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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016085
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】オンライン診療システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20220114BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G16H80/00
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119361
(22)【出願日】2020-07-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人基盤・健康・栄養研究所の戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516233413
【氏名又は名称】メディカルデータカード株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】今尾 有佑
(72)【発明者】
【氏名】洪 繁
(72)【発明者】
【氏名】田中 守
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB02
4C117XB11
4C117XB14
4C117XE15
4C117XE54
4C117XF03
4C117XF22
4C117XG19
4C117XG45
4C117XG46
4C117XJ48
4C117XJ52
4C117XK33
4C117XL01
4C117XL02
4C117XL03
4C117XL06
4C117XL13
4C117XL22
4C117XM12
4C117XQ03
4C117XQ07
4C117XR01
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】オンライン診療の実際の運用に必要な事項を備えたオンライン診療システムを提供する。
【解決手段】オンライン診療システムMは、仲介サーバ通信手段47を有する仲介サーバAを備えている。仲介サーバAは、医師のコンピュータである医師端末Dから、患者の健康に関する情報である患者健康情報の表示を要求する患者健康情報表示要求信号を、複数の種別(体重,血圧,胎児状態)において受信すると、患者健康情報を蓄積するコンピュータである健康情報サーバH1,H2に、対応する種別に係る患者健康情報の取得を要求する患者健康情報取得要求信号をそれぞれ送信して、各健康情報サーバHから患者健康情報を受信し(健康情報サーバH1から体重及び血圧に係る患者健康情報を受信すると共に健康情報サーバH2から胎児状態に係る患者健康情報を受信し)、受信した各患者健康情報を、医師端末Dに送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を有する仲介コンピュータ
を備えており、
前記仲介コンピュータは、
医師のコンピュータである医師コンピュータから、患者の健康に関する情報である患者健康情報の表示を要求する患者健康情報表示要求信号を、複数の種別において受信すると、
前記患者健康情報を蓄積するコンピュータである複数の健康情報コンピュータに、対応する種別に係る前記患者健康情報の取得を要求する患者健康情報取得要求信号をそれぞれ送信して、各前記健康情報コンピュータから前記種別に係る前記患者健康情報を受信し、
受信した各前記患者健康情報を、前記医師コンピュータに送信する
ことを特徴とするオンライン診療システム。
【請求項2】
前記仲介コンピュータは、複数の前記健康情報コンピュータから受信した前記患者健康情報を統合する
ことを特徴とする請求項1に記載のオンライン診療システム。
【請求項3】
前記仲介コンピュータは、
各前記健康情報コンピュータから受信した前記患者健康情報を記憶する記憶手段を有しており、
前記医師コンピュータから前記患者健康情報の表示の終了に係る終了信号を受信すると、前記患者健康情報を前記記憶手段から消去する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオンライン診療システム。
【請求項4】
前記仲介コンピュータは、
前記医師コンピュータから、前記患者健康情報の表示による診療の費用についての請求情報である診療請求情報を受信し、
前記診療における患者のコンピュータである患者コンピュータに、前記診療請求情報についての決済を要求する診療請求情報決済要求信号を送信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のオンライン診療システム。
【請求項5】
前記仲介コンピュータは、
前記健康情報コンピュータから、前記患者健康情報の蓄積の費用についての請求情報である蓄積請求情報を受信し、
前記蓄積に係る患者のコンピュータである患者コンピュータに、前記蓄積請求情報についての決済を要求する蓄積請求情報決済要求信号を送信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のオンライン診療システム。
【請求項6】
前記仲介コンピュータは、
前記医師コンピュータ及び患者のコンピュータである患者コンピュータを、互いに映像通信可能に接続する映像コンピュータから、前記映像通信の費用についての請求情報である映像通信請求情報を受信し、
前記映像通信に係る前記患者コンピュータに、前記映像通信請求情報についての決済を要求する映像通信請求情報決済要求信号を送信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載のオンライン診療システム。
【請求項7】
更に、
前記医師コンピュータと、
前記医師コンピュータ及び患者のコンピュータである患者コンピュータを、互いに映像通信可能に接続する映像コンピュータと、
を備えており、
前記医師コンピュータは、前記映像コンピュータに対し、前記患者健康情報の表示を要求する前段階患者健康情報表示要求信号を、前記医師コンピュータに係る識別のための情報である医師IDの下で送信し、
前記映像コンピュータは、前記前段階患者健康情報表示要求信号についての前記医師IDを用いた認証が正しく行われると、前記医師コンピュータに、前記患者健康情報表示要求信号の前記仲介コンピュータへの送信を許容する患者健康情報表示要求許容信号を送信し、
