(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160768
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】高所作業車用照明装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20221013BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B66F9/075 J
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065168
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】横山 藍輝
(72)【発明者】
【氏名】芳上 淳亘
(72)【発明者】
【氏名】片山 理沙
(72)【発明者】
【氏名】神原 宏貴
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AA15
3F333AB01
3F333BA12
3F333BB03
3F333BB08
3F333CA28
(57)【要約】
【課題】バケット及びサブブームを備えた高所作業車に用いられ、バケット内に搭乗している作業者の作業の邪魔にならず、しかも照射方向を容易に変更することが可能な高所作業車用照明装置を提供する。
【解決手段】高所作業車用照明装置1aは、バケットの囲いを構成する側板55bの上部に設置される略直方体状の取付部材2と、この取付部材2の上面2aに設置される旋回具3と、この旋回具3の上面に設置される傾き調整具4と、この傾き調整具4の上面に設置される照明器5を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮ブームの先端にバケット及びウインチポストが取り付けられるとともに、内部にサブブームが嵌挿される角管状のブームブラケットが前記ウインチポストに設けられている高所作業車に用いられる高所作業車用照明装置であって、
前記サブブームの代わりに、前記ブームブラケットに嵌挿される直方体状の取付部材と、
この取付部材の上面に設置される照明器と、を備えていることを特徴とする高所作業車用照明装置。
【請求項2】
前記取付部材の側面には、前記ブームブラケットの平行な一対の側面に設けられた一対の第1の貫通孔に対し、棒状の連結部材を連通可能に第2の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車用照明装置。
【請求項3】
前記取付部材は、前記バケットの囲いを構成する側板よりも広い幅を有し、前記側板を内部へ配置可能に前記直方体の下面側から上方に向かって側板挿通部が所望の長さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車用照明装置。
【請求項4】
前記取付部材の上面に設置される傾き調整具を備え、
前記照明器は、前記取付部材の上面に設置される代わりに、前記傾き調整具の上部に設置されていることを特徴とする請求項3に記載の高所作業車用照明装置。
【請求項5】
前記取付部材の上面に設置される旋回具を備え、
前記傾き調整具は、前記取付部材の上面に設置される代わりに、前記旋回具の上部に設置されていることを特徴とする請求項4に記載の高所作業車用照明装置。
【請求項6】
外周面に雄ネジが設けられた棒状のネジ部材を備え、
前記取付部材は、前記側板挿通部の両側に配置された部分の側面に前記側板挿通部に達するようにそれぞれ設けられた一対のネジ孔を有し、
前記ネジ孔は、前記雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられ、
前記ネジ部材は、先端が前記側板挿通部の内部へ突出可能に前記ネジ孔に螺入されることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の高所作業車用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間の配電線工事を行う際に用いられる照明装置に係り、特に、ブームの先端に作業者が搭乗するバケットが装備された高所作業車に設置される高所作業車用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線工事などの高所作業には、ブームの先端にバケット(床と囲いが一体になったもの)が装備された高所作業車と呼ばれる特殊な車両が用いられる。配電線工事が夜間に行われる場合には照明装置が必要であるが、作業者はバケットに搭乗しているため、地上に設置されるタイプの従来の照明装置では、作業者の手元を十分に照らすことができない。
