(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160790
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
B65G47/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065211
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA24
3F080BA02
3F080BF11
3F080BF22
3F080BF27
3F080CA01
3F080DA01
3F080DA07
3F080DA11
3F080DB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】貯留ホッパの傾斜底面部の表面が破損した場合でも傾斜底面部の表面を容易に修復することができ、棒状部品が貯留ホッパ内に残留するのを防止する部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置1は、ねじ部品2を貯留する貯留ホッパ3Aと、貯留ホッパ3の最下部に設けられたすくい板収納溝3n内を往復移動して貯留ホッパ3A内のねじ部品2をすくい上げるすくい板4とを備え、貯留ホッパ3Aは鋳物で形成され、すくい板収納溝3nに向かって傾斜する傾斜面部3aを有するホッパ部材3と、傾斜面部3aの表面に取り付けられる板状部材31とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部品を貯留する貯留ホッパと、前記貯留ホッパの最下部に設けられたすくい板収納溝内を往復移動して前記貯留ホッパ内の棒状部品をすくい上げるすくい板とを備え、
前記貯留ホッパは、
鋳物で形成され、前記すくい板収納溝に向かって傾斜する傾斜面部を有するホッパ部材と、
前記傾斜面部の表面に取り付けられる板状部材とを備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
棒状部品を貯留する貯留ホッパと、前記貯留ホッパの最下部に設けられたすくい板収納溝内を往復移動して前記貯留ホッパ内の棒状部品をすくい上げるすくい板とを備え、
前記貯留ホッパは、
鋳物で形成され、前記すくい板収納溝に向かって傾斜する傾斜面部を有するホッパ部材と、
前記傾斜面部の表面に取り付けられる板状部材とを備え、
前記板状部材の表面粗さが、十点平均粗さRzで0以上0.200μm以下であることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
前記板状部材は、金属製の部材で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記板状部材は、弾性を有する部材で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ねじ部品などの棒状部品を作業工具の作業位置に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ部品をねじ締め機のドライバビットの前方に供給する場合には、対向して配置された傾斜底面部を有する貯留ホッパと、貯留ホッパ内で昇降するすくい板とを備えた部品供給装置が知られている。この部品供給装置では、すくい板収納溝が貯留ホッパの最下部に形成されており、すくい板がすくい板収納溝内を往復移動するようになっている。そのため、すくい板がすくい板収納溝内を上昇する際に、貯留ホッパ内に貯留されたねじ部品の一部が、すくい板のすくい溝に沿った姿勢となって、すくい板によりすくい上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の部品供給装置では、鋳物で形成された貯留ホッパが使用されるのが一般的である。例えば貯留ホッパがアルミ鋳物である場合、貯留ホッパの傾斜底面部の表面が比較的柔らかいため、貯留ホッパに貯留されたねじ部品が傾斜底面部の表面に引っ掛かることにより、傾斜底面部の表面が破損する場合がある。そのような場合、傾斜底面部の表面を修復するためには、貯留ホッパ全体を製造し直す必要がある。また、貯留ホッパ内に貯留された棒状部品が傾斜底面部の表面に引っ掛かって、すくい板収納溝に向かって移動しなくなり、棒状部品が貯留ホッパ内に残留する場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、貯留ホッパの傾斜底面部の表面が破損した場合でも、傾斜底面部の表面を容易に修復することが可能な部品供給装置を提供することである。