前記医師コンピュータは、前記患者健康情報表示要求許容信号を受信すると、前記患者健康情報表示要求信号を前記仲介コンピュータへ送信する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載のオンライン診療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔で診療可能なオンライン診療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
診療支援システムとして、特許第6607543号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
このシステムでは、利用者端末により、患者情報が取得されて診断支援装置に送信され、診断支援装置により、受信した患者情報から利用者の種別が分類され、その種別に応じて、視聴可能な情報コンテンツが利用者端末に提供されると共に、利用者端末と医療機関端末とのリアルタイム通信による診療スケジュールが決定される。診療スケジュールは、情報コンテンツの視聴終了時間後に、複数の利用者端末の医療機関端末へのリアルタイム通信による集団診療時間を挟んで開始される、個別の利用者端末と医療機関端末とのリアルタイム通信による個別診療について決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6607543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシステムでは、診療費用の決済等、オンライン診療を実際に運用するために必要な事項が不足している。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、診療費用の決済といったオンライン診療の実際の運用に必要な事項を備えたオンライン診療システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、通信手段を有する仲介コンピュータを備えており、前記仲介コンピュータは、医師のコンピュータである医師コンピュータから、患者の健康に関する情報である患者健康情報の表示を要求する患者健康情報表示要求信号を、複数の種別において受信すると、前記患者健康情報を蓄積するコンピュータである複数の健康情報コンピュータに、対応する種別に係る前記患者健康情報の取得を要求する患者健康情報取得要求信号をそれぞれ送信して、各前記健康情報コンピュータから前記種別に係る前記患者健康情報を受信し、 受信した各前記患者健康情報を、前記医師コンピュータに送信することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記仲介コンピュータは、複数の前記健康情報コンピュータから受信した前記患者健康情報を統合することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記仲介コンピュータは、各前記健康情報コンピュータから受信した前記患者健康情報を記憶する記憶手段を有しており、前記医師コンピュータから前記患者健康情報の表示の終了に係る終了信号を受信すると、前記患者健康情報を前記記憶手段から消去することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記仲介コンピュータは、前記医師コンピュータから、前記患者健康情報の表示による診療の費用についての請求情報である診療請求情報を受信し、前記診療における患者のコンピュータである患者コンピュータに、前記診療請求情報についての決済を要求する診療請求情報決済要求信号を送信することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記仲介コンピュータは、前記健康情報コンピュータから、前記患者健康情報の蓄積の費用についての請求情報である蓄積請求情報を受信し、前記蓄積に係る患者のコンピュータである患者コンピュータに、前記蓄積請求情報についての決済を要求する蓄積請求情報決済要求信号を送信することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記仲介コンピュータは、前記医師コンピュータ及び患者のコンピュータである患者コンピュータを、互いに映像通信可能に接続する映像コンピュータから、前記映像通信の費用についての請求情報である映像通信請求情報を受信し、前記映像通信に係る前記患者コンピュータに、前記映像通信請求情報についての決済を要求する映像通信請求情報決済要求信号を送信することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記医師コンピュータは、前記医師コンピュータと、患者のコンピュータである患者コンピュータとを、互いに映像通信可能に接続する映像コンピュータに対し、前記患者健康情報の表示を要求する前段階患者健康情報表示要求信号を、前記医師コンピュータに係る識別のための情報である医師IDの下で送信し、前記映像コンピュータは、前記前段階患者健康情報表示要求信号についての前記医師IDを用いた認証が正しく行われると、前記医師コンピュータに、前記患者健康情報表示要求信号の前記仲介コンピュータへの送信を許容する患者健康情報表示要求許容信号を送信し、前記医師コンピュータは、前記患者健康情報表示要求許容信号を受信すると、前記患者健康情報表示要求信号を前記仲介コンピュータへ送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果は、診療費用の決済といったオンライン診療の実際の運用に必要な事項を備えたオンライン診療システムが提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る制御システム及び関連する要素の全体ブロック図である。
図2図1の制御システム及び関連する要素において実行される処理に関するフローチャートである。
図3図2のオンライン診療処理に関するフローチャートである。
図4図3の連携認証処理、患者健康情報表示処理及び終了処理に関するフローチャートである。
図5図3の患者健康情報表示処理において行われる患者健康情報の表示の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の例が、その変更例と共に、適宜図面に基づいて説明される。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
【0010】
≪概要等≫
図1は、本発明に係るオンライン診療システムM(診療システム)及び関連する要素の全体ブロック図である。
本発明に係る診療システムMは、仲介コンピュータとしての1台の仲介サーバA(仲介サーバコンピュータ)を含む。
