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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160675
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】免疫調節剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/365 20060101AFI20221012BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61K31/365 ZNA
A61K31/407
A61K39/39
A61K45/00
A61P37/02
A61P37/08
A61P1/04
A61P11/02
A61P11/06
A61P17/00
A61P17/04
A61P27/02
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128443
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2018534421の分割
【原出願日】2017-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2016160573
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(71)【出願人】
【識別番号】320006025
【氏名又は名称】Noster株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(72)【発明者】
【氏名】新藏 礼子
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃大
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物を提供する。
【解決手段】B細胞の選択的IgAクラススイッチを誘導する物質を含む、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物である。B細胞の選択的IgAクラススイッチを誘導する物質としては、PKC活性化剤を使用することができる。また、B細胞の選択的IgAクラススイッチを誘導する物質を含む組成物は、粘膜アジュバントとしても有用となりうる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書等に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、特願2016-160573号(出願日:2016年8月18日)の優先権の利益を享受する出願であり、これは引用することによりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、免疫の調節に関する。より詳細には、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物に関し、特にB細胞において選択的なIgAクラススイッチを誘導するための組成物に関する。さらに詳細には、PKC活性化剤を含む、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物に関する。また、本発明は粘膜アジュバント組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
花粉症や喘息などのアレルギー疾患は、先進国において多くの人を悩ましている。アレルギーは、無害の抗原アレルゲンに対する過剰な免疫応答の有害な結果と考えられる。IgE抗体はアレルギー応答の中心的なメディエーターであるため、アレルギー治療の多くはIgE応答阻害をターゲットとしているが、アレルギー疾患に対する根本的な治療法はいまだ確立されておらず、現在の薬物療法は抗ヒスタミン剤やステロイドなどすべて対症療法である(非特許文献1)。
【0004】
アレルギー疾患は免疫系のアンバランスが原因であるという考えから、経口免疫による減感作療法などの免疫療法の試みもあるが、いまだ確立された治療法にはなっていない。アレルギーの原因物質への暴露を避けるために例えば食物アレルギーには除去食療法が有効と考えられているが、知らずに微量を摂取することで激しいアレルギー症状が起こる症例もあり、根本的治療の開発が待たれている。
【0005】
IgE抗体が関与するI型アレルギーにおいては花粉やハウスダスト、食物などの抗原が体内に侵入して、それらに特異的なIgE抗体が産生される。原因は不明であるが、Th2反応にバランスが偏っていることでIgE抗体の産生が亢進するといわれている。次にこれらのアレルゲン特異的なIgE抗体が好塩基球や肥満細胞上の高親和性IgE受容体に結合する。さらにこの状態にある時にアレルゲンが体内に侵入すると、アレルゲンが細胞表面上のIgEを架橋することで好塩基球や肥満細胞から化学伝達物質が放出され、いわゆるアレルギー症状が起こる。IgEを標的としたヒト化モノクローナル抗体であるオマリズマブが、喘息の患者において使用されている(非特許文献2)。現時点では、各段階の免疫反応を抑制する薬物を対症療法として投与することが一般的であるが、十分な治療薬とはなっていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Galli and Tsai, "IgE and mast cells in allergic disease," Nat Med.; 18(5): 693-704. doi:10.1038/nm.2755.
【非特許文献2】Pennington et al., "Structural basis of omalizumab therapy and omalizumab-mediated IgE exchange," Nat Commun. 2016 May 19;7:11610. doi: 10.1038/ncomms11610.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物を提供することを目的の一つとする。また、本発明の目的には、免疫調節剤を提供すること、およびB細胞において選択的なIgAクラススイッチを誘導するための組成物を提供することが含まれる。さらに、粘膜アジュバント組成物を提供することも目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、IgE生産を阻害する方法として、B細胞をIgEではなくIgAにクラススイッチする化合物を探索し、B細胞においてIgAに特異的なクラススイッチを誘導する化合物のスクリーニングを行った結果、B細胞でIgA生産を誘導するが、IgG生産、IgE生産は誘導しない化合物を得た。本発明はこのような知見に基づくものであり、以下の態様を包含する:
【0009】
[1]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含む、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物。
[2]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[1]記載の医薬組成物。
