(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160725
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】事業収支情報生成プログラム、事業収支情報生成方法および事業収支情報生成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20221013BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065082
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】514000705
【氏名又は名称】株式会社 山下PMC
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅幸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】建物を建てる場合の事業収支の情報を効率よく生成できる事業収支情報生成プログラム、事業収支情報生成方法および事業収支情報生成システムを提供する。
【解決手段】コンピュータを、ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出する計画敷地設定手段と、前記計画地における建築関連法規制を設定する法規制設定手段と、前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する建物規模算出手段と、前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する貸し室面積算出手段と、前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出する事業収支算出手段と、として機能させる事業収支情報生成プログラムが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出する計画敷地設定手段と、
前記計画地における建築関連法規制に対応した建築関連法規制を設定する法規制設定手段と、
前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する建物規模算出手段と、
前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する貸し室面積算出手段と、
前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出する事業収支算出手段と、として機能させる事業収支情報生成プログラム。
【請求項2】
前記計画敷地設定手段は、ディスプレイに地図を表示させ、前記ユーザから地図上の複数の点の指定を受け付けることにより、前記複数の点によって囲まれた領域を前記計画敷地として設定する、請求項1に記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項3】
前記法規制設定手段は、国土交通省が提供する国土数値情報に基づいて、前記建築関連法規制を設定する、請求項1または2に記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項4】
前記法規制設定手段は、国土交通省が提供する国土数値情報に基づく選択肢を前記ディスプレイに表示させ、ユーザによって選択された選択肢に応じて前記建築関連法規制を設定する、請求項3に記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、さらに、前記計画敷地の敷地境界線条件を設定する敷地境界線設定手段として機能させ、
前記建物規模算出手段は、前記設定された敷地境界線条件も考慮して前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する、請求項1乃至4のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項6】
前記敷地境界線設定手段は、ディスプレイに地図および前記計画敷地を表示させ、ユーザ操作に基づいて、前記敷地境界線条件を設定する、請求項5に記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、さらに、建物の階高を設定する階高設定手段として機能させ、
前記建物規模算出手段は、前記設定された階高も考慮して前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する、請求項1乃至6のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、前記計画敷地に建築可能な建物の3D画像をディスプレイに表示させる建物3D画像表示手段として機能させる、請求項1乃至7のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項9】
前記貸し室面積算出手段は、前記計画敷地に建築可能な建物の規模に応じた面積と、所定係数とを乗じて、前記貸し室面積を算出する、請求項1乃至8のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項10】
前記貸し室面積算出手段は、前記計画敷地に建築可能な建物の規模と、貸し室として利用できない設備の情報と、に基づいて、前記貸し室面積を算出する、請求項1乃至8のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項11】
