(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160801
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】鉄道車両用電力変換装置
(51)【国際特許分類】
B61C 17/12 20060101AFI20221013BHJP
B61D 17/00 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B61C17/12 A
B61D17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065231
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】桑原 隆
(57)【要約】
【課題】筐体通気口から侵入した粉塵によりフィルタに目詰まりが生じるのを抑制することが可能な鉄道車両用電力変換装置を提供する。
【解決手段】この鉄道車両用電力変換装置100では、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間を通気する通気流路30に配置されたフィルタ41は、通気流路30の入口としての筐体通気口21側(X1側)から見て、筐体通気口21とずれた位置に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に搭載される鉄道車両用電力変換装置であって、
電力変換部と、
前記電力変換部を収容する筐体と、
前記筐体の内部と前記筐体の外部との間を通気する通気流路に配置されたフィルタと、を備え、
前記筐体は、前記筐体の外部に露出するように前記筐体の外表面に設けられ、前記通気流路の入口としての筐体通気口を含み、
前記フィルタは、前記筐体通気口側から見て、前記筐体通気口とずれた位置に配置されている、鉄道車両用電力変換装置。
【請求項2】
前記筐体通気口は、前記筐体の側面に設けられており、
前記フィルタは、前記筐体通気口よりも高い位置に配置されている、請求項1に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項3】
前記フィルタと前記筐体通気口との間に設けられ、前記筐体通気口を介して流入した空気を迂回させるように、前記フィルタの通気入口よりも前記筐体の内部側まで突出して延びる内部側突出部分を含む突出部材をさらに備える、請求項2に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項4】
前記内部側突出部分は、前記筐体の内部側に向かうにしたがって下方側に向かうように傾斜している、請求項3に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項5】
前記突出部材は、前記内部側突出部分により迂回された空気を上方の前記フィルタの通気入口側に導くガイド開口をさらに含む、請求項3または4に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項6】
前記フィルタを取り囲むとともに、前記フィルタとともにフィルタユニットを構成するフィルタ囲み部材と、
前記筐体の側面に設けられ、前記フィルタユニットが収容される凹状のフィルタユニット収容部と、をさらに備え、
前記フィルタユニット収容部は、前記筐体通気口よりも高い位置に配置されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項7】
前記フィルタユニットは、前記筐体の外部側に設けられたユニット通気入口を含み、
前記ユニット通気入口は、前記フィルタユニットの下端部よりも高い位置に配置されている、請求項6に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項8】
前記フィルタユニットは、前記ユニット通気入口と略同じ高さ位置で前記筐体の内部側に設けられたユニット通気出口をさらに含み、
前記フィルタユニット収容部は、前記筐体の内部に通じる筐体内部通気口を含み、
前記ユニット通気出口は、前記筐体内部通気口と略同じ高さ位置で前記筐体内部通気口に隣り合うように設けられている、請求項7に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記フィルタユニット収容部に対応する位置に設けられ、前記フィルタユニットを前記フィルタユニット収容部から取り外すためのフィルタユニット用開口部を含み、
前記フィルタユニット用開口部を覆うように前記筐体に対して着脱可能に取り付けられたフィルタカバーをさらに備える、請求項6~8のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項10】
前記フィルタカバーの外周部と前記フィルタユニット収容部の外周部との間に設けられたシール部材をさらに備え、
前記フィルタカバーの外周部は、前記筐体の外部側に向かって突出している、請求項9に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項11】
前記通気流路は、前記筐体の内部と前記筐体の外部との間の気圧差を抑制するために、前記筐体の内部と前記筐体の外部との間を通気するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道車両用電力変換装置に関し、特に、筐体の外表面に設けられた筐体通気口を含む筐体を備える鉄道車両用電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の外表面に設けられた筐体通気口を含む筐体を備える鉄道車両用電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、筐体の外表面に点検用のカバー部材が取り付けられた鉄道車両用電力変換装置が記載されている。上記特許文献1に記載の鉄道車両用電力変換装置では、カバー部材には、筐体の内部と筐体の外部との間を通気するための開口部(筐体通気口)が形成されている。そして、カバー部材には、筐体の内部側から開口部を覆うようにフィルタが取り付けられている。