[3]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、ホルボール誘導体またはマクロラクトン誘導体である、上記態様[1]または[2]記載の医薬組成物。
[4]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がインドラクタムVまたはその誘導体である、上記態様[1]または[2]記載の医薬組成物。
[5]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がPMAまたはその誘導体である、上記態様[1]または[2]記載の医薬組成物。
[6]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がブリオスタチンまたはその誘導体である、上記態様[1]または[2]記載の医薬組成物。
[7]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、以下の化合物から成る群より選択される、上記態様[1]または[2]記載の医薬組成物:
ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1。
[8]局所投与用である、上記態様[1]~[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
[9]経鼻投与用、経口投与用、吸入投与用、点眼投与用、または経皮投与用である、上記態様[1]~[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
[10]アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、および蕁麻疹から成る群より選択される、上記態様[1]~[9]のいずれかに記載の医薬組成物。
【0010】
[11]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含む、粘膜アジュバント組成物。
[12]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[11]記載の粘膜アジュバント組成物。
[13]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、ホルボール誘導体またはマクロラクトン誘導体である、上記態様[11]または[12]記載の粘膜アジュバント組成物。
[14]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がインドラクタムVまたはその誘導体である、上記態様[11]または[12]記載の粘膜アジュバント組成物。
[15]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がPMAまたはその誘導体である、上記態様[11]または[12]記載の粘膜アジュバント組成物。
[16]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がブリオスタチンまたはその誘導体である、上記態様[11]または[12]記載の粘膜アジュバント組成物。
[17]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、以下の化合物から成る群より選択される、上記態様[11]または[12]記載の粘膜アジュバント組成物:
ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1。
[18]局所投与用である、上記態様[11]~[17]のいずれかに記載の粘膜アジュバント組成物。
[19]経粘膜投与用である、上記態様[11]~[17]のいずれかに記載の粘膜アジュバント組成物。
【0011】
[20]患者におけるアレルギー性疾患の治療または予防方法であって、該患者に対して、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を投与する工程を含む、方法。
[21]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[20]記載の方法。
[22]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、ホルボール誘導体またはマクロラクトン誘導体である、上記態様[20]または[21]記載の方法。
[23]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がインドラクタムVまたはその誘導体である、上記態様[20]または[21]記載の方法。
[24]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がPMAまたはその誘導体である、上記態様[20]または[21]記載の方法。
[25]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がブリオスタチンまたはその誘導体である、上記態様[20]または[21]記載の方法。
[26]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、以下の化合物から成る群より選択される、上記態様[20]または[21]記載の方法:
ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1。
[27]投与が局所投与による、上記態様[20]~[26]のいずれかに記載の方法。
[28]投与が経鼻投与、経口投与用、吸入投与、点眼投与、または経皮投与による、上記態様[20]~[26]のいずれかに記載の方法。
[29]アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、および蕁麻疹から成る群より選択される、上記態様[20]~[28]のいずれかに記載の方法。
【0012】
[30]アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬の製造における、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質の使用。
[31]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[30]記載の使用。
[32]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、ホルボール誘導体またはマクロラクトン誘導体である、上記態様[30]または[31]記載の使用。
[33]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がインドラクタムVまたはその誘導体である、上記態様[30]または[31]記載の使用。
[34]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がPMAまたはその誘導体である、上記態様[30]または[31]記載の使用。
[35]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がブリオスタチンまたはその誘導体である、上記態様[30]または[31]記載の使用。
[36]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、以下の化合物から成る群より選択される、上記態様[30]または[31]記載の使用:
ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1。
[37]医薬が局所投与用である、上記態様[30]~[36]のいずれかに記載の使用。
[38]医薬が経鼻投与用、経口投与用、吸入投与用、点眼投与用、または経皮投与用である、上記態様[30]~[36]のいずれかに記載の使用。
[39]アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、および蕁麻疹から成る群より選択される、上記態様[30]~[38]のいずれかに記載の使用。
【0013】
[40]粘膜ワクチンの作用を増強させる方法であって、粘膜ワクチンを対象に投与する工程、および、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を対象に投与する工程を含む、方法。
[41]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[40]記載の方法。
[42]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、ホルボール誘導体またはマクロラクトン誘導体である、上記態様[40]または[41]記載の方法。
[43]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がインドラクタムVまたはその誘導体である、上記態様[40]または[41]記載の方法。
[44]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がPMAまたはその誘導体である、上記態様[40]または[41]記載の方法。
[45]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がブリオスタチンまたはその誘導体である、上記態様[40]または[41]記載の方法。
[46]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、以下の化合物から成る群より選択される、上記態様[40]または[41]記載の方法:
ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1。
[47]投与が局所投与による、上記態様[40]~[46]のいずれかに記載の方法。
[48]投与が経粘膜投与による、上記態様[40]~[46]のいずれかに記載の方法。
【0014】
[49]粘膜アジュバントの製造における、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質の使用。
[50]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[49]記載の使用。
[51]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、ホルボール誘導体またはマクロラクトン誘導体である、上記態様[49]または[50]記載の使用。
[52]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がインドラクタムVまたはその誘導体である、上記態様[49]または[50]記載の使用。
[53]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がPMAまたはその誘導体である、請求項49記載の使用。
[54]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質がブリオスタチンまたはその誘導体である、上記態様[49]または[50]記載の使用。
[55]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、以下の化合物から成る群より選択される、上記態様[49]または[50]記載の使用:
ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1。
[56]投与が局所投与による、上記態様[49]~[55]のいずれかに記載の使用。
[57]投与が経粘膜投与による、上記態様[49]~[55]のいずれかに記載の使用。
【0015】
[58]上記態様[11]~[19]のいずれかに記載の粘膜アジュバント組成物を含有する、粘膜ワクチン組成物。
[59]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含有する、免疫調節剤。
[60]選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質が、PKC活性化剤である、上記態様[59]記載の免疫調節剤。
[61]有効成分としてPKC活性化剤を含有する、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導するための組成物。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の概念を示す図面である。アレルギー反応は、IgE+プラズマ細胞によるIgEの分泌により生じるが、IgAへのクラススイッチを誘導することで、アレルギー反応を抑制するとともに、アレルゲンも排除することができる。
図2】1次スクリーニング(化合物3337種)の結果を示す図面である。マウス脾臓細胞培養液に添加後7日目におけるIgAサンドイッチELISAの測定値が示されている。IgAへのクラススイッチ誘導物質候補(OD値が0.6以上の化合物)は22個見つかった。同様にIgEへの誘導物質候補は47個、IgGへの誘導物質候補が29個見つかった。
図3】2次スクリーニング(化合物22種)の結果を示す図面である。マウス脾臓細胞培養液に添加後10日目におけるIgAサンドイッチELISAの測定値が示されている。化合物No.2(サピントキシンD)、No.12(PMA)およびNo.18(ROPA)は、IgEやIgG1を誘導しなかった。すなわち、IgAを特異的に誘導する候補物質である。
図4】3次スクリーニング(化合物18種)の結果を示す図面である。K8、K12、K17がそれぞれ、サピントキシンD、PMA、ROPAに対応している。
図5】K8(サピントキシンD)、K12(PMA)、K17(ROPA)、およびインドラクタムVによるトータルIgGの誘導について示す図面である。
図6】インドラクタムV(Indolactam V)とブリオスタチン1(Bryostatin1)との比較(IgA誘導能)を示す図面である。
図7】インドラクタムVとブリオスタチン1との比較(IgEおよびIgGの誘導能)を示す図面である。
図8】PMAの化学構造を示す図面である。
図9】インドラクタムVの化学構造を示す図面である。
図10】ブリオスタチン1の化学構造を示す図面である。
図11】RT-PCRによりalpha germline transcriptとAIDの発現を確認した結果を示す図面である。
図12】各用量のブリオスタチン1単独の刺激によるIgA(上段)、IgG(中段)およびIgE(下段)の誘導の有無(化合物の用量依存性)を示す図面である。0~50nMの濃度のブリオスタチン1について調べた。Pはポジティブコントロール。IgAの誘導のみが示されている。