前記貸し室として利用できない設備は、前記計画敷地に建築可能な建物の規模に応じた階段数、エレベータ台数および駐車場の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、さらに、前記計画敷地が設定されたエリアの指定をユーザから受け付け、前記エリアの賃料相場を取得して前記ディスプレイに表示させる賃料相場取得手段として機能させる、請求項1乃至11のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項13】
前記賃料相場取得手段は、前記エリアにおける用途地域、建物用途、建物規模および建築年の少なくとも1つとともに前記賃料相場を表示させる、請求項12に記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項14】
前記事業収支算出手段は、前記建築可能な建物の規模も考慮して、前記事業収支を算出する、請求項1乃至13のいずれかに記載の事業収支情報生成プログラム。
【請求項15】
計画敷地設定手段が、ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出するステップと、
法規制設定手段が、前記計画地における建築関連法規制に対応した建築関連法規制を設定するステップと、
建物規模算出手段が、前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出するステップと、
貸し室面積算出手段が、前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出するステップと、
事業収支算出手段が、前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出するステップと、とを備える事業収支情報生成方法。
【請求項16】
ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出する計画敷地設定手段と、
前記計画地における建築関連法規制に対応した建築関連法規制を設定する法規制設定手段と、
前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する建物規模算出手段と、
前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する貸し室面積算出手段と、
前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出する事業収支算出手段と、を備える事業収支情報生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業収支情報生成プログラム、事業収支情報生成方法および事業収支情報生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業用建物の建設投資判断を行うには、事業収支を予測する必要がある。そのためには、(1)計画地にどの程度の規模の建物を建てられるかを予測し、次いで、(2)その計画地にその規模の建物を建てた場合にどのような事業収支になるかを予測することとなる。
【0003】
(1)の予測には建築士による専門知識が必要である。一方、(2)の予測には不動産業者や金融業者による専門知識が必要である。このように事業収支の予測には異なる専門家の知識が必要になることから、これを効率よく行うのが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.pivot.co.jp/product/iarm/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、建物を建てる場合の事業収支の情報を効率よく生成できる事業収支情報生成プログラム、事業収支情報生成方法および事業収支情報生成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、コンピュータを、ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出する計画敷地設定手段と、前記計画地における建築関連法規制を設定する法規制情報設定手段と、前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する建物規模算出手段と、前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する貸し室面積算出手段と、前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出する事業収支算出手段と、として機能させる事業収支情報生成プログラムが提供される。
【0007】
前記計画敷地設定手段は、ディスプレイに地図を表示させ、前記ユーザから地図上の複数の点の指定を受け付けることにより、前記複数の点によって囲まれた領域を前記計画敷地として設定してもよい。
【0008】
前記法規制設定手段は、国土交通省が提供する国土数値情報に基づいて、前記建築関連法規制を設定してもよい。
【0009】
前記法規制設定手段は、国土交通省が提供する国土数値情報に基づく選択肢を前記ディスプレイに表示させ、ユーザによって選択された選択肢に応じて前記建築関連法規制を設定してもよい。
【0010】
