(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160890
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】タッチパネル、及び電極基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
G06F3/041 450
G06F3/041 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065396
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】奥田 辰徳
(57)【要約】
【課題】ユーザが近接又は当接したときの静電気による火花や放電が抑制されたタッチパネル、及び該タッチパネルを構成する電極基板の製造方法の提供。
【解決手段】タッチパネル10の第2導電膜16の外周端面38は、第2電極基板18の外周端面40より面方向について内側にあり、加飾部28の外周端面42も、第2電極基板18の外周端面40より面方向の内側にある。第2導電膜16及び加飾部28の外周端面より面方向の外側には、絶縁層30の外周部44が存在する。さらに、第1導電膜12の外周端面46は第1電極基板14の外周端面48より面方向について内側にあり、第1導電膜12の外周端面46より面方向の外側には、絶縁層32の外周部50が存在する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電膜が形成された第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する第2導電膜が形成された第2電極基板と、
前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に配置された加飾部と、
前記加飾部と前記第1導電膜との間に配置された絶縁層と、を備え、
前記第2導電膜の外周端面は前記第2電極基板の外周端面より面方向内側にあり、前記第2導電膜の外周端面より面方向外側には前記絶縁層の外周部が配置されている、タッチパネル。
【請求項2】
前記加飾部は導電性であり、前記加飾部の外周端面は前記第2電極基板の外周端面より面方向内側にあり、前記加飾部の外周端面より面方向外側には前記絶縁層の外周部が配置されている、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
絶縁層の外周部端面を覆う絶縁コーティングをさらに有する、請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
第1導電膜が形成された第1電極基板と、
前記第1導電膜に対向する第2導電膜が形成された第2電極基板と、
前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に配置された加飾部と、
前記第1導電膜の端面及び前記第2導電膜の端面を覆う絶縁コーティングを有する、タッチパネル。
【請求項5】
前記加飾部は導電性であり、前記絶縁コーティングは前記加飾部の外周端面を覆うように形成される、請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
導電膜が形成されたシートを切断する工程と、
切断された前記シートの外周部にエッチング処理を施して前記導電膜を選択的に除去する工程と、
前記導電膜の表面に導電性材料を成膜して加飾部を形成する工程と、
前記加飾部の表面に導電性材料を成膜して配線部を形成する工程と、
前記シート上に絶縁性材料を成膜し、少なくとも前記配線部の表面と前記導電膜が選択的に除去された前記シートの外周部とを覆うように絶縁層を形成する工程と、
を含む、電極基板の製造方法。
【請求項7】
導電膜が面上に形成されたシートに、導電性材料を成膜して加飾部を形成する工程と、
前記加飾部の表面に導電性材料を成膜して配線部を形成する工程と、
前記加飾部及び前記配線部上に絶縁性材料を成膜して絶縁層を形成する工程と、
前記シートを切断する工程と、
少なくとも前記導電膜及び前記加飾部のそれぞれの外周端面に絶縁材料を塗布し、絶縁コーティングを形成する工程と、
を含む、電極基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルと、該タッチパネルに使用される電極基板の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
操作入力可能な表示装置として種々のタッチパネルが知られているが、特に抵抗膜方式の透過型タッチパネルには、見栄えを維持しつつ静電気対策を施したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、ポインタの接触位置を検出する動作に干渉する電磁気的なノイズをシールドする手段を備えたタッチパネルが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-202518号公報
【特許文献2】特開2010-146192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の多くのタッチパネルでは、ユーザの指等が接近し得るフィルム面の端部は筐体に覆われていたため、ITO(Indium Tin Oxide)等の導電性部材が露出せず、ユーザがタッチパネルの導電部分に直接触れることはなかった。