すなわち、上記特許文献1に記載の鉄道車両用電力変換装置では、開口部からフィルタまでの通気の経路が直線状になっているとともに、開口部からフィルタまでの距離が比較的短くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の鉄道車両用電力変換装置では、開口部(筐体通気口)からフィルタまでの通気の経路が直線状になっているとともに、開口部からフィルタまでの距離が比較的短くなっているので、開口部から侵入した粉塵がフィルタに到達し易い。すなわち、フィルタに粉塵による目詰まりが生じ易い。このため、開口部(筐体通気口)から侵入した粉塵によりフィルタに目詰まりが生じるのを抑制することが可能な鉄道車両用電力変換装置が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、筐体通気口から侵入した粉塵によりフィルタに目詰まりが生じるのを抑制することが可能な鉄道車両用電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による鉄道車両用電力変換装置は、鉄道車両に搭載される鉄道車両用電力変換装置であって、電力変換部と、電力変換部を収容する筐体と、筐体の内部と筐体の外部との間を通気する通気流路に配置されたフィルタと、を備え、筐体は、筐体の外部に露出するように筐体の外表面に設けられ、通気流路の入口としての筐体通気口を含み、フィルタは、筐体通気口側から見て、筐体通気口とずれた位置に配置されている。
【0008】
この発明の一の局面による鉄道車両用電力変換装置では、上記のように、筐体の内部と筐体の外部との間を通気する通気流路に配置されたフィルタは、通気流路の入口としての筐体通気口側から見て、筐体通気口とずれた位置に配置されている。これにより、通気流路における筐体通気口からフィルタまでの経路が少なくとも直線状にはならないとともに、筐体通気口を覆うようにフィルタが取り付けられる場合(フィルタが筐体通気口側から見て筐体通気口とずれていない位置に配置される場合)と比較して、通気流路における筐体通気口からフィルタまでの距離が長くなり易い。これにより、筐体通気口から侵入した粉塵がフィルタに到達しにくい。その結果、筐体通気口から侵入した粉塵によりフィルタに目詰まりが生じるのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、筐体通気口は、筐体の側面に設けられており、フィルタは、筐体通気口よりも高い位置に配置されている。このように構成すれば、通気流路における筐体通気口からフィルタまでの経路が下方側から上方側に向かう部分を含むので、筐体通気口から侵入した粉塵に加えて、筐体通気口から侵入した水が上方のフィルタまで到達するのを抑制することができる。したがって、上記筐体通気口が筐体の側面に設けられておりフィルタが筐体通気口よりも高い位置に配置される構成は、上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置が鉄道車両において風雨にさらされやすい位置に設けられる場合に、特に効果的である。
【0010】
この場合、好ましくは、フィルタと筐体通気口との間に設けられ、筐体通気口を介して流入した空気を迂回させるように、フィルタの通気入口よりも筐体の内部側まで突出して延びる内部側突出部分を含む突出部材をさらに備える。このように構成すれば、内部側突出部分が突出している分だけ、通気流路における筐体通気口からフィルタまでの経路に大きく曲がる部分が含まれるとともに、通気流路における筐体通気口からフィルタまでの距離が長くなるので、内部側突出部分がない場合と比較して、筐体通気口から侵入した粉塵および水がフィルタに到達しにくい。その結果、筐体通気口から侵入した粉塵および水がフィルタまで到達するのをより抑制することができる。
【0011】
上記内部側突出部分を含む突出部材を備える構成において、好ましくは、内部側突出部分は、筐体の内部側に向かうにしたがって下方側に向かうように傾斜している。このように構成すれば、内部側突出部分が筐体の内部側に向かうにしたがって下方側に傾斜している分だけ大きく迂回されるので、内部側突出部分が筐体の内部側に向かうにしたがって下方側に傾斜していない場合と比較して、筐体通気口から侵入した粉塵および水がフィルタにより到達しにくい。また、筐体通気口から侵入して筐体の内部側に向かう水が、下方側に傾斜している内部側突出部分に当たって下方に落ちやすくなるので、筐体通気口から侵入した水が上方のフィルタまで到達するのを効果的に抑制することができる。
【0012】
上記内部側突出部分を含む突出部材を備える構成において、好ましくは、突出部材は、内部側突出部分により迂回された空気を上方のフィルタの通気入口側に導くガイド開口をさらに含む。このように構成すれば、ガイド開口を介して、筐体通気口を介して流入した後に内部側突出部分により迂回された空気をフィルタの通気入口側(ひいてはフィルタ)に容易に導くことができる。
【0013】
上記フィルタが筐体通気口よりも高い位置に配置されている構成において、好ましくは、フィルタを取り囲むとともに、フィルタとともにフィルタユニットを構成するフィルタ囲み部材と、筐体の側面に設けられ、フィルタユニットが収容される凹状のフィルタユニット収容部と、をさらに備え、フィルタユニット収容部は、筐体通気口よりも高い位置に配置されている。このように構成すれば、フィルタユニット収容部に収容されたフィルタユニットが筐体通気口よりも高い位置に配置されるので、フィルタがフィルタユニットを構成する(フィルタがユニット化されている)場合でも、フィルタを、筐体通気口よりも高い位置に確実に配置することができる。また、フィルタがフィルタ囲み部材によって取り囲まれた状態でユニット化されているので、フィルタがユニット化されていない場合(剥き出しの場合)と比較して、通気流路においてフィルタユニットを容易に配置することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、フィルタユニットは、筐体の外部側に設けられたユニット通気入口を含み、ユニット通気入口は、フィルタユニットの下端部よりも高い位置に配置されている。このように構成すれば、ユニット通気入口がフィルタユニットの下端部に配置されている場合と比較して、筐体通気口から侵入した粉塵および水がユニット通気入口まで到達しにくい。その結果、筐体通気口から侵入した粉塵および水がフィルタまで到達するのをより一層抑制することができる。
【0015】
