(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160730
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】サイレンサ
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20221013BHJP
F04C 15/06 20060101ALI20221013BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G10K11/16 100
F04C15/06 Z
F04C29/06 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065092
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000127123
【氏名又は名称】株式会社アンレット
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】横井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮知
(72)【発明者】
【氏名】竹田 昌史
【テーマコード(参考)】
3H044
3H129
5D061
【Fターム(参考)】
3H044BB03
3H044BB04
3H044CC11
3H044DD12
3H044DD15
3H044DD24
3H129AA06
3H129AB02
3H129BB21
3H129CC28
3H129CC35
5D061EE13
5D061EE24
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で、吸音材21やフィルタ材22の交換作業が容易なサイレンサ10を提供すること。
【解決手段】ボルト17によるステー16の頭部16bとケース本体12の上面12aの連結を解除し、ケース底面13からケース本体12を取り外す。ケース本体12の上面12aとケース底面13で挟持されていたエレメント部材20が開放されるので、ケース底面13に載置されているエレメント部材20をケース底面13から取り下ろすことができる。ケース本体12の上面12aとケース底面13でエレメント部材20を挟持しているので、ボルト17を緩めてケース本体12の上面12aとケース底面13の連結を解除すれば、ケース11に収納されているエレメント部材20を簡単にケース11から取り出すことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音材と、外気をろ過するフィルタ材を備え、ブロワの吸込み口に接続されるサイレンサであって、
周面に多数の通孔を形成した消音用の内筒と外筒から成る二重筒構造を有し、内筒と外筒の間に吸音材を充填した吸音筒と、周面に多数の通孔を形成したフィルタ用の内筒と外筒から成る二重筒構造を有し、内筒と外筒の間にフィルタ材を充填したフィルタ筒を有し、吸音筒とフィルタ筒を同心状に配置し、吸音筒とフィルタ筒を筒連結手段で一対に連結したエレメント部材と、
エレメント部材を収納するケースを備え、
ケースをケース本体と、ケース本体の下端開口部に着脱可能に嵌合したケース底面で構成し、
ケース底面にケースの内外を連通する複数の底面吸込口を形成し、
ケース底面の中央部にブロワの吸込口に接続される短管を垂設し、
周面に多数の通孔が形成された筒構造のステーを短管に連通するようにケース底面からケース内に立設し、
エレメント部材をステーが貫通するようにケース底面に載置してケースに収納し、
ケース本体の上面とステーの頭部をステー連結手段で解除可能に連結し
フィルタ筒又は吸音筒の上端部をケース本体の上面に当接させ、フィルタ筒又は吸音筒の下端部を底面に当接させてエレメント部材をケース本体の上面とケース底面で挟持し、
底面吸込口からケースの中に吸引された外気がフィルタ筒と吸音筒を通過し、さらにステーを通って短管からブロワへ吸引されるようにしたことを特徴とするサイレンサ。
【請求項2】
内径が内側から外側へ漸増する多数の膨張穴を形成した底面吸込管を底面吸込口に連通し、ケース内に突出するようにケース底面に立設したことを特徴とする請求項1に記載のサイレンサ。
【請求項3】
筒連結手段として、外側リング溝と内側リング溝を形成したフランジを備え、フィルタ筒の下端部を一方のリング溝に着脱可能に嵌着し、吸音筒の下端部を他方のリング溝に着脱可能に嵌着したことを特徴とする請求項1に記載のサイレンサ。
【請求項4】
ステー連結手段としてボルトを用いたことを特徴とする請求項1に記載のサイレンサ。
【請求項5】
ケース底面にドレン管を設けたことを特徴とする請求項1に記載のサイレンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材と、外気をろ過するフィルタ材を備え、ブロワの吸込口に接続されるサイレンサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のサイレンサの一形式が実用新案登録第3001902号公報に開示されている。このサイレンサは、多数の通孔を周面に形成した内筒と外筒を有し、内筒と外筒の間に吸音材を充填し、下端部に取付フランジを設けた吸音筒と、吸音筒を収納するケースを備え、ケースの底面から吸音筒が露出するように吸音筒をケースに収納し、吸音筒の露出部分にケースと略同径の網管を装着し、網管とケースを囲むようにフィルタ材が巻回されている。
