(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160767
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065167
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】特許業務法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢次 譲
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA23
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】一部のエラーに関する処理を使用領域(第1記憶領域)とは別の領域(第2記憶領域)を用いてより効率的に行うことが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】予め定められた上限容量内となるように設けられた第1記憶領域に領域内処理を実行する領域内プログラムを、第1記憶領域とは別の第2記憶領域に領域外処理を実行する領域外プログラムを夫々記憶させ、第1,第2種別エラーを夫々領域内,領域外処理により判定し、第1,第2種別エラーに関して夫々領域内,領域外処理によりエラーコマンドを送信し、領域内処理により、第1種別エラーに関する第1種別エラー処理とエラー以外に関する第1処理とを実行した後、領域内処理から領域外処理へと移行し、領域外処理により、第2種別エラーに関する第2種別エラー処理とエラー以外に関する第2処理とを実行した後、領域外処理から領域内処理へと復帰する。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた上限容量内となるように設けられた第1記憶領域と、
前記第1記憶領域とは別の第2記憶領域とを備え、
領域内処理を実行する領域内プログラムを前記第1記憶領域に、領域外処理を実行する領域外プログラムを前記第2記憶領域に夫々記憶させた
遊技機において、
複数種類のエラーのうちの第1種別エラーを前記領域内処理により、第2種別エラーを前記領域外処理により夫々判定し、
前記第1種別エラーに関しては前記領域内処理により、前記第2種別エラーに関しては前記領域外処理により夫々エラーコマンドを送信するように構成し、
前記領域内処理により、前記第1種別エラーの判定及びエラーコマンドの送信に関する第1種別エラー処理とエラー以外に関する第1処理とを実行した後、前記領域内処理から前記領域外処理へと移行し、前記領域外処理により、前記第2種別エラーの判定及びエラーコマンドの送信に関する第2種別エラー処理とエラー以外に関する第2処理とを実行した後、前記領域外処理から前記領域内処理へと復帰する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、いわゆる遊技機規則において、主基板に搭載されるROM等の記憶手段に関する規格が定められており、全体の記憶容量の他、例えばROMに関しては制御領域とデータ領域とで構成される使用領域(第1記憶領域)の記憶容量について制限が設けられ、不正な改造その他の変更を防止するために必要な情報以外の情報についてはその使用領域内で処理を行うこととされている。従って従来の遊技機は、各種エラーに関する処理は全て使用領域内で実行するように構成されていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エラーにも様々な種類があり、乱数回路に関するエラーのように遊技の結果に影響を及ぼすものもあれば、そうでないものもある。後者については、「不正な改造その他の変更を防止するために必要な情報」であると解釈し、上述した使用領域とは別の領域(第2記憶領域)で実行するように構成すれば、その分だけ使用領域の容量に余裕を持たせることができる。この場合、使用領域外に移行したエラー処理をどのように行うかが重要となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、一部のエラーに関する処理を使用領域(第1記憶領域)とは別の領域(第2記憶領域)を用いてより効率的に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、予め定められた上限容量内となるように設けられた第1記憶領域と、前記第1記憶領域とは別の第2記憶領域とを備え、領域内処理を実行する領域内プログラムを前記第1記憶領域に、領域外処理を実行する領域外プログラムを前記第2記憶領域に夫々記憶させた遊技機において、複数種類のエラーのうちの第1種別エラーを前記領域内処理により、第2種別エラーを前記領域外処理により夫々判定し、前記第1種別エラーに関しては前記領域内処理により、前記第2種別エラーに関しては前記領域外処理により夫々エラーコマンドを送信するように構成し、前記領域内処理により、前記第1種別エラーの判定及びエラーコマンドの送信に関する第1種別エラー処理とエラー以外に関する第1処理とを実行した後、前記領域内処理から前記領域外処理へと移行し、前記領域外処理により、前記第2種別エラーの判定及びエラーコマンドの送信に関する第2種別エラー処理とエラー以外に関する第2処理とを実行した後、前記領域外処理から前記領域内処理へと復帰するように構成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一部のエラーに関する処理を使用領域(第1記憶領域)とは別の領域(第2記憶領域)を用いてより効率的に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ機の全体正面図である。
【
図4】同パチンコ機の遊技情報表示手段の正面図である。
【
図7】同パチンコ機のLEDコモンポート及びLEDデータポートと遊技情報表示手段、性能情報表示手段(設定表示手段,性能表示手段)との接続関係を示す図である。
【
図8】同パチンコ機の主制御基板における記憶領域の説明図である。
【
図9】同パチンコ機の電源投入処理のフロー(前半)を示す図である。
【
図10】同パチンコ機の電源投入処理のフロー(中盤)を示す図である。
【
図11】同パチンコ機の電源投入処理のフロー(後半)を示す図である。
【
図12】同パチンコ機の第1電源異常チェック処理のフローを示す図である。
【
図13】同パチンコ機の電源投入処理の一部処理に対応するソースプログラムと、処理態様毎の処理順序とを示す図である。
【
図14】同パチンコ機の入力ポート1の説明図である。
【
図15】同パチンコ機の設定変更操作手段,扉及び遊技情報クリア手段の入力情報とWレジスタの値との対応関係、及びそれらと移行分岐先との対応関係を示す図である。
【
図16】同パチンコ機の設定処理のフローを示す図である。
【
図17】同パチンコ機の設定変更時コマンド送信アドレステーブル、RAMクリア時コマンド送信アドレステーブル、RAMクリアコマンド作成テーブル、スペックコマンド作成テーブル及び客待ち中コマンド作成テーブルを示す図である。
【
図18】同パチンコ機の送信コマンドテーブル選択処理のフローを示す図である。
【
図19】同パチンコ機のコマンドデータ作成処理のフローを示す図である。
【
図20】同パチンコ機の領域内エラー情報、領域外エラー情報の説明図である。
【
図21】同パチンコ機のバックアップ復帰時コマンド送信処理のフローを示す図である。
【
図22】同パチンコ機の第2コマンドデータ作成処理のフローを示す図である。
【
図23】同パチンコ機のバックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブル、停電復表示コマンド作成テーブル、第1特別保留個数指定コマンド作成テーブル及び第2特別保留個数指定コマンド作成テーブルを示す図である。
【
図24】同パチンコ機の領域外エラー情報クリア処理のフローを示す図である。
【
図25】同パチンコ機の初期設定処理のフローを示す図である。
【
図26】同パチンコ機のメインループ内領域外処理のフローを示す図である。
【
図27】同パチンコ機のタイマ割込み処理のフローを示す図である。
【
図28】同パチンコ機の第2電源異常チェック処理のフローを示す図である。
【
図29】同パチンコ機の領域内エラー判定処理のフローを示す図である。
【
図30】同パチンコ機の領域内乱数回路処理のフローを示す図である。
【
図31】同パチンコ機の領域内賞球処理のフローを示す図である。
【
図32】同パチンコ機のLED管理処理のフローを示す図である。
【
図33】同パチンコ機のLEDコモン出力選択テーブル及びLEDデータ出力情報テーブルの説明図である。
【
図34】同パチンコ機のタイマ割込み内領域外処理のフローを示す図である。
【
図35】同パチンコ機の領域外タイマ減算処理のフローを示す図である。
【
図36】同パチンコ機の領域外エラー判定処理のフローを示す図である。
【
図37】同パチンコ機の監視処理のフローを示す図である。
【
図38】同パチンコ機の性能表示モニタ表示更新処理(前半)のフローを示す図である。
【
図39】同パチンコ機の性能表示モニタ表示更新処理(後半:点灯・消灯切替カウンタが偶数の場合)のフローを示す図である。
【
図40】同パチンコ機の性能表示モニタ表示更新処理(後半:点灯・消灯切替カウンタが奇数の場合)のフローを示す図である。
【
図41】同パチンコ機の表示内容ポインタと区間ポインタとに対応する識別表示部及び数値表示部の表示態様を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1~
図41は本発明をパチンコ機に採用した一実施形態を例示している。
図1及び
図2において、遊技機本体1は、外枠2と、この外枠2の前側に配置された前枠3とを備えている。前枠3は、左右方向一端側、例えば左端側に配置された上下方向の第1ヒンジ4を介して外枠2に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、左右方向における第1ヒンジ4と反対側、例えば右端側に設けられた施錠手段5によって外枠2に対して閉状態で施錠可能となっている。
【0009】
前枠3は、本体枠6と、その本体枠6の前側に配置されたガラス扉7とを備えている。ガラス扉7は、左右方向一端側、例えば左端側に配置された上下方向の第2ヒンジ8を介して本体枠6に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、施錠手段5によって本体枠6に対して閉状態で施錠可能となっている。
【0010】
外枠2は、
図2に示すように左右一対の縦枠材2a,2bと上下一対の横枠材2c,2dとで矩形状に形成されている。外枠2の前側下部には前カバー部材9が装着されており、その前カバー部材9の上側に本体枠6が配置されている。本体枠6は合成樹脂製で、前カバー部材9の上側で外枠2の前縁側に略当接可能な矩形状の枠部13と、この枠部13内の上部側に設けられた遊技盤装着部14と、枠部13内の下部側に設けられた下部装着部15とを例えば一体に備えている。遊技盤装着部14には、遊技盤16が例えば前側から着脱自在に装着され、下部装着部15には、その前側に発射手段17、下部スピーカ18等が配置されている。
【0011】
ガラス扉7は、本体枠6の前面側に対応する矩形状に形成された樹脂製の扉ベース22を備えている。この扉ベース22には、遊技盤16に形成された遊技領域23の前側に対応してガラス窓24の窓孔24aが形成されると共に、例えば窓孔24aの周囲に複数(ここでは4つ)の上部スピーカ25、送風演出装置26等の演出手段が配置され、それら上部スピーカ25等を前側から略覆う上装飾カバー27が装着されている。
【0012】
また扉ベース22の下部前側には、本体枠6の後側に配置された払い出し手段28から払い出された遊技球を貯留して発射手段17に供給する上皿30、その上皿30が満杯のときの余剰球等を貯留する下皿31、発射手段17を作動させるために操作する発射ハンドル32等が配置され、更に上皿30、下皿31等を前側から略覆う下装飾カバー33が装着されている。下装飾カバー33は、前向きの膨出状に形成されており、その上部側に、遊技者が押下操作可能な演出ボタン34、十字操作手段35等の所定操作手段が設けられている。
【0013】
扉ベース22の背面側には、窓孔24aを後側から略塞ぐようにガラスユニット36が着脱自在に装着されると共に、その下部側には球送りユニット42、下皿案内ユニット43等が装着されている。球送りユニット42は、上皿30内の遊技球を1個ずつ発射手段17に供給するためのもので、発射手段17の前側に対応して配置されている。下皿案内ユニット43は、上皿30が満杯となったときの余剰球、及び発射手段17により発射されたにも拘わらず遊技領域23に達することなく戻ってきたファール球を下皿31に案内するためのもので、例えば球送りユニット42に隣接してその第1,第2ヒンジ4,8側に配置されている。
【0014】
また、本体枠6には、前枠3が外枠2に対して開放しているか否かを検出可能な扉開放スイッチ44が設けられている。この扉開放スイッチ44は、前枠3が外枠2に対して前側に開放したときにON、閉鎖したときにOFFとなるように構成されている。
【0015】
遊技盤16は、
図3に示すようにベニヤ板等のベース板45を備え、そのベース板45の前側に、発射手段17から発射された遊技球を案内するガイドレール46が環状に配置されると共に、そのガイドレール46の内側の遊技領域23に、中央表示枠ユニット47、始動入賞ユニット48、普通入賞ユニット49等の他、多数の遊技釘(図示省略)が配置され、また遊技領域23の外側下部には遊技情報表示手段50が配置されている。
【0016】
遊技情報表示手段50は、
図4に示すように、8個のLED60で構成されるLEDグループを4つ備えており、それら計32個のLED60が普通図柄表示手段51、普通保留個数表示手段52、第1特別図柄表示手段53、第2特別図柄表示手段54、第1特別保留個数表示手段55、第2特別保留個数表示手段56、変動短縮報知手段57、右打ち報知手段58及びラウンド数報知手段59に所定個数ずつ割り当てられている。即ち、第1,第2LEDグループ50a,50bに属する各8個のLED60は夫々第1,第2特別図柄表示手段53,54を構成し、第3LEDグループ50cに属する8個のLED60は、2個ずつに分けられて夫々第1特別保留個数表示手段55、第2特別保留個数表示手段56、普通保留個数表示手段52、変動短縮報知手段57を構成し、第4LEDグループ50dに属する8個のLED60は、2個が普通図柄表示手段51を、他の2個が右打ち報知手段58を、残りの4個がラウンド数報知手段59を夫々構成している。
【0017】
遊技盤16の複数のユニット部品47~49上には、普通図柄始動手段61、第1特別図柄始動手段62、第2特別図柄始動手段63、大入賞手段64、複数の普通入賞手段65等が設けられている。またベース板45の後側には、液晶表示手段(画像表示手段)66の他、液晶表示手段66の前側を移動可能な可動体67aを備えた可動演出手段67等が配置されている。
【0018】
中央表示枠ユニット47は、液晶表示手段66の表示枠を構成するもので、ベース板45に形成された前後方向貫通状の装着孔(図示省略)に対して前側から着脱自在に装着されている。この中央表示枠ユニット47は、
図3に示すように、ベース板45の前面に沿って装着孔の外側に配置され且つその前側を遊技球が通過可能な前面装着板71と、液晶表示手段66の左右両側から上部側にわたる正面視略門形状に配置され且つ前面装着板71の内周側で前向きに突設された装飾枠72と、その装飾枠72の左右の下端部間に配置されるステージ73とを備えている。発射手段17により発射され、遊技領域23の上部側に進入した遊技球は、装飾枠72の頂部で左右に振り分けられ、中央表示枠ユニット47の左側の左流下経路74aと右側の右流下経路74bとの何れかを流下する。
