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特開2022-160732自動運転車の走行制御装置および走行制御方法
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  • 特開-自動運転車の走行制御装置および走行制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160732
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】自動運転車の走行制御装置および走行制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 60/00 20200101AFI20221013BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221013BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20221013BHJP
【FI】
B60W60/00
G08G1/16 C
B60W40/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065098
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 学
(72)【発明者】
【氏名】坂本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 脩平
(72)【発明者】
【氏名】村本 政忠
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241BA70
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC20
3D241CD05
3D241DD01Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF27
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能な自動運転車において、乗員がより車酔いしにくい状況で走行できるようにした「自動運転車の走行制御装置および走行制御方向」を提供する。
【解決手段】少なくとも第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能な自動運転車の走行を制御する走行制御装置10は、自動運転車の乗員の着座方向を検出する着座方向検出部11と、検出した着座方向に基づいて自動運転車の進行方向を制御する進行方向制御部12とを備え、乗員の着座方向が自動運転車の進行方向となるように制御することにより、乗員が進行方向に対して前向きに着座することとなるようにして、乗員がより車酔いしにくい状況で走行することができるようにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能な自動運転車の走行を制御する走行制御装置であって、
上記自動運転車の乗員の着座方向を検出する着座方向検出部と、
上記着座方向検出部により検出された着座方向に基づいて、上記自動運転車の進行方向を制御する進行方向制御部とを備えた
ことを特徴とする自動運転車の走行制御装置。
【請求項2】
上記着座方向検出部により検出された着座方向が上記第1方向または上記第2方向の何れか一方である場合、上記進行方向制御部は、乗員が進行方向に対して前向きとなるように、上記着座方向検出部により検出された着座方向を進行方向とするように制御することを特徴とする請求項1に記載の自動運転車の走行制御装置。
【請求項3】
車酔いしやすい乗員をあらかじめ登録しておく乗員登録部を更に備え、
上記着座方向検出部は、上記乗員登録部により登録された乗員の着座方向を検出することを特徴とする請求項1に記載の自動運転車の走行制御装置。
【請求項4】
上記自動運転車の走行中に上記乗員の車酔い状態を推定する車酔い推定部を更に備え、
上記着座方向検出部は、上記車酔い推定部により車酔いの予兆が推定される乗員の着座方向を検出することを特徴とする請求項1に記載の自動運転車の走行制御装置。
【請求項5】
上記進行方向制御部は、少なくとも1人の乗員に対し、当該乗員が進行方向に対して前向きとなるように上記自動運転車の進行方向を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動運転車の走行制御装置。
【請求項6】
少なくとも第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能な自動運転車の走行を制御する方法であって、
走行制御装置の着座方向検出部が、上記自動運転車の乗員の着座方向を検出する第1のステップと、
上記走行制御装置の進行方向制御部が、上記着座方向検出部により検出された着座方向に基づいて、上記自動運転車の進行方向を制御する第2のステップとを有する
ことを特徴とする自動運転車の走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車の走行制御装置および走行制御方法に関し、特に、少なくとも第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能な自動運転車の走行を制御する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車の研究開発が盛んに行われている。自動運転車の自動化にはレベルが設定されており、加速、操舵、制動のいずれか1つをシステムが支援的に行うレベル1から、全ての状況下で全ての運転をシステムに任せることが可能な完全自動運転のレベル5まで存在する。自動化がレベル5に達すると、ドライバーという役割の者が必要なくなり、そのため自動運転車の動線に前後の概念もなくなる。すなわち、現在の自動車は全ての座席が車体の特定方向に向けて設置され、通常走行時はその特定方向に前進することを原則とするのに対し、レベル5の自動運転車では、現在の自動車の前方および後方のどちらの方向にも通常走行することが可能となる。前後のない座席レイアウトや車内空間デザインを有する自動運転車の開発も進められている。