図13】各用量のブリオスタチン1単独の刺激によるIgA(上段)、IgG(中段)およびIgE(下段)の誘導の有無(化合物の用量依存性)を示す図面である。0~100nMの濃度のブリオスタチン1について調べた。Pはポジティブコントロール。IgAの誘導のみが示されている。
図14】各用量のインドラクタムV単独の刺激によるIgA(上段)、IgG(中段)およびIgE(下段)の誘導の有無(化合物の用量依存性)を示す図面である。0~100μMの濃度のインドラクタムVについて調べた。Pはポジティブコントロール。IgAの誘導のみが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、IgE生産を阻害する方法として、B細胞をIgEではなくIgAにクラススイッチする化合物を探索し、B細胞においてIgAに特異的なクラススイッチを誘導する化合物のスクリーニングを行った結果、B細胞でIgA生産を誘導するが、IgG生産、IgE生産は誘導しない化合物を得た。IgA生産を誘導し、IgE生産を抑制することにより、アレルギー性疾患を治療または予防することが可能となる。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
クラススイッチ
B細胞は、骨髄で造血幹細胞から分化するリンパ球であり、細胞表面に抗原レセプターとして免疫グロブリンを発現している。抗原がB細胞を刺激すると、B細胞は活性化されて増殖するが、この時、抗体重鎖遺伝子座にクラススイッチと呼ばれる改変が生じる。クラススイッチは、染色体DNAからIgMの定常領域(Cμ)を欠失させ、IgG、IgE、IgAにそれぞれ対応する定常領域(Cγ、Cε、Cα)を重鎖Vエクソンに繋ぎかえる組換え反応である。この反応によってB細胞は抗体の抗原特異性を変えることなく、IgM/IgDからIgG、IgE、IgAにサブクラスを切り替える。このように、クラススイッチは、B細胞から分泌される免疫グロブリンが、抗原刺激によりIgM/IgD型からIgG型、IgE型、IgA型に変化することによって、より効率的な抗原排除を行うことを可能とするメカニズムである。なお、染色体DNA上における遺伝子の配置がCγ、Cε、Cαの順となっているため、IgG型からIgE型、さらにIgA型への組換えは可能であるが、一旦IgA型への組換えが生じた後は、IgG型あるいはIgE型への組換えは不可能となる。
【0019】
アレルギー
免疫反応は、外来の異物(抗原)を排除するために働く生体にとって不可欠な生理機能であるが、免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こることをアレルギーという。アレルギーを引き起こす環境由来抗原は、アレルゲンと呼ばれ、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが一般的に知られている。アレルギー性疾患は、外部からの抗原に対する免疫反応が起こる疾患であるが、その抗原は通常生活で曝露される量では無害であることが多い。代表的なアレルギー性疾患としては、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、蕁麻疹が挙げられる。アレルギー応答の中心的なメディエーターは、IgE抗体であるため、アレルギー治療の多くはIgE応答阻害をターゲットとしている。
【0020】
医薬組成物および粘膜アジュバント組成物
本発明の一つの態様は、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含む、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物に関する。選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導するとは、他のIgクラス(IgM、IgD、IgGおよびIgE)を発現するB細胞においてクラススイッチを誘導し、IgA(IgA1および/またはIgA2)を発現するようなDNA組換えを選択的に生じさせることを言う。よって、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)またはIgEへのクラススイッチを全く誘導しないか、少なくとも実質的に誘導しない。ここで、「少なくとも実質的に誘導しない」とは、適切なネガティブコントロール(例えば、DMSOに溶解したCD40)による誘導に比べて有意差がないことを意味する。B細胞の選択的なIgAクラススイッチを誘導することにより、IgEの産生を抑制することができ、それによりアレルギー性疾患を治療または予防することが可能となる。また、それと同時に、B細胞の選択的なIgAクラススイッチを誘導することにより、粘膜などの部位におけるIgA(IgA1および/またはIgA2)の生成を高めることも可能となる。よって、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、粘膜アジュバントとしても活用できることが当業者には理解される。したがって、本発明の一つの態様は、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含む、粘膜アジュバント組成物に関する。なお、本発明の一つの態様では、本発明の組成物(例えば、医薬組成物または粘膜アジュバント組成物)はCD40を含まない。
【0021】
選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、PKC活性化剤でありうる。よって、本発明の一つの態様は、PKC活性化剤を有効成分として含有する、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物に関する。また、本発明の一つの態様は、PKC活性化剤を有効成分として含有する、粘膜アジュバント組成物に関する。本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物中のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬的に許容され得る担体などが挙げられる。担体にも、特に制限はなく、例えば、剤形等に応じて適宜選択することができる。本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物における各成分の含有量についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物の剤形としては、特に制限はなく、所望の投与方法に応じて適宜選択することができ、例えば、噴霧剤、吸入剤、液剤、固形剤、クリーム剤、軟膏剤などが挙げられるが、これらに限定はされない。組成物中には、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等が添加されていてもよい。pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。固形剤には、腸溶性コーティングが施されていてもよい。食物アレルギーの処置を考慮すれば、胃腸管に薬剤が効率的に送達される剤形であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、医薬組成物および粘膜アジュバント組成物の剤形、患者の状態等に応じて、適宜選択することができる。投与は局所投与、全身投与のいずれでもよく、例えば、経口投与、経腸投与、経静脈投与、経皮下投与、経筋肉内投与、経鼻投与、吸入投与、点眼投与、または経皮投与などにより行うことができるが、これらに限定はされない。アレルギー性鼻炎(花粉症)の処置を考慮すれば、特に、経鼻噴霧による投与が好ましい。