【0019】
中央表示枠ユニット47には、左流下経路74a側と右流下経路74b側との少なくとも一方側、例えば左流下経路74a側に、遊技球が流入可能なワープ入口75が設けられている。左流下経路74aを流下中にワープ入口75に流入した遊技球は、ステージ73上で左右方向に自由に転動した後、遊技領域23の左右方向中央に対応して設けられた中央落下部76とそれ以外の部分との何れかから前側に落下する。
【0020】
始動入賞ユニット48は、中央表示枠ユニット47の下側に配置され、ベース板45に対して前側から着脱自在に装着されている。普通入賞ユニット49は、中央表示枠ユニット47の下側で始動入賞ユニット48の左側に配置され、ベース板45に対して前側から着脱自在に装着されている。
【0021】
普通図柄始動手段61は、普通図柄表示手段51による普通図柄の変動表示を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成され、遊技球の通過を検出する通過検出手段(図示省略)を備えている。この普通図柄始動手段61は、中央表示枠ユニット47の右部における前面装着板71の前側に設けられており、右流下経路74bを流下する遊技球が通過可能となっている。
【0022】
普通図柄表示手段51は、普通図柄を変動表示するためのもので、
図4に示すように遊技情報表示手段50における2個のLED60で構成されており、普通図柄始動手段61が遊技球を検出することに基づいて、普通図柄を構成するそれら2個のLED60が普通変動中発光パターンで発光した後、普通図柄始動手段61による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様で、それ以外の場合にははずれ態様で変動を停止する。なお、普通図柄を構成する2個のLED60は、それらの発光態様(例えば点灯/消灯)の組み合わせにより一又は複数の当たり態様と一又は複数のはずれ態様とを表示可能である。
【0023】
また、普通図柄表示手段51の図柄変動中と普通利益状態中とを含む普通保留期間中に普通図柄始動手段61が遊技球を検出した場合には、それによって取得された普通乱数情報が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として保留記憶され、普通保留期間が終了する毎に1個ずつ消化されて普通図柄の変動が行われる。普通乱数情報の記憶個数(普通保留個数)は、普通保留個数表示手段52等によって遊技者に報知される。普通保留個数表示手段52は、
図4に示すように遊技情報表示手段50における2個のLED60で構成されており、それら2個のLED60の夫々の発光態様(例えば点灯/点滅/消灯)の組み合わせにより、0~4個の5種類の普通保留個数を表示可能となっている。
【0024】
第1特別図柄始動手段62は、第1特別図柄表示手段53による図柄変動を開始させるためのもので、開閉手段を有しない非開閉式入賞手段により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えている。この第1特別図柄始動手段62は、始動入賞ユニット48に設けられ、ステージ73の中央落下部76に対応してその下側に上向き開口状に配置されており、左流下経路74a側のワープ入口75からステージ73を経て入賞するルートが存在すること等により、右流下経路74bを流下してきた遊技球よりも左流下経路74aを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。なお、この第1特別図柄始動手段62に遊技球が入賞すると、1入賞当たり所定個数の遊技球が賞球として払い出される。
【0025】
第2特別図柄始動手段63は、第2特別図柄表示手段54による図柄変動を開始させるためのもので、開閉部78の作動によって遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な閉状態とに変化可能な開閉式入賞手段により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えており、普通図柄表示手段51の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉部78が所定時間閉状態から開状態に変化するようになっている。
【0026】
この第2特別図柄始動手段63は、中央表示枠ユニット47の右部における前面装着板71上で且つ普通図柄始動手段61の下流側に配置されており、右流下経路74bを流下してきた遊技球が入賞可能となっている。なお、この第2特別図柄始動手段63に遊技球が入賞すると、1入賞当たり所定個数の遊技球が賞球として払い出される。
【0027】
第1特別図柄表示手段53は、
図4に示すように遊技情報表示手段50における8個のLED60で構成されており、第1特別図柄始動手段62が遊技球を検出することを条件に、第1特別図柄を構成する8個のLED60が特別変動中発光パターンで発光した後、第1特別図柄始動手段62による遊技球検出時に取得された第1特別乱数情報に含まれる大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には第1大当たり態様で、それ以外の場合には第1はずれ態様で変動を停止する。第1特別図柄表示手段53の変動後の停止図柄が第1大当たり態様となった場合には第1特別利益状態が発生する。
【0028】
第2特別図柄表示手段54は、
図4に示すように遊技情報表示手段50における8個のLED60で構成されており、第2特別図柄始動手段63が遊技球を検出することを条件に、第2特別図柄を構成する8個のLED60が特別変動中発光パターンで発光した後、第2特別図柄始動手段63による遊技球検出時に取得された第2特別乱数情報に含まれる大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には第2大当たり態様で、それ以外の場合には第2はずれ態様で変動を停止する。第2特別図柄表示手段54の変動後の停止図柄が第2大当たり態様となった場合には第2特別利益状態が発生する。
【0029】
なお、第1,第2特別図柄表示手段53,54は、各8個のLED60の発光態様(例えば点灯/消灯)の組み合わせにより一又は複数の第1,第2大当たり態様と一又は複数の第1,第2はずれ態様とを表示可能である。
【0030】
また、第1特別図柄表示手段53の図柄変動中、第2特別図柄表示手段54の図柄変動中及び第1,第2特別利益状態中を含む特別保留期間中に第1,第2特別図柄始動手段62,63が遊技球を検出した場合には、それによって取得された第1,第2特別乱数情報が夫々予め定められた上限保留個数、例えば各4個を限度として保留記憶される。そして、特別保留期間が終了した時点で第2特別図柄側の保留記憶が1以上の場合にはその第2特別図柄の保留記憶を1個消化して第2特別図柄の変動を行い、第1特別図柄側の保留記憶のみが1以上の場合にはその第1特別図柄の保留記憶を1個消化して第1特別図柄の変動を行う。このように本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とが共に変動中になることはなく、また第1特別図柄側と第2特別図柄側との両方に保留記憶がある場合には、第2特別図柄の変動を優先的に行うようになっている。
【0031】
第1,第2特別乱数情報の記憶個数(第1,第2特別保留個数)は、第1,第2特別保留個数表示手段55,56、液晶表示手段66等によって遊技者に報知される。第1,第2特別保留個数表示手段55,56は、
図4に示すように遊技情報表示手段50における各2個のLED60で構成され、それらの発光態様(例えば点灯/点滅/消灯)の組み合わせにより、0~4個の5種類の第1,第2特別保留個数を表示可能となっている。
【0032】
大入賞手段64は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板79を備えた開閉式入賞手段で、中央表示枠ユニット47に設けられ、第2特別図柄始動手段63の下流側で第1特別図柄始動手段62の上流側に配置されており、左流下経路74aを流下してきた遊技球よりも右流下経路74bを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。この大入賞手段64は、第1,第2特別図柄表示手段53,54の第1,第2特別図柄が変動後に第1,第2大当たり態様で停止した場合に発生する第1,第2特別利益状態において、開閉板79が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下してきた遊技球を内部へと入賞させるようになっている。この大入賞手段64に遊技球が入賞すると、1入賞当たり所定個数の遊技球が賞球として払い出される。なお以下の説明では、第1特別利益状態と第2特別利益状態とを合わせて「大当たり遊技(特別遊技)」という。
【0033】
また液晶表示手段66には、例えば第1,第2特別図柄表示手段53,54による第1,第2特別図柄の変動表示と並行して演出図柄80を変動表示可能である他、第1,第2特別保留個数を示す第1,第2保留画像X1~X4,Y1~Y4,変動中保留画像Z等の各種画像を表示可能となっている。
【0034】
ここで演出図柄80は、
図3に示すように、1~8等の数字、その他で構成される図柄本体部80aと、この図柄本体部80aに付随するキャラクタその他の装飾部80bとの結合で構成され、所定方向に複数列(ここでは左右方向に3列)で夫々変動可能であり、第1,第2特別図柄の変動開始と略同時に所定の変動パターンに従って縦スクロール等による変動を開始すると共に、第1,第2特別図柄の変動停止と略同時に最終停止するようになっている。なお演出図柄80では、全て同じ図柄で揃った場合が大当たり演出態様、それ以外が外れ演出態様となっており、第1,第2特別図柄が第1,第2大当たり態様となる場合には演出図柄80は大当たり演出態様となり、第1,第2特別図柄が第1,第2外れ態様となる場合には演出図柄80は外れ演出態様となる。
【0035】
また第1,第2保留画像X1~X4,Y1~Y4,変動中保留画像Zに関しては、第1,第2特別図柄始動手段62,63が遊技球を検出することに基づいて第1,第2特別保留個数が増加した場合に、第1,第2保留画像X1~,Y1~を液晶表示手段66上に1個追加表示し、また第1,第2特別図柄表示手段53,54による第1,第2特別図柄の新たな変動が開始することに基づいて第1,第2特別保留個数が減少した場合に、変動中保留画像Zを消去し、第1,第2保留画像X1~,Y1~を待ち行列の前側(例えば画面右側)に向けて1個分ずつシフトすると共に、押し出された先頭の第1,第2保留画像X1,Y1を所定位置まで移動させて新たな変動中保留画像Zに変化させるようになっている。
【0036】
また遊技盤16の裏側には、
図5に示すように中央表示枠ユニット47等を後側から覆う裏カバー81が装着され、この裏カバー81の背面側に、主制御基板82aが格納された主基板ケース82、演出制御基板83a及び演出インターフェイス基板83bが格納された演出基板ケース83、液晶制御基板84aが格納された液晶基板ケース84等が着脱自在に装着されている。
【0037】
また、前枠3の裏側には、遊技盤16の裏側を覆う開閉カバー85が着脱自在に装着されると共に、その上側に遊技球タンク86aとタンクレール86bとが、左右一側に払い出し手段28と払い出し通路87とが夫々装着されており、遊技球が大入賞手段64等の入賞口に入賞したとき、又は図外の自動球貸し機から球貸し指令があったときに、遊技球タンク86a内の遊技球をタンクレール86bを経て払い出し手段28により払い出し、その遊技球を払い出し通路87を経て上皿30に案内するようになっている。なお、開閉カバー85は、主基板ケース82の上部側を後側から覆うように配置されている。
【0038】
また、前枠3の裏側下部には、基板装着台88が着脱自在に装着されており、この基板装着台88の背面側に、電源基板89aが格納された電源基板ケース89、払出制御基板90aが格納された払出基板ケース90が夫々着脱自在に装着されている。
【0039】
図6は本パチンコ機の制御系の概略ブロック図である。
図6において、主制御基板82aは遊技制御動作を統括するもので、遊技盤16上の遊技情報表示手段50、普通図柄始動手段61、第1特別図柄始動手段62、第2特別図柄始動手段63、大入賞手段64、普通入賞手段65等が中継基板等を経由して接続され、また下位には、主制御基板82aからの制御コマンドに基づいて音声出力、電飾発光、可動体駆動等の演出制御を行う演出制御基板83a、この演出制御基板83aからの制御コマンドに基づいて液晶表示手段66を制御する液晶制御基板84a、主制御基板82aからの制御コマンドに基づいて払い出し手段28を制御する払出制御基板90a、この払出制御基板90aからの発射制御信号等に基づいて発射手段17を制御する発射制御基板91等が接続されている。
【0040】
また主制御基板82aには、RAMクリアスイッチ92、設定変更操作手段93等の操作手段と、性能情報表示手段97等の表示手段とが接続されている。
図5に示すように、RAMクリアスイッチ92と設定変更操作手段93とは何れも主基板ケース82の外側から操作可能な状態で、また性能情報表示手段97は主基板ケース82の外側から視認可能な状態で、夫々主制御基板82aに装着されている。
【0041】
RAMクリアスイッチ92は、電源投入時にRAMクリアを行う場合に操作するもので、主基板ケース82の外側から押下操作可能であり、非操作時にOFF、操作時にONとなるように構成されている。また設定変更操作手段93は、設定変更を行う場合等に操作するもので、主基板ケース82の外側から設定キーを鍵穴部に差し込んで回転操作することによりON/OFFの切り替えが可能となっている。なお本実施形態では、この設定変更操作手段93等を操作することにより、大当たり確率、即ち第1,第2特別図柄が大当たり態様となる確率を複数段階(ここでは設定1~6の6段階)に変更可能となっている。
【0042】
性能情報表示手段97は、設定表示手段94と性能表示手段95とを構成するもので、複数桁(ここでは4桁)の7セグ表示部97a~97dを備え、透明な主基板ケース82を通して視認可能となるように主制御基板82aに装着されており、第1期間中は設定表示手段94として機能し、第1期間とは異なる第2期間中は性能表示手段95として機能するようになっている。
【0043】
設定表示手段94は、設定1~6の何れに設定されているかを示す設定情報を表示するもので、設定1~6に対応して「1」~「6」、「1.」~「6.」の何れかを性能情報表示手段97の少なくとも一部(ここでは7セグ表示部97a)に表示可能であり、設定変更期間中は確定前の設定情報をドット付きの「1.」~「6.」で、設定確認期間中は確定された設定情報をドットなしの「1」~「6」で夫々表示可能となっている。
【0044】
性能表示手段95は、いわゆるベース値を7セグ表示部97a~97dに表示するものである。ベース値は、遊技実績に関する情報の一例であり、「(低確率状態での払い出し個数÷低確率状態でのアウト個数)×100」で算出される。なお本実施形態の性能表示手段95は、リアルタイムベース値、第1累計ベース値、第2累計ベース値、第3累計ベース値の4種類のベース値を切り替え表示可能となっている。リアルタイムベース値は、アウト個数が所定個数(例えば60000個)に達するまでを単位計測期間としてその単位計測期間中におけるリアルタイムでのベース値である。第1~第3累計ベース値は、夫々1~3回前の単位計測期間における累計のベース値である。