【0003】
上記したサイレンサによれば、吸音材のフランジをルーツブロワの吸込口に接続し、ルーツブロワを運転すると、外気がフィルタ材を通過し、吸音筒の露出部分から吸音筒の内部に吸引され、吸音筒を通ってルーツブロワのロータ室に吸引される。そして、外気がフィルタ材でろ過され、吸音筒を通過するとき消音される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のサイレンサは構造が複雑であるたけでなく、吸音材を交換する場合、網管とケースに巻回されているフィルタ材を取り外し、ついで網管を吸音筒の露出部分から取り外す。次にケースから吸音筒を取り出して、吸音材を吸音筒から抜き取る作業を行わなければならない。そのため吸音材の交換作業が甚だ面倒で時間を要する。
本発明はかかる点に鑑み、構造が簡単で、吸音材やフィルタ材の交換作業が容易なサイレンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
吸音材と、外気をろ過するフィルタ材を備え、ブロワの吸込み口に接続されるサイレンサであって、
周面に多数の通孔を形成した消音用の内筒と外筒から成る二重筒構造を有し、内筒と外筒の間に吸音材を充填した吸音筒と、周面に多数の通孔を形成したフィルタ用の内筒と外筒から成る二重筒構造を有し、内筒と外筒の間にフィルタ材を充填したフィルタ筒を有し、吸音筒とフィルタ筒を同心状に配置し、吸音筒とフィルタ筒を筒連結手段で一対に連結したエレメント部材と、
エレメント部材を収納するケースを備え、
ケースをケース本体と、ケース本体の下端開口部に着脱可能に嵌合したケース底面で構成し、
ケース底面にケースの内外を連通する複数の底面吸込口を形成し、
ケース底面の中央部にブロワの吸込口に接続される短管を垂設し、
周面に多数の通孔が形成された筒構造のステーを短管に連通するようにケース底面からケース内に立設し、
エレメント部材をステーが貫通するようにケース底面に載置してケースに収納し、
ケース本体の上面とステーの頭部をステー連結手段で解除可能に連結し
フィルタ筒又は吸音筒の上端部をケース本体の上面に当接させ、フィルタ筒又は吸音筒の下端部を底面に当接させてエレメント部材をケース本体の上面とケース底面で挟持し、
底面吸込口からケースの中に吸引された外気がフィルタ筒と吸音筒を通過し、さらにステーを通って短管からブロワへ吸引されるようにしたことを特徴とする。
【0007】
そして好ましくは、内径が内側から外側へ漸増する多数の膨張穴を形成した底面吸込管を底面吸込口に連通し、ケース内に突出するようにケース底面に立設する。
【0008】
好ましくは、筒連結手段として、外側リング溝と内側リング溝を形成したフランジを備え、フィルタ筒の下端部を一方のリング溝に着脱可能に嵌着し、吸音筒の下端部を他方のリング溝に着脱可能に嵌着する。
好ましくは、ステー連結手段としてボルトを用いる。
また、好ましくは、ケース底面にドレン管を設ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るサイレンサによれば、短管をブロワの吸込口に接続し、ブロワを運転すると、外気が底面吸込口からケースの中に吸引される。吸引された外気はフィルタ筒と吸音筒を通過し、さらにステーを通って短管からブロワへ吸引される。サイレンサ内に吸引された外気はフィルタ筒を通るときろ過されて異物が除去され、吸音筒を通過するとき消音される。
【0010】
吸音材やフィルタ材を交換する場合、ステー連結手段によるステーの頭部とケース本体の上面の連結を解除し、ケース底面からケース本体を取り外す。これによりケース本体の上面とケース底面で挟持されていたエレメント部材が開放されるので、ケース底面に載置されているエレメント部材をケース底面から取り下ろす。そして、吸音筒から吸音材を抜き取って新品に交換する。同様にフィルタ筒からフィルタ材を抜き取って新品に交換する。
【0011】
本発明によれば、ケース本体の上面とケース底面でエレメント材を挟持しているので、ステー連結手段によりケース本体の上面とケース底面の連結を解除すれば、ケースに収納されているエレメント部材を簡単にケースから取り出すことができる。
また、フィルタ筒と吸音筒は筒連結手段で一体的に連結されているので、フィルタ筒と吸音筒を同時に取り出すことができ、フィルタ材や吸音材の交換作業を簡単、迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例に係るサイレントと、同サイレンサを取り付けたルーツブロワを示す断面図である。
【
図3】同サイレンサのエレメント部材を示す断面図である。
【
図4】同サイレンサのサイレンサ吸込管を示す断面図である。
【実施例0013】
以下に本発明を図面に基づき説明する。
図1~
図3には本発明の一実施例に係るサイレンサ10が示されている。当該サイレンサ10はルーツブロワ30の吸込口31に接続して使用されるものであって、箱型のケース11を備え、ケース11にエレメント部材20が内蔵されている。
【0014】