【0003】
ここで、高所作業車の構造について
図6及び
図7を用いて説明する。なお、
図6は従来の高所作業車50の側面図であり、
図7(a)は先端にウインチポスト59とバケット55が設置された伸縮ブーム53の平面図であり、
図7(b)及び
図7(c)はそれぞれウインチポスト59の正面図及び側面図であり、
図7(d)は連結部材66の外観図である。なお、
図6ではウインチ61がウインチポスト59とともに回動した状態を破線で示している。また、
図7(c)では連結ピン66の図示を省略している。
図6及び
図7(a)に示すように、高所作業車50は、車両51の荷台51aの後部に搭載された旋回台52に上下方向へ起伏可能に伸縮ブーム53の基端部53aが連結されるとともに、伸縮ブーム53の先端部53bにバケット支持台54を介してバケット55が連結された構造となっている。なお、バケット55とは、作業者が内部に搭乗可能に形成された箱型の部材であり、矩形状の床板55aと、平面視矩形状をなし、床55板aの4つの端部からそれぞれ上方へ向かって延設された4枚の側板55bによって構成される囲い55cを備えている。
伸縮ブーム53は、旋回台52の旋回に伴って旋回し、基端部53aと旋回台52の間に設置された起伏シリンダ56の伸縮動によって起伏するとともに、内蔵された伸縮手段(図示せず)によって伸縮する。バケット55は、レベリング機構(図示せず)を備えており、伸縮ブーム53の起伏角度によらず、常に水平な姿勢が維持されるとともに、バケット支持台54の回動軸を中心として回動可能な構造となっている。
なお、高所作業車50の走行時、伸縮ブーム53は略水平をなすように倒されるとともに、先端部53bが車両51の前部に設置された運転席57の右前方に位置するように旋回された状態で、ブーム支持台58によって支持されている。
【0004】
バケット支持台54には、先端アーム(図示せず)を介してウインチポスト59が上下方向へ回動可能に取り付けられている。そして、バケット55とウインチポスト59の間には、ウインチポスト59の動作を制御するためのコントローラ67が設置されている。コントローラ67にはウインチポスト59を旋回させたり、起伏させたりするためのレバー(図示せず)が設けられており、このレバーを操作することによってウインチポスト59は旋回若しくは起伏する構造となっている。
ウインチ支持台59の先端側には、ロープ60が巻回されたウインチ61が取り付けられており、ウインチ61の近傍には、ウインチポスト59の回転面に対して平行な軸線を有する角管状のブームブラケット62がサブブーム63を保持可能な状態で設置されている。
角管状をなし、先端側にシーブ64が取り付けられたサブブーム63は、基端側がブームブラケット62の内部へ嵌挿されている。また、ウインチ61から繰り出されてシーブ64に掛け回されたロープ60の先端には、吊フック65が取り付けられている。
ブームブラケット62の平行な2つの側面には貫通孔62aがそれぞれ設けられており、サブブーム63の平行な2つの側面にも貫通孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。なお、ブームブラケット62の一対の貫通孔62a、62aはサブブーム63の一対の上記貫通孔に対し、ブームブラケット62の内部にサブブーム63の基端側が嵌挿された状態で連結ピン66を連通可能に形成されている。すなわち、サブブーム63の基端側がブームブラケット62の内部に嵌挿された状態で一対の貫通孔62a、62a及びサブブーム63の一対の貫通孔に連結ピン66を連通させることにより、サブブーム63がブームブラケット62に対して固定される構造となっている。
【0005】
従来の照明装置では作業者の手元を適切に照らすことが難しいという前述の課題を解決するものとして、例えば、特許文献1には「高所作業車の反射型夜間照明装置」という名称で、バケットに搭乗して夜間に配電線工事等を行う作業員の手元を上方から照らして明るくする装置に関する考案が開示されている。
特許文献1に開示された考案は、車台上に搭載したターンテーブルに起伏、伸縮自在に装備されたブームの先端に作業台等が設置された高所作業車において、車台の近傍に配置された投光器の光を作業台等の上部近傍に配置された反射器で反射することによって作業台とその周囲を明るくする構造となっている。
