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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160773
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】収容装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20221013BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065174
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309018445
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】三村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前田 善成
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088LA01
3B088LB05
3D022CA01
3D022CA11
3D022CB01
3D022CC03
3D022CD02
3D022CD04
(57)【要約】
【課題】小物入れ及びカード入れとして使用できる使い勝手の良い収容装置を提供する。
【解決手段】収容装置10は、上面が開口した収容空間21を有する有底の収容部20と、収容部20を収容空間21の全閉位置P1と全開位置P2との間でスライド可能にガイドするベース部11と、収容部20の収容空間21を小物Waのための小物入れ領域21aとカードWbを立て掛けて収容するためのカード入れ領域21bとに区切る区切部24,25と、を備え、区切部24,25は、収容部20の対向する第1内壁面22及び第2内壁面23のそれぞれに互いに向かい合うように且つ収容空間21の深さ方向Zに沿って延びるように設けられた凹部または凸部からなり、第1内壁面22に設けられているものと第2内壁面23に設けられているものとで収容空間21の底面26から深さ方向Zの上端までの立設高さが互いに異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した収容空間を有する有底の収容部と、
上記収容部を上記収容空間の全閉位置と全開位置との間でスライド可能にガイドするベース部と、
上記収容部の上記収容空間を小物のための小物入れ領域とカードを立て掛けて収容するためのカード入れ領域とに区切る区切部と、
を備え、
上記区切部は、上記収容部の対向する第1内壁面及び第2内壁面のそれぞれに互いに向かい合うように且つ上記収容空間の深さ方向に沿って延びるように設けられた凹部または凸部からなり、上記第1内壁面に設けられているものと上記第2内壁面に設けられているものとで上記収容空間の底面から上記深さ方向の上端までの立設高さが互いに異なるように構成されている、収容装置。
【請求項2】
上記第1内壁面は上記収容部が上記全開位置から上記全閉位置に向けてスライドするときの閉スライド方向の前方側の内壁面であり、上記第2内壁面は上記閉スライド方向の後方側の内壁面であり、上記第2内壁面に設けられている上記区切部の上記立設高さが上記第1内壁面に設けられている上記区切部の上記立設高さを下回るように構成されている、請求項1に記載の収容装置。
【請求項3】
上記第1内壁面に設けられている上記区切部が上記凹部であり、上記第2内壁面に設けられている上記区切部が上記凸部である、請求項2に記載の収容装置。
【請求項4】
上記収容部は、上記収容空間の上記カード入れ領域の底面が上記閉スライド方向の後方側から前方側に向けて前下がりの傾斜面となるように構成されている、請求項2または3に記載の収容装置。
【請求項5】
上記収容部を第1収容部としたとき、上面がカップ状容器を収容可能に開口した容器収容空間を有する有底の第2収容部を備え、
上記第1収容部は、上記第2収容部を上記容器収容空間の全閉位置と全開位置との間でスライド可能にガイドするように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の収容装置。
【請求項6】
上記第2収容部は、そのスライド方向と直交する幅方向の両側に上記スライド方向に延びる2つのスライド壁部を有し、