又、捉え方により、診療システムMは、更に、複数台の患者端末P1,P2・・(患者コンピュータ,任意の一台について患者端末Pとされることがある)、複数台の患者通信装置Q1,Q2・・(同様に患者通信装置Q)、映像コンピュータとしての1台の映像サーバV(映像サーバコンピュータ)、複数台(ここでは2台)の健康情報コンピュータとしての健康情報サーバH1,H2(健康情報サーバコンピュータ,健康情報サーバH)、複数台の医師端末D1,D2・・(医師コンピュータ,医師端末D)、1台の決済コンピュータとしての決済サーバE(決済サーバコンピュータ)、1台のクレジットコンピュータとしてのクレジットサーバC(クレジットサーバコンピュータ)、の少なくとも何れかを適宜含む。
尚、各種のコンピュータの少なくとも何れかの台数は、上述のものに限られない。又、診療システムMは、仲介サーバAを含まずに構成されても良い。
【0011】
診療システムM及び関連する要素により、大要、次のようにしてオンライン診療が実施される。
即ち、患者端末Pと医師端末Dとが、映像サーバVにより相互に映像通信可能に接続される。医師端末Dからの映像サーバVを介した患者健康情報の表示の指令を受けた仲介サーバAは、患者健康情報を医師端末Dに送信する。仲介サーバAは、患者端末P、患者通信装置Q、健康情報サーバHから、患者健康情報を受け取る。仲介サーバAは、患者端末Pとの映像通信及び患者健康情報の参照による今回の診療の処理を終えた医師端末Dから今回の診療費の送信を受けて、患者端末Pからその診療費の決済情報を受け、決済サーバEを介してクレジットサーバCとその決済情報を通信して診療費を決済する。仲介サーバAは、所定期間(例えば1か月)毎に医師端末D毎の診療費を積算し、その積算された診療費に基づく診療報酬を医師端末D側に対して決済する。
【0012】
≪外的側面等≫
患者端末P1は、患者側プログラム(患者側アプリケーション)を実行可能なコンピュータであり、ここではスマートフォンである。尚、患者端末P1は、タブレット,携帯電話,パーソナルコンピュータ等であっても良い。
患者端末P1は、情報等を表示する患者端末表示手段2と、情報等の入力を受け付ける患者端末入力手段4と、通話を行うための患者端末通話手段5と、情報等を記憶する患者端末記憶手段6と、情報等を通信する患者端末通信手段7と、静止画及び動画の少なくとも一方(映像)を取得可能な患者端末カメラ8と、これらを制御する患者端末制御手段9と、を有する。ここでは、患者端末表示手段2及び患者端末入力手段4は、タッチセンサ付きディスプレイであり、患者端末通話手段5は、内蔵のマイク及びスピーカであり、患者端末記憶手段6は、メモリであり、患者端末通信手段7は、携帯電話網及び患者通信装置Qを通じてインターネットINに接続可能な通信部であり、患者端末カメラ8は、内蔵カメラユニットであり、患者端末制御手段9は、CPUである。尚、患者端末制御手段9を除く各手段の少なくとも何れかは、図示されないインターフェイスを介して接続された外付けのものであっても良い。
患者側アプリケーションは、患者端末記憶手段6に記憶され、患者端末制御手段9により実行される。
患者端末P1は、患者が使用する。患者は、診療を受ける受診者であり、ここでは産婦である。尚、患者は、産婦に限られない。
別の患者に属する患者端末P2等は、患者端末P1と同様に成る。
【0013】
患者通信装置Q1は、通信機器であり、ここでは構内無線通信及びインターネット接続可能なルータである。構内無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)である。
患者通信装置Q1には、医療機器としての、体重計W1,血圧計B1,分娩監視装置L1が、構内無線通信により通信可能に接続されている。
医療機器は、患者情報のうちの患者健康情報を取得するものである。患者健康情報は、患者の健康に関する情報であり、複数の種別を含む。患者健康情報は、生体的な情報であっても良いし、生理的な情報であっても良いし、体調の良好さの程度といった主観的な情報であっても良い。
体重計W1は、患者健康情報として、患者の体重を示す体重情報を、患者の測定に応じて取得する(体重の種別に係る患者健康情報)。
血圧計B1は、患者健康情報として、患者の血圧を示す血圧情報を、患者の測定に応じて取得する(血圧の種別に係る患者健康情報)。
分娩監視装置L1は、患者健康情報として、患者の胎児の心拍数及び心拍波形を示す胎児情報を、患者の測定に応じて取得する(胎児状態の種別に係る患者健康情報)。尚、胎児情報(胎児状態)は、心拍数及び心拍波形の何れか一方であっても良いし、他の項目が加えられても良い。
ここでは、体重計W1及び血圧計B1のメーカーは、α社であり、分娩監視装置L1のメーカーは、β社である。
又、患者情報のうちの患者決済情報であるクレジットカード情報CC1が、患者端末入力手段4により入力され、患者端末記憶手段6に記憶される。
別の患者に属する患者通信装置Q2等は、患者通信装置Q1と同様に成り、体重計W1,血圧計B1,分娩監視装置L1,クレジットカード情報CC1についても同様である(これらのうち患者通信装置Q2のみ図示される)。
尚、患者健康情報は、患者の心拍数,心拍波形,睡眠状態を示す各情報等であっても良く、医療機器は、これらを取得するものであっても良い。例えば血圧計B1で血圧及び心拍数の情報が取得される等、複数の患者健康情報が共通の医療機器で取得されても良い。クレジットカード情報CC1は、患者端末記憶手段6に記憶されず、必要に応じて都度入力されても良い。
【0014】
健康情報サーバH1は、α社に属しており、情報サーバ記憶手段16と、情報サーバ通信手段17と、情報サーバ制御手段19と、を有している。
情報サーバ記憶手段16は、患者端末記憶手段6と同様に成り、ここではハードディスクである。
情報サーバ通信手段17は、インターネットIN接続可能な通信機器である。
情報サーバ制御手段19は、患者端末制御手段9と同様に成り、ここではCPUである。情報サーバ制御手段19は、情報サーバ記憶手段16に記憶された健康情報プログラムを実行可能である。
健康情報サーバH2は、β社に属することを除き、健康情報サーバH1と同様に成る。
尚、健康情報サーバHは、表示手段及び入力手段の少なくとも一方を有していても良い。
【0015】
医師端末D1は、医師側プログラムを実行可能なコンピュータであり、ここではパーソナルコンピュータである。尚、医師端末D1は、タブレット,携帯電話,スマートフォン等であっても良い。
医師端末D1は、患者端末P1と変更例を含めて同様な構成を有しており、即ち医師端末表示手段22と、医師端末入力手段24と、医師端末通話手段25と、医師端末記憶手段26と、医師端末通信手段27と、医師端末カメラ28と、医師端末制御手段29と、を有する。ここでは、医師端末表示手段22は、フラットディスプレイであり、医師端末入力手段24は、キーボード及びポインティングデバイスであり、医師端末通話手段25は、外付けのマイク及びスピーカであり、医師端末記憶手段26は、ハードディスクであり、医師端末通信手段27は、インターネットINに接続可能な通信部であり、医師端末カメラ28は、外付けのカメラユニットであり、医師端末制御手段29は、CPUである。尚、医師端末制御手段29を除く各手段の少なくとも何れかの配置(内蔵であるか外付けであるか)は、上述のものに限られない。