【0045】
以上のように、RAMクリアスイッチ92、設定変更操作手段93、性能情報表示手段97は、何れも遊技機本体1の後側に配置されており、それらにアクセスするためには解錠して前枠3を開放する必要があるため、ホール関係者等以外はRAMクリアスイッチ92、設定変更操作手段93を操作することができず、また性能情報表示手段97の表示内容を見ることもできない。
【0046】
また本実施形態では、遊技情報表示手段50と性能情報表示手段97とについてダイナミック点灯方式により駆動制御を行う。
図7に示すように、主制御基板82aのLEDコモンポートからは1バイトのダイナミック点灯コモンC0~C7の走査信号を出力可能であり、それらのうち、ダイナミック点灯コモンC0~C3のラインが遊技情報表示手段50のLEDグループ50a~50dに、ダイナミック点灯コモンC4~C7のラインが性能情報表示手段97の7セグ表示部97a~97dに夫々接続されている。
【0047】
また、主制御基板82aのLEDデータポート1,2からは夫々1バイトのダイナミック点灯データD10~D17,D20~D27を出力可能であり、LEDデータポート1のダイナミック点灯データD10~D17のラインが遊技情報表示手段50のLEDグループ50a~50dに、LEDデータポート2のダイナミック点灯データD20~D27のラインが性能情報表示手段97の7セグ表示部97a~97dに夫々接続されている。
【0048】
演出制御基板83a及び液晶制御基板84aは、
図6に示すように主制御基板82aに接続された演出インターフェイス基板83bに接続されており、主制御基板82aから演出制御基板83aへの制御コマンド、演出制御基板83aから液晶制御基板84aへの制御コマンドは共に演出インターフェイス基板83bを経由して送信される。
【0049】
また、演出制御基板83aの制御対象である各種演出手段、例えばスピーカ18,25、電飾手段96、可動演出手段67等の他、遊技者が操作可能な演出ボタン34、十字操作手段35等は演出インターフェイス基板83bを介して演出制御基板83aに接続されている。なお、電飾手段96は、上下の装飾カバー27,33内や遊技盤16等に配置された多数のLED(図示省略)により構成されている。
【0050】
続いて、電源投入時に主制御基板82aにおいて実行される電源投入処理(
図9)について説明するが、その前に、主制御基板82aに搭載される記憶手段について、
図8を参照しつつ簡単に説明する。主制御基板82aに搭載される記憶手段としては、所定の上限容量内となるように設けられた領域内ROM(第1記憶領域)及び領域内RAMと、それらとは別の領域外ROM(第2記憶領域)及び領域外RAMとが設けられている。領域内ROM及び領域外ROMは、夫々プログラムが記憶される制御領域と、データが記憶されるデータ領域とで構成されている。
【0051】
領域内ROMの制御領域に記憶される領域内プログラムは、同じ領域内ROMのデータ領域を参照し、また領域内RAMについては参照及び更新を行うことが可能であるが、領域外RAMについては参照のみ可能で、直接更新を行うことはできない。同様に、領域外ROMの制御領域に記憶される領域外プログラムは、同じ領域外ROMのデータ領域を参照し、また領域外RAMについては参照及び更新を行うことが可能であるが、領域内RAMについては参照のみ可能で、直接更新を行うことはできない。従って、例えば領域内プログラムによる領域内処理中に領域外RAMのデータを更新する場合には、領域内プログラムから領域外プログラムを呼び出し、その領域外プログラムによる領域外処理により領域外RAMのデータを更新する必要がある。
【0052】
続いて
図9に示す電源投入処理について説明する。この電源投入処理は、領域内プログラムによって実行される領域内処理であり、まずタイマ割込み等の割込み処理が実行されないように割込み禁止とし(S1)、スタックポインタを設定する(S2)と共に、第1電源異常チェック処理でのスタック使用に備えて、RAMのプロテクト及び禁止領域を無効とする(S3)。そして、後述する設定変更処理中に電源のOFF/ONが行われた可能性を考慮して、外部出力端子から出力するセキュリティ信号をOFFにすると共に、設定表示手段94への設定情報の表示に関する設定表示用データをクリアし、また不用意な発射制御信号の出力を防止すべく発射制御信号もOFFにする(S4)。
【0053】
続いて、第1電源異常チェック処理(S5)を実行する。この第1電源異常チェック処理では、
図12に示すように、WDTクリア処理(S51a)を実行した後、電源異常信号がONであるか否かを判定し(S51)、電源異常信号がONであれば(S51:Yes)、電源投入処理の冒頭(
図9のS1)に移行する。
【0054】
第1電源異常チェック処理(S5)で電源異常信号がONでないと判定された場合には(
図12のS51:No)、そのまま第1電源異常チェック処理を終了し、次のS6(
図9)に移行する。このS6では、CPU内のレジスタ値等に関する各種初期設定を行うと共に、割込みモード、割込み優先順位、内部ハード乱数等の設定を行う。そして、サブ基板起動待ち時間をセットし(S7)、サブ基板起動待ち時間が0になるまで(S11)、サブ基板起動待ち時間の減算処理(S8)、WDTクリア処理(S9)、S5と同様の第1電源異常チェック処理(S10,
図12)を繰り返し実行する。
【0055】
サブ基板起動待ち時間が0になると(S11:Yes)、演出制御基板83aに対して待機画面表示コマンド(BA01H)を送信する(S12)。演出制御基板83aが待機画面表示コマンド(BA01H)を受信すると、液晶表示手段66には「Please Wait」等の表示が行われる。
【0056】
そして、払出制御基板90aの電源投入信号がONであると判定されるまで(S14:Yes)、第1電源異常チェック処理(S13,
図12)を繰り返し実行することにより、払出制御基板90aの起動確認を行う。
【0057】
続いて
図10に示すS15~S24の処理に移行する。このS15~S24の処理は、設定変更処理(S17)及びRAMクリア処理(S18)を実行する「設定変更」、設定変更処理(S17)を実行することなくRAMクリア処理(S18)を実行する「RAMクリア」、設定確認処理(S23)及びバックアップ復帰処理(S24)を実行する「設定確認」、設定確認処理(S23)を実行することなくバックアップ復帰処理(S24)を実行する「バックアップ復帰」、電源再投入待ち処理(S20)を実行する「RAM異常」の5種類の処理態様の何れかで行われる。
【0058】
また、これら5種類の処理態様のうち、「RAM異常」を除く4種類については、設定変更操作手段93のON/OFF状態、扉(前枠3)の開放/閉鎖状態、RAMクリアスイッチ92のON/OFF状態の組み合わせに応じて選択される。
【0059】
本実施形態では、
図15に示すように、設定変更操作手段93とRAMクリアスイッチ92とが共にONの場合には原則として「設定変更」が選択され、設定変更操作手段93がOFF、RAMクリアスイッチ92がONの場合には「RAMクリア」が選択されるが、設定変更操作手段93とRAMクリアスイッチ92とが共にONであっても、扉閉鎖の場合には「設定変更」ではなく「RAMクリア」が選択される。同様に、設定変更操作手段93がON、RAMクリアスイッチ92がOFFの場合には原則として「設定確認」が選択され、設定変更操作手段93とRAMクリアスイッチ92とが共にOFFの場合には「バックアップ復帰」が選択されるが、設定変更操作手段93がON、RAMクリアスイッチ92がOFFであっても、扉閉鎖の場合には「設定確認」ではなく「バックアップ復帰」が選択される。
【0060】
以下、S15~S24の処理について、
図10のフローチャートを参照しつつ、
図13に示すソースプログラムに従って詳細に説明する。なお
図13には、S15~S24のソースプログラムが、メモリ上の記憶順序に沿って記載されている。また、そのソースプログラムの右側には、上述した「設定変更」、「RAMクリア」、「設定確認」、「バックアップ復帰」、「RAM異常」の5種類の処理態様毎に、実行する処理とそれらの実行順序とを、矢印とその右上の数字とで示している。
【0061】
入力ポートデータ取得処理(S15)では、
図13に示すように、まず入力ポート1(P_INPT1)のデータをWレジスタに入力する(Sa1)。本実施形態では、入力ポート1(P_INPT1)の第0~7ビットに対応する入力信号は
図14に示すようになっており、設定変更操作手段93のON/OFF信号は第0ビットに、扉開放スイッチ44のON/OFF信号(扉開放信号)は第5ビットに、RAMクリアスイッチ92のON/OFF信号は第6ビットに、夫々入力される。Sa1では、入力ポート1(P_INPT1)の第0~7ビットのデータがWレジスタの第0~7ビットに夫々入力される。
【0062】
次に、Wレジスタの値とマスクデータ“01100001B”との論理積(AND)を求めることにより、設定変更操作手段93のON/OFF信号に対応する第0ビット、扉開放スイッチ44のON/OFF信号(扉開放信号)に対応する第5ビット、RAMクリアスイッチ92のON/OFF信号に対応する第6ビット以外のビットをマスクし、Wレジスタをそのマスク後のデータに更新する(Sa2)。
【0063】
図15に示すように、Wレジスタの第0ビットは、設定変更操作手段93がONの場合に1、OFFの場合に0となり、同じく第5ビットは、扉(前枠3)が開放している場合に1、閉鎖している場合に0となり、同じく第6ビットは、RAMクリアスイッチ92がONの場合に1、OFFの場合に0となる。なお、Wレジスタの第0,5,6ビットの値の組み合わせは
図15に示す8種類存在する。以下、Wレジスタの第0,5,6ビットの値w0,w5,w6の組み合わせを、必要に応じてW(w0,w5,w6)で表現する。
【0064】
以上の入力ポートデータ取得処理(S15)に続いては、設定変更分岐判定処理(S16)を実行する。この設定変更分岐判定処理(S16)は、処理態様として「設定変更」を選択するか否かを判定するもので、
図13に示すように、まずWレジスタの値と“01100001B”とを比較してそれらの差を求める(Sb1)。これにより得られる値は、Wレジスタの第0,5,6ビットが全て1の場合(W(1,1,1))、即ち扉(前枠3)が開放し、設定変更操作手段93とRAMクリアスイッチ92とが共にONの場合に0となる。なお、得られた値(差)が0であればゼロフラグに1がセットされる。そして、Sb1で得られた値が0であれば(ゼロフラグ=1)、即ちW(1,1,1)であれば、処理態様として「設定変更」が選択され、次の設定変更処理(S17)へ移行する。
【0065】
設定変更処理(S17)では、まず設定変更期間が開始したことを示すBA5AH(設定変更中コマンドデータ)をDEレジスタに格納し(Sc1)、コマンド送信処理(Sc2)によってそのコマンドデータを送信する。なお、演出制御基板83aが設定変更中コマンド(BA5AH)を受信すると、液晶表示手段66には「設定変更中です」等の表示が行われる。
【0066】
次に、設定処理のサブルーチン(M_SETTEI)を実行する(Sc3)。この設定処理(Sc3)では、
図16に示すように、まずバックアップフラグをクリアする(S60)と共に、RAMクリアスイッチ92、設定変更操作手段93等の入力情報を取得する入力データ作成処理(S61)を実行する。
【0067】
そして、領域内RAMの設定値ワーク領域から設定値データを読み出して設定作業値としてCレジスタにセットする(S62)。本実施形態では、設定1~6の何れかを選択可能であり、領域内RAM上の設定値ワーク領域には、設定1~6の何れが選択されているかに応じて0~5の何れかの設定値データが格納されている。そして、Cレジスタの設定作業値が0~5の範囲内にない場合には(S63:No)、Cレジスタ(設定作業値)に0を格納する(S64)。即ち、設定値データが正常範囲内になければ、Cレジスタ(設定作業値)に設定1に対応する0を強制的にセットする。もちろん、Cレジスタ(設定作業値)にセットする値は正常範囲内(0~5)の何れかであればよい。
【0068】
本実施形態の場合、設定変更処理(S17)の前には後述するRAM異常判定処理(S19)が実行されないため(
図10参照)、設定変更処理(S17)の開始時点でRAM異常により設定値ワーク領域の値が正常範囲内にない可能性がある。そこでそのような場合には、S64で設定作業値に正常値(ここでは0)を強制的にセットすることにより、RAM異常の場合でも設定変更処理を進めることができるようにしている。
【0069】
続いて、第1電源異常チェック処理(S65,
図12)を実行し、セキュリティ信号を外部出力端子から出力する(S66)。そして、チャタリング防止待ち時間をセットし(S67)、そのチャタリング防止待ち時間が0になるまで(S69:Yes)、チャタリング防止待ち時間のデクリメント処理(S68)を繰り返し実行する。本実施形態では、設定変更操作手段93がOFFになるまで(S76:Yes)、S65~S75の処理が高速で繰り返され、その度に設定変更操作がなされたか否か、即ちRAMクリアスイッチ92がOFF→ONに変化したか否かが判定されるが(後述するS71)、S67~S69によりチャタリング防止待ち時間を設けることにより、RAMクリアスイッチ92のチャタリングによる誤検出を防止できる。
【0070】
チャタリング防止待ち時間が0になると(S69:Yes)、入力データ作成処理(S70)を実行し、所定の設定変更操作が行われたか否かを判定する(S71)。本実施形態では、RAMクリアスイッチ92を設定変更操作用にも利用しており、S71ではRAMクリアスイッチ92のONエッジを検出した場合に設定変更操作が行われたものと判定するようになっている。なお本実施形態では、RAMクリアスイッチ92の入力情報を取得する入力データ作成処理を、S71の直前のS70だけでなく、設定処理の開始直後のS61でも実行するようになっている。これは、RAMクリアスイッチ92が押下されたままの状態で設定処理(
図16)が開始された場合に、いきなりRAMクリアスイッチ92のONエッジが立ってしまったとしても、それをS61で空検出することにより、S71での判断に影響を与えないようにするためである。
【0071】
そして、S71で設定変更操作が行われたと判定されることを条件に(S71:Yes)、設定作業値の更新処理(S72~S74)を実行する。即ち、設定作業値をインクリメントし(S72)、インクリメント後の設定作業値が0~5の範囲内にない場合(S73:No)には設定作業値に0をセットする(S74)。
【0072】
次に、設定表示手段94に表示する設定情報を指定するための設定表示用データを作成し、出力する(S75)。このS75では設定作業値に基づいて設定表示用データを作成するため、設定変更期間中に設定表示手段94に表示される値(例えば1~6の何れか)はその時点の設定情報(設定値ワーク領域の値)ではなく、確定前の暫定的な設定情報を示している。また、そのことを明示すべく、設定表示手段94には「1」~「6」に「.(ドット)」を付加して表示するようになっている。もちろん、例えば「1」~「6」を点滅表示する等、「.(ドット)」の付加以外の方法で確定前の設定情報である旨を明示してもよい。
【0073】
以上のS65~S75の処理を、設定変更終了条件が満たされるまで(S76:Yes)、即ち設定変更操作手段93のOFFエッジが検出されるまで繰り返し実行する。以上の処理により、設定変更期間中は、RAMクリアスイッチ92の押下回数に応じて設定作業値が0~5の範囲で循環的に変更される。
【0074】
