(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160889
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】美容用のベルト状体
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065387
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】清宮 正雄
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ04
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】 身体に巻回して用いる美容用のベルト状体において、快適で効果的な装着を実現すると共に、優れた通電方法を兼ね備えたベルト状体を提供すること。
【解決手段】 身体に巻回するベルト状体1の端部近傍に巻回した状態で連結する連結部13を備え、ベルト状体1は、外装体10と、外装体10及び被覆体11の内側に少なくとも長手方向に伸縮性のある導電性の内装体20とから成る。ベルト状体1の長手方向に線状の電極部111を有する構成において、電極溝14の内部に導電性の内装体20を配すると共に、電極溝14を被覆する被覆体11を備え、被覆体11の一部が導電性を有することにより内装体20から使用者の肌面に通電する構成とすることができる
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に巻回するベルト状体の端部近傍に巻回した状態で連結する連結部を備え、
該ベルト状体は外装体と、該外装体の内側に少なくとも長手方向に伸縮性のある導電性の内装体とから成る
ことを特徴とする美容用のベルト状体。
【請求項2】
前記連結部が、長手方向と異なる所定の角度で固定可能とした
請求項1に記載の美容用のベルト状体。
【請求項3】
前記ベルト状体が、電極を備えて美容作用を及ぼすベルト状体であって、
該ベルト状体の長手方向に線状の電極部を有する構成において、
該ベルト状体に備えた内装体設置部に前記内装体を配すると共に、該内装体を内装した状態で被覆する被覆体を備え、
該被覆体の一部が導電性を有することにより該内装体から使用者の肌面に通電する
請求項1又は2に記載の美容用のベルト状体。
【請求項4】
前記内装体設置部が前記内装体の形状に対応する電極溝である
請求項3に記載の美容用のベルト状体。
【請求項5】
前記内装体が金属の平編み線である、
請求項3又は4に記載の美容用のベルト状体。
【請求項6】
前記内装体が前記被覆体又は前記外装体の内側に付着して印刷された導電性印刷領域である
請求項3に記載の美容用のベルト状体。
【請求項7】
前記被覆体が、導電性樹脂及び非導電性樹脂から形成され、
前記の導電性を有する部位を導電性樹脂で構成した
請求項3ないし6のいずれかに記載のベルト状体。
【請求項8】
前記被覆体の非導電性樹脂と当接する部位に、前記内装体に通電する通電制御部を付設する
請求項7に記載の美容用のベルト状体。
【請求項9】
身体に巻回するベルト状体において、
該ベルト状体の端部近傍に、巻回した状態で磁着作用によって連結する連結部を備える構成であって、
該ベルト状体の端部近傍を磁性粉を混入した第1の樹脂材料、該ベルト状体のその他の部位を磁性粉を混入しない第2の樹脂材料によって形成し、該第1の樹脂材料を磁化して該連結部を構成した
ことを特徴とする美容用のベルト状体。
【請求項10】
前記磁着部が、ベルト状体の長手方向に対して所定の角度で縦縞状に交互に磁極を有するにように磁化した
請求項9に記載の美容用のベルト状体。
【請求項11】
前記磁着部が、ベルト状体の長手方向に対して直交から5度ないし20度傾斜させた
請求項10に記載の美容用のベルト状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体に巻回して用いる美容用のベルト状体に関し、特に通電を伴う美容作用に適するベルト状体に係る。
【背景技術】
【0002】
使用者が頸部に装着して電気刺激を与える美容器が従来から提供されている。
例えば特許文献1は、生体の頸部に対して電気刺激を与えるための頸部電気刺激装置であって、装置を装着した際の使用者の負担が少なく、かつ、使用者の体動等に起因する電極の位置ずれや脱落を防止する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、頸部の板状筋に導子を適切に密着させて低周波治療を行うことができる低周波治療器が開示されている。
