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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160845
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】モジュールシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20221013BHJP
   H04L 13/00 20060101ALI20221013BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
H04L13/00 305B
G05B19/05 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065313
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】今村 藍介
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 剛
【テーマコード(参考)】
5H220
5K033
5K034
【Fターム(参考)】
5H220AA04
5H220CC06
5H220CX05
5H220HH01
5H220HH08
5H220JJ12
5H220JJ16
5K033AA01
5K033BA03
5K033CB02
5K033DB18
5K034AA01
5K034DD02
5K034EE07
5K034HH61
5K034KK02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上位制御機器との通信を、マスターモジュールとスレーブモジュールとの間及びスレーブモジュール相互間のバス伝送路に通す際に、リアルタイム性を要する信号を、リアルタイム性を要しない信号が阻害しないようにするモジュールシステム、その動作方法及びモジュールシステムに読み込み可能な動作プログラムを提供する。
【解決手段】モジュールシステムにおいて、上位制御機器からの信号を、マスターモジュールを介してスレーブモジュールへ伝送する際に、前記信号の内容によって適切なバス伝送路を判別して選択し、それに並行して信号を送受信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、
からなるモジュールシステムであって、
上位制御機器(AA)は、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力部(AB)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得部(AC)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令をマスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力部(AD)と、
スレーブモジュール(CA)から応答をマスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得部(AE)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信部(AF)と、を有し、
マスターモジュール(BA)は、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)と、
マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する判別部(BC)と
前記判別部(BC)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換部(BD)と、
前記判別部(BC)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別する利用伝送路判別部(BE)[渡邉 亨1]と、
利用伝送路判別部(BE)での判別結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信部(BF)と
前記判別部(BC)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理部(BG)と、
を有するモジュールシステム。
【請求項2】
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、からなる計算機であるモジュールシステムの動作方法であって、
計算機である上位制御機器(AA)の動作方法は、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力ステップ(ab)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得ステップ(ac)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令をマスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力ステップ(ad)と、
スレーブモジュール(CA)から応答をマスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得ステップ(ae)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信ステップ(af)と、を有し、
計算機であるマスターモジュール(BA)の動作方法は、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)と、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信した信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する判別ステップ(bc)と
前記判別ステップ(bc)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換ステップ(bd)と、
前記判別ステップ(bc)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別する利用伝送路判別ステップ(be)と、
利用伝送路判別ステップ(be)での判別結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信ステップ(bf)と
前記判別ステップ(bc)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理ステップ(BG)と、
を有する計算機であるモジュールシステムの動作方法。
【請求項3】
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、
からなる計算機であるモジュールシステムに読み込み可能な動作プログラムであって、
計算機である上位制御機器(AA)に読み込み可能な動作プログラムは、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力ステップ(ab)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得ステップ(ac)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令を出力する対スレーブモジュール命令出力ステップ(ad)と、
スレーブモジュール(CA)から応答を取得する対スレーブモジュール応答取得ステップ(ae)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信ステップ(af)と、を有し、
計算機であるマスターモジュール(BA)に読み込み可能な動作プログラムは、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)と、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信した信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する判別ステップ(bc)と
前記判別ステップ(bc)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換ステップ(bd)と、
前記判別ステップ(bc)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別する利用伝送路判別ステップ(be)と、
利用伝送路判別ステップ(be)での判別結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信ステップ(bf)と
前記判別ステップ(bc)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理ステップ(BG)と、
を有する計算機であるモジュールシステムに読み込み可能な動作プログラム。
【請求項4】
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、からなるモジュールシステムであって、
上位制御機器(AA)は、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力部(AB)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得部(AC)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令をマスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力部(AD)と、
スレーブモジュール(CA)から応答をマスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得部(AE)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信部(AF)と、を有し、
マスターモジュール(BA)は、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)と、
マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得する受信ポート番号取得部(BH)と、
取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断する受信ポート番号判断部(BJ)と、
受信ポート番号判断部(BJ)での判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第一判別部(BK)と
受信ポート番号判断部(BH)での判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第二判別部(BM)と
前記第一判別部(BK)、第二判別部(BM)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換部(BD)と、
前記第一判別部(BK)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択する第一バス伝送路選択部(BN)と
前記第二判別部(BM)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を選択する第二バス伝送路選択部(BP)と、
第一バス伝送路選択部(BN)及び第二バス伝送路選択部(BP)での選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信部(BF)と
前記第一判別部(BK)及び第二判別部(BM)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理部(BG)と、
を有するモジュールシステム。
【請求項5】
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、からなる計算機であるモジュールシステムの動作方法であって、
計算機である上位制御機器(AA)の動作方法は、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力ステップ(ab)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得ステップ(ac)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令をマスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力ステップ(ad)と、
スレーブモジュール(CA)から応答をマスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得ステップ(ae)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信ステップ(af)と、を有し、
計算機であるマスターモジュール(BA)の動作方法は、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)と、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得する受信ポート番号取得ステップ(bh)と、
取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断する受信ポート番号判断ステップ(bj)と、
受信ポート番号判断ステップ(bj)での判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第一判別ステップ(bk)と
受信ポート番号判断ステップ(bj)での判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第二判別ステップ(bm)と
前記第一判別ステップ(bk)、第二判別ステップ(bm)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換ステップ(bd)と、
前記第一判別ステップ(bk)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択する第一バス伝送路選択ステップ(bn)と
前記第二判別ステップ(bm)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を選択する第二バス伝送路選択ステップ(bp)と、