設定変更期間中に設定変更終了条件が満たされると(S76:Yes)、設定変更期間を終了し、Cレジスタの設定作業値を設定値ワーク領域に格納する(S77)。これにより、設定変更期間中に変更された暫定的な設定作業値が設定値データとして確定する。そして、設定表示用データをクリアして設定表示手段94による設定情報の表示を終了する(S78)と共に、セキュリティ信号をOFFにし(S79)、演出制御基板83aに対して設定変更完了コマンド(BA09H)を送信し(S80)、設定処理を終了する。なお、演出制御基板83aが設定変更完了コマンド(BA09H)を受信すると、液晶表示手段66には「設定が変更されました」等の表示が行われる。
【0075】
図13に戻って説明を続ける。以上の設定処理(Sc3)が終了すると、設定変更時コマンド送信アドレステーブルのアドレス(D_MKCADR2A)をHLレジスタにセットする(Sc4)。ここで、設定変更時コマンド送信アドレステーブルは、この設定変更時に送信するコマンドを作成するためのコマンド作成テーブルを指定するもので、ループ数と、そのループ数分のコマンド作成テーブルのアドレスとで構成されている。
図17(a1)に示す設定変更時コマンド送信アドレステーブルでは、ループ数が2に設定されると共に、スペックコマンド作成テーブル、客待ち中コマンド作成テーブルの2種類のコマンド作成テーブルのアドレスが設定されている。
【0076】
そして、SYSTEM_550、即ちRAMクリア処理(S18)のSd2へとジャンプする(Sc5)。このように本実施形態では、設定変更処理(S17)に続くRAMクリア処理(S18)は、Sd1をスキップしてSd2から実行される。
【0077】
RAMクリア処理(S18)のSd2では、HLレジスタに指定されているコマンド送信アドレステーブルに基づいて送信コマンドテーブル選択処理を実行する。なお、設定変更処理(S17)からSd2にジャンプしてきた場合、HLレジスタには設定変更時コマンド送信アドレステーブル(
図17(a1))のアドレスがセットされている。
【0078】
送信コマンドテーブル選択処理(Sd2)では、例えば
図18に示すように、まず指定されたコマンド送信アドレステーブルからループ数を取得し(S81)、以下のS82,S83をそのループ数だけ繰り返し実行する(S84)。S82では、指定されたコマンド送信アドレステーブルからコマンド作成テーブルのアドレスを指定し、S83ではその指定されたコマンド作成テーブルに基づいてコマンドデータ作成処理を実行する。
図17(a1)に示す設定変更時コマンド送信アドレステーブルの場合、2回のループでスペックコマンド作成テーブル(
図17(c))、客待ち中コマンド作成テーブル(
図17(d))のアドレスが順次指定され、夫々コマンドデータ作成処理が実行される。
【0079】
コマンドデータ作成処理(S83)では、例えば
図19に示すように、指定されたコマンド作成テーブルからコマンドデータを作成し(S91)、そのコマンドデータを送信するためのコマンド送信処理(S92)を実行する。コマンド作成テーブルには、
図17(c),(d)等に示すように、コマンドデータの他にそのコマンドデータに対する加算値が設定されており、S91では、コマンド作成テーブルから取得したコマンドデータに加算値を加算して、実際に送信するコマンドデータを作成する。設定変更時コマンド送信アドレステーブルで指定された
図17(c),(d)に示すコマンド作成テーブルの場合、加算値は何れも0に設定されているため、各コマンド作成テーブルからF611H(スペックコマンドデータ)、BA04H(客待ち中コマンドデータ)が順次取得され、そのまま送信される。
【0080】
以上の送信コマンドテーブル選択処理(
図13のSd2)に続いては、設定値ワークの次のアドレスをHLレジスタにセットし(Sd3)、0クリア処理の回数(ここでは256-3)をBレジスタにセットする(Sd4)と共に、0クリア処理をコールする(Sd5)。本実施形態では、RAM上の0~255バイトの範囲が領域内のワークエリア(領域内RAM)として、また256~511バイトの範囲が領域外のワークエリア(領域外RAM)として夫々割り当てられており、領域内RAM(遊技に関する情報等を記憶)の先頭が設定値ワーク領域となっている。また、領域内RAMの末尾から所定バイト分はスタック領域として使用され、例えばSd5においてはサブルーチンコール後の復帰アドレスが一時的に格納されるようになっている。従って、上記Sd3~Sd5により、設定値ワーク領域と、サブルーチンコール後の復帰アドレスが格納されたスタック領域とを除く領域内RAMの253バイト分の領域が0クリアされる。
【0081】
続いて、初期値設定データテーブルの先頭アドレスをHLレジスタにロードし(Sd6)、データセット処理をコールすることにより(Sd7)、一部のデータに初期値を設定する。そして、RAMクリア処理が行われたか否かを示すRAMクリアフラグ(W_RCFLG)に5AHをセットした後(Sd7a)、SYSTEM_1200、即ち
図11に示すS25へとジャンプする(Sd8)。
【0082】
このように、電源投入時のRAMクリア処理(S18)では、領域内RAMと領域外RAMとのうち、領域内RAMのみが初期化され、領域外RAMは初期化されない。なお、領域外RAMは、主に性能表示手段95の表示に関する情報を記憶する領域であり、カウント値、計数値、表示値などの各種情報が記憶される。領域内RAMは、領域外RAMに記憶された性能表示手段95以外の遊技に関するデータが記憶される。このように、電源投入時のRAMクリア処理では領域外RAMを初期化しないようにすることで、RAMクリア処理が行われた場合であっても性能表示手段95に関するカウント値、計数値、表示値などのデータを電断を跨いで引き継ぐことが可能である。
【0083】
また本実施形態では、エラーに関する情報についても、エラーの種別に応じて領域内RAMと領域外RAMとに分けて記憶されるようになっている。即ち、主として遊技の結果に影響を及ぼす領域内エラー(第1種別エラー)に関する情報(
図20(a))が領域内RAMに、それ以外の領域外エラー(第2種別エラー)に関する情報(
図20(b))が領域外RAMに夫々記憶され、領域内エラーに関する処理(判定、更新、コマンド送信等)は領域内処理により、領域外エラーに関する処理は領域外処理により行われる。従って、領域内プログラムによるRAMクリア処理(S18)では、各種エラー情報のうち、
図20(a)に示す領域内エラー情報がクリアされる。
【0084】
S16の設定変更分岐判定処理に戻って説明を続ける。このS16でWレジスタの第0,5,6ビットの少なくとも1つが1でない(≠W(1,1,1))と判定した場合、即ち「設定変更」の処理態様が選択されなかった場合には、
図13のSYSTEM_600、即ちRAM異常判定処理(S19)へとジャンプする(Sb2)。
【0085】
RAM異常判定処理(S19)は、「RAM異常」の処理態様を選択するか否かを判定するもので、
図13に示すように、まずRAM異常か否かの判定を行う(Se1,Se2)。即ち、領域内RAMの設定値ワーク領域から設定値データを取得し、その設定値データと6とを比較してそれらの差を求める(Se1)。本実施形態の場合、RAM上の設定値ワーク領域には0~5の何れかの設定値データが格納されているはずであるから、正常であれば、設定値データと6との差は負の値となる。従って、その差が負の値でなければ(キャリーフラグ≠1)、RAM異常と判断してSYSTEM_700、即ち電源再投入待ち処理(S20)にジャンプする(Se2)。
【0086】
またRAM異常でない場合には、バックアップ異常か否かの判定を行う(Se3,Se4)。即ち、バックアップフラグと5AHとを比較してそれらの差を求める(Se3)。なお、バックアップフラグは後述する第2電源異常チェック処理(
図28)のS160で5AHに設定される。そして、その差が0でなければ(ゼロフラグ≠1)、バックアップ異常と判断して次のSYSTEM_700、即ち電源再投入待ち処理(S20)へと移行する(Se4)。
【0087】
電源再投入待ち処理(S20)では、まずBA07H(電源再投入コマンドデータ)をDEレジスタに格納し(Sf1)、コマンド送信処理(Sf2)によってそのコマンドデータを送信すると共に、バックアップフラグをクリアする(Sf3)。演出制御基板83aが電源再投入コマンド(BA07H)を受信すると、液晶表示手段66には「RAMエラー 電源再投入して設定を1に決定してください」等の表示が行われる。
【0088】
そして、第1電源異常チェック処理(
図12)を無限に繰り返す電源再投入待ち状態となる(Sf4,Sf5)。このように本実施形態では、RAM異常又はバックアップ異常の場合には、電源再投入待ち状態に移行することにより、強制的に電源を再投入させるように構成されている。なお、RAM異常により電源再投入待ち処理(S20)が実行された場合、次の電源再投入時にW(1,1,1)でない場合には再びRAM異常と判定され、電源再投入待ち処理(S20)が実行される。よって、電源再投入待ちとなって電源を再投入する際には、扉(前枠3)を開放し、設定変更操作手段93とRAMクリアスイッチ92とを共にONにすることによって設定変更処理(S17)を実行させ、設定値を任意の値に設定する必要がある。
【0089】
このように、「RAM異常」の場合には、電源の再投入により設定変更処理を実行させて設定値を正常な値に設定させるために電源再投入待ち状態となる。その点、設定変更処理を実行する「設定変更」の場合には、RAM異常であっても電源再投入待ち状態にする必要がない。よって本実施形態では、無駄な処理を排除すべく、設定変更分岐判定処理(S16)の後にRAM異常判定処理(S19)を実行するようになっている。
【0090】
S19のRAM異常判定処理に戻って説明を続ける。S19でRAM異常でもバックアップ異常でもないと判定された場合には、
図13のSYSTEM_800、即ちRAMクリア分岐判定処理(S21)へと移行する(Se4)。このRAMクリア分岐判定処理(S21)は、「RAMクリア」の処理態様を選択するか否かを判定するもので、
図13に示すように、まずWレジスタの第6ビットの値をキャリーフラグ(CF)に転送する(Sg1)。そして、そのキャリーフラグ(Wレジスタの第6ビット)が1であれば、即ちRAMクリアスイッチ92がONであれば、「RAMクリア」の処理態様が選択され、SYSTEM_500、即ち上述したRAMクリア処理(S18)へとジャンプするが(Sg2)、そうでなければ次のSYSTEM_900、即ち設定確認分岐判定処理(S22)へと移行する。
【0091】
なお本実施形態では、Wレジスタの第0,5,6ビットの値の8種類の組み合わせのうち、RAMクリア分岐判定処理(S21)が実行されるのはW(1,1,1)以外の7種類の場合であり、そのうち「RAMクリア」が選択されるのはW(1,0,1)、W(0,1,1)、W(0,0,1)の3種類の場合であるから(
図15参照)、このS21ではWレジスタの第0,5,6ビットのうちの第6ビットのみを判定すれば足りる。
【0092】
RAMクリア分岐判定処理(S21)を経て実行されるRAMクリア処理(S18)は、設定変更処理(S17)の後に実行される場合と異なり、Sd1から実行される。即ち、まずRAMクリア時コマンド送信アドレステーブルのアドレスをHLレジスタにセットし(Sd1)、そのコマンド送信アドレステーブルに基づいて、既に説明した送信コマンドテーブル選択処理(Sd2)を実行する。RAMクリア時コマンド送信アドレステーブルでは、例えば
図17(a2)に示すように、ループ数が3に設定されると共に、RAMクリアコマンド作成テーブル(
図17(b))、スペックコマンド作成テーブル(
図17(c))、客待ち中コマンド作成テーブル(
図17(d))の3種類のコマンド作成テーブルのアドレスが設定されている。従って、Sd2により、BA02H(RAMクリアコマンドデータ)、F611H(スペックコマンドデータ)、BA04H(客待ち中コマンドデータ)が順次送信される。RAMクリア処理(S18)におけるSd3以降の処理については既に説明したとおりである。
【0093】
なお、上述したようにRAMクリア処理(S18)では設定値ワーク領域はクリアされないため、本実施形態ではRAMクリア分岐判定処理(S21)よりも前にRAM異常判定処理(S19)を実行するように構成されている。
【0094】
RAMクリア分岐判定処理(S21)に戻って説明を続ける。S21でWレジスタの第6ビットが1でないと判定された場合に移行する設定確認分岐判定処理(S22)は、「設定確認」と「バックアップ復帰」の何れの処理態様を選択するかを判定するものである。このように、設定確認分岐判定処理(S22)をRAM異常判定処理(S19)よりも後に行うことにより、設定確認或いはバックアップ復帰と判定された後にRAM異常により復帰できないという事態を回避できる。
【0095】
設定確認分岐判定処理(S22)では、
図13に示すように、まずWレジスタの値と“00100001B”とを比較してそれらの差を求める(Sh1)。これにより得られる値は、Wレジスタの第0,5ビットが1で第6ビットが0の場合(=W(1,1,0))、即ち扉(前枠3)が開放し、設定変更操作手段93がON、RAMクリアスイッチ92がOFFの場合に0となる(
図15参照)。なお、得られた値(差)が0であればゼロフラグに1がセットされる。そして、Sh1で得られた値が0でなければ(ゼロフラグ=0)、即ちW(1,1,0)でなければ、「設定確認」ではなく「バックアップ復帰」の処理態様が選択され、次の設定確認処理(S23)をスキップしてSYSTEM_1100、即ちバックアップ復帰処理(S24)へと移行する(Sh2)。
【0096】
本実施形態では、Wレジスタの第0,5,6ビットの値の8種類の組み合わせのうち、設定確認分岐判定処理(S22)が実行されるのは第6ビットが0の4種類の場合のみであり、そのうち「設定確認」が選択されるのはW(1,1,0)の場合のみであるから、それ以外のW(1,0,0)、W(0,1,0)、W(0,0,0)の3種類の場合は全て「バックアップ復帰」の処理態様が選択される(
図15参照)。
【0097】
バックアップ復帰処理(S24)では、
図13に示すように、まずバックアップ復帰時コマンド送信処理(M_MKINFO)をコールする(Sj1)。このバックアップ復帰時コマンド送信処理(Sj1)では、
図21に示すように、まずバックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブルを選択し(S101)、そのコマンド送信アドレステーブルに基づいて、既に説明した
図18の送信コマンドテーブル選択処理(S102)を実行する。本実施形態のバックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブルは、
図23(a)に示すように、ループ数が3に設定されると共に、停電復帰表示コマンド作成テーブル、第1特別保留個数指定コマンド作成テーブル、第2特別保留個数指定コマンド作成テーブルの3種類のコマンド作成テーブルのアドレスが設定されている。
【0098】
上述したように、送信コマンドテーブル選択処理(
図18)では、指定されたコマンド送信アドレステーブル(ここでは
図23(a))からループ数を取得した後(S81)、コマンド作成テーブルのアドレスを指定して(S82)、その指定されたコマンド作成テーブルに基づいてコマンドデータ作成処理(
図19)を実行する処理(S83)をループ数だけ繰り返すようになっている。
【0099】
またコマンドデータ作成処理(
図19)では、指定されたコマンド作成テーブルからコマンドデータと加算値とを取得すると共に、そのコマンドデータに加算値を加算することによりコマンドデータを作成し(S91)、送信する(S92)。