上記ユニット通気入口がフィルタユニットの下端部よりも高い位置に配置されている構成において、好ましくは、フィルタユニットは、ユニット通気入口と略同じ高さ位置で筐体の内部側に設けられたユニット通気出口をさらに含み、フィルタユニット収容部は、筐体の内部に通じる筐体内部通気口を含み、ユニット通気出口は、筐体内部通気口と略同じ高さ位置で筐体内部通気口に隣り合うように設けられている。このように構成すれば、通気流路におけるフィルタと筐体内部通気口との経路が直線状になるとともに、通気流路におけるフィルタから筐体内部通気口までの距離が比較的短くなる。その結果、通気流路において、筐体通気口から侵入した粉塵および水がフィルタまで到達するのを抑制するのに寄与しない部分(通気流路におけるフィルタと筐体内部通気口との間の部分)が複雑になるのを抑制することができるとともに必要以上に長くなるのを抑制することができる。
【0016】
上記フィルタユニット収容部が筐体通気口よりも高い位置に配置されている構成において、好ましくは、筐体は、フィルタユニット収容部に対応する位置に設けられ、フィルタユニットをフィルタユニット収容部から取り外すためのフィルタユニット用開口部を含み、フィルタユニット用開口部を覆うように筐体に対して着脱可能に取り付けられたフィルタカバーをさらに備える。このように構成すれば、筐体からフィルタカバーを取り外すことによって、フィルタユニットをフィルタユニット収容部からフィルタユニット用開口部を介して容易に取り外すことができる。その結果、フィルタユニットを構成するフィルタの点検、清掃(フィルタに付着した粉塵の除去)および交換を容易に行うことができる。
【0017】
この場合、好ましくは、フィルタカバーの外周部とフィルタユニット収容部の外周部との間に設けられたシール部材をさらに備え、フィルタカバーの外周部は、筐体の外部側に向かって突出している。このように構成すれば、フィルタカバーの外周部とフィルタユニット収容部の外周部との間に設けられたシール部材により、フィルタカバーの外周部とフィルタユニット収容部の外周部との間からフィルタユニット収容部に水が浸入するのを抑制することができる。また、フィルタカバーの外周部が突出することによりフィルタカバーの外周部の剛性が向上するので、フィルタカバーの外周部とフィルタユニット収容部の外周部とによってシール部材を挟み込んだ場合に、フィルタカバーの外周部に曲がりが生じるのを抑制することができる。その結果、フィルタカバーの外周部とフィルタユニット収容部の外周部との間に隙間が形成されるのを抑制することができるので、フィルタカバーの外周部とフィルタユニット収容部の外周部との間からフィルタユニット収容部に水が浸入するのを効果的に抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、通気流路は、筐体の内部と筐体の外部との間の気圧差を抑制するために、筐体の内部と筐体の外部との間を通気するように構成されている。このように構成すれば、通気流路により、鉄道車両のトンネルの入出時に、筐体の内部と筐体の外部との間の気圧差を抑制して、筐体および筐体に収容された電力変換部等に気圧差に起因する負荷がかかるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、フィルタに粉塵による目詰まりが生じるのを抑制することが可能な鉄道車両用電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置が搭載される鉄道車両を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置の筐体通気口の周辺を示した斜視図である。
【
図3】
図2の900-900線に沿った断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置においてユニット収容部からフィルタユニットを取り外した状態を示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置においてユニット収容部および水切り部材を筐体から分解した状態の斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置において筐体からカバー部材、シール部材およびユニット収容部を筐体から分解した状態を示した斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置において筐体からカバー部材およびシール部材を取り外した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図7を参照して、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置100の構成について説明する。鉄道車両用電力変換装置100は、鉄道車両110に搭載される電力変換装置である。
【0023】
図1に示すように、鉄道車両110は、架線121から供給される電力(直流電源)により、レール122上を走行するように構成されている。鉄道車両110は、車体111と、パンタグラフ112と、車体111を走行させる駆動輪113と、駆動輪113を回転させる誘導電動機114と、鉄道車両用電力変換装置100と、を備えている。
【0024】
パンタグラフ112は、架線121に供給されている電力を受電(集電)する。鉄道車両用電力変換装置100は、架線121から入力される直流電圧を交流電圧に変換する電力変換部10を備える。鉄道車両用電力変換装置100は、鉄道車両110の走行時に、電力変換部10により架線121からの電力を変換して、誘導電動機114の回転制御を行う。
【0025】
鉄道車両用電力変換装置100は、車体111の底部111aの下方側(Z2側)に取り付けられている。すなわち、鉄道車両用電力変換装置100は、鉄道車両110において風雨にさらされやすい位置に設けられている。
【0026】
鉄道車両用電力変換装置100は、電力変換部10を収容する筐体20を備える。
図2に示すように、筐体20は、通気流路30(
図3参照)の入口としての筐体通気口21を含む。
図3に示すように、通気流路30は、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間の気圧差を抑制するために、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間を通気するように構成されている。
【0027】
