(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160639
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】居室管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20221012BHJP
【FI】
G06Q50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127337
(22)【出願日】2022-08-09
(62)【分割の表示】P 2020036215の分割
【原出願日】2020-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】594093057
【氏名又は名称】株式会社サトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】玉垣 修一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】居室内の利用者の在室・不在を判別できる居室管理システムを提供する。
【解決手段】居室管理システムにおいて、制御ユニット11は、居室の出入口を開閉する開閉扉の動きを検知するドアセンサ12と、居室内における利用者の存在若しくは不在状態を検知する人感センサ13~15と、時間を計測するタイマ21と、ドアセンサ12、人感センサ13~15及びタイマ21に接続された処理部16と、処理部16が判別した情報を居室固有の識別情報に紐づけて居室外へ送信する送信部20と、から構成されている。処理部16は、ドアセンサ12より開閉扉の動きの検知信号を受信したときから、タイマ21で計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、人感センサ13~15から利用者の存在若しくは不在状態の検知信号の有無に基づき得られる利用者の不在に関する情報を、送信部20を介して居室外に送信させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿泊施設の居室管理システムであって、
前記宿泊施設の各居室に少なくとも一つずつ設けられる複数の制御ユニットと、
前記宿泊施設の各階に少なくとも一つずつ設けられる複数の受信部と、を備え、
前記制御ユニットは、設けられた居室の在室・不在に関する情報を少なくとも含む居室情報を前記受信部に無線送信可能な送信部を有し、
前記受信部は、設けられた階と同一階の各居室に設けられた前記制御ユニットから受信した当該階に含まれる各居室の前記居室情報を表示する表示部を有する、居室管理システム。
【請求項2】
前記送信部は、他の前記送信部を介した多重送受信方式により各居室の前記居室情報を前記受信部に無線送信可能である、請求項1に記載の居室管理システム。
【請求項3】
居室の出入口を開閉する開閉扉の動きを検知する第1の検知手段と、
前記居室内における利用者の存在若しくは不在状態を検知する第2の検知手段と、
時間を計測するタイマと、前記各検知手段及び前記タイマに接続された処理部と、を更に備え、
前記処理部は、前記第1の検知手段による前記開閉扉の動きの検知信号を受信したときから、前記タイマで計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、前記第2の検知手段からの利用者の存在若しくは不在状態の検知信号の有無に基づき前記居室における前記居室情報として在室、暫定不在、不在の何れかを判別可能であり、
前記送信部は、前記処理部が判別した前記居室における在室、暫定不在、不在の何れかを示す前記居室情報を前記受信部に送信可能であり、
前記受信部は、前記処理部が判別した前記居室における在室、暫定不在、不在の何れかを示す前記居室情報の受信に基づいて、前記表示部に表示される当該居室に、在室表示、暫定不在表示、不在表示の何れかを表示させる、請求項1又は2に記載の居室管理システム。
【請求項4】
前記受信部は、前記処理部が判別した前記居室における暫定不在を示す前記居室情報の受信に基づいて、前記表示部に表示される当該居室に、前記暫定不在表示及び前記在室確認時間の残り時間を表示させる、請求項3に記載の居室管理システム。
【請求項5】
前記送信部から送信される各居室の前記居室情報を無線受信可能な携帯型受信部を更に備え、
前記携帯型受信部は、少なくとも該携帯型受信部が位置する階に含まれる各居室の前記居室情報を表示可能な表示部を有する、請求項1~4の何れかに記載の居室管理システム。
【請求項6】
前記携帯型受信部を複数備える、請求項5に記載の居室管理システム。