【0003】
本明細書において、レベル5の自動運転車が通常走行可能な2つの進行方向を第1方向(現在の自動車の前方に相当)および第2方向(現在の自動車の後方に相当)という。前後のない座席レイアウトを有する自動運転車において、いくつかの座席を第1方向に向けて、別のいくつかの座席を第2方向に向けて設置した場合、車両の進行方向に背を向けて後ろ向きに着座する乗員が存在することになる。ところが、後ろ向きに進行する時間が長くなると、人によっては車酔いしやすくなるという問題が生じる。このような問題に鑑みて、乗員の着座方向の検出結果に基づいて、車両の運動特性(例えば加速特性)が緩やかになるように制御するようにした制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-123283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗員の着座方向が後ろ向きであることが検出された場合に、そうでない場合に比べて加速特性が緩やかになるように制御することで、多少は車酔いしにくくなる状態とすることは可能である。しかしながら、人によってはそれでも車酔いしてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、第1方向およびそれと反対の第2方向に通常走行することが可能な自動運転車において、乗員がより車酔いしにくい状況で走行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の走行制御装置は、少なくとも第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能な自動運転車の走行を制御するものであって、自動運転車の乗員の着座方向を検出し、検出した着座方向に基づいて、自動運転車の進行方向を制御するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、自動運転車の乗員の着座方向に基づいて自動運転車の進行方向を変えることが可能であり、例えば、乗員の着座方向が自動運転車の進行方向となるように制御することが可能である。このようにすれば、乗員が進行方向に対して前向きに着座することとなるので、乗員がより車酔いしにくい状況で走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自動運転車に搭載される本実施形態の走行制御装置を含む走行制御システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態の走行制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態の進行方向制御部による自動運転車の進行方向の制御例を示す図である。
図4】本実施形態による進行方向の制御のユースケースを示す図である。
図5】本実施形態による走行制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】第1の変形例に係る走行制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図7】第1の変形例に係る進行方向制御部による自動運転車の進行方向の制御例を示す図である。
図8】第2の変形例に係る走行制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、自動運転車に搭載される本実施形態の走行制御装置10を含む走行制御システムの構成例を示す図である。本実施形態の走行制御装置10が搭載される自動運転車は、完全自動運転が可能なレベル5の自動運転車であり、少なくとも第1方向およびそれと反対の第2方向に走行可能である。走行制御装置10は、このような自動運転車の走行を制御する。
【0011】
以下では説明の便宜上、第1方向は、前方と後方とが固定で決められている自動車(以下、通常自動車という)の前方に相当する方向であるものとする。第2方向は、通常自動車の後方に相当する方向であるものとする。第1方向および第2方向に走行可能とは、通常自動車が前進するのと同様の通常走行を第1方向にも第2方向にも行うことが可能という意味である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の走行制御システムは、走行制御装置10、車載カメラ20および自動運転制御装置(図1では図示せず)を備えて構成される。走行制御装置10、車載カメラ20および自動運転制御装置は、例えばCAN(Controller Area Network)、MOST(Media Oriented Systems Transport)などの車内LANを介して接続される。
【0013】
車載カメラ20は、例えば天井に装着された広角カメラであり、車内の全座席を撮影可能である。車載カメラ20により撮影された画像は、走行制御装置10に供給される。走行制御装置10は、車載カメラ20から供給された撮影画像を画像認識することによって乗員の着座方向を検出し、その検出結果に基づいて自動運転車の進行方向を制御する。
【0014】
図2は、走行制御装置10の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の走行制御装置10は、機能構成として、着座方向検出部11および進行方向制御部12を備えている。これら各機能ブロック11,12は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、各機能ブロック11,12は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0015】