上記第1収容部は、上記第2収容部の上記2つのスライド壁部のそれぞれがそれぞれに係合するように上記スライド方向に延びる2つのガイド壁部を有し、上記2つのガイド壁部の間の領域に上記収容空間が設けられるように構成されている、請求項5に記載の収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、この種の収容装置として、車両のインストルメントパネルに設けられる引出式カップホルダーユニットが開示されている。このカップホルダーユニットは、カップ類を保持できるカップ保持穴と、小物入れとして使用できる凹部と、を有する引出体を備えている。乗員は、必要に応じて引出体をユニット引出体から引き出して、カップ入れや小物入れとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-10019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の収容装置の設計においては、通常の小物とは別に各種のカード類を収容する場合の要請に応じて、小物入れに加えてカード入れとしても使用することができる構造が求められている。その際、収容したカードの保持性能に優れており且つカードを出し入れし易い使い勝手の良い構造を採用するのが好ましい。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、小物入れ及びカード入れとして使用できる使い勝手の良い収容装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
上面が開口した収容空間を有する有底の収容部と、
上記収容部を上記収容空間の全閉位置と全開位置との間でスライド可能にガイドするベース部と、
上記収容部の上記収容空間を小物のための小物入れ領域とカードを立て掛けて収容するためのカード入れ領域とに区切る区切部と、
を備え、
上記区切部は、上記収容部の対向する第1内壁面及び第2内壁面のそれぞれに互いに向かい合うように且つ上記収容空間の深さ方向に沿って延びるように設けられた凹部または凸部からなり、上記第1内壁面に設けられているものと上記第2内壁面に設けられているものとで上記収容空間の底面から上記深さ方向の上端までの立設高さが互いに異なるように構成されている、収容装置、
にある。
【発明の効果】
【0007】
上記の収容装置によれば、車両の内装パネルに組み付けられるベース部に対して収容部をスライドさせることで、この収容部の収容空間を全閉位置と全開位置のいずれかに設定することができる。収容部の収容空間は、収容空間の深さ方向に沿って延びる凹部または凸部からなる2つの区切部によって、小物入れ領域とカード入れ領域とに区切られる。このような区切構造は、収容空間に第1内壁面から第2内壁面まで延びるような仕切り壁を設けて小物入れ領域とカード入れ領域を完全に仕切るような構造に比べると、乗員の手指を収容空間に挿入し易く小物やカードを出し入れする操作がやり易い。
【0008】
それに加えて、第1内壁面に設けられている区切部と第2内壁面に設けられている区切部とで、収容空間の底面から深さ方向の上端までの立設高さが互いに異なるようになっている。このため、立設高さが相対的に高い方の区切部は、カード入れ領域に立て掛けられたカードを倒れにくくするのに効果がある。これに対して、立設高さが相対的に低い方の区切部は、カードがカード入れ領域からこの区切部の上端を越える程度の位置まで引き出された状態では乗員がカードを動かす自由度が高まるため、カードの取り出し性能を向上させるのに効果がある。このため、カード入れ領域におけるカードの保持性能を確保しつつカード入れ領域からのカードの取り出し性能を高めることができる。
【0009】
以上のごとく、上述の態様によれば、小物入れ及びカード入れとして使用できる使い勝手の良い収容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の収容装置が車両の内装パネルに組み付けられた組み付け状態を示す図。
図2】実施形態1の収容装置について第1収容部の引出状態を上斜め前方側からみた斜視図。
図3図2の収容装置を上方からみた平面図。
図4】実施形態2の収容装置について第1収容部及び第2収容部の両方の引出状態を上斜め前方側からみた斜視図。
図5図4の収容装置を上方からみた平面図。
図6図3のVI-VI線矢視断面図。
図7図3のVII-VII線矢視断面図。
図8】実施形態2の収容装置について図3に対応した平面図。
図9図8のIX-IX線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0012】