【請求項7】
前記表示部は、該表示部を有する受信部が位置する階の間取り図を表示しつつ該間取り図上の各居室に対応する前記居室情報を表示する、請求項1~6の何れかに記載の居室管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室を利用する利用者の在室状態若しくは不在状態を確認できる、居室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
居室を一定期間利用者に貸し出す宿泊業界や居室のレンタル業界において、利用者の不在時に居室を管理する管理者が一時的に入室する機会が求められている。例えば、ホテルや旅館等の宿泊施設においては、ベッドメイキングや居室内の清掃を行うリネン担当者が、利用者の不在時に居室内に入室しベッドメイキングや清掃等、室内の管理業務を行っている。
【0003】
従来、居室の清掃指示をリネン担当者に報知する手段として、特許文献1に示される居室管理システムが知られている。この居室管理システムは、フロント用制御器及び、このフロント用制御器と通信可能なリネン用制御器を備え、フロントにてチェックアウトが確認されるとフロント用制御器からリネン用制御器に向けて清掃指示が発せられ、リネン担当者に清掃を必要とする居室を認識させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5-92860号(第2頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、利用者が連泊する居室においても利用者が居室を一時的に不在にする不在時にリネン担当者が入室し、清掃等の居室管理業務を定期的に行うのが一般的である。しかしながら、引用文献1の居室管理システムは、フロントにてチェックアウトがあった居室に対して清掃指示をリネン担当者へ送信できるものの、利用者が連泊している居室においては、リネン担当者等の居室管理者が、当該居室の利用者の在室状態もしくは一時的な不在状態を居室の外からでは判断できず、インターフォンを鳴らしたり居室のドアをノックしたりして利用者が在室状態か不在状態かを確認する必要があった。このことから、利用者が取り込み中で反応できないことや、ベランダ・浴室等に移動しておりインターフォンやノックに気付かないことがあり、リネン担当者等の居室管理者が不在と判断して居室内に入室し利用者に相対してしまい不快感を与える虞があることから、居室内の利用者が在室状態か不在状態かを判別できる方法が望まれていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、居室内の利用者の在室・不在を判別できる居室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の居室管理システムは、
居室の出入口を開閉する開閉扉の動きを検知する第1の検知手段と、
前記居室内における利用者の存在若しくは不在状態を検知する第2の検知手段と、
時間を計測するタイマと、前記各検知手段及び前記タイマに接続された処理部と、
前記処理部が判別した情報を前記居室固有の識別情報に紐づけて前記居室外へ送信する送信部と、から構成されており、
前記処理部は、前記第1の検知手段より前記開閉扉の動きの検知信号を受信したときから、前記タイマで計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、前記第2の検知手段から利用者の存在若しくは不在状態の検知信号の有無に基づき得られる利用者の不在に関する情報を、前記送信部を介して居室外に送信させることを特徴としている。
この特徴によると、処理部が、入室時の開閉扉の動きを検知した第1の検知手段の検知信号に基づき、タイマで計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、第2の検知手段から利用者の存在若しくは不在状態の検知信号の有無に基づき得られる利用者の不在に関する情報を、送信部を介して居室外に送信するので、居室管理者が居室外から不在に関する情報を確認した後、居室管理業務を行うことができる。
【0008】
前記処理部は、前記第1の検知手段より前記開閉扉の動きの検知信号を受信したときから、前記タイマで計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、前記第2の検知手段から利用者の不在状態の検知信号を継続して受信した場合、前記タイマで計時された所定長さの在室確認時間の経過後、前記利用者の不在に関する情報として、利用者の不在の可能性が高いと判別した情報を、直ちに前記送信部を介して居室外に送信させることを特徴としている。