【0004】
特許文献3には、首形状に沿うために弾性を有した支持枠上に、低周波電流を流して患部を治療する導子部と、支持枠を首形状に保持させる首押さえ部を設け、導子部を多様な首形状に対して接触させて保持することができるように首押さえ部が伸縮自在な首用低周波治療器が開示されている。
【0005】
特許文献4には、首に取り付けられる装着部と、同装着部に設けられて生体にパルス電流を流す電極部と、同電極部にパルス電流を供給する本体部とを備える首用電気治療器において、装着部が首への装着状態を安定させるための保持部が端部に設ける構成が開示されている。
【0006】
特許文献5には、扁平な帯状のバンド体に ペルティエ素子を埋設し、短い周期で繰り返し皮膚の温熱、冷却を行ない、皮膚の活性化を促すことができる美容バンドが開示されている。
【0007】
また、身体に巻回した状態でベルト状体同士を連結する構造として、衣服の上から人体の腰部を締め付けるための帯状ベルト体において、一部に磁気域を設けて帯状ベルト体の端部が巻回したベルト部分に磁着するようにする構成が特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-200384号公報
【特許文献2】特開2000-079169号公報
【特許文献3】特開2000-202035号公報
【特許文献4】特許第5314549号
【特許文献5】特開平08-140735号公報
【特許文献6】実開昭56-023620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術文献に示されるような電流を用いて美容作用を行うためのベルト状体において、ベルト状体の中途に設けられる電極や美容器に対して通電する経路に技術的な課題がある。すなわち巻回時に身体にフィットし、快適な付け心地を実現するためには可撓性や伸縮性を備えている必要がある一方、通電するための金属線はこれらの障害になりやすく、両立させることが難しい。
【0010】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、身体に巻回して用いる美容用のベルト状体において、快適で効果的な装着を実現すると共に、優れた通電方法を兼ね備えたベルト状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のような美容用のベルト状体を提供する。
すなわち、本発明の第1の実施態様によれば、身体に巻回するベルト状体の端部近傍に巻回した状態で連結する連結部を備え、ベルト状体は、外装体と、該外装体の内側に少なくとも長手方向に伸縮性のある導電性の内装体とから成ることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の実施態様によれば、上記の連結部が、長手方向と異なる所定の角度で固定可能とした構成でもよい。
【0013】
本発明の第3の実施態様によれば、上記のベルト状体が、電極を備えて美容作用を及ぼすベルト状体であって、ベルト状体の長手方向に線状の電極部を有する構成において、ベルト状体に備えた内装体設置部に導電性の上記の内装体を配すると共に、内装体を内装した状態で被覆する被覆体を備え、被覆体の一部が導電性を有することにより内装体から使用者の肌面に通電する構成とすることができる。
【0014】
本発明の第4の実施態様によれば、上記の内装体設置部が内装体の形状に対応する電極溝である構成でもよい。
【0015】
本発明の第5の実施態様によれば、上記の内装体が金属の平編み線であってもよい。
【0016】
本発明の第6の実施態様によれば、上記の内装体が被覆体又は外装体の内側に付着して印刷された導電性印刷領域である構成でもよい。
【0017】
本発明の第7の実施態様によれば、上記の被覆体が、導電性樹脂及び非導電性樹脂から形成され、上記の導電性を有する部位を導電性樹脂で構成することもできる。
【0018】
本発明の第8の実施態様によれば、上記の被覆体の非導電性樹脂と当接する部位に、内装体に通電する通電制御部を付設することもできる。
【0019】