上述の態様の収容装置において、上記第1内壁面は上記収容部が上記全開位置から上記全閉位置に向けてスライドするときの閉スライド方向の前方側の内壁面であり、上記第2内壁面は上記閉スライド方向の後方側の内壁面であり、上記第2内壁面に設けられている上記区切部の上記立設高さが上記第1内壁面に設けられている上記区切部の上記立設高さを下回るように構成されているのが好ましい。
【0013】
この収容装置によれば、乗員が閉スライド方向の後方側から収容部にアクセスすることを想定したとき、乗員に近い手前の第2内壁面に立設高さが相対的に低い区切部が設けられることになる。このため、収容部にアクセスする乗員の手指の軌跡に基づいた場合、第2内壁面に立設高さが相対的に高い区切部を設けるのに比べて、乗員がカードを出し入れするときの操作が区切部によって邪魔されにくい。
【0014】
上述の態様の収容装置において、上記第1内壁面に設けられている上記区切部が上記凹部であり、上記第2内壁面に設けられている上記区切部が上記凸部であるのが好ましい。
【0015】
この収容装置によれば、一方の区切部である凹部と他方の区切部である凸部とを組み合わることにより、収容部のスライド方向について収容空間におけるカード入れ領域の寸法を確保したうえで小物入れ領域の寸法が小さくなるのを抑えるのに有効である。また、乗員から遠い方の第1内壁面に設けた凹部にカードが嵌め込まれるようにしてカード入れ領域に収容されることで、このカードが倒れるのを凹部によって防ぐことができる。
【0016】
上述の態様の収容装置において、上記収容部は、上記収容空間の上記カード入れ領域の底面が上記閉スライド方向の後方側から前方側に向けて前下がりの傾斜面となるように構成されているのが好ましい。
【0017】
この収容装置によれば、カードはカード入れ領域の底面の傾斜にしたがって前下がりの状態でカード入れ領域に収容される。このため、ベース部に対して収容部を収容空間の全閉位置に向けて閉スライド方向にスライドさせるとき、カードの前端部がベース部やベース部が組み付けられた部材などに引っ掛かったりして収容部の閉スライド方向のスライド動作が邪魔されるのを防ぐ効果がある。
【0018】
上述の態様の収容装置は、上記収容部を第1収容部としたとき、上面がカップ状容器を収容可能に開口した容器収容空間を有する有底の第2収容部を備え、上記第1収容部は、上記第2収容部を上記容器収容空間の全閉位置と全開位置との間でスライド可能にガイドするように構成されているのが好ましい。
【0019】
この収容装置によれば、ベース部に対して第1収容部を収容空間の全開位置までスライドさせ、且つ第1収容部に対して第2収容部を容器収容空間の全開位置まで二段階でスライドさせることによって、小物入れ及びカード入れとしての機能に加えて、カップ状容器入れとしての機能をも同時に果たすことが可能になる。
【0020】
上述の態様の収容装置において、上記第2収容部は、スライド方向と直交する幅方向の両側に上記スライド方向に延びる2つのスライド壁部を有し、上記第1収容部は、上記第2収容部の上記2つのスライド壁部のそれぞれがそれぞれに係合するように上記スライド方向に延びる2つのガイド壁部を有し、上記2つのガイド壁部の間の領域に上記収容空間が設けられるように構成されているのが好ましい。
【0021】
この収容装置によれば、第1収容部の各ガイド壁部が第2収容部の各スライド壁部に係合することで、第2収容部を全閉位置と全開位置との間でスライド可能とするスライド構造が構成される。このとき、第1収容部は、2つのガイド壁部の間の領域に収容空間を備えるため、第2収容部のためのスライド構造と小物及びカードを収容するための収容空間を、収容空間の深さ方向について互いに重ならないように配置することができる。これにより、収容空間の幅方向の大きさが制限されるのを抑制することができ、収容空間の容量が減るのを防ぐのに有効である。
【0022】
以下、車両の内装パネルに設けられる収容装置の詳細な構造について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
なお、この実施形態を説明するための図面において、特にことわらないかぎり、収容装置を構成する各収容部のスライド方向である第1方向を矢印Xで示し、各収容部の幅方向である第2方向を矢印Yで示し、各収容部の高さ方向である第3方向Zを矢印Zで示すものとする。また、収容装置が組み付けられる車両について、車両前方を矢印FRで示し、車両内方矢印INで示し、車両上方を矢印UPで示すものとする。収容装置の組み付け状態では、第1方向Xが車長方向に相当し、第2方向Yが車幅方向に相当し、第3方向Zが車高方向に相当する。