着座方向検出部11は、車載カメラ20から供給される撮影画像に基づいて、自動運転車の乗員の着座方向を検出する。すなわち、着座方向検出部11は、乗員が第1方向を向いて着座しているか、第2方向を向いて着座しているかを検出する。複数人の乗員がいる場合、着座方向検出部11は乗員ごとに着座方向を検出する。
【0016】
進行方向制御部12は、着座方向検出部11により検出された着座方向に基づいて、自動運転車の進行方向を制御する。ここで、進行方向制御部12は、自動運転車の進行方向を指示する情報を自動運転制御装置30に出力することにより、自動運転車の進行方向を制御する。自動運転制御装置30は、自動運転車の自動運転を制御する機能を有するものであり、公知の技術が適用される。自動運転制御装置30が行う処理の詳細は、本発明の主題ではないので説明を割愛する。
【0017】
着座方向検出部11により検出された着座方向が第1方向または第2方向の何れか一方である場合、進行方向制御部12は、乗員が進行方向に対して前向きとなるように、着座方向検出部11により検出された着座方向を進行方向とするように制御する。すなわち、図3(a)に示すように、進行方向制御部12は、乗員が前向きとなって進行するように自動運転車の進行方向を制御する。
【0018】
図4は、本実施形態による進行方向の制御のユースケースの一例を示す図である。図4(a)は、例えば自動運転車が第1方向に進行してきて、第1方向を前向きとして駐車場に前向き駐車をした状況を示している。図4(b)および(c)は、駐車場で乗員がいったん自動運転車から降りて、要件を済ました後に再度自動運転車に乗って走行を開始したときの状況を示している。図4(b)と図4(c)では、乗員が自動運転車に搭乗したときの着座方向が異なっている。
【0019】
図4(b)は、乗員が乗車時に降車前に座っていた座席とは反対側の座席に座った場合、すなわち、乗員が降車前は第1方向に向かって座っていたのに対し、乗車後は第2方向に向かって座った状況を示している。この場合、着座方向検出部11は、車載カメラ20から供給される撮影画像に基づいて、乗員が第2方向を向いて着座していることを検出する。そして、進行方向制御部12は、乗員が進行方向に対して前向きとなるように、乗員が前を向いている第2方向に進行するように自動運転車の進行方向を制御する。
【0020】
図4(c)は、乗員が乗車時に降車前に座っていた座席と同じ座席に座った場合、すなわち、乗員が降車前は第1方向に向かって座っていて、乗車後も第1方向に向かって座った状況を示している。この場合、着座方向検出部11は、乗員が第1方向を向いて着座していることを検出する。そして、進行方向制御部12は、乗員が進行方向に対して前向きとなるように、乗員が前を向いている第1方向に進行するように自動運転車の進行方向を制御する。この場合、自動運転制御装置30は、いったん第2方向に進んで駐車場から出た後、進行方向を第1方向に切り返して走行するように制御する。
【0021】
なお、乗員が複数人いる場合において、第1方向に向かって着座する乗員と、第2方向に向かって着座する乗員とが混在することがあり得る。この場合、進行方向制御部12は、例えば図3(b)に示すように、より人数の多い乗員が進行方向に対して前向きとなるように自動運転車の進行方向を制御する。第1方向に向かって着座する乗員の人数と第2方向に向かって着座する乗員の人数とが同じである場合、進行方向制御部12は、例えばそれまでの進行方向を維持するように自動運転車の進行方向を制御する。
【0022】
また、進行方向制御部12は、第1方向に向かって着座する乗員と第2方向に向かって着座する乗員のどちらが多いかにかかわらず、少なくとも1人の乗員に対し、当該乗員が進行方向に対して前向きとなるように自動運転車の進行方向を制御するようにしてもよい。例えば、進行方向制御部12は、それまでの進行方向を維持するように自動運転車の進行方向を制御するようにしてもよい。
【0023】
図5は、以上のように構成した走行制御装置10の動作例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、例えば、走行制御装置10の電源がオンとされたときに実施される。
【0024】
走行制御装置10の電源がオンとされると、着座方向検出部11は、車載カメラ20から供給される撮影画像に基づいて、自動運転車の乗員の着座方向を検出する(ステップS1)。そして、進行方向制御部12、着座方向検出部11により検出された着座方向に基づいて、自動運転車の進行方向を指示する情報を自動運転制御装置30に出力することにより、自動運転車の進行方向を制御する(ステップS2)。これにより、図5に示すフローチャートが終了する。この後は、走行制御装置10により指示された方向を進行方向とするように、自動運転制御装置30により自動運転車の自動運転が制御される。
【0025】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、自動運転車の乗員の着座方向を検出し、検出した着座方向に基づいて、自動運転車の進行方向を制御するようにしている。このように構成した本実施形態によれば、自動運転車の乗員の着座方向に基づいて自動運転車の進行方向を変えることが可能であり、乗員の着座方向が自動運転車の進行方向となるように制御することが可能である。これにより、乗員が進行方向に対して前向きに着座することとなるので、乗員がより車酔いしにくい状況で走行することができる。
【0026】
<第1の変形例>
図6は、第1の変形例に係る走行制御装置10Aの機能構成例を示すブロック図である。この図6において、図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。図6に示すように、第1の変形例に係る走行制御装置10Aは、機能構成として、乗員登録部13を更に備えるとともに、着座方向検出部11に代えて着座方向検出部11Aを備えている。また、第1の変形例に係る走行制御装置10Aは、記憶媒体として、乗員情報記憶部14を更に備えている。