前記コンピュータを、さらに、前記計画敷地の敷地境界線条件を設定する敷地境界線設定手段として機能させ、前記建物規模算出手段は、前記設定された敷地境界線条件も考慮して前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出してもよい。
【0011】
前記敷地境界線設定手段は、ディスプレイに地図および前記計画敷地を表示させ、ユーザ操作に基づいて、前記敷地境界線条件を設定してもよい。
【0012】
前記コンピュータを、さらに、建物の階高を設定する階高設定手段として機能させ、前記建物規模算出手段は、前記設定された階高も考慮して前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出してもよい。
【0013】
前記コンピュータを、前記計画敷地に建築可能な建物の3D画像をディスプレイに表示させる建物3D画像表示手段として機能させてもよい。
【0014】
前記貸し室面積算出手段は、前記計画敷地に建築可能な建物の規模に応じた面積と、所定係数とを乗じて、前記貸し室面積を算出してもよい。
【0015】
前記貸し室面積算出手段は、前記計画敷地に建築可能な建物の規模と、貸し室として利用できない設備の情報と、に基づいて、前記貸し室面積を算出してもよい。
【0016】
前記貸し室として利用できない設備は、前記計画敷地に建築可能な建物の規模に応じた階段数、エレベータ台数および駐車場の少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
前記コンピュータを、さらに、前記計画敷地が設定されたエリアの指定をユーザから受け付け、前記エリアの賃料相場を取得して前記ディスプレイに表示させる賃料相場取得手段として機能させてもよい。
【0018】
前記賃料相場取得手段は、前記エリアにおける用途地域、建物用途、建物規模および建築年の少なくとも1つとともに前記賃料相場を表示させてもよい。
【0019】
前記事業収支算出手段は、前記建築可能な建物の規模も考慮して、前記事業収支を算出してもよい。
【0020】
本発明の別の態様によれば、計画敷地設定手段が、ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出するステップと、法規制設定手段が、前記計画地における建築関連法規制に対応した建築関連法規制を設定するステップと、建物規模算出手段が、前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出するステップと、貸し室面積算出手段が、前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出するステップと、事業収支算出手段が、前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出するステップと、とを備える事業収支情報生成方法が提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定するとともに、前記計画敷地の敷地面積を算出する計画敷地設定手段と、前記計画地における建築関連法規制を設定する法規制設定手段と、前記算出された敷地面積と、前記設定された建築関連法規制と、に基づいて、前記計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する建物規模算出手段と、前記建築可能な建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する貸し室面積算出手段と、前記貸し室面積と、賃料相場と、に基づいて、事業収支を算出する事業収支算出手段と、を備える事業収支情報生成システムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
建物を建てる場合の事業収支の情報を効率よく生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態に係る事業収支情報生成システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】
図1の事業収支情報生成システムの処理動作の一例を示すフローチャート。
【
図3】計画地および計画敷地を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図4】敷地境界線条件を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図5A】建築関連法規制を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図5B】建築関連法規制を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図5C】建築関連法規制を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図6】階高を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図7】ディスプレイ11に表示される建築可能な建物の3D表示の一例を模式的に示す図。
【
図8】建物条件を設定するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図9】算出された建築可能な建物規模とその貸し室面積を表示する画面を模式的に示す図。
【