このような構造によれば、上方からの照明によって手元が明るく照らされるため、作業者は困難な活線作業等を安全に行うことができる。また、投光器から発せられる光線はスポット光として反射器に投光されるため、直接、その光が作業員の目に入ることがない。
【0006】
また、特許文献2には「高所作業用照明装置」という名称で、バケットに搭乗して送電線工事等を行う作業者の手元を含む所定の作業範囲を照らす装置に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示された考案は、内部に誘起電力を発生する誘導コイルが設置され、活線状態の高電圧送電線に対して着脱自在に装着されるクランプと、このクランプの誘導コイルに接続された点灯回路と、この点灯回路に接続された蛍光ランプを備えたことを特徴とする。
このような構造によれば、設置や収納の際に、クランプを高電圧送電線に掛け止めたり、そのクランプを高電圧送電線から外したりするだけで良いため、照明装置の前準備や後処理の作業を迅速に行うことができる。
【0007】
特許文献3には「高所作業車の反射型夜間照明装置」という名称で、バケットに搭乗した作業員の手元を均一な照度で上方より照らす装置に関する考案が開示されている。
特許文献3に開示された考案は、ターンテーブルが車台上に搭載されるとともに、このターンテーブルにブームが起伏自在かつ伸縮自在に装備された高所作業車において、中央部分を形成する鏡部の曲率よりも周辺部分の鏡部の曲率が大きい反射器をバケットの上部近傍に配置し、この反射器に車台の近傍に配置された投光器の光を照射する構造となっている。
このような構造によれば、反射器の中央部分の鏡部によって反射光が広範囲に反射されるため、バケットとその周囲を略均一な照度で照らすことができる。
【0008】
さらに、特許文献4には「照明器付きプラットホーム型高所作業装置」という名称で、基台の上に基端部が昇降自在に取り付けられた昇降手段と、この昇降手段の先端部に取り付けられたプラットホーム(床に手摺りがつけられたもの)と、このプラットホームに取り付けられた照明器を備えた高所作業装置に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示された発明は、プラットホームにおいて平面視した場合に外縁となる箇所の一部を切り欠いて設けられた切欠部と、この切欠部やその近傍に基端部が取り付けられた照明器取付けブラケットと、この照明器取付けブラケットの先端部に姿勢変更自在に取り付けられた大型の照明器と、プラットホームの床面上以外の高所作業装置の適切な箇所に取り付けられた電源装置を備えており、格納された状態の大型の照明器が平面視してプラットホームと重複せず、また、照明器は少なくとも一部が切欠部に位置するとともに、鉛直方向下方を照明可能に取り付けられていることを特徴とする。
このような構造によれば、大型の照明器により作業対象物を広範囲にわたって照らすことができるとともに、プラットホームの鉛直方向下方も照らすことができる。
【0009】
また、特許文献5には「絶縁ブームを有する高所作業車の照明装置」という名称で、屈伸式及び直伸式の高所作業車に設置される照明装置に関する考案が開示されている。
特許文献5に開示された考案は、絶縁したブームの絶縁部よりも下方に光源を設け、ブームの絶縁部よりも上方に投光器を設けて、この光源と投光器との間を光ファイバケーブルによって連結したことを特徴とする。
このような構造によれば、ブームの絶縁性能を損なうことなく、有効な照明を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平2-113203号公報
【特許文献2】実開平3-76301号公報
【特許文献3】実開平4-38844号公報
【特許文献4】特開2004-35224号公報
【特許文献5】実開昭55-155800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1乃至特許文献3に開示された考案においては、投光器や蛍光ランプの向きを変えることが困難であるため、目的とする箇所を正確に照射することができないという課題があった。また、特許文献4に開示された発明では、大型の照明器によってプラットホーム内における作業領域が制限されるため、作業性が悪いという課題があった。さらに特許文献5に開示された考案においては、投光器の向きを変えることが容易でないため、目的とする箇所を正確に照射することは困難と考えられる。
