(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160868
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】後処理装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20221013BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B65H31/38
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065347
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐史
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB03
3F048BB08
3F048CA02
3F048CC01
3F048DC00
3F048EB32
3F048EB39
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BH12
3F054CA03
3F054CA23
3F054CA34
3F054DA01
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】精度の高い整合処理を実行可能な後処理装置を提供する。
【解決手段】搬送経路を通して搬送された記録材が積載される記録材積載部と、記録材積載部において、記録材を整合する整合部材と、整合部材を移動させる駆動部と、メディアセンサーによって取得された記録材の物性値の情報に基づき、駆動部を駆動する整合処理の動作パラメータを決定する制御部とを有する後処理装置を構成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路を通して搬送された記録材が積載される記録材積載部と、
前記記録材積載部において、前記記録材を整合する整合部材と、
前記整合部材を移動させる駆動部と、
メディアセンサーによって取得された前記記録材の物性値の情報に基づき、前記駆動部を駆動する整合処理の動作パラメータを決定する制御部と、を有する
後処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記物性値の情報とともに、前記記録材に対する画像形成条件、前記整合処理を行う前記記録材の枚数、及び、動作環境の少なくとも1以上の情報に基づき、前記動作パラメータを決定する
請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記記録材積載部において積載された前記記録材の端部を検出する端部検出センサーを備え、
前記制御部は、前記端部検出センサーが検出した前記記録材の端部の情報を基に、積載された前記記録材の整合状態を検出する整合状態検出部を有し、
前記記録材の前記物性値の情報と前記整合状態に基づき、前記駆動部を駆動する整合処理の動作パラメータを決定する、
請求項1又は2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、生成された前記動作パラメータを記憶するパラメータ記憶部に記憶された前記動作パラメータの履歴を基に前記動作パラメータを決定する
請求項2に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記パラメータ記憶部は、決定された前記動作パラメータと、前記動作パラメータの決定に用いた前記物性値の情報、前記画像形成条件、前記記録材の枚数、及び、前記動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報を記憶する
請求項4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記物性値の情報と、前記パラメータ記憶部に記憶された実行済み前記動作パラメータとにより機械学習を行った学習済みモデルを用いて、前記物性値の情報を入力したときの出力として前記動作パラメータを決定する
請求項5に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記物性値の情報と、前記画像形成条件、前記記録材の枚数、及び、前記動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報と、前記パラメータ記憶部に記憶された実行済み前記動作パラメータとにより機械学習を行った学習済みモデルを用いて、前記物性値の情報と、前記画像形成条件、前記記録材の枚数、及び、前記動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報を入力したときの出力として前記動作パラメータを決定する
請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記記録材積載部において積載された前記記録材の端部を検出する端部検出センサーを備え、
前記制御部は、前記端部検出センサーが検出した前記記録材の端部の情報を基に、積載された前記記録材の整合状態を検出する整合状態検出部を有し、
前記制御部は、
前記物性値の情報と、前記記録材の整合状態と、前記画像形成条件、前記記録材の枚数、及び、前記動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報と、前記パラメータ記憶部に記憶された実行済み前記動作パラメータとにより機械学習を行った学習済みモデルを用いて、前記物性値の情報と、前記記録材の整合状態と、前記画像形成条件、前記記録材の枚数、及び、前記動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報とを入力したときの出力として前記動作パラメータを決定する
請求項7に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記整合部材は、前記記録材の搬送方向と平行な方向の端部、及び、前記記録材の搬送方向と直交する方向の端部の少なくとも一方を整合する
請求項1から8のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記動作パラメータとして、前記整合部材の動作回数、前記整合部材の移動速度、前記整合部材の移動量、及び、前記駆動部の駆動トルクから選ばれる少なくとも1以上の駆動条件を決定する
請求項1から9のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項11】
前記メディアセンサーは、平滑度、剛度、厚みの少なくとも1つを前記記録材の物性値として取得する
請求項1から10のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項12】
前記メディアセンサーは、帯電量、含水率、及び、流れ目の少なくとも1つを前記記録材の物性値として取得する
請求項1から11のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項13】
前記メディアセンサーは、前記搬送経路上に配置される
請求項1から12のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記記録材の坪量、サイズ、種類、印字面、及び、カバレッジから選ばれる少なくとも1以上の情報を基に、前記動作パラメータを決定する
請求項2から13のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項15】
前記整合状態検出部は、前記記録材の整合処理中の整合状態、及び、整合処理後の整合状態の少なくとも一つを検出する
請求項3に記載の後処理装置。
【請求項16】
前記整合状態検出部は、整合処理中に前記記録材の整合状態を2回以上検出する
請求項15に記載の後処理装置。
【請求項17】
排紙された前記記録材が積載される前記記録材積載部、及び、前記搬送経路の途中に設けらえた前記記録材積載部の少なくともいずれか1以上に、前記整合部材を備える
請求項1から16のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項18】
画像形成装置と、後処理装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置に設けられた、記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記後処理装置に設けられた、前記画像形成部から搬送経路を通して搬送された記録材を積載する記録材積載部と、
前記後処理装置に設けられた、前記記録材積載部において、前記記録材の搬送方向と平行な方向の前後端部、及び、搬送方向と直交する方向の側端部の少なくとも一方の端部を整合する整合部材と、
前記後処理装置に設けられた、前記整合部材を移動させる駆動部と、
前記記録材の物性値を取得するメディアセンサーと、
前記メディアセンサーによって取得された前記記録材の前記物性値の情報に基づき、前記駆動部を駆動する整合処理の動作パラメータを決定する制御部と、を有する
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置、及び、後処理装置を備える画像形成システムに係わる。
【背景技術】
【0002】