図23(b)に示す停電復帰表示コマンド作成テーブルでは、加算値が0に、コマンドデータはBA03Hに夫々設定されているため、送信される停電復帰表示コマンドはBA03Hとなる。一方、
図23(c)に示す第1特別保留個数指定コマンドテーブルでは、加算値として第1特別保留個数ワークの値が設定され、コマンドデータはB001Hに設定されている。第1特別保留個数ワークの値は0~4の何れかであるため、送信される第1特別保留個数指定コマンドは、第1特別保留個数0~4に対応してB001H~B005Hの何れかとなる。同様に、
図23(d)に示す第2特別保留個数指定コマンドテーブルでは、加算値として第2特別保留個数ワークの値が設定され、コマンドデータはB101Hに設定されているため、送信される第2特別保留個数指定コマンドは、第2特別保留個数0~4に対応してB101H~B105Hの何れかとなる。
【0100】
S102の送信コマンドテーブル選択処理に続いては、第2コマンドデータ作成処理(S103)を実行する。この第2コマンドデータ作成処理(S103)では、
図22に示すように、まずスペックコマンド(F611H)のデータを取得し(S111)、送信する(S112)。そして、1又は複数種類の状態指定コマンド(FAxxH~FDxxH)のデータを取得し(S113)、送信する(S114)。
【0101】
以上の第2コマンドデータ作成処理(S103)に続いては、第1,第2特別図柄が変動中であるか否かを判定し(S104)、変動中でなければ(S104:Yes)、客待ち中コマンド(BA04H)のデータを取得し(S105)、送信する(S106)。
【0102】
以上のように、バックアップ復帰時コマンド送信処理(Sj1)により、BA03H(停電復帰表示コマンド)、B0xxH(第1特別保留個数指定コマンド)、B1xxH(第2特別保留個数指定コマンド)、F611H(スペックコマンド)、FAxxH~FDxxH(状態指定コマンド)が順次送信され、更に図柄変動中でなければBA04H(客待ち中コマンド)が送信される。
【0103】
図13に戻って説明を続ける。以上のバックアップ復帰時コマンド送信処理(Sj1)に続いては、領域内RAMにおけるバックアップフラグのアドレスをHLレジスタにセットし(Sj2)、領域内RAMにおける入賞口エラー検出タイマ3のアドレスからバックアップフラグのアドレスを引いて1を加えることにより得られた値をBレジスタにセットする(Sj3)と共に、0クリア処理をコールする(Sj4)。本実施形態では、領域内RAMの先頭が設定値ワーク領域、その次がバックアップフラグワーク領域となっており、そのバックアップフラグワーク領域の次から入賞口エラー検出タイマ3ワーク領域までの間が、エラー関連のワーク領域となっている。従って、上記Sj2~Sj4により、領域内RAMにおけるバックアップフラグワーク領域と、それに続くエラー関連のワーク領域とが0クリアされる。このように、バックアップ復帰時であっても、エラー関連(領域内エラー情報)のワーク領域だけは0クリアすることで、電断前のエラー情報を持ち越さないようになっている。
【0104】
設定確認分岐判定処理(S22)に戻って説明を続ける。
図13のSh2において、Sh1で得られた値が0であれば(ゼロフラグ=1)、即ちW(1,1,0)であれば、「設定確認」の処理態様が選択され、SYSTEM_1100(バックアップ復帰処理(S24))へとジャンプすることなく、次の設定確認処理S23へと移行する。
【0105】
設定確認処理(S23)では、
図13に示すように、まず設定確認期間が開始したことを示すE021H(設定確認中コマンドデータ)をDEレジスタに格納し(Si1)、コマンド送信処理(Si2)によってそのコマンドデータを送信する。演出制御基板83aが設定確認中コマンド(E021H)を受信すると、液晶表示手段66には「設定確認中」等の表示が行われる。
【0106】
また、領域内RAMの設定値ワーク領域から設定値データを取得し、Cレジスタに格納する(Si3)。そして、Si4~Si15の処理を、Si7の条件を満たしてSYSTEM_1060(Si16)にジャンプするまで繰り返し実行する。このSi4~Si15のループ処理では、まず第1電源異常チェック処理(
図12)を実行し(Si4)、入力ポート1(P_INPT1)のデータ(
図14)をAレジスタに入力する(Si5)。そして、Aレジスタの値とマスクデータ“00000001B”との論理積(AND)を求めることにより、設定変更操作手段93のON/OFF信号に対応する第0ビット以外のビットをマスクし、Aレジスタをそのマスク後のデータに更新する(Si6)。これにより、設定変更操作手段93がON(入力ポートの第0ビットが1)の場合にはAレジスタの値が“00000001B”となり、設定変更操作手段93がOFF(入力ポートの第0ビットが0)の場合にはAレジスタの値が“00000000B”となってゼロフラグに1がセットされる。
【0107】
そして、ゼロフラグが1(設定変更操作手段93がOFF)の場合には、Si4~Si15のループ処理を抜けてSYSTEM_1060(Si16)にジャンプするが、ゼロフラグが0(設定変更操作手段93がON)の場合には次のSi8に移行する(Si7)。Si8では、“00000010B”をAレジスタに入力し、このAレジスタの値を外部出力ポート2(P_GAIBU2)に出力する(Si9)。これにより、設定確認中信号がホールコンピュータに出力される。
【0108】
そして、設定表示データテーブルの先頭アドレスをHLレジスタにセットし(Si10)、Cレジスタに格納されている設定値データ(Si3参照)をAレジスタに転送し(Si11)、HLレジスタの値(設定表示データテーブルの先頭アドレス)にAレジスタの値(設定値データ)を加算して得られたアドレスから表示パターンデータを読み出してWレジスタにセットする(Si12)。これにより、Wレジスタには、設定値データに対応する表示パターンデータ、例えば設定値データが0であれば「1」を表示するための“00000110B”が、設定値データが5であれば「6」を表示するための“01111101B”がセットされる。
【0109】
次に、7セグ表示部97aに対応するコモンC4(
図7)をONにするコモンデータ“00010000B”をAレジスタにセットし(Si13)、Aレジスタの値をLEDコモンポート(
図7)に、Wレジスタの値をLEDデータポート2(
図7)に夫々出力する(Si14)。これにより、設定値データに対応して「1」~「6」の何れかが設定表示手段94、即ち性能情報表示手段97の7セグ表示部97aに表示される。
【0110】
このように、設定確認処理S23では設定値ワークから取得した設定値データに基づいて設定表示用データを作成するため、設定確認期間中に設定表示手段94に表示される値(例えば「1」~「6」の何れか)は、設定変更期間中とは異なり、その時点の確定した設定情報である。従って、設定確認期間中に設定表示手段94に表示される「1」~「6」には例えば「.(ドット)」は付加されない。
【0111】
Si14が終了すると、SYSTEM_1050にジャンプし、Si4以降の処理を再度実行する。そして、Si7でゼロフラグが1(設定変更操作手段93がOFF)であると判定されると、設定確認期間を終了し、このループ処理を抜けてSYSTEM_1060にジャンプして、Si16以降の処理を実行する。即ち、WAレジスタの値同士で排他的論理和(XOR)を求め、得られた値でWAレジスタの値を更新することにより、WAレジスタをクリアする(Si16)と共に、そのWAレジスタのうちのAレジスタの値をLEDコモンポート(
図7)に、Wレジスタの値をLEDデータポート2(
図7)に夫々出力することにより(Si17)、設定表示手段94への設定情報の表示を停止する。
【0112】
また、Aレジスタの値を外部出力ポート2(P_GAIBU2)に出力することにより(Si18)、設定確認中信号の出力を停止する。そして、Eレジスタの値をインクリメントし(Si19)、コマンド送信処理(Si20)によってそのコマンドデータを送信する。Si19の実行時点では、DEレジスタにはE021Hがセットされているから(Si1参照)、Si19でEレジスタをインクリメントした上でコマンド送信処理(Si20)を実行することにより、演出制御基板83aに対してE022H(設定確認終了コマンド)が送信される。なお、演出制御基板83aが設定確認終了コマンド(E022H)を受信すると、液晶表示手段66の「設定確認中」等の表示が終了する。
【0113】
このように本実施形態では、電源投入時に設定変更操作手段93がON、RAMクリアスイッチ92がOFFで且つ扉開放中である場合(W(1,1,0)には、設定変更操作手段93がOFFに切り替えられるまでの設定確認期間中、設定表示手段94にその時点の設定情報(例えば1~6の何れか)が表示される。
【0114】
以上の設定確認処理(S23)に続いては、既に説明したバックアップ復帰処理(S24)を実行する。
【0115】
以上のS15~S24が終了すると、
図11の処理に移行し、S25~S28のエラー情報クリア処理を実行する。即ち、まず全レジスタ情報を退避させ(S25)、領域外エラー情報クリア処理(S26)に移行する(領域外プログラムの呼び出し)。この領域外エラー情報クリア処理(S26)は、領域外プログラムにより実行される領域外処理であり、
図24に示すように、まず領域内スタックポインタを退避させ(S301)、領域外スタックポインタを設定した後(S302)、RAMクリアフラグを判定する(S303)。このRAMクリアフラグは、RAMクリア/バックアップ復帰の何れであるかを示すもので、既に説明したように、RAMクリア処理(S18)のSD7a(
図13)において5AHがセットされるようになっている。
【0116】
そして、RAMクリアフラグが5AHであれば(RAMクリア時)、領域外RAMに記憶される領域外エラー情報のうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアし(S304)、RAMクリアフラグが5AHでなければ(バックアップ復帰時)、バックアップ復帰時のクリア対象をクリアする(S305)。
【0117】
ここで、領域外エラー情報(
図20(b))について簡単に説明する。領域外エラーフラグは、複数種類の領域外エラー(ここでは磁気エラー、電波エラー、入賞口エラーの3種類)に関してエラー報知中か否かを示すもので、第0~2ビットが夫々入賞口エラー、電波エラー、磁気エラーに対応している。電波エラー、磁気エラー、入賞口エラーの各検出タイマは、エラー判定時間を計時するためのものである。また電波エラー、磁気エラー、入賞口エラーの各報知タイマは、エラー報知期間を計時するためのものである。
【0118】
本実施形態では、
図20(b)に示すように、RAMクリア時には領域外エラー情報の全てがクリア対象となっているのに対し、バックアップ復帰時には、領域外エラー情報のうち、領域外エラーフラグと各検出タイマのみがクリア対象となっており、各報知タイマについてはクリア対象となっていない。これにより、電断前に領域外エラーの報知中であった場合には、電断復帰後もエラー報知が継続される。
【0119】
領域外エラー情報のクリア処理(S304,S305)が終了すると、領域内スタックポインタを設定し(S306)、領域外エラー情報クリア処理(
図24)を終了して領域内処理に復帰する。
【0120】
図11に戻って説明を続ける。領域外エラー情報クリア処理(S26)が終了すると、全レジスタ情報を復帰させた後(S27)、領域内エラー情報等クリア処理(S28)を実行する。この領域内エラー情報等クリア処理(S28)では、領域内RAMに記憶される領域内エラー情報の他、領域内エラーのエラー判定に使用する各種スイッチ(例えば扉開放スイッチ44)のレベル/エッジデータ、RAMクリアフラグ等がクリアされる。
【0121】
ここで、領域内エラー情報(
図20(a))について簡単に説明する。バックアップフラグは、バックアップ復帰が可能か否かを示すものである。電源異常確認カウンタは、電源異常を確認する際に用いるカウンタで、払出通信異常確認カウンタは、払出制御基板90aとの間の通信異常を確認する際に用いるカウンタである。シリアル回路エラーフラグは、払い出し等のシリアル送信のための回路に関するシリアル回路エラーであるか否かを示すもので、乱数回路異常確認フラグは、乱数回路に関する乱数回路異常であるか否かを示すものである。領域内エラーフラグは、所定の領域内エラー(ここでは球詰まりエラー、補給切れエラー、計数エラー、断線エラー、扉開放エラーの5種類)に関してエラー報知中か否かを示すもので、第0~4ビットが夫々球詰まりエラー、補給切れエラー、計数エラー、断線エラー、扉開放エラーに対応している。
【0122】
S25~S28のエラー情報クリア処理が終了すると、タイマ割込みが例えば4ms周期で実行されるようにCTC(Counter Timer Circuit)の設定を行い(S29)、初期設定処理(S30)を実行する。
【0123】
この初期設定処理(S30)では、
図25に示すように、まずHLレジスタに初期設定テーブルのアドレスをロードし(S121)、データセット処理をコールする(S122)ことにより、動作確認タイマに初期値をセットすると共に発射制御信号をONにする。動作確認タイマは、性能表示手段95の動作確認の実行時間を計時するためのもので、例えば領域内RAMに記憶され、初期値として例えば4800msに対応するタイマ値に1を加算した値がセットされる。本実施形態では、後述するように4ms周期で実行されるタイマ割込み処理において動作確認タイマが1ずつ減算されるため(
図27のS132)、4800msに対応するタイマ値は1200となり、動作確認タイマの初期値はこれに1を加算した1201となる。このように本実施形態では、動作確認タイマの初期設定を、電源投入時の処理(メインループ処理の前)に行っている。
【0124】
初期設定処理(S30)に続いては、演出制御基板83aに対して遊技開始コマンド(BA77H)を送信した後(S31)、メインループ処理(S32~S37)を実行する。このメインループ処理では、割込みを禁止し(S32)、各種乱数を更新し(S33)、全レジスタをスタック領域に退避させ(S34)、メインループ内領域外処理(S35)を実行した後(領域外プログラムの呼び出し)、全レジスタを復帰させて(S36)割込みを許可する(S37)という一連の処理を繰り返し実行する。これにより、例えば4ms周期でタイマ割込み処理が呼び出され、実行される。
【0125】
ここで、メインループ内領域外処理(S35)は、領域外プログラムにより実行される領域外処理であって、
図26に示すように、まず領域内スタックポインタを退避させ(S123)、領域外スタックポインタを設定した後(S124)、性能表示RAM初期化判定処理(S125)を実行する。この性能表示RAM初期化判定処理(S125)では、性能表示手段95の表示(性能表示)に関するRAM領域に異常があるか否かを判定し、異常がある場合には領域外RAM初期化処理を実行するようになっている。
【0126】
この領域外RAM初期化処理では、領域外RAMのうち、領域外エラー情報の領域を除くRAM領域をクリアすることにより、異常であると判定された性能表示に関するRAM領域をクリアするように構成してもよいが、領域外エラー情報にも異常がある可能性を考慮し、領域外エラー情報の領域を含む領域外RAMの全領域をクリアするように構成してもよい。なお、性能表示に関するRAM領域とは、表示を更新する際に使用するRAM領域、ベース値の集計を行う際に使用するRAM領域、初めての電源投入時にのみ異常値判定されるRAM領域等である。
【0127】