【0012】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、バケット及びサブブームを備えた高所作業車に用いられ、バケット内に搭乗している作業者の作業の邪魔にならず、しかも照射方向を容易に変更することが可能な高所作業車用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、第1の発明は、伸縮ブームの先端にバケット及びウインチポストが取り付けられるとともに、内部にサブブームが嵌挿される角管状のブームブラケットがウインチポストに設けられている高所作業車に用いられる高所作業車用照明装置であって、サブブームの代わりに、ブームブラケットに嵌挿される直方体状の取付部材と、この取付部材の上面に設置される照明器と、を備えていることを特徴とするものである。
第1の発明においては、照明器がブームブラケットを介してウインチポストに固定されていることから、ウインチポストの動作制御に用いられるコントローラを操作すると、照明器がウインチポストともに旋回し、又は起伏するという作用を有する。また、照明器がバケットの外部に設置されているため、バケットに搭乗している作業者が照明器に接触するおそれがない。
【0014】
第2の発明は第1の発明において、取付部材の側面には、ブームブラケットの平行な一対の側面に設けられた一対の第1の貫通孔に対し、棒状の連結部材を連通可能に第2の貫通孔が設けられていることを特徴とするものである。
第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、取付部材を下面側からブームブラケットの内部に嵌挿した状態でブームブラケットの第1の貫通孔と取付部材の第2の貫通孔に連結部材を連通させると、取付部材がブームブラケットから抜出不能となり、取付部材に設置された照明器がウインチポストに固定されるという作用を有する。
【0015】
第3の発明は第1の発明において、取付部材は、バケットの囲いを構成する側板よりも広い幅を有し、側板を内部へ配置可能に直方体の下面側から上方に向かって側板挿通部が所望の長さで形成されていることを特徴とするものである。
第3の発明においては、第1の発明の作用に加え、側板挿通部内に側板が配置されるようにして取付部材をバケットの囲いの上部に跨設すると、側板挿通部の両側に位置する一対の包持部が側板の両面にそれぞれ当接することによって、側板の上端を中心とする取付部材の回動が阻止されるという作用を有する。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、取付部材の上面に設置される傾き調整具を備え、照明器は、取付部材の上面に設置される代わりに、傾き調整具の上部に設置されていることを特徴とするものである。
第4の発明においては、第3の発明の作用に加えて、バケットの囲いの上部に設置されている場合でも、照明器を手で持って傾きを変更することで照射方向を変えると、その姿勢のまま照明器が傾き調整具によって保持されるという作用を有する。
【0017】
第5の発明は第4の発明において、取付部材の上面に設置される旋回具を備え、傾き調整具は、取付部材の上面に設置される代わりに、旋回具の上部に設置されていることを特徴とするものである。
第5の発明においては、第4の発明の作用に加え、バケットの囲いの上部に設置されている場合でも、照明器を手で持って旋回させて照射方向を変えると、その姿勢のまま照明器が傾き調整具を介して旋回具によって保持されるという作用を有する。
【0018】
第6の発明は、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの発明において、外周面に雄ネジが設けられた棒状のネジ部材を備え、取付部材は、側板挿通部の両側に配置された部分の側面に側板挿通部に達するようにそれぞれ設けられた一対のネジ孔を有し、ネジ孔は、雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられ、ネジ部材は、先端が側板挿通部の内部へ突出可能にネジ孔に螺入されることを特徴とするものである。