本発明の第9の実施態様によれば、身体に巻回するベルト状体において、ベルト状体の端部近傍に、巻回した状態で磁着作用によって連結する連結部を備える構成であって、ベルト状体の端部近傍を磁性粉を混入した第1の樹脂材料、ベルト状体のその他の部位を磁性粉を混入しない第2の樹脂材料によって形成し、第1の樹脂材料を磁化して連結部を構成したことを特徴とする美容用のベルト状体を提供してもよい。
【0020】
本発明の第10の実施態様によれば、第7の実施態様において、上記の磁着部が、ベルト状体の長手方向に対して所定の角度で縦縞状に交互に磁極を有するにように磁化することができる。
【0021】
本発明の第11の実施態様によれば、第8の実施態様において、上記の磁着部が、ベルト状体の長手方向に対して直交から5度ないし20度傾斜させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成を備えることによって次の効果を奏する。
ベルト状体は外装体と、外装体の内側に少なくとも長手方向に伸縮性のある導電性の内装体とから2重構造としたことで、導電性部材の内装体によって良好な通電性能を得て美容作用に寄与すると共に、外装体が変形した場合でも内装体がこれに追従して変形するため、装着感のよいベルト状体を提供することができる。
【0023】
特に、連結部を、長手方向と異なる所定の角度で固定可能とすることで、頸や腕、腰、腿など、太さが変化する部位においてベルト状体の幅方向に適切に接触させることができる。
【0024】
本発明を適用したベルト状体の長手方向に線状の電極部を有する構成において、電極溝などの内装体設置部に内装体を配することによって製造が容易である。特に被覆体を導電性樹脂及び非導電性樹脂から形成し、導電性を有する部位を導電性樹脂で構成することで、被覆体の態様によってさまざまな電極の構成を実現することができる
【0025】
さらに、被覆体の非導電性樹脂と当接する部位に、内装体に通電する通電制御部を付設することによってベルト状体に通電制御部を備える際に、絶縁を簡単に行うことができ、また内装体への通電にも便利である。
【0026】
内装体を金属の平編み線とした場合には、可撓性、伸縮性に優れ、高い電気伝導率によって長いベルト状体の随所において等しく電気を印加することができることから特に好適である。
【0027】
内装体を導電性の印刷で構成することによって可撓性、伸縮性に優れると共に、製造を容易にし、同時に防水性を高めることもできる。
【0028】
本発明において、ベルト状体の端部近傍を磁性粉を混入した第1の樹脂材料、ベルト状体のその他の部位を磁性粉を混入しない第2の樹脂材料によって形成し、第1の樹脂材料を磁化して連結部を構成することによって、磁着作用を用いた連結部を構成することができ、特に2種類の樹脂材料を行うため形成が容易である。また、磁着部の磁化の方法によって、所定の角度で連結させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係るベルト状体の身体側の分解斜視図である。
【
図2】本発明に係るベルト状体の外側の分解斜視図である。
【
図3】本発明におけるベルト状体の断面構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
図1は、本発明に係るベルト状体の身体側の分解斜視図であり、
図2は同、外側の分解斜視図である。
【0031】
本発明は、美容を行おうとする使用者が身体に巻回して用いるベルト状体であり、例えば頸部、上腕部、前腕部、腹部、腰部、大腿部、下腿部など任意の部位に適用することができる。これらの部位に対して、所定の周波数の電流を印加するEMS(Electrical Muscle Stimulation)と呼ばれる電気的筋肉刺激や、RF電流、例えば1MHz程度の高周波を印加する美容器と共に用いられるベルト状体である。
【0032】
EMSでは数Hzから数kHzの周波数で電気刺激を肌に与えることで筋収縮を起こして筋肉運動をさせたり、緊張をほぐす作用があることが広く知られている。
EMSによって表情筋である胸鎖乳突筋などをトレーニングし、シワ、弛みの除去を行う他、首回りのリンパ節にEMSによるドレナージュトリートメントを行うことで、リンパの流れを良くし、代謝を活性化することができる。
また、RF電流は、肌の内部を温め、コラーゲン・エラスチンの生成を促し、シワ・ハリ・たるみの改善を図ることもできる。
【0033】
ベルト状体には使用者の肌面に対して通電するための電極が必要であるが、従来の美容バンドでは美容器から電極に到る経路に課題があった。例えば、金属の電線を用いる場合には電気伝導率は高く、美容器から離れた電極にも均一な出力を行うことができる半面、電線は伸縮せず、また繰り返し丸めたり戻したりすると断線する恐れがある。