また本実施形態では、性能表示RAM初期化判定処理(S125)において領域外RAMに異常があると判定された場合でもエラーコマンドは送信しないものとするが、この場合もエラーコマンドを送信するように構成してもよい。
【0128】
性能表示RAM初期化判定処理(S125)に続いては性能表示モニタ集計処理(S126)を実行する。この性能表示モニタ集計処理(S126)は、性能表示手段95に表示するベース値を算出するもので、アウト個数が所定個数(例えば60000個)に達するまでの単位計測期間中に、その単位計測期間中における「低確率状態での払い出し個数」と「低確率状態でのアウト個数」とをカウントし、前者を後者で除算することによりリアルタイムベース値を算出する。
【0129】
なお、性能表示モニタ集計処理(S126)では、「低確率状態での払い出し個数」と「低確率状態でのアウト個数」とのカウント処理については常に行うが、それらのカウント値を用いてリアルタイムベース値を算出するための除算処理については、後述する集計除算カウンタに開始値がセットされたときに実行し、それ以外のタイミングでは実行しないようになっている。また、単位計測期間が終了するとき、その時点のリアルタイムベース値が新たな第1累計ベース値となり、それまでの第1,第2累計ベース値が夫々新たな第2,第3累計ベース値となる。
【0130】
性能表示モニタ集計処理(S126)の実行後は、領域内スタックポインタを復帰(設定)し(S127)、メインループ内領域外処理を終了する。
【0131】
続いて、主制御基板82aのタイマ割込み処理(
図27)について説明する。このタイマ割込み処理(
図27)では、まず第2電源異常チェック処理(S131)を実行する。この第2電源異常チェック処理では、
図28に示すように、まず電源基板89aから送信されてくる電源異常信号を2回読み込む(S151)。そして、その2回読み込んだ電源異常信号のレベルが一致するか否かを判定し(S152)、一致しない場合(S152:No)にはS151に戻り、一致する場合(S152:Yes)にはその電源異常信号のレベルが「H」レベル(ON)であるか否かを判定する(S153)。
【0132】
電源異常信号のレベルが「H」レベル(ON)でない場合には(S153:No)、バックアップフラグ(
図20(a))をOFF(≠5AH)に設定する(S154)と共に、電源異常確認カウンタ(
図20(a))の値をクリアし(S155)、第2電源異常チェック処理を終了する。
【0133】
一方、電源異常信号のレベルが「H」レベル(ON)である場合には(S153:Yes)、電源異常確認カウンタの値をインクリメントする(S156)と共に、インクリメント後の電源異常確認カウンタの値が例えば2に達しているか否かを判定する(S157)。そして電源異常確認カウンタの値が2未満であれば(S157:No)、そのまま第2電源異常チェック処理を終了する。
【0134】
S157で電源異常確認カウンタの値が2に達している場合には(S157:Yes)、電源異常と判断し、領域内RAMに記憶されているデータ(遊技情報)のバックアップ処理(S158~S161)を行う。即ち、電源異常確認カウンタの値をクリアし(S158)、発射制御信号をOFFに設定し(S159)、バックアップフラグを5AHに設定する(S160)。そして、領域内RAMの作業領域に対して連続して8ビット加算を実行することによりチェックサムを演算し、その演算結果(SUM番地)をチェックサム値として領域内RAMのSUM記憶領域に保存する(S161)。
【0135】
その後、演出制御基板83a等に対して電源断コマンドを送信し(S162)、領域内RAMのプロテクトを有効にすると共に禁止領域を無効とする(S163)。これにより、以降の処理において領域内RAMへのデータ書込みが禁止される。また、全ての出力ポートの出力データをクリアし(S164)、CTCに対する設定処理によってタイマ割込みを禁止した後(S165)、WDTをクリアしつつ無限ループ処理を繰り返し、電源電圧が降下してCPUが非動作状態になるのを待つ。
【0136】
以上の第2電源異常チェック処理(
図27のS131)が終了すると、続いて遊技制御に用いられる各種タイマを管理するタイマ管理処理(S132)、各入賞手段に設けた遊技球検出手段や操作手段等の各種センサによる検出情報を管理する入力管理処理(S133)、設定値に関する異常チェックを行う設定異常チェック処理(S134)、領域内エラーの判定を行う領域内エラー判定処理(S135)、大当たり判定乱数等の各種乱数を更新する領域内乱数回路処理(S136)、払出制御基板90aに払出制御コマンドを送信する等の賞球管理を行う領域内賞球処理(S137)を実行する。
【0137】
ここで、タイマ管理処理(S132)では、例えば動作確認タイマの減算処理も行われる。この動作確認タイマの減算処理は、例えば動作確認タイマの値が0になるまで行われる。動作確認タイマは、電源投入時の初期設定処理(S30、
図25)において、初期値として動作確認時間(ここでは4800ms)に対応するタイマ値に1を加算した値、具体的には1201がセットされているため、電源投入後の最初のタイマ管理処理(S132)で1減算され、4800msに対応する1200となる。
【0138】
ここで、領域内エラー判定処理(S135)、領域内乱数回路処理(S136)、領域内賞球処理(S137)の詳細を説明する。領域内エラー判定処理(S135)では、
図29に示すように、まず領域内エラーフラグ(
図20(a))を取得する(S311)とともに、エラーコマンドテーブルの先頭アドレスを参照する(S312)。なお、エラーコマンドテーブルには、複数種類の領域内エラー(ここでは扉開放エラー、断線エラー、計数エラー、補給切れエラー、球詰まりエラーの5種類)毎に、エラー報知コマンドとエラー解除コマンドとを指定する情報が格納されている。
【0139】
そして、エラーコマンドテーブルのENDアドレスに達するまで(S313:No)、テーブルアドレスをインクリメントしつつ(S318)、即ち領域内エラーの種類を変更しつつ、S314~S317の処理を繰り返し実行する。S314では、今回の領域内エラーフラグの所定ビット(例えば扉開放エラーの場合は第4ビット)と前回の領域内エラーフラグの所定ビットとを比較し、両者が同じであれば(S314:No)、テーブルアドレスをインクリメントし(S318)、S313に移行する。
【0140】
一方、S314で両者が異なっている場合には(S314:Yes)、エラー報知終了か否か、即ち領域内エラーフラグの所定ビットの変化が1(ON)→0(OFF)、0(OFF)→1(ON)の何れであるかを判定する(S315)。そして、エラー報知終了でない場合(0→1)には(S315:No)、その領域内エラーに対応するエラー報知コマンドを送信し(S316)、エラー報知終了の場合(1→0)には(S315:Yes)、その領域内エラーに対応するエラー解除コマンドを送信する(S317)。その後、テーブルアドレスをインクリメントし(S318)、S313に移行する。なお、エラー報知コマンドとエラー解除コマンドは、共通の領域内コマンド送信モジュールを用いて送信される。
【0141】
そして、S313でエラーコマンドテーブルのENDアドレスに達したと判定された場合、即ち複数種類の領域内エラーの全てについてS314~S317の処理が終了した場合には(S313:No)、領域内エラー判定処理を終了する。
【0142】
続いて領域内乱数回路処理(S136)について説明する。領域内乱数回路処理(S136)では、
図30に示すように、まず乱数回路異常確認フラグ(
図20(a))の値を判定し(S321)、乱数回路異常確認フラグが5AHであれば、即ち既に乱数回路異常状態中であれば、そのまま領域内乱数回路処理を終了する。
【0143】
S321において乱数回路異常確認フラグが5AHでなければ、乱数値を取得して領域内RAMの所定領域へ格納する(S322)とともに、乱数回路異常(例えばハード乱数回路が起動していない等)であるか否かを判定し(S323)、乱数回路異常でなければ(S323:No)、そのまま領域内乱数回路処理を終了する。一方、乱数回路異常であれば(S323:Yes)、領域内RAMに取得した乱数値をクリアし(S324)、乱数回路異常確認フラグに5AHをセットする(S325)とともに、乱数回路異常コマンドを送信し(S326)、領域内乱数回路処理を終了する。なお、この乱数回路異常コマンドは、領域内エラー判定処理(
図29)におけるエラー報知/解除コマンドと共通の領域内コマンド送信モジュールを用いて送信される。
【0144】
続いて領域内賞球処理(S137)について説明する。領域内賞球処理(S137)では、
図31に示すように、まずシリアル回路エラーフラグ(
図20(a))の値を判定し(S331)、シリアル回路エラーフラグが5AHであれば、即ち既にシリアル回路エラー中であれば、そのまま領域内賞球処理を終了する。
【0145】
S331においてシリアル回路エラーフラグが5AHでなければ、払出通信が正常であるか否かを判定し(S332)、払出通信が正常でなければ(S332:No)、払出通信異常確認カウンタをインクリメントする(S333)。そして、インクリメント後の払出通信異常確認カウンタが未だ所定値に達していなければ(S334:No)、そのまま領域内賞球処理を終了するが、払出通信異常確認カウンタが所定値であれば、即ち払出通信が正常でないとの判定が所定回数継続した場合には(S334:Yes)、払出通信異常コマンドを送信し(S335)、領域内賞球処理を終了する。
【0146】
一方、S332において払出通信が正常であれば(S332:Yes)、払出通信異常確認カウンタを0クリアし(S336)、入賞情報及び賞球出力情報を更新する(S337,S338)とともに、賞球数指定コマンドを出力する(S339)。そして、シリアル送信ステータスが異常値であるか否かを判定し(S340)、異常値でなければ(S340:No)そのまま領域内賞球処理を終了するが、シリアル送信ステータスが異常値であれば(S340:Yes)、シリアル送信異常コマンドを送信する(S341)とともにシリアル回路エラーフラグに5AHをセットし(S342)、領域内賞球処理を終了する。
【0147】
なお、払出通信異常コマンド、シリアル送信異常コマンドは、領域内エラー判定処理(
図29)におけるエラー報知/解除コマンド、領域内乱数回路処理(
図30)における乱数回路異常コマンドと共通の領域内コマンド送信モジュールを用いて送信される。
【0148】
以上の領域内エラー判定処理(S135)、領域内乱数回路処理(S136)、領域内賞球処理(S137)に続いては、普通図柄管理処理(S138)、普通電動役物管理処理(S139)、特別図柄管理処理(S140)、特別電動役物管理処理(S141)を実行する。
【0149】
普通図柄管理処理(S138)は、普通図柄表示手段51による普通図柄の変動を管理するもので、普通図柄始動手段61が遊技球を検出することに基づいて、当たり判定乱数値等の普通乱数情報を取得すると共にその普通乱数情報を上限保留個数(例えば4個)を限度として先入れ先出し式の記憶領域に記憶し、普通図柄表示手段51が変動表示可能な状態となり且つ普通保留個数が1以上であることを条件に、普通乱数情報の待ち行列からその先頭の当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/はずれの判定を行うと共に、その当たり判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄及び変動時間を選択し、普通図柄表示手段51による普通図柄の変動を行うようになっている。
【0150】
また、普通電動役物管理処理(S139)は、普通利益状態を管理するもので、S138の当たり判定結果が当たりとなることに基づいて普通図柄表示手段51の変動後の停止図柄が当たり態様となった場合に、第2特別図柄始動手段63の開閉部78を所定の開閉パターンに従って開状態に変化させる普通利益状態を発生させるようになっている。
【0151】
特別図柄管理処理(S140)は、第1,第2特別図柄表示手段53,54による第1,第2特別図柄の変動を管理するもので、第1,第2特別図柄始動手段62,63が遊技球を検出することに基づいて、大当たり判定乱数値、大当たり図柄乱数値、その他の乱数値よりなる第1,第2特別乱数情報を取得すると共にその第1,第2特別乱数情報を上限保留個数(例えば各4個)を限度として先入れ先出し式の記憶領域に記憶し、第1,第2特別図柄表示手段53,54が変動表示可能な状態となったときに、第2特別保留個数が1以上であれば第2特別乱数情報の待ち行列から、第1特別保留個数のみが1以上であれば第1特別乱数情報の待ち行列から、その先頭の大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値を用いた乱数抽選により所定の大当たり確率で大当たり/はずれの判定を行うと共に、その大当たり判定結果に応じて、第1,第2特別図柄の停止図柄態様、演出図柄の変動パターン等を決定し、第1,第2特別図柄表示手段53,54による第1,第2特別図柄の変動を行うようになっている。
【0152】
特別電動役物管理処理(S141)は、大当たり遊技を管理するもので、大当たり判定の結果が大当たりとなり、第1,第2特別図柄表示手段53,54の変動後の停止図柄が大当たり態様となった場合に、大入賞手段64を所定の開放パターンに従って開状態に変化させる大当たり遊技(第1,第2特別利益状態)を発生させるようになっている。
【0153】
特別電動役物管理処理(S141)に続いては、外部端子処理(S142)、LED管理処理(S143)を実行する。外部端子処理(S142)では、外部出力端子からホールコンピュータ等の外部装置に各種情報を出力するための処理を行う。
【0154】
またLED管理処理(S143)は、遊技情報表示手段50、性能表示手段95(性能情報表示手段97)等を構成するLEDの発光管理を行うもので、
図32に示すように、まずLEDコモンポートとLEDデータポートにクリア信号を出力して同ポートをクリアし(S171)、LED出力カウンタをインクリメントする(S172)。そして、LEDコモン出力選択テーブル(
図33(a))から、LED出力カウンタの値に対応するコモンデータを選択し(S173)、LEDコモンポートに出力する(S174)。
【0155】
本実施形態のLEDコモン出力選択テーブルでは、
図33(a)及び
図7に示すように、コモンC0とコモンC4とをONにする第1コモンデータと、コモンC1とコモンC5とをONにする第2コモンデータと、コモンC2とコモンC6とをONにする第3コモンデータと、コモンC3とコモンC7とをONにする第4コモンデータの4種類のコモンデータが設けられており、それら第1~第4コモンデータが、LED出力カウンタの増加に応じてその順序で循環的に選択されるようになっている。
【0156】
これにより、1割込み毎(ここでは4ms毎)に、遊技情報表示手段50の点灯対象はLEDグループ50a→50b→50c→50d→50a→…のように順次変化し、同様に性能表示手段95(性能情報表示手段97)の点灯対象は7セグ表示部97a→97b→97c→97d→97a→…のように順次変化する。
【0157】
続いて、LED出力カウンタについて、最下位を第0ビットとしたときの第5ビットの値を判定し(S175)、その値に応じて2つのLEDデータ出力情報テーブルA,B(
図33(b))の何れかを選択する(S176a,176b)。これにより、割込み32回(128ms)毎にLEDデータ出力情報テーブルを切り替えることができる。
【0158】
ここで、LEDデータ出力情報テーブルA,Bは、遊技情報表示手段50に接続されるLEDデータポート1に対応しており、
