(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160805
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】マンホール蓋
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
E02D29/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065236
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BB21
(57)【要約】
【課題】マンホール内から外部への熱の流出を抑制する効果が向上するマンホール蓋を提供する。
【解決手段】作業口35を形成する内壁部33を備えた蓋受枠31の、該作業口35の口縁に設けられた嵌入溝部36に支承されることにより、該作業口35を閉鎖するマンホール蓋1であって、前記嵌入溝部36に支承されて該作業口35を閉鎖する主蓋体2と、該主蓋体2の下方に所定間隔をおいて配設され、前記作業口35を形成する内壁部33に内嵌されて該主蓋体2との間に断熱空隙7を形成する断熱嵌合体3とを備えたものである。かかる構成によれば、断熱嵌合体3と断熱空隙7とによってマンホール51の内部から外部への伝熱を抑制する断熱効果が向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にマンホールと連通する作業口が形成された内壁部と該作業口の口縁に設けられた支承縁部とを具備して、該マンホールの開口縁に配設される蓋受枠の、該支承縁部に支承されることにより、該蓋受枠に被着されて前記作業口を閉鎖するマンホール蓋であって、
外周縁に、前記蓋受枠の支承縁部に支承される被支承部が設けられ、該被支承部が前記支承縁部に支承されることによって、前記作業口を閉鎖する主蓋体と、
前記主蓋体の下方に所定間隔をおいて配設され、該主蓋体の被支承部が前記蓋受枠の支承縁部に支承された状態で、前記内壁部に内嵌されて該主蓋体との間に断熱空隙を形成する断熱性の断熱嵌合体と
を備えたものであることを特徴とするマンホール蓋。
【請求項2】
断熱嵌合体は、一又は複数の螺子杆によって、主蓋体に一体的に取り付けられたものであることを特徴とする請求項1に記載のマンホール蓋。
【請求項3】
断熱嵌合体は、断熱材製の断熱主盤部と、該断熱主盤部の上下両側に夫々配設された保護板部とを備えてなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマンホール蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下の下水道や蓄熱槽などの管理目的で設けられたマンホールの開口を閉鎖するマンホール蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール蓋は、一般的に、マンホールの開口縁に配設された蓋受枠に被着されて、該マンホールの開口を閉鎖する。例えば、屋内の蓄熱槽等に設けられたマンホールでは、該マンホールの内部と該マンホールを閉鎖したマンホール蓋上の外部との間に温度差が生ずると、該温度差によって結露を生じたり、マンホール内部から外部へ熱が流出したりする等の問題があった。また、道路等の屋外に設けられたマンホールでは、マンホール蓋で閉鎖されることによって、該マンホールの内部とマンホール蓋上の外部との間に温度差が生じ易いことから、寒冷地では、冬季に道路上に雪が積もると、マンホール蓋上の雪がマンホールの内部から伝わる熱で温められて解けて、該マンホール蓋上に窪みが生じてしまうことがある。そして、この窪みは、事故の原因となる虞があった。こうしたことから、マンホール内部からの熱の流出を抑制し得るマンホール蓋が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マンホール蓋が、鋳物製の外蓋と、該外蓋の裏面に施層された断熱層と、該断熱層を被覆する内蓋とから構成されたものが提案されている。かかる構成は、マンホール内の熱により外蓋が温められてしまうことを、断熱層によって抑制できることから、該マンホール内部からの熱の流出を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した従来構成は、マンホール内部からの熱の流出を抑制できるものの、この抑制する効果には限界があった。そのため、マンホール内部からの熱の流出を抑制する効果を向上できる構成が希求されていた。