第一バス伝送路選択ステップ(bn)及び第二バス伝送路選択ステップ(bp)での選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信ステップ(bf)と
前記第一判別ステップ(bk)及び第二判別ステップ(bm)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理ステップ(bg)と、
を有する計算機であるモジュールシステムの動作方法。
【請求項6】
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、からなる計算機であるモジュールシステムに読み取り可能な動作プログラムであって、
計算機である上位制御機器(AA)に読み取り動作可能なプログラムは、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力ステップ(ab)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得ステップ(ac)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令をマスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力ステップ(ad)と、
スレーブモジュール(CA)から応答をマスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得ステップ(ae)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信ステップ(af)と、を有し、
計算機であるマスターモジュール(BA)に読み取り動作可能なプログラムは、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)と、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得する受信ポート番号取得ステップ(bh)と、
取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断する受信ポート番号判断ステップ(bj)と、
受信ポート番号判断ステップ(bj)での判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第一判別ステップ(bk)と
受信ポート番号判断ステップ(bj)での判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第二判別ステップ(bm)と
前記第一判別ステップ(bk)、第二判別ステップ(bm)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換ステップ(bd)と、
前記第一判別ステップ(bk)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択する第一バス伝送路選択ステップ(bn)と
前記第二判別ステップ(bm)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を選択する第二バス伝送路選択ステップ(bp)と、
第一バス伝送路選択ステップ(bn)及び第二バス伝送路選択ステップ(bp)での選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信ステップ(bf)と
前記第一判別ステップ(bk)及び第二判別ステップ(bm)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理ステップ(bg)と、
を有する計算機であるモジュールシステムに読み取り動作可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位制御機器と、一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムに関するものであり、モジュール間の信号の伝送を、その信号に応じて選択される内部バスにて伝送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機の機体外壁に使われる炭素繊維強化プラスチックの成型ホットプレスなどの温度制御では、一のマスターモジュールと複数のスレーブモジュールとを連結し多数の対象の熱源制御を行っている。マスターモジュールは、制御対象となる多数の加熱箇所の温度を制御するための制御条件などをPCやPLC(programmable logic controller)などの上位制御機器から受信し、受信した制御条件などに基づき自身に接続された複数のスレーブモジュールに対して制御のための信号(目標温度や操作量など)を送信する。そして、これらの信号を受信したスレーブモジュールのそれぞれは受信した信号に基づいて制御対象の制御を行う(特許文献1)。
【0003】
上記の温度制御などのために多数のヒータの制御と、温度計による監視を行う場合、素早く確実に命令やデータをやり取りすることが必要となる。
【0004】
現在制御機器用に広く使われている通信形式としてRS-485などがある。RS-485はマルチドロップに対応したバス形式の、マルチポイントシリアル接続であり、物理層の電気的仕様を規定する。より古く、広く使われてきたRS-232Cの欠点(1対1接続、短距離)を解消すべく改良されてきたもので、RS-232Cの改良版のRS-422を経て(1対10接続可、長距離対応)、RS-485が開発された。RS-485は、最大32対32の多対多接続が可能で、RS-422と同様1200mまでの最大通信距離と10Mbpsの最大伝送速度を持つ(差動信号方式の為、距離が延びると伝送速度が低下する、最大距離における伝送速度は100kbps程度)。またRS-422と同様にツイストペアのワイヤ上でシングルパルスの差動信号を用い、ツイストペアのワイヤの平均電圧であるコモンモード電圧の範囲が-7V~+12Vと広く許容されているため、ノイズに強い特徴を持つ。そのため、製造装置などノイズ源近傍に配置する制御装置などの通信に古くから広く使われてきた。
【0005】
一方インターネット回線などに用いられているイーサネット通信は、データにヘッダをつけてパケット化し送信する方式で、大容量のデータを送るのに適している。しかし、標準的なイーサネット通信では仕様上、通信速度や遅延時間を保証されていない。インターネットでの動画閲覧時などに、時々遅くなったり画質が下がったりするのは、回線を使用するユーザ数が多かったり、大容量の通信を行っているユーザがいるためである。ノイズがのったために通信が失敗した場合も通信をやり直す場合があり遅延する。製造装置などの制御に用いるマスターモジュールとスレーブモジュール同士をイーサネット通信経路で接続した場合、マスターモジュールに対して複数のスレーブモジュールが同時に通信を行うとパケットの伝達が干渉しキャンセルされたり、ノイズにより通信が失敗して再通信し直すことで遅延したり、イーサネット通信経路に大容量データの送受信を行う別ユーザが接続しているとデータの通信速度が遅くなったりして、リアルタイム性に劣る結果となる。そのためマスターモジュールとスレーブモジュール間は、ノイズに強くリアルタイム性に優れたRS-485等のシリアル通信が採用されてきた。
【0006】
物理層(電気仕様)にRS-485を使用する通信プロトコルとして、産業用にはModbusが広く使われている。ModbusはModicon社が1979年、同社のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)向けに策定したシリアル通信プロトコルである。産業界におけるデ・ファクト標準の通信プロトコルとなり、現在では産業用電子機器を接続する最も一般的手段となっている。Modbusプロトコルは、Modbus RTU、Modbus ASCIIの2種があり、のちに物理層としてイーサネットを用いるModbus/TCPが追加された。
【0007】
上述した成型ホットプレスなどの温度制御などの製造工程では、一のマスターモジュールと複数のスレーブモジュールとを連結し多数の対象の熱源制御を行っている。図9を用いて従来例を示す。PCやPLC等である上位制御機器(0901)と通信モジュール(0910)とイーサネットを介して接続されている。通信モジュール(0910)は、イーサネット通信信号と汎用シリアル通信信号(Modbus RTU)の間の変換を行う。通信モジュール(0910)とマスターモジュール(0902)はシリアル通信経路で接続され、汎用シリアル通信信号で通信を行う。マスターモジュール(0902)とスレーブモジュール1(0903)~スレーブモジュールn(0905)は、シリアル通信経路(シリアル通信I/F1:RS-485)と、シリアル通信I/F1よりも高速な内部バス(シリアル通信I/F2)を用いてカスケード接続される。RS-485では10Mbpsが最大だが、RS-485を物理層とするModbus RTUプロトコルの最大速度は115.2kbpsである。内部バスは、物理層はRS-485だが、マスターモジュールと一以上のスレーブモジュールからなるモジュール間のみのごく短距離を接続するように構成されているため、Modbus RTU(最大115.2kbps)をベースに伝送速度を上げて1Mbps以上としている。図9ではシリアル通信経路を点線で、イーサネット通信経路を太実線で記載している。
スレーブモジュールとマスターモジュール(0902)は同型機であるが、スイッチ設定でマスター/スレーブを切り替え設定できる。1台をマスター設定し、他をスレーブ設定して用いる。
【0008】
加熱炉(0909)内の加工部材(0908)に対し、複数のヒータ(0906)と温度計(0907)を取り付けられている。一部のヒータと温度計はマスターモジュール(0902)自身が制御/監視する。その他のヒータと温度計はスレーブモジュール1(0903)からスレーブモジュールn(0905)が制御しており、前記スレーブモジュールをマスタモジュール(0902)が管理する。マスタモジュール(0902)に対して通信モジュール(0910)を介して上位制御機器(0901)が命令を送信し、マスターモジュールからの応答を受信する。
【0009】
特許文献1では、上述のような一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムにおいて、マスターモジュールが、スレーブモジュールに対する命令信号を取得し、取得した命令信号に応じて、その命令信号を送信すべき内部バスを選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特願2019-225845
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図9での、加工部材(0908)の構造や組成分布、加熱炉(0909)内の温度分布や、各ヒータの出力ばらつき、各温度計の誤差などの要因による差分を吸収調整するために、マスターモジュールに保持された設定プロファイルにもとづいて、各スレーブモジュールでのヒータ加熱出力を調整しなければ、加工部材に対し所望の温度分布と温度プロファイルに沿った加熱加工を行うことができない。そのため、各スレーブモジュールは、自身が管理する温度計の測定結果やヒータへの出力指示値などを随時マスターモジュールへ送信し、マスターモジュールは加工部材が所望の温度分布と温度プロファイルとなるように全体を勘案し、各ヒータの相互作用を考慮したうえで自動制御理論によるPID制御を各ヒータにて実現可能なように各スレーブモジュールに対して命令を送信する。マスターモジュールにて制御を完結できないような場合には、上位制御機器へデータを送信し命令を仰ぐように構成してもよい。
【0012】
これらの通信に際して、マスターモジュールの内部信号処理系とスレーブモジュールの内部信号処理系との信号の伝送は、速やかに確実に行われることが好ましい。前述の図9の例では多数のスレーブモジュールとマスターモジュールとが1秒に満たない間隔でデータや命令の送受信を繰り返す。制御は基本的にフィードバック制御により行われることから、スレーブモジュールの内部信号処理系からマスターモジュールの内部信号処理系への制御対象の現在温度などを示す情報のフィードバックと、それに応じたマスターモジュールの内部信号処理系からスレーブモジュールの内部信号処理系への操作量などの伝送とを速やかに行うことが、速応性に優れた緻密な制御の実現に寄与するからである。上記のようなリアルタイム性(速応性、確実性)の為には、上述した高速なシリアル通信(内部バス)を使用することが好ましい。
【0013】
図9に例示する加工部材を複数のヒータを用いた加熱処理における大元の温度プロファイルを上記のようにマスターモジュールが持つ。マスターモジュールからスレーブモジュールへ各ヒータの制御に関しての命令が発せられる。各スレーブモジュールは加熱炉、ヒータ配置等や、加工部材の形状と材質に由来する、各制御ポイント特有の差分値情報を持つ。形状や材質の異なる加工部材を着工する際には、事前に基準となる温度プロファイルが上位制御機器からマスターモジュールに送付され、スレーブモジュールに対しても差分値情報の修正など設定変更が指示される。
違う構造や形状および材質が異なる加工部材へ切り替えて作業を行う際の設定変更は、上記の高速な内部バスを使用せずとも、相対的に低速なシリアル通信経路(相対的に低速な内部バス、汎用シリアル通信)で送付してもよい。
【0014】
新設定への書き換えができずに旧設定で加熱処理を開始してしまった場合、または一部ヒータが加熱処理中に断線した場合など、処理中にマスターモジュールの温度プロファイルの改定だけではなくスレーブモジュールの差分値の修正などの設定値の変更が必要になる場合がある。マスターモジュールとスレーブモジュール間の設定データの伝送用に高速な内部バスを使用すると、機能部品の制御(ヒータ制御と温度データ収集など)に遅延が生じるなどリアルタイム性を毀損するため不利益が大きい。そのため、相対的に低速なバス伝送路(相対的に低速な内部バス、汎用シリアル通信経路など)を使用するのが望ましい。また上位制御機器からマスターモジュールへの設定データの伝送経路は、上述したようにヒータや温度計の制御に関しマスターモジュールから通信モジュールを介して上位制御機器へ命令を仰ぐ通信や、上位制御機器からマスターモジュールへ命令の送信が優先されるため、設定データの転送に使用するのは望ましくない。設定データの伝送の為には、製造現場近傍の制御盤等に設置されたマスターモジュールのメンテナンス端子(0912)等に直接PC等(0911)を接続し、設定を行う必要があった。
【0015】