ケース11はケース本体12とケース底面13から成り、ケース本体12は下端に開口面12aが形成され、開口面12aにケース底面13が嵌着され、開口面12aが覆蓋されている。
【0015】
ケース底面13の中央部にはケース11の内外を連通する短管14が垂設され、ケース本体12の外部へ突出し、突出端部にはルーツブロワ30の吸込口31に接続されるフランジ15が設けられている。また、ケース底面13には筒構造を有するステー16が立設され、ケース本体12の中へ突出している。ステー16の周面にはステー16の内外を連通する通孔16aが多数形成されている。ステー16の頭部16bは平坦に形成され。頭部16bにボルト17が立設されている。ケース底面13にはケース11の内外を連通する複数個の底面吸込口13aがステー16を囲むようにリング状に配列して形成されている。ケース底面13には底面吸込口13aに連通する底面吸込管18が立設され、ケース本体11内に突出するように立設されている。
図4に示すように、この底面吸込管18の周面には底面吸込管18の内外を連通し、内端部から外端部へと内径が漸増する多数の膨張孔18aが形成されている。また、ケース底面13にはドレン管19が垂設されている。
【0016】
エレメント部材20は吸音材21と外気をろ過するフィルタ材22を備えている。吸音材21は吸音筒23に充填されている。この吸音筒23は、消音用の内筒23aと外筒23bから成る二重筒構造を有し、内筒23aと外筒23bの周面には多数の通孔23cが形成されている。同様に、フィルタ材22はフィルタ筒24に充填されている。このフィルタ筒24はフィルタ用の内筒24aと外筒24bから成る二重筒構造を有し、内筒24aと外筒24bの周面には多数の通孔24cが形成されている。
【0017】
吸音筒23とフィルタ筒24は同心状に配列され、それぞれの下端部に下部フランジ25が組み付けられている。この下部フランジ25は内側リング溝25aと外側リング溝25bの2本のリング溝25a,25bが設けられ、内側リング溝25aに吸音筒23の下端部が嵌着し、外側リング溝25bにフィルタ筒24の下端部が嵌着している。吸音筒23とフィルタ筒24はこの下部フランジ25によって一体に連結されている。吸音筒23の上端部には第1上部フランジ26が組み付けられている。第1上部フランジ26には1本のリング溝26aが設けられ、リング溝26aに吸音筒23の上端部が嵌着している。フィルタ筒24の上端部には第2上部フランジ27が組み付けられている。第2上部フランジ27には1本のリング溝27aが設けられ、リング溝27aにフィルタ筒24の上端部が嵌着している。
【0018】
エレメント部材20は、ステー16が貫通し、底面吸込口13aのリング列の内側に配置されるようにケース底面13に載置してケース11に収納される。そして、ケース本体12の上面12aとステー16の頭部16aをボルト17とナット17aで連結する。その際、第2上部フランジ27がケース本体12の上面12aに当接し、下部フランジ25がケース底面13に当接するようにボルト17の締め付け具合を調整して、エレメント部材20をケース本体12の上面12aとケース底面13で挟持する。
【0019】
本実施例に係るサイレンサ10は短管14をルーツブロワ30の吸込口31に接続して使用する。ルーツブロワ30を運転すると、外気が底面吸込口13aからケース11の中に吸引される。吸引された外気はフィルタ筒24と吸音筒23を通過し、さらにステー16を通って短管14からルーツブロワ30のロータ室32へ吸引される。サイレンサ10内に吸引された外気はフィルタ筒24を通るときろ過されて異物が除去され、吸音筒23を通過するとき消音される。ケース底面13に溜まった雨水など外気中の水分はドレン管19を通ってケース11から排出される。
【0020】
サイレンサ10の吸音材21やフィルタ材22を交換する場合、ボルト17によるステー16の頭部16bとケース本体12の上面12aの連結を解除し、ケース底面13からケース本体12を取り外す。これによりケース本体12の上面12aとケース底面13で挟持されていたエレメント部材20が開放されるので、ケース底面13に載置されているエレメント部材20をケース底面13から取り下ろす。そして、吸音筒23から吸音材21を抜き取って新品に交換する。同様にフィルタ筒24からフィルタ材22を抜き取って新品に交換する。
【0021】
本実施例に係るサイレンサ10によれば、ケース本体12の上面12aとケース底面13でエレメント部材20を挟持しているので、ボルト17を緩めてケース本体12の上面12aとケース底面13の連結を解除すれば、ケース11に収納されているエレメント部材20を簡単にケース11から取り出すことができる。
【0022】
フィルタ筒24と吸音筒23は下部フランジ25で一体的に連結されているので、フィルタ筒24と吸音筒23を同時に取り出すことができ、フィルタ材22や吸音材21の交換作業を簡単、迅速に行うことができる。
【0023】
外気が底面吸込管18を通ってケース11内に吸引されるとき、膨張孔18aを通してケース11の内部空間に膨張放出されるので、吸音材21による消音効果に加えて膨張孔18aによる消音効果を得ることができる。
【0024】
サイレンサ10を短管14でルーツブロア30に接続することでロータ室32の直近に設置したので、運転騒音をより効率的に低減できる。