【0034】
一方、電線に代えて導電ラバーを用いた構成も知られているが、導電ラバーは体積抵抗が大きく美容器の出力端子から遠くなると出力が弱くなってしまい、均一に通電できない問題があった。
【0035】
そこで本発明のベルト状体(1)は樹脂材料で形成される外装体(10)と、外装体(10)の内側に少なくとも長手方向に伸縮性のある導電性の内装体(20)とから成ることを特徴とする。ベルト状体(1)には電極からの通電制御を行う美容器(3)を取り付けて使用する。美容器の外側には操作ボタン類(30)が設けられており、美容作用の操作を行うことができる。
【0036】
以下の実施例では内装体(20)を内部に収容した状態で被覆する被覆体(11)を備えた構成を開示するが、例えば内装体を金型に入れた状態で周囲に樹脂を流し込むことによって成形し、被覆体を別に用いない構成でもよい。
【0037】
本実施例においてベルト状体(1)は長さ42cm、幅5cm程度の非導電性のシリコン樹脂で形成されており、その両端は巻回後に互いに連結する連結部(13)(13)を備えている。シリコン樹脂は適度な伸縮性及び可撓性を有するので、使用者によって異なる身体の形状にフィットさせて装着することができる。
【0038】
ベルト状体(1)の略中央部には、美容器(3)が嵌合する美容器装着部(12)がシリコン樹脂によって一体的に形成されている。図示されるように円環形のリブ部(120)を成すと共に、美容器(2)から電流を出力する出力端子(31)(31)(31)に対応する端子孔部(121)(121)(121)が設けられる。端子孔部(121)は外装体(10)の身体側まで貫通しており、美容器(3)を装着すると出力端子(31)が身体側に露出する。
【0039】
外装体(10)の身体側に目を移すと、美容器装着部(12)から左右両側に上下並列の電極溝(14)が形成されている。内装体設置部である電極溝(14)は深さが表面から1mm及び2mmの2段の溝であり、浅い1段目(140)が広く、その内側に深い2段目(141)を有する。なお、本発明の実施において、内装体設置部は内装体(20)を設置する部分の名称であり、特定の形状を有する必要はない。内装体(20)と一部だけが係合する形状や、表面を滑り止め加工してもよい。
【0040】
美容器装着部(12)の底面(15)には上述した端子孔部(121)が開口すると共に、この端子孔部(121)には導電性、すなわち金属製の通電ナット(150)(150)(150)が埋設されている。
通電ナット(150)は樹脂成形時に金型内に入れて埋設してもよいし、成形後に接着してもよい。通電ナット(150)は導電性であれば金属製でなくても良い。
【0041】
通電ナット(150)の外側には、美容器(3)の出力端子(31)がスナップボタンの態様で着脱可能である。美容器(3)はこのスナップボタンの保持力と、美容器装着部(12)のシリコン樹脂の弾性によってベルト状体(1)に装着される。
【0042】
電極溝(14)の2段目(141)には、本発明に係る内装体(20)が嵌入する。
図3にはベルト状体(1)の断面構造を示す模式図を示す。本模式図は断面の構造を分かりやすく表示したものであって、実際の厚みや大きさを限定するものではない。
本実施例において内装体(20)は、
図4に示すような金属製の平編み線であり、細い金属線を縦横に編み込んだことによって、伸縮性及び可撓性を備えている。
【0043】
内装体(20)の端部には、通電ナット(150)状の小突起(151)と係合して通電するナット接続部(21)が設けられており、美容器(3)の出力端子(31)からの出力電流を通電ナット(150)を介して内装体(20)に導く。通電ナット(150)はこのように外装体(10)の両面に露出しているので、美容器(3)の出力電流をロス無く内装体(20)に送電することができる。
そして、金属製の平編み線は電気伝導率が高く、内装体(20)の通電経路において、美容器(3)から離れた部位でも出力が弱まることがほとんど無いメリットがある。
【0044】
この内装体(20)を通した電流を肌面に効率的に伝動するために、電極溝(14)の1段目(140)に嵌合する被覆体(11)によって覆う。被覆体(11)は、一部を導電性を有する導電性ゴム、その他の部位を非導電性ゴムで形成することによって、導電性ゴムの部分で肌面に対する電極を構成することができる。