この特徴によると、居室管理者が在室確認時間の経過後、利用者の不在の可能性が高いと判別し、この情報を直ちに居室外から確認できるので、スムーズに居室管理者が居室管理業務を行うことができる。
【0009】
前記処理部は、前記第1の検知手段より前記開閉扉の動きの検知信号を受信したときから、前記タイマで計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、前記第2の検知手段から利用者の存在状態の検知信号を受信した時点で、前記利用者の不在に関する情報として、利用者の在室の可能性が高いと判別した情報を、直ちに前記送信部を介して居室外に送信させ、前記在室確認時間をリセットさせることを特徴としている。
この特徴によると、処理部が第2の検知手段から利用者の存在状態の検知情報を受信した時点で、在室の可能性が高いと判別し、この情報を直ちに居室外へ送信させるので、居室管理者が居室の状況を迅速に察知できる。
【0010】
前記処理部は、前記第1の検知手段より前記開閉扉の動きの検知信号を受信した時点で、前記利用者の不在に関する情報として、利用者の不在の可能性があると判別した情報を直ちに前記送信部を介して居室外に送信させることを特徴としている。
この特徴によると、処理部が第1の検知手段より開閉扉の動きの検知信号を受信した時点で、利用者が居室から外出し不在になった可能性があると判定し、この情報を直ちに処理部が居室外に送信させるので、居室管理者が居室の状況を迅速に察知できる。
【0011】
前記第1の検知手段は、前記開閉扉の動きを検知するとともに、前記出入口を通過する利用者の存在若しくは不在状態を検知する機能を有しており、前記処理部は、前記利用者の不在に関する情報に加えて、前記第1の検知手段が検知した前記出入口を通過する利用者の存在若しくは不在状態に基づき得られる利用者の出入口通過情報を、前記送信部を介して居室外に送信させることを特徴としている。
この特徴によると、第1の検知手段により出入口通過情報を検知でき、処理部が送信部を介して居室外に送信させるので、利用者の不在に関する情報の信憑性を高めることができる。
【0012】
前記居室外に、前記送信部によって送信された前記利用者の不在に関する情報を無線で受信する受信部が配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、配線設備を構築することなく、居室外にて利用者の不在に関する情報を得ることができる。
【0013】
前記受信部は、複数の居室毎に配設された前記送信部から、それぞれの居室固有の識別情報に紐づけて前記利用者の不在に関する情報を受信することを特徴としている。
この特徴によると、管理者は、受信部を用いて複数の居室それぞれの利用者の不在に関する情報を確認できる。
【0014】
前記受信部は、複数の居室毎に配設された前記処理部が判断した前記利用者の不在に関する情報を多重送受信方式により複数の前記送信部を経由して受信することを特徴としている。
この特徴によれば、複数の送信部を経由させて長距離間を送信させることができるので、多数の居室を擁し延べ床面積の広い大規模ホテルや旅館等においても対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例における室内空調システムを示す構成図である。
【
図2】客室のセンサ及び電化製品の配線の状況を示す概略図である。
【
図3】制御ユニットの配線の状況を示す概略図である。
【
図4】利用者が室内から室外に外出した際の客室状態を示すタイミングチャートである。
【
図5】利用者が室外から室内に入室した際の客室状態を示すタイミングチャートである。
【
図6】2人のうち1人の利用者が外出する場合の客室状態を示すタイミングチャートである。
【
図7】受信部が備える表示部における表示態様の一例を示す模式図である。
【
図8】実施例2における高機能センサを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る居室管理システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
図1に示されるように、本発明の実施例として居室管理システム1は、ホテル等の宿泊施設に配設される。実施例における地下1階、地上10階建てからなるホテルは、宿泊の受付やチェックアウトを行う地下1階のフロントF1と、地上1階~10階部分の各階毎に10部屋の客室を備え、地上1階の客室A1~A10,…,10階のJ1~J10の計100室の客室を備えている。また、地上部分の各階には、客室の予備の備品等が収納されベッドメイキングや客室内の清掃を行う居室管理者としてのリネン担当者Kが待機可能なリネン室R1~R10が設置されている。