【0027】
乗員登録部13は、車酔いしやすい乗員をあらかじめ登録しておく処理を行うものである。例えば、乗員登録部13は、乗員の走行制御装置10に対する操作に従って、車酔いしやすい乗員の顔などの撮影画像を乗員情報記憶部14に記憶させることにより、車酔いしやすい乗員をあらかじめ登録しておく。
【0028】
着座方向検出部11Aは、乗員登録部13により登録された乗員の着座方向を検出する。すなわち、着座方向検出部11Aは、車載カメラ20から供給される撮影画像と、乗員情報記憶部14に登録されている乗員の撮影画像とに基づいて、車載カメラ20から供給された撮影画像の中から、あらかじめ登録されている乗員を認識し、その乗員の着座方向を検出する。なお、車載カメラ20の撮影画像の中から、あらかじめ登録されている乗員が認識されない場合、着座方向検出部11Aは上記実施形態と同様に乗員の着座方向を検出すればよい。
【0029】
このようにすれば、図7に示すように、乗員情報記憶部14に登録されている乗員71の着座方向とは反対の向きに座っている別の乗員72,73がいたとしても、当該登録されている乗員71の着座方向が優先されて自動運転車の進行方向が制御される。これにより、車酔いしやすい乗員71が進行方向に対して前向きとなるようにすることができ、当該乗員71がより車酔いしにくい状況で走行することができる。
【0030】
<第2の変形例>
図8は、第2の変形例に係る走行制御装置10Bの機能構成例を示すブロック図である。この図8において、図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。図8に示すように、第2の変形例に係る走行制御装置10Bは、機能構成として、車酔い推定部15を更に備えるとともに、着座方向検出部11に代えて着座方向検出部11Bを備えている。
【0031】
車酔い推定部15は、車載カメラ20から供給される撮影画像に基づいて、自動運転車の走行中に乗員の車酔い状態を推定する。例えば、車酔い推定部15は、乗員が自動運転車に搭乗したときに車載カメラ20により撮影された顔の画像を記憶する。そして、自動運転車の走行中に車載カメラ20により撮影される乗員の顔の画像と、搭乗時に撮影されて記憶された顔の画像とを定期的に比較し、乗車時に比べて顔色が悪くなっているとか、乗車時に比べて表情が硬くなっているなどの変化を監視することにより、車酔いの予兆を推定する。あるいは、車酔い推定部15は、自動運転車の走行中に車載カメラ20により撮影される乗員の画像に基づいて、車酔いしたときに生じる現象(例えば、生あくびの発生、発汗、生つばの飲み込み動作の増加など)を監視することにより、車酔いの予兆を推定するようにしてもよい。
【0032】
着座方向検出部11Bは、車酔い推定部15により車酔いの予兆が推定される乗員の着座方向を検出する。なお、車酔い推定部15により車酔いの予兆が推定される乗員が存在しない場合、着座方向検出部11Bは上記実施形態と同様に乗員の着座方向を検出すればよい。
【0033】
進行方向制御部12は、着座方向検出部11Bにより検出された着座方向に基づいて、自動運転車の進行方向を制御する。なお、車酔い推定部15により車酔いの予兆が推定されるのは自動運転車の走行中であるから、進行方向制御部12による進行方向の制御も自動運転車の走行中に行われる。
【0034】
ここで、進行方向制御部12から自動運転制御装置30に指示された進行方向が現在の進行方向と同じである場合、自動運転制御装置30は特に進行方向を変える制御を行う必要はない。一方、進行方向制御部12から自動運転制御装置30に指示された進行方向が現在の進行方向とは異なる場合、自動運転制御装置30は進行方向を変える制御を行う。例えば、安全な場所で図4(b)に示したのと同様の動作を行うことにより、進行方向の変更を行う。
【0035】
第2の変形例によれば、車酔いしやすい乗員をあらかじめ登録しておかなくても、車酔いの予兆が推定される乗員がいる場合には、その乗員が進行方向に対して前向きとなるように自動運転車の進行方向が制御される。例えば、複数人の乗員のうち何れかの乗員の着座方向に基づいて自動運転車の進行方向が決定されて走行を開始した後、進行方向に対して後ろ向きに座っている乗員について車酔いの予兆が推定された場合には、その乗員が進行方向に対して前向きとなるように自動運転車の進行方向が変更される。これにより、車酔いの予兆が見られる乗員が進行方向に対して前向きとなるようにすることができ、当該乗員がより車酔いしにくい状況で走行することができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、車載カメラ20による撮影画像に基づいて乗員の着座方向を検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、各座席に重量センサを設置しておいて、乗員が着座した座席を重量センサにより検出することによって、乗員の着座方向を検出するようにしてもよい。この場合、各座席での乗員の着座方向は固定であることを前提とする。座席の背もたれを反対側に倒したり座席を回転したりすることにより、各座席での乗員の着座方向が可変である場合は、車載カメラ20による撮影画像に基づいて乗員の着座方向を検出することが可能である。なお、背もたれの角度や座席の向きを検出するセンサを更に設ければ、重量センサを用いる構成であってもよい。
【0037】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 走行制御装置
11,11A,11B 着座方向検出部
12 進行方向制御部
13 乗員登録部
14 乗員情報記憶部
15 車酔い推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8