図33に示すように夫々第1~第4コモンデータに対応する第1~第4LEDデータA0~A3,B0~B3が設けられている。即ち、第1LEDデータA0,B0は、コモンC0に対応する遊技情報表示手段50のLEDグループ50aのLEDデータであり、第2LEDデータA1,B1は、コモンC1に対応する遊技情報表示手段50のLEDグループ50bのLEDデータであり、第3LEDデータA2,B2は、コモンC2に対応する遊技情報表示手段50のLEDグループ50cのLEDデータであり、第4LEDデータA3,B3は、コモンC3に対応する遊技情報表示手段50のLEDグループ50dのLEDデータである。
【0159】
LEDデータ出力情報テーブルA,Bの何れかを選択すると(S176a,S176b)、そのLEDデータ出力情報テーブルからLED出力カウンタの値に対応するLEDデータを選択し(S177)、そのLEDデータをLEDデータポート1に出力し(S178)、LED管理処理を終了する。これにより、遊技情報表示手段50の4つのLEDグループ50a~50dを4ms毎に順次切り替えつつ点灯させることができ、しかも同一グループで2種類の表示態様を128ms毎に切り替えることができる。
【0160】
図27のタイマ割込み処理に戻って説明を続ける。以上説明したLED管理処理(S143)が終了すると、全レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(S144)、タイマ割込み内領域外処理(S145)を実行する(領域外プログラムの呼び出し)。このタイマ割込み内領域外処理(S145)は、領域外プログラムにより実行される領域外処理であり、
図34に示すように、まず領域内スタックポインタを退避させ(S351)、領域外スタックポインタを設定した後(S352)、領域外タイマ減算処理(S353)を実行する。この領域外タイマ減算処理(S353)では、
図35に示すように、領域外エラー報知タイマテーブルの先頭アドレスを参照する(S361)。この領域外エラー報知タイマテーブルには、複数種類の領域外エラー(ここでは電波エラー、磁気エラー、入賞口エラーの3種類)毎に、エラー報知タイマを指定する情報が格納されている。
【0161】
そして、領域外エラー報知タイマテーブルのENDアドレスに達するまで(S362:No)、テーブルアドレスをインクリメントしつつ(S364)、即ち領域外エラーの種類を変更しつつ、報知タイマの減算処理(S363)を繰り返し実行する。そして、S362で領域外エラー報知タイマテーブルのENDアドレスに達したと判定された場合、即ち複数種類の領域外エラーの全てについて報知タイマの減算処理(S363)が終了した場合には(S362:No)、領域外タイマ減算処理を終了する。
【0162】
領域外タイマ減算処理(S353)に続いては、領域外エラー判定処理(S354)を実行する。この領域外エラー判定処理(S354)では、
図36に示すように、まず監視処理(S371)を実行する。この監視処理(S371)では、
図37に示すように、まずエラー監視用テーブルの先頭アドレスを参照する(S391)。エラー監視用テーブルには、複数種類の領域外エラー(ここでは電波エラー、磁気エラー、入賞口エラーの3種類)毎に、エラー検出タイマとエラー報知タイマとを指定する情報が格納されている。
【0163】
そして、エラー監視用テーブルのENDアドレスに達するまで(S392:No)、テーブルアドレスをインクリメントしつつ(S404)、即ち領域外エラーの種類を変更しつつ、S393~S403の処理を繰り返し実行するようになっている。まずS393では、領域外エラーの種類に応じて、次のS394の処理に関するループ数を設定する。本実施形態では、このループ数は、電波エラーの場合は1回、磁気エラーと入賞口エラーの場合は夫々13回に設定されている。そして、対応する入力ポート(例えば電波エラーの場合は電波センサに対応する入力ポート)の値を2回読み出し(S394)、その2回の値が同一値であることを条件にループ数をデクリメントする(S396)処理を、ループ数が0になるまで(S397:Yes)繰り返し実行する。なお、S394で読み出した2回の値が同一値でない場合には(S395:No)、S393に戻って改めてループ数を設定する。即ち、S394の入力ポート2回読み処理は、電波エラーの場合にはその2回の値が同一値となるまで(ループ数1)行われ、磁気エラーと入賞口エラーの場合にはその2回の値が連続で13回同一値となるまで(ループ数13)繰り返し行われる。
【0164】
S397でループ数が0に達したと判定された場合には、読み出した入力ポートの値に基づいてエラー検出か否かを判定し(S398)、エラー検出と判定した場合には(S398:Yes)、対応するエラー検出タイマ(例えば電波エラーの場合は電波エラー検出タイマ)をインクリメントし(S399)、そのインクリメント後のエラー検出タイマの値が、エラーの種類に応じたエラー判定値に達したか否かを判定する(S400)。本実施形態では、このエラー判定値は、電波エラーの場合は2、磁気エラーと入賞口エラーの場合は夫々251に設定されている。
【0165】
S400でエラー検出タイマの値がエラー判定値に達していないと判定された場合には(S400:No)、テーブルアドレスをインクリメントし(S404)、S392に移行する。一方、S400でエラー検出タイマの値がエラー判定値に達したと判定された場合には(S400:Yes)、エラー検出タイマの値をデクリメントし(S401)、対応するエラー報知タイマ(例えば電波エラーの場合は電波エラー報知タイマ)に初期値として例えば30秒に対応する値をセットした上で(S402)、テーブルアドレスをインクリメントし(S404)、S392に移行する。また、S398でエラー非検出と判定した場合には(S398:No)、エラー検出タイマをクリアした上で(S403)、テーブルアドレスをインクリメントし(S404)、S392に移行する。このように、エラー検出状態が、エラーの種類に応じた所定回数(電波エラーの場合は2回)連続した場合にエラー発生と判定される。
【0166】
そして、S392でエラー監視用テーブルのENDアドレスに達したと判定された場合、即ち複数種類の領域外エラーの全てについてS393~S403の処理が終了した場合には(S392:No)、監視処理を終了する。
【0167】
なお、S400でエラー検出タイマの値がエラー判定値に達したと判定された場合には、エラー検出タイマの値がデクリメントされ(S401)、対応するエラー報知タイマに初期値がセットされる(S402)から、次回以降の割込みでは、S398でエラー非検出と判定されない限り、毎回S400でエラー検出タイマの値がエラー判定値に達したと判定され、エラー報知タイマに初期値がセットされる(S402)。このように、エラー判定後のエラー報知タイマの値は、S398でエラー非検出と判定されてエラー検出タイマがクリアされるまで繰り返し初期値に再設定されるため、領域外タイマ減算処理(S353;
図35)によって減算されても実質的には減少しない。そして、S398でエラー非検出と判定されてエラー検出タイマがクリアされると、エラー報知タイマには初期値が再設定されなくなるため、領域外タイマ減算処理(S353;
図35)によってエラー報知タイマの値は実質的な減少を開始する。
【0168】
図36に戻って説明を続ける。以上の監視処理(S371)に続いては、エラータイマ監視用テーブルの先頭アドレスを参照する(S372)。このエラータイマ監視用テーブルには、複数種類の領域外エラー(ここでは電波エラー、磁気エラー、入賞口エラーの3種類)毎に、エラー報知タイマと領域外エラーフラグとを指定する情報が格納されている。
【0169】
そして、エラータイマ監視用テーブルのENDアドレスに達するまで(S373:No)、テーブルアドレスをインクリメントしつつ(S376)、即ち領域外エラーの種類を変更しつつ、S374,S375の処理を繰り返し実行する。S374では、対応するエラー報知タイマの値が0であるか否かを判定し、エラー報知タイマの値が0でなければ(S374:Yes)、S375で領域外エラーフラグの対応するビット(例えば磁気エラーの場合は第2ビット)にエラー状態の情報(例えば1)をセットする。これにより、領域外エラーフラグの値は、
図37のS400でエラー検出タイマの値がエラー判定値に達したと判定されたときに0から1に変化し、その後、
図37のS398でエラー非検出と判定されてから所定時間(例えば30秒)経過した時点で1から0に変化する。
【0170】
そして、S373でエラータイマ監視用テーブルのENDアドレスに達したと判定された場合、即ち複数種類の領域外エラーの全てについてS374,S375の処理が終了した場合には(S373:No)、続いてエラーコマンドテーブルの先頭アドレスを参照する(S377)。なお、エラーコマンドテーブルには、複数種類の領域外エラー(ここでは電波エラー、磁気エラー、入賞口エラーの3種類)毎に、エラー報知コマンドとエラー解除コマンドとを指定する情報が格納されている。
【0171】
そして、エラーコマンドテーブルのENDアドレスに達するまで(S378:No)、テーブルアドレスをインクリメントしつつ(S383)、即ち領域外エラーの種類を変更しつつ、S379~S382の処理を繰り返し実行する。S379では、今回の領域外エラーフラグの所定ビット(例えば磁気エラーの場合は第2ビット)と前回の領域外エラーフラグの所定ビットとを比較し、両者が同じであれば(S379:No)、テーブルアドレスをインクリメントし(S383)、S378に移行する。
【0172】
一方、S379で両者が異なっている場合には(S379:Yes)、その変化状態が1→0、0→1の何れであるか、即ちエラー報知終了か否かを判定する(S380)。そして、領域外エラーフラグの所定ビットが0→1に変化した場合、即ちエラー報知終了でない場合には(S380:No)、その領域外エラーに対応するエラー報知コマンドを送信し(S381)、領域外エラーフラグが1→0に変化した場合、即ちエラー報知終了の場合には(S380:Yes)、その領域外エラーに対応するエラー解除コマンドを送信する(S382)。その後、テーブルアドレスをインクリメントし(S383)、S378に移行する。なお、エラー報知コマンドとエラー解除コマンドは、共通の領域外コマンド送信モジュールを用いて送信される。
【0173】
そして、S378でエラーコマンドテーブルのENDアドレスに達したと判定された場合、即ち複数種類の領域外エラーの全てについてS379~S382の処理が終了した場合には(S378:No)、領域外エラー判定処理を終了する。
【0174】
図34に戻って説明を続ける。領域外エラー判定処理(S354)に続いては、性能表示モニタ表示更新処理(S355)を実行する。この性能表示モニタ表示更新処理(S355)により、性能表示手段95が全点灯と全消灯とを繰り返す動作確認が所定の動作確認時間(例えば約5秒間)行われた後、性能表示モニタ集計処理(
図26のS126)で算出される複数種類のベース値(ここではリアルタイムベース値、第1~第3累計ベース値の4種類)を性能表示手段95に表示する複数のベース値表示期間(リアルタイムベース値表示期間、第1~第3累計ベース値表示期間)が所定時間(例えば4.8秒)毎に循環的に切り替えられる。
【0175】
性能表示手段95を構成する4つの7セグ表示部97a~97d(
図5,
図7)は、例えば上位2桁がベース値の種類(リアルタイムベース値、第1~第3累計ベース値の別)等を示す識別表示部、下位2桁がベース値の数値等を表示する数値表示部となっている。
【0176】
ベース値は、アウト個数が所定個数(ここでは60000個)に達するまでを単位計測期間としてその単位計測期間毎に計測されるが、初回電源投入後の1回目の単位計測期間は、電源投入時から開始するのではなく、所定の計測前期間の経過後(例えばアウト個数が所定個数(ここでは300個)に達したとき)に開始する。
【0177】
リアルタイムベース値表示期間中、識別表示部には例えばリアルタイムベース値を示す「bL.」と表示し、数値表示部には例えばそのリアルタイムベース値表示期間の開始時又はその直前のリアルタイムベース値を表示するが、その時点の単位計測期間におけるアウト個数が所定閾値(例えば6000個)に達しているか否かに応じて、識別表示部の「bL.」の表示態様を例えば点灯と点滅とで異ならせるようになっている。なお、ベース値は小数第一位を四捨五入した上で数値表示部に表示するが、四捨五入後の値が3桁以上の場合には、数値表示部にオーバーフローを示す「99.」等を表示する。
【0178】
また、第1~第3累計ベース値表示期間中は、識別表示部には第1~第3累計ベース値を示す「b1.」~「b3.」を表示し、数値表示部にはその時点の第1~第3累計ベース値を表示するが、未だ第1~第3累計ベース値が得られていない場合には、識別表示部を点滅表示すると共に数値表示部には「--」を表示する。1回目の単位計測期間が終了するまでは、第1~第3累計ベース値は何れも得られていないため、第1~第3累計ベース値表示期間中の性能表示手段95の表示は「b1.--」~「b3.--」となる。
【0179】
なお、1回目の単位計測期間が始まる前の計測前期間中(アウト個数が300個未満)については、識別表示部には「bL.」,「b1.」~「b3.」を点滅表示し、数値表示部には「--」を点灯表示する。
【0180】
以下、性能表示モニタ表示更新処理(S355)の処理手順を説明する。性能表示モニタ表示更新処理(S355)では、
図38に示すように、まずこの性能表示モニタ表示更新処理の実行が電源投入後1回目である場合に限り(S191:Yes)、性能表示手段95の表示に関する各種情報の初期設定を行う(S192)。本実施形態では、動作確認タイマの値が4800msに対応する値、具体的には1200であるか否かでS191の判定を行う。本実施形態の動作確認タイマは、電源投入時の初期設定処理(
図11のS30、
図25)で、初期値として1201がセットされ、その後の1回目のタイマ管理処理(S132)で1減算されるため、電源投入後1回目の性能表示モニタ表示更新処理(S355)の時点では動作確認タイマの値は1200となっている。
【0181】
S192では、点滅周期タイマに0が、点灯・消灯切替カウンタに15が、集計除算カウンタに所定の非開始値が、表示内容ポインタに4が、夫々セットされると共に、識別表示部出力バッファ及び数値表示部出力バッファに夫々消灯データ(0000H)がセットされる。ここで、点滅周期タイマは点滅周期を計時するためのもの、点灯・消灯切替カウンタは点滅時の点灯と消灯とを切り替えるためのもの、集計除算カウンタは、性能表示モニタ集計処理(S126)においてカウント値を用いてリアルタイムベース値を算出するタイミングを指定するためのものである。また表示内容ポインタは、性能表示手段95の表示内容(ベース値の種類)を指定するためのもので、リアルタイムベース値、第1~第3累計ベース値に対応して1~4の値をとるようになっている。
【0182】
このように本実施形態では、性能表示手段95の表示に関する所定情報、即ち点滅周期タイマ、点灯・消灯切替カウンタ、集計除算カウンタ、表示内容ポインタについて電源投入後に初期設定を行うことで、電源投入毎に動作確認開始時の点灯/消灯状態が異なったり、動作確認後に最初に表示されるベース値の種類が異なるようなことがなく、電源投入後の性能表示手段95の表示開始時の状態を常に同じにすることができる。
【0183】
また本実施形態では、性能表示手段95の表示に関する情報のうち、動作確認タイマについては割込み処理が開始される前の電源投入処理にて初期設定を行い(S122)、それ以外の所定情報については割込み処理にて初期設定を行うため(S192)、電源投入時の処理時間が短く、迅速な立ち上げが可能である。
【0184】