【0018】
リネン室R1~R10には、各客室に配設された後述する制御ユニット11の送信部20から送信された客室情報を受信するための受信部18aがそれぞれ固定に配設されている。尚、受信部18aもしくは各制御ユニット11の送信部20から客室情報を受信可能なタブレット等の携帯型受信部18bをリネン担当者Kがそれぞれ備えている。すなわちこの携帯型受信部18bは、受信部18aと同じ客室情報を受信し、表示するようになっている。
【0019】
まず、
図2に示されるホテルの客室A1の見取り図を基に、客室内の構成及び居室管理システム1の備える制御ユニット及び検知手段としてのセンサ類について説明する。尚、他の客室A2~A10,…,J1~J10についても、客室A1と略同一の構成であることから、客室A1のみ説明する。
【0020】
図2に示されるように、客室A1は、カードキーにて開錠可能な開閉扉5で開閉される出入口5cより入退室できるようになっている。客室A1内には、ユニットバス2とデスク3とベッド4,4とが配設されており、バス用照明6、ベッド用照明7、デスク用照明8、テレビ9、室内空調機10などの電気機器が、それぞれ電源ケーブルを介し、客室A1内の図示しない分電盤室など適所に配設された制御ユニット11に接続されている。
【0021】
客室A1には、センサが複数配設されている。尚、本実施例においての各センサは客室A1内の天井面に取り付けられ、下方に存在する開閉扉5若しくは利用者を検知するようになっている。より詳しくは客室A1内には、ヒンジ部5bを中心に内開きに回動する開閉扉5の近傍直上に取り付けられ、開閉扉5の開閉を検知可能な第1の検知手段としてのドアセンサ12と、利用者の所在を検知可能な人感機能を備えた第2の検知手段としての複数の人感センサ13,14,15と、が配設されている。ドアセンサ12と人感センサ13~15とは、いずれも赤外線からなる感知軸を鉛直下方に放射し、扉や人などの物体が感知軸を横切ることで検知する赤外線センサである。尚、超音波や可視光、若しくはレーザー光を用いるセンサとしてもよい。
【0022】
人感センサ13は、客室A1内において開閉扉5とベッド4,4との間に形成されている動線上の利用者の所在を検知可能に配設されており、人感センサ14は、ベッド4,4近傍とベッド4,4上の利用者の所在を検知可能に配設されている。また、人感センサ15は、ユニットバス内の利用者の所在を検知可能に配設されることから、防水加工が施されている。よって客室A1内に利用者が存在する場合、これら複数の人感センサ13,14,15のいずれかによって、当該利用者を検知できるようになっている。
【0023】
図3に示されるように、制御ユニット11は、端子a1~a10、端子b1、端子c1、端子d1~d4、スイッチg1~g4、これらのスイッチを切り替える切替部f1~f4を備えるとともに、これら各端子が接続される処理部16を有しており、端子a9,a10に分電盤18からの外部電源ケーブルが接続されている。各スイッチg1~g4は、それぞれ切替部f1~f4を介して接続された処理部16により、端子a2,a4,a6及びa8に接続される配線を電気的に入切可能になっている。また処理部16には、後述するタイマ21と、客室A1の外に信号を発信する送信部20と、室内空調機10の設定を変更可能な空調機コントローラ17とが接続されている。更に、制御ユニット11には、後述する客室A1内の客室情報を示すインジケータe1~e3が配設されている。
【0024】
端子a1~a8には、それぞれ上述した電気機器がケーブルを介して接続されており、詳しくは端子a1,a2にはユニットバス2内に配設されるバス用照明6が接続され、端子a3,a4にはベッド4,4近傍に配設されるベッド用照明7が接続され、端子a5,a6にはユニットバス2内に配設されるデスク用照明8が接続され、端子a7,a8にはテレビ9が接続されている。また、端子b1には室内空調機10が接続されている。処理部16は、切替部f1~f4を操作し、各スイッチg1~g4を切り替えることで接続された電気機器の通電状態,非通電状態を制御できるようになっている。
【0025】
端子c1には、空調機コントローラ17が接続されており、端子d1~d3には、人感センサ13~15が接続され、端子d4にはドアセンサ12が接続されている。処理部16は、端子d1~d4を介して人感センサ13~15、ドアセンサ12と接続されているので、各センサからの検知情報を受信することができるようになっている。
【0026】
次に、