【0006】
また、本発明の別の目的は、棒状部品が貯留ホッパ内に残留するのを防止することが可能な部品供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る部品供給装置は、棒状部品を貯留する貯留ホッパと、前記貯留ホッパの最下部に設けられたすくい板収納溝内を往復移動して前記貯留ホッパ内の棒状部品をすくい上げるすくい板とを備え、前記貯留ホッパは、鋳物で形成され、前記すくい板収納溝に向かって傾斜する傾斜底面部を有するホッパ部材と、前記傾斜底面部の表面に取り付けられる板状部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明に係る部品供給装置では、例えば貯留ホッパがアルミ鋳物である場合、貯留ホッパの傾斜底面部の表面が比較的柔らかいために破損しやすいが、その傾斜底面部の表面に板状部材が取り付けられているため、貯留ホッパの傾斜底面部が破損するのを防止できる。また、傾斜底面部の表面に取り付けられた板状部材が破損した場合でも、板状部材を容易に交換することができる。
【0009】
本発明に係る部品供給装置において、棒状部品を貯留する貯留ホッパと、前記貯留ホッパの最下部に設けられたすくい板収納溝内を往復移動して前記貯留ホッパ内の棒状部品をすくい上げるすくい板とを備え、前記貯留ホッパは、鋳物で形成され、前記すくい板収納溝に向かって傾斜する傾斜底面部を有するホッパ部材と、前記傾斜底面部の表面に取り付けられる板状部材とを備え、前記板状部材の表面粗さが、十点平均粗さRzで0以上0.200μm以下であることを特徴とする。
【0010】
これにより、本発明に係る部品供給装置では、例えば貯留ホッパが鋳物(例えばアルミ鋳物)である場合、貯留ホッパの傾斜底面部の表面が比較的柔らかいために破損しやすいが、その傾斜底面部の表面に板状部材が取り付けられているため、貯留ホッパの傾斜底面部が破損するのを防止できる。また、傾斜底面部の表面に取り付けられた板状部材が破損した場合でも、板状部材を容易に交換することができる。また、貯留ホッパ内に貯留された棒状部品をすくい板収納溝に向かって滑落させる傾斜底面部が平滑な面に形成されているため、貯留ホッパ内に貯留された棒状部品がすくい板収納溝に向かって適正に滑落する。そのため、棒状部品が貯留ホッパ内に残留するのを防止することができる。また、鋳物で形成されたホッパ部材の傾斜底面部の表面に板状部材を取り付けることにより、平滑な面に形成された傾斜面を有する貯留ホッパを比較的安価かつ容易に形成することができる。
【0011】
本発明に係る部品供給装置において、前記板状部材は、金属製の部材で形成されることを特徴とする。
【0012】
これにより、本発明に係る部品供給装置では、貯留ホッパの傾斜底面部の表面の耐久性が向上する。
【0013】
本発明に係る部品供給装置において、前記板状部材は、弾性を有する部材で形成されることを特徴とする。
【0014】
これにより、本発明に係る部品供給装置では、すくい板が下降する際に、棒状部品が板状部材とすくい板との間に噛み込んだ場合でも、その棒状部品に押圧されることにより板状部材の下端部が変形する。そのため、棒状部品の噛み込みにより、すくい板が下降しなくなる等の動作不良を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によれば、貯留ホッパの傾斜底面部が破損するのを防止できる。また、本発明によれば、棒状部品が貯留ホッパ内に残留するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置1の断面図である。
【
図2】
図1の部品供給装置1の要部拡大平面図である。
【
図3】
図3(a)は、ホッパ部材3の平面図であり、
図3(b)は、補強部材30及び板状部材31の平面図である。
【
図4】
図4(a)は、すくい板4が最下降位置にある状態の貯留ホッパ3Aの断面図であり、
図4(b)は、すくい板4が最上昇位置にある状態の貯留ホッパ3Aの断面図である。
【
図5】
図5(a)は、右側の板状部材31が適正位置からずれた状態を示す部品供給装置1の要部拡大平面図であり、
図5(b)は、貯留ホッパ3Aの要部拡大断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る部品供給装置101の要部拡大平面図である。