なお、点滅周期タイマ、点灯・消灯切替カウンタ、集計除算カウンタ、表示内容ポインタについては領域外RAMに記憶される。従って、性能表示RAM初期化判定処理(S125)で領域外RAM異常であると判定された場合には、領域内RAMに記憶されている動作確認タイマはクリアされないが、領域外RAMに記憶されている点滅周期タイマ、点灯・消灯切替カウンタ、集計除算カウンタ、表示内容ポインタ等はクリアされる。
【0185】
続いて、点滅周期タイマをインクリメントし(S193)、そのインクリメント後の点滅周期タイマの値が所定値(ここでは0.3秒に対応する75)以上か否かを判定し(S194)、所定値未満であれば(S194:No)ここで性能表示モニタ表示更新処理を終了する。S194で点滅周期タイマの値が所定値以上であれば(S194:Yes)、その点滅周期タイマをクリアする(S195)と共にS196以降の処理を実行する。このように、S195以降の処理は、点滅周期タイマが所定値である75に達する毎、即ち0.3秒(=4ms×75)経過毎に実行される。
【0186】
なお、上述したS192において、識別表示部出力バッファ及び数値表示部出力バッファには初期値として夫々消灯データ(0000H)がセットされるため、S194で最初にYes判定となるまでの約0.3秒間は、性能表示手段95は全消灯状態となる。
【0187】
S195に続いては、点灯・消灯切替カウンタをインクリメントする(S196)と共に、そのインクリメント後の点灯・消灯切替カウンタの値が偶数/奇数の何れであるかを判定し(S197)、偶数であれば
図39のS201へ、奇数であれば
図40のS211へ移行する。即ち、0.3秒経過毎に、
図39に示すS201以降の処理と、
図40に示すS211以降の処理とが交互に行われる。
【0188】
本実施形態では、S192で点灯・消灯切替カウンタに初期値として15がセットされるため、電源投入後1回目のS197では点灯・消灯切替カウンタは偶数(=16)となり、
図39のS201へ移行する。この時点の点灯・消灯切替カウンタは16で所定値(ここでは15)以上であるから、点灯・消灯切替カウンタはS201でクリアされ、0になる。またこの時点の動作確認タイマの値は1126であって0ではないから(S202:No)、識別表示部出力バッファと数値表示部出力バッファとに夫々点灯データ(FFFFH)をセットし(S203,S204)、性能表示モニタ表示更新処理を終了する。これにより、性能表示手段95は全消灯状態から全点灯状態に切り替わる。なお、このS203,S204の点灯データは、データテーブル等を参照することなく各出力バッファに直接書き込まれる。
【0189】
その0.3秒後の表示更新処理では、S196によるインクリメント後の点灯・消灯切替カウンタは1となるから、S197で奇数と判定されて
図40のS211へ移行する。この時点の動作確認タイマの値は1051であって0ではないから(S211:No)、識別表示部出力バッファと数値表示部出力バッファとに夫々消灯データ(0000H)をセットする(S212,S213)。これにより、性能表示手段95は全点灯状態から全消灯状態に切り替わる。なお、S212,S213の消灯データについても、データテーブル等を参照することなく各出力バッファに直接書き込まれる。また、この時点での点灯・消灯切替カウンタの値は1であって所定値(ここでは15)ではないから(S217:No)、ここで性能表示モニタ表示更新処理を終了する。
【0190】
以上の処理は、S196によるインクリメント後の点灯・消灯切替カウンタが14になるまで繰り返し行われる。そして、S196によるインクリメント後の点灯・消灯切替カウンタが15となったとき、S197で奇数と判定されて
図40のS211に移行するが、この時点の動作確認タイマの値は1であって0ではないから、S212,S213で識別表示部出力バッファと数値表示部出力バッファとに夫々消灯データ(0000H)をセットする。これにより、性能表示手段95は全点灯状態から全消灯状態に切り替わる。
【0191】
そして、この時点の点灯・消灯切替カウンタは15であるから、続くS217の判定がYesとなり、S218~S221の処理を実行する。即ち、表示内容ポインタをインクリメントし(S218)、そのインクリメント後の表示内容ポインタが所定値(ここでは5)以上であることを条件に(S219:Yes)、表示内容ポインタに1をセットする(S220)。本実施形態では、S192で表示内容ポインタには初期値として4がセットされるため、S218の加算後の表示内容ポインタの値は5となり、S219で所定値以上であると判定され、S220で表示内容ポインタに1がセットされる。そして、集計除算カウンタに開始値をセットし(S221)、性能表示モニタ表示更新処理は終了する。
【0192】
集計除算カウンタに開始値がセットされると、性能表示モニタ集計処理(S126)において、その時点のカウント値を用いてリアルタイムベース値を算出するための除算処理が行われる。リアルタイムベース値が算出されると、集計除算カウンタには非開始値がセットされる。
【0193】
その0.3秒後の表示更新処理では、S196による加算後の点灯・消灯切替カウンタは16となるから、S197で偶数と判定され、続く
図39のS201で、点灯・消灯切替カウンタはクリアされて0となる。そして、この時点では動作確認タイマは既に0となっているから(S202:Yes)、動作確認を終了し、S205~S208の処理を実行する。このように本実施形態では、性能表示手段95の全消灯と全点灯とを所定時間(0.3秒)毎に切り替える動作確認が約5.1秒間(=0.3秒×17)行われる。
【0194】
S205~S208では、まず識別表示部LEDデータテーブルから、表示内容ポインタに対応する識別表示部表示パターンデータを取得し(S205)、取得した識別表示部表示パターンデータを識別表示部出力バッファにセットする(S206)。識別表示部LEDデータテーブルには、表示内容ポインタの1~4の値に対応して、「bL.」,「b1.」,「b2.」,「b3.」の表示に対応する表示パターンデータが予め記憶されている。この時点の表示内容ポインタの値は1であるから、「bL.」の表示に対応する表示パターンデータが識別表示部出力バッファにセットされる。
【0195】
また、10進数値LEDデータテーブルから、数値表示部への表示内容に対応する数値表示部表示パターンデータを取得し(S207)、取得した数値表示部表示パターンデータを数値表示部出力バッファにセットする(S208)。数値表示部への表示内容は、例えば
図41に示すように表示内容ポインタと区間ポインタとに基づいて決定する。ここで、区間ポインタはベース値の計測に関する期間を示すもので、
図41に示すように、「計測前期間」、それに続く「第1単位計測期間」,「第2単位計測期間」,「第3単位計測期間」及び「第4単位計測期間以降」の5種類の期間に対応して1~5の何れかの値をとるようになっている。また、10進数値LEDデータテーブルには、「0」~「9」の10種類の数字と「-」とに対応する各1バイトの表示パターンデータが格納されている。
【0196】
この時点では、表示内容ポインタは1であり、また区間ポインタは1(計測前期間)である可能性が高いから、
図41に示すように数値表示部の表示内容は「--」となる。従って、10進数値LEDデータテーブルから10の位の「-」に対応する“01000000B”と、同じく1の位の「-」に対応する“01000000B”とが取得され、数値表示部出力バッファにセットされる。
【0197】
以上により、動作確認の終了時点でリアルタイムベース値表示期間(計測前期間)が開始され、性能表示手段95の表示は全消灯状態から「bL.--」に切り替えられる。
【0198】
その0.3秒後の表示更新処理では、S196による加算後の点灯・消灯切替カウンタは1となり、S197で奇数と判定される。そして、
図40のS211で動作確認タイマの値は0と判定されるから(S211:Yes)、続くS214で識別表示部の表示態様が点灯/点滅の何れであるかを判定し、その判定結果が点滅であることを条件に(S215:Yes)、識別表示部出力バッファに消灯データ(0000H)をセットする(S216)。これにより、識別表示部は「bL.」から消灯状態に切り替わる。なお、数値表示部出力バッファの値は更新されないため、数値表示部は「--」のまま変化しない。
【0199】
以上の処理は、S196による加算後の点灯・消灯切替カウンタが15になるまで繰り返し行われる。なお、S196による加算後の点灯・消灯切替カウンタが15となったときには、
図40のS217の判定がYesとなるから、S218~S221の処理により、表示内容ポインタが1→2に変化すると共に集計除算カウンタに開始値がセットされる。
【0200】
これにより、その0.3秒後にはリアルタイムベース値表示期間が終了して新たに第1累計ベース値表示期間が開始し、識別表示部は「b1.」の点滅状態となり、数値表示部には「--」が点灯表示される。
【0201】
以後同様に、区間ポインタと所定周期で周期的に変化する表示内容ポインタとに基づいて、複数種類のベース値(ここではリアルタイムベース値、第1~第3累計ベース値の4種類)が所定時間(例えば4.8秒)毎に性能表示手段95に循環的に表示される。
【0202】
なお、動作確認中に領域外RAMに異常が発生した場合(
図26のS125)、領域外RAMはクリアされるが、動作確認タイマは領域内RAMに記憶されているためクリアされない。従って、動作確認は中断することなく、少なくとも動作確認タイマの値が0に達するまでそのまま継続される。しかしながらこの場合、領域外RAMに記憶されている点滅周期タイマ、点灯・消灯切替カウンタ、表示内容ポインタ等についてはクリアされるため、点滅のタイミング(点滅周期タイマの値が所定値(75)に達するタイミング)等が変化する可能性がある。また、表示内容ポインタがクリアされることにより、動作確認後の最初の表示内容が変化する可能性もある。
【0203】
図34に戻って説明を続ける。以上の性能表示モニタ表示更新処理(S355)に続いては、試射試験信号管理処理(S356)を実行し、領域内スタックポインタを復帰(設定)し(S357)、タイマ割込み内領域外処理を終了する。なお、試射試験信号管理処理(S356)では、球詰まりエラー、補給切れエラー、計数エラー、断線エラー、扉開放エラーの発生中は、遊技機エラー状態信号が出力される。
【0204】
図27のタイマ割込み処理に戻って説明を続ける。以上説明したタイマ割込み内領域外処理(S145)が終了すると、退避していたレジスタの内容を復帰させ(S146)、WDTをクリアして(S147)、タイマ割込み処理を終了する。
【0205】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機では、領域内処理(領域内エラー判定処理(S135,
図29)、領域内乱数回路処理(S136,
図30)、領域内賞球処理(S137,
図31))により、領域内エラー(第1種別エラー)の判定及びエラーコマンドの送信に関する第1種別エラー処理とエラー以外に関する第1処理(例えば賞球に関する処理)とを実行した後、領域内処理から領域外処理(タイマ割込み内領域外処理(S145、
図34))へと移行し、その領域外処理により、領域外エラー(第2種別エラー)の判定及びエラーコマンドの送信に関する第2種別エラー処理とエラー以外に関する第2処理(性能表示モニタ表示更新処理等)とを実行した後、領域外処理から領域内処理へと復帰するように構成されている。このように本実施形態では、一部のエラーに関する処理を使用領域(第1記憶領域)とは別の領域(第2記憶領域)を用いてより効率的に行うことが可能である。
【0206】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態において領域内で処理を行うとしたエラーのいずれか1つまたは全部、またはいずれか複数(如何様な組み合わせでもよい)について、領域外で処理を行うように構成してもよい。この場合、特に乱数異常、RAM異常、大当たり確率に関する設定値の異常、バックアップ異常については、それらのいずれか1つまたは全部、またはいずれか複数(如何様な組み合わせでもよい)について、領域外で処理を行うように構成することが望ましい。また、球詰まりエラー、補給切れエラー、計数エラー、断線エラー、扉開放エラー等についても、それらのいずれか1つまたは全部、またはいずれか複数(如何様な組み合わせでもよい)について領域外で処理を行うように構成することが望ましい。
【0207】
このように、実施形態において領域内で処理を行うとしたエラーの少なくとも一部について領域外で処理を行うように構成する場合(以下、「第2領域外エラー」という)、エラーの検出、判定からエラーコマンドの送信までを領域外で実行するようにしてもよいが、エラーの検出、判定のみを領域内で行い、エラーコマンドの送信を領域外で実行するようにしてもよい。或いは、エラーの検出を領域内で行い、エラーの判定、エラーコマンドの送信を領域外で実行するようにしてもよい。このように構成することで、領域内プログラムの容量をより削減することが可能となる。またこの場合、エラーの検出、エラーの判定、エラーコマンドの送信のうちのいずれか1つまたは全部、またはいずれか複数(如何様な組み合わせでもよい)について、第2領域外エラーと、実施形態において領域外で処理を行うとしたエラー(以下、「第1領域外エラー」という)とで共通のプログラムにより実行するようにしてもよい。これにより、プログラムの共通化による容量削減が可能になるとともに、遊技の結果に影響を及ぼすおそれがあるエラーとそれ以外のエラーとで処理を区別することが可能である。
【0208】
大当たり確率に関する設定値の異常に関する処理を領域外プログラムにて実行する場合、設定値の設定処理(設定変更処理)や確認処理(設定確認処理)についても領域外プログラムにて実行するように構成してもよいし、設定値の設定処理(設定変更処理)や確認処理(設定確認処理)は領域内プログラムにて実行し、設定値の異常を判定するタイミングで領域外プログラムに移行するように構成してもよい。
【0209】
領域外プログラムによるエラー判定の結果に基づいて遊技停止処理を実行する場合、その遊技停止処理については領域内プログラムにて実行することが望ましい。このように、実行結果が遊技の結果に影響を及ぼす可能性がある処理(例えば遊技停止処理)については領域内にて実行することが望ましい。
【0210】
実施形態では、メインループ前の領域外エラー情報クリア処理(S27)において領域外エラー情報をクリアするように構成したが、メインループ内領域外処理(S35)又はタイマ割込み内領域外処理(S145)において領域外エラー情報をクリアするように構成してもよい。これにより、領域外エラー情報をクリアするためだけに領域外プログラムを呼び出す必要がなくなるため、プログラム容量の更なる削減が可能である。
【0211】
払出制御基板90aにより検出を行う特定のエラー(球詰まりエラー、補給切れエラー、計数エラー、扉開放エラー等であるがそれ以外でもよい)について、払出制御基板90a側のプログラムに領域内プログラムと領域外プログラムとを設け、領域外プログラムでエラー検出処理を行うとともに検出結果を主制御基板82aへと送信するように構成してもよい。またこの場合、エラー検出処理を領域外プログラムで、検出結果の送信処理を領域内プログラムで行うようにしてもよいし、エラー検出処理を領域内プログラムで、検出結果の送信処理を領域外プログラムで行うようにしてもよい。
【0212】
また本発明は、アレンジボール機、雀球遊技機等の各種弾球遊技機の他、スロットマシン等の弾球遊技機以外の遊技機においても同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0213】
82a 主制御基板
83a 演出制御基板