図4に示されるタイミングチャートに沿って、客室A1から利用者が外出し、客室A1が不在状態になった際の居室管理システム1の処理部16が行う制御態様について説明する。後述するように処理部16は、各ドアセンサ12、人感センサ13~15による検知、及びタイマ21による計時に基づき、客室A1に利用者が存在すると想定した在室状態X、暫定的に不在と想定した暫定不在状態Y、または利用者が不在と想定した不在状態Zのいずれかに判断する。なお、
図4では客室A1の利用者は1名のみであるものとする。
【0027】
まず、利用者が客室から退室する場合について説明すると、t0~t1まで在室状態Xすなわち室内が在室の客室A1から、t1時点において当該利用者が退室する、すなわち開閉扉5を一時的に開状態にして室外に出て、開閉扉5を再び閉状態にすることで、ドアセンサ12が開閉扉5の開状態及び閉状態を検出し、開状態及び閉状態の検出信号が処理部16に発信される。詳しくは、
図4に示されるt1において、利用者が客室A1内から開閉扉5を開状態にすることで、該センサの直下方に位置したの上面5aを検知し、開閉扉5を検知した検知信号すなわち開状態の検知信号が処理部16に送信される。また開閉扉5がドアセンサ12の直下方から離れると、開閉扉5の閉状態の検出信号が処理部16に送信される。この開状態及び閉状態の検出信号を受信した処理部16は、客室A1の在室状態Xから暫定不在状態Yに変更するとともに、タイマ21による計時を開始する。更に、処理部16は、暫定不在状態Yと判別した客室情報(利用者の不在の可能性があると判別した情報)を、送信部20を介して受信部18aへ向けて無線送信(以下、単に送信という)する。
【0028】
ここで暫定不在状態Yにおける計時について詳述すると、処理部16は、暫定不在状態Yに変更した時t1からタイマ21で計時された所定の初期時間A(本実施例では3分間)の経過時t2までの間、人感センサ13~15からの検出信号を無視し、初期時間Aの経過時t2から、t1からタイマ21で計時された所定の在室確認時間B(本実施例では15分間)の経過時t3までの時間(本実施例では12分間)に、人感センサ13~15による人の感知の有無を待機する。すなわち処理部16は、t2からt3までの時間に、人感センサ13~15による人の感知が少なくとも1回有る場合は、t3以後を在室状態Xに変更するものであり、同じくt2からt3までの時間に、人感センサ13,14,15による人の感知が全く無い場合は、
図4に示されるように、t3以後を不在状態Zに変更するものである。
【0029】
t3に示されるように、処理部16は、タイマ21の作動後、人感センサ13~15から客室A1内における利用者の不在状態の検知信号を継続して受信し、規定時間を経過した場合、客室A1の利用状態を不在状態Zに変更し、不在状態と判別した客室情報(利用者の不在の可能性が高いと判別した情報)送信部20を介して受信部18aへ送信する。また、処理部16は、客室A1に配設された制御ユニット11の切替部f1~f4を操作し、各スイッチg1~g4を切状態へ切り替えることでバス用照明6、ベッド用照明7、デスク用照明8、テレビ9、室内空調機10の通電状態を解除させるようになっている。
【0030】
次に、
図5に示されるタイミングチャートに沿って、利用者の客室への入室の場合について説明すると、t4~t5において不在状態Zすなわち室内が不在の客室A1に、t5以降において利用者が入室する、すなわち開閉扉5を一時的に開状態にし再び閉状態することで、ドアセンサ12が開閉扉5の開状態及び閉状態を検出し、開状態及び閉状態の検出信号が処理部16に発信される。
【0031】
詳しくは、t5の時点において利用者が客室A1外から開閉扉5を開状態にした際、ドアセンサ12が開閉扉5の上面5aを検知し、処理部16に開状態の検知信号が送信される。処理部16は、ドアセンサ12からの開状態の検知信号であることを認識して、開閉扉5が開状態であると判断する。また、処理部16は、当該客室A1が不在の可能性が高いと判別した客室A1の不在状態Zの状態から、ドアセンサ12から検知信号を受信したことで、客室A1が利用者の在室の可能性が高いと判別し、t5以降、客室A1の利用状態を在室状態Xに変更し、在室状態と判別した客室情報(利用者の在室の可能性が高いと判別した情報)を直ちに送信部20を介して受信部18aへ送信させるようになっている。
【0032】
なお、t6に示されるように、利用者は出入口を通過し開閉扉5が閉状態になる前に客室A1内に入室することとなるので、人感センサ13が利用者の存在を検知し、検知信号を処理部16に送信する。
【0033】