画像が形成された記録材に対し、ステープル処理やパンチ加工等の後処理を行う後処理装置が知られている。後処理装置では、積載部に積載された状態の記録材に対して後処理を行う。後処理を行うためには、積載された記録材の端部を揃える処理(整合処理)を行う必要がある。このため、後処理装置は、記録材の積載部に堆積された記録材の端部を整合するための整合部材を備えている。後処理装置は、記録材の端部を整合する側の方向から記録材に向かって整合部材を移動させ、端部が整合するように記録材を移動させることによって整合処理を実行する。
【0003】
整合部材を備える後処理装置として、記録材の積載量、サイズ、及び、材質等から整合処理の動作パラメータを決定する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成の後処理装置では、記録材の種類を検出可能なシート種類検出センサーを用いて、上質紙や再生紙等の記録材の紙種を検知し、整合処理の動作パラメータを決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の後処理装置のように、シート(記録材)の種類に応じて整合処理の動作パラメータを決定するだけでは、精度の高い整合処理を行うことが難しい。例えば、同じシート種類であっても温度、湿度等の環境等によっては用紙の表面状態や体積、重さ等が変化することがある。整合処理においては、このような状態の記録材に対して整合力が強すぎると記録材に撓みや折れ等の座屈が発生しやすいため、整合処理の精度が低下する。また、整合力が弱い場合には、積載された記録材を十分に移動できず、整合処理の精度が低下する。
【0006】
上述した問題の解決のため、本発明においては、精度の高い整合処理を実行可能な後処理装置、及び、画像形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の後処理装置は、搬送経路を通して搬送された記録材が積載される記録材積載部と、記録材積載部において、記録材を整合する整合部材と、整合部材を移動させる駆動部と、メディアセンサーによって取得された記録材の物性値の情報に基づき、駆動部を駆動する整合処理の動作パラメータを決定する制御部とを有する。
【0008】
また、本発明の画像形成システムは、画像形成装置と、後処理装置と、を備える画像形成システムであって、画像形成装置に設けられた記録材に画像を形成する画像形成部と、後処理装置に設けられた画像形成部から搬送経路を通して搬送された記録材を積載する記録材積載部と、後処理装置に設けられた記録材積載部において記録材の搬送方向と平行な方向の前後端部、及び、搬送方向と直交する方向の側端部の少なくとも一方の端部を整合する整合部材と、後処理装置に設けられた整合部材を移動させる駆動部と、記録材の物性値を取得するメディアセンサーと、メディアセンサーによって取得された記録材の物性値の情報に基づき、駆動部を駆動する整合処理の動作パラメータを決定する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、精度の高い整合処理を実行可能な後処理装置、及び、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】後処理装置を備える画像形成システムの概略構成図である。
【
図2】画像形成装置の画像形成部の内部構成を示す図である。
【
図3】画像形成システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】画像形成装置の排紙部に設けられた後処理装置の構成を示す図である。
【
図5】整合処理の段階ごとの整合部材の動作を示す図である。
【
図6】整合処理の段階ごとの整合部材の動作を示す図である。
【
図7】整合処理の段階ごとの整合部材の動作を示す図である。
【
図8】整合処理の段階ごとの整合部材の動作を示す図である。
【
図9】画像形成システムの制御部の機能ブロック図である。
【
図10】パラメータ記憶部が記憶する整合履歴のデータテーブルの例である。
【
図11】記録材の物性値を基に整合条件を決定する整合処理のフローチャートである。
【
図12】記録材の物性値に加えてその他の条件を基に整合条件を決定する整合処理のフローチャートである。
【
図13】画像形成後に記録材の物性値を検出して整合条件を決定する整合処理のフローチャートである。
【
図14】記録材の物性値を基にジョブ毎に整合条件を決定する整合処理のフローチャートである。
【
図15】後処理装置を備える画像形成システムの概略構成図である。
【
図17】画像形成システムの構成例を示すブロック図である。
【
図18】幅方向整合部材、及び、搬送方向整合部材を備える平綴じユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成システム、及び、後処理装置の第1実施形態
2.後処理装置、及び、整合部材の構成
3.画像形成システム、及び、後処理装置の第2実施形態
【0012】
〈1.画像形成システム、及び、後処理装置の第1実施形態〉
以下、画像形成システム、及び、画像形成システムが備える後処理装置の具体的な実施の形態(第1実施形態)について説明する。
図1に、後処理装置を備える画像形成システムの概略構成図を示す。
図1に示す画像形成システム10は、画像形成装置100と後処理装置200とを備える。画像形成装置100は、コピー、スキャナ、プリンタ、及び、ファクシミリ等の機能を有する複合機でありネットワークを介したデータの送受信が可能な構成である。後処理装置200は、画像形成装置100から排紙された記録材の端部を、記録材の積載部上の所定の位置に移動させる処理(以下、単に整合、又は、整合処理と称する)を行う。
【0013】
図1に、画像形成システム10の外観図を示すように、画像形成システム10を構成する画像形成装置100は、操作部11、表示部12、画像読取部13、及び、画像形成部14を主要な構成として備える。
また、画像形成装置100の上部には、原稿を自動的に画像読取部13へ送るADF(Auto Document Feeder)17が配置されている。画像形成装置100の下部には、画像形成部14に記録材を供給する複数の給紙部18が配置されている。画像形成装置100の中央部には、画像形成された記録材が排紙される排紙口21と、排紙口21から排出された記録材が積載される排紙トレイ19とが配置されている。
【0014】
また、画像形成装置100において、排紙口21の直後の排紙トレイ19上に、後処理装置200が備えられている。後処理装置200は、搬送経路を搬送された記録材が積載される記録材積載部である排紙トレイ19上において、積載された記録材の整合処理を行う。
【0015】
さらに、画像形成装置100の内部には、ネットワークを介して外部機器と画像データ等の送受信を行なう通信部16、及び、画像形成装置100の統括制御する情報処理部23が設けられている。通信部16は、図示を省略したネットワーク・インターフェイスを介して外部機器との間で各種データの送受信を実行する。
図1に示す画像形成装置100において、操作部11は、複数のキーを備え、当該キーに対するユーザーの操作による各種の指示や、文字、数字等のデータの入力を受付ける。表示部12は、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像に関する情報等を表示する。
【0016】
画像読取部13は、写真、文字、絵等の画像情報を原稿から光電的に読取って画像データを取得する。取得した画像データ(濃度データ)は、図示しない画像処理部においてデジタルデータに変換され、周知の各種画像処理が行われた後、画像形成部14や通信部16に送られ、画像形成やデータの送信に供される。また、後の利用のために情報処理部23に格納される。情報処理部23の構成の詳細は後述する。
通信部16は、公衆電話回線を介してファクシミリデータの送受信を行なう他、LAN、インターネット等のネットワークを介して、該ネットワークに接続される外部機器との間でデータの送受信を行なう。
画像形成部14は、取得した画像データに基づいて記録材上に画像を形成する。画像形成部14は、画像形成に用いる画像データを、例えば、画像読取部13により取得された画像データ、通信部16により外部機器から受信した画像データ、及び、情報処理部23に格納されている画像データ等から取得する。
【0017】
[画像形成部の構成]
図2に、画像形成装置100の画像形成部14の内部構成を示す。画像形成装置100は、主要な構成として、作像部501、搬送部520、及び、メディアセンサー533を備える。
【0018】
作像部501は、カートリッジ528a,528b,528c,528d、及び、中間転写ベルト502を備える。
カートリッジ528a,528b,528c,528dにはそれぞれ、感光体503a,503b,503c,503d、帯電部505a,505b,505c,505d、露光部506a,506b,506c,506d、及び、現像部504a,504b,504c,504dが内蔵されている。
【0019】
帯電部505a,505b,505c,505dは、感光体503a,503b,503c,503dを帯電させる。露光部506a,506b,506c,506dは、感光体503a,503b,503c,503dに画像パターンを露光して静電潜像を形成する。現像部504a,504b,504c,504dは、感光体503a,503b,503c,503dに形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する。
【0020】
また、作像部501は、現像部504a,504b,504c,504dにトナーを補給する、トナーボトル525a,525b,525c,525dを備える。トナーボトル525a,525b,525c,525dは、内部に撹拌羽526a,526b,526c,526dを有する。トナーボトル525a,525b,525c,525dは、撹拌羽526a,526b,526c,526dを動作させることにより、現像部504a,504b,504c,504dにトナーを補給する。