第6の発明においては、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の作用に加え、側板挿通部内に側板が配置されるようにして取付部材をバケットの囲いの上部に跨設した状態で、ネジ部材を先端が側板挿通部の内部へ突出するまでネジ孔に螺入すると、側板挿通部の内部へ突出したネジ部材の先端によってバケットの側板の側面が押圧されることによりネジ部材の先端と側面の間に大きな摩擦力が発生し、この摩擦力によって取付部材がバケットの側面から外れ難くなるという作用を有する。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、コントローラを操作することによって照明器の照射方向を容易に変更することができる。また、照明器がバケットの近くに設置されているため、バケットに搭乗している作業者の手元を照明器によって明るく照らすことができる。さらに、第1の発明によれば、バケットに搭乗している作業者が作業中に誤って照明器に接触するおそれがなく、作業範囲が制限されないことから、配電線工事などの高所作業を安全に効率よく行うことができる。
【0020】
第2の発明によれば、サブブームをウインチポストに固定する場合と同じ方法によって照明器がウインチポストに固定されることから、第1の発明の効果に加え、照明器の取り付け作業を容易に行うことができるという効果を奏する。また、第2の発明では、照明器をウインチポストに対して確実に固定できるため、作業時の安全性に優れている。さらに、第2の発明では、照明器をウインチポストに固定するための連結部材として、サブブームをウインチポストに固定する際に用いられる連結ピンを用いることができるため、連結部材を新たに作製する必要がないというメリットがある。
【0021】
第3の発明によれば、第1の発明の効果に加え、高所作業車がサブブームを備えていない場合やサブブームを使用するためにブームブラケットからサブブームを取り外すことができない場合であっても照明器をバケットに設置することで、バケットに搭乗している作業者の手元を明るく照らすことができるという効果を奏する。また、第3の発明では、バケットの囲いの上部に設置された際に、取付部材が側板の上端を中心として回動することによって側板に対する取付部材の係合状態が解消され、その結果、照明器がバケットの囲いの上部から落下してしまうという事態を防ぐことができる。
【0022】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加え、バケットの囲いの上部に設置されている場合でも、照明器の傾きを変更することで照射方向を変えることにより、照射方向を容易に調整できるという効果を奏する。
【0023】
第5の発明によれば、第4の発明の効果に加え、バケットの囲いの上部に設置されている場合でも、照明器を旋回させて照射方向を変えることによって照射方向を容易に調整できるという効果を奏する。
【0024】
第6の発明によれば、ネジ孔に螺入したネジ部材の先端でバケットの側板の側面を押圧することにより取付部材がバケットの側板から外れ難くなることから、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の効果に加え、照明器をバケットに対して確実に固定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態に係る高所作業車用照明装置の実施例1の側面図である。
【
図2】(a)は
図1に示した高所作業車用照明装置の正面図であり、(b)及び(c)はそれぞれ同図(a)に示した照明器の正面図及び側面図である。
【
図3】(a)は
図1(a)又は
図2(a)に示した取付部材及び旋回具の斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ回動部及び保持部の斜視図であり、(d)は旋回具の断面図であり、(e)及び(f)はそれぞれ傾き調整具の正面図及び側面図である。
【
図4】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る高所作業車用照明装置の実施例2の正面図及び側面図である。
【
図5】(a)は
図4(a)又は
図4(b)に示した取付部材及びスペーサの外観斜視図であり、(b)は
図4(a)又は
図4(b)に示した高所作業車用照明装置が高所作業車のウインチポストに設置された状態を示す図である。
【
図7】(a)は伸縮ブームの平面図であり、(b)及び(c)はそれぞれウインチポストの正面図及び側面図であり、(d)は連結ピンの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0026】
図1は本発明の高所作業車用照明装置1aの側面図である。また、