【0006】
本発明は、マンホール内部からの熱の流出を抑制する効果を向上し得るマンホール蓋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部にマンホールと連通する作業口が形成された内壁部と該作業口の口縁に設けられた支承縁部とを具備して、該マンホールの開口縁に配設される蓋受枠の、該支承縁部に支承されることにより、該蓋受枠に被着されて前記作業口を閉鎖するマンホール蓋であって、外周縁に、前記蓋受枠の支承縁部に支承される被支承部が設けられ、該被支承部が前記支承縁部に支承されることによって、前記作業口を閉鎖する主蓋体と、前記主蓋体の下方に所定間隔をおいて配設され、該主蓋体の被支承部が前記蓋受枠の支承縁部に支承された状態で、前記内壁部に内嵌されて該主蓋体との間に断熱空隙を形成する断熱性の断熱嵌合体とを備えたものであることを特徴とするマンホール蓋である。
【0008】
ここで、断熱嵌合体は、蓋受枠の内壁部に内嵌された状態で、該内壁部に接する構成であっても良いし、所定の嵌め合い公差を有して該内壁部との間に隙間を生ずる構成であっても良い。
【0009】
かかる構成にあっては、蓋受枠に被着された状態で、主蓋体と断熱嵌合体との間に断熱空隙が形成されるものであるから、該断熱嵌合体と断熱空隙とによって、マンホール内の熱が主盤部へ伝わることを抑制する断熱効果が高い。これにより、マンホール内部からの熱の流出を抑制する効果を向上できるため、屋内の蓄熱槽等で使用された場合には、結露の発生を抑制する効果が、前述した従来構成に比して向上する。また、屋外で使用された場合には、冬季に蓋上に積もった雪が解けてしまうことを抑制する効果が、前述した従来構成に比して向上する。
【0010】
前述した本発明のマンホール蓋にあって、 断熱嵌合体は、一又は複数の螺子杆によって、主蓋体に一体的に取り付けられたものである構成が提案される。
【0011】
かかる構成にあっては、断熱嵌合体の取り付け作業と取り外し作業とを比較的容易に行うことができるため、当該マンホール蓋の製造コストを低減できると共に、断熱嵌合体の交換等を行うメンテナンス作業の作業性を向上できる。
【0012】
前述した本発明のマンホール蓋にあって、断熱嵌合体は、断熱材製の断熱主盤部と、該断熱主盤部の上下両側に夫々配設された保護板部とを備えてなるものである構成が提案される。
【0013】
かかる構成にあっては、上下の保護板部によって断熱主盤部を保護することができるため、マンホール蓋の運搬時や開閉作業時に該断熱主盤部に変形や破損等が生ずることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマンホール蓋は、前述したように、断熱嵌合体と断熱空隙とによってマンホール内の熱が主蓋体に伝わることを抑制できるため、マンホール内部からの熱の流出を抑制する効果が向上する。したがって、本発明の構成によれば、屋内の蓄熱槽等で使用した場合に結露の発生を抑制できる一方、屋外で使用された場合には、冬季に主蓋体上に積もった雪が解けて窪みを生ずることを抑制する効果が向上することによって、前記窪みを原因とする事故の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】マンホール蓋1と蓋受枠31との施工状態を示す縦断面図である。
【
図2】マンホール蓋1が蓋受枠31に被着された状態を示す平面図である。
【
図3】蓋受枠31の、(A)縦断面図と、(B)平面図である。
【
図4】マンホール蓋1の、(A)縦断面図と、(B)底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
図1に、マンホール蓋1と蓋受枠31との施工状態の縦断面図を示し、