さらに、作像部501は、現像部504a,504b,504c,504dのトナー量を測定するトナーセンサー531a,531b,531c,531dを備える。
【0021】
中間転写ベルト502は、感光体503a,503b,503c,503d上に形成された4色のトナー像を重ねて画像形成する。中間転写ベルト502には、各色のカートリッジ528a,528b,528c,528dに対応して、1次転写ローラ534a,534b,534c,534dが内蔵されている。
また、中間転写ベルト502上には、転写残トナーを中間転写ベルト502から分離する中間転写ベルトクリーナ507が設けられている。そして、中間転写ベルトクリーナ507によって中間転写ベルト502から分離された転写残トナーは、廃トナーBOX515に収納される。
【0022】
記録材を搬送する搬送部520は、給紙ローラ508、給紙センサー532、タイミングローラ510、2次転写ローラ511、除電布530、定着ローラ512、排紙ローラ513、及び、両面経路搬送ローラ514a,514bを備える。
【0023】
給紙ローラ508は、給紙部18から搬送経路に記録材を給紙する。給紙センサー532は、記録材が給紙部18から給紙されたことを検知する。タイミングローラ510は、作像部501の画像形成のタイミングに合わせて搬送された記録材を一旦停止させる。2次転写ローラ511は、中間転写ベルト502に画像形成されたトナー像を記録材上に転写する。除電布530は、トナー像の転写後の記録材の除電を行うために設けられている。
【0024】
定着ローラ512は、転写されたトナー像を記録材上に定着する。定着ローラ512は、加熱ローラ512a、及び、加圧ローラ512bを備える。
排紙ローラ513は、定着ローラ512を通過後の記録材を、排紙口21を通して排紙トレイ19に排出、又は、両面搬送経路529へ搬送する。
両面搬送経路529には、排紙ローラ513からタイミングローラ510まで記録材を搬送する両面経路搬送ローラ514a,514bが配置されている。
【0025】
画像形成装置100において、搬送部520は、排紙ローラ513の下流側の記録材の排紙口21に、図示しない排紙センサーを有する。排紙センサーは、排紙トレイ19上に排紙された記録材の枚数を検出する。例えば、排紙トレイ19上の積載枚数は、排紙センサーを起動(ON)してから排紙された記録材の枚数を計数して検出する。また、排紙センサーは、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数の上限を検出する。例えば、排紙センサーは、排紙トレイに150枚の紙がある状態で起動した場合、起動後に所定枚数(例えば100枚)を排紙した場合に、排紙トレイ19上の記録材の積載上限を検出する。
【0026】
また、画像形成システム10は、画像形成装置100の筐体内に環境検出部535を有する。環境検出部535は、画像形成システム10の動作環境として、搬送される記録材の周囲の温度や湿度等を検出する。
【0027】
[メディアセンサー]
メディアセンサー533は、記録材の搬送経路において、給紙センサー532の下流側に配置されている。メディアセンサー533は、記録材の物性値を取得する。なお、メディアセンサー533の配置は、記録材の搬送経路上であれば特に限定されない。例えば、
図2に示すように、作像部501よりも上流側に配置することにより、メディアセンサー533で検出した物性値に応じて画像形成条件を設定することができる。また、例えば、定着ローラ512よりも下流側に配置することにより、定着ローラ512で加熱及び加圧された後の記録材の物性値を取得することができる。メディアセンサー533が取得した記録材の物性値に基づいて、情報処理部23(
図1)は、後述する制御部300(
図3)において後処理装置200が実行する整合処理の条件(整合条件、動作パラメータ)を決定する。
【0028】
メディアセンサー533は、記録材の物性値として、例えば、記録材に固有の物性値である平滑度、剛度、及び、厚さを検出する。また、メディアセンサー533は、周囲の環境や使い方によって変異する記録材の帯電量、含水率、及び、流れ目(記録材の繊維方向の角度)を検出する。帯電量は、記録材が外部環境の影響を受け、搬送経路との摩擦によって生じる。含水率は、外部環境及び画像形成装置100の定着処理によって変化する。流れ目は、ユーザーによる給紙部18への記録材のセット方法に依存する。なお、帯電量、及び、含水率は、メディアセンサー533を定着ローラ512よりも下流側に配置する構成の画像形成システム10に適用することが好ましい。定着ローラ512の下流側で物性値を取得することにより、定着処理によって変化した記録材の帯電量、及び、含水率を取得できる。
【0029】
メディアセンサー533は、上記の物性値から少なくとも1種以上を検出することが好ましい。なお、メディアセンサー533は、上記以外の記録材の物性値を取得してもよい。また、メディアセンサー533の構成は特に限定されない。上記の記録材の物性値の取得が可能であれば、従来公知の検出装置を特に限定することなく使用することができる。
【0030】
[ブロック図]
次に、
図3に、画像形成システム10の構成例のブロック図を示す。
図3に示すように、画像形成システム10の画像形成装置100は、情報処理部23、通信部16、給紙部18、画像読取部13、及び、画像形成部14を備える。また、画像形成装置100は、メディアセンサー533、環境検出部535、及び、排紙センサー536を備える。
【0031】
画像形成装置100において、情報処理部23は、データ入出力部308、データ通信制御部309、制御部300、不揮発メモリ312、及び、画像メモリ313を有する。情報処理部23は、画像メモリ313に格納されたジョブの削除、出力等の制御を行う。また、情報処理部23は、操作部11を通じてユーザーからジョブの実行指示を受け付ける。また、情報処理部23は、表示部12を通じて、選択メニューの表示、画像読取部13で取得した画像データの情報等を表示する。
【0032】
制御部300は、CPU321、ROM322、及び、RAM323を有する。CPU321は、画像形成装置30内の各部から通知される情報に基づいて、画像形成装置100全体の動作を統括制御する。ROM322には、各種のプログラムやデータが格納され、CPU321はROM322からプログラムやデータを読み出して画像形成装置100を制御する。RAM323は、CPU321が画像形成装置100を制御する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。
【0033】
不揮発メモリ312は、例えば、ハードディスク等からなり、画像読取部13で取得した画像データや、ネットワークを介して外部から取得した画像データ等を記憶する。
また、不揮発メモリ312は、画像形成ジョブにおいて設定された画像形成条件を格納する。例えば、不揮発メモリ312は、ユーザーが操作部11を介して入力した画像形成条件や、予め使用する記録材に対して設定されている条件を記憶する。不揮発メモリ312は、画像形成ジョブに用いる記録材に設定された画像形成条件として、例えば、記録材の坪量、サイズ、種類、印字面、及び、カバレッジ等の条件を記憶する。
【0034】
制御部300は、不揮発メモリ312に記憶された画像データを取得し、ユーザから受け付けたジョブの内容に応じて各種の処理を行う。例えば、制御部300は、ファクシミリ部302を用いて画像データを外部へ送信する。また、制御部300は、画像形成部14を用いて、給紙部18への記録材の搬出の指示や、画像形成部14へ画像形成の実行を指示する。
【0035】
制御部300には、データ入出力部308、及び、通信部16が接続されている。データ入出力部308には、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)ベースのネットワークのLAN(Local Area Network)端子315と、USB(Universal Serial Bus)端子316と、パラレルインタフェース端子317と、シリアルインタフェース端子318等のインタフェース端子が複数設けられる。データ入出力部308は、上記の各端子に外部機器が接続された場合、制御部300によって外部機器からデータの読み出し、書き込み、及び、削除等の処理が行われる。
通信部16は、ファクシミリ部302、及び、通信制御部303を備え、画像形成システム10の外部と、ネットワークを介してデータの送受信を行う。
【0036】
メディアセンサー533は、取得した記録材の物性値を情報処理部23の制御部300に送信する。制御部300は、メディアセンサー533が取得した記録材の物性値に基づいて、後処理装置200が実行する整合処理の条件(整合条件、動作パラメータ)を決定する。
環境検出部535は、画像形成システム10が稼働する周囲の温度や湿度等の動作環境を検出し、制御部300に送信する。制御部300は、後処理装置200が実行する整合処理の条件(整合条件、動作パラメータ)を決定する際に、環境検出部535が取得した環境条件を参照してもよい。
排紙センサー536は、画像形成装置100の排紙口21を通過する記録材の枚数を検出し、制御部300に通過枚数を送信する。制御部300は、後処理装置200が実行する整合処理の条件(整合条件、動作パラメータ)を決定する際に、排紙センサー536が取得した記録材の通過枚数を基に、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を参照してもよい。
【0037】
後処理装置200は、整合部材201、駆動部202、端部検出部(端部検出センサー)204、及び、制御部203を有する。