医師端末D2等は、医師端末D1と同様に成り、医師端末D1とは別の病院に属している。尚、医師端末Dは、1箇所の病院において複数台設けられても良い。
【0016】
映像サーバVは、オンライン診療用映像配信社であるγ社に属することを除き、変更例を含めて健康情報サーバH1と同様に成り、即ち、映像サーバ記憶手段36と、映像サーバ通信手段37と、映像サーバ制御手段39と、を有している。
映像サーバ制御手段39は、映像サーバ記憶手段36に記憶された配信プログラムを実行可能である。
【0017】
仲介サーバAは、患者と医師と等を仲介する仲介社であるδ社に属することを除き、変更例を含めて健康情報サーバH1と同様に成り、即ち、仲介サーバ記憶手段46(仲介コンピュータ記憶手段,記憶手段)と、仲介サーバ通信手段47(仲介コンピュータ通信手段,通信手段)と、仲介サーバ制御手段49(仲介コンピュータ制御手段)と、を有している。
仲介サーバ制御手段49は、仲介サーバ記憶手段46に記憶された仲介プログラムを実行可能である。
【0018】
決済サーバEは、決済仲介会社であるε社に属することを除き、変更例を含めて健康情報サーバH1と同様に成る。
クレジットサーバCは、クレジットカード発行会社であるζ社に属することを除き、変更例を含めて健康情報サーバH1と同様に成る。
尚、決済サーバEが省略され、クレジットサーバCが直接決済を行っても良い。又、α~ζ社のうちの少なくとも何れか(特に映像サーバVのγ社と仲介サーバAのε社)は、同一の会社であっても良い。各種サーバの少なくとも何れか二つ(特に映像サーバV及び仲介サーバA)が、同一のサーバであっても良い。何れか一つのサーバが、複数のサーバに分かれていても良い。α~ζ社のうちの少なくとも何れかは、法人ではなく個人であっても良い。
【0019】
≪内的側面ないし動作例等≫
以下、主に患者端末P1と医師端末D1との間における診療システムM及び関連する要素の、内的側面ないし動作が説明される。他の患者端末P2等と医師端末D1,D2・・との間に係る動作は、患者端末P1と医師端末D1との間に係る動作と同様である。
図2は、診療システムM及び関連する要素の動作に係るフローチャートである。
【0020】
まず、患者は、利用開始手続を行う(ステップS1,以下「ステップ」が適宜省略される)。ここでは、各健康情報サーバHに対する利用開始手続(医療機器利用開始手続)と、映像サーバVに対する利用開始手続(オンライン診療利用開始手続)とが行われる。
【0021】
即ち、患者は、患者端末D1(患者側アプリケーションに組み込まれたインターネットブラウザ)から各健康情報サーバH(利用開始申込ページ)にアクセスし、体重計W1及び血圧計B1(健康情報サーバH1)並びに分娩監視装置L1(健康情報サーバH2)の各測定データの送信及び蓄積の開始に必要な情報を入力する。当該情報は、ここでは、利用者(患者)の住所,氏名,生年月日(年齢),各医療機器の種別及びシリアルナンバーである。尚、当該情報の種類及び数の少なくとも何れかは、適宜変更可能であり、以下各種の情報について同様である。又、インターネットブラウザは、患者側アプリケーションに組み込まれていないものであっても良く、以下各種のインターネットブラウザについて同様である。
各健康情報サーバHは、利用開始手続が行われると、医療機器利用者(患者)毎の識別情報である機器利用者IDを発行し、当該情報と対応づけて情報サーバ記憶手段16に記憶する。又、各健康情報サーバHは、患者端末P1に医療機器の利用開始を受け付けた旨通知する。尚、機器利用者IDは、医療機器毎(健康情報サーバH1における体重計W1及び血圧計B1毎等)に発行されても良い。
【0022】
各健康情報サーバHは、オンライン診療とは独立して、健康情報の閲覧等を行うための専用の健康情報管理アプリケーション等により、患者健康情報を、患者(医療機器利用者)に提供することができる。
例えば、α社の健康情報サーバH1は、患者端末P1からの要求に応じ、患者端末P1に係る患者の体重及び血圧の推移を送信して、健康情報管理アプリケーションを実行する患者端末P1において表示させることができる。又、β社の健康情報サーバH2は、同様に、胎児の心拍数の推移及び任意の時点での心拍波形を、患者端末P1において表示させることができる。
【0023】
他方、同様に、患者は、患者端末D1から映像サーバVにアクセスし、オンライン診療の利用開始に必要な情報を入力する。当該情報は、ここでは、患者の住所,氏名,生年月日,保険証情報,1以上の受診予定の医師(病院),及び各機器利用者IDである。
映像サーバVは、オンライン診療の利用開始手続が行われると、患者毎の識別情報である患者IDを発行し、当該情報と対応づけて映像サーバ記憶手段36に記憶する。又、映像サーバVは、患者端末P1に、オンライン診療の利用開始を受け付けた旨通知する。更に、映像サーバVは、仲介サーバAに患者IDの新規発行を送信し、仲介サーバAは、受信した患者IDを仲介サーバ記憶手段46に記憶する。更に、映像サーバVは、仲介サーバAに、新規発行された患者ID及びこれに対応する各機器利用者IDを送信し、仲介サーバAは、受信した患者ID及び各機器利用者IDを、仲介サーバ記憶手段46に記憶する。
尚、初回の実際の受診時等において、医師端末D1から少なくとも何れかの利用開始手続がなされても良い。又、仲介サーバAが、各健康情報サーバH及び映像サーバVの少なくとも何れかに代わり、又は各健康情報サーバH及び映像サーバVの少なくとも何れかと共に、利用開始手続を受け付けても良い。この場合、仲介サーバAは、各健康情報サーバH及び映像サーバVの少なくとも何れかに、機器利用者ID,患者IDを送っても良い。更に、セキュリティのため、機器利用者ID及び患者IDの少なくとも一方に対するパスワードが発行されても良い。パスワードは、機器利用者ID及び患者IDと同様に処理され得る。以下の少なくとも何れかの処理において、パスワードの入力(認証)が求められても良い。パスワードに代えて、あるいはパスワードと共に、生体認証等の他の認証がなされても良い。
【0024】
あるいは、医療機器利用開始手続は、オンライン診療利用開始手続とは別の時期(例えば医療機器の購入時)に行われても良い。即ち、医療機器利用開始手続は、オンライン診療利用開始手続の前に行われていても良いし、オンライン診療利用開始手続の後で行われても良い。これらの場合、患者は、患者端末P1への入力により、自身の患者IDと機器利用者IDとの対応付けを行い、当該対応付けを、仲介サーバAに送信する。