図2に、蓋受枠31にマンホール蓋1を被着した状態の平面図を示す。マンホール51は、コンクリート製の円筒形を成し、地下に埋設された下水道や蓄熱槽などと連通されて、道路の路面や駐車場の床面などに開口される。
【0017】
マンホール51の開口縁には、マンホール蓋1を支承する蓋受枠31が配設される。蓋受枠31は、鉄鋼製であり、
図1~3に示すように、中央に円形の開口部を有する矩形状の基盤部32と、該基盤部32上に該開口部の周縁に沿って立設された円環状の内壁部33と、該基盤部32上に該内壁部33の外側に間隔をおいて立設された円環状の隔壁部34とを備える。ここで、該基盤部32の開口部と内壁部33で囲繞された内部とによって上下方向に貫通する作業口35が形成される。ここで、隔壁部34は、内壁部33よりも高く、蓋受枠31の配設状態で周囲と区画してマンホール51を縁取るためのものである。この隔壁部34と内壁部33との間には、後述するマンホール蓋1の外周突部12が嵌入される円環状の嵌入溝部36が形成されている。
【0018】
こうした蓋受枠31は、基盤部32がマンホール51の周壁52の上面に載置されて、該基盤部32が図示しないアンカーボルト等によって位置決め固定され、さらに該基盤部32がコンクリートで埋め込まれることによって、前記した道路や駐車場に配設される。ここで、蓋受枠31が配設された状態で、該蓋受枠31の作業口35がマンホール51と連通することから、該作業口35を介して作業者がマンホール51内へ進入したり、該マンホール51内から退出したりできる。
【0019】
また、本実施例の蓋受枠31には、前記内壁部33の上部を周方向に亘って覆う円環状の緩衝材39が取り付けられている。この緩衝材39は、後述するようにマンホール蓋1が蓋受枠31に被着された状態で、該マンホール蓋1の主蓋体2の裏面が接触する。これにより、マンホール蓋1と蓋受枠31の内壁部33との直接的な接触を防ぐことができるため、マンホール蓋1上を人や自動車等が通行した際に、マンホール蓋1がガタついて、該マンホール蓋1と内壁部33との間で騒音が発生することを抑制できる。
【0020】
次に、本発明の要部にかかるマンホール蓋1について説明する。
マンホール蓋1は、
図1,4に示すように、前記蓋受枠31の前記嵌入溝部36に支承される略円盤状の主蓋体2と、該主蓋体2の下方に配設された円盤状の断熱嵌合体3とを備え、該断熱嵌合体3が複数の螺子杆27により該主蓋体2に固定されている。
【0021】
マンホール蓋1の主蓋体2は、鉄鋼製であり、前記蓋受枠31の隔壁部34に内嵌される略円盤状の蓋部11と、該蓋部11の外周縁から下方に突出された円環状の外周突部12とを備える。
図2,4に示すように、蓋部11には、その上面に二個の凹部14,14が設けられており、該凹部14が該蓋部11の裏面から下方へ隆起するように形成されている。この凹部14には、マンホール蓋1を前記蓋受枠31に被着される際、または蓋受枠31から取り外す際に、図示しない開閉具のフックを引っ掛ける係止杆部15が設けられている。さらに、蓋部11には、
図5に示すように、裏面に、螺子穴(図示せず)を有する螺合突部18が複数設けられていると共に、該裏面から下方へ突成されたリブ17が設けられている。
【0022】
こうした主蓋体2は、
図1に示すように、外周突部12が前記蓋受枠31の嵌入溝部36に嵌入されて、該外周突部12の下端が該嵌入溝部36の底面に載置されることによって、該蓋受枠31に支承される。そして、この支承された状態で、蓋部11の、外周突部12の内側縁が、蓋受枠31の内壁部33に前記緩衝材39を介して接触する。このように主蓋体2が蓋受枠31に支承されることによって、該主蓋体2の蓋部11が該蓋受枠31の作業口35(マンホール51)を閉鎖する。
【0023】
一方、前記断熱嵌合体3は、
図4~6に示すように、断熱材からなる円板状の断熱主盤部21と、該断熱主盤部21を上下両側から挟む円板状の保護板部22,22とを備えたサンドイッチ構造を成し、該断熱主盤部21と保護板部22,22との夫々中心が上下で重なるように形成されている。ここで、断熱主盤部21は、前記した蓋受枠31の内壁部33(作業口35)に内嵌可能に形成されており(