制御部203は、図示しないCPU、ROM、及び、RAMを有する。制御部203のCPUは、ROMに格納されている各種処理プログラムを読出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って後処理装置200の各部の動作を統括的に制御する。
【0038】
また、後処理装置200の制御部203は、画像形成装置100の制御部300と相互に通信することにより連携して画像形成システム10の駆動を制御する。例えば、制御部203は、画像形成装置100の制御部300からメディアセンサー533が取得した記録材の物性値を取得してもよい。そして、制御部203が、取得した記録材の物性値を基に、後処理装置200が実行する整合処理の条件(整合条件、動作パラメータ)を決定してもよい。
【0039】
整合部材201は、画像形成装置100の排紙トレイ上に配置され、排紙トレイに積載されている記録材の端部を叩いて所定位置に移動させ、記録材を整合する。駆動部202は、整合処理の際に整合部材201を移動させるための駆動源である。制御部203によって駆動部202を駆動することにより、整合部材201が排紙トレイ上で移動する。そして、制御部300、又は、制御部203が決定した整合条件に基づいて駆動部202が整合部材201を移動させ、記録材の整合処理を行う。
【0040】
端部検出部204は、排紙トレイ19上に積載された記録材の端部を検出する。そして、端部検出部204は、検出した記録材の端部の情報を制御部203に送信する。端部検出部204は、記録材が排紙トレイ19上に排紙された初期の状態の端部、整合部材201による整合処理中の記録材の端部、及び、整合処理後の記録材の端部の位置を検出する。そして、端部検出部204が検出した情報を基に、制御部203は、記録材積載部である排紙トレイ19上の記録材の整合状態を検出する。
【0041】
なお、上述の説明において、画像形成装置100の制御部300が行う一連の処理の一部又は全部は、後処理装置200の制御部203が行ってもよい。同様に、後処理装置200の制御部203が行う一連の処理一部又は全部は、画像形成装置100の制御部300が行ってもよい。
【0042】
〈2.後処理装置、及び、整合部材の構成〉
次に、画像形成システム10の後処理装置200の構成について説明する。
図4に画像形成装置100の排紙部に設けられた後処理装置200の構成を示す。
図4では、後処理装置200の搭載例として、記録材の堆積部である排紙トレイ19に整合部材201を配置する構成を示す。
【0043】
[後処理装置の構成]
後処理装置200は、画像形成装置100の送経路を通して搬送された記録材を積載する排紙トレイ19上に配置されている。また、後処理装置200は、排紙トレイ19上において、画像形成装置100の排紙口21側に配置されている。なお、後処理装置200は、記録材の整合が可能であれば、配置は特に限定されない。
【0044】
図4に示すように、後処理装置200は、記録材の搬送方向と直交する方向(以下、幅方向)の両端に配置された整合部材201を備える。整合部材201は、H状パターンに形成されたガイドプレート207の凹部に沿って、幅方向の端部側から中央方向に往復移動する。そして、整合部材201が幅方向に移動することにより、排紙口21から排紙されて排紙トレイ19上に積載された記録材の端部に整合部材201が接触する。そして、記録材端部に接触状態で整合部材201が幅方向に移動することにより、記録材を中央方向に押し込んで移動させ、記録材を排紙トレイ19の中央部分に整合させる。なお、
図4に示す構成では、記録材の幅方向の端部を整合する構成を示しているが、記録材の搬送方向の端部を整合する位置に整合部材を配置してもよい。
【0045】
後処理装置200において、整合部材201の移動は、
図4に図示しない制御部203(
図3参照)及び駆動部202(
図3参照)によって行う。例えば、制御部203によって駆動部202の駆動が制御され、この駆動部202の駆動によって整合部材201の移動が制御される。
【0046】
また、後処理装置200は、排紙トレイ19上に積載された記録材の端部を検知するための端部検出部204として、センサー205、及び、カメラ206を備える。なお、後処理装置200は、1つ以上の端部検出部204を有していればよい。
センサー205は、排紙トレイ19上において、ガイドプレート207のH状パターンの凹部に配置される。センサー205は、検知範囲内に位置する記録材端部の位置を検出する。なお、
図4では1つのセンサー205を用いる構成を例示しているが、排紙トレイ19の幅方向の両端部に1つづつセンサー205を設置し、この2つのセンサー205が検出したエッジの間隔を測定してもよい。
カメラ206は、画像形成装置100の筐体内に配置され、排紙口21の近傍に配置される。カメラ206は、排紙口21側から排紙トレイ19上に積載された記録材の端部を撮像する。
【0047】
[整合処理動作の説明]
次に、後処理装置200において整合部材201が記録材を整合する動作について説明する。
図5~8に、整合処理の段階ごとに整合部材201の動作を示す。
【0048】
まず、
図5に示すように、画像形成装置100の排紙口21から記録材Sが排紙される。このとき、後処理装置200は、予め駆動部202を駆動させて、整合部材201を幅方向の両端側に開いた状態で待機させる。
次に、
図6に示すように、画像形成装置100の排紙口21から記録材Sが完全に排出され、排紙トレイ19上に記録材Sが積載される。後処理装置200は、端部検出部204で排紙トレイ19上の記録材Sの端部を検出することにより、整合処理前の排紙トレイ19上の記録材Sの端部の位置情報を検出する。
【0049】
次に、
図7に示すように、後処理装置200は、駆動部202を駆動して整合部材201を記録材Sの幅に合わせて中央部に移動させ、記録材Sの整合処理を行う。後処理装置200は、制御部300及び制御部203が決定した整合処理の動作パラメータに従って整合処理を実行する。
【0050】
端部検出部204は、整合部材201の移動後の排紙トレイ19上の記録材Sの端部を検出し、排紙トレイ19上の記録材Sの端部の位置情報を検出する。例えば、整合処理後の排紙トレイ19上の記録材Sの端部の位置情報を検出する。また、整合部材201を複数回往復させて整合処理を行う場合には、整合処理中の記録材Sの端部の位置情報を検出してもよい。
【0051】
次に、
図8に示すように、整合部材201による記録材Sの整合処理が完了後、次の記録材Sが排紙口21から排紙される。そして、記録材Sが排紙トレイ19上に完全に排紙された後、後処理装置200が上述の
図5から
図7の処理を繰り返すことにより、記録材の整合を行うことができる。なお、後処理装置200による整合処理は、上述の
図5から
図8に示すように、記録材Sが1枚づつ排紙される毎に行ってもよく、排紙トレイ19上に所定の枚数が排紙される毎に、複数枚の記録材Sが積載された状態で行ってもよい。
【0052】
[制御部の構成]
上述の後処理装置200における整合部材201の駆動を制御する、後処理装置200の制御部203の機能構成について説明する。なお、整合部材201の駆動制御は、画像形成装置100の制御部300、及び、後処理装置200の制御部203のどちらが行ってもよい。以下の説明では、後処理装置200の制御部203が整合部材201の駆動制御を行う例について説明する。画像形成装置100の制御部300においても、後処理装置200の制御部203と相互に通信することにより連携して、同様の構成により整合部材201の駆動制御を行うことができる。
【0053】
図9に、制御部203の機能ブロック図を示す。制御部203は、受信部211、整合状態検出部212、積載枚数検出部213、パラメータ記憶部214、及び、整合条件決定部215を有する。
【0054】
受信部211は、メディアセンサー533が取得した記録材の物性値を受け取る。例えば、受信部211は、メディアセンサー533から、平滑度、剛度、厚み、帯電量、含水率、及び、流れ目から選ばれる少なくとも1以上の物性値を受け取る。
また、受信部211は、端部検出部204、環境検出部535、不揮発メモリ312、及び、排紙センサー536から選ばれる少なくとも1以上から情報を取得する。
受信部211は、端部検出部204が検出した、排紙トレイ19上に積載された記録材の端部の情報を取得する。例えば、受信部211は、整合処理前、整合処理の途中、及び、整合処理後のいずれかの状態において、少なくとも1回以上、記録材の端部の情報を取得する。
受信部211は、環境検出部535から、整合処理を行う環境条件を取得する。例えば、受信部211は、環境検出部535から、画像形成装置100の環境条件として温度、及び、湿度を取得する。
受信部211は、不揮発メモリ312から画像形成条件を取得する。例えば、受信部211は、不揮発メモリ312に記憶されている坪量、サイズ、種類、印字面、及び、カバレッジ等の少なくとも1種以上の画像形成条件を取得する。
受信部211は、排紙センサー536から記録材が排紙口21を通過する情報を取得する。そして、排紙口21の通過枚数を基に、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を取得する。
【0055】
整合状態検出部212は、受信部211が端部検出部204から受信した排紙トレイ19上に積載された記録材の端部の情報を基に、積載された記録材の整合状態を検出する。例えば、整合状態検出部212は、取得した記録材の端部情報から、記録材の端部位置のばらつき具合(整合度)の判定や、整合処理後の整合の成否(整合結果)の判定等を行うことにより、記録材の整合状態を検出する。また、整合状態検出部212は、端部検出部204であるセンサー205が検出した記録材の端部位置と排紙位置の中心値とから記録材の整合状態を検出する。また、整合状態検出部212は、カメラ206の撮像結果から、排紙トレイ19上の記録材端部の位置や記録材端部の凹凸を測定し、記録材の整合状態を検出する。