図2に示すように、本実施形態では、筐体通気口21は、筐体20の外部に露出するように筐体20の外表面22に設けられている。具体的には、筐体通気口21は、筐体20の側面22aに設けられている。なお、筐体通気口21は、筐体20に1つのみ設けられている。
【0028】
以下の説明では、上下方向をZ方向とする。そして、上方(上方側)および下方(下方側)を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、筐体通気口21が設けられた筐体20の側面22aと直交する方向をX方向とする。そして、X方向において、筐体20の外部側(筐体通気口21側)および筐体20の内部20a側を、それぞれ、X1側およびX2側とする。
【0029】
図3に示すように、鉄道車両用電力変換装置100は、通気流路30に配置されたフィルタ41を備える。フィルタ41は、通気流路30を介して、筐体20の外部から筐体20の内部20aに粉塵が侵入するのを抑制するために設けられている。本実施形態では、フィルタ41は、筐体通気口21側(X1側)から見て、筐体通気口21とずれた位置に配置されている。具体的には、フィルタ41は、筐体通気口21よりも高い位置に配置されている。なお、フィルタ41は、筐体通気口21側(X1側)から見て、筐体通気口21とオーバラップしない位置に配置されている。
【0030】
本実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタ41を取り囲むフィルタ囲み部材42を備える。そして、フィルタ囲み部材42は、フィルタ41とともにフィルタユニット40を構成している。具体的には、フィルタ41の一部(フィルタ41の通気入口41aおよび通気出口41b)がフィルタ囲み部材42の外部に露出するようにフィルタ囲み部材42によりフィルタ41が取り囲まれることにより、フィルタ41とフィルタ囲み部材42とが一体化(ユニット化)されている。なお、フィルタ囲み部材42は板金である。
【0031】
フィルタユニット40は、筐体20の外部側(X1側)に設けられたユニット通気入口43と、筐体20の内部20a側(X2側)に設けられたユニット通気出口44と、を含む。ユニット通気出口44は、ユニット通気入口43と略同じ高さ位置で設けられている。ユニット通気入口43およびユニット通気出口44は、フィルタ41がフィルタ囲み部材42により取り囲まれた状態でフィルタ41の一部(フィルタ41の通気入口41aおよび通気出口41b)がフィルタ囲み部材42の外部に露出するように、フィルタ囲み部材42に形成された開口部である。なお、ユニット通気入口43およびユニット通気出口44は、それぞれ、複数設けられている。
【0032】
本実施形態では、ユニット通気入口43およびユニット通気出口44は、フィルタユニット40の下端部40aよりも高い位置に配置されている。具体的には、ユニット通気入口43およびユニット通気出口44は、Z方向において、フィルタユニット40の中央部40bに配置されている。なお、ユニット通気入口43およびユニット通気出口44は、Z方向において、フィルタユニット40の下端部40aおよび上端部40cには配置されていない。
【0033】
図4に示すように、本実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100は、筐体20の側面22aに設けられ、フィルタユニット40が収容される凹状のフィルタユニット収容部50を備える。そして、フィルタユニット収容部50は、筐体通気口21よりも高い位置に配置されている。また、本実施形態では、筐体20は、フィルタユニット収容部50に対応する位置に設けられ、フィルタユニット40をフィルタユニット収容部50から取り外すためのフィルタユニット用開口部23を含む。
【0034】
具体的には、筐体20の側面22aにおいて、筐体通気口21のZ1側には、フィルタユニット用開口部23が形成されている。
図5に示すように、筐体20の内部20a側(X2側)に凹む凹状のフィルタユニット取付け部材51が、筐体20の側面22aに対して、筐体20の内部20a側(X2側)からリベット61により固定されている。フィルタユニット取付け部材51は、フィルタユニット取付け部材51のZ1側の部分およびZ2側の部分が、それぞれ、フィルタユニット用開口部23および筐体通気口21が形成された部分に位置するように、筐体20に取り付けられている。
【0035】
また、筐体20の側面22aに対して、凹状のフィルタユニット取付け部材51の内部に収まるように、筐体20の内部20a側(X2側)から水切り部材70(後述する)がリベット62により固定されている。水切り部材70は、Z方向において、フィルタユニット用開口部23と筐体通気口21との間に位置するように、筐体20に取り付けられている。これにより、
図4に示すように、凹状のフィルタユニット取付け部材51の内部の水切り部材70よりもZ1側には、凹状のフィルタユニット収容部50が形成されている。なお、水切り部材70は、特許請求の範囲の「突出部材」の一例である。
【0036】
そして、
図3に示すように、筐体20に対して、フィルタユニット取付け部材51および水切り部材70が取り付けられることにより形成されたフィルタユニット収容部50に、フィルタユニット40が収容されている。フィルタユニット40は、フィルタユニット固定ねじ91によってフィルタユニット取付け部材51に着脱可能に取り付けられている。フィルタユニット40のX1側には、フィルタ41の通気入口41a側の空間S1が形成されている。
【0037】
なお、フィルタユニット取付け部材51の内部において、フィルタユニット収容部50と水切り部材70との間の隙間にはシール処理が施された第1シール部52aが設けられている。また、フィルタユニット取付け部材51の下端部51bと筐体20の側面22aとの間の隙間には、シール処理が施された第2シール部52bが設けられている。
【0038】
本実施形態では、フィルタユニット収容部50は、筐体20の内部20aに通じる筐体内部通気口51aを含む。具体的には、筐体内部通気口51aは、フィルタユニット取付け部材51において、フィルタユニット40のユニット通気出口44に対向するように配置されている。すなわち、フィルタユニット40のユニット通気出口44は、筐体内部通気口51aと略同じ高さ位置で筐体内部通気口51aに隣り合うように設けられている。これにより、通気流路30において、X1側からX2側に向かって、フィルタ41の通気入口41a側の空間S1と、フィルタユニット40のユニット通気入口43と、フィルタユニット40のユニット通気出口44と、フィルタユニット収容部50の筐体内部通気口51aとが、この順に、X方向に沿って並んでいる。