特許文献1では、マスターモジュールへ送信される命令信号を判別し使用する内部バス経路を選択する。上位装置(本願での上位制御機器)がLAN(イーサネット)等に接続されている場合にはデータ変換装置を上位装置とマスターモジュール間に配置接続し、上位装置側で使うTCP/IPプロトコルと、マスターモジュールとスレーブモジュール間で使用するシリアル通信信号(Modbus RTUなど)の変換行う。データ変換装置ではポート番号によってマスターモジュール向けに2種類のデータ形式へ変換し送信する。マスターモジュールは受信した命令信号の内容を判別し、使用する内部バスを選択しなければならない。また設定データの転送と、温度などの測定データをマスターモジュールと複数の上位制御機器(PCやPLC)と並行して通信する技術についての記載が無い。
【0016】
本発明により、上位制御機器からの信号を、マスターモジュールを介してスレーブモジュールへ伝送する際に、前記信号の内容によって適切なバス伝送路を判別して選択し、並行して信号を送受信できるモジュールシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために本発明において、第一の発明として、
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、
からなるモジュールシステムであって、
上位制御機器(AA)は、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力部(AB)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得部(AC)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力部(AD)と、
スレーブモジュール(CA)から応答を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得部(AE)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信部(AF)と、を有し、
マスターモジュール(BA)は、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)と、
マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信した信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する判別部(BC)と
前記判別部(BC)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換部(BD)と、
前記判別部(BC)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別する利用伝送路判別部(BE)と、
利用伝送路判別部(BE)での判別結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信部(BF)と
前記判別部(BC)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理部(BG)と、
を有するモジュールシステムを提供する。
【0018】
さらに第二の発明として、
上位制御機器(AA)と、
これとイーサネット通信経路にて接続され前記上位制御機器(AA)から命令を取得し、前記上位制御機器(AA)に応答を出力する1台のマスターモジュール(BA)と、
異なる伝送速度で利用可能な複数種類のバス伝送路であるシリアル通信経路でマスターモジュール(BA)と接続され、後述する機能の実行に際しての各種物理量設定値で、同じく機能の実行に際しての各種制御パラメータで前記マスターモジュール(BA)によって管理され動作させられるモジュールであって、一以上の機能を実現する機能部品制御機能を有し、相互に前記複数種類のバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)と、からなるモジュールシステムであって、
上位制御機器(AA)は、
マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する対マスターモジュール命令出力部(AB)と、
マスターモジュール(BA)から応答を取得する対マスターモジュール応答取得部(AC)と、
スレーブモジュール(CA)に対して命令をマスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する対スレーブモジュール命令出力部(AD)と、
スレーブモジュール(CA)から応答をマスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する対スレーブモジュール応答取得部(AE)と、
マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするための上位制御機器イーサネット通信部(AF)と、を有し、
マスターモジュール(BA)は、
上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するためのマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)と、
マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得する受信ポート番号取得部(BH)と、
取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断する受信ポート番号判断部(BJ)と、
受信ポート番号判断部(BJ)での判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第一判別部(BK)と
受信ポート番号判断部(BJ)での判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第二判別部(BM)と
前記第一判別部(BK)、第二判別部(BM)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換部(BD)と、
前記第一判別部(BK)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択する第一バス伝送路選択部(BN)と
前記第二判別部(BM)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を選択する第二バス伝送路選択部(BP)と、
第一バス伝送路選択部(BN)及び第二バス伝送路選択部(BP)での選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信部(BF)と
前記第一判別部(BK)及び第二判別部(BM)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、
受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理部(BG)と、
を有するモジュールシステム、を提供する。
【0019】
さらに、上記本発明の第一又は第二の発明のモジュールシステムに対応したそれぞれの計算機である上位制御機器(AA)の動作方法と、計算機であるマスターモジュール(BA)の動作方法からなる計算機であるモジュールシステムの動作方法を提供する。
【0020】
さらに、上記本発明の第一の発明又は第二の発明のモジュールシステムに対応した、それぞれの計算機である上位制御機器(AA)に読み込み可能な動作プログラムと、
上位制御機器(AA)からの命令を受け、自身又はスレーブモジュールを管理するためのプログラムであって計算機であるマスターモジュール(BA)に読み込み可能な動作プログラムとからなる計算機であるモジュールシステムに読み込み可能な動作プログラムも提供する。
またそれぞれの動作プログラムは記録媒体に記録されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、上位制御機器からの信号を、マスターモジュールを介してスレーブモジュールへ伝送する際に、前記信号の内容によって適切なバス伝送路を判別して選択することで並行して送達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1のモジュールシステムの機能的構成一例を示すブロック図
図2】実施形態1のモジュールシステムの処理の流れを示すフロー図
図3】実施形態1のモジュールシステムの上位制御機器のハードウェア構成図
図4】実施形態1のモジュールシステムのマスターモジュールのハードウェア構成図
図5】実施形態2のモジュールシステムの機能的構成一例を示すブロック図
図6】実施形態2のモジュールシステムの処理の流れを示すフロー図
図7】実施形態2のモジュールシステムのマスターモジュールのハードウェア構成図
図8】本発明のモジュールシステムの使用例を示した模式図
図9】従来のモジュールシステムの使用例を示した模式図
図10】モジュールシステムを使用した制御システムでの温度制御の例。
図11】共通パケットの一例を示す概念図。
図12】上位制御機器からマスターモジュールを経由しスレーブモジュールへ伝送する際のデータ整形の一例を示す図。
図13】本発明の利用バス伝送路の振り分けの例の説明図。
図14】本発明のモジュールシステムのマスターモジュールとスレーブモジュール他の接続例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0024】
<モジュールシステムを含む制御システム概要>
【0025】
図8は、モジュールシステムを含む制御システムの一例を示す概略図である。図8では、加工部材(0808)を加熱炉(0809)中に入れ、複数のヒータ(0806)で加工部材(0808)を加熱し、加工部材の各部位の温度を温度計(0807)で測定する。測定して得られた温度を基に所定の温度範囲にあるか判断し、ヒータ(0806)の出力を制御する制御システムの例である。本発明のモジュールシステムは、図8に示す加熱加工の例に限定されず、その他様々な態様の制御システムに使用できる。なお従来技術を示した図9の制御システム概念図とは、通信モジュールの有無が相違点である。
【0026】
上位制御機器としてPC(0801a)やPLC(0801b)がLAN回線(イーサネット)(0800)に接続され、同様にマスターモジュール(0802)がLAN回線(0800)に接続されている。LAN回線(イーサネット)を介してマスターモジュール(0802)と上位制御機器(0801)は命令と応答を含む通信を行う。マスターモジュール(0802)は一以上のスレーブモジュールを管理することができる。スレーブモジュールは複数のヒータを制御し、複数の温度計からの測定値を受信する。一部のヒータと温度計はマスターモジュールが制御を担当する場合がある。また、汎用シリアル通信経路(Modbus RTUプロトコルのRS-485)では図8に図示していないが、スレーブモジュールn(0805)の先に記録計など、別の機器を接続し、上位制御機器(0801a)から命令を送信し制御することもできる。
【0027】
加熱加工時、マスターモジュール(0802)から周期的に温度データの要求が出力され、スレーブモジュール1(0803)からスレーブモジュールn(0805)は自機が得た温度データを、マスターモジュール(0802)への応答としてシリアル通信経路(バス伝送路を含む。以下同じ。なお、場合によってはパラレルバスを採用しても良い。)を介して送信する。前記温度データは、マスターモジュールにて予定の管理範囲内であると認識できるように構成されている場合にはマスターモジュールでその認識に基づいてスレーブモジュールの継続的な温度管理を実行させるように構成してもよい。
【0028】
上述説明中の温度データなどの通信にあたってマスターモジュール(BA)とスレーブモジュール(CA)間の接続には、シリアル通信経路(内部バス)を用いる。これは加工等の制御時には上述のようにリアルタイム性、すなわち一定時間で必ず通信が行われることが重要視されるためである。
シリアル通信経路として汎用シリアル通信経路(Modbus RTUプロトコルのRS-485シリアルバス)と、Modbus RTUプロトコルベースで物理層RS-485の高速化したシリアルバスである内部バスと、前記高速化した内部バスよりは相対的に低速な内部バスを使用できる。高速な内部バスは1Mbps以上と高速だが、マスターモジュールとスレーブモジュールと、スレーブモジュール相互間の接続に用いる。汎用シリアル通信経路では、速度は最大115.2kbpsまでだが、マスターモジュールとスレーブモジュール以外に、汎用シリアル通信経路を持つ他の記録計などを接続し記録をとることなどができ、マスターモジュールを介して上位接続機器から命令することもできる。
【0029】
図8での、加工部材(0808)の構造や組成分布、加熱炉(0809)内の温度分布や、各ヒータの出力ばらつき、各温度計の誤差など要因による差分を吸収調整するために、マスターモジュールの設定プロファイルをもとに、各スレーブモジュールでのヒータ加熱出力を調整しなければ、加工部材に対し所望の温度分布と温度プロファイルに沿った加熱加工を行うことができない。そのため、各スレーブモジュールは指示されるマスターモジュールの温度プロファイルに対し、自身のもつ差分情報を適用し、各スレーブモジュールの設定として、加熱加工を行う。各スレーブモジュールが管理する温度計からの結果をマスターモジュールへ送信し、マスターモジュールがシリアル通信信号からイーサネット通信信号へ変換し、上位制御機器(AA)へ送信する。またマスターモジュール(BA)自身が管理する温度計の情報も上位制御機器へ送信する。その際には信号変換することなくイーサネット通信信号として送信することができる。
【0030】
マスターモジュールとスレーブモジュールの制御主従関係の例として次のような関係をとることができる。なお下記の例には限定されない。
【0031】
<マスターとスレーブの制御主従関係 スレーブ独立国家型>
マスターモジュールが大元の設定温度プロファイルをもつ。例えば、温度を一定の傾きで上昇させ、一定時間保持し、少し下げた後、再度所定時間一定温度で保持し、元の温度まで下げていくというプロファイルである。各スレーブモジュールは、マスターモジュールの設定に対する各スレーブモジュール自身の差分情報を保持している。マスターモジュールが保持する温度プロファイルに基づいて自身の差分情報を適用し、マスターモジュールの温度プロファイルを修正する。各スレーブモジュールは自身用の温度プロファイルを所持するのではなく差分情報だけを保持し、随時マスターモジュールの保持する温度プロファイルを参照に差分情報により修正した制御を行う。なお各スレーブモジュールに専用の温度プロファイルを保持させるように構成してもよい。なお、各温度プロファイルに基づいて各スレーブは、自身が管轄する各ヒータを自動制御理論に基づいてPID制御するものとする。