整合状態検出部212は、必要に応じて、記録材の整合状態を整合前、整合中、及び、整合後から選ばれる少なくとも1回以上検出する。
【0056】
積載枚数検出部213は、受信部211が排紙センサー536から取得した排紙口21での記録材の通過情報を基に、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を検出する。例えば、積載枚数検出部213は、排紙センサー536から排紙枚数を記録材の通過情報として受け取り、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を検出する。
【0057】
パラメータ記憶部214は、整合処理を実施する際に取得、及び、決定した各種条件を整合履歴として記憶する。例えば、パラメータ記憶部214は、受信部211が取得した記録材の物性値、端部情報、環境条件、及び、画像形成条件、並びに、整合状態検出部212が検出した整合状態、及び、積載枚数検出部213が検出した積載枚数等の各種情報を入力条件として記憶する。さらに、パラメータ記憶部214は、各種入力条件に対応して整合条件決定部215が決定した動作パラメータ(整合条件)を記憶する。また、パラメータ記憶部214は、整合条件決定部215が決定した動作パラメータを用いて整合処理を行った後、整合状態検出部212が判定した整合処理後の整合の成否を整合結果として記憶する。
【0058】
図10に、パラメータ記憶部214が記憶する、各種入力条件、入力条件に対応する動作パラメータ、及び、整合結果の判定を含む整合履歴のデータテーブルの一例を示す。
図10に示す例では、入力条件として、記録材の物性値である平滑度、帯電量、剛度、含水率、及び、流れ目、画像形成条件である坪量、サイズ、種類、印字面、及び、カバレッジ、並びに、積載枚数検出部213が検出した積載枚数がデータテーブルに登録されている。
そして、入力条件に対応して、整合条件決定部215が整合条件として決定した動作パラメータである移動回数、移動量、移動速度、及び、駆動トルクがデータテーブルに登録されている。
さらに、決定した動作パラメータで行った整合処理の判定結果として、正しく整合できたと判定した場合が「1」、正しく整合できなかったと判定した場合が「2」としてデータテーブルに登録されている。
なお、パラメータ記憶部214に保存される整合履歴のデータテーブルは、画像形成装置100ではなく、例えば、ネットワークを介して接続されたサーバー等に格納されていてもよい。この場合、パラメータ記憶部214は、制御部203が整合条件を決定するための情報を取得する際に、通信可能な構成として設けられていればよい。
【0059】
(整合条件の決定)
整合条件決定部215は、上述の記録材の物性値である平滑度、帯電量、剛度、含水率、及び、流れ目の少なくとも1種以上の条件を基に、後処理装置200が実行する整合処理の整合条件(動作パラメータ)を決定する。
また、整合条件決定部215は、整合条件の決定に、坪量、サイズ、種類、印字面、カバレッジ、積載枚数、及び、環境条件の少なくとも1種以上の条件を参照してもよい。坪量は、整合時の記録材の重さとして影響を有する。記録材サイズは、整合板の移動範囲に影響を与える。記録材種類、印字面及びカバレッジは、記録材同士の摩擦係数に影響を与える。
【0060】
整合条件決定部215は、整合部材201の移動回数、移動量、移動速度、及び、駆動部202の駆動トルクから選ばれる少なくとも1以上の整合条件を決定する。整合条件決定部215が決定する整合条件において、移動速度は記録材を整合する力となるが、強すぎると記録材にダメージを与えやすく、弱いと整合が難しくなる。駆動トルクは、整合する記録材の重さに対して弱いと整合が難しくなる。整合部材201の移動回数は、回数が少ないほど、生産性の向上につながる。
【0061】
整合条件決定部215は、パラメータ記憶部214に登録された、整合履歴を参照して、入力条件に合った動作パラメータを決定してもよい。例えば、整合条件決定部215は、パラメータ記憶部214に登録された整合履歴のデータテーブルにおいて、整合処理を実行する記録材の入力条件と近似するサンプルから、整合結果が「1」の出力パラメータのサンプルを抽出する。そして、整合条件決定部215は、抽出したサンプルの出力パラメータを分析し、全ての出力パラメータの中心値を整合条件として決定する。
【0062】
整合条件決定部215は、決定した整合条件を駆動部202に出力する。駆動部202は、整合条件に従って整合部材201を移動させて整合処理を行う。整合条件決定部215が決定した整合条件は、パラメータ記憶部214に記憶されて、入力条件や整合結果とともに整合履歴としてデータテーブルに登録される。
【0063】
また、整合条件決定部215は、整合状態検出部212から、整合処理前、整合処理の途中、及び、整合処理後の整合状態を取得し、整合処理の開始から終了までの記録材の整合状態を時系列で収集する。これにより、整合条件決定部215は、整合部材201のより詳細な動作パラメータを決定することができる。例えば、整合条件決定部215が決定した整合条件において移動回数が複数回であった場合、整合条件決定部215は、整合部材201が記録材を複数回叩く間に整合状態を取得する。そして、整合条件決定部215は、取得した整合処理の途中での整合状態を基に、新たに動作パラメータを決定する。新たな動作パラメータを決定することにより、整合条件決定部215は、整合性の高い整合条件として、さらに詳細な動作パラメータを決定することができる。
【0064】
また、整合条件決定部215は、動作パラメータの決定方法として、統計学や機械学習を利用してもよい。例えば、整合条件決定部215は、整合条件決定部215は、物性値の情報と、パラメータ記憶部214に記憶された実行済み動作パラメータとにより機械学習を行った学習済みモデルを用いて、物性値の情報を入力したときの出力として動作パラメータを決定することができる。また、整合条件決定部215は、物性値の情報に加えて、記録材の整合状態、画像形成条件、記録材の枚数、及び、動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報と、パラメータ記憶部に記憶された実行済み動作パラメータとにより機械学習を行った学習済みモデルを用いて、物性値の情報と、記録材の整合状態、画像形成条件、記録材の枚数、及び、動作環境から選ばれる少なくとも1以上の情報とを入力したときの出力として動作パラメータを決定することができる。
整合条件決定部215が用いる機械学習としては、例えば、入力条件毎に整合処理動作に与える影響を分析する分散分析を用いることができる。また、入力条件を説明変数として、整合が正しく行えた動作パラメータを目的変数として算出することもできる。また、そのような入力条件や算出された動作パラメータから、上記学習済みモデルを更新又は生成し、利用することができる。
【0065】
[整合処理の実施方法(1)]
次に、後処理装置200における整合処理の実施方法について説明する。
図11に、整合処理のフローチャートを示す。
図11に示すフローチャートでは、記録材の物性値を基に整合条件を決定して整合処理を実行する例について説明する。なお、以下の説明では、上述の画像形成システム10の各構成の説明と重複する説明は省略する。また、以下の説明では、画像形成装置100の制御部300を用いて整合処理を実施する例を説明するが、制御部300の代わりに後処理装置200の制御部203を用いて同様に実施することができる。
【0066】
まず、画像形成装置100の制御部300は、画像形成ジョブの開始指示を受けて、給紙部18から記録材の給紙を開始する(ステップS101)。
次に、メディアセンサー533が、搬送中の記録材に対して物性値を取得する(ステップS102)。メディアセンサー533は、記録材の物性値を取得した後、制御部300に、取得した物性値を出力する。
次に、画像形成装置100の画像形成部14において、搬送された記録材にトナー画像の転写及び定着を行って画像形成を実施する(ステップS103)。
【0067】
次に、制御部300は、受信部211で取得した記録材の物性値を基に、整合条件決定部215が整合条件(動作パラメータ)を決定する(ステップS104)。
次に、画像形成装置100は、画像形成後の記録材を排紙トレイ19上に排紙する(ステップS105)。
記録材が排紙トレイ19に積載された後、後処理装置200は、制御部300が決定した整合条件を後処理装置200に出力して駆動部202を駆動し、整合部材201を移動させて排紙トレイ19上に積載された記録材の整合処理を行う(ステップS106)。
ステップS106の処理の後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0068】
上述の処理により、メディアセンサー533で取得した記録材の物性値を基に、制御部300が整合条件を決定し、記録材の物性に合わせた精度の高い整合処理を実施できる。なお、画像形成システム10において、メディアセンサー533を画像形成部14の下流側に配置する構成の場合には、ステップS102の記録材の物性取得を、ステップS104の画像形成の実施の後に行ってもよい。
【0069】
[整合処理の実施方法(2)]
次に、後処理装置200における整合処理の実施方法として、記録材の物性値に加えて物性値以外の条件を用いて整合条件を決定する例について説明する。