又、患者は、仲介サーバAに係るδ社から、医療機器の一部又は全部を、購入し又は賃借することができる。この場合、医療機器利用開始手続、及び患者IDと機器利用者IDとの対応付けは、δ社が(仲介サーバAにおいて)行っても良い。
【0025】
更に、各医師端末Dについては、その病院への導入時等において、患者IDと同様に、医師IDを付与する。医師IDに対しては、患者IDと同様の処理がなされる。医師IDは、患者IDと同様の変更例を有する。
【0026】
次に、患者は、健康情報を蓄積する(S2)。
即ち、患者は、順次(例えば所定期間(1日等)毎に)、血圧計B1で血圧を測り、体重計W1で体重を量る。それぞれの血圧に係る血圧情報、及びそれぞれの体重に係る体重情報は、所定のタイミング(例えば各測定後あるいは所定時刻到来時等)で、患者通信装置Q1及びインターネットINを介して、α社の健康情報サーバH1に送信される。健康情報サーバH1は、血圧情報及び体重情報を、受信日時及び機器利用者ID(発信元)毎に情報サーバ記憶手段16に記憶する。尚、血圧情報及び体重情報は、受信日時に代えて、計測日時毎に記憶されても良い。計測日時は、血圧情報及び体重情報に含められても良い。患者の識別は、血圧計B1等の取得時におけるα社への登録によりなされても良いし、血圧情報等に含められた血圧計B1等のシリアルナンバーによりなされても良いし、映像サーバV等から取得した患者IDによりなされても良い。
又、患者は、特定の期間(例えば妊娠8か月以降出産まで)において、同様に分娩監視装置L1で胎児の心拍数及び心拍波形を測る。胎児の心拍数及び心拍波形に係る胎児情報は、同様にβ社の健康情報サーバH2に送信される。
尚、医療機器は、患者通信装置Q1に代えて、あるいは患者通信装置Q1と共に、患者端末P1と通信可能であっても良い。又、患者健康情報は、患者端末P1から取得されても良い。患者端末P1は、医療機器との通信により健康情報を得ても良いし、患者の患者端末入力手段4を用いた入力により患者健康情報を得ても良い。患者通信装置Q1は、省略されても良い。
【0027】
患者は、患者健康情報を蓄積しつつ、次回のオンライン診療を予約する(S3)。尚、患者は、患者健康情報の蓄積前に予約を行っても良い。
即ち、患者は、患者端末P1から映像サーバV(予約ページ)にアクセスし、病院並びに開始時刻及び診療時間を指定した予約を行う。映像サーバVは、かような予約に係る診療IDを発行すると共に、患者ID,診療病院,診療開始時刻,診療時間を、診療IDと対応付けて、映像サーバ記憶手段36に記憶する。
診療病院は、ここでは医師端末D1が属する病院である。
尚、診療病院は、医師端末D2等が属する病院であっても良く、即ち患者はオンライン診療を受ける病院を選択できる。又、診療病院及び診療時間の少なくとも一方は一定とされ、その入力は受け付けられなくても良い。更に、診療病院並びに診療開始時刻及び診療時間の少なくとも何れかの入力は、プルダウン等の選択肢の選択によりなされても良いし、文字入力であっても良いし、音声入力等その他の入力であっても良い。他の項目の入力についても、同様である。又更に、患者IDは、入力を受け付けても良いし、自動送信されても良い。加えて、予約は、複数回分受け付けられても良い。又、予約は、利用開始時あるいは前回の診療時に、所定期間(例えば1か月)後等において自動的に行われても良い。更に、診療IDは、オンライン診療開始時に発行されても良い。この場合、診療予約時に診療予約IDが発行され、診療IDと関連付けて記憶されても良い。
【0028】
そして、診療開始時刻の到来に応じ、患者は、患者端末P1から映像サーバV(診療ページ)にアクセスし、医師は、医師端末D1(医師側プログラムに組み込まれたインターネットブラウザ)から映像サーバV(診療ページ)にアクセスして、オンライン診療を行う(S4)。
【0029】
図3は、S4の詳細なフローチャートである。尚、S4に係る以下の各処理は、同時並行的に実行され得る。
映像サーバVは、S4において、映像を互いに送受信する(S101)。
即ち、映像サーバVは、患者端末カメラ8で取得された映像(患者映像)を、医師端末D1に送信する。医師端末D1は、医師端末表示手段22において、患者映像を表示する。
他方、映像サーバVは、医師端末カメラ28で取得された映像(医師映像)を、患者端末P1に送信する。患者端末P1は、患者端末表示手段2において、医師映像を表示する。
医師は、患者映像により、患者の様子を看ることができる。患者は、医師映像により、医師の様子を見ることができる。
尚、映像サーバVは、患者映像及び医師映像の少なくとも一方について、ボタン等への入力により表示を開始したり表示の有無を切り替えたりしても良いし、取得及び送信を省略しても良い。映像サーバVは、医師端末表示手段22において医師映像を表示しても良いし、患者端末表示手段2において患者映像を表示しても良い。
【0030】
又、映像サーバVは、S4において、音声を互いに送受信する(S102)。
即ち、映像サーバVは、患者端末通話手段5で取得された音声(患者音声)を、医師端末D1に送信する。医師端末D1は、医師端末通話手段25において、患者音声を出力する。
他方、映像サーバVは、医師端末通話手段25で取得された音声(医師音声)を、患者端末P1に送信する。患者端末P1は、患者端末通話手段5において、医師音声を表示する。
医師は、患者音声により、患者の話を聞いたり質問を受けたり質問を出したりすることができ、患者は、医師音声により、医師の指導を聞いたり質問を出したり質問を受けたりすることができる。
尚、映像サーバVは、患者音声及び医師音声の少なくとも一方について、ボタン等への入力により出力を開始したり出力の有無を切り替えたりしても良いし、取得及び送信を省略しても良い。
【0031】
更に、映像サーバVは、医師端末表示手段22において、患者健康情報を表示するためのリンク(健康情報リンク)を表示する。医師による医師端末入力手段24を用いた健康情報リンクへの入力に応じ(S103)、図4(上部)に示される映像サーバVと仲介サーバAとの連携による認証を経て(S104)、仲介サーバAが、図4(中部)及び図5に示されるように患者健康情報を表示する(S105)。
【0032】
即ち、映像サーバVは、健康情報リンクへの入力(患者健康情報表示指令,前段階患者健康情報表示要求信号,図4のS201)を医師端末D1から受信すると(S103)、オンライン診療中の医師ID及び患者IDに照らし、患者健康情報を表示可能であるか否か(患者健康情報の表示が許容されているか否か)を判断し、患者健康情報の表示に係る認証についてOKであるかNGであるかを判断する(S202)。尚、健康情報リンクへの入力時に、医師IDが当該入力の旨と併せて映像サーバVに送信されても良い。
認証OKであれば、その旨(認証OK信号,患者健康情報表示要求許容信号)を、医師端末D1に送信する(S203)。