【0024】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1の収容装置10は、車両1の内装パネル2にカバー10aが車室に露出するようして組み付けられる。この収容装置10は、乗員がカバー10a自体を或いは別に設けられ操作部を適宜に操作することによって、その収容部の開閉動作が可能になっている。
【0025】
図2及び図3に示されるように、収容装置10は、ベース部11と、第1収容部20と、2つの区切部24,25と、第2収容部30と、を備えている。
【0026】
ベース部11は、車両1の内装パネル2に組み付けられる。このベース部11は、第1収容部20を収容空間21の全閉位置P1(図2を参照)と全開位置P2との間でスライド方向である第1方向X(閉スライド方向X1及び開スライド方向X2)にスライド可能にガイドするように構成されている。
【0027】
ここで、全閉位置P1は、ベース部11から第1収容部20が開スライド方向X2に引き出された引出状態において、ベース部11の上部が収容空間21の上面を完全に覆う位置であって、収容空間21の上面の全領域を開放する位置である。これに対して、全開位置P2は、ベース部11から第1収容部20が引き出されていない状態において、ベース部11の上部が第3方向Zについて収容空間21と重ならない位置であって、収容空間21の上面の全領域を開放する位置である。
【0028】
第1収容部20は、上面が開口した収容空間21を有する有底の収容部である。この第1収容部20の収容空間21は、第3方向Zについての平面視が略矩形の空間であり、略矩形の底面26を有する。この収容空間21は、4つの内壁面によって区画されている。収容空間21の底面26の中央部分に小物Waが集まり易くするためや、カードWbを底面26aまでガイドし易くするために、各内壁面を傾斜面とするのが好ましい。
【0029】
4つの内壁面のうち第1方向Xに対向する第1内壁面22及び第2内壁面23のそれぞれに区切部24及び区切部25のそれぞれが互いに向かい合うように設けられている。このとき、2つの区切部24,25は、第1方向Xについて互いに空間を隔てて、且ついずれも4つの内壁面のうち第2方向Yに対向する2つの内壁面の一方側に近接した位置に配置されている。
【0030】
第1内壁面22は、第1収容部20が全開位置P2から全閉位置P1に向けてスライドするときの閉スライド方向X1の前方側の内壁面である。これに対して、第2内壁面23は、閉スライド方向X1の後方側の内壁面である。
【0031】
一方の区切部24は、収容空間21の深さ方向である第3方向Zに沿って延びるように設けられた凹部であり、より具体的には、第1内壁面22が閉スライド方向X1に部分的に掘り込まれたような掘り込み溝として構成されている。この凹部は、第3方向Zについて見たときの形状が略矩形とされている。他方の区切部25は、第3方向Zに沿って延びるように設けられた凸部であり、より具体的には、第2内壁面23に収容空間21の底面26から立設された平板状のリブ部として構成されている。区切部24は、その第2方向Yの溝幅寸法が区切部25の第2方向Yの厚み寸法を上回るように寸法設定されている。
【0032】
第1収容部20の収容空間21は、2つの区切部24,25によって、第1方向Xの空間を隔てて小物入れ領域21aとカード入れ領域21bとに区切られている。小物入れ領域21aは、小物Waを収容可能な領域である。小物入れ領域21aに収容された小物Waは、底面26によって下方から支持される。カード入れ領域21bは、カードWbを立て掛けて横置きの状態で収容可能な専用の領域である。カード入れ領域21bに収容されたカードWbは、底面26aによって下方から支持され、且つ区切部24の内壁面によって側方から支持される。このように、第1収容部20を全開位置P2まで引き出すことによって、小物入れ領域21a及びカード入れ領域21bを同時に使用できる。
【0033】
ここで、小物入れ領域21aに収容される小物Waとして、典型的には、スマートキー、小銭などの各種の小型の物品をはじめ、ボトルガム等の小型の容器類が挙げられる。一方で、カード入れ領域21bに収容されるカードWbとして、典型的には、ICカード、プリペイドカード、キャッシュカード、クレジットカードなどの各種のカード類が挙げられる。
【0034】
カード入れ領域21bは、第2方向Yの寸法が小物入れ領域21aよりも狭い領域であり、2つの区切部24,25の上述のような配置によって、収容空間21の第2方向Yの一端側に内壁面に沿って第1方向Xに延びるように形成されている。
【0035】
第1収容部20のカード入れ領域21bは、乗員のうち車両1の乗車頻度が最も多い運転手から見え易い位置に配置されるのが好ましい。また、第1収容部20は、収容空間21の底面26とカード入れ領域21bの底面26aとの間に、底面26a側が若干低所となるような段差を有するのが好ましい。これにより、カード入れ領域21bの底面26aにカードWbをガイドし易くなる。