【0039】
本実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100は、水切り用突出部分71を含む水切り部材70を備える。水切り用突出部分71は、通気流路30において、フィルタ41と筐体通気口21との間に設けられている。水切り用突出部分71は、筐体通気口21を介して流入した空気を迂回させるように、フィルタ41の通気入口41aよりも筐体20の内部20a側(X2側)まで突出して延びている。具体的には、水切り用突出部分71は、X方向において、フィルタユニット取付け部材51のX1側の端部から中央部まで延びている。また、本実施形態では、水切り用突出部分71は、筐体20の内部20a側(X2側)に向かうにしたがって下方側(Z2側)に向かうように傾斜している。なお、水切り用突出部分71は、特許請求の範囲の「内部側突出部分」の一例である。
【0040】
また、本実施形態では、水切り部材70は、水切り用突出部分71により迂回された空気を上方(Z1側)のフィルタ41の通気入口41a側(X1側)に導くガイド開口70aを含む。具体的には、水切り部材70は、水切り用突出部分71に加えて、水切り用突出部分71の筐体通気口21側の端部から上方(Z1側)に延びる上方延長部分72と、上方延長部分72の上方側(Z1側)の端部から筐体20の内部20a側(X2側)に延びる内部側延長部分73と、を含む。すなわち、水切り部材70は、Z方向およびX方向から見て筐体20の内部20a側(X2側)が開いたU字状に形成されている。そして、上方延長部分72と内部側延長部分73との接続部分には、フィルタ41の通気入口41a側(X1側)の空間S1と、U字状に形成された水切り部材70の内側の空間S2とを接続するガイド開口70aが形成されている。
【0041】
以上の構成により、通気流路30の経路は、筐体通気口21から筐体内部通気口51aに向かって、まず、水切り用突出部分71を迂回するように、X1側からX2側に向かった後、Z2側からZ1側に向かう。そして、U字状に形成された水切り部材70の内側の空間S2とフィルタ41の通気入口41a側(X1側)の空間S1とを接続するガイド開口70aに導かれるように、X2側からX1側に向かった後、Z2側からZ1側に向かう。そして、フィルタ41の通気入口41a側(X1側)の空間S1から筐体内部通気口51aまで、フィルタユニット40を介して、X1側からX2側に向かう。すなわち、本実施形態では、通気流路30は、複数の略直角に曲がる部分(大きく曲がる部分)を含むクランク状に形成されている。
【0042】
なお、本実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタユニット用開口部23を覆うように筐体20に対して着脱可能に取り付けられたフィルタカバー81を備える。具体的には、
図6に示すように、フィルタカバー81は、フィルタカバー固定ねじ92により筐体20に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、
図7に示すように、フィルタカバー81を筐体20から取り外すことによって、フィルタユニット収容部50に収容されたフィルタユニット40に容易にアクセスすることができる。そして、フィルタユニット収容部50をフィルタユニット取付け部材51から取り付すことによって、フィルタユニット40の点検、清掃(フィルタ41に付着した粉塵の除去)および交換を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、フィルタカバー81の外周部81aは、筐体20の外部側(X1側)に向かって突出している。具体的には、フィルタカバー81は、フィルタカバー81の外周部81aがX2側に突出するように曲げ加工されている。
【0044】
また、本実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間に設けられたシール部材82を備える。具体的には、シール部材82は、フィルタユニット用開口部23よりも僅かに大きい開口部を含む枠状に形成されている。そして、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとによってシール部材82を挟み込んだ状態で、フィルタカバー固定ねじ92によりフィルタカバー81が筐体20に対して取り付けられている。
【0045】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
本実施形態では、上記のように、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間を通気する通気流路30に配置されたフィルタ41は、通気流路30の入口としての筐体通気口21側(X1側)から見て、筐体通気口21とずれた位置に配置されている。これにより、通気流路30における筐体通気口21からフィルタ41までの経路が少なくとも直線状にはならないとともに、筐体通気口21を覆うようにフィルタ41が取り付けられる場合(フィルタ41が筐体通気口21側(X1側)から見て筐体通気口21とずれていない位置に配置される場合)と比較して、通気流路30における筐体通気口21からフィルタ41までの距離が長くなり易い。これにより、筐体通気口21から侵入した粉塵がフィルタ41に到達しにくい。その結果、筐体通気口21から侵入した粉塵によりフィルタ41に目詰まりが生じるのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、筐体通気口21は、筐体20の側面22aに設けられている。そして、フィルタ41は、筐体通気口21よりも高い位置に配置されている。これにより、通気流路30における筐体通気口21からフィルタ41までの経路が下方側(Z2側)から上方側(Z1側)に向かう部分を含むので、筐体通気口21から侵入した粉塵に加えて、筐体通気口21から侵入した水が上方(Z1側)のフィルタ41まで到達するのを抑制することができる。したがって、上記筐体通気口21が筐体20の側面22aに設けられておりフィルタ41が筐体通気口21よりも高い位置に配置される構成は、鉄道車両110において風雨にさらされやすい位置に設けられている鉄道車両用電力変換装置100において、特に効果的である。