尚、映像サーバVは、認証NGであれば、その旨(認証NG信号)を送信して、あるいは認証に関する信号を送信せずに、以後の処理を行わない。
【0033】
認証OK信号を受信した医師端末D1は、仲介サーバAに対して、患者健康情報の提供を受けるため、二次認証の要求を行う(S204)。二次認証の要求に係る信号は、患者健康情報の表示を要求する患者健康情報表示要求信号に相当する。尚、認証OK信号は、仲介サーバAに直接送信されても良い。
二次認証の要求には、ここでは、暗号化された患者IDが付されると共に、患者IDに対応している健康情報リンク(URL:Uniform Resource Locator)の内容が含まれる。又、二次認証要求の通信は、HTTPS等により暗号化されている。尚、情報の暗号化及び通信の暗号化の少なくとも一方は、他の処理において行われても良い。
【0034】
仲介サーバAは、二次認証要求を受信すると、患者IDを照合し、又健康情報リンクが患者IDに対応した内容であるか確認し(S205)、確認結果が何れも良好であれば、連携認証処理S104を完了し、医師端末D1に患者健康情報を提供するための処理(S105)を行う(S206~)。
尚、二次認証要求が不適正であれば、認証せずに以後の処理を行わず、医師端末D1等に患者健康情報は送信されない。
【0035】
即ち、仲介サーバAは、認証された患者IDに対応する各機器利用者IDを付した要求(患者健康情報取得要求)を、各健康情報サーバHに送信する(S206,患者健康情報取得要求信号)。尚、分娩監視装置L1の利用前等、利用していない(機器利用者IDが発行されていない)医療機器に係る患者健康情報の取得要求は、実行されなくても良い。同様に、医師端末D1において表示すべき種別として指定されていない種別に係る患者健康情報取得要求は、(表示すべき種別として指定されるまでは)発せられなくても良い。
各健康情報サーバHは、仲介サーバAから機器利用者IDを受信すると、対応する患者健康情報を、仲介サーバAに送信する(S207)。即ち、健康情報サーバH1は、α社に係る機器利用者IDを受信すると、対応する患者の体重及び血圧(所定期間にわたるもの)を、仲介サーバAに送信する。又、健康情報サーバH2は、β社に係る機器利用者IDを受信すると、対応する患者の胎児の心拍数及び心拍波形(所定期間にわたるもの)を、仲介サーバAに送信する。
仲介サーバAと各健康情報サーバHとの間の通信においては、相手方を認証した暗号経路が形成される。この暗号経路は、ここではTLS(Transport Layer Security)により形成される。又、仲介サーバAと各健康情報サーバHとの間の通信の制御は、互いの相手方のIP(Internet Protocol)アドレスを制限して行われる(双方IPアドレス制限制御)。更に、仲介サーバAと各健康情報サーバHとの間の通信におけるデータの呼び出しは、各種の情報に対するアクセス性を向上するため、RESTfulインターフェイスを用いてなされる、RESTfulインターフェイスは、REST(REpresentational State Transfer)の原則に則って構築されたウェブシステムの呼び出しインターフェースである。尚、仲介サーバAと各健康情報サーバHとの間の通信においては、これら以外の暗号経路形成、制限制御及びデータ呼び出しがなされても良い。又、他のサーバ間において、かような暗号経路形成、制限制御及びデータ呼び出しの少なくとも何れかがなされても良い。
【0036】
仲介サーバAは、各健康情報サーバHから患者健康情報を受信すると、今回の患者健康情報表示処理S105のために、一時的に患者健康情報を仲介サーバ記憶手段46に記憶する。
仲介サーバAは、各健康情報サーバHから受信した各種の患者健康情報を統合する。即ち、仲介サーバAは、健康情報サーバH1から受信した体重及び血圧と、健康情報サーバH2から受信した胎児の心拍数の推移及び任意の時点での心拍波形と、を統合する。
そして、仲介サーバAは、特定期間に属する統合された患者健康情報を、医師端末D1に送信する(S208)。特定期間は、所定期間以内の期間である。
【0037】
医師端末D1は、仲介サーバAから特定期間に属する患者健康情報を受信すると、一時的に医師端末記憶手段26に記憶すると共に、図5に例示されるように、患者健康情報を医師端末表示手段22において表示する(S209)。
即ち、医師端末制御手段29は、医師端末表示手段22における表示の有無を患者健康情報の種別毎に指定する種別指定部22aを、医師端末表示手段22に表示させ、患者健康情報の種別毎に表示の指定を受け付ける。ここでは、体重及び血圧の表示がチェックボックスONにより指定され、胎児心拍数の非表示がチェックボックスOFFにより指定されている。又、胎児心拍波形の表示は別画面となっており、当該別画面に移行するためのボタンである胎児心拍波形表示ボタン22bが表示される。
又、医師端末制御手段29は、表示される患者健康情報の期間を指定する期間指定部22cを表示させる。ここでは、期間の開始日と終了日とが、プルダウンメニューにより指定される。
【0038】
そして、医師端末制御手段29は、表示を指定された患者健康情報として、期間内の体重及び血圧を、折れ線グラフ形式で、患者健康情報表示部22dに表示させる。尚、表示の形式は、折れ線グラフ形式以外であっても良い。患者健康情報表示部22dは、ポップアップにより表示されても良い。仲介サーバAが、医師端末D1に代わり、あるいは医師端末D1と共に、患者健康情報の描画(ページの作成)を行っても良い。折れ線グラフは、患者健康情報の種類毎に別々に表示されても良い。
医師端末制御手段29は、種別指定部22a及び期間指定部22cの各指定状態に応じ、患者健康情報の表示内容を切り替える。種別指定部22a及び期間指定部22cの各指定状態は、それぞれへの医師端末入力手段24による入力により変更される。例えば、胎児心拍数のチェックボックスがONとされると、患者健康情報としての胎児心拍数が折れ線グラフ形式で表示される。又、胎児心拍波形表示ボタン22bへの入力により、折れ線グラフ形式に係る胎児心拍波形を表示する別画面が立ち上げられる。当該別画面には、表示する胎児心拍波形の日付を指定するプルダウンメニューと、元の画面に戻るための戻るボタンが表示され、それぞれ入力が受け付けられる。
尚、表示の指定が特定期間を超えた場合、医師端末D1は超えた期間に属する患者健康情報の送信を仲介サーバAに要求し、仲介サーバAはその要求に応じても良い。又、医師端末D1は、表示する期間を都度要求し、仲介サーバAがこれに応じても良い。仲介サーバAは、統合された患者健康情報の一部のみを医師端末D1に送信しても良いし、医師端末D1における表示する患者健康情報の種類の要求に応じ、その種類に係る患者健康情報を医師端末D1に都度送信しても良い。更に、仲介サーバAは、患者健康情報につき、映像サーバVを経由して医師端末D1に送信しても良い。この場合、映像サーバVは、医師端末D1に代わり、あるいは医師端末D1と共に、患者健康情報に係る画面(ページ)を作成しても良い。