【0006】
しかし近年では、意匠性を重視し、フィルムの外周部に意匠印刷等の加飾部を設け、さらにフィルムの端面が筐体に覆われていないタッチパネルが開発されている。このようなタッチパネルでは、ユーザの指等がフィルム端面に触れ又は近接することで、静電気による火花や放電が発生する可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、意匠性を確保しつつ静電気対策が施されたタッチパネル、及び該タッチパネルに使用される電極基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、第1導電膜が形成された第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する第2導電膜が形成された第2電極基板と、前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に配置された加飾部と、前記加飾部と前記第1導電膜との間に配置された絶縁層と、を備え、前記第2導電膜の外周端面は前記第2電極基板の外周端面より面方向内側にあり、前記第2導電膜の外周端面より面方向外側には前記絶縁層の外周部が配置されている、タッチパネルである。
【0009】
本開示の他の態様は、第1導電膜が形成された第1電極基板と、前記第1導電膜に対向する第2導電膜が形成された第2電極基板と、前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に配置された加飾部と、前記第1導電膜の端面及び前記第2導電膜の端面を覆う絶縁コーティングを有する、タッチパネルである。
【0010】
本開示のさらなる他の態様は、導電膜が形成されたシートを切断する工程と、切断された前記シートの外周部にエッチング処理を施して前記導電膜を選択的に除去する工程と、前記導電膜の表面に導電性材料を成膜して加飾部を形成する工程と、前記加飾部の表面に導電性材料を成膜して配線部を形成する工程と、前記シート上に絶縁性材料を成膜し、少なくとも前記配線部の表面と前記導電膜が選択的に除去された前記シートの外周部とを覆うように絶縁層を形成する工程と、を含む電極基板の製造方法である。
【0011】
本開示のまたさらなる他の態様は、導電膜が面上に形成されたシートに、導電性材料を成膜して加飾部を形成する工程と、前記加飾部の表面に導電性材料を成膜して配線部を形成する工程と、前記加飾部及び前記配線部上に絶縁性材料を成膜して絶縁層を形成する工程と、前記シートを切断する工程と、少なくとも前記導電膜及び前記加飾部のそれぞれの外周端面に絶縁材料を塗布し、絶縁コーティングを形成する工程と、を含む電極基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ユーザが近接又は当接したときの静電気による火花や放電が抑制されたタッチパネル、及び該タッチパネルを構成する電極基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施例に係るタッチパネルの上面図である。
【
図4】第1実施例のタッチパネルの製造工程の一部を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施例に係るタッチパネルの断面図である。
【
図6】第2実施例のタッチパネルの製造工程の一部を示すフローチャートである。
【
図7】第3実施例に係るタッチパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を用いて本開示の実施例を説明する。また、以下の実施例において同一又は類似の要素には共通の参照符号を付けて示し、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0015】
(第1実施例)
図1は第1実施例に係るタッチパネル10の概略上面図を示し、
図2は
図1のA-A′断面図である。タッチパネル10は、第1導電膜としてのITO(Indium Tin Oxide)12を有する第1電極基板14と、ITO12に対向する第2導電膜としてのITO16を有する第2電極基板18と、第1電極基板14及び第2電極基板18を収容するケース20とを備える。本実施例では、第1電極基板14はガラス基板であり、第2電極基板18はPET(Polyethylene terephthalate)等の樹脂製フィルム基板である。
【0016】
第1電極基板14の下部は、両面粘着テープ等の粘着層22によってケース20に固定される。ケース20は樹脂の射出成形等によって一体的に形成され、デザイン性を高めるために、ケース20の上端面24は第2電極基板18の操作面26と同じ高さになっている。なお第1電極基板14の下方には、LCDや有機ELパネル等の表示器(図示せず)を設けてもよい。
【0017】
第2電極基板18は、導電性の加飾部28及び配線部31を有する。例えば、加飾部28は、導電カーボン等の導電性材料を第2導電膜16の表面に枠状に印刷することにより形成され、配線部31は、銀等の導電性材料を加飾部28の表面に印刷することにより形成される。第2電極基板18にはさらに、絶縁層30が、絶縁インク等の絶縁性材料の印刷等により形成される。絶縁層30は、加飾部28及び配線部31の表面とともに、第2導電膜16及び加飾部28の外周端面を覆うように設けられる。
【0018】