図12に、整合処理のフローチャートを示す。なお、以下の説明では、画像形成装置100の制御部300を用いて整合処理を実施する例を説明するが、制御部300の代わりに後処理装置200の制御部203を用いて同様に実施することができる。
【0070】
まず、画像形成装置100は、画像形成ジョブの開始指示を受けて、給紙部18から記録材の給紙を開始する(ステップS201)。
次に、メディアセンサー533が、搬送中の記録材に対して物性値を取得する(ステップS202)。メディアセンサー533は、記録材の物性値を取得した後、制御部300に、取得した物性値を出力する。
【0071】
次に、制御部300は、受信部211がジョブで設定された画像形成条件を不揮発メモリ312から取得する(ステップS203)。
次に、画像形成装置100の画像形成部14において、搬送された記録材にトナー画像の転写及び定着を行って画像形成を実施する(ステップS204)。そして、排紙トレイ19に画像を形成した記録材を排紙する(ステップS205)。
次に、制御部300は、積載枚数検出部213において、排紙トレイ19に積載された記録材の枚数を取得する(ステップS206)。積載枚数検出部213は、例えば、排紙センサー536による排紙検知数を基に、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を検出する。
【0072】
次に、制御部300は、受信部211で取得した記録材の物性値、画像形成条件、及び、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を基に、整合条件決定部215が整合条件(動作パラメータ)を決定する(ステップS207)。
次に、後処理装置200は、制御部300が決定した整合条件を後処理装置200に出力して駆動部202を駆動し、整合部材201を移動させて排紙トレイ19上に積載された記録材の整合処理を行う(ステップS208)。
【0073】
次に、制御部300は、整合処理後の記録材の整合状態を検出し、整合結果の成否を取得する(ステップS209)。整合結果の成否は、整合状態検出部212が端部検出部204から排紙トレイ19上に積載された記録材の端部情報を取得して判定する。
次に、制御部300は、実施した整合処理で決定した整合条件と、整合条件の決定の基とした記録材の物性値、画像形成条件、及び、積載枚数の入力条件と、整合処理後の整合結果の判定とを、整合履歴としてパラメータ記憶部214のデータテーブルに保存する(ステップS210)。
【0074】
次に、制御部300は、ジョブで設定されたすべての画像形成処理が終了したかどうかを判定する(ステップS211)。ジョブで設定された画像形成が終了していない場合(ステップS211のNo)、ステップS201の処理に戻る。ジョブが全て終了した場合(ステップS211のYes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0075】
上述の処理により、メディアセンサー533で取得した記録材の物性値だけでなく、画像形成条件や積載枚数等の複数の条件を基に、制御部300が整合条件を決定することができる。このため、記録材の物性だけでなく、その他の記録材の状態にも合わせた整合条件を用いて、精度の高い整合処理を実施できる。
さらに、上述の処理では、実施した整合処理の整合条件を記憶するとともに、整合条件を決定するための入力条件(物性値、画像形成条件、積載枚数)、及び、整合処理後の整合結果の成否を整合履歴としてデータテーブルに保存する。これにより、データテーブルに保存された整合履歴を参照して、整合条件決定部215が整合条件を決定することができる。また、データテーブルに保存れた情報を用いた機械学習により、整合条件決定部215が整合条件を決定することができる。このため、上述の処理では、より精度の高い整合処理を実施できる。
【0076】
[整合処理の実施方法(3)]
次に、後処理装置200における整合処理の実施方法として、画像形成後に記録材の物性値を取得し、さらに、物性値以外の条件を用いて整合条件を決定する例について説明する。
図13に、整合処理のフローチャートを示す。この処理は、画像形成部14の下流側にメディアセンサー533が配置された構成の画像形成システム10に適用することができる。なお、以下の説明では、画像形成装置100の制御部300を用いて整合処理を実施する例を説明するが、制御部300の代わりに後処理装置200の制御部203を用いて同様に実施することができる。
【0077】
まず、画像形成装置100の制御部300は、画像形成ジョブの開始指示を受けて、給紙部18から記録材の給紙を開始する(ステップS301)。
次に、制御部300は、受信部211がジョブで設定された画像形成条件を不揮発メモリ312から取得する(ステップS302)。
そして、画像形成装置100の画像形成部14において、搬送された記録材にトナー画像の転写及び定着を行って画像形成を実施する(ステップS303)。
【0078】
次に、メディアセンサー533が、定着ローラ512を通過後の搬送中の記録材の物性値を取得する(ステップS304)。メディアセンサー533は、記録材の物性値を取得した後、制御部300に、取得した物性値を出力する。
物性値の取得後、画像を形成した記録材を排紙トレイ19に排紙する(ステップS305)。
【0079】
次に、制御部300は、積載枚数検出部213において、排紙トレイ19に積載された記録材の枚数を取得する(ステップS306)。積載枚数検出部213は、例えば、排紙センサー536による排紙検知数を基に、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を検出する。
【0080】
次に、制御部300は、受信部211で取得した定着ローラ512を通過後の記録材の物性値、画像形成条件、及び、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を基に、整合条件決定部215が整合条件(動作パラメータ)を決定する(ステップS307)。
【0081】
次に、後処理装置200は、制御部300が決定した整合条件を後処理装置200に出力して駆動部202を駆動し、整合部材201を移動させて排紙トレイ19上に積載された記録材の整合処理を行う(ステップS308)。
次に、制御部300は、整合処理後の記録材の整合状態を検出し、整合結果の成否を取得する(ステップS309)。整合結果の成否は、整合状態検出部212が端部検出部204から排紙トレイ19上に積載された記録材の端部情報を取得して判定する。
【0082】
次に、制御部300は、実施した整合処理で決定した整合条件と、整合条件の決定の基とした定着ローラ512を通過後の記録材の物性値、画像形成条件、及び、積載枚数の入力条件と、整合処理後の整合結果の判定とを、整合履歴としてパラメータ記憶部214のデータテーブルに保存する(ステップS310)。
【0083】
次に、制御部300は、ジョブで設定されたすべての画像形成処理が終了したかどうかを判定する(ステップS311)。ジョブで設定された画像形成が終了していない場合(ステップS311のNo)、ステップS301の処理に戻る。ジョブが全て終了した場合(ステップS311のYes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0084】
上述の処理では、定着ローラ512を通過後の記録材の物性値をメディアセンサー533で取得することにより、画像形成によって給紙時から変化した記録材の物性値を取得することができる。特に、定着ローラ512での加熱及び加圧によって変化した記録材の物性値を取得することができる。このため、画像形成部14の上流で記録材の物性値を取得する場合に比べ、排紙トレイ19上に積載される記録材のより正確な物性値を取得することができる。この結果、上述の処理では、より精度の高い整合処理を実施できる。
【0085】
[整合処理の実施方法(4)]
次に、後処理装置200における整合処理の実施方法として、ジョブ毎に整合条件を決定し、整合処理を実施する例について説明する。
図14に、整合処理のフローチャートを示す。なお、以下の説明では、画像形成装置100の制御部300を用いて整合処理を実施する例を説明するが、制御部300の代わりに後処理装置200の制御部203を用いて同様に実施することができる。
【0086】
まず、画像形成装置100は、画像形成ジョブの開始指示を受けて、給紙部18から記録材の給紙を開始する(ステップS401)。
次に、メディアセンサー533が、搬送中の記録材に対して物性値を取得する(ステップS402)。メディアセンサー533は、記録材の物性値を取得した後、制御部300に、取得した物性値を出力する。
次に、画像形成装置100の画像形成部14において、搬送された記録材にトナー画像の転写及び定着を行って画像形成を実施する(ステップS403)。
【0087】
次に、制御部300は、画像形成の実施後に、受信部211がジョブで設定された画像形成条件を不揮発メモリ312から取得する(ステップS404)。
そして、排紙トレイ19に画像を形成した記録材を排紙する(ステップS405)。
【0088】
次に、制御部300は、ジョブで設定されたすべての画像形成処理が終了したかどうかを判定する(ステップS406)。ジョブで設定された画像形成が終了していない場合(ステップS406のNo)、ステップS401の処理に戻る。
【0089】
ジョブで設定された画像形成が全て終了した場合(ステップS406のYes)、制御部300は、積載枚数検出部213において、排紙トレイ19に積載された記録材の枚数を取得する(ステップS407)。積載枚数検出部213は、例えば、排紙センサー536による排紙検知数を基に、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を検出する。