【0032】
図8での、加工部材(0808)の構造や組成分布、加熱炉(0809)内の温度分布や、各ヒータの出力ばらつき、各温度計の誤差など要因による差分を吸収調整するために、マスターモジュールの設定プロファイルをもとに、各スレーブモジュールでのヒータ出力値を修正しなければ、加工部材に対し所望の温度分布と温度プロファイルに沿った加熱加工を行うことができない。そのため、各スレーブモジュールは指示されるマスターモジュールの温度プロファイルに対し、自身のもつ差分情報を適用し、各スレーブモジュールの設定温度プロファイルとして、加熱加工を行う。各スレーブモジュールが管理する温度計からの結果をマスターモジュールへ送信し、マスターモジュールがシリアル通信信号からイーサネット通信信号へ変換し、上位制御機器(AA)へ送信する。またマスターモジュール(BA)自身が管理する温度計の情報も上位制御機器へ送信する。その際には信号変換することなくイーサネット通信信号として送信することができる。
【0033】
違う構造や形状および材質が異なる加工部材へ切り替えて作業を行う際の設定変更は、マスターモジュールとスレーブモジュール間を接続する高速な内部バスを使用せずとも相対的に低速な内部バスや汎用シリアル通信経路で送付してもよい。
【0034】
新設定への書き換えができずに旧設定で加熱処理を開始してしまった場合、または一部ヒータが加熱処理中に断線した場合など、処理中にマスターモジュールの温度プロファイルの改定だけではなくスレーブモジュールの差分値の修正が必要になる場合がある。温度プロファイルの修正は、リアルタイム性を維持しつつ収集される温度データに基づいて、改定する時間タイミングを決定し、マスターモジュール又は/及びスレーブモジュールへ設定データを送付する。設定データの送付には高速な内部バスを使用してしまうと、機能部品の制御(ヒータ制御と温度データ収集など)に遅延が生じるなどリアルタイム性を毀損するので不利益が大きい。そのため、機能部品の制御に用いる高速な内部バスよりも、低速なバス伝送路(相対的に低速な内部バス、汎用シリアル通信経路など)を使用するのが望ましい。
【0035】
[渡邉 亨2]
図10に、上から順に、温度制御に関してのマスターモジュールの現状の設定温度プロファイル例を示す。2段目に改定後のマスターモジュールの現状の設定温度プロファイル例を示す。各グラフは縦軸が温度、横軸が時間を示す。2段目のグラフ中、点線は改定前の1段目と同じ温度プロファイルを表している。時間軸A点にて昇温プロファイルを変更する必要があることに気づき、温度プロファイルの改定版を送付し、B点から適用した場合を示す。ヒータの制御と、温度情報の取得は、A点とB点の間にも随時リアルタイム性を維持したまま継続しており、必要な作業のため、温度プロファイル改訂版の送付は、上位制御機器から、マスターモジュール(BA)へイーサネット回線で送られ、スレーブモジュールへの差分情報の修正は、マスターモジュール(BA)を介して, 相対的に低速なバス伝送路(相対的に低速な内部バス、汎用シリアル通信経路など)で伝送される。設定データが伝送され適用されるまでの間には、温度データやヒータ出力値指示などが並行して高速な内部バス等を利用して継続される。
【0036】
なお、以下に記載する各部は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、フラッシュメモリやSSDなどの不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブ、DMAC(Direct Memory Access Controller)、内部バス、外部バス、キャッシュメモリ、バッファメモリ、バスコントローラ、バッファメモリコントローラ、キャッシュメモリコントローラ、情報入力に利用される入力デバイス、PLC、記録計、PC、各種センサ(温度、湿度、ガス濃度、流量、圧力、磁気、照度など)、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、各種通信用インターフェース、LED、各種スイッチ(ディップスイッチ、トグルスイッチなど)、USBインターフェ―ス、ブルートゥース(登録商標)インターフェース、タブレット端末、モバイルPC、スマートフォン、イーサネットケーブル、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0037】
また、本明細書に記載の各実施形態は動作方法として実現できるのみでなく、その一部または全部を装置としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施形態の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0038】
<実施形態1>主に請求項1
<実施形態1 概要>
【0039】
上位制御機器とLAN(イーサネット(登録商標))回線にて接続されるマスターモジュールと、マスターモジュールとシリアル通信経路で接続される一以上のスレーブモジュールからなるモジュールシステムであり、リアルタイム性が必要なマスターモジュールの内部信号処理系とスレーブモジュールの内部信号処理系との信号の伝送は高速なバス伝送路を用い、マスターモジュール又は/及びスレーブモジュールへの設定値の改定などの命令の伝達は相対的に低速なバス伝送路を選択し行うように構成されている。
<実施形態1 機能的構成>
【0040】
図1は、本実施形態の実施形態1のモジュールシステムの機能的構成一例を示すブロック図である。図示するように、本発明のモジュールシステムは、対マスターモジュール命令出力部(AB)(0101)と、対マスターモジュール応答取得部(AC)(0102)と、対スレーブモジュール命令出力部(AD)(0103)と、対スレーブモジュール応答取得部(AE)(0104)と、上位制御機器イーサネット通信部(AF)(0105)とからなる上位制御機器(AA)(0100)と、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0151)と、判別部(BC)(0152)と、プロトコル変換部(BD)(0153)と、利用伝送路判別部(BE)(0154)と、バス送受信部(BF)(0155)と、処理部(BG)(0156)とからなるマスターモジュール(BA)(0150)と、スレーブモジュール(CA)(0170)と、を有する。マスターモジュール(BA)とスレーブモジュール(CA)は、汎用シリアル通信経路(Modbus RTUプロトコルベースのRS-485シリアルバス)と、速度の異なる複数の内部バスをバス伝送路として備えている。
【0041】
以下に記載するモジュールシステムを構成する各機能ブロックは、いずれもハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアのいずれによっても実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、GPU、画像メモリ、グラフィックボード、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶媒体とそれらの媒体の読取ドライブなど)、情報入力に利用される操作ボタン等の入力デバイス、マウス、タッチパネル、専らタッチパネルをタッチする目的で利用する電子ペン、ジョイスティック又はジョイスティック類似のポインタ位置入力装置、プリンター、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、温度センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、回転検知センサ、これらセンサの信号の処理装置、画像ファイル処理回路、スピーカ、マイク、音声ファイル処理回路、通信用インターフェース、暗号化装置、指紋認証装置、掌紋認証装置、網膜認証装置などの生体認証装置、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。特にスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、データセンターのサーバ装置、有線・無線ネットワーク及びインターフェースなどを利用する。
【0042】
メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、二以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0043】
また、本発明は、その一部をソフトウェアとして構成することも可能である。さらに、そのようなソフトウェアが記録された記憶媒体も当然に本発明の技術的な範囲に含まれる(本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。)。
【0044】
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 対マスターモジュール命令出力部(AB)(0101)>
上位制御機器(AA)の対マスターモジュール命令出力部(AB)(0101)は、マスターモジュール(BA)に対して命令を出力するように構成される。
【0045】
上位制御機器(AA)は、イーサネット通信信号[渡邉 亨3]によりマスターモジュール(BA)に対し命令を出力する。イーサネット通信信号は「TCP/IP」プロトコルが一般的である。Modbus/TCPのように、TCP/IPプロトコルに準拠しつつ特定の用途に応じて策定された通信プロトコルのパケットは、いずれもペイロード内でのデータ保持形式においてそれぞれの形式を有するものの、データフレームはTCP/IPプロトコルのデータフレームと同じであり、それらのパケットを共通パケットという。
【0046】
図11(a)に「TCP/IPパケット」を示し、図11(b)に共通パケットの一例として「Modbus/TCPパケット」を示す。
【0047】
図11(a)に示すようにTCP/IPパケットは、TCPヘッダとペイロードからなり、TCPヘッダには、送信元ポート番号、宛先ポート番号、シーケンス番号、確認応答番号などの伝送に関する「管理情報」が格納されている。ペイロードには「データ本体」が格納されている。
【0048】
図11(b)に示すようにModbus/TCPパケットも、TCP/IPパケットのデータフレームのペイロード内に、Modbusプロトコルのヘッダである「Modbusアプリケーションヘッダ」が付加された「データ本体」が保持されている。
【0049】
上位制御機器(AA)は、マスターモジュール(BA)またはスレーブモジュール(CA)へ命令を出力する際に、識別のために機器管理番号をつけて出力する。例えばマスターモジュール(BA)は#1、スレーブモジュール(CA)は#2、#3、のような2以上の番号である。後記するマスターモジュール(BA)の判別部(BC)(0152)にて、マスターモジュール宛かスレーブモジュール宛か判別する際に用いる。機器管理番号は、Modbusアプリケーションヘッダに含まれるユニットIDとして記載する。
【0050】
<実施形態1 対マスターモジュール応答取得部(AC)(0102)>
上位制御機器(AA)の対マスターモジュール応答取得部(AC)(0102)は、マスターモジュール(BA)から応答を取得するように構成される。
【0051】
<実施形態1 対スレーブモジュール命令出力部(AD)(0103)>
上位制御機器(AA)の対スレーブモジュール命令出力部(AD)(0103)は、スレーブモジュール(CA)に対して命令を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に出力するように構成される。
【0052】
上述の対マスターモジュール命令出力部(AB)(0101)と同様に、上位制御機器(AA)は、スレーブモジュール(CA)へ命令を出力する際に、識別のために#2、#3といった2以上の番号のような機器管理番号(場合により解読可能な宛先ポート番号)をつけて出力する。
【0053】
<実施形態1 対スレーブモジュール応答取得部(AE)(0104)>
上位制御機器(AA)の対スレーブモジュール応答取得部(AE)(0104)は、スレーブモジュール(CA)から応答を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に取得するように構成される。つまりスレーブモジュールから上位制御機器への応答としての情報は、上位制御機器と直接的に通信が可能なマスターモジュールを介して送信される。
【0054】
<実施形態1 上位制御機器イーサネット通信部(AF)(0105)>
上位制御機器(AA)の上位制御機器イーサネット通信部(AF)(0105)は、マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をするように構成される。
【0055】
上位制御機器(AA)の対マスターモジュール命令出力部(AB)、対スレーブモジュール命令出力部(AD)から出力された、機器管理番号を付けた命令をイーサネット通信信号としてマスターモジュール(BA)に向けて送信する。またマスターモジュール(BA)から送信されたイーサネット通信信号による応答の信号を受信し、信号に付けられた機器管理番号によって、対マスターモジュール応答取得部(AC)又は対スレーブモジュール応答取得部(AE)へ前記応答を出力する。
【0056】
<実施形態1 上位制御機器(AA)(0101)>
上位制御機器(AA)(0101)は、イーサネット通信経路にて接続されたマスターモジュール(BA)へ命令を発し、応答を受信するように構成される。
【0057】
本発明のモジュールシステムは製造現場の製造装置の制御盤内などに設置される場合が多いと考えられる。製造装置の制御盤とは離れて、イーサネット通信経路などで接続された管理室等の上位制御機器(AA)から、モジュールシステムへ命令を出力し、データを受信するような使用形態となる。上位制御機器(AA)として、デスクトップPCやノートPCなどを使用することができる。受信したデータを使用して、資料作成したり、解析に使用したりすることができ便利である。
【0058】
上位制御機器として装置専用のPCではなく、技術者や労働者が使用しているPCを断続的に接続して使用する場合、上位制御機器とマスターモジュールが接続されるイーサネット上にサーバを設け、上位制御機器とマスターモジュール両者間で送受信された通信の履歴、上位制御機器のアクセス履歴、マスターモジュールとスレーブモジュールの制御下にある機能部品への命令や機能部品の状態情報などの記録を計次的に記録するデータベースをサーバ内に設けるとよい。技術者や労働者がシフト制で交代勤務した時にPCを差し替えた場合や、テレワーク勤務などで通常時の管理室などとは異なる場所からアクセスするときに過去の状態履歴や、発せられた命令の履歴を見ることができる。