【0024】
本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物の投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、サル、イヌ、ネコなどが挙げられるが、好ましくはヒト、特にアレルギー症状を有するヒトの患者である。また、本発明に係る医薬組成物は、アレルギー症状の予防を目的として投与してもよい。
【0025】
本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物の投与量としては、特に制限はなく、投与形態や、投与対象の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができる。医薬組成物の投与頻度は、例えば、1日1~3回、好ましくは1日1回とすることができる。
【0026】
本発明に係る医薬組成物および粘膜アジュバント組成物の投与時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。医薬組成物は、例えば、特定の季節にのみ、アレルギーに感受性の患者に対して予防的に投与されてもよいし、アレルギー症状を呈する患者に治療的に投与されてもよい。また、投与回数としても、特に制限はなく、投与対象の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて、適宜選択することができる。
【0027】
治療方法および医薬の製造における使用
本発明の一態様は、患者におけるアレルギー性疾患の治療または予防方法に関する。このような方法は、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する工程、例えば、対象に対して選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を投与する工程を含む。選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、上述のPKC活性化剤でありうる。よって、本発明の一態様は、患者に対してPKC活性化剤を投与する工程を含む、患者におけるアレルギー性疾患の治療または予防方法に関する。アレルギー性疾患は、上述のように、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、または蕁麻疹のいずれかでありうる。投与経路は、上述のように、局所投与、全身投与のいずれでもよく、例えば、経口投与、経腸投与、経静脈投与、経皮下投与、経筋肉内投与、経鼻投与、吸入投与、点眼投与、または経皮投与などにより行うことができるが、これらに限定はされない。特に、経鼻噴霧による投与が好ましい。投与頻度は、例えば、1日1~3回、好ましくは1日1回とすることができる。
【0028】
本発明の一態様は、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬の製造における、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質の使用に関する。選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、上述のPKC活性化剤でありうる。よって、本発明の一態様は、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬の製造におけるPKC活性化剤の使用に関する。アレルギー性疾患は、上述のように、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、または蕁麻疹のいずれかでありうる。投与経路は、上述のように、局所投与、全身投与のいずれでもよく、例えば、経口投与、経腸投与、経静脈投与、経皮下投与、経筋肉内投与、経鼻投与、吸入投与、点眼投与、または経皮投与などにより行うことができるが、これらに限定はされない。特に、経鼻噴霧による投与が好ましい。製造する医薬の剤形は、上述のように、例えば、噴霧剤、吸入剤、液剤、固形剤、クリーム剤、または軟膏剤とすることができる。
【0029】
粘膜ワクチンの作用増強方法および粘膜アジュバントの製造における使用
本発明の一態様は、粘膜ワクチンの作用を増強させる方法に関する。このような方法は、対象に対して粘膜ワクチンを投与する工程、および、対象に対して選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質(粘膜アジュバント)を投与する工程を含む。粘膜ワクチンは、経口や経鼻投与などにより、粘膜上での局所免疫が期待できるワクチンであるが、その効果は全身にも及び、粘膜面と全身面の二重の防御免疫が誘導されうる。病原体は体の粘膜から侵入する場合が多いことから、粘膜面で免疫機構が働くことは重要である。しかし、粘膜ワクチンは、免疫力が弱いという欠点が知られており、粘膜免疫を強化するような補助物質、すなわち粘膜アジュバントが必要とされる。これまでに、粘膜アジュバントとして、コレラ毒素(CT)や大腸菌易熱性毒素(LT)が見出されているが、これら細菌毒素由来のアジュバントは、粘膜面および全身面に効率よく免疫を誘導しうるものの、顔面神経麻痺などの重篤な副作用を呈することが明らかとされている。
【0030】
本発明の一態様において、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、上述のPKC活性化剤でありうる。よって、本発明の一態様は、対象に対してPKC活性化剤(粘膜アジュバント)を投与する工程を含む、対象における粘膜ワクチンの作用を増強させる方法に関する。粘膜ワクチンと粘膜アジュバントは、同時に投与してもよく、どちらか一方を先に投与してもよい。投与経路は、上述のように、局所投与、全身投与のいずれでもよく、例えば、経口投与、経腸投与、経静脈投与、経皮下投与、経筋肉内投与、経鼻投与、吸入投与、点眼投与、または経皮投与などにより行うことができるが、これらに限定はされない。特に、経鼻噴霧による投与が好ましい。投与頻度は、ワクチン接種の必要に応じて適宜決めることができる。
【0031】
本発明の一態様は、粘膜アジュバントの製造における、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質の使用に関する。選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質は、上述のPKC活性化剤でありうる。よって、本発明の一態様は、粘膜アジュバントの製造におけるPKC活性化剤の使用に関する。投与経路は、上述のように、局所投与、全身投与のいずれでもよく、例えば、経口投与、経腸投与、経静脈投与、経皮下投与、経筋肉内投与、経鼻投与、吸入投与、点眼投与、または経皮投与などにより行うことができるが、これらに限定はされない。特に、経鼻噴霧による投与が好ましい。製造するアジュバントの剤形は、上述のように、例えば、噴霧剤、吸入剤、液剤、クリーム剤、または軟膏剤とすることができる。
【0032】
PKC活性化剤