図1参照)、断熱主盤部21の外径寸法が、内壁部33の内径寸法と所定の嵌め合い公差を有して設定されている。また、保護板部22は、断熱主盤部21に比して薄厚であり、かつ該断熱主盤部21に比して外径が小さい。この保護板部22の外径は、後述するように主蓋体2に一体的に取り付けられた状態で、断熱主盤部21の上面に配設された該保護板部22が該主蓋体2の凹部14,14と当接される寸法に設定されている。
【0024】
本実施例では、断熱主盤部21が、高い断熱性を有する独立気泡構造の硬質ポリウレタンフォームにより形成され、保護板部22が、スチールやステンレス等の金属または硬質プラスチックにより形成されたものである。
【0025】
断熱嵌合体3には、断熱主盤部21と各保護板部22,22とが重ね合わされた部位に、上下方向に貫通する複数の貫通孔(図示せず)が形成されており、該断熱嵌合体3を前記主蓋体2に取り付けるための螺子杆27が各貫通孔に夫々挿通される(
図6参照)。
【0026】
こうした断熱嵌合体3は、前記各貫通孔に挿通させた螺子杆27を、前記主蓋体2の蓋部11に設けられた各螺合突部18の螺子穴に夫々螺合させることによって、該主蓋体2の下方に、該蓋部11の裏面から所定間隔をおいて取り付けられる。ここで、断熱嵌合体3は、その上面(保護板部22の上面)が前記蓋部11の凹部14,14の下面に当接されることで、該蓋部11の裏面から前記間隔をおいた下方位置に位置決めされると共に、各螺子杆27が該蓋部11の各螺合突部18に夫々螺合されることで、当該断熱嵌合体3の中心と該蓋部11の中心とが上下で一致する。このように断熱嵌合体3は、前記蓋部11の凹部14によって該蓋部11との相対的な上下位置が規定されると共に、螺子杆27と該蓋部11の螺合突部18(螺子穴)との螺合によって該蓋部11との相対的な横方向位置(夫々の中心が一致する位置)が規定される。
【0027】
尚、本実施例にあって、断熱嵌合体3は、断熱主盤部21と保護板部22,22との重なる部位で挿通された螺子杆27が、主蓋体2の蓋部11に螺合されて、その緊締作用を介して該蓋部11に取り付けられる構成である。これにより、断熱主盤部21を構成するポリウレタンフォームに、前記螺子杆27の緊締作用による局部的な応力集中が作用することを抑制できるから、該応力集中によるポリウレタンフォームの破損等を防止できる。
【0028】
マンホール蓋1は、
図1に示すように、主蓋体2の外周突部12が前記蓋受枠31の嵌入溝部36に嵌入されることによって該蓋受枠31に支承される。この支承された状態で、マンホール蓋1は、その断熱嵌合体3が、前記蓋受枠31の内壁部33(作業口35)に内嵌される。このようにマンホール蓋1が蓋受枠31に被着された状態で、該マンホール蓋1の主蓋体2によって、マンホール51に連通する蓋受枠31の作業口35が閉鎖されると共に、該作業口35にマンホール蓋1の断熱嵌合体3が内嵌されることによって、主蓋体2と断熱嵌合体3との間に空隙7(以下、断熱空隙7という)が形成される。そして、マンホール51の内部とマンホール蓋1上の外部とが、マンホール蓋1の主蓋体2、該主蓋体2と断熱嵌合体3との間の断熱空隙7、および該断熱嵌合体3によって遮断される。
【0029】
前述したように本実施例のマンホール蓋1は、蓋受枠31に被着された状態で、マンホール51の内部と該マンホール蓋1上の外部とを、主蓋体2と断熱空隙7と断熱嵌合体3とによって遮断するものであるから、該マンホール51の内部と外部との間における放熱と放冷とを抑制する断熱効果が向上する。これは、断熱嵌合体3の断熱主盤部21による断熱効果に加えて、該断熱嵌合体3と主蓋体2との間に形成された断熱空隙7による断熱効果が発揮されることに因る。このように断熱効果が向上することにより、屋内で蓄熱槽等のマンホール51に使用された場合には、該マンホール51の内部から屋内への熱の流出を抑制でき、結露の発生を抑制することができる。一方、屋外のマンホール51に使用された場合には、該マンホール51の内部から屋内への熱の流出を抑制できることから、寒冷地で道路上に積もった雪が、マンホール51の内部から主蓋体2を介して伝わる熱により温められて、該マンホール蓋1上で局所的に解けて窪みが生じてしまうことを抑制できる。これにより、マンホール51上の局所的な雪解けにより生じ得る事故を抑制するという作用効果が向上する。