【0059】
<実施形態1 マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0151)>
マスターモジュール(BA)のマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0151)は、上位制御機器からのイーサネット通信信号を受信するように構成される。マスターモジュールイーサネット送受信部は、後述するバス送受信部(BE)と相互に独立して処理を実行できるように構成される。つまり、いずれか一方が送受信中であるからといって他方の処理が制限を受けることはないか、又は、きわめて少ないように構成される。きわめて少ないとは、CPUやMPUや通信専用LSIのハードウェア資源の利用効率が制約を受ける場合である。しかしながらこのような制約はきわめて特殊な条件(例えば予定されていないようなプログラミングミスによる処理データの大量発生)が満たされたときにのみ生じるものであって、一般的な処理においては発生しないように構成される。
【0060】
<実施形態1 判別部(BC)(0152)>
マスターモジュール(BA)の判別部(BC)(0152)は、前記マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0151)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール(CA)宛かを判別するように構成される。
上位制御機器(AA)から出力された信号に付けられた機器管理番号によって、マスターモジュール自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する。
【0061】
機器管理番号が、イーサネット通信信号の共通パケットのペイロード内のModbusアプリケーションヘッダ内のユニットIDとして記載されている場合は、ユニットIDを読み取り、マスターモジュール(BA)自身宛か、または一以上のスレーブモジュールのいずれか判別し、スレーブモジュールであれば後記するプロトコル変換部で以降の処理を行う。マスターモジュール自身宛であれば。後記する処理部で以降の処理を行う。
【0062】
<実施形態1 プロトコル変換部(BD)(0153)>
マスターモジュール(BA)のプロトコル変換部(BD)(0153)は、前記判別部(BC)での判別結果がスレーブ宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュールとのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するように構成される。
【0063】
イーサネット通信信号としてModbus/TCPを使用し、RS-485等シリアル通信としてModbus RTUを使用することができる。図12(a)は、共通パケットを示しており、図12(b)に示すように共通パケットから「Modbusアプリケーションヘッダ」と「データ本体」とで構成されるローカルパケットを取得する。そして、図12(c)に示すように、ローカルパケットのヘッダである「Modbusアプリケーションヘッダ」を、その中に含まれるユニットIDを残して除去する。データ本体の先頭にアドレスとしてユニットIDを加える。下流プロトコルがModbus RTU(Remote Terminal Unit)モードの場合はCRCを付加し、Modbus ASCII(American Standard Code Information Interchange)モードの場合はASCIIコードに変換し、LRCを付加する。
【0064】
さらに、図12(d)に示すように、例えば、スレーブモジュールとの通信に用いるシリアル通信用プロトコルパケットであるModbusプロトコルのメッセージ・フレームに整形する。なお、「アドレス」は、Modbusアプリケーションヘッダに含まれる「ユニットID」に応じたものでなる。また、ファンクションコードはマスターモジュールがスレーブモジュールに対して実行させる機能を設定する。「データ」にはファンクションコードに関連するデータを格納する。このように整形されたデータがマスターモジュールからスレーブモジュールへ伝送予定の整形済データとなる。なお、本例ではModbusプロトコルの場合を示したが、他のプロトコルの場合でも、そのプロトコルに応じてヘッダの除去を行い、スレーブモジュールとの通信に用いるシリアル通信用プロトコルのデータ形式に整形すればよい。スレーブモジュールから上位制御機器への応答用にプロトコル変換する場合は、上記の逆の手順を行う。
【0065】
<実施形態1 利用伝送路判別部(BE)(0154)>
<基本的構成>
マスターモジュール(BA)の利用伝送路判別部(BE)(0154)は、前記判別部(BC)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別するように構成される。
【0066】
シリアル通信用のバスとしては、汎用シリアル通信経路であるModbus RTUプロトコルのRS-485シリアルバス、マスターモジュールとスレーブモジュールとの間及びスレーブモジュール相互間を結ぶより高速な内部バスと相対的に低速な内部バスを用いることができる。ModbusはModicon社が1979年、同社のプログラマブルロジックコントローラ (PLC) 向けに策定したシリアル通信プロトコルである。 産業界におけるデ・ファクト標準の通信プロトコルとなり、現在では産業用電子機器を接続する最も一般的手段となっている。スレーブモジュール又は/及びマスターモジュールが制御、監視を行うヒータや温度計などの機能部品の監視データの送付やフィードバックの出力と授受は、リアルタイム性を要することから高速な利用可能な内部バスを選択し、スレーブモジュールへの設定値変更などのような伝達には、相対的に低速な伝送路(内部バス、汎用シリアル通信経路)を用いるよう判別する。予め、上記のように通信内容リアルタイム性を要する機能部品の監視データの送付やフィードバックの出力と授受には高速な内部バスを割り当てて、速度があまり要求されないメンテナンス時などに各スレーブモジュールのパラメータ設定変更用データを送信するような場合は低速な伝送路を割り当てることなどを、決めておくことができる。
【0067】
<その他の構成>
「利用伝送路判別部」は、上記の基本機能を有するが、判別のために利用されるルールを保持する利用伝送路判別ルールを利用伝送路判別部内、ないしは利用伝送路判別部外に有するようにモジュールシステムを構成する。すなわち利用伝送路判別ルール保持手段、ないしは利用伝送路判別ルール保持部をさらに有するように構成する。ここで「利用伝送路判別ルール」は、マスターモジュールから受信したイーサネット通信信号(イーサネット通信信号で構成された情報コンテンツを言う。以下同じ。)がスレーブモジュール宛であることが判明した場合には、前記ルールを利用して利用伝送路を判別するように構成する。このルールの内容としてはスレーブモジュールに対する信号(命令等)の種別(イーサネットパケットヘッダないしは利用伝送路用プロトコル(Modbus RTUなど)パケットヘッダに記録されるのが好ましい。)と関連付けて利用伝送路種別を記録したルールである場合や、イーサネットパケットのヘッダないしはイーサネットパケットのペイロード内の伝送路専用信号のヘッダなどに記録されている伝送路種別識別子に応じて利用すべき伝送路を判別するルールなどが考えられる。あるいは、伝送しなければならない信号の量で利用すべき伝送路を判別するルールとすることも考えられる。さらにあるいは、各伝送路の輻輳状態を監視して、その輻輳状態に応じて利用すべき伝送路を判別するルールであってもよい。さらにあるいは、送信先であるスレーブの機器管理番号ないしはスレーブ種別(スレーブの管理している機能部品に応じて定められる種別等)に応じて利用すべき伝送路を判別するルール、イーサネットパケットにて指定されているマスターモジュールのイーサネット処理の宛先ポート番号と伝送路種別とが関連付けられたルールであってもよい。もちろん、これらを複合的に利用して利用すべき伝送路を判別するようなルールとすることもできる。
【0068】
<実施形態1 バス送受信部(BF)(0155)>
マスターモジュール(BA)のバス送受信部(BF)(0155)は、変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するように構成される。シリアル通信用のバスとしては、内部バス、Modbus RTUプロトコルのRS-485シリアルバスなど[渡邉 亨4][阿武5]を用いることができる。
【0069】
マスターモジュールのバス送受信部(BE)は、前述したマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)と相互に独立して処理を実行できるように構成される。つまり、いずれか一方が送受信中であるからといって他方の処理が制限を受けることはないか、又は、きわめて少ないように構成される。きわめて少ないとは、CPUやMPUや通信専用LSIのハードウェア資源の利用効率が制約を受ける場合である。しかしながらこのような制約はきわめて特殊な条件(例えば予定されていないようなプログラミングミスによる処理データの大量発生)が満たされたときにのみ生じるものであって、一般的な処理においては発生しないように構成される。
【0070】
<実施形態1 処理部(BG)(0156)>
マスターモジュール(BA)の処理部(BG)(0156)は、前記判別部(BC)での判別結果がマスター宛であった場合には、受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行うように構成される。
【0071】
マスターモジュールがもつ温度プロファイルを修正し、修正したプロファイルをスレーブモジュールへ伝達する処理や、自身につながるヒータの制御などの処理を行う。
【0072】
<実施形態1 マスターモジュール(BA)(0150)>
マスターモジュール(BA)(0150)は、イーサネット通信経路にて接続された上位制御機器(AA)から命令を取得し応答を出力するとともに、他のスレーブモジュール(CA)とバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)とにバス伝送路であるシリアル通信経路で接続され直接的に管理するように構成される。
【0073】
<実施形態1 スレーブモジュール(CA)(0170)>
スレーブモジュール(CA)(0170)は、他のスレーブモジュール(CA)とバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュールであって機能部品制御機能を有するように構成される。
【0074】
機能部品制御機能とは、例えば一以上の温度計の管理やヒータの制御などを行う機能をいう(この機能に限定はされない)。制御方法としては、上述した「マスターとスレーブの制御主従関係 スレーブ独立国家型」のように各スレーブモジュールが差分情報を持ち、マスターモジュールの温度度プロファイルに基づいて自身の管理する各ヒータをPID制御する方法などがある。
【0075】
同時に複数の上位制御機器とマスターモジュールが通信する場合は、
上位制御機器からイーサネット経由で通信を受信したマスターモジュールは、
受信した信号に対し識別するためのパケット識別情報と、受信した通信のIPヘッダに含まれる送信元IPアドレスと、送信先のスレーブモジュールの機器管理番号と、命令を含むデータ本体の情報を関連付けて保持する受信信号識別情報保持部と、
スレーブモジュールからの応答に含まれるスレーブモジュールの機器管理番号と、データの内容を、前記受信信号識別情報保持部に保持したスレーブモジュールの機器管理番号と、命令を含むデータ本体と照合して、命令の送信元である上位制御機器のIPアドレスを検索する受信識別情報検索部と、を有し
マスターモジュールイーサネット送受信部は、前記受信識別情報検索部で得た送信元IPアドレスへスレーブモジュールの応答に含まれるデータと、スレーブモジュールの機器管理番号とを出力するように構成することで達成できる。
【0076】
技術者や作業者がシフト制で交代勤務した時にPCを差し替えた場合や、テレワーク勤務などで通常時の管理室などとは異なる場所からLAN経由でマスターモジュールへアクセスするときに過去の状態履歴や、発せられた命令の履歴を見ることができる。その際には、マスターモジュールのイーサネット通信受け入れ口にセキュリティ認証部を設け、アクセス権限を持つ労働者や、管理権限を持つ管理者やシステム部門のメンバが認証を受けてからアクセスできるように構成する。パスワードや生体認証、または社員証に内蔵される磁気記録やICや無線タグなどでの認証手段により保持されているユーザ情報と関連付けられ保持されているアクセス権限情報を参照し、アクセス権限がある否か判定し認証する。
【0077】
認証されると、保持されているアクセス権限に準じたアクセス範囲を示すアクセスルールにそって、本発明のモジュールシステムを使用できる。例えば、状況を確認するためにデータベースに保管されている履歴情報や、現時点のマスターモジュール又は/及びスレーブモジュールの状況の閲覧のみのゲスト権限、定型処理作業を遂行できる一般権限、制限なしの管理者権限などのアクセスルールである(この区分けには限定されない)。認証されるとアクセス時に使用したPC等とマスターモジュールとの通信に対しセッションIDが発行される。通信が継続する間は、通信にはセッションIDが添付され、認証済みのアクセスであることを表す。処理作業が続行中であっても、昼勤/夜勤のシフト交替などで作業者が交替するときは通信終了することができる。その場合はセッションIDが廃棄され、交替でアクセス開始した作業者に対しては別のセッションIDが発行される。工場などのセキュリティ管理区域外の自宅などで在宅勤務するテレ―ワーカや、工場外への出張者などは、VPNサーバを介して工場内の構内LAN回線へ接続し、上記マスターモジュールのセキュリティ認証部へアクセスし認証を得ることができる。
【0078】
<実施形態1 処理の流れ>
図2に、実施形態1のモジュールシステムの処理の流れを示す。一点鎖線で囲った左側の部分が上位制御機器(AA)での処理の流れを示し、右側の一点鎖線で囲った部分がマスターモジュール(BA)での処理の流れを示す。マスタモジュール(BA)とシリアル通信経路でやり取りしている右下にあるのがスレーブモジュール(CA)である。スレーブモジュール(CA)内の処理は図示していない。
上位制御機器(AA)では、
最初にマスターモジュールかスレーブモジュールのどちら宛に命令を発するか判別する処理を行う(SA0201)。
上位制御機器(AA)がマスターモジュール(BA)へ命令を送信する場合には、