【0045】
図において被覆体(11)は略H字状の外形でありその各端部が導電性ゴム製の導電性領域(110)(110)(110)(110)、中央部が非導電性ゴム製の非導電性領域(111)である。被覆体(11)によって電極溝(14)を覆うことによって内部の内装体(20)と全体が接触した上で、導電性領域(110)からだけ肌面に対して通電することができる。一方、非導電性領域(111)は絶縁しているので、被覆体(11)の端部同士の距離だけ離隔して使用者の皮膚を通して通電することができ、所望の美容作用が実施される。
【0046】
被覆体(11)は本実施例において導電性ゴムと非導電性ゴムを一体成形して製造しており、これを電極溝(14)に嵌合することから、その外周が切れ目無く外装体(10)と接合することが可能になり、通電ナット(150)や内装体(20)などの通電用の部材が露出しないため、通電部分に水滴や汗が浸入しづらく水洗いも可能となる。
合わせて、製造時も被覆体1部材の外周部のシール処理だけでよく製造が容易である。
【0047】
本発明はこのように外装体(10)と被覆体(11)の間に導電性の内装体(20)を挟み、内装体(20)は被覆体(11)の導電性領域(110)と広い範囲で接触していることから、美容器(3)からの電力を効率よく伝導することができる。ベルト状体(1)の長さや、導電性領域(110)の長さを長くしても、美容器(3)からの距離に依存せず、身体に均一の電流を印加することができるようになる。
【0048】
さらに、美容器装着部(12)の底面(15)は非導電性領域(111)に当接するため、通電制御部となる美容器(3)やその出力端子(31)を位置することによって、通電部分の絶縁を行う必要がなく、組立性も向上する。
【0049】
内装体(20)は通電ナット(150)により位置決めされ、外装体(10)及び被覆体(11)とは固着されていない、すべり接触の状態であり、ベルト状体(1)が巻かれたり伸ばされたりした時にも無理なく内装されている。そのため、ベルト状体(1)の変形を阻害したり、断線等の故障も回避することができる。
特に金属の平編み線は曲げ、伸びに対して柔軟であり、ベルト状体(1)を巻回した際に使用者の身体のカーブにフィットできるようになる。
【0050】
本発明の上記効果を奏するものであれば、各部材の構成は任意に変更することができる。例えば、外装体(10)の素材はシリコン樹脂、天然ゴムなど任意の樹脂材料を用いることができる。また、外装体は樹脂材料以外の任意の材料を用いることもできるが、可撓性、伸縮性に優れた素材が好ましい。
被覆体は導電性樹脂及び非導電性樹脂の組み合わせが柔軟性等の観点から好適であるが、例えば導電性領域は金属、非導電性領域はゴムなどの組み合わせでもよい。
【0051】
さらに内装体は様々な実施方法が考え得る。電気伝導率が少なくとも被覆体の導電性領域よりも高いことが好ましく、この点、金属が最適であって、平編み線の他、銅などの金属の撚り線、金属をコイルばね状にしたものなども考えられる。また、蛇腹状に折られた金属板や、金属板金をレーザーなどで微細にカットし弾性を付与したものを使用することもできる。
金属板の表面に微細な凹凸を付けることによって、被覆体との接触面積を増やすことも好ましい。
【0052】
金属以外でも導電性が高ければ他の実施例も考え得る。例えば、繊維に金属などを混合した導電繊維やその編物を用いることもできる。
また、材料が導電性でなくても、例えば伸縮性のある樹脂素材などを内装した上で、この内装体に導電性インク、導電ゲル、導電ペースト、導電性ポリマーなどを塗布して美容器(3)から導電性領域(111)までの通電経路を構成してもよい。
【0053】
さらに、内装体が印刷によって形成される層状、あるいは皮膜状であってもよい。導電性を有する印刷としては、金粉,銀粉,銅粉,導電性カーボンなどの導電性フィラーをインク主剤に分散してペースト状にした導電性インクを用いた方法が知られている。
【0054】
本発明の実施においては、カーボンが含有されたシリコンゴム用導電インクを滴下印刷の製法によって200度の高温下で焼き付け印刷する方法が好適である。滴下印刷によると、表面抵抗値が小さく、導電印刷膜厚を60ミクロン程度とすることができるので、得るベルト状体(5)の厚みを薄くすることができ、同時に耐久性にも優れる。
導電性を有する印刷方法としては、このほか、導電性インクを用いてスクリーン印刷する方法でもよい。
【0055】