図2(a)は
図1に示した高所作業車用照明装置1aの正面図であり、
図2(b)及び
図2(c)はそれぞれ
図2(a)に示した照明器5の正面図及び側面図である。さらに、
図3(a)は
図1又は
図2(a)に示した取付部材2及び旋回具3の斜視図であり、
図3(b)及び
図3(c)はそれぞれ旋回具3を構成する回動部8及び保持部9の斜視図であり、
図3(d)は旋回具3が回転中心を通る平面で切断された状態を示している。そして、
図3(e)及び
図3(f)はそれぞれ傾き調整具4の正面図及び側面図である。
なお、
図1ではバケット55の側板55bの一部を破線で示している。また、
図6及び
図7(a)乃至
図7(c)を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより、適宜その説明を省略する。
図1及び
図2(a)に示すように、高所作業車用照明装置1aは、バケット55の囲い55cを構成する側板55bの上部に設置される略直方体状の取付部材2と、この取付部材2の上面2aに設置される旋回具3と、この旋回具3の上面3a(
図3(a)参照)に設置される傾き調整具4と、この傾き調整具4の上面4a(
図3(e)又は
図3(f)参照)に設置される照明器5を備えている。すなわち、高所作業車用照明装置1aは、取付部材2の上面2aに旋回具3と傾き調整具4を介して照明器5が設置された構造となっている。
取付部材2は、直方体の一部が下面2bの側から上方に向かってバケット55の側板55bよりも広い幅で所定の長さに切り取られた構造となっており、切り取られた部分(以下、側板挿通部7aという。)を挟んでその両側に位置する部分は、一対の包持部7b、7bを形成している。一対の包持部7b、7bには、連結ピン66の外径よりも大きい内径を有し、内周面に雌ネジが形成されたネジ孔7cが連結ピン66を連通可能にそれぞれ設けられている。なお、取付部材2は、中空又は中実のいずれの構造であっても良い。また、取付部材2は、側板挿通部7a、一対の包持部7b、7b及び一対のネジ孔7c、7cが設けられるとともに、上面2aが旋回具3を設置可能な形状をなしていれば良いため、
図3(a)に示すような形状に限定されない。
【0027】
図2(b)及び
図2(c)に示すように、照明器5は、1又は複数のLEDを光源とする第1のライト6a及び第2のライト6b、6bを備えている。第1のライト6aは本体部5aに設置されており、本体部5aを挟んで対をなすように第1のライト6aの斜め上方にそれぞれ配置される第2のライト6b、6bはアーム5bを介して本体部5aに固定されている。
略C字をなすアーム5bの両端は、第2のライト6bの上下に設置されるとともに上下方向と平行な中心軸を有して第2のライト6bに対して回転自在に連結される一対の軸部材5c、5cにそれぞれ連結されている。すなわち、第2のライト6bは、アーム5bによって軸部材5cの中心軸周りに回転可能に保持されている。
本体部5aの上部には把持部5dが設けられており、本体部5aの下方には、平面視した場合に矩形の4辺を形成するように配置されるとともに接続具5gを介して端部同士が接続された4本の棒状体5eからなる枠体が配置されている。そして、本体部5aの下部は平面視矩形状をなす一対の連結板5f、5fを介して、平行に配置された一対の棒状体5e、5eにそれぞれ連結されている。すなわち、本体部5aは一対の連結板5f、5f及び上記枠体によって下方から支持されている。
【0028】
図3(a)に示すように、旋回具3は円板状の回動部8と、この回動部8を保持するとともに取付部材2の上面2aに下面側が固定される保持部9からなる。
図3(b)に示すように、回動部8は円の中心部に軸孔8aが設けられるとともに、軸孔8aの回動中心に円筒軸が一致するように、短円筒をなすガイド部8bが片面に設けられている。なお、ガイド部8bの内径は、軸孔8aの内径よりも大きい。
図3(c)に示すように、保持部9は、回動部8の軸孔8aに挿通される短円柱状の突起9bが、円板状をなすベース9aに対して垂直に立設されており、突起9bが設けられているベース9aの上面には、突起9bを囲むように、平面視円形状をなすガイド溝9cが形成されている。
なお、ガイド溝9cは、回動部8のガイド部8bを内部に配置可能な幅を有するとともに、円の中心が、突起9bの円柱軸上に配置されるような位置に形成されている。
したがって、