対マスターモジュール命令出力ステップ(ab)(SA0202)は、マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する処理を行い、
上位制御機器(AA)がスレーブモジュール(CA)へ命令を送信する場合には、対スレーブモジュール命令出力ステップ(ad)(SA0203)は、スレーブモジュール(CA)に対して命令を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する処理を行い
上位制御機器イーサネット通信ステップ(af)(SA0204)は、マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をする処理を行い、
対マスターモジュール応答取得ステップ(ac)(SA0205)は、マスターモジュール(BA)から応答を取得する処理を行い、
対スレーブモジュール応答取得ステップ(ae)(SA0206)は、スレーブモジュール(CA)から応答を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する処理を行う。
【0079】
マスターモジュール(BA)では、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0201)は、上位制御機器(AA)からのイーサネット通信信号を受信する処理を行い、
判別ステップ(bc)(SB0202)は、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0201)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール(CA)宛かを判別する処理を行い、
前記判別ステップ(bc)(SB0202)での判別結果がマスターモジュール宛であった場合には、処理ステップ(bg)(SB0203)は、受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行い、必要に応じて処理した結果をマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0208)へ出力する処理を行い、
前記判別ステップ(bc)(SB0202)での判別結果がスレーブモジュール宛であった場合には、
プロトコル変換ステップ(bd)(SB0204)は、前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュールとのシリアル通信信号へ変換する処理を行い、
利用伝送路判別ステップ(be)(SB0205)は、前記判別ステップ(bc)(SB0202)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別する処理を行い、
バス送受信ステップ(bf)(SB0206)は、変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信する処理を行い、
プロトコル変換ステップ(bd)(SB0207)は、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換する処理を行い、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0208)は、上位制御機器(AA)へイーサネット通信信号を送信する処理を行う。
このような一連の処理をモジュールシステムに実行させる動作方法である。
【0080】
<実施形態1 ハードウェア>
【0081】
図3は、本実施形態のモジュールシステムの上位制御機器(AA)のハードウェア構成の一例を示す概念図である。図示するように、上位制御機器(AA)はPC等を使用する場合が多いと考えられ、PCと類似の構成となっている。「CPU」、ノースブリッジとサウスブリッジからなる「チップセット」、「不揮発性メモリ」、「メインメモリ」、「I/Oコントローラ」、「USB、IEEE1394、LAN端子、etc」、「BIOS」、「PCIスロット」、「リアルタイムクロック」などから構成される。
【0082】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0083】
すなわち図3に示すように上位制御機器(AA)では、不揮発性メモリにはOS(オペレーティングシステム)とデバイスドライバのほかに、対マスターモジュール命令出力プログラムと、対マスターモジュール応答取得プログラムと、対スレーブモジュール命令出力プログラムと、対スレーブモジュール応答取得プログラムと、上位制御機器イーサネット通信プログラムと、を有し、データとして、対マスターモジュール命令、マスターモジュール応答、対スレーブモジュール命令、スレーブモジュール応答が保持されている。これらは、本システムがコンピュータ上で起動されることにより、メインメモリに展開されて、起動命令を受け付けることによって、CPUが順次プログラムとデータを利用した演算を行い、マスターモジュール又は、マスターモジュールを介してスレーブモジュールと、命令と応答のやり取りを行っていく。上位制御機器(AA)の不揮発メモリには、マスターモジュールを用いる制御システムの情報を管理、表示する制御用プログラムや、その他業務用ソフトのプログラムなどが含まれていてもよい。
【0084】
図4は、本実施形態のモジュールシステムのマスターモジュール(BA)のハードウェア構成の一例を示す概念図である。図示するように、CPU(0401)と、不揮発性メモリ(0402)(例えば、ROM、SSDなど)と、主メモリ(0403)と、制御用PCや記録計などとの接続のためのイーサネット通信I/F(0404)(図4中では、インターフェースをI/Fと略記)と、制御モジュールなどとの接続のための汎用のシリアル通信インターフェースI/F1(0405)と、[渡邉 亨6]ユーザI/F(0406)と、内部バス(0410)との通信I/F(0411)をコントロールするバスコントローラ(0409)と、内部バス伝送時にDMA方式(メモリとのデータ転送時にCPUを介さず転送する方法)を行うためのコントローラDMAC(0408)、それらの間で信号の授受等を行うためのシステムバス(0407)を備える。CPUはカスタマイズされた専用CPUを使い、OS(オペレーティングシステム)の代わりに専用のファームウェアを使用することもできる。また複数コアのCPU又は/及び十分なキャッシュメモリを持つシステムであれば、メモリ不足による動作遅延を防止しやすいため、好ましい。
【0085】
不揮発性メモリには、OS(オペレーティングシステム)とデバイスドライバのほかに、
上位制御機器とイーサネット通信信号を送受信するマスターモジュールイーサネット送受信プログラムと、
前記受信したイーサネット通信信号が自身宛かスレーブモジュール(CA)宛かを判別する判別プログラムと、
前記処理プログラムでの判別結果がマスター宛であった場合には受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理プログラムと、
判別プログラムでの判別結果がスレーブ宛であった場合には前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュールとのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換プログラムと、
判別部プログラムでの判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を利用すべき種類の信号であるか判別する利用伝送路判別プログラムと、
変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へシリアル通信I/F、またはバスコントローラを介して内部バスを介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくシリアル通信I/Fまたはバス伝送路を介して受信するバス送受信プログラムなどの各種プログラムや特定ポート番号が記録されている。そして、各プログラムを展開及び実行しインターフェースを介して取得した情報やデータを不揮発性メモリに格納し、格納された情報やデータを主メモリのワーク領域にてプログラムの実行による加工などを行い、不揮発性メモリに保持し、又はイーサネット通信インターフェースを介してプログラムの実行により上位制御機器(AA)へ出力する。
<実施形態1 効果>
【0086】
本実施形態のモジュールシステムによれば、従来技術の通信モジュールとマスターモジュールを統合した形態としたことにより、上位制御機器(AA)とマスターモジュール(BA)は高速なイーサネット通信経路で接続される。マスターモジュールはRS-485仕様のシリアル通信経路であり速度の異なる複数の内部バスと汎用のModbus RTUプロトコルのRS-485シリアルバスの[渡邉 亨7]2種のバス伝送路を持つ。機能部品の制御と監視のようにマスターモジュールとスレーブモジュール間でリアルタイム性が必要な通信には高速なバス伝送路を使用し、その他の設定変更などリアルタイム性までは必要としない通信には相対的に低速な伝送路を用いるように、判別し振り分けることができる。そのため、機能部品の制御と監視に支障なく設定変更が行える。またイーサネット通信経路を経由して設定データを送信することで、設定の変更も対象装置から離れたところから行うことができる。
【0087】
<実施形態2>
<実施形態2 概要>主に請求項4
実施形態1では、上位制御機器(AA)から送信されマスターモジュール(BA)が受信した信号は、まずマスターモジュール向けかスレーブモジュール向けかを判別後に、スレーブモジュール向けであればプロトコル変換にて信号を整形し、そののちに利用すべきバス伝送路を判別する。一方、本実施形態2では、判別の順番を実施形態1とは入れ替え、上位制御機器(AA)から出力されるTCP/IPプロトコル信号のTCPヘッダ内に含まれる宛先ポート番号を参照して、利用すべき伝送路を判別した後で、マスターモジュール向けかスレーブモジュール向けかをユニットIDを参照して判別し、スレーブモジュール向けであればプロトコル変換し、選択されたバス伝送路を経由して、該当するスレーブモジュールへ送信される。以下、本明細書中で受信ポート番号との表記を、宛先ポート番号の意味で記載する場合がある。
【0088】
図13の表を用いて本実施形態でのバス伝送路の選択判別を説明する。左列が所定の受信ポート番号(例:502)の場合、右列が所定の受信ポート番号ではない場合(例502以外)である。受信ポート番号によって区分け後、機器管理番号(Modbusアプリケーションヘッダ内のユニットID)によりマスターモジュール(機器管理番号1)か、スレーブモジュール(機器管理番号2~)、又は他機宛(機器管理番号2~)かに振り分ける。受信ポート番号が所定の受信ポート番号(例502)であり、スレーブモジュール又は他機宛の信号であれば、相対的に低速なバス伝送路(例:Moddbus RTU)を割り振る。受信ポート番号が所定の受信ポート番号以外の特定の番号(例502以外)であり、スレーブモジュール宛の信号であれば、相対的に高速なバス伝送路を割り振るようにする。
【0089】
図14に構成例を示すように、イーサネット(1400)を介して、上位制御機器としてPC(1401)やPC(1402)が接続されている。マスターモジュール(1403)もイーサネット(1400)に接続され、上位制御機器であるPCと信号を送受信する。上位制御機器から宛先ポート番号(受信ポート番号)として所定の受信ポート番号(例502)をTCPヘッダ内に記載された信号をマスターモジュールが受信すると、マスターモジュールでは、受信ポート番号から相対的に低速なバス伝送路(1408)を使用すべき信号であると判断され、Modbusアプリケーションヘッダ内のユニットIDによってマスターモジュール宛か、スレーブモジュール宛か、他機宛か判別する。スレーブモジュールまたは、他機宛であれば、Modbus RTUプロトコルのRS-485[阿武8]シリアルバスなどのバス伝送路を用いて、整形後のデータをスレーブモジュール1(1404)、スレーブモジュール2(1405)、スレーブモジュールn(1406)、記録計、PLCなど(1407)へ送信する。RS-485接続されたPLCはModbus RTUプロトコルでスレーブモジュール等と通信できる。
【0090】
なお、本明細書中で所定の受信ポート番号の例として502をあげているが、逆に所定の受信ポート番号として502以外の特定の番号とし、所定の受信ポート番号ではない受信ポート番号として502を使用してもよい[渡邉 亨9][阿武10]。
【0091】
<実施形態2 機能的構成>
図5は、本発明の実施形態2のモジュールシステムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。図示するように本発明の実施形態2のモジュールシステムでは、上位制御機器(AA)の構成は実施形態1と同様であり、マスターモジュール(BA)(0550)は、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0551)と、受信ポート番号取得部(BH)(0557)と、受信ポート番号判断部(BJ)(0558)と、第一判別部(BK)(0559)と、第二判別部(BM)(0560)と、プロトコル変換部(BD)(0553)と、第一バス伝送路選択部(BN)(0561)と、第二バス伝送路選択部(BP)(0562)と、バス送受信部(BF)(0555)と、処理部(BG)(0556)と、スレーブモジュール(CA)(0570)とを有する。マスターモジュール(BA)とスレーブモジュール(CA)は、相対的に速度の遅いバス伝送路と相対的に速度の速いバス伝送路として、汎用シリアル通信経路(Modbus RTUプロトコルのRS-485シリアルバス)と、速度の異なる複数の内部バスをバス伝送路として備えている。
【0092】
<実施形態2 構成の説明>
上位制御機器(AA)は実施形態1と同じ構成であるため説明を省略する。以下、マスターモジュールの構成の一例について図5を用いて説明する。
【0093】
<実施形態2 マスターモジュールの構成>
<実施形態2 マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0551)>
マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)(0551)は、上位制御機器(AA)とイーサネット通信信号を送受信するように構成される。
【0094】