プロテインキナーゼC(PKC)は,セリン/スレオニンキナーゼであり、その活性化は、細胞内情報伝達系として細胞外基質蛋白の遺伝子発現、細胞の分化/増殖、そしてイオンチャネルの活性といった血管機能に深く関与している。「PKC活性化剤」は、プロテインキナーゼC(PKC)またはその下流のシグナル伝達経路を活性化する物質を意味する。PKC活性化剤としては、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、サピントキシンD、ROPA(Resiniferonol-9,13,14-orthophenyl acetate)、プロストラチン、ネリスタチン、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、ブリオスタチン20、FR236924、(-)-インドラクタムV、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸サルフェート、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸ホスフェート、シクロプロパン化一不飽和脂肪酸ホスフェート、イソプレノイド、オクチリンドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、線維芽細胞成長因子18(FGF-18)、インスリン成長因子、ブリオログ、オカダ酸、ジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)、DOG(1,2-dioctanoyl-sn-glycerol)、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、オレイン酸、8S-HETE、クエン酸クロミフェン、オレイン酸ナトリウム、ホルボール12,13-ジアセテート、ホルボール12,13-ジデカノエート、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロール、ホルボール12,13-ジヘキサノエート、レジニフェロノール9,13,14-オルト-フェニルアセテート、C-8セラミド、1,6-ビス(シクロヘキシルオキシミノカルボニルアミノ)ヘキサン、(+/-)-L-オレオイル-2-アセチルグリセロール、ゾレドロン酸一水和物、12-デオキシホルボ13-アンゲラート20-アセテート、6-(N-デシルアミノ)-4-ヒドロキシメチルインドール、4α-ホルボール12,13-ジブチレート、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロール、ゾレドロン酸二ナトリウム四水和物、アラキドン酸メチルエステル、アラキドン酸-d8、De-OMe-DAT、Aplog-1および10-Me-Aplog-1などが例示されるが、これらに限定はされない。よって、本発明の一態様は、上記の物質を有効成分として含有する、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物に関する。ある態様において、PKC活性化剤は、ホルボールエステル系PKC活性化剤である、PMA、プロストラチン、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート、レシニフェラトキシン、ホルボール12,13-ジヘキサノアート、メゼレイン、またはインゲノール3-アンゲラートである。本発明においては、2種以上のPKC活性化剤を併用してもよい。
【0033】
本発明の一態様においては、PKC活性化剤は、ホルボール誘導体、マクロラクトン誘導体、インドラクタムVもしくはその誘導体、PMAもしくはその誘導体、または、ブリオスタチンもしくはその誘導体(ブリオログ)から選択される。好ましい態様において、PKC活性化剤は、発がん性を有さないPKC活性化剤である。好ましい態様において、PKC活性化剤は、ブリオスタチンまたはプロストラチンであり、より好ましくはブリオスタチンである。PKC活性化剤は、例えば、WO2015/160851、WO2015/182765、WO2013/071282、WO2008/100449、WO2013/157555などにも開示されている。これらの文献に記載の内容は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0034】
ブリオスタチンおよびブリオログ
本発明の一態様においては、PKC活性化剤として、ブリオスタチンまたはその誘導体が使用される。よって、本発明の一態様は、ブリオスタチンまたはその誘導体、好ましくはブリオスタチン1を有効成分として含有する、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物に関する。ブリオスタチンは、当初フサコケムシから単離された天然の大環状化合物である。現在、約20種の天然のブリオスタチンが知られているが、それらはA、BおよびCと命名された3つの6員環を共有し、主にC7およびC20の置換基の性質において異なっている。
【0035】
ブリオスタチン1およびブリオスタチン1の誘導体は、例えば、米国特許第4,560,774号(参照により本明細書に取り込まれる)に記載されている。本発明において使用されうるブリオスタチンの例は、ブリオスタチン1、ブリオスタチン2、ブリオスタチン3、ブリオスタチン4、ブリオスタチン5、ブリオスタチン6、ブリオスタチン7、ブリオスタチン8、ブリオスタチン9、ブリオスタチン10、ブリオスタチン11、ブリオスタチン12、ブリオスタチン13、ブリオスタチン14、ブリオスタチン15、ブリオスタチン16、ブリオスタチン17、ブリオスタチン18、ブリオスタチン19、およびブリオスタチン20を含む。
【0036】
一般にブリオログ(bryologs)と呼ばれるブリオスタチンの類似体もまた、本発明において使用されうる。ブリオログは、ブリオスタチンの構造類似体である。ブリオスタチンは2つのピラン環と1つの6員環アセタールを有しているが、ほとんどのブリオログでは、ブリオスタチンのピランの1つが第2の第6員環アセタールで置換されている。この修飾は、例えば、強酸または強塩基の両条件において、ブリオスタチンに比べてブリオログの安定性を低下させるが、生理的pHにおいては、あまり重要でない。また、ブリオログは、分子量988のブリオスタチンよりも低い分子量を有している(約600から755の範囲)。本発明における使用に適したブリオログの例としては、例えば、米国特許第6,624,189号、第7,256,286号および第8,497,385号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているブリオスタチンの誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0037】
粘膜ワクチン組成物
本発明の一態様は、本発明に係る粘膜アジュバントを含有する粘膜ワクチン組成物に関する。よって、本発明の一態様は、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含む、粘膜ワクチン組成物に関する。さらに、本発明の一態様は、PKC活性化剤を含有する粘膜ワクチン組成物に関し、PKC活性化剤としては上述の物質が使用される。抗原は、当業者に利用可能な任意の抗原であることができる。粘膜ワクチンは、例えば、経口投与、経鼻投与、吸入投与、点眼投与、または経皮投与などにより投与することができる。
【0038】
免疫調節剤
