該クラスター内のmiRNAが介在する転写後制御によるものであることを示す(
図4lおよび4m)。これらの結果は、Dlk1-Dio3クラスターにおけるmiRNAの特定の群(
図4n)がAtrogin-1タンパク質の発現を制御し、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAの年齢による発現減少がAtrogin-1発現を増加させ、故にサルコペニアをもたらすことを示す。
【0148】
実験例4. 加齢性サルコペニアに対する筋肉の過発現miR-376c-3pの効果の確認
24か月齢の高齢マウスの筋肉組織は、3か月齢の若齢マウスの筋肉組織と比較して、筋肉量の顕著な減少および小断面領域の表現型を示した(
図5a~5c)。Dlk1-Dio3クラスターにおけるmiRNAの治療能力のインビボ試験を実施するため、筋管の直径を大きくした最も有効なmiRNAを選択した。筋管直径を大きく増加させた上位5つのmiRNA(
図3c)のうち、miR-376c-3pの発現は加齢したTA筋肉で最も確実に減少した。それ故に、このmiRNAを最後に選択した(
図6)。miR-376c-3pとAtrogin-1 3’UTRの特異的相互作用をさらに試験するために、レポーターアッセイをルシフェラーゼAtrogin-1 3’UTR構築物およびmiR-376c-3p模倣体を使用して実施した。miR-376c-3p模倣体(miR-376c-3p)はルシフェラーゼ活性を減少させ、このような活性減少は、3’UTRのmiR-376c-3p結合部位を除いた場合消失した(
図7aおよび7b)。
ビオチニル化Atrogin-1 アンチセンスオリゴマー(Bi-ASOs)を使用して実施したプルダウン実験は、miR-376c-3pと内因性に存在するAtrogin-1 3’UTRの直接結合を示した(
図7cおよび8)。
具体的に、C2C12細胞を野生型または欠失変異miR-376c-3p結合部位を含むAtrogin-1 3’UTRを有するルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトした。トランスフェクション48時間後、ルシフェラーゼ2 mRNAを、RT-qPCR分析でストレプトアビジンビーズおよびASO(ビオチンの存在または非存在の分析に使用する)を使用して抽出し、ルシフェラーゼ2 mRNA富化を検出した。
miR-376c-3pトランスフェクションは、初代筋芽細胞、C2C12細胞およびHSMM全てでAtrogin-1発現を減少させた。逆に、阻害剤(I)-mR-376c-3pはAtrogin-1発現を増加させた(
図9a~9c)。miR-376c-3pでトランスフェクトした筋管は、繊維厚減少も示し(
図10a~10c)、miR-376c-3pでトランスフェクトしたHSMMは総細胞内タンパク質含量の有意な増加を示した(
図10d)。
最後に、miR-376c-3pが高齢マウスの筋肉減少を改善するか否かを確認するため、miR-376c-3p(AdmiRa-376c-3p)または対照アデノウイルス(AdmiRa-Ctrl)を23か月齢マウスのTA筋肉に1か月投与し、免疫組織化学的分析により断面を試験した(
図10e、11aおよび11b)。ここで、各実験群のマウスとして6マウスを使用した。miR-376c-3p過発現TA筋肉は、対照より顕著に大きな筋繊維を示した(
図12a~12c)。AdmiRa-376c-3pで感染させた筋肉は、Atrogin-1 E3リガーゼの標的として知られるeIF3fの発現レベル増加を示し、Atrogin-1発現減少と対照的であった(
図12dおよび12e)。さらに、筋肉疲労改善の結果が得られ、これは、加齢した筋肉の機能さえも改善する可能性を示した(
図12fおよび12g)。これらの結果は、miR-376c-3pが筋肉加齢に打ち勝つ有効な標的であり得ることを示す。
【0149】
実験例5. グルココルチコイドが原因の筋萎縮およびカヘキシーに対するmiR-376c-3pの効果の確認
Atrogin-1は、インビボでだけでなく、インビボでグルココルチコイドが存在するまたは癌を発症している筋肉でも萎縮をもたらす。それ故に、miR-376c-3pがグルココルチコイドが原因の筋萎縮を改善できることを確認した。結果を
図13a~13eおよび
図14a~14cに示す。