上位制御機器からのイーサネット通信信号を受信するように構成される。マスターモジュールイーサネット送受信部は、後述するバス送受信部(BE)と相互に独立して処理を実行できるように構成される。つまり、いずれか一方が送受信中であるからといって他方の処理が制限を受けることはないか、又は、きわめて少ないように構成される。きわめて少ないとは、CPUやMPUや通信専用LSIのハードウェア資源の利用効率が制約を受ける場合である。しかしながらこのような制約はきわめて特殊な条件(例えば予定されていないようなプログラミングミスによる処理データの大量発生)が満たされたときにのみ生じるものであって、一般的な処理においては発生しないように構成される。
【0095】
<実施形態2 受信ポート番号取得部(BH)(0557)>
受信ポート番号取得部(BH)(0557)は、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得するように構成されている。
【0096】
マスターモジュールが受信した上位制御機器(AA)からの信号のTCPヘッダに含まれる受信ポート番号(宛先ポート番号と同意)を取得する。受信ポート番号は、TCPヘッダ内において送信元ポート番号の次に宛先ポート番号として記載されている。後記する受信ポート番号判断部(BJ)にて取得した受信ポート番号が所定の番号かどうか判断する。
【0097】
<実施形態2 受信ポート番号判断部(BJ)(0558)>
受信ポート番号判断部(BJ)(0558)は、取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断するように構成される。
【0098】
例えば、所定の番号としてはウェルノウンポート番号を指定する。ウェルノウンポート番号の一例としては、Modbusプロトコルのデータをペイロードに含んでいる場合に宛先ポート番号(受信ポート番号)を、Modbusプロトコルを意味するウェルノウンポート番号である502とするなどである。前記したようにModbusはModicon社が1979年、同社のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)向けに策定したシリアル通信プロトコルであり、産業界におけるデ・ファクト標準の通信プロトコルとなって、現在では産業用電子機器を接続する最も一般的手段となっている。所定の受信ポート番号以外としては、TCP/IPプロトコルなどで予約済みではない番号(例:動的・プライベートポート番号(49152から65535)など、他も可)の中の番号を適宜ポート番号として、本発明のモジュールシステムへ用いることができる。所定の受信ポート番号を複数用いることもできる。例えば複数の所定の受信ポート番号の情報を保持する受信ポート番号情報保持手段を受信ポート番号判断部(BJ)に設け、相対的に低速で利用可能なバス伝送路が複数ある場合に、所定の受信ポート番号ごとに相対的に低速なバス伝送路を割り当てて置くように構成することができる。例えば、「502」なら汎用シリアル通信経路(RS-485など)、「55555」ならば内部バス(低速)を割り振るなどである。
【0099】
<実施形態2 第一判別部(BK)(0559)>
第一判別部(BK)(0559)は、受信ポート番号判断部(BJ)での判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別するように構成される。
【0100】
所定のポート番号の例としては、上述のように502(Modbusプロトコルを示す、ウェルノウンポート番号)などがある。所定のポート番号で受信した信号が、スレーブモジュール宛か、マスターモジュール宛かによって、受信した信号をマスターモジュール(BA)内で処理するか、スレーブモジュールへ出力するための処理を行うか、以降の処理が分かれる。マスターモジュール宛か、スレーブモジュール宛かの判別はModbusアプリケーションヘッダに含まれるユニットID(=機器管理番号)を参照し、例えば1ならマスターモジュール向け、2以降であればスレーブモジュール向けとして判別する。なお汎用シリアル通信経路であるバス伝送路に、マスターモジュールとスレーブモジュール以外の記録計や、PLCなどが接続されていてもよい。マスターモジュールとスレーブモジュールの台数を含めて、バス伝送路へ接続できる台数以内に収まればよく、機器管理番号が重複しなければよい。記録計や、PLCなどとバス伝送路を介して通信を行うことができる。または、受信した信号のデータ本体部に格納された命令を参照し、マスターモジュール宛か、スレーブモジュール宛か、又はバス伝送路上に接続された記録計やPLCなどかを判別するように構成することもできる。その場合には、命令と宛先を関連付けた対応を示す情報である命令対応情報を保持する命令対応情報保持手段を設け、保持された命令とデータ本体に含まれる命令を照合し宛先を判別するように構成してもよい。
【0101】
所定のポート番号として502以外の受信ポート番号を指定するようにも構成できる[阿武11]。また、所定のポート番号を複数使用することもできる。例えば所定のポート番号を複数使用し、相対的に低速なバス伝送路を複数備える場合には、所定のポート番号ごとに、利用可能な相対的に低速なバス伝送路との対応を保持する利用可能バス伝送路対応ポート番号保持手段を第一判別部に設け、対応するバス伝送路を後記する第一バス伝送路選択部にて選択し、命令を含む通信をスレーブモジュールへ出力するように構成できる。例えば、「502」なら汎用シリアル通信経路(RS-485など)、「55555」ならば内部バス(低速)を割り振るなどである。なお、マスターモジュールに対しての命令の場合は、後記する処理部にてマスターモジュール自身が、対応する処理を行う。
【0102】
<実施形態2 第二判別部(BM)(0560)>
第二判別部(BM)(0560)は、受信ポート番号判断部(BJ)での判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別するように構成される。
【0103】
所定のポート番号ではない場合の例としては、上述のように動的・プライベート ポート番号(49152から65535)などがある。所定のポート番号として502以外の番号が設定されている場合には、所定のポート番号ではない場合として受信ポート番号が502であってもよい。所定のポート番号ではないポート番号で受信した信号が、スレーブモジュール宛か、マスターモジュール宛かによって、受信した信号をマスターモジュール(BA)内で処理するか、スレーブモジュールへ出力するための処理を行うか、以降の処理が分かれる。または、受信した信号のデータ本体部に格納された命令を参照し、マスターモジュール宛か、スレーブモジュール宛か、又はバス伝送路上に他の機器(記録計やPLCなど)が接続されている場合は他の機器宛かも含めて判別するように構成することもできる。その場合には、命令と宛先を関連付けた対応を示す情報である命令対応情報を保持する命令対応情報保持手段を設け、保持された命令とデータ本体に含まれる命令を照合し宛先を判別するように構成してもよい。
【0104】
<実施形態2 プロトコル変換部(BD)(0553)>
プロトコル変換部(BD)(0553)は、前記第一判別部(BK)、第二判別部(BM)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するように構成される。
【0105】
マスターモジュールとスレーブモジュール、及びスレーブモジュール間はノイズに強いバス伝送路(シリアル通信経路)で接続されているため、上位制御機器(AA)からスレーブモジュールへの信号は、バス伝送路に乗せるためにシリアル通信用のデータ形式へ整形する必要がある。なおマスターモジュールはそのままのデータを自機内で処理する。上記のように、産業用電子機器を接続するプロトコルとしてはModbusプロトコルが一般的になっている。Modbusは、電気仕様はRS-485シリアル通信のため、ノイズに強い。上位制御機器とマスターモジュール間の信号であるイーサネット通信信号(Modbus/TCP)と、スレーブモジュールへ送信する際のModbusプロトコルの整形を下記に説明する。なお、第1判別部でスレーブモジュールではなく、その他の記録計やPLCなどが宛先となっていた場合も、スレーブモジュール宛の信号と同用に整形する。
【0106】
イーサネット通信信号としてModbus/TCPを使用し、RS-485等シリアル通信としてModbus RTUを使用することができる。図12(a)は、共通パケットを示しており、図12(b)に示すように共通パケットから「Modbusアプリケーションヘッダ」と「データ本体」とで構成されるローカルパケットを取得する。そして、図12(c)に示すように、ローカルパケットのヘッダである「Modbusアプリケーションヘッダ」を、その中に含まれるユニットIDを残して除去する。データ本体の先頭にユニットIDをアドレスとして加える。下流プロトコルがModbus RTU(Remote Terminal Unit)モードの場合はCRCを付加し、Modbus ASCII(American Standard Code Information Interchange)モードの場合はASCIIコードに変換し、LRCを付加する。
【0107】
さらに、図12(d)に示すように、スレーブモジュールとの通信に用いるシリアル通信用プロトコルパケットである例えば、Modbusプロトコルのメッセージ・フレームに整形する。なお、「アドレス」は、Modbusアプリケーションヘッダに含まれる「ユニットID」に応じたものでなる。また、ファンクションコードはマスターモジュールがスレーブモジュールに対して実行させる機能を設定する。「データ」にはファンクションコードに関連するデータを格納する。このように整形されたデータがマスターモジュールからスレーブモジュールへ伝送予定の整形済データとなる。なお、本例ではModbusプロトコルの場合を示したが、他のプロトコルの場合でも、そのプロトコルに応じてヘッダの除去を行い、スレーブモジュールとの通信に用いるシリアル通信用プロトコルのデータ形式に整形すればよい。スレーブモジュールから上位制御機器への応答用にプロトコル変換する場合は、上記の逆の手順を行う。
【0108】
<実施形態2 第一バス伝送路選択部(BN)(0561)>
第一バス伝送路選択部(BN)(0561)は、前記第一判別部(BK)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択するように構成される。
【0109】
上位制御機器(AA)から受信した信号のTCPヘッダに含まれるポート番号が所定の番号(例:502)であり、スレーブモジュール宛だった場合には、プロトコル変換した信号を出力するために、相対的に低速なバス伝送路を使用するように選択する。例えば、設定変更用のパラメータなどリアルタイム性が必要ではないデータは相対的に低速なバス伝送路を使用する。
【0110】
例えば相対的に低速で利用可能なバス伝送路が複数ある場合に、所定の受信ポート番号ごとに相対的に低速なバス伝送路を割り当て置くように構成することができる。例えば、「502」なら汎用シリアル通信経路(RS-485など)、「55555」ならば内部バス(低速)を割り振るなどである。所定のポート番号として502以外の受信ポート番号を指定するようにも構成できる[阿武12]。また、前記のように所定のポート番号を複数使用し、相対的に低速なバス伝送路を複数備える場合には、例えば、所定のポート番号ごとに、利用可能な相対的に低速なバス伝送路との対応を保持する利用可能バス伝送路対応ポート番号保持手段1を前記第一判別部に設け、対応するバス伝送路を第一バス伝送路選択部にて選択し、命令を含む通信をスレーブモジュールへ出力するように構成できる。または相対的に低速で利用可能なバス伝送路が複数ある場合に、受信した信号のデータ本体部に格納された命令を参照し、命令毎に、相対的に低速なバス伝送路を割り当て置くように構成することもできる。その場合には、命令とバス伝送路を関連付けた対応を示す情報であるバス-命令対応情報を保持するバス-命令対応情報保持手段1を設け、保持された命令とデータ本体に含まれる命令を照合しバス伝送路を判別するように構成してもよい。
【0111】
<実施形態2 第二バス伝送路選択部(BP)(0562)>
第二バス伝送路選択部(BP)(0562)は、前記第二判別部(BM)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路(例えばRS-485)を選択するように構成される。
【0112】
上位制御機器(AA)から受信した信号のTCPヘッダに含まれるポート番号が所定の番号ではなく、スレーブモジュール宛だった場合には、プロトコル変換した信号を出力するために、相対的に高速で利用可能なバス伝送路(例えば高速な内部バス)を使用するように選択する。例えば、加熱加工時の各測定ポイントの温度データなどはリアルタイムに入手したいために、相対的に高速なバス伝送路を使用する。
【0113】
例えば相対的に高速で利用可能なバス伝送路が複数ある場合に、所定の番号ではない複数の受信ポート番号に対しそれぞれ相対的に高速なバス伝送路を割り当て置くように構成することもできる。所定の番号ではないポート番号として502を指定するようにも構成できる[阿武13]。また、前記のように複数の受信ポート番号を使用し、相対的に高速なバス伝送路を複数備える場合には、例えば、受信ポート番号ごとに、利用可能な相対的に高速なバス伝送路との対応を保持する利用可能バス伝送路対応ポート番号保持手段2を前記第二判別部に設け、対応するバス伝送路を第二バス伝送路選択部にて選択し、命令を含む通信をスレーブモジュールへ出力するように構成できる。または相対的に高速で利用可能なバス伝送路が複数ある場合に、受信した信号のデータ本体部に格納された命令を参照し、命令毎に、相対的に高速なバス伝送路を割り当て置くように構成することもできる。その場合には、命令とバス伝送路を関連付けた対応を示す情報であるバス-命令対応情報を保持するバス-命令対応情報保持手段2を設け、保持された命令とデータ本体に含まれる命令を照合しバス伝送路を判別するように構成してもよい。
【0114】
<実施形態2 バス送受信部(BF)(0555)>
バス送受信部(BF)(0555)は、第一バス伝送路選択部(BN)及び第二バス伝送路選択部(BP)での選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するように構成される。
【0115】
プロトコル変換したスレーブモジュール宛の信号を、前記選択結果に応じた伝送路で出力を行う。シリアル通信用のバスとしては、内部バス、Modbus RTUプロトコルのRS-485シリアルバスなどを用いることができる。マスターモジュールのバス送受信部(BF)は、前述したマスターモジュールイーサネット送受信部(BB)と相互に独立して処理を実行できるように構成される。つまり、いずれか一方が送受信中であるからといって他方の処理が制限を受けることはないか、又は、きわめて少ないように構成される。きわめて少ないとは、CPUやMPUや通信専用LSIのハードウェア資源の利用効率が制約を受ける場合である。しかしながらこのような制約はきわめて特殊な条件(例えば予定されていないようなプログラミングミスによる処理データの大量発生)が満たされたときにのみ生じるものであって、一般的な処理においては発生しないように構成される。