【0036】
図4及び図5に示されるように、第2収容部30は、上面がカップ状容器Wcを収容可能に開口した容器収容空間31を有する有底の収容部である。この第2収容部30の容器収容空間31は、第1収容部20の収容空間21と同様に、第3方向Zについての平面視が略矩形の空間であり、略矩形の底面32を有する。容器収容空間31に収容されたカップ状容器Wcは、底面32によって下方から支持される。この第2収容部30は、第1方向Xと直交する幅方向である第2方向Yの両側に第1方向Xに延びる2つのスライド壁部30aを有する。
【0037】
容器収容空間31に収容されるカップ状容器Wcとして、典型的には、飲み物などの液体を溜めることができる筒状部を有するカップ、コップ、グラスなどのカップ状の容器は勿論、ペットボトル、飲料缶などのカップ状の容器と類似の形状を有する物品が挙げられる。
【0038】
第1収容部20は、第2収容部30を容器収容空間31の全閉位置Q1と全開位置Q2との間で第1方向X(閉スライド方向X1及び開スライド方向X2)にスライド可能にガイドするように構成されている。このガイド機能を構成するために、第1収容部20は、第2収容部30の2つのスライド壁部30aのそれぞれがそれぞれに係合するように第1方向Xに延びる2つのガイド壁部20aを有する。第1収容部20は、2つのガイド壁部20aの間の領域に収容空間21が設けられるように構成されている。
【0039】
ここで、全閉位置Q1は、第1収容部20から第2収容部30が開スライド方向X2に引き出された引出状態において、第1収容部20が容器収容空間31を完全に塞ぐ位置であって、容器収容空間31の上面の全領域を閉鎖する位置である。これに対して、全開位置Q2は、第1収容部20から第2収容部30が引き出されていない状態において、第1収容部20が第3方向Zについて容器収容空間31と重ならない位置であって、容器収容空間31の上面の全領域を開放する位置である。
【0040】
第2収容部30には、容器収容空間31に収容されたカップ状容器Wcを保持するためのサポート33が設けられている。このサポート33は、カップ状容器Wcの周面形状に倣うような凹部33aを有する。このサポート33は、第2方向Yに延びる回動軸33bを中心として回動可能であり、弾性部材34によってカップ状容器Wcに近づく位置に向けて常時に弾性付勢されるように構成されている(図5を参照)。
【0041】
上述のように、収容装置10は、二段階で引き出し可能な2つの収容部20,30を備えている。このため、この収容装置10によれば、ベース部11から第1収容部20を全開位置P2まで引き出し第1収容部20から第2収容部30を引き出さない第1の使用形態や、ベース部11から第1収容部20を引き出さずに第1収容部20から第2収容部30を全開位置Q2まで引き出した第2の使用形態や、ベース部11から第1収容部20を全開位置P2まで引き出し第1収容部20から第2収容部30を全開位置Q2まで引き出した第3の使用形態が実現できる。
【0042】
第3の使用形態について、収容装置10は、第2収容部30よりも先に第1収容部20が格納されるように構成されるのが好ましい。本構成によれば、第2収容部30の容器収容空間31にカップ状容器Wcが収容された状態で第1収容部20のみを格納したいときに、カップ状容器Wcが第1収容部20とカバー10aとで挟まれるのを防ぐのに有効である。
【0043】
なお、2つの収容部20,30のそれぞれを全閉位置P1,Q1や全開位置P2,Q2に設定する操作は、乗員が収容装置10を直に引っ張ったり押し込んだりする操作によって行われてもよいし、或いは弾性部材やアクチュエータによって得られる付勢力を利用して行われてもよい。
【0044】
図6及び図7に示されるように、第1収容部20の収容空間21において、第1内壁面22に設けられている区切部24と、第2内壁面23に設けられている区切部25とでは、収容空間21の底面26から第3方向Zの上端24a,25aまでの立設高さH1,H2が互いに異なる。即ち、区切部24の上端24aは収容空間21の開口縁と同じ高さにあり、区切部25の立設高さH2が区切部24の立設高さH1を下回るように構成されている。本構成を「収容空間21の開口縁から区切部24の上端24aまでの深さが、収容空間21の開口縁から区切部25の上端25aまでの深さを下回る。」ということもできる。
【0045】