【
図7】
図7(a)は、右側の板状部材131が適正位置からずれた状態を示す部品供給装置1の要部拡大平面図であり、
図7(b)は、貯留ホッパ103Aの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の部品供給装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
本実施形態の部品供給装置1は、棒状部品であるねじ部品2(例えば頭部を有する有頭ねじなど)を供給する部品供給装置である。部品供給装置1は、
図1に示すように、多数ねじ部品2を貯留する貯留ホッパ3Aと、貯留ホッパ3A内を上下方向に往復移動するすくい板4と、ねじ部品2を案内する案内溝5aを持つ搬送シュート5とを有している。
【0019】
貯留ホッパ3Aは、ねじ部品2を貯留する空間を有し、その最下部には、すくい板4が上下方向に往復移動するためのすくい板収納溝3nが形成される。貯留ホッパ3Aの構成については、後で詳述する。
【0020】
すくい板4は、扇形状をしており、その上面には、ねじ部品2をすくい上げるすくい溝4aが形成されている。このすくい板4は、上述したように、貯留ホッパ3の下部のすくい板収納溝3n内に収納され、すくい板収納溝3n内を上下方向に往復移動できるように構成される。
【0021】
さらに、すくい板4は、その一端が回動自在に保持されたアーム6に固定されており、このアーム6の中央部にカム溝6aが設けられている。このカム溝6aには、旋回レバー7に取付けられたカムフォロア6bが倣うように配置されており、旋回レバー7がプーリ機構8aを介してモータ8bの回転を受けて旋回すると、アーム6およびすくい板4が上下方向に所定角度往復移動するように構成されている。しかも、すくい板4は、最下降位置にある時には、ねじ部品2をすくい溝4aに案内する一方で、最上昇位置にある時にはそのすくい溝4aを搬送シュート5の案内溝5aと連通させて、ねじ部品2を案内溝5aに供給するように構成されている。
【0022】
搬送シュート5は、先端に向かうに従ってわずかに下方に傾斜した状態でバイブレータ9から振動を受けるように構成されており、搬送シュート5が振動するにともない、これに載置されたねじ部品2が先端に向かって前進するように構成されている。また、この搬送シュート5の後退端の上方には、前後方向に往復駆動する排除羽根(図示せず)が配置されており、搬送シュート5上に不整列に載置されたねじ部品2は貯留ホッパ3内に戻されるように構成されている。
【0023】
さらに、搬送シュート5の最先端には、ねじ分離ユニット10が配置されており、このねじ分離ユニット10は、最先端のねじ部品2を1個宛分離する機能を備えている。しかも、このねじ分離ユニット10は、所定姿勢のねじ部品2をエア給送によりねじ締め機(図示せず)のドライバビット(図示せず)の先端まで送るように構成されている。
【0024】
貯留ホッパ3Aの構成について、
図2~
図4に基づいて説明する。
【0025】
貯留ホッパ3Aの最下部には、
図2に示すように、すくい板4が上下方向に往復移動するためのすくい板収納溝3nが形成される。すくい板収納溝3nは、直線状の溝であり、その水平断面は、すくい板4の上面と略同一の形状である。
【0026】
貯留ホッパ3Aは、ホッパ部材3と、ホッパ部材3の内部に取り付けられた2つの補強部材30及び2つの板状部材31を有している。
【0027】
ホッパ部材3は、従来の貯留ホッパと同様に鋳物(例えばアルミ鋳物)で形成される。ホッパ部材3は、
図3(a)に示すように、すくい板収納溝3nの両側において対向して配置された2つの傾斜面部3aと、その両側に位置してこれらと交叉する方向に延びる側面部3bとを有している。傾斜面部3aの下端部は、すくい板収納溝3nの縁部に形成された水平面部3cに対して、鉛直方向に延びる鉛直面部3tにより接続される。側面部3bは、互いに対向して位置しており、それぞれの下部は下方に向かうにつれて内側に傾斜している。
【0028】
補強部材30は、
図3(b)に示すように、例えばステンレス製の直方体形状の部材である。補強部材30は、
図4に示すように、ホッパ部材3の水平面部3c上に取り付けられる。補強部材30の水平断面は、水平面部3cの水平断面と略同一形状であり、補強部材30の上下方向高さは、鉛直面部3tの上下方向高さと略同一である。そのため、補強部材30の上面は、傾斜面部3aの下端部から水平方向に延びる。このように、本実施形態では、ホッパ部材3がアルミ鋳物で比較的柔らかいため、すくい板4との接触時にすくい板収納溝3nの縁部が変形しないように、すくい板収納溝3nの縁部を補強部材30により補強している。