図10A】事業収支の収支計画・支出計画を入力するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図10B】賃料相場を取得するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図11A】賃料相場を自動取得するためにディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図11B】ディスプレイに表示される賃料相場を示す画面を模式的に示す図。
【
図11C】クリップされた建物の賃料等を示す画面を模式的に示す図。
【
図12A】物件概要の情報を取得するためディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図12B】予算計画の情報を取得するためディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図12C】借入計画の情報を取得するためディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図12D】想定利回りの情報を取得するためディスプレイ11に表示される画面の一例を模式的に示す図。
【
図13】算出された事業収支を表示する画面を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
図1は、一実施形態に係る事業収支情報生成システムの概略構成を示すブロック図である。事業収支情報生成システムは、ユーザ端末1と、事業収支情報生成装置2とを備え、これらがネットワークを介して通信可能に接続されている。本実施形態の事業収支情報生成システムは、ユーザ端末1からネットワークを介して事業収支情報生成装置2を利用する、いわゆるクラウド型のシステムとなっている。
【0026】
ユーザ端末1はユーザが用いるパソコン、タブレット、スマートフォンなどである。ユーザ端末1は種々の情報を表示するディスプレイ11を有する。また、ユーザ端末1はユーザ操作を受け付けるための入力インターフェース12(マウス、キーボード、タッチパネルなど)を有する。さらに、ユーザ端末1は事業収支情報生成装置2とデータの送受信を行う通信部13を有する。
【0027】
事業収支情報生成装置2は、ユーザ操作受信部21と、データ送信部22と、建物規模情報生成部24と、事業収支情報生成部25とを有する。これらの機能の一部または全部は事業収支情報生成装置2が有するプロセッサが記憶手段23に記憶された所定のプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0028】
ユーザ操作受信部21は、ユーザ端末1の入力インターフェース12に対してなされたユーザ操作を、ユーザ端末1から受信する。
【0029】
データ送信部22はユーザ端末1のディスプレイ11に所定の画面を表示させるためのデータを送信する。所定の画面とは、例えば後述する
図3等に示す画面である。各画面は任意のWebブラウザ上で表示されるのが望ましい。
【0030】
建物規模情報生成部24は、ユーザ所望の計画敷地に、建築関連法規制を満たすよう建築可能な建物の規模を算出する。建物規模情報生成部24は、従来、建築士が行っていた検討を簡易的に行うものとも言える。もちろん、専門家が適切な数値を設定することにより、建物規模情報生成部24は本格的な建物規模の算出を行うこともできる。なお、建物規模情報生成部24は、あらゆる建築関連法規制を考慮しなくてもよく、建物規模を簡易的に算出することを目的として、一部の建築関連法規制(例えば、日影、高度、斜線制限)のみを考慮し、一部の建築関連法規制(例えば、地方自治体が定める条例)を考慮しなくてもよい。
【0031】
建物規模情報生成部24は、計画敷地設定部241と、敷地境界線設定部242と、法規制設定部243と、階高設定部244と、建物規模算出部245と、建物3D画像表示部246とを有する。
【0032】
計画敷地設定部241は、ユーザ操作に基づいて、計画地および計画敷地を設定する。計画地とは、ユーザが建物を建てることを計画している場所を示す情報であり、例えば住所(あるいはその一部)で表される。計画敷地は建物を建てることを計画している敷地の平面的な形状を示す情報である。また、計画敷地設定部241は計画敷地の面積(以下「敷地面積」という。)を算出する。
【0033】
敷地境界線設定部242は計画敷地の境界線に関する情報を設定する。具体例として、敷地境界線設定部242は、計画敷地の各境界線が道路であるか、隣地であるか等を設定する。
【0034】
法規制設定部243は計画地における建築関連法規制に対応した建築関連法規制を設定する。法規制設定部243は、必要な建築関連法規制の一部またはすべてをユーザ操作によって取得してもよいが、必要な建築関連法規制の少なくとも一部を国土交通省から提供される国土数値情報に基づいて設定するのが望ましい。また、法規制設定部243は、当該国土数値情報に基づく選択肢からユーザ操作によって選択された選択肢に基づいて、建築関連法規制の少なくとも一部を設定してもよい。
【0035】
階高設定部244は、ユーザ操作に基づいて、建てることを計画している建物の階高についての設定を行う。階高として、基準階階高と、1階階高を指定できてもよい。また、2階や3階などユーザが特殊階として基準階とは異なる階高を設定できてもよい。
【0036】
建物規模算出部245は、計画敷地設定部241によって算出された敷地面積、敷地境界線設定部242によって設定された敷地境界条件、法規制設定部243によって設定された建築関連法規制、および、階高設定部244によって設定された階高に基づいて、計画敷地に建築可能な建物の規模を算出する。