t5以降に示されるように、利用者が客室A1内に入室した後においては、客室内の人感センサ13~15が検知信号を処理部16に送信することで、客室A1が継続して在室状態Xであることを受信部18aに通知する。このように、客室A1の不在状態Zの客室状態から、ドアセンサ12からの検知信号を受信した時点で、直ちに利用者の在室の可能性が高いと判別し、客室A1の客室状態を在室状態Xに変更し、在室状態Xと判別した客室情報を受信部18aへ送信させるので、当該客室情報をリネン担当者Kに迅速に確認させることができるようになっている。
【0034】
次に、
図6に示されるタイミングチャートに沿って、客室A1内に利用者1Hと利用者2Hとが在室しており、客室A1から利用者2Hのみが外出し、客室A1内において就寝中だった利用者1Hが起床した際の居室管理システム1の処理部16が行う制御態様について説明する。
【0035】
まず、
図6に示されるt7からt8の間において、利用者H2が客室A1内から、開閉扉5近傍へ向かう間に、利用者H2の動きを検知して、人感センサ14と人感センサ13とが存在状態の検知信号を処理部16に送信する。処理部16は、人感センサ14と人感センサ13とから存在状態の検知信号を受信したことで、在室状態Xと判別した客室情報(利用者の在室の可能性が高いと判別した情報)を送信部20を介して受信部18aへ送信させ、客室A1が継続して在室状態Xであることを通知する。
【0036】
次に、t8の時点において、利用者H2が客室A1内から開閉扉5を開状態にした際、
図4に示されるようにドアセンサ12が開閉扉5の上面5aを検知し、処理部16に開状態の検知信号を送信する。処理部16は、ドアセンサ12からの開状態の検知信号であることを認識すると直ちに、客室A1の客室状態を暫定不在状態Yに変更し、暫定不在状態と判別した客室情報(利用者の不在の可能性があると判別した情報)を送信部20を介して受信部18aへ送信させる。また、処理部16は、暫定不在状態と判別した客室情報を送信させるとともに、タイマ21を作動させ、t8時点からt9時点までの3分間の初期時間Aと、t8時点からt11時点までの15分間の在室確認時間Bの計測を開始させる。
【0037】
タイマ21の作動後、t11より手前のt10の時点において、例えばt8時点から13分経過したt10時点において利用者1Hがベッド4上から起床し、いずれかの人感センサ13~15から客室A1内における利用者の存在状態の検知信号を受信した場合、処理部16は、タイマ21の在室確認時間をリセットさせかつ、客室状態を直ちに在室状態Xに変更し、在室状態と判別した客室情報(利用者の在室の可能性が高いと判別した情報)送信部20を介して受信部18aへ送信させる。このように、暫定不在状態Yに設定された客室状態においては、人感センサ13~15から利用者の存在状態の検知信号を受信した時点で、客室状態を直ちに在室状態Xに変更し、在室状態と判別した情報を送信部20を介して居室外に送信させ、タイマ21の在室確認時間をリセットさせることから、リネン担当者Kが客室の状況を受信部18aを介して迅速に察知できる。
【0038】
図1に戻り、制御ユニット11に配設された送信部20は、他の客室に配設されている送信部20を介し多重送受信方式による無線で受信部18aへ、在室状態X、暫定不在状態Y若しくは不在状態Zのいずれかの客室情報を送信するようになっている。本実施例では、送信部20から受信部18aへ多重送受信方式による無線で送信されることから、各客室A1~A10毎に配設された複数の送信部20,20,…を経由させて長距離間を送信させることができるようになっており、リネン室R1から遠距離の客室A10においても、近傍の客室A9,A8等の送信部20,20,…を介しながら客室情報を受信部18aに受信させることができるようになっている。
【0039】
地上1階のリネン室R1に配設された受信部18a及び携帯型受信部18bは、同じフロアの全ての客室A1~A10の各送信部20から送信された客室情報を表示させるモニタ等の表示部28を備えている。
図7は、表示部28の一例を示しており、各階毎に配設された制御ユニット11の送信部20から送信された客室情報が表示されるようになっている。表示部28は、受信部18aで受信した各客室A1~A10ごとの客室情報(在室状態X、暫定不在状態Y若しくは不在状態Z)を後述のように表示できるようになっており、例えばリネン担当者が不在状態Zの客室A1~A10に順次入室して、清掃やベッドメイキングを行うようになっている。例えば、受信部18aが、客室A1、A5及びA8の処理部16から不在状態Zと判別した客室情報を受信した場合においては、受信した客室の識別番号と客室状態を認識し、表示部28上の各客室A1、A5及びA8(101号室、105号室及び108号室)に〇印を表示させ、リネン担当者Kに当該客室の清掃やベッドメイキングを行うように注意を促す。また例えば、受信部18aが、客室A3の処理部16から在室状態Xと判別した客室情報を受信した場合においては、受信した客室の識別番号と客室状態を認識し、表示部28上の客室A3(103号室)に×印を表示させ、リネン担当者Kに当該客室内に入室しないよう注意を促す。