図13a~13eおよび14a~14cに示すとおり、miR-376c-3pは、デキサメサゾンにより誘発される筋管の筋萎縮を阻止し、故に、筋萎縮がデキサメサゾンが原因である場合に、筋管はデキサメサゾンがない対照と類似する直径を示すようになる(
図13a~13c)。miR-376c-3pはデキサメサゾン処理により増加していたAtrogin-1発現も対照レベルまで低下させる(
図13d)。さらに、miR-376c-3pは、デキサメサゾン処理により減少していた筋肉内タンパク質を正常に戻す(
図13e)。siRNAを使用するAtrogin-1のノックダウン実験は、筋肉の形態学的悪化をデキサメサゾンで処理した筋管のAtrogin-1タンパク質発現を抑制することにより阻止する(
図13a~13eおよび
図14a~14c)。
さらに、miR-376c-3pが腫瘍誘発筋萎縮を改善するか否かについて試験を実施した。Atrogin-1は急性筋萎縮の重要なマーカーであり、カヘキシーが発症する場合に過発現することが報告されている。C2Cl2筋管を、結腸癌細胞株C26を培養した培地で処理した。その結果、筋管が顕著に薄くなることを確認できた。miR-376c-3pを使用するトランスフェクションは、C26の培養培地により誘発された筋管筋萎縮を、対照の筋管と類似の程度まで回復させることが確認された(
図15a~15c)。これらの条件下、Atrogin-1発現は減少し、対照的に、Atrogin-1の標的として知られるeIF3fの発現が増加した。それ故に、miR-376c-3pがインビトロで筋萎縮を軽減することができることが確認された(
図15d)。
さらに、C26腫瘍誘発カヘキシーマウスモデルにおけるmiR-376c-3pの治療能力を確認するために、AdmiRa-対照またはAdmiRa-376c-3pをTA筋肉にマウスにC26腫瘍を接種7日目および10日目に注射し、筋肉の状態を観察した(
図15e)。腫瘍担持マウスの体重は非腫瘍マウスよりわずかに軽かったが、筋肉量は有意に少なかったことが確認された(
図16aおよび16b)。AdmiRa-376c-3p感染TA筋肉は13%減少を示し、一方AdmiRa-対照感染対側TA筋肉は21%減少を示すことが観察された(
図17a)。AdmiRa-376c-3p感染TA筋肉は、断面領域の8.5%増加を伴った(
図17bおよび17c)。実験結果は、miR-376c-3p過発現が腫瘍誘発カヘキシーで見られる筋萎縮を効果的に抑制できることを示す。
【0150】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントを活性成分として含む、筋疾患を予防または処置するための医薬組成物であって、ここで、miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、医薬組成物。
miRNAがAtrogin-1/MAFbxタンパク質をコードするポリヌクレオチドの3’非翻訳領域(3’-UTR)と直接相互作用し、Atrogin-1/MAFbx発現を抑制する、請求項1に記載の医薬組成物。
Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターを活性成分として含む、筋疾患を予防または処置するための医薬組成物であって、ここで、miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、医薬組成物。
筋疾患の予防または処置のための医薬の製造における、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントの使用であって、ここで、miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、使用。
筋疾患の予防または処置のための医薬の製造における、Dlk1-Dio3クラスターに位置するmiRNAまたはそのバリアントをコードするヌクレオチドが挿入されたベクターの使用であって、ここで、miRNAがmiRNA-668、miRNA-376c、miRNA-494、miRNA-541、miRNA-377、miRNA-1197、miRNA-495、miRNA-300、miRNA-409、miRNA-544a、miRNA-379、miRNA-543およびmiRNA-337からなる群から選択される何れかである、使用。