【0037】
建物3D画像表示部246は、計画敷地設定部241によって算出された敷地面積、敷地境界線設定部242によって設定された敷地境界条件、法規制設定部243によって設定された建築関連法規制、および、階高設定部244によって設定された階高に基づいて、計画敷地に建築可能な建物の模式的な3D画像を生成し、ユーザ端末1のディスプレイ11に表示させる。
【0038】
事業収支情報生成部25は建物規模情報生成部24によって生成された建物の規模に基づく事業収支情報を生成する。事業収支情報生成部25は、従来、不動産業者や金融業者が行っていた検討を簡易的に行うものともいえる。事業収支情報生成部25は、貸し室面積算出部251と、賃料相場取得部252と、事業収支算出部253とを有する。
【0039】
貸し室面積算出部251は、建物規模算出部245によって算出された建物の規模に基づいて、貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する。貸し室面積算出部251は、例えば建物の規模に応じて必要となる階段、エレベータ、駐車場といった貸し室として利用できない設備の面積を考慮して、貸し室面積を算出することができる。
【0040】
賃料相場取得部252は計画地における賃料相場を取得する。賃料相場取得部252は、ユーザ操作に応じて入力された賃料を取得してもよいし、自動で取得してもよい。自動取得の手法に制限はないが、例えば事前に収集しておくことによって、賃料相場取得部252は賃料相場を取得してよい。
【0041】
事業収支算出部253は、貸し室面積算出部251によって算出された貸し室面積と、計画地における賃料相場とに基づいて、事業収支を算出する。
【0042】
なお、
図1に示す各機能部の一部または全部はユーザ端末1内にあってもよいし、事業収支情報生成装置2とユーザ端末1とが協働して実現されてもよい。すなわち、これら各部は事業収支情報生成システムが備えていればよい。
【0043】
また、事業収支情報生成装置2は記憶手段23を有し、各機能部が設定した情報を記憶したり、算出結果を記憶したりする。
【0044】
図2は、
図1の事業収支情報生成システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。同図のステップS1~S5にて、従来は建築士が行っていた建物規模の算出を建物規模情報生成部24が行う。また、同図のステップS6~S8にて、従来は不動産業者や金融業者が行っていた事業収支の算出を事業収支情報生成部25が行う。以下、具体的な画面例とともに説明する。
【0045】
まず、計画敷地設定部241は、次のようにして計画地および計画敷地を設定し、かつ、計画敷地の敷地面積を算出する(ステップS1)。
【0046】
すなわち、計画敷地設定部241は、
図3に示すような、計画地および計画敷地を設定するための画面をユーザ端末1のディスプレイ11に表示させる。以下、ユーザは東京都中央区A町におけるB駅の近くの特定の地に建物を建てることを検討しているとする。
【0047】
図3の設定画面はユーザが計画地(建物を建てることを検討している場所)を入力するための欄を含む。この欄に入力された情報に基づいて計画敷地設定部241は計画地を設定する。計画地は、例えば住居表示であってよく、地名地番を含んでもよい。
図3では、計画地として「東京都中央区A町」が入力された例を示している。
【0048】
また、設定画面はユーザが計画地における地図検索を行うための検索欄を含む。この検索欄に入力された情報に基づいて計画敷地設定部241は地図を表示させる。この地図は、例えばgoogle(登録商標)によって提供される地図であってもよい。
図3では、検索欄に「B駅」が入力され、計画敷地設定部241がB駅およびその周辺を含む地図を表示させた状態を例示している。
【0049】
ユーザは地図上において、計画敷地(建物を建てることを検討している敷地の平面的な形状)を特定する。一例として、ユーザは地図上に複数の点を指定する。そして、計画敷地設定部241は指定された点で囲まれた領域を計画敷地として設定する。
図3では、4点p1~p4が指定され、矩形の領域が計画敷地とされる例を示している。
【0050】
なお、ユーザは点を順次に指定できるが、「1つ戻す」ボタンを選択することによって直前に指定した1つの点をキャンセルすることができ、「ピンのリセット」ボタンを選択することによって指定した全ての点をキャンセルすることができる。
【0051】
ユーザは全ての点を指定した後、「敷地面積の測定」ボタンを選択する。これにより、計画敷地設定部241は計画敷地の面積を算出する。計画敷地設定部241は、例えば表示されている地図の縮尺を考慮して、複数の点によって囲まれた領域の面積を敷地面積として算出することができる。算出された敷地面積は
図3の「敷地面積」の欄に表示される。
【0052】
なお、
図3では、「計画地」に「解説」アイコンが関連付けて設けられる。このアイコンが選択されると、「計画地」についての解説を記載したWebページが表示されるようにするのが望ましい。同図の「地図検索」や他の画面についても同様である。
【0053】
そして、ユーザが
図3の「敷地境界線条件入力へ」ボタンを選択することにより、計画敷地の設定が完了する。ステップS1で設定された情報は、必要に応じて記憶手段23に記憶される。
【0054】
続いて、敷地境界線設定部242は、次のようにして、計画敷地設定部241によって設定された計画敷地の敷地境界線条件を設定する(
図2のステップS2)。
【0055】