【0040】
更に例えば、受信部18aが、客室A4の処理部16から暫定不在状態と判別した客室情報を受信した場合においては、受信した客室の識別番号と客室状態を認識し、表示部28上の客室A4(104号室)に△印を表示させる。客室A4は、開閉扉5の開閉が行われ、不在になった可能性がある客室であり、タイマ21で設定された規定時間経過後、客室が不在状態となる可能性が高いことを表示させる。よって当該客室の△印を確認したリネン担当者Kは、当該客室が間もなく不在状態Zになるであろうと予測することができ、清掃やベッドメイキングの準備を行うことができるようになっている。
図7の客室A4、A7に示されるようにタイマ21の規定時間からの残り時間(例えば「あと9分」、「あと1分」など)を表示させ、規定時間経過後、後述する不在状態と判別した客室情報を受信した際に表示部28に表示させる〇印を表示させることとしてもよい。
【0041】
上述したように、タイマ21の規定時間経過後、受信部18aが、客室A1の処理部16から不在状態と判別した客室情報を受信した場合においては、受信した客室の識別番号と客室状態を認識し、表示部28上の客室A1(101号室)に〇印を表示させる。これにより、リネン担当者Kが利用者の不在の可能性が高い客室を認識することができるので、利用者と相対する可能性が低く、利用者に不快感を与えることなく客室管理業務に従事させることができる。
【0042】
このように、居室の出入口5cを開閉する開閉扉5の動きを検知するドアセンサ12と、居室内における利用者の存在若しくは不在状態を検知する人感センサ13~15と、時間を計測するタイマ21と、ドアセンサ12,人感センサ13~15及びタイマ21に接続された処理部16と、処理部16が判別した情報を居室固有の識別情報に紐づけて前記居室外へ送信する送信部20と、から構成されており、処理部16は、ドアセンサ12より開閉扉5の動きの検知信号を受信したときから、タイマ21で計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、人感センサ13~15から利用者の存在若しくは不在状態の検知信号の有無に基づき得られる利用者の不在に関する情報を、送信部20を介して居室外に送信させることから、処理部16が、入室時の開閉扉5の動きを検知したドアセンサ12の検知信号に基づき、タイマ21で計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、人感センサ13~15から利用者の存在若しくは不在状態の検知信号の有無に基づき得られる利用者の不在に関する情報を、送信部20を介して居室外に送信するので、リネン担当者Kが居室外から不在に関する情報を確認した後、居室管理業務を行うことができる。
【0043】
また、処理部16は、ドアセンサ12より開閉扉5の動きの検知信号を受信したときから、タイマ21で計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、人感センサ13~15から利用者の不在状態の検知信号を継続して受信した場合、タイマ21で計時された所定長さの在室確認時間の経過後、利用者の不在に関する情報として、利用者の不在の可能性が高いと判別した情報(不在状態Z)を、直ちに送信部20を介して居室外に送信させることから、居室管理者が在室確認時間の経過後、利用者の不在の可能性が高いと判別し、この情報を直ちに居室外から確認できるので、スムーズにリネン担当者Kが居室管理業務を行うことができる。
【0044】
また、処理部16は、ドアセンサ12より開閉扉5の動きの検知信号を受信したときから、タイマ21で計時された所定長さの在室確認時間の経過までの間に、人感センサ13~15から利用者の存在状態の検知信号を受信した時点で、利用者の不在に関する情報として、利用者の在室の可能性が高いと判別した情報(在室状態X)を、直ちに送信部20を介して居室外に送信させ、在室確認時間をリセットさせることから、処理部16が人感センサ13~15から利用者の存在状態の検知情報を受信した時点で、在室の可能性が高いと判別し、この情報を直ちに居室外へ送信させるので、リネン担当者Kが居室の状況を迅速に察知できる。
【0045】