図3(d)に示すように、突起9bが軸孔8aに挿通された状態で回動部8が保持部9の上面側に設置されると、ガイド部8bはガイド溝9cの内部に配置される。このとき、保持部9は、突起9bが軸孔8aに挿通されるとともにガイド溝9cの内部にガイド部8bが配置された回動部8に対し、回動を許容しつつ、回動の中心軸に直交する方向への移動を規制する。すなわち、回動部8は保持部9によって突起9bの円柱軸を中心として回動可能に保持されている。このような構造により、旋回具3の回動部8の上面側に傾き調整具4を介して固定された照明器5は、旋回具3の保持部9の下面側が上面2aに固定された取付部材2に対し、突起9bの円柱軸を中心として旋回可能となっている。
【0029】
図3(e)及び
図3(f)に示すように、傾き調整具4は、側面視略コの字状をなすように折り曲げられた板材からなる揺動部10と、この揺動部10が設置される保持部11からなる。揺動部10では、互いに平行をなす一対の平板部10a、10aに軸孔10bがそれぞれ設けられており、保持部11は、平面視矩形状をなすベース11aと、このベース11aの上面側に設けられた直方体状の軸保持部11bからなり、軸保持部11bの平行な2つの側面には、揺動部10の軸孔10bに挿通される円柱状の軸部11cがそれぞれ設けられている。すなわち、保持部11に対し、揺動部10は軸孔10b、10bにそれぞれ挿通される軸部11c、11cを介して揺動自在に連結されている。このような構造により、傾き調整具4の揺動部10の上面4aに設置された照明器5は、旋回具3を介して連結される取付部材2に対して揺動可能となっている。
なお、傾き調整具4の揺動部10は、連結板5fの内面に対して面接触する一対の傾斜面10c、10cを有しているが、少なくとも連結板5fの内面に干渉する箇所が存在しない形状であれば良いため、一対の傾斜面10c、10cを有しない構造であっても良い。また、保持部11の軸保持部11bは中空又は中実のいずれの構造であっても良い。
【0030】
上記構造の高所作業車用照明装置1aでは、高所作業車50がサブブーム63を備えていない場合やサブブーム63を使用するためにブームブラケット62からサブブーム63を取り外すことができない場合であっても照明器5をバケット55に設置することで、バケット55に搭乗している作業者の手元を明るく照らすことができる。
また、高所作業車用照明装置1aにおいて、側板挿通部7aの内部に側板55bが配置されるようにして取付部材2をバケット55の囲い55cの上部に跨設すると、側板挿通部7aの両側に位置する一対の包持部7b、7bが側板55bの両面にそれぞれ当接することによって、側板55bの上端を中心とする取付部材2の回動が阻止される。すなわち、高所作業車用照明装置1aでは、バケット55の囲い55cの上部に設置された際に、取付部材2が側板55bの上端を中心として回動することによって側板55bに対する取付部材2の係合状態が解消されてしまい、その結果、照明器5がバケット55の囲い55cの上部から落下してしまうという事態を防ぐことができる。
さらに、高所作業車用照明装置1aでは、バケット55の囲い55cの上部に設置されている場合に、照明器5を手で持って傾きを変更したり、旋回させたりして照射方向を変えても、照明器5は傾き調整具4や旋回具3によってその姿勢のまま保持される。したがって、高所作業車用照明装置1aにおいては、照明器5の傾きを変更したり、照明器5を旋回させたりすることにより、照射方向を容易に調整することが可能である。
上記構造の高所作業車用照明装置1bでは、照明器5がバケット55の近くに設置されているため、バケット55に搭乗して配電線工事等を行っている作業者の手元を照明器5によって明るく照らすことができる。また、高所作業車用照明装置1bにおいては、照明器5がブームブラケット62を介してウインチポスト59に固定されるため、ウインチポスト59の動作制御に用いられるコントローラ67を操作することにより、照明器5がウインチポスト59ともに旋回し、又は起伏する。すなわち、高所作業車用照明装置1bによれば、コントローラ67を操作することによって照明器5の照射方向を容易に変更することができる。
また、高所作業車用照明装置1bでは、照明器5がバケット55の外部に設置されているため、バケット55に搭乗している作業者が照明器5に接触するおそれがない。すなわち、高所作業車用照明装置1bによれば、バケット55に搭乗している作業者が作業中に誤って照明器5に接触するおそれがないため、作業者の作業範囲が制限されない。したがって、高所作業車用照明装置1bによれば、バケット55に搭乗している作業者が配電線工事などの高所作業を安全に効率よく行うことができる。