すなわち、計画敷地設定部241は、
図4に示すような、敷地境界線条件を設定するための画面をユーザ端末1のディスプレイ11に表示させる。
図3において矩形の領域が計画敷地として設定されたため、計画敷地は4つの境界線B1~B4を含む。そのそれぞれについて、計画敷地設定部241は敷地境界線条件を設定する。
【0056】
敷地境界線条件は境界種別を含み得る。境界種別として、例えば建築基準法による「道路」、「2項道路」、「3項道路」、「隅切り」および「隣地」のいずれかを選択可能であってよい。境界種別が「道路」、「2項道路」および「3項道路」のいずれかである場合、敷地境界線情報は道路幅員(具体例として、始点道路幅員および終点道路幅員)を含み得る。その他、境界種別として「特定道路」を選択可能とし、道路幅員に対して「見なし道路幅」的に緩和できる条件を入力可能であってもよい。また、「特定道路」については、例えば後の
図5Bの画面で設定できてもよい。
【0057】
図4の例では、ユーザ操作に応じて、境界線1(符号B1)、境界線2(符号B2)および境界線3(符号B3)は「隣地」に設定され、境界線4(符号B4)は始点道路幅員および終点道路幅員が10mの「道路」に設定された例を示している。
【0058】
図4に示すように、敷地境界線設定部242は、地図と計画敷地を表示させた状態でユーザ操作を受け付け、境界条件を設定するのが望ましい。より具体的には、敷地境界線設定部242は、各境界線についての幅員が入力された際に、地図上に道路幅を模式的に表示する。これにより、ユーザは入力した幅員が適切か否かを簡易に把握できる。
【0059】
そして、ユーザが「用途地域入力画面へ」ボタンを選択することにより、敷地境界線の設定が完了する。ステップS2で設定された情報は、必要に応じて記憶手段23に記憶される。
【0060】
続いて、法規制設定部243は、次のようにして、計画敷地設定部241によって設定された計画地における建築関連法規制に対応する建築関連法規制を設定する(
図2のステップS3)。
【0061】
例えば、ユーザは国土交通省が提供する国土数値情報のうち、計画地を含む国土数値情報の電子ファイルを国土交通省のWebページ(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-A29-v2_1.html)から取得(ダウンロード)する。法規制設定部243がこのWebページへのリンクをユーザ端末1に提供するのが望ましい。そして、ユーザは取得した国土数値情報の電子ファイルを事業収支情報生成装置2に提供(アップロード)する。これにより、法規制設定部243は
図5A~
図5Cに示すような、建築関連法規制を設定するための画面をユーザ端末1のディスプレイ11に表示させる(
図5Aを下にスクロールしたものが
図5Bであり、
図5Bを下にスクロールしたものが
図5Cであり、
図5A~
図5Cは一続きの画面である)。なお、事業収支情報生成装置2に提供された建築関連法規制に計画地が含まれない場合、法規制設定部243はその旨のエラー表示をしてもよい。
【0062】
図5A~
図5Cの画面は、建築関連法規制の例として、用途種別や指定建ぺい率といった複数の項目を含む。なお、図示の項目は例示であり、一部の項目を省略してもよいし、他の項目を含んでいてもよい。
【0063】
これらの項目のうちの一部(例えば、用途種別や指定建ぺい率、指定容積率)については、アップロードされた国土数値情報に基づいて、法規制設定部243がデフォルトで自動的に設定したものである。必要に応じて、ユーザは各項目のデフォルト設定を変更してもよい。
【0064】
また、
図5A~
図5Cにおける項目のうちの一部(例えば、道路斜線制限条件や隣地斜線制限条件)については、アップロードされた国土数値情報に基づく選択肢が法規制設定部243によってディスプレイ11に表示される。そして、ユーザは表示された選択肢のうち適切なものを選択する。
【0065】
また、
図5A~
図5Cにおける項目のうちの一部(例えば、防火地域)については、ユーザ自身が法規情報を確認し、入力する。
【0066】
各項目への設定の必要な変更、選択、入力が完了すると、ユーザは「完了」ボタン(
図5B)を選択する。これにより、各項目に設定された内容に基づいて、法規制設定部243は計画地における建築関連法規制に対応する建築関連法規制を設定する。ステップS3で設定された情報は、必要に応じて記憶手段23に記憶される。
【0067】
続いて、階高設定部244は、次のようにして、建てることを検討している建物の階高についての設定を行う(
図2のステップS4)。ステップS4で設定された情報は、必要に応じて記憶手段23に記憶される。
【0068】
すなわち、階高設定部244は
図6に示すような階高を設定するための画面をユーザ端末1のディスプレイ11に表示させる。ユーザはこの画面における基準階階高および1階階高を入力する。また、2階や3階などユーザが特殊階として基準階とは異なる階高を設定できてもよい。そして、ユーザは「保存」ボタンを選択する。これにより、階高設定部244は入力された値に基づいて階高を設定する。
【0069】
以上により、計画敷地に建築可能な建物の規模を算出するための情報が記憶手段23に揃う。この情報に基づき、建物規模算出部245は計画敷地に建築可能な建物の規模(具体例として、法定容積対象床面積や各階の床面積)を算出する(
図3のステップS5)。
【0070】