【0029】
板状部材31は、例えばステンレス製の板状部材(例えば厚さ1.2mm)であり、
図3(b)に示すように、ホッパ部材3の傾斜面部3aより小さい部材である。板状部材31は、ホッパ部材3の傾斜面部3aの表面に沿う形状を有し、ホッパ部材3の傾斜面部3aの上面に取り付けられる。板状部材31は、3つの穴部31a
1をホッパ部材3の傾斜面部3aに形成された3つのねじ穴3a
1の位置と一致させた状態で取付ねじTにより締結される。板状部材31の下端部31aは、直線状に形成されており、
図2に示すように、その下端部31aがすくい板収納溝3nに沿うように取り付けられる。
【0030】
図4(a)は、すくい板4が最下降位置にある状態を示し、
図4(b)は、すくい板4が最上昇位置にある状態を示している。
【0031】
板状部材31が取付ねじTによりホッパ部材3の傾斜面部3aに取り付けられると、
図4に示すように、板状部材31の下端部31aは、補強部材30の上面に対して下方に向かって押圧される。そのため、板状部材31の下端部31a近傍は、上方に向かって撓む。そのとき、板状部材31の下端部31aは、すくい板収納溝3nの縁部の上方において、すくい板収納溝3nの縁部と略平行に配置される。
【0032】
なお、板状部材31がホッパ部材3の傾斜面部3aの表面に対して適正位置に取り付けられると、すくい板4の側面と板状部材31の下端部31aとの間に形成される隙間が非常に小さい状態で、すくい板4が上下方向に移動するようになる。
【0033】
貯留ホッパ3A内に貯留されたねじ部品2は、板状部材31の表面をすくい板収納溝3nに向かって滑落する。すなわち、板状部材31の表面が、貯留ホッパ3A内に貯留されたねじ部品2をすくい板収納溝3nに向かって滑落させる傾斜底面部3Aaとなる。その傾斜底面部3Aaとなる板状部材31の表面は、例えば#400のバフ研磨により平滑な面に形成される。具体的には、板状部材31の表面粗さは、十点平均粗さRzで0以上0.200μm以下であり、好ましくは、十点平均粗さRzで0以上0.150μm以下である。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の部品供給装置1は、ねじ部品2を貯留する貯留ホッパ3Aと、貯留ホッパ3の最下部に設けられたすくい板収納溝3n内を往復移動して貯留ホッパ3A内のねじ部品2をすくい上げるすくい板4とを備え、貯留ホッパ3Aは、鋳物で形成され、すくい板収納溝3nに向かって傾斜する傾斜面部3aを有するホッパ部材3と、傾斜面部3aの表面に取り付けられる板状部材31とを備える。
【0035】
これにより、本実施形態に係る部品供給装置1では、ホッパ部材3がアルミ鋳物である場合、ホッパ部材3の傾斜面部3aの表面が比較的柔らかいために破損しやすいが、その傾斜面部3aの表面に板状部材31が取り付けられているため、貯留ホッパ3Aの傾斜底面部3Aaが破損するのを防止できる。また、傾斜底面部3Aaの表面に取り付けられた板状部材31が破損した場合でも、板状部材31を容易に交換することができる。
【0036】
また、本実施形態の部品供給装置1は、ねじ部品2を貯留する貯留ホッパ3Aと、貯留ホッパ3の最下部に設けられたすくい板収納溝3n内を往復移動して貯留ホッパ3A内のねじ部品2をすくい上げるすくい板4とを備え、貯留ホッパ3Aは、鋳物で形成され、すくい板収納溝3nに向かって傾斜する傾斜面部3aを有するホッパ部材3と、傾斜面部3aの表面に取り付けられる板状部材31とを備え、板状部材31の表面粗さが、十点平均粗さRzで0以上0.200μm以下である。
【0037】
これにより、本実施形態の部品供給装置1では、ホッパ部材3がアルミ鋳物である場合、ホッパ部材3の傾斜面部3aの表面が比較的柔らかいために破損しやすいが、その傾斜面部3aの表面に板状部材31が取り付けられているため、貯留ホッパ3Aの傾斜底面部3Aaが破損するのを防止できる。また、傾斜底面部3Aaの表面に取り付けられた板状部材31が破損した場合でも、板状部材31を容易に交換することができる。また、貯留ホッパ3A内に貯留されたねじ部品2をすくい板収納溝3nに向かって滑落させる傾斜底面部3Aaが平滑な面に形成されているため、貯留ホッパ3A内に貯留されたねじ部品2がすくい板収納溝3nに向かって適正に滑落する。そのため、ねじ部品2が貯留ホッパ3A内に残留するのを防止することができる。また、鋳物で形成されたホッパ部材3の傾斜面部3aの表面に板状部材31を取り付けることにより、平滑な面に形成された傾斜底面部3Aaを有する貯留ホッパ3Aを比較的安価かつ容易に形成することができる。