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタ41と筐体通気口21との間に設けられ、筐体通気口21を介して流入した空気を迂回させるように、フィルタ41の通気入口41aよりも筐体20の内部20a側(X2側)まで突出して延びる水切り用突出部分71を含む水切り部材70を備える。これにより、水切り用突出部分71が突出している分だけ、通気流路30における筐体通気口21からフィルタ41までの経路に大きく曲がる部分が含まれるとともに、通気流路30における筐体通気口21からフィルタ41までの距離が長くなるので、水切り用突出部分71がない場合と比較して、筐体通気口21から侵入した粉塵および水がフィルタ41に到達しにくい。その結果、筐体通気口21から侵入した粉塵および水がフィルタ41まで到達するのをより抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、水切り用突出部分71は、筐体20の内部20a側(X2側)に向かうにしたがって下方側(Z2側)に向かうように傾斜している。これにより、水切り用突出部分71が筐体20の内部20a側(X2側)に向かうにしたがって下方側(Z2側)に傾斜している分だけ大きく迂回されるので、水切り用突出部分71が筐体20の内部20a側(X2側)に向かうにしたがって下方側(Z2側)に傾斜していない場合と比較して、筐体通気口21から侵入した粉塵および水がフィルタ41により到達しにくい。また、筐体通気口21から侵入して筐体20の内部20a側(X2側)に向かう水が、下方側(Z2側)に傾斜している水切り用突出部分71に当たって下方(Z2側)に落ちやすくなるので、筐体通気口21から侵入した水が上方(Z1側)のフィルタ41まで到達するのを効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、水切り部材70は、水切り用突出部分71により迂回された空気を上方(Z1側)のフィルタ41の通気入口41a側(X1側)に導くガイド開口70aを含む。これにより、ガイド開口70aを介して、筐体通気口21を介して流入した後に水切り用突出部分71により迂回された空気をフィルタ41の通気入口41a側(X1側)(ひいてはフィルタ41)に容易に導くことができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタ41を取り囲むとともに、フィルタ41とともにフィルタユニット40を構成するフィルタ囲み部材42を備える。また、鉄道車両用電力変換装置100は、筐体20の側面22aに設けられ、フィルタユニット40が収容される凹状のフィルタユニット収容部50を備える。そして、フィルタユニット収容部50は、筐体通気口21よりも高い位置に配置されている。これにより、フィルタユニット収容部50に収容されたフィルタユニット40が筐体通気口21よりも高い位置に配置されるので、フィルタ41がフィルタユニット40を構成する(フィルタ41がユニット化されている)場合でも、フィルタ41を、筐体通気口21よりも高い位置に確実に配置することができる。また、フィルタ41がフィルタ囲み部材42によって取り囲まれた状態でユニット化されているので、フィルタ41がユニット化されていない場合(剥き出しの場合)と比較して、通気流路30においてフィルタユニット40を容易に配置することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、フィルタユニット40は、筐体20の外部側(X1側)に設けられたユニット通気入口43を含む。そして、ユニット通気入口43は、フィルタユニット40の下端部40aよりも高い位置に配置されている。これにより、ユニット通気入口43がフィルタユニット40の下端部40aに配置されている場合と比較して、筐体通気口21から侵入した粉塵および水がユニット通気入口43まで到達しにくい。その結果、筐体通気口21から侵入した粉塵および水がフィルタ41まで到達するのをより一層抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、フィルタユニット40は、ユニット通気入口43と略同じ高さ位置で筐体20の内部20a側(X2側)に設けられたユニット通気出口44をさらに含む。また、フィルタユニット収容部50は、筐体20の内部20aに通じる筐体内部通気口51aを含む。そして、ユニット通気出口44は、筐体内部通気口51aと略同じ高さ位置で筐体内部通気口51aに隣り合うように設けられている。これにより、通気流路30におけるフィルタ41と筐体内部通気口51aとの経路が直線状になるとともに、通気流路30におけるフィルタ41から筐体内部通気口51aまでの距離が比較的短くなる。その結果、通気流路30において、筐体通気口21から侵入した粉塵および水がフィルタ41まで到達するのを抑制するのに寄与しない部分(通気流路30におけるフィルタ41と筐体内部通気口51aとの間の部分)が複雑になるのを抑制することができるとともに必要以上に長くなるのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、筐体20は、フィルタユニット収容部50に対応する位置に設けられ、フィルタユニット40をフィルタユニット収容部50から取り外すためのフィルタユニット用開口部23を含む。そして、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタユニット用開口部23を覆うように筐体20に対して着脱可能に取り付けられたフィルタカバー81を備える。これにより、筐体20からフィルタカバー81を取り外すことによって、フィルタユニット40をフィルタユニット収容部50からフィルタユニット用開口部23を介して容易に取り外すことができる。その結果、フィルタユニット40を構成するフィルタ41の点検、清掃(フィルタに付着した粉塵の除去)および交換を容易に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、鉄道車両用電力変換装置100は、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間に設けられたシール部材82を備える。そして、フィルタカバー81の外周部81aは、筐体20の外部側(X1側)に向かって突出している。