建物の規模の基準となるのは、ステップS1で設定された計画敷地の面積である。ただし、実際の建築にあたっては、計画地(ステップS1で設定)や計画敷地の境界線(ステップS2で設定)との関係における建築関連法規制(ステップS3で設定)の制約がある。また、階高(ステップS4で設定)が高いほど建設可能な床面積が小さくなる。これらの条件下において建設可能な建物の規模を建物規模算出部245が算出する。
【0071】
なお、より簡易に建物規模を算出すべく、ステップS1~S4のうち一部を省略してもよい。あるいは、精度よく建物規模を算出すべく、建物規模算出部245は他の情報を参照してもよい。
【0072】
そして、建物3D画像表示部246は、上記の情報に基づいて建築可能な建物の外形を求め、
図7に示すようにユーザ端末1のディスプレイ11に3D画像として表示してもよい。
【0073】
建築可能な建物の規模が算出されると、これに基づいて事業収支情報生成部25は事業収支情報を生成する。
【0074】
具体的には、貸し室面積算出部251は建築可能な建物の規模から貸し室として利用可能な貸し室面積を算出する(
図2のステップS6)。簡便には、貸し室面積算出部251は建築可能な建物の規模に応じた面積に所定の係数(予め定めた値でもよいし、ユーザが設定できてもよい)を乗じて貸し室面積を算出してもよい。より精度よく貸し室面積を算出するために、建物条件を考慮してもよい。
【0075】
図8は、建物条件を設定するための画面である。建物条件として、例えば階段数、エレベータ台数、駐車場など貸し室として利用できない設備の情報等が建物規模に応じてデフォルト設定されており、ユーザは必要に応じてこれを変更できる(例えば、
図5Cで設定される駐車場条例等に基づいて、駐車台数がデフォルト設定される)。そして、貸し室面積算出部251は、建築可能な建物の規模と、これら建物条件とに基づいて、貸し室面積を算出する。必要に応じて、ユーザの判断により任意の数値を貸し室面積として設定してもよい。
【0076】
なお、
図8では基準階のみの専有率を設定可能な例を示しているが、1階、その他ユーザが設定する特殊階の専有率も設定できてもよい。また、同図の「計画建ぺい率」は、
図5Aで設定された「指定建ぺい率」と計画上限の建ぺい率(ただし、建ぺい率が100%であっても上限が90%とされる)に基づいて算出された値がデフォルト表示される。
【0077】
また、必ずしも
図8の全項目を設定しなくてもよい。例えば、いわゆるコア面積(階段やエレベータ等が占める面積)やその比率のみを設定し、階段数やエレベータ台数を設定しなくてもよい。また、専有面積(各階の貸し室面積)もしくはその比率のみを設定し、その他を設定しなくてもよい。
【0078】
図9は、算出された建築可能な建物規模とその貸し室面積を表示する画面を模式的に示す図である。同図では、貸し室面積の例として各階の専有面積が表示される。
【0079】
続いて、賃料相場取得部252は、次のようにして、計画敷地設定部241によって設定された計画地における賃料相場を取得する(
図2のステップS7)。
【0080】
すなわち、賃料相場取得部252は、
図10Aおよび
図10Bに示すような事業収支の収支計画・支出計画を入力するための画面をユーザ端末1のディスプレイ11に表示させる(
図10Aを下にスクロールしたものが
図10Bであり、
図10Aと
図10Bは一続きの画面である)。この画面に賃料を設定する欄が含まれる。そして、ユーザが計画地における賃料(例えば、1月当たり1坪当たりの賃料)の相場を入力し、これに基づいて賃料相場取得部252は賃料相場を取得する。
【0081】
ここで、ユーザが必ずしも計画地における賃料相場を把握しているとは限らない。そこで、賃料相場取得部252が事前に収集するなどにより計画地の賃料相場を自動取得してユーザに提示するのが望ましい。
【0082】
図11Aは、賃料相場を自動取得するための画面であり、例えば
図10Aの「賃料を検索したい方はこちら」をクリックすることでユーザ端末1のディスプレイ11に表示される。ユーザが、計画地に対応するエリアあるいは駅を「エリア・駅」欄に入力し、必要に応じて駅からの距離、建物用途、竣工時期(建築年)といった条件を設定し、「検索」ボタンをクリックすると、賃料相場取得部252は計画地における該当条件下での賃料相場を表示させる。
【0083】
図11Bは、ディスプレイに表示される賃料相場を示す画面を模式的に示す図である。図示のように、検索条件を満たす建物のそれぞれについて、賃料、建物用途、用途地域、専有面積等が表示され、かつ、単位面積当たりの平均賃料が表示される。このようにして、ユーザは簡易に(例えば不動産業者に問い合わせる必要なく)賃料相場を把握できる。ここで表示される賃料相場を参照して、ユーザは
図10Aの画面に対して賃料相場を入力する。
【0084】
なお、ユーザが類似している建物を調べやすいよう、表示される建物を並べ替え可能であってもよい。例えば、賃料相場取得部252は、ユーザからの選択に応じて、建物を住所の順、賃料の順、建物用途の順、用途地域の順、専有面積の順、敷地面積の順、建築面積の順、竣工時期の順に並べ替えてもよい。これにより、ユーザは計画している建物と近い建物の賃料相場を把握しやすくなる。
【0085】
また、ユーザが選択した建物を「クリップ」できてもよい。すなわち、
図11Bの画面では、各建物にクリップボタンが対応付けて設けられる。そして、ユーザは関心がある任意の建物(例えば、計画している建物と近い建物)に対応付けられたクリップボタンを選択できる。そして、賃料相場取得部252は選択されたクリップボタンについてのみ、賃料等を表示させる(
図11C)。これにより、関心がある建物について、後日改めて賃料を確認することも可能となる。
【0086】