図7に示されるように、区切部25としての凸部は、区切部24に対向する対向面25bが傾斜面とされている。このため、乗員はカードWbの下部が区切部25の上端25aを完全に越えなくてもカードWbを自由に揺動させながらカード入れ領域21bから抜き出すことが可能になる。
【0046】
第1収容部20は、収容空間21のカード入れ領域21bの底面26aが閉スライド方向X1の後方側から前方側に向けて前下がりの傾斜面となるように構成されるのが好ましい。本構成によれば、カードWbはカード入れ領域21bの底面26aの傾斜にしたがって前下がりの状態でカード入れ領域21bに収容される。このため、ベース部11に対して第1収容部20を収容空間21の全閉位置P1に向けて閉スライド方向X1にスライドさせるとき、カードWbの前端部がベース部11や内装パネル2に引っ掛かったりして第1収容部20の閉スライド方向X1のスライド動作が邪魔されるのを防ぐ効果がある。
【0047】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0048】
実施形態1の収容装置10によれば、車両1の内装パネル2に組み付けられるベース部11に対して第1収容部20をスライドさせることで、この第1収容部20の収容空間21を全閉位置P1と全開位置P2のいずれかに設定することができる。第1収容部20の収容空間21は、第3方向Zに沿って延びる凹部または凸部からなる2つの区切部24,25によって、小物入れ領域21aとカード入れ領域21bとに区切られる。このような区切構造は、収容空間21に第1内壁面22から第2内壁面23まで延びるような仕切り壁を設けて小物入れ領域21aとカード入れ領域21bを完全に仕切るような構造に比べると、乗員の手指を収容空間に挿入し易く小物WaやカードWbを出し入れする操作がやり易い。
【0049】
それに加えて、第1内壁面22に設けられている区切部24と第2内壁面23に設けられている区切部25とで、第3方向Zの立設高さH1,H2が互いに異なるようになっている。このため、立設高さH1が相対的に高い方の区切部24は、カード入れ領域21bに立て掛けられたカードWbを倒れにくくするのに効果がある。これに対して、立設高さH2が相対的に低い方の区切部25は、カードWbがカード入れ領域21bからこの区切部25の上端25aを越える程度の位置まで引き出された状態では乗員がカードWbを動かす自由度が高まるため、カードWbの取り出し性能を向上させるのに効果がある。このため、カード入れ領域21bにおけるカードWbの保持性能を確保しつつカード入れ領域21bからのカードWbの取り出し性能を高めることができる。
【0050】
従って、上述の実施形態1によれば、小物入れ及びカード入れとして使用できる使い勝手の良い収容装置10を提供することができる。
【0051】
また、実施形態1の収容装置10によれば、乗員が閉スライド方向X1の後方側から第1収容部20にアクセスすることを想定したとき、乗員に近い手前の第2内壁面23に立設高さが相対的に低い区切部25が設けられることになる。このため、第1収容部20にアクセスする乗員の手指の軌跡に基づいた場合、第2内壁面23に立設高さが相対的に高い区切部を設けるのに比べて、乗員がカードWbを出し入れするときの操作が区切部25によって邪魔されにくい。特に、本実施形態のように、区切部25を平板状のリブ部(凸部)として構成し、このリブ部のうち区切部24に対向する対向面25bを傾斜面とすることにより、乗員がカード入れ領域21bからカードWbを取り出すときの後半の操作や、乗員がカード入れ領域21bにカードWbを挿入するときの前半の操作が邪魔されにくくなる効果が高まる。
【0052】
また、実施形態1の収容装置10によれば、一方の区切部24である凹部と他方の区切部25である凸部とを組み合わることにより、第1方向Xについて収容空間21におけるカード入れ領域21bの寸法を確保したうえで小物入れ領域21aの寸法が小さくなるのを抑えるのに有効である。また、乗員から遠い方の第1内壁面22に設けた凹部としての区切部24にカードWbが嵌め込まれるようにしてカード入れ領域21bに収容されることで、このカードWbが倒れるのを区切部24によって防ぐことができる。
【0053】
また、実施形態1の収容装置10によれば、ベース部11に対して第1収容部20を収容空間21の全開位置P2までスライドさせ、且つ第1収容部20に対して第2収容部30を容器収容空間31の全開位置Q2まで二段階でスライドさせることによって、小物入れ及びカード入れとしての機能に加えて、カップ状容器入れとしての機能をも同時に果たすことが可能になる。
【0054】