【0039】
併せて、医師端末制御手段29は、患者映像22eと、患者のプロフィールに係るプロフィール表示部22fとを表示させる。
尚、患者健康情報表示部22dにおける患者健康情報の表示時において、患者映像22e及びプロフィール表示部22fの少なくとも一方の表示を行わなくても良い。プロフィール表示部22fは、表示要求入力があったときのみ表示されても良いし、常に省略されても良い。患者健康情報は、医師端末入力手段24による情報提示ボタンへの入力等に基づき、患者端末P1に一時的に送信され、患者端末表示手段2において表示されても良い。あるいは、患者は、オンライン診療と併行して健康情報管理アプリケーションを立ち上げて、オンライン診療中に、自身の患者健康情報を、各健康情報サーバHから得て参照しても良い。
【0040】
かようなオンライン診療処理S4において、患者は、医師に情報等を伝え、医師は、患者からの情報、患者映像の様子、及び患者健康情報の参照等により、患者を診断し、患者に指導等を行う。
医師は、必要に応じ、患者に係る投薬等のための処方箋を発行する。処方箋は、医師端末D1に入力され、映像サーバV及び仲介サーバAの少なくとも一方を経由して、患者端末P1に送信される。患者は、受信した処方箋の薬局等への提示により、必要な医薬等を得ることができる。
【0041】
医師は、今回の診療の目的を達成したら、オンライン診療を終える(図4の下部,図3のS106)。例えば、医師は、医師端末表示手段22に表示された終了ボタンを押す(終了の入力)。
オンライン診療終了の旨は、映像サーバV(S210)及び仲介サーバA(S211,終了信号)に送信される。尚、当該旨は、仲介サーバAに、映像サーバVを介して送信されても良い。
医師端末D1は、終了の入力に基づき、一時記憶した患者健康情報を消去して(S212)、オンライン診療処理S4を終える。
他方、映像サーバVは、オンライン診療終了の旨受信すると、患者端末P1と医師端末D1との接続を終え、オンライン診療処理S4を終える。患者端末P1は、映像サーバVからの切断により、オンライン診療処理S4を終える。尚、医師端末D1から患者端末P1に患者健康情報が提供された場合、患者端末P1から当該患者健康情報が消去されても良い。
更に、仲介サーバAは、オンライン診療終了の旨受信すると、一時記憶した患者健康情報を消去して、オンライン診療処理S4を終える(S213)。
【0042】
医師は、オンライン診療を終えた後、今回のオンライン診療に係る決済に関する情報を入力して、決済処理S5(図2)を開始する。
【0043】
即ち、医師は、今回の保険診療報酬点数等を医師端末D1に入力し、医師端末D1は、保険診療報酬点数等から診療報酬(診療請求額)を計算し、診療IDと共に、請求基礎情報として仲介サーバAに送信する。尚、医師端末D1は保険診療報酬点数等を仲介サーバAに送信し、仲介サーバAが診療報酬を算出しても良い。又、医師は、医師端末D1に、診療報酬を直接入力しても良い。保険診療報酬点数等は、仲介サーバA及び映像サーバVの少なくとも一方が提供する決済ページにおいて入力されても良い。
仲介サーバAは、医師ID及び診療IDと診療報酬とを対応付けて仲介サーバ記憶手段46に記憶する。
【0044】
又、仲介サーバAは、患者端末P1に対し、今回の診療に関する、診療報酬(保険診療報酬点数等,請求基礎情報)に基づく診療費(患者健康情報の表示による診療の費用についての請求情報である診療請求情報)の決済手続を要求するため、診療請求情報決済要求信号を送信する。患者端末P1は、診療請求情報決済要求信号を受信すると、診療日時及び診療費を表示すると共に、診療費の決済に係る承諾の入力を承諾ボタン等において受け付け、入力があると、クレジットカード情報CC1を仲介サーバAに送信する。仲介サーバAは、クレジットカード情報CC1及び診療費を、決済サーバEを介してクレジットサーバCに送り、診療費を決済する。仲介サーバAは、決済サーバEから診療費の決済が正常に完了した旨受信すると、その旨を患者端末P1に送信して表示させる。
尚、クレジットカード情報CC1は、仲介サーバAに送信されずに決済サーバEに送信され、仲介サーバAには、クレジットカード情報CC1に対応する情報が送信され、診療費が決済されても良い。この場合、クレジットカード情報CC1は仲介サーバAに至らない。又、診療費は、所定期間(診療費決済期間,例えば1か月)毎に積算され、まとめて決済されても良い。更に、診療費に併せて、医療機器の購入代金又は貸与料金が決済されても良く、又処方箋(投薬料)が決済されても良く、健康情報管理アプリケーションの利用料が存在する場合に、その利用料が決済されても良い。
【0045】
更に、仲介サーバAは、医師ID毎の診療報酬を、所定期間(診療報酬決済期間,例えば1か月)毎に積算し、適宜システム利用料等を差し引いて決済する。
尚、診療報酬は、医師ID及び患者ID毎に積算して決済されても良いし、診療ID毎に決済されても良い。又、システム利用料等は、相殺(天引き)によらず、別途決済されても良い。システム利用料は、映像サーバVの利用料と仲介サーバAの利用料とに分かれていても良く、決済サーバE(クレジットサーバC)の利用料が別個に考えられても良い。医師(病院)に対する決済は、決済サーバE(クレジットサーバC)によるものであっても良いし、他のものであっても良い。以上の決済の一部又は全部は、映像サーバV(γ社)において行われても良い。
【0046】
尚、仲介サーバAは、健康情報サーバH1,H2の少なくとも一方から、患者健康情報の蓄積の費用についての請求情報である蓄積請求情報(例えば体重計W1による日々の体重のオンライン記憶サービスの月額使用料)を受信し、患者端末P1に、上述の診療請求情報の場合と同様に、蓄積請求情報についての決済を要求する蓄積請求情報決済要求信号を要求して、その決済を処理しても良い。この場合、患者とα社,β社との間における健康情報の蓄積の決済は、患者とδ社との間におけるオンライン診療の決済と同様に処理され、患者は、健康情報の蓄積の費用を、診療費と同様に決済することができる。
又、仲介サーバAは、映像サーバVがオンライン診療(映像通信)についてのサービス料(費用)を患者に請求する場合、映像サーバVから、その費用についての請求情報である映像通信請求情報を受信し、患者端末P1に、上述の診療請求情報の場合と同様に、映像通信請求情報についての決済を要求する映像通信請求情報決済要求信号を要求して、その決済を処理しても良い。この場合、患者とγ社との間における映像通信の決済は、患者とδ社との間におけるオンライン診療の決済と同様に処理され、患者は、映像通信の費用を、診療費と同様に決済することができる。