賃料相場に加え、より正確に事業収支を算出すべく、賃料相場取得部252は、
図10Aおよび
図10Bに示す他の賃貸計画(収入および支出)に関する情報として、賃料相場に応じた共益費、維持管理費、修繕費、公租公課などを取得してもよい。賃料相場取得部252は、入力された賃料相場に応じた共益費等の一般的な数値を自動計算し、デフォルト設定してもよい(必要に応じてユーザが変更可能)。これにより、ユーザがファイナンスの専門家でなくても、一定程度の精度での自動収支を算出できる。
【0087】
必要に応じて、事業収支算出部253は
図12Aに示すような画面を表示させることにより物件概要の情報を取得する。物件概要の一部または全部は建物の規模に応じて自動設定されるものであり、ユーザが変更できてもよい。
【0088】
また、必要に応じて、事業収支算出部253は
図12Bに示すような画面を表示させることにより予算計画の情報を取得する。予算計画の一部の項目(例えば、建築費や設備割合)はユーザが入力するものであってよく、一部の項目(例えば減価償却年数)は一般的な数値がデフォルト設定されてよい。
【0089】
また、必要に応じて、事業収支算出部253は
図12Cに示すような画面を表示させることにより借入計画の情報を取得し、
図12Dに示すような画面を表示させることにより想定利回りの情報を取得する。借入計画や想定利回りはユーザが入力するものであってよい。
【0090】
そして、事業収支算出部253は、貸し室面積および賃料相場に基づき、事業収支を算出する(
図2のステップS8)。具体的には、事業収支算出部253は貸し室面積および賃料相場などに応じた収入を考慮して、事業収支を算出する。事業収支算出部253は、ステップS5で算出される建物規模などに応じた支出(建築費など)を考慮してもよい。建築費は建物規模と、単位面積当たりの単価(デフォルト値あるいはユーザ設定値)から自動算出され得る。
【0091】
図13は、算出された事業収支を表示する画面を模式的に示す図である。事業収支の例として、初年度NOI(Net Operating Income)、初年度NOI利回り、NOI累積額、売却時収益価格が算出される。なお、同図では初年度のNOIおよび利回りを表示する例を示しているが、ユーザが何年目のNOI等を表示させるかを選択できてもよい。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、建築士による専門知識を要する建築可能な建物規模の算出と、不動産業者や金融業者による専門知識を要する事業収支の算出をまとめて行うことができる。そのため、専門知識に乏しいユーザであっても、投資判断の初期検討に適用可能な精度で事業収支の情報を生成できる。
【0093】
なお、
図2のフローは一例にすぎず、各処理の一部のみを行えるようにしてもよい。例えば、用途検索や賃料相場の検索など部分的に使用できてもよい。また、まずは賃料相場の検索(ステップS7)を行い、その後に建物規模の算出(ステップS1~S5)を行うなど、処理の順をユーザが指定できてもよい。
【0094】
本明細書で言及したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録して頒布されてもよいし、インターネットなどの通信回線(無線通信も含む)を介して頒布されてもよいし、任意の端末にインストールされた状態で頒布されてもよい。
【0095】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形例を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0096】
例えば、本明細書において1台の装置として説明されるもの(図面において1台の装置として描かれているものを含む)を複数の装置によって実現してもよい。逆に、本明細書において複数の装置として説明されるもの(図面において複数の装置として描かれているものを含む)を1台の装置によって実現してもよい。あるいは、ある装置(例えばサーバ)に含まれるとした手段や機能の一部または全部が、他の装置(例えばユーザ端末)に含まれるようにしてもよい。
【0097】
また、本明細書に記載された事項の全てが必須の要件というわけではない。特に、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載されていない事項は任意の付加的事項ということができる。
【0098】
なお、本出願人は本明細書の「先行技術文献」欄の文献に記載された文献公知発明を知っているにすぎず、本発明は必ずしも同文献公知発明における課題を解決することを目的とするものではないことにも留意されたい。本発明が解決しようとする課題は本明細書全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本明細書において、特定の構成によって所定の効果を奏する旨の記載がある場合、当該所定の効果の裏返しとなる課題が解決されるということもできる。ただし、必ずしもそのような特定の構成を必須の要件とする趣旨ではない。
【符号の説明】
【0099】
1 ユーザ端末
11 ディスプレイ
12 入力インターフェース
13 通信部
2 事業収支情報生成装置
21 ユーザ操作受信部
22 データ送信部
23 記憶手段
24 建物規模情報生成部
241 計画敷地設定部
242 敷地境界線設定部
243 法規制設定部
244 階高設定部
245 建物規模算出部
246 建物3D画像表示部
25 事業収支情報生成部
251 貸し室面積算出部
252 賃料相場取得部
253 事業収支算出部