本発明の一つの態様は、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導する物質を含有する、免疫調節剤に関する。よって、本発明に係る免疫調節剤は、有効成分としてPKC活性化剤を含みうる。PKC活性化剤としては、例えば、上述の物質を使用しうる。本発明に係る免疫調節剤は、IgAを産生するB細胞を選択的に増加させうることから、IgAの欠乏を症状とする疾患の治療等に有用となりうる。また、IgA以外のIgアイソタイプを抑制することから、本発明に係る免疫調節剤は、IgA以外のIgアイソタイプの過剰産生を症状とする疾患の治療等にも有用となりうる。
【0039】
選択的IgAクラススイッチ誘導剤
本発明の一つの態様は、選択的なIgAクラススイッチをB細胞において誘導するための組成物に関する。このような組成物は、有効成分としてPKC活性化剤を含有しうる。PKC活性化剤としては上述の物質が使用される。このような組成物は、例えば、IgA以外のIgアイソタイプを生産するB細胞にin vitroで強制的にIgAを生産させる際などに有用となりうる。
【0040】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
【実施例0041】
<例1:マウス脾臓細胞の調製>
自由飲食条件下で5~8週齢の野生型BALB/cAJcl(日本クレアより購入)を、イソフルレン麻酔下に頸椎脱臼することで安楽死させた。70%エタノールを噴霧後、左腹部を切開し無菌的に脾臓を摘出した。脾臓を5mlの細胞培養液(RPMI1640に10%のFCS、0.05μMの2ME、80μg/mlのゲンタマイシンを添加)を入れた培養用シャーレ内で滅菌スライドガラス2枚による穏やかな挫滅処理により脾臓の単細胞懸濁液を得た。細胞懸濁液を15mlチューブに移し、5分間静置後、組織片を含まない上清を新しい15mlチューブに移した。上記の細胞培養液により2回洗浄操作を行い、生細胞数を得た。B細胞は生細胞の35%を占めるので、計算によりB細胞数を得た。
【0042】
<例2:化合物およびサイトカインによるin vitroクラススイッチ誘導実験>
例1により求めたB細胞数をもとに、B細胞が5×10/mlになるように上記の細胞培養液により脾臓細胞液を希釈し、24穴培養ディッシュに細胞を加えた。各ウェルに結果に示したように化合物、サイトカインを加えた。化合物の溶解液であるDMSOの濃度が各ウェルで同等となるようにDMSOを加えた(終濃度0.25%)。化合物と脾臓細胞の混合培養液を37℃、5%COの条件で一週間静置培養した。
【0043】
以下にポジティブコントロールとして使用したサイトカインを列挙する。
- Anti-mouse/rat CD40 (eBioscience)
- LPS (E. coli) (Sigma)
- Recombinant mouse IL-4 (eBioscience)
- Recombinant mouse TGFβ(R&D Systems)
【0044】
<例3:ELISAによる各アイソタイプ抗体価の測定>
例2の誘導を行った一週間後の細胞培養上清をマイクロチューブに回収した。ELISAの捕獲抗体は各アイソタイプ抗体(非ラベル、後述)を2μg/mlとなるように0.05M NaCO溶液に希釈し、50μl/wellでELISAプレート(C96 MAXISORP NUNC-Immunoplate, Thermo Scientific)に加え、4℃で一晩コーティングした。
【0045】
次の日に、コーティングしたELISAプレートを1×PBSで3回洗浄した。洗浄後、1%BSA添加1×PBS50μlを各ウェルに加え室温で1時間、ブロッキングを行った。ブロッキング反応中に各培養上清の希釈系列を1%BSA添加1×PBSを用いて準備した。ブロッキングが終了したプレートにこの希釈済みサンプルを50μl/wellとなるように加え、室温で1時間反応させた。その後、0.05%Tween20添加1×PBS溶液で3回洗浄操作を行った。次に各アイソタイプを認識する2次抗体(アルカリフォスファターゼラベル)0.5μg/mlを50μl/wellとなるように加え、室温で1時間反応させた。0.05%Tween20添加1×PBS溶液で3回洗浄操作を行った後、基質溶液(Phosphatase substrate Sigma104)を加え、室温で遮光して発色させ、プレートリーダーで吸光度(405nm)を測定した。抗体価は相対的な値として吸光度としてグラフに示すか、もしくはスタンダードアイソタイプ抗体との比較から絶対値を算出しグラフ化した。
【0046】
以下にELISAに使用した各抗体を列挙する。
- Goat anti-mouse IgA UNLB (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgA AP (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgE UNLB (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgE AP (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgG1 UNLB (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgG1 AP (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgG UNLB (SouthernBiotech)
- Goat anti-mouse IgG AP (SouthernBiotech)
- Purified mouse IgA kappa (Immunology Consultants Laboratory)
- Purified mouse IgG1 kappa isotype control (BD Pharmingen)
- Purified mouse IgE kappa isotype control (BD Pharmingen)
【0047】
1次スクリーニング、2次スクリーニング、および3次スクリーニングの結果をそれぞれ図2~5に示す。1次スクリーニングでは、化合物3,337種(東京大学創薬機構から提供を受けた)についてin vitroクラススイッチアッセイを行った。化合物の終濃度は3.75μM、サイトカインを加えたウェルも含めてすべてのウェルに終濃度でDMSOは0.25%、anti-mouse/rat CD40は1μg/mlとなるように加えた。ネガティブコントロールとしてはDMSOとCD40を添加した。吸光度(405nm)が0.6以上を示した化合物をIgAクラススイッチ誘導物質候補とした。
【0048】
2次スクリーニングでは、1次スクリーニングから得られた候補化合物22種についてスクリーニングを行った。培養条件は1次スクリーニングと同様である。ポジティブコントロールとして各アイソタイプコントロール抗体(1μg/ml)を添加した。IgAを誘導するが、IgG1またはIgEを誘導しない化合物候補として3種を得た。化合物No.2(サピントキシンD)、No.12(PMA)およびNo.18(ROPA)はすべてプロテインキナーゼC(PKC)活性化剤であった。PMAの構造を図8に示す。
【0049】