【0030】
さらに、本実施例のマンホール蓋1は、蓋受枠31の内壁部33(作業口35)に内嵌される断熱嵌合体3が、該内壁部33との嵌め合い公差を有する外径で形成されたものであるから、蓋受枠31に取り付ける際に、断熱嵌合体3を比較的容易に内壁部33に内嵌できると共に、該蓋受枠31から取り外す際に、断熱嵌合体3と内壁部33の嵌合を比較的容易に解除できる。そのため、マンホール蓋1を蓋受枠31に被着する作業と該蓋受枠31から取り外す作業とを容易に行うことができる。
【0031】
また、本実施例のマンホール蓋1は、断熱嵌合体3が螺子杆27によって主蓋体2に取り付けられたものであることから、該螺子杆27の螺合および螺合解除により断熱嵌合体3の取り付けと取り外しとを比較的容易に行うことができる。そのため、例えば断熱嵌合体3に破損や劣化等を生じた場合に、該断熱嵌合体3を比較的容易に交換することができる。したがって、本実施例の構成によれば、メンテナンス作業を比較的容易に行うことができ、該メンテナンス作業に要する時間とコストとを低減できるという優れた利点がある。
【0032】
また、マンホール蓋1の断熱嵌合体3は、断熱主盤部21を保護板部22,22で挟む構造であることから、運搬時や開閉作業時に断熱主盤部21が変形したり破損したりすることを抑制できる。そして、断熱嵌合体3は、保護板部22,22の重なる部位で螺子杆27を介して主蓋体2に螺合され、且つ上側の保護板部22で該主蓋体2の凹部14,14に当接される構成であるから、該螺子杆27の緊締作用を介して主蓋体2に取り付けられた際に、該螺子杆27の配設部位と凹部14,14との当接部位とで断熱主盤部21に局所的な応力集中が生ずることを抑制できる。そのため、前記局所的な応力集中により断熱主盤部21に変形や破損が生ずることを抑制できる。
【0033】
尚、こうした本実施例の構成にあって、マンホール蓋1の主蓋体2の外周突部12が、本発明にかかる被支承部に相当する。また、蓋受枠31の嵌入溝部36が、本発明にかかる支承縁部に相当する。
【0034】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、断熱嵌合体3は、断熱主盤部21と該断熱主盤部21より小径の保護板部22,22とにより構成されたものであるが、これに限らず、断熱主盤部と保護板部とが同じ外径のものであっても良い。
【0035】
また、前述の実施例では、断熱嵌合体3を主蓋体2の凹部14,14に当接することによって、該断熱嵌合体3を主蓋体2から所定間隔をおいて配置する構成としたが、これに限らず、他の位置決め手段を用いて前記間隔をおいて断熱嵌合体3を配設する構成としても良い。この位置決め手段としては、例えば、断熱嵌合体3と主蓋体2との間に、螺子杆27を挿通する円筒部材を配置して、該円筒部材の長さによって前記間隔を規定する構成とすることができる。
【0036】
また、前述の実施例では、螺子杆27を、断熱嵌合体3の下方から挿通させて主蓋体2の螺合突部18に螺合させることによって、断熱嵌合体3を主蓋体2に一体的に取り付けた構成としたが、これに限らず、例えば、
図6に示すように、主蓋体2の螺合突部18に螺子杆28が予め装着され、該螺子杆28を断熱嵌合体3の上方から挿通させてナット29で螺合させることによって、断熱嵌合体3を主蓋体2に一体的に取り付ける構成とすることもできる。かかる構成では、螺子杆28とナット29との螺合および螺合解除によって、断熱嵌合体2の取り付けと取り外しとを比較的容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 マンホール蓋
2 主蓋体
3 断熱嵌合体
7 断熱空隙
11 蓋部
12 外周突部(被支承部)
14 凹部
15 係止杆部
17 リブ
18 螺合突部
21 断熱主盤部
22 保護板部
27,28 螺子杆
29 ナット
31 蓋受枠
32 基盤部
33 内壁部
34 隔壁部
35 作業口
36 嵌入溝部
39 緩衝材
51 マンホール
52 周壁