また、実施形態1の収容装置10によれば、第1収容部20の各ガイド壁部20aが第2収容部30の各スライド壁部30aに係合することで、第2収容部を全閉位置Q1と全開位置Q2との間でスライド可能とするスライド構造が構成される。このとき、第1収容部20は、2つのガイド壁部20aの間の領域に収容空間21を備えるため、第2収容部30のためのスライド構造と小物Wa及びカードWbを収容するための収容空間21を、第3方向Zについて互いに重ならないように配置することができる。これにより、収容空間21の幅方向Yの大きさが制限されるのを抑制することができ、収容空間21の容量が減るのを防ぐのに有効である。
【0055】
上述の実施形態1の収容装置10に特に関連する変更例では、例えば、所望の大きさの収容空間21を確保できるようなときには、区切部25を凸部に代えて区切部24と同様の凹部とする構造を採用することもできる。
【0056】
上述の実施形態1の収容装置10に特に関連する別の変更例では、2つの区切部24,25の配置を変更することによって、カード入れ領域21bが収容空間21の第1方向Xの一端側に第2方向Yに延びるように形成されてもよい。
【0057】
上述の実施形態1の収容装置10に特に関連する別の変更例では、カードWbの所望の保持性能及び取り出し性能を両立することができれば、区切部24の上端24aが収容空間21の開口縁よりも低所に位置し、且つこの区切部24の上端24aよりも区切部25の上端25aが低所に位置する構造を採用してもよい。
【0058】
以下、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、上述の実施形態1の要素と同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0059】
(実施形態2)
図8に示されるように、実施形態2の収容装置110は、第1収容部120の構造が実施形態1の収容装置10の第1収容部20の構造と相違している。第1収容部120の第1内壁面22には、区切部25に向かい合う区切部124が設けられている。
【0060】
図9に示されるように、区切部124は、区切部25と同様に第3方向Zに沿って延びるように設けられた凸部(リブ部)である。区切部124は、その第2方向Yの厚み寸法が区切部25の第2方向Yの厚み寸法と概ね一致するように設定されている。また、第1内壁面22に設けられている区切部124と、第2内壁面23に設けられている区切部25とでは、収容空間21の底面26から第3方向Zの上端124a,25aまでの立設高さH1,H2が互いに異なる。即ち、区切部25の立設高さH2が区切部124の立設高さH1を下回るように構成されている。
【0061】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0062】
実施形態2の収容装置110によれば、第1収容部20の収容空間21を小物入れ領域21aとカード入れ領域21bとに区切るための2つの区切部124,25をともに凸部(リブ部)によって構成することができる。
【0063】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0064】
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0065】
上述の実施形態では、第1収容部20と第2収容部30の両方を備える収容装置10,110について例示したが、これに代えて、第2収容部30が省略された構造を採用することもできる。
【0066】
上述の実施形態では、車両1の内装パネル2に組み付けられる収容装置10,110について例示したが、これに代えて、車両1の内装パネル2以外の部位に収容装置10,110を組み付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 車両
2 内装パネル
10 収容装置
11 ベース部
20 第1収容部(収容部)
20a ガイド壁部
21 収容空間
21a 小物入れ領域
21b カード入れ領域
22 第1内壁面(内壁面)
23 第2内壁面(内壁面)
24 区切部(凹部)
24a,25a 上端
25 区切部(凸部)
26,26a 底面
30 第2収容部
30a スライド壁部
31 容器収容空間
110 収容装置
120 第1収容部(収容部)
124 区切部(凸部)
H1,H2 立設高さ
P1 全閉位置
P2 全開位置
Q1 全閉位置
Q2 全開位置
Wa 小物
Wb カード
Wc カップ状容器
X 第1方向(スライド方向)
X1 閉スライド方向
Y 第2方向(幅方向)
Z 第3方向(収容空間の深さ方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9