2次スクリーニングの結果から、IgAを特異的に誘導する物質はPKC活性化剤であり、特徴のある環状構造を持つことから、構造が類似した化合物として東大創薬機構のライブラリーから上記の3種を含む17種の化合物(K1~K17)の提供を受けた。また、PKC活性化剤として市販のインドラクタムV(Sigma I0661)も候補物質に加え、1次および2次スクリーニングと同様の培養条件でクラススイッチ誘導アッセイを行った。インドラクタムVの構造を図9に示す。この3次スクリーニングでは、各候補物質についてtriplicateでアッセイを行い、一週間後の培養上清中の抗体価を絶対値として示した。インドラクタムVの終濃度は1、3、3.75、5、および7μMとした。ポジティブコントロールとしてクラススイッチ誘導活性について既知のサイトカイン混合物を加えた(IgAについては、DMSO+CD40+LPS、IgG1についてはDMSO+CD40+IL-4+TGFβ、IgEについてはDMSO+CD40+LPS)。各サイトカインの終濃度は以下の通りである。
-IL-4 12.5ng/ml
-LPS 20μg/ml
-TGFβ 1ng/ml
【0050】
3次スクリーニングの結果、IgAへ特異的クラススイッチを誘導する物質は、2次スクリーニングで得られた3種のPKC活性化剤に加えて、同じくPKC活性化剤であるインドラクタムVだけであった。なかでもインドラクタムVは非常に強いIgA誘導活性を示した。
【0051】
<例4:インドラクタムVとブリオスタチン1の比較>
インドラクタムV(Sigma I0661)はIgAへの特異的クラススイッチ誘導物質として最善の効果を示した候補物質であるが、強い発がん性を持つ事が知られており、これを治療薬として使うことは好ましくない。そこで、PKC活性化剤としての性質を持ちながら、発がん性のない物質を検索し、ブリオスタチン1(Santa Cruz Biotechnology sc-201407)を候補として得た(図6および7)。ブリオスタチン1の構造を図10に示す。ブリオスタチン1刺激では、インドラクタムVと異なり、培養細胞の増殖がほとんど見られなかった。おそらくブリオスタチン1は増殖を支持する活性が弱く、そのため発がん性を示さないと考えられた。ブリオスタチン1で刺激した場合、細胞数がday7では極端に少なかったため、IgA抗体価は低かったが、day5においてはネガティブコントロール(0.02%DMSO+CD40)と比較して有意にIgA抗体価は上昇していた。また、day7において、インドラクタムVと同様にブリオスタチン1の刺激によってもtotal IgGとIgE抗体はほとんど産生されなかった。以上から、ブリオスタチン1はインドラクタムVと比較するとIgA誘導能は劣るが、IgAへの特異的クラススイッチを誘導することが明らかとなった。ブリオスタチンは、3次スクリーニングにおいて試験された化合物とは、構造が全く異なる物質であることから、例3および例4の結果に鑑み、IgAへ特異的クラススイッチを誘導する物質として、PKC活性化剤一般を使用できることが当業者には理解される。なお、図6および図7に示した実験では、インドラクタムV終濃度は左から、5μMと10μM、ブリオスタチン1の終濃度は左から、1nM、5nM、10nMである。
【0052】
<例5:RT-PCRによるalpha germline transcriptとAIDの発現の確認>
クラススイッチが進行中である証拠として、alpha germline transcriptとAIDの発現をRT-PCRで確認した。まず、例2と同様の条件で脾臓細胞を化合物もしくはサイトカインで刺激した。刺激3日目に浮遊細胞を回収しトータルRNAを抽出した。ランダムプライマーを用いてcDNAを合成し、以下のプライマーを使ってRT-PCRを行った。
Alpha germline transcript
IaF: 5'-CCTGGCTGTTCCCCTATGAA-3'(配列番号:1)
CaR: 5'-GAGCTGGTGGGAGTGTCAGTG-3'(配列番号:2)
AID
AID F: 5'-GGGAGTCAAGAAAGTCACGC-3'(配列番号:3)
AID R: 5'-GGCTTTGAAAGTTCTTTCAC-3'(配列番号:4)
【0053】
PCRはrTaq(TAKARA)を用いて以下の条件で行った:
1.95℃/3分
2.(95℃/30秒、58℃/30秒、72℃/1分)×35サイクル
3.72℃/5分
【0054】
インドラクタムVもブリオスタチン1も両方のtranscriptの発現が見られたことから、細胞培養中にクラススイッチが進行した可能性が強く示唆された(図11)。もともと脾臓に存在したIgA産生細胞が生存維持されただけではないと考えられた。ブリオスタチン1でCD40が添加されない場合は両方のtranscriptの発現が低かった。これはRT-PCRに用いたcDNA量の違いを反映している可能性がある。ブリオスタチン1だけでは、インドラクタムVと異なり、培養細胞の増殖がほとんど見られなかった。おそらくブリオスタチン1は増殖を支持する活性が弱く、そのため発がん性を示さないと考えられた。
【0055】
<例6:インドラクタムVとブリオスタチン1によるIgAへのクラススイッチ誘導の用量依存性>
インドラクタムVとブリオスタチン1(Santa Cruz Biotechnology)を購入し、脾臓細胞を用いてクラススイッチ誘導を行った。化合物の用量依存性を確認するために、図12図13および図14に示した濃度で刺激を行った。細胞培養は、1.0×10 B cells/1ml/wellとなるように細胞を6wellプレートの各wellに加え、7日間培養した。すべてのwellにanti-mouse/rat CD40を添加せずに培養を行い、ネガティブコントロールは培養液のみとした。各サイトカイン刺激をポジティブコントロールとした。各サイトカインの終濃度は上記の実験と同じく、anti-mouse/rat CD40は1μg/ml、IL-4 12.5ng/ml、LPS 20μg/mlである。
【0056】
ELISAによる各アイソタイプの抗体価測定は上述と同様の方法でおこなった。結果として、試験した各濃度において、CD40を含まないブリオスタチン1とインドラクタムVそれぞれの単独刺激により、IgAが産生され、IgGおよびIgEの誘導は見られないことが確認された。
【0057】
本明細書には、本発明の好ましい実施態様を示してあるが、そのような実施態様が単に例示の目的で提供されていることは、当業者には明らかであり、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、様々な変形、変更、置換を加えることが可能であろう。本明細書に記載されている発明の様々な代替的実施形態が、本発明を実施する際に使用されうることが理解されるべきである。また、本明細書中において参照している特許および特許出願書類を含む、全ての刊行物に記載の内容は、その引用によって、本明細書中に明記された内容と同様に取り込まれていると解釈すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明者らは、IgE生産を阻害する方法として、B細胞をIgEではなくIgAにクラススイッチする化合物を探索し、B細胞においてIgAに特異的なクラススイッチを誘導する化合物のスクリーニングを行った結果、B細胞でIgA生産を誘導するが、IgG生産、IgE生産は誘導しない化合物を見出した。IgA生産を誘導し、IgE生産を抑制することにより、アレルギー性疾患を治療または予防することが可能となる。よって、本発明は、アレルギー性疾患の治療または予防において有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
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