これにより、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間に設けられたシール部材82により、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間からフィルタユニット収容部50に水が浸入するのを抑制することができる。また、フィルタカバー81の外周部81aが突出することによりフィルタカバー81の外周部81aの剛性が向上するので、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとによってシール部材82を挟み込んだ場合に、フィルタカバー81の外周部81aに曲がりが生じるのを抑制することができる。その結果、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間に隙間が形成されるのを抑制することができるので、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間からフィルタユニット収容部50に水が浸入するのを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、通気流路30は、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間の気圧差を抑制するために、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間を通気するように構成されている。これにより、通気流路30により、鉄道車両110のトンネルの入出時に、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間の気圧差を抑制して、筐体20および筐体20に収容された電力変換部10等に気圧差に起因する負荷がかかるのを抑制することができる。
【0057】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0058】
たとえば、上記実施形態では、フィルタカバー81の外周部81aが、筐体20の外部側(X1側)に向かって突出している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フィルタカバーの外周部が、筐体の内部側に向かって突出していてもよいし、突出していなくてもよい(平坦であってもよい)。
【0059】
また、上記実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100が、フィルタカバー81の外周部81aとフィルタユニット収容部50の外周部50aとの間に設けられたシール部材82を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉄道車両用電力変換装置が、上記シール部材を備えなくてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、筐体20が、フィルタユニット収容部50に対応する位置に設けられ、フィルタユニット40をフィルタユニット収容部50から取り外すためのフィルタユニット用開口部23を含み、鉄道車両用電力変換装置100が、フィルタユニット用開口部23を覆うように筐体20に対して着脱可能に取り付けられたフィルタカバー81を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体が、上記フィルタユニット用開口部を含まないとともに、鉄道車両用電力変換装置が、上記フィルタカバーを備えなくてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、フィルタユニット40において筐体20の内部20a側(X2側)に設けられたユニット通気出口44が、筐体20の内部20aに通じる筐体内部通気口51aと略同じ高さ位置で筐体内部通気口51aに隣り合うように設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記ユニット通気出口が、上筐体内部通気口に隣り合わないように設けられていてもよいし、上記筐体内部通気口と異なる高さ位置に設けられていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、フィルタユニット40において筐体20の外部側(X1側)に設けられたユニット通気入口43が、Z方向(上下方向)において、フィルタユニット40の下端部40aよりも高い位置としてフィルタユニット40の中央部40bに配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記ユニット通気入口および上記ユニット通気出口が、フィルタユニットの上端部に配置されていてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、フィルタユニット40において筐体20の外部側(X1側)に設けられたユニット通気入口43および筐体20の内部20a側(X2側)に設けられたユニット通気出口44が、それぞれ、フィルタユニット40の下端部40aよりも高い位置に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記ユニット通気入口および上記ユニット通気出口が、フィルタユニットの下端部に配置されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、フィルタユニット40が、筐体20の外部側(X1側)に設けられたユニット通気入口43と、ユニット通気入口43と略同じ高さ位置で筐体20の内部20a側(X2側)に設けられたユニット通気出口44と、を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フィルタユニットが、上記ユニット通気入口と、上記ユニット通気入口と異なる高さ位置で筐体の外部側に設けられたユニット通気出口と、を含んでいてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、フィルタユニット収容部50が、筐体通気口21よりも高い位置に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記フィルタユニットを構成するフィルタが筐体通気口よりも高い位置に配置されるのであれば、上記フィルタユニット収容部が、筐体通気口と同じ高さ位置に配置されていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100が、フィルタ41を取り囲むとともに、フィルタ41とともにフィルタユニット40を構成するフィルタ囲み部材42を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉄道車両用電力変換装置が、上記フィルタ囲み部材を備えなくてもよい。すなわち、フィルタがフィルタ囲み部材により取り囲まれていなくてもよい(ユニット化されていなくてもよい)。