【0116】
図8に示す本発明のモジュールシステムの構成例において、以上説明した実施形態1または2のどちらでも、上位制御機器2(0801b)のPLCとイーサネット通信経路経由でマスターモジュール(0802と)との間で温度データの問合せと応答の通信が行われ、マスターモジュールとスレーブモジュール間では相対的に高速な内部バスが使用されてスレーブモジュールの担当するポイントの温度データが応答としてマスターモジュールへ送られる。並行して上位制御機器1(0801a)のPCから設定パラメータの変更の通信をマスターモジュール(0802)へ送信し、スレーブモジュール宛であればマスターモジュールで整形し該当スレーブモジュールへ送信する。図8の本発明の例のモジュールシステムでは、加熱加工の温度データ管理と並行して設定パラメータの変更などを行うことができる。
【0117】
<実施形態2 処理部(BG)(0556)>
処理部(BG)(0556)は、前記第一判別部(BK)及び第二判別部(BM)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行うように構成される。
【0118】
マスターモジュール自身で処理する命令等の信号を処理する。マスターモジュールへの命令の例としては、マスターモジュールがもつ温度プロファイルを修正し、修正したプロファイルをスレーブモジュールへ伝達する処理や、自身につながるヒータの制御などの処理を行う。
【0119】
<実施形態2 マスターモジュール(BA)(0550)>
マスターモジュール(BA)(0550)は、イーサネット通信経路にて接続された上位制御機器(AA)から命令を取得し応答を出力するとともに、他のスレーブモジュール(CA)とバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュール(CA)とにバス伝送路であるシリアル通信経路で接続され直接的に管理するように構成される。
【0120】
<実施形態2 スレーブモジュール(CA)(0570)>
スレーブモジュール(CA)(0570)は、他のスレーブモジュール(CA)とバス伝送路でシリアルに接続された一以上のスレーブモジュールであって機能部品制御機能を有するように構成される。
【0121】
<実施形態2 処理の流れ>
図6に、実施形態2のモジュールシステムの処理の流れを示す。一点鎖線で囲った左側の部分が上位制御機器(AA)での処理の流れを示し、右側の一点鎖線で囲った部分がマスターモジュール(BA)での処理の流れを示す。マスタモジュール(BA)とシリアル通信経路でやり取りしている右下にあるのがスレーブモジュール(CA)である。スレーブモジュール(CA)内の処理は図示していない。上位制御機器(AA)の処理の流れは、実施形態1の処理の流れと同様である。
上位制御機器(AA)では、
最初にマスターモジュールかスレーブモジュールのどちら宛に命令を発するか判別する処理を行う(SA0601)。
上位制御機器(AA)がマスターモジュール(BA)へ命令を送信する場合には、
対マスターモジュール命令出力ステップ(ab)(SA0602)は、マスターモジュール(BA)に対して命令を出力する処理を行い、
上位制御機器(AA)がスレーブモジュール(CA)へ命令を送信する場合には、対スレーブモジュール命令出力ステップ(ad)(SA0603)は、スレーブモジュール(CA)に対して命令を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に出力する処理を行い
上位制御機器イーサネット通信ステップ(af)(SA0604)は、マスターモジュール(BA)とイーサネット通信をする処理を行い、
対マスターモジュール応答取得ステップ(ac)(SA0605)は、マスターモジュール(BA)から応答を取得する処理を行い、
対スレーブモジュール応答取得ステップ(ae)(SA0606)は、スレーブモジュール(CA)から応答を、マスターモジュール(BA)を介して間接的に取得する処理を行う。
【0122】
マスターモジュール(BA)では、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0601)は、上位制御機器(AA)からのイーサネット通信信号を受信する処理を行い、
受信ポート番号取得ステップ(bh)(SB0602)は、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0601)が受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得する処理を行い、
受信ポート番号判断ステップ(bj)(SB0603)は、取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断する処理を行い、
前記受信ポート番号判断ステップ(bj)(SB0603)での判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、第一判別ステップ(bk)(SB0604)は、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する処理を行い、
前記受信ポート番号判断ステップ(bj)(SB0603)での判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、第二判別ステップ(bm)(SB0605)は、マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)が受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する処理を行い、
前記第一判別ステップ(bk)(SB0604)、第二判別ステップ(bm)(SB0605)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に、プロトコル変換ステップ(bd)(SB0606)は、前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換する処理を行い、
前記第一判別ステップ(bk)(SB0604)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に、第一バス伝送路選択ステップ(bn)(SB0607)は、相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択する処理を行い、
前記第二判別ステップ(bm)(SB0605)での判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に、第二バス伝送路選択ステップ(bp)(SB0608)は、相対的に高速で利用可能なバス伝送路を選択する処理を行い、
バス送受信ステップ(bf)(SB0609)は、第一バス伝送路選択ステップ(bn)(SB0607)及び第二バス伝送路選択ステップ(bp) (SB0608)での選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信する処理を行い、
プロトコル変換ステップ(bd)(SB0610)は、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換し、変換した信号をマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)へ出力する処理を行い、
前記第一判別ステップ(bk)(SB0604)及び第二判別ステップ(bm)(SB0605)での判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、処理ステップ(BG)(SB0611)は、受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行い、必要に応じて処理した結果をマスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)へ出力する処理を行い、
マスターモジュールイーサネット送受信ステップ(bb)(SB0612)は、上位制御機器(AA)へイーサネット通信信号を送信する処理を行う。
このような一連の処理をモジュールシステムに実行させる動作方法である。
【0123】
<実施形態2 ハードウェア>
【0124】
本実施形態2のモジュールシステムの上位制御機器(AA)のハードウェア構成の一例は、実施形態1(図3)と同様である。そのため説明を省略する。
【0125】
図7は、本実施形態2のモジュールシステムのマスターモジュール(BA)のハードウェア構成の一例を示す概念図である。図示するように、CPU(0701)と、不揮発性メモリ(0702)(例えば、ROM、SSDなど)と、主メモリ(0703)と、制御用PCや記録計などとの接続のためのイーサネット通信I/F(0704)(図4中では、インターフェースをI/Fと略記)と、制御モジュールなどとの接続のための汎用のシリアル通信インターフェースI/F1(0705)と、[阿武15]ユーザI/F(0706)と、内部バス(0710)との通信I/F(0711)をコントロールするバスコントローラ(0709)と、内部バス伝送時にDMA方式(メモリとのデータ転送時にCPUを介さず転送する方法)を行うためのコントローラDMAC(0708)、それらの間で信号の授受等を行うためのシステムバス(0707)を備える。CPUはカスタマイズされた専用CPUを使いOS(オペレーティングシステム)の代わりに専用のファームウェアを使用することもできる。また複数コアのCPU又は/及び十分なキャッシュメモリを持つシステムで構成あれば、メモリ不足による動作遅延を防止できる。
【0126】
不揮発性メモリには、OS(オペレーティングシステム)とデバイスドライバのほかに
上位制御機器とイーサネット通信信号を送受信するマスターモジュールイーサネット送受信プログラムと、
マスターモジュールイーサネット送受信プログラムが受信したイーサネット通信信号によって構成されるパケットの受信ポート番号を取得する受信ポート番号取得プログラムと、
取得された受信ポート番号が所定の受信ポート番号か判断する受信ポート番号判断プログラムと、
受信ポート番号判断プログラムでの判断結果が所定のポート番号であると判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信プログラムが受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第一判別プログラムと、
受信ポート番号判断プログラムでの判断結果が所定のポート番号でないと判断された場合に、マスターモジュールイーサネット送受信プログラムが受信したイーサネット通信信号が自身宛か、スレーブモジュール宛かを判別する第二判別プログラムと、
前記第一判別プログラム、第二判別プログラムでの判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に前記受信したイーサネット通信信号をスレーブモジュール(CA)とのシリアル通信信号へ変換し、必要に応じてスレーブモジュール(CA)から受信するシリアル通信信号をイーサネット通信信号に変換するプロトコル変換プログラムと、
前記第一判別プログラムでの判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に低速で利用可能なバス伝送路を選択する第一バス伝送路選択プログラムと、
前記第二判別プログラムでの判別結果がスレーブモジュール(CA)宛であった場合に相対的に高速で利用可能なバス伝送路を選択する第二バス伝送路選択プログラムと、
第一バス伝送路選択プログラム及び第二バス伝送路選択プログラムでの選択結果に応じて変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へ判別されたバス伝送路を介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくバス伝送路を介して受信するバス送受信プログラムと、
前記第一判別プログラム及び第二判別プログラムでの判別結果がマスターモジュール(BA)宛であった場合には、受信したイーサネット通信信号に基づいてそのまま処理を行う処理プログラムと、
変換したシリアル通信信号をスレーブモジュール(CA)へシリアル通信I/F、またはバスコントローラを介して内部バスを介して送信し、スレーブモジュール(CA)から送信に応じた結果を同じくシリアル通信I/Fまたはバス伝送路を介して受信するバス送受信プログラムなどの各種プログラムや特定ポート番号が記録されている。そして、各プログラムを展開及び実行しインターフェースを介して取得した情報やデータを不揮発性メモリに格納し、格納された情報やデータを主メモリのワーク領域にてプログラムの実行による加工などを行い、不揮発性メモリに保持し、又はイーサネット通信インターフェースを介してプログラムの実行により上位制御機器(AA)へ出力する。
<実施形態2 効果>
【0127】
上位制御機器からの信号を、マスターモジュールを介してスレーブモジュールへ伝送する際に、マスターモジュールが受信した前記信号のヘッダ部に含まれるポート番号を参照して適切なバス伝送路を選択した後に、マスターモジュール自身宛かスレーブモジュール宛かを判別し、マスターモジュール宛であればそのまま処理し、スレーブモジュール宛であればデータ形式を整形してスレーブモジュール宛に出力することにより、受信した信号の内容(命令)を判別する必要がなく、異なるポート番号の信号を受信することで並行して信号を受信しスレーブモジュールへ送達したり、マスターモジュール自身で処理したりすることができる。
【符号の説明】
【0128】
0100 上位制御機器(AA)
0101 対マスターモジュール命令出力部(AB)
0102 対マスターモジュール応答取得部(AC)
0103 対スレーブモジュール命令出力部(AD)
0104 対スレーブモジュール応答取得部(AE)
0105 上位制御機器イーサネット通信部(AF)
0150 マスターモジュール(BA)
0151 マスターモジュールイーサネット送受信部(BB)
0152 判別部(BC)
0153 プロトコル変換部(BD)
0154 利用伝送路判別部部(BE)
0155 バス送受信部(BF)
0156 処理部(BG)
0170 スレーブモジュール(CA)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14