【0090】
次に、制御部300は、受信部211で取得した定着ローラ512を通過後の記録材の物性値、画像形成条件、及び、排紙トレイ19上の記録材の積載枚数を基に、整合条件決定部215が整合条件(動作パラメータ)を決定する(ステップS408)。
【0091】
次に、後処理装置200は、制御部300が決定した整合条件を後処理装置200に出力して駆動部202を駆動し、整合部材201を移動させて排紙トレイ19上に積載された記録材の整合処理を行う(ステップS409)。
次に、制御部300は、整合処理後の記録材の整合状態を検出し、整合結果の成否を取得する(ステップS410)。整合結果の成否は、整合状態検出部212が端部検出部204から排紙トレイ19上に積載された記録材の端部情報を取得して判定する。
【0092】
次に、制御部300は、実施した整合処理で決定した整合条件と、整合条件の決定の基とした定着ローラ512を通過後の記録材の物性値、画像形成条件、及び、積載枚数の入力条件と、整合処理後の整合結果の判定とを、整合履歴としてパラメータ記憶部214のデータテーブルに保存する(ステップS411)。
ステップS411の処理後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0093】
上述の処理では、ジョブ毎に整合条件の決定、整合処理、及び、整合履歴を格納する処理を実施する。このため、上述の
図12に示す記録材を排紙する毎に各種処理を実施する場合に比べて、整合処理にかかる制御部300への負荷や処理時間が縮小する。このため、上述の処理では、記録材の物性値等の入力条件を基に精度の高い整合処理を実施するとともに、生産性の高い画像形成が可能となる。
【0094】
なお、上述の処理は、画像形成部14の下流側にメディアセンサー533が配置された構成の画像形成システム10に適用し、画像形成後に記録材の物性値を取得してもよい。例えば、上述のステップS401からステップS405の処理を、
図13に示すステップS30からステップS305の処理に変更することにより、画像形成後にメディアセンサー533で記録材の物性値を取得して整合処理を実施することができる。
【0095】
〈3.画像形成システム、及び、後処理装置の第2実施形態〉
次に、画像形成システム、及び、画像形成システムが備える後処理装置を実施形態(第2実施形態)について説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と重複する説明は省略する。
図15に、画像形成システムの概略構成図を示す。
図15に示す画像形成システム20は、画像形成装置30と、画像形成装置30の下流側に配置された後処理装置40とを備える。
【0096】
図15に示す画像形成装置30は、給紙部38から搬送された記録材に対し、画像形成部34で画像形成を行う。そして、画像が形成された記録材を、後処理装置40に搬送する。
後処理装置40は、画像形成装置30に接続され、画像形成装置30において画像が形成された記録材に対し、平綴じ処理やパンチ処理等の各種の後処理を行う。
画像形成装置30において画像形成が行われた記録材は、後処理装置40内に搬入される。搬入された記録材は、操作表示部31においてユーザによって指定された後処理が施され、第1排紙トレイ41、第2排紙トレイ42、第3排紙トレイ43の何れか1つのトレイに排紙される。
【0097】
[画像形成装置]
画像形成装置30は、記録材に画像形成を行い、画像形成後の記録材を下流側に配置された後処理装置40に搬送することができれば特に限定されず、排紙トレイの構成を除き、上述の第1実施形態に記載の画像形成装置と同様の構成を適用できる。
【0098】
図15に示す画像形成装置30は、ユーザーの操作による各種の指示や、文字・数字等のデータの入力を受付けるとともに、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像に関する情報等の表示を行なう操作表示部31、原稿を光学的に読取って画像データを得る画像読取部13、及び、画像データに基づいて記録材上に画像を形成する画像形成部34等を備える。また、画像形成装置30は、上部に原稿を自動的に画像読取部33へ送るADF37、下部に画像形成部34に記録材を供給する給紙部38、中央部に画像データ等を記憶する画像処理部32を備える。
【0099】
[後処理装置の構成]
図16に、後処理装置40の内部構成を示す。後処理装置40は、画像形成装置30から搬送された記録材を、搬入ローラ対101によって装置内に搬入する。後処理装置40内に搬入された記録材は、搬入センサー94によって後処理装置40への到達が検知される。
【0100】
次に、搬入センサー94を通過した記録材は、メディアセンサー95によって物性値が取得される。メディアセンサー95の構成や取得する物性値については、上述の第1実施形態と同様の形態を適用できる。
【0101】
メディアセンサー95で物性値が取得された記録材は、図示しない駆動部によって分岐爪102の位置が切り替えられて、搬送経路44、搬送経路45、及び、搬送経路46にそれぞれ振り分けられる。画像形成ジョブが1部のみの出力であり、かつ記録材に対して整合処理以外の後処理を行わない場合は、記録材は搬送経路44に振り分けられる。搬送経路44に振り分けられた記録材は、排出ローラ対103から排出され、第1排紙トレイ41に積載される。
【0102】
また、分岐爪102により搬送経路45に振り分けられた記録材は、必要に応じてパンチユニット60によって1枚ずつパンチ処理が行われ、排出ローラ対104から第2排紙トレイ42に排出される。分岐爪102によって搬送経路46に振り分けられた記録材は、ジョブで指示された後処理の内容に基づいて、分岐爪105の位置の切り替えにより、搬送経路47又は搬送経路48に振り分けられる。
【0103】
分岐爪105によって搬送経路47に振り分けられた記録材は、排出ローラ対106から平綴じユニット70に搬送される。平綴じユニット70は、記録材積載部71、幅方向整合部材72、搬送方向整合部材73、後端規制板74、ステイプラ75を備える。
【0104】
記録材積載部71に堆積された記録材は、自重によって後端規制板74に向かって移動し、記録材の後端が後端規制板74に当接した状態で停止する。記録材が記録材積載部71で停止した状態で、幅方向整合部材72、及び、搬送方向整合部材73は、記録材の端部を叩いて所定位置に移動させ、記録材を整合する。
【0105】
幅方向整合部材72は、図示しない駆動部により記録材の幅方向に移動可能である。幅方向整合部材72は、記録材積載部71に積載された記録材の幅方向の端部近傍において、記録材の幅方向に往復動する。これにより、幅方向整合部材72は、記録材の幅方向の端部を叩いて整合する。
搬送方向整合部材73は、図示しない駆動部により記録材搬送方向に移動可能である。搬送方向整合部材73は、記録材積載部71に積載された記録材の前端部近傍において、記録材の搬送方向に往復動する。これにより、搬送方向整合部材73は、記録材の前端端部を叩いて整合する。
【0106】
上記の幅方向整合部材72と、搬送方向整合部材73とによる整合処理動作は、メディアセンサー95が取得した記録材の物性値に基づいて、後述する制御部90(
図17)が決定した整合処理の条件(整合条件、動作パラメータ)に従って実施される。また、整合処理動作は、記録材が記録材積載部71に1枚毎に行ってもよく、所定の枚数が積載される毎に行ってもよい。
【0107】
ジョブで設定された枚数の記録材が記録材積載部71に堆積されると、記録材積載部71上の記録材に対して、ステイプラ75により平綴じ処理が実施される。平綴じ処理の完了後、平綴じ処理済みの記録材は、排出ローラ対104に向けて搬送され、排出ローラ対104から第2排紙トレイ42に排出される。このとき、搬送される記録材は、排紙センサー96によって検知される。また、平綴じ処理済みの記録材が排出ローラ対104に向けて搬送されるとき、搬送方向整合部材73、及び、幅方向整合部材72は、搬送される記録材と干渉しない位置に退避している。排紙センサー96が、平綴じ処理済みの記録材の後端を検知すると、記録材積載部71への後続の記録材の排出が開始される。
【0108】
分岐爪105により搬送経路48に振り分けられた記録材は、中綴じユニット80に搬送される。中綴じユニット80は、ステイプラ81、折りナイフ82、折りローラ対83、排出ローラ対84、及び、記録材積載部85を備える。
【0109】
中綴じユニット80に搬送されてきた記録材は、記録材積載部85の所定の位置で停止する。そして、ステイプラ81によって記録材にステープル処理が施される。ステープル処理済みの記録材は、ステープルされた位置と折りナイフ82が突き当てられる位置とが重なる位置に再搬送される。折りナイフ82は、停止した記録材に対して端部が突き当てられ、記録材に折り目が形成される。
【0110】
折りナイフ82は、記録材を折り曲げた状態でそのまま折りローラ対83のニップ部の方向に移動する。これにより、記録材が折り目側から折りローラ対83に搬送される。そして、折りローラ対83のニップ部に送り込まれた記録材に、さらに折り目が強くつけられる。折りローラ対83により折り目がつけられた記録材は、そのまま折りローラ対83に挟持されて搬送され、第3排紙トレイ43に排紙される。
【0111】
[ブロック図]
次に、
図17に、画像形成システム20の構成例のブロック図を示す。
図17に示すように、画像形成システム20は、画像形成装置30と後処理装置40とを備える。
図17において、
図15及び
図16と同等の機能を有する構成については、同一の符号を付している。
【0112】