また、処理部16は、ドアセンサ12より開閉扉5の動きの検知信号を受信した時点で、利用者の不在に関する情報として、利用者の不在の可能性があると判別した情報(暫定不在状態Y)を直ちに送信部20を介して居室外に送信させることから、処理部16がドアセンサ12より開閉扉5の動きの検知信号を受信した時点で、利用者が居室から外出し不在になった可能性があると判定し、この情報を直ちに処理部16が居室外に送信させるので、リネン担当者Kが居室の状況を迅速に察知できる。
【0046】
また、居室外に、送信部20によって送信された利用者の不在に関する情報を無線で受信する受信部18aが配設されていることから、配線設備を構築することなく、居室外にて利用者の不在に関する情報を得ることができる。
【0047】
また、受信部18aは、複数の居室毎に配設された処理部16が判断した利用者の不在に関する情報を多重送受信方式により複数の送信部20を経由して受信することから、複数の送信部20を経由させて長距離間を送信させることができるので、多数の居室を擁し延べ床面積の広い大規模ホテルや旅館等においても対応できる。
実施例2における客室には、この客室の内部であって開閉扉5のヒンジ部5bを中心とした回動領域の直上の天井面に、客室A1の内部における開閉扉5の動きを検知するとともに、出入口5cを通過する利用者を検出する赤外線式の高機能センサ120が設けられており、この高機能センサ120は、ケーブルを介し制御ユニット11に接続されている。すなわち、高機能センサ120は、客室A1における開閉扉5の開閉を検知する第1の検出手段と、利用者の存在を検知する第2の検知手段とを兼ねている。なお、本実施例2において、特に図示しないが実施例1と同様に第2の検知手段としての人感センサ13~15は設置されているが、これらを省略することもできる。
詳しくは、高機能センサ120は、天井面から鉛直方向下方に向けて配設された発信部120Aから赤外線等のセンサ線を発し、発信部120Aから発したセンサ線を対象物に照射させ、反射したセンサ線を受信部120Bに受信させるようになっている。すなわち多機能センサ120は、センサ線を発信部120Aから発し、直下に存在する対象物にセンサ線が当たることで受信部120Bに向けて反射され受信されるまでにかかる時間、若しくは直下の対象物に当たることで減衰されたセンサ線を受信部120Bが受信するセンサ線の信号強度により、高機能センサ120から一定距離離間した開閉扉5の上面5aと、同様に高機能センサ120から一定距離離間した客室A1の床面と、を判別できるようになっている。尚、発信部120Aから発したセンサ線が、開閉扉5の上面5aよりも受信部120Bに受信されるまでに時間がかかり、かつ、客室A1の床面よりも受信部120Bに受信される時間が早い場合は、開閉扉5の上面5aよりも低身長の利用者Mが出入口5cを通過したとみなすようになっている。若しくは、発信部120Aから発したセンサ線が、硬質な開閉扉5の上面5aや客室A1の床面に反射して減衰するよりも大きく減衰した場合、当該センサ線が人体に当たり反射したとみなし、すなわち利用者Mが出入口5cを通過したとみなすようになっている。
このように、高機能センサ120は、実施例1のドアセンサ12と同様に開閉扉5の開閉を判別できるに加え、開閉扉5の開状態から閉状態になるまでの間に、利用者の通過があったか否かを判別できるようになっており、不在に関する情報に加えて出入口5cを通過した利用人が通過したかもしくは非通過であるか出入口通過情報を処理部16に送信し、処理部16は、不在に関する情報に出入口通過情報を付与して受信部18aに送信するようになっている。
以上、本発明の実施例1、2を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、客室内に人感センサ13,14,15の3つのセンサが配設されている例を示したが、これに限られず、客室内の利用者を検知できれば3つ未満としてもよいし、4つ以上配設させてもよい。
また、前記実施例では、受信部18aが、処理部16から在室状態Xと判別した客室情報を受信した場合においては、当該客室に×印を表示させ、暫定不在状態Yと判別した客室情報を受信した場合においては、当該客室に△印を表示させ、不在状態Zと判別した客室情報を受信した場合においては、当該客室に〇印を表示させることとして説明したが、これに限られず、在室状態の客室を赤色表示とし、暫定不在状態の客室を黄色表示とし、不在状態の客室を青色表示とすることとしてもよい。
また、処理部16は、開閉扉5を開状態にすることで、ドアセンサ12が開閉扉5の上面5aを検知し、タイマ21の計時を開始させることとして、これに限られず、開閉扉5の閉状態を検知すると同時にタイマ21の計時を開始させることとしてもよい。