【0038】
本実施形態の部品供給装置1において、板状部材31は、金属製の部材で形成される。
【0039】
これにより、本実施形態の部品供給装置1では、貯留ホッパ3Aの傾斜底面部3Aaの表面の耐久性が向上する。
【0040】
(第2実施形態)
本実施形態の部品供給装置101と第1実施形態の部品供給装置1とが異なる点は、第1実施形態において板状部材31が金属製の部材で形成されるのに対して、本実施形態において板状部材131が弾性を有する部材で形成される点で異なる。なお、本実施形態の部品供給装置101において第1実施形態の部品供給装置1と同様の構成については、詳細な説明は省略する。
【0041】
上述したように、第1実施形態の部品供給装置1において、板状部材31がホッパ部材3の傾斜面部3a上に対して適正位置に取り付けられると、すくい板4の側面と板状部材31の下端部31aとの間に形成される隙間が非常に小さい状態で、すくい板4が上下方向に移動するようになる。そのため、貯留ホッパ3A内に貯留されたねじ部品2が、すくい板4と板状部材31との間に移動することはない。
【0042】
しかしながら、部品供給装置1を継続して使用していると、板状部材31が適正位置からずれてしまう場合がある。
図5(a)は、例えば右側の板状部材31が適正位置からすくい板収納溝3nから離れる方向にずれた状態を図示している。その状態では、板状部材31の下端部31aが、すくい板収納溝3nの右側縁部の鉛直上方より右側に配置されている。そのため、すくい板4の側面と板状部材31の下端部31aとの間に形成される隙間が大きい状態で、すくい板4が上下方向に移動するようになる。
【0043】
このように、すくい板4の側面と板状部材31の下端部31aとの間に形成される隙間が大きい状態で、すくい板4が下降すると、すくい板4に接触しているねじ部品2が下方に移動しようとするが、板状部材31の下端部31aに引っ掛かったり上方にあるネジ部品2の重量により移動することができずに、
図5(b)に示すように、ねじ部品2Aがすくい板4と板状部材31の下端部31aとの間に巻き込まれる。すると、巻き込まれたねじ部品2Aが楔のように作用して、すくい板4と板状部材31とを反対方向に向かって突っ張る。すると、巻き込まれたねじ部品2Aにより突っ張られたすくい板4は、ねじ部品2Aが巻き込まれた隙間と反対側に位置する補強部材30やホッパ部材3のすくい板収納溝3nの縁部に向かって押圧される。そのため、すくい板4と補強部材30やホッパ部材3との摩擦が著しく増加して、すくい板4が昇降不可になり、部品供給装置1が異常停止してしまう問題がある。
【0044】
本実施形態の部品供給装置101では、上記の問題を解消するために、板状部材131を、弾性を有する部材により形成している。
【0045】
板状部材131は、例えばテフロン(登録商標)製の板状部材(例えば厚さ1mm)であり、ホッパ部材3の傾斜面部3aより小さい部材である。板状部材131は、
図6に示すように、ホッパ部材3の傾斜面部3aの表面に沿う形状を有し、ホッパ部材3の傾斜面部3aの上面に取り付けられる。板状部材131は、第1実施形態の板状部材31と同様に、3つの穴部(図示を省略)をホッパ部材3の傾斜底面部3aに形成された3つのねじ穴3a
1の位置と一致させた状態で取付ねじTにより締結される。板状部材31の下端部31aは、直線状に形成されており、その下端部31aがすくい板収納溝3nに沿うように取り付けられる。
【0046】
板状部材131が取付ねじTによりホッパ部材3の傾斜面部3aに取り付けられると、板状部材131の下端部131aは、補強部材30の上面に対して下方に向かって押圧される。そのため、板状部材131の下端部131a近傍は、上方に向かって撓む。そのとき、板状部材131の下端部131aは、すくい板収納溝3nの縁部の上方において、すくい板収納溝3nの縁部と略平行に配置される。
【0047】
なお、板状部材131がホッパ部材3の傾斜面部3aの表面に対して適正位置に取り付けられると、第1実施形態と同様に、すくい板4の側面と板状部材131の下端部131aとの間に形成される隙間が非常に小さい状態で、すくい板4が上下方向に移動するようになる。
【0048】