本発明の内装体は、このように印刷された被膜であってもよいので、外装体(10)上の印刷領域である内装体設置部に導電性インクを用いた印刷を施してもよい。あるいは、被覆体(11)上の印刷領域である内装体設置部に導電性インクを用いた印刷を施してもよい。
【0056】
本発明はさらに連結部(13)にも特徴を有する。
図5は、本発明に係る連結部(13)の一実施例である。従来の美容用のバンドでは、バンドの両端を一定の角度で傾けて取り付けるような機構がなく、頸部などに装着する際に使いにくい問題があった。
【0057】
そこで、本発明では、連結部(13)を、長手方向と異なる所定の角度で固定可能とした。
図5(a)において、一端にスナップボタン(40)(40)、他端に対応するスナップボタン(41)(41)を備えており、このボタンは長手方向(L)と傾けて配設している。
【0058】
そのため、巻回時に両端を固定すると
図5(b)に示すように長手方向(L)から所定角度αだけ傾いた状態で連結することができる。図上において上側の周長を短く、下側の周長を長く巻回されるので、太さが変化する身体部位に装着する際に、密着性を良くすることができる。
【0059】
連結部(13)は、連結時の長手方向からの角度を調整可能な構成としてもよい。例えば、
図6に示すように1つのスナップボタン(42)と円周状に複数配置するスナップボタン(43)(44)(45)(46)を備え、反対側の端部(13)にはスナップボタン(42)といずれか1つのスナップボタンと組み合う1対のボタンを備える。
使用者は所望の角度となるように嵌めるボタンを選択して連結することによって、様々な部位に対応するベルト状体(1)が実現される。
【0060】
本発明は、さらに次のようなベルト状体(5)を提供することもできる。
すなわち、身体に巻回するベルト状体(5)において、ベルト状体の端部近傍に、巻回した状態で磁着作用によって連結する連結部(50)を備える構成であって、ベルト状体(5)の端部近傍(52)を磁性粉を混入した第1の樹脂材料、その他の部位(53)を磁性粉を混入しない第2の樹脂材料によって形成する。
【0061】
磁性粉としては、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、磁性フェライトステンレス、Fe-Si-Alのミクロンレベルの粉体が知られており、これを樹脂に混合することによって磁性を有する樹脂材料を製造することができる。
プラスチックマグネットやゴムマグネットとして知られている。
【0062】
また、プラスチックマグネットとして、フェライト系、ネオジウム系、サマコバ系、サマリウム鉄窒素系などが存在し、このうちサマコバ系、サマリウム鉄窒素系は異方性の配向を有するため、磁化する際に、N極S極の向きを揃えて磁化することができる。
【0063】
本発明では、第1の樹脂材料で形成したベルト状体(5)の両端部を磁化することによって、磁着作用によって連結部(50)を連結することを提案する。このようにプラスチックマグネットあるいはゴムマグネットを用いることにより、面ファスナーやスナップボタンを用いる構成に比して、締着が適度な力で着脱しやすく、装着感が苦しい場合や電気刺激が強い場合に、即座に取り外すこともできる。同時に、表面をフラットにすることができ、掃除がしやすく美観も向上する。
【0064】
さらに、
図7に示すように、磁化する磁着部が、ベルト状体(5)の長手方向(L)に対して所定の角度で縦縞状に交互に磁極を有するにように磁化してもよい。図中で長手方向に垂直な成分からβ度傾斜して配列しており、本実施例ではβ=10度である。このように傾斜させて両端部の磁着部を配向することにより、連結時に傾斜した角度で磁着することができるので、上記実施例と同様に身体へのフィット性を高めることができる。
【0065】
縦縞の間隔は3mmないし20mm程度とすることができる。また、傾斜角βは5度ないし20度とすることができる。本発明により、美容用ベルト状体の新たな連結方法が提供される。
【符号の説明】
【0066】
1 ベルト状体
10 外装体
11 被覆体
110 導電性領域
111 非導電性領域
12 美容器装着部
120 リブ部
121 端子孔部
13 連結部
14 電極溝
15 底面
150 通電ナット
151 小突起
20 内装体
21 ナット接続部
3 美容器
30 操作ボタン類
31 出力端子
40~46 スナップボタン
5 ベルト状体
50 連結部
52 端部近傍
53 その他の部位