画像形成装置30は、画像処理部32、画像読取部33、画像形成部34、操作表示部31、制御部50、不揮発メモリ35、後処理装置インターフェース(I/F)36等から構成されている。
画像読取部33は、原稿に対して図示しない光源により光を照射し、その反射光に基づいて原稿画像の画像データを読み取る。読み取られた画像データは、画像形成部34に通知されるとともに、不揮発メモリ35に格納される。
画像処理部32は、画像読取部33によって読み取られた原稿画像の画像データや、不揮発メモリ35に格納されていた画像データに対して、各種画像処理を行う。
【0113】
画像形成部34は、画像処理部32で画像処理が施された画像データに基づいて、記録材に画像を形成する。
操作表示部31は、記録材に対する画像形成や後処理に関する各種設定を受け付ける。さらに、操作表示部31は、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像に関する情報等を表示する。
【0114】
制御部50は、CPU51、ROM52、及び、RAM53から構成される。CPU51は、画像形成装置30内の各部から通知される情報に基づき、ROM52からプログラムやデータを読み出して画像形成装置30全体の動作を統括制御する。RAM53は、CPU51が画像形成装置30を制御する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。
不揮発メモリ35には、画像読取部33により読み取られた画像データ等が格納される。また、不揮発メモリ35には、画像形成ジョブにおいて設定された画像形成条件が格納される。
後処理装置I/F36は、後処理装置40と相互に各種情報の送受信を行う。
【0115】
後処理装置40は、パンチユニット60、平綴じユニット70、中綴じユニット80、排紙トレイ41,42,43、制御部90、メディアセンサー95、画像形成装置インターフェース(I/F)124、搬入センサー94、排紙センサー96、不揮発メモリ97、及び、端部検出部98等から構成されている。
【0116】
制御部90は、CPU91、ROM92、RAM93から構成される。CPU91は、後処理装置40内の各部から通知される情報に基づき、ROM92からプログラムやデータを読み出して後処理装置40を統括制御する。RAM93は、CPU91が後処理装置40を制御する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。
また、制御部90は、後処理装置40で実行する整合処理、及び、整合処理以外の各種後処理を制御する。整合処理の制御は、上述の第1実施形態と同様に実行することができる。また、整合処理以外の各種後処理の制御は従来公知の方法を用いて実行することができる。
【0117】
メディアセンサー95は、記録材の搬送経路において、メディアセンサー95は、記録材の物性値を取得する。メディアセンサー95は、取得した記録材の物性値を制御部90に送信する。
端部検出部98は、パンチユニット60、平綴じユニット70、中綴じユニット80、及び、排紙トレイ41,42,43等の記録材積載部上に積載された記録材の端部を検出する。そして、端部検出部98は、検出した記録材の端部の情報を制御部90に送信する。
【0118】
画像形成装置I/F124は、画像形成装置30と相互に各種情報の送受信を行う。制御部90は、画像形成ジョブにおいて設定された画像形成条件や後処理条件等を画像形成装置I/F124を介して画像形成装置30から取得する。
不揮発メモリ97は、画像形成装置I/F124から取得した、画像形成ジョブにおいて設定された画像形成条件や後処理条件等を格納する。
搬入センサー94、排紙センサー96はそれぞれ、
図16に示す位置において搬送される記録材を検知する。搬入センサー94及び排紙センサー96が検知した信号は、制御部90に通知される。制御部90は、通知された信号に基づいて後処理装置40の各部を制御する。
【0119】
[整合処理動作の説明]
次に、後処理装置40の平綴じユニット70における記録材の整合処理動作について説明する。
図18に、幅方向整合部材72、及び、搬送方向整合部材73を備える平綴じユニット70の構成を示す。
図18は、平綴じユニット70において、記録材積載部71に記録材Sの束が積載された状態を示している。整合処理動作は、メディアセンサー95で取得した記録材の物性値を基に、制御部90によって制御される。
【0120】
後処理装置40に記録材S1が搬入されると、搬入センサー94は、記録材S1の前端を検知し、記録材S1の到達を制御部90に送信する。さらに、メディアセンサー95が、搬送経路を通過する記録材S1の物性値を取得し、取得した物性値を制御部90に送信する。
【0121】
次に、記録材S1が搬送経路47から記録材積載部71に積載されると、図示しない端部検出部98が記録材積載部71上の記録材Sの端部を検出する。これにより、端部検出部98は、記録材積載部71に積載された整合処理前の記録材Sの端部の位置情報を検出し、検出した位置情報を制御部90に送信する。
【0122】
制御部90は、取得した記録材の物性値を基に、整合条件を決定する。整合条件の決定は、上述の第1実施形態と同様に行うことができる。また、制御部90は、記録材の物性値に合わせて、端部検出部98から取得した記録材Sの端部の情報を基に、整合条件を決定してもよい。さらに、制御部90は、画像形成装置I/F124を介して画像形成装置30から、画像形成条件や環境条件等の情報を取得し、取得したこれらの情報と記録材の物性値とを基に整合条件を決定してもよい。
【0123】
次に、制御部90は、幅方向整合部材72に接続する駆動部、及び、搬送方向整合部材73に接続する駆動部を駆動し、幅方向整合部材72及び搬送方向整合部材73を記録材Sに合わせて中央部に移動させ、記録材Sの搬送方向、及び、幅方向の整合処理を行う。各駆動部は、制御部90が決定した整合条件(動作パラメータ)に従って整合処理を実行する。
以上の処理により、後処理装置40内に配置された記録材堆積部71において、記録材の整合処理を実行することができる。
【0124】
上述のように、後処理装置40の内部に設けられた記録材積載部71においても、記録材の物性値を基に決定した整合条件を用いて、整合処理を行うことができる。上述の説明では、平綴じユニット70のみに整合部材を設ける構成を説明しているが、後処理装置40はその他の記録材積載部や、排紙トレイ41,42,43のそれぞれに整合部材を備えていてもよい。例えば、後処理装置40は、中綴じユニット80にも上述の平綴じユニット70と同様の整合部材を備え、中綴じユニット80の記録材積載部85において、ステープル処理の前に整合部材による整合処理を実施してもよい。また、後処理装置40は、各排紙トレイ41,42,43上において、排紙された記録材に対して整合部材による整合処理を実施してもよい。
【0125】
また、上述の説明では、後処理装置40の制御部90を用いて整合条件の決定、及び、駆動制御を実施する例を説明しているが、これらの整合処理は、画像形成装置30の制御部50、及び、後処理装置40の制御部90のどちらが行ってもよい。画像形成装置30の制御部50と後処理装置40の制御部90とが相互に通信することにより連携して、整合部材の駆動制御を行ってもよい。
【0126】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
10,20 画像形成システム、11 操作部、12 表示部、13,33 画像読取部、14,34 画像形成部、16 通信部、17,37 ADF、18,38 給紙部、19 排紙トレイ、21 排紙口、23 情報処理部、30,100 画像形成装置、31 操作表示部、32 画像処理部、35,97,312 不揮発メモリ、36 後処理装置インターフェース、40,200 後処理装置、41 第1排紙トレイ、42 第2排紙トレイ、43 第3排紙トレイ、44,45,46,47,48 搬送経路、50,90,203,300 制御部、51,91,321 CPU、52,92,322 ROM、53,93,323 RAM、60 パンチユニット、70 平綴じユニット、71,85 記録材積載部、72 幅方向整合部材、73 搬送方向整合部材、74 後端規制板、75,81 ステイプラ、80 中綴じユニット、82 折りナイフ、83 折りローラ対、84,103,104,106 排出ローラ対、94 搬入センサー、95,533 メディアセンサー、96,536 排紙センサー、98,204 端部検出部、101 搬入ローラ対、102,105 分岐爪、124 画像形成装置インターフェース、201 整合部材、202 駆動部、205 センサー、206 カメラ、207 ガイドプレート、211 受信部、212 整合状態検出部、213 積載枚数検出部、214 パラメータ記憶部、215 整合条件決定部、302 ファクシミリ部、303 通信制御部、308 データ入出力部、309 データ通信制御部、313 画像メモリ、315 LAN端子、316 USB端子、317 パラレルインタフェース端子、318 シリアルインタフェース端子、501 作像部、502 中間転写ベルト、503a 感光体、504a 現像部、505a 帯電部、506a 露光部、507 中間転写ベルトクリーナ、508 給紙ローラ、510 タイミングローラ、511 2次転写ローラ、512 定着ローラ、512a 加熱ローラ、512b 加圧ローラ、513 排紙ローラ、514a 両面経路搬送ローラ、515 廃トナーBOX、520 搬送部、525a トナーボトル、526a 撹拌羽、528a カートリッジ、529 両面搬送経路、530 除電布、531a トナーセンサー、532 給紙センサー、534a 1次転写ローラ、535 環境検出部、S,S1 記録材