貯留ホッパ3A内に貯留されたねじ部品2は、板状部材131の表面をすくい板収納溝3nに向かって滑落する。すなわち、板状部材131の表面が、貯留ホッパ103A内に貯留されたねじ部品2をすくい板収納溝3nに向かって滑落させる傾斜底面部103Aaとなる。その傾斜底面部103Aaとなる板状部材131の表面は、平滑な面に形成される。具体的には、板状部材131の表面粗さは、十点平均粗さRzで0以上0.200μm以下である。
【0049】
本実施形態の部品供給装置101においても、第1実施形態の部品供給装置1と同様に、部品供給装置101を継続して使用していると、板状部材131が適正位置からすくい板収納溝3nから離れる方向にずれてしまう場合がある。
図7(a)は、例えば右側の板状部材131が適正位置からずれた状態を図示している。その状態では、板状部材131の下端部131aが、すくい板収納溝3nの縁右側部の鉛直上方より右側に配置されている。そのため、すくい板4の側面と板状部材131の下端部131aとの間に形成される隙間が大きい状態で、すくい板4が上下方向に移動するようになる。
【0050】
このように、すくい板4の側面と板状部材131の下端部131aとの間に形成される隙間が大きい状態で、すくい板4が下降すると、すくい板4に接触しているねじ部品2が下方に移動しようとするが、板状部材131の下端部131aに引っ掛かったり上方にあるネジ部品2の重量により移動することができずに、
図7(b)に示すように、ねじ部品2Aがすくい板4と板状部材131の下端部131aとの間に巻き込まれる。すると、巻き込まれたねじ部品2Aが楔のように作用して、すくい板4と板状部材131とを反対方向に向かって突っ張る。しかしながら、板状部材131が弾性を有する部材で形成されており、板状部材131の下端部131a近傍が、すくい板4から離れる方向に変形可能であるため、すくい板4が巻き込まれたねじ部品2Aにより突っ張られたとしても、ねじ部品2Aが巻き込まれた隙間と反対側に位置する補強部材30やホッパ部材3のすくい板収納溝3nの縁部に向かって、それほど大きな力で押圧されることはない。そのため、ねじ部品2が、板状部材131の下端部131aとすくい板4の側面との間に噛み込んだ場合でも、すくい板4と補強部材30やホッパ部材3との摩擦が著しく増加しない。よって、すくい板4が昇降不可になるのを防止可能であり、部品供給装置101が異常停止してしまうのを防止できる。
【0051】
本実施形態の部品供給装置101では、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
本実施形態の部品供給装置101において、板状部材131は、弾性を有する部材である。
【0053】
これにより、本実施形態の部品供給装置101では、すくい板4が下降する際に、ねじ部品2が板状部材131とすくい板4との間に噛み込んだ場合でも、そのねじ部品2に押圧されることにより板状部材131の下端部131aが変形する。そのため、ねじ2の噛み込みにより、すくい板4が下降しなくなる等の動作不良を防止することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0055】
例えば、上記第1実施形態では、板状部材31がステンレス製の部材で形成され、上記第2実施形態では、板状部材131がテフロン(登録商標)製の部材で形成されるが、本発明において板状部材の材質、形状、厚さは任意である。上記第1実施形態において、板状部材31は、金属製の部材で形成されたものであればよい。例えば、板状部材31は、ステンレス製以外に、銅製などでもよい。また、板状部材31の表面が例えば#400のバフ研磨により平滑な面に形成される場合を説明したが、板状部材31の表面を研磨する方法は任意である。上記第2実施形態において、板状部材131は、弾性を有する部材で形成されたものであればよい。例えば、板状部材131は、テフロン(登録商標)製以外に、高密度ポリエチレン製などでもよい。上記第1及び第2実施形態では、ホッパ部材3がアルミ鋳物で形成され、補強部材30がステンレス製の部材で形成されるが、本発明において、鋳物で形成されるホッパ部材の材質や補強部材30の材質は任意である。
【符号の説明】
【0056】
1 部品供給装置
2 ねじ部品
3A 貯留ホッパ
3Aa 傾斜底面部
3 ホッパ部材
3a 傾斜面部
3b 側面部
3n すくい板収納溝
4 すくい板
4a すくい溝
30 補強部材
31 板状部材
101 部品供給装置
103A 貯留ホッパ
103Aa 傾斜底面部
131 板状部材