更に、仲介サーバAは、診療請求情報、蓄積請求情報、及び映像通信請求情報の少なくとも何れか2つを、統一して(費用を合算した新たな請求情報として)決済処理しても良い。この場合、仲介サーバAは、患者に係る各種の決済処理を、患者端末P1に対して統一して行うことができ、患者は、各種の費用をまとめて決済することができる。
【0047】
このようにして、診療システムMにより、患者健康情報を参照可能なオンライン診療が提供され、順次のオンライン診療が必要であれば(出産後の良好な経過が確認される等の診療目的の達成があるまで)、処理が適宜S2から繰り返される。
又、異なる患者に係る患者端末P2,患者通信装置Q2等に対しても、患者端末P1,患者通信装置Q1等と同様に、その患者の患者健康情報を参照可能なオンライン診療の処理が実行される。
【0048】
≪作用効果等≫
かような診療システムMは、次のような作用効果を奏する。
即ち、診療システムMは、仲介サーバ通信手段47を有する仲介サーバAを備えており、仲介サーバAは、医師のコンピュータである医師端末Dから、患者の健康に関する情報である患者健康情報の表示を要求する患者健康情報表示要求信号(二次認証要求S204)を、複数の種別(体重,血圧,胎児状態)において受信すると、患者健康情報を蓄積するコンピュータであるα社,β社の健康情報サーバH1,H2に、対応する種別に係る患者健康情報の取得を要求する患者健康情報取得要求信号S206をそれぞれ送信して、各健康情報サーバHから患者健康情報を受信し(健康情報サーバH1から体重及び血圧に係る患者健康情報を受信すると共に健康情報サーバH2から胎児状態に係る患者健康情報を受信し)、受信した各患者健康情報を、医師端末Dに送信する。
更に、仲介サーバAは、複数の健康情報サーバH1,H2から受信した患者健康情報を統合する。
よって、診療システムMは、体重を取得する体重計W及び血圧を取得する血圧計Bの管理者(α社)と、胎児状態を取得する分娩監視装置Lの管理者(β社)とが異なっていても、仲介サーバA(δ社)により、一括して医師端末Dに患者健康情報をオンラインで提供することができる。又、診療システムMでは、例えば体重を取得する体重計Wの管理者が、体重計メーカーα1社及び競合のα2社のように複数存在している場合のように、同じ種別の患者健康情報に対して管理者が複数存在していたとしても、仲介サーバAの仲立ちにより、各患者の患者健康情報を、医師端末Dに、適宜統合した形でオンラインにより提供することができる。オンラインでの各種患者健康情報の提供により、オンライン診療の精度が実際にオンライン運用可能な程度以上に確保され、患者の実際の通院の機会が減少して、患者の通院の負担及び病院の業務負担が低減されるし、感染症流行時における患者、医師及び病院スタッフの感染リスクが低減され、患者の受信控えが抑制される。
特に、産婦の場合、他の患者に比べ、実際の緊急処置を要する事態の発生可能性が低く、又患者健康情報の経過のチェックが、産婦の体の比較的に大きな変化に鑑みてより重要であり、更に感染症への配慮が、産婦だけでなく胎児へも影響が及び得ることに鑑みてより一層必要であることから、診療システムMによるオンライン診療が適している。
【0049】
又、仲介サーバAは、各健康情報サーバHから受信した患者健康情報を記憶する仲介サーバ記憶手段46を有しており、医師端末Dから患者健康情報の表示の終了に係る終了信号を受信すると(S211)、患者健康情報を仲介サーバ記憶手段46から消去する(S213)。
よって、患者健康情報は、オンライン診療における参照時以外において、仲介サーバAに存在しておらず、患者のプライバシーに関わる患者健康情報の漏洩リスクが、患者健康情報を仲介サーバAに常に保持する場合に比べ、十分に低減される。従って、診療システムMは、多様な患者健康情報が参照可能である十分に正確なオンライン診療を実現しながら、セキュリティーへの十分な配慮がなされたものとなっている。
【0050】
更に、仲介サーバAは、医師端末Dから、患者健康情報の表示による診療の費用についての請求情報(診療費)である診療請求情報を受信し、その診療における患者のコンピュータである患者端末Pに、診療請求情報についての決済を要求する診療請求情報決済要求信号を送信する。
よって、診療システムMにより、オンライン診療における簡便な決済が実現される。特に、患者映像及び医師映像を送受信する映像サーバVにおいて患者に対する決済が実現されていなかったとしても、仲介サーバAにより簡便な決済が実現される。
【0051】
加えて、診療システムMは、医師端末Dと、医師端末D及び患者のコンピュータである患者端末Pを、互いに映像通信可能に接続する映像サーバVと、を備えており、医師端末Dは、映像サーバVに対し、患者健康情報の表示を要求する前段階患者健康情報表示要求信号(S201)を、医師端末Dに係る識別のための情報である医師IDの下で送信し、映像サーバVは、前段階患者健康情報表示要求信号についての医師IDを用いた認証(S202)が正しく行われると、医師端末Dに、患者健康情報表示要求信号の仲介サーバAへの送信を許容する患者健康情報表示要求許容信号を送信し(S203)、医師端末Dは、患者健康情報表示要求許容信号を受信すると、患者健康情報表示要求信号を仲介サーバAへ送信する(二次認証要求S204)。
よって、オンライン診療が一次的に映像サーバVで実施され、映像サーバVが既設されている場合等において、患者健康情報を総合的に提供する二次的な実施主体としての仲介サーバAと映像サーバVとの連携が、簡単且つ良好に図られる。又、前段階を設けた二段階の認証により、患者健康情報に対する不正アクセスがより一層抑制されて、より優れたセキュリティー性能が確保される。
【0052】
≪変更例等≫
尚、診療システムMは、上述の変更例の他、次のような変更例を適宜有する。
即ち、診療システムMにおける少なくとも何れか二つのコンピュータは、インターネットINではなく専用線又は電話網等を介して通信可能に接続されていても良く、要するに通信網により接続されていれば良い。
更に、診療システムMの処理(各フローチャート)における各ステップは、実質的に同様な他の内容のステップに置き換えられても良いし、実質的に同様な内容となる複数のステップに分割されても良いし、少なくとも何れか二つが互いに結合されても良いし、順序が適宜入れ替えられても良い。
診療システムMは、患者映像及び医師映像の送受信を伴わない状態で、複数の健康情報サーバHに係る患者健康情報を医師にオンラインで提供するものであっても良い。
【符号の説明】
【0053】
46・・仲介サーバ記憶手段(記憶手段)、47・・仲介サーバ通信手段(通信手段)、A・・仲介サーバ(仲介コンピュータ)、D・・医師端末(医師コンピュータ)、H・・健康情報サーバ(健康情報コンピュータ)、M・・(オンライン)診療システム、V・・映像サーバ(映像コンピュータ)。
図1
図2
図3
図4
図5