【0067】
また、上記実施形態では、筐体通気口21を介して流入した空気を迂回させるように、フィルタ41の通気入口41aよりも筐体20の内部20a側(X2側)まで突出して延びる水切り用突出部分71(内部側突出部分)を含む水切り部材70(突出部材)が、水切り用突出部分71(内部側突出部分)により迂回された空気を上方(Z1側)のフィルタ41の通気入口41a側(X1側)に導くガイド開口70aを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記突出部材が上記ガイド開口を含まなくてもよい。その場合、上記ガイド開口以外の部分を介して、上記内部側突出部分により迂回された空気を上方のフィルタの通気入口側に導くようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、筐体通気口21を介して流入した空気を迂回させるように、フィルタ41の通気入口41aよりも筐体20の内部20a側(X2側)まで突出して延びる水切り用突出部分71(内部側突出部分)が、筐体20の内部20a側(X2側)に向かうにしたがって下方側(Z2側)に向かうように傾斜している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記内部側突出部分が、筐体の内部側に向かうにしたがって上方側に向かって傾斜していてもよいし、筐体の内部側に向かうにしたがって傾斜していなくてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100が、筐体通気口21を介して流入した空気を迂回させるように、フィルタ41の通気入口41aよりも筐体20の内部20a側(X2側)まで突出して延びる水切り用突出部分71(内部側突出部分)を含む水切り部材70(突出部材)を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉄道車両用電力変換装置が、上記内部側突出部分を含む上記突出部材を備えなくてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、フィルタ41が、筐体通気口21よりも高い位置に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フィルタが、筐体通気口よりも低い位置に配置されていてもよいし、筐体通気口と同じ高さ位置に配置されていてもよい。その場合、鉄道車両用電力変換装置が鉄道車両において風雨にさらされにくい位置に設けられることが好ましい。
【0071】
また、上記実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100が鉄道車両110において風雨にさらされやすい位置に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉄道車両用電力変換装置が鉄道車両において風雨にさらされにくい位置に設けられていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、筐体通気口21が、筐体20の側面22aに設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体通気口が、筐体の上面または下面に設けられていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、通気流路30が、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間の気圧差を抑制するために、筐体20の内部20aと筐体20の外部との間を通気するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通気流路が、筐体の内部に収容された電力変換部を冷却するために、筐体の内部と筐体の外部との間を通気するように構成されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、鉄道車両用電力変換装置100が、車体111の底部111aの下方側(Z2側)に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉄道車両用電力変換装置が、車体の他の位置に配置されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、筐体通気口21が、筐体20に1つのみ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体通気口が、筐体に複数設けられていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、フィルタ41が、筐体通気口21側(X1側)から見て、筐体通気口21とオーバラップしない位置に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フィルタの一部が、筐体通気口から見て、筐体通気口とオーバラップする位置に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 電力変換部
20 筐体
20a (筐体の)内部
21 筐体通気口
22 (筐体の)外表面
22a (筐体の)筐体の側面
23 フィルタユニット用開口部
30 通気流路
40 フィルタユニット
40a (フィルタユニットの)下端部
41 フィルタ
41a (フィルタの)通気入口
42 フィルタ囲み部材
43 ユニット通気入口
44 ユニット通気出口
50 フィルタユニット収容部
50a (フィルタユニット収容部の)外周部
51a 筐体内部通気口
70 水切り部材(突出部材)
70a ガイド開口
71 水切り用突出部分(内部側突出部分)
81 フィルタカバー
81a (フィルタカバーの)外周部
82 シール部材
100 鉄道車両用電力変換装置
110 鉄道車両