第1電極基板14は、配線部33及び絶縁層32を有する。例えば、配線部33は、銀等の導電性材料を第1導電膜12の表面に印刷することにより形成され、絶縁層32は、絶縁インク等の絶縁性材料の印刷等により形成される。絶縁層32は、第1導電膜12及び配線部33の表面とともに、第1導電膜12の外周端面を覆うように設けられる。絶縁層30及び絶縁層32は、両面粘着テープ等の粘着層34によって互いに接着される。
【0019】
図3は、比較例に係るタッチパネル100の概略側断面を示す。なおタッチパネル100の構成要素のうち、タッチパネル10の構成要素と機能的に同等でよいものについては、タッチパネル10の構成要素の参照符号に100を加算したもので表記し、詳細な説明は省略する。
【0020】
タッチパネル100は、第1実施例と同様のケース120を有するが、第2導電膜116、加飾部128及び絶縁層130の外形寸法が第2電極基板118の外形寸法と一致している。また第1導電膜112の外形寸法も第1電極基板114の外形寸法と一致している。その結果、導電部である第2導電膜116、加飾部128及び第1導電膜112のそれぞれの外周端面が露出し、ユーザの指136が導電部の端面に当接又は近接することで、静電気による火花や放電が発生する可能性がある。
【0021】
そこで第1実施例では、第2導電膜16の外周端面38は第2電極基板18の外周端面40より面方向について内側にあり、例えば、第2導電膜16は、比較例に係るタッチパネル100の第2導電膜116の外周部をエッチング等で除去したものに相当する。また加飾部28は、第2導電膜16の表面に印刷等により形成され、加飾部28の外周端面42も第2電極基板18の外周端面40より面方向の内側にある。そして第2導電膜16及び加飾部28の外周端面より面方向の外側には、印刷等により形成された絶縁層30の外周部44が存在する。よって導電部である第2導電膜16及び加飾部28は外部に露出せず、ユーザの指が当接又は近接しても静電気による火花や放電は発生しない。
【0022】
同様に、第1導電膜12の外周端面46は第1電極基板14の外周端面48より面方向について内側にあり、例えば、第1導電膜12は、比較例に係るタッチパネル100の第1導電膜112の外周部をエッチング等で除去したものに相当する。そして第1導電膜12の外周端面46より面方向の外側には、印刷等により形成された絶縁層32の外周部50が存在する。故に導電部である第1導電膜12は外部に露出せず、ユーザの指が当接又は近接しても静電気による火花や放電は発生しない。よって第1実施例によれば、静電気が生じないタッチパネルが提供される。
【0023】
なお第1実施例では、第2電極基板18が透明であるため、タッチパネル10を上から見た場合、加飾部28に加え、加飾部28より外側にある絶縁層30の外周部44が視認されることになる。そこでタッチパネル10の意匠性を損なわないために、加飾部28と絶縁層30の外周部44は互いに同色であることが好ましい。
【0024】
ここで加飾部28と絶縁層30(の外周部44)とが「同色」であるか否かは、例えば、国際照明委員会(CIE)により規定された色差を表す指標値ΔEで判断することができ、加飾部28と絶縁層30とについてはΔEが0.6以下であることが好ましい。ΔEが0.6以下であると、視覚では両者の色差が殆ど視認できないからである。
【0025】
図4は、第1実施例のタッチパネル10の製造工程の一部を示すフローチャートであり、タッチパネル10のフィルム側、すなわち第2電極基板18、第2導電膜16、加飾部28、配線部31及び絶縁層30を含むアセンブリの製造工程を示す。先ず、第2導電膜16としてのITOが全面に形成されたPET等のロール状シートを、タッチパネル10の大きさ等に基づいて所定の大きさに切断する(ステップS11)。次に、切断されたシートの外周部にエッチング処理を施し、ITOを除去する(ステップS12)。次に、ITOの表面に導電カーボン等の導電性材料を成膜し、加飾部28を形成する(ステップS13)。次に、加飾部28の表面に銀等の導電性材料を成膜し、配線部31を形成する(ステップS14)。最後に、シートに絶縁インク等の絶縁性材料を成膜し、絶縁層30を形成する(ステップS15)。このようにして、第2電極基板18としてのシート上に、第2導電膜16、加飾部28、配線部31及び絶縁層30が形成されたフィルム側アセンブリが得られる。ここでステップS13、S14における各導電性材料の成膜、ステップS15における絶縁性材料の成膜は、例えば印刷により行うことができる。
【0026】
なおタッチパネル10のガラス側、すなわち第1電極基板14、第1導電膜12、配線部33及び絶縁層32を含むアセンブリの製造工程は、ロール状シートの代わりにガラス基板を用意することと、加飾部28の形成(ステップS13)がないことを除けば、
図4のものと同様でよい。
【0027】
(第2実施例)
図5は、第2実施例に係るタッチパネル10aの概略側断面図である。タッチパネル10aの構成要素のうち、タッチパネル10の構成要素と機能的に同等でよいものについては、タッチパネル10と同じ参照符号で表記し、詳細な説明は省略する。
【0028】
第2導電膜16a、加飾部28a及び絶縁層30aは、第2電極基板18とほぼ同じ外形寸法を有しており、第2導電膜16a及び加飾部28aの外周部は第1実施例のようにエッチング等で除去されていない。タッチパネル10aは、第2電極基板18から絶縁層32にかけての外周端面、すなわち第2電極基板18、第2導電膜16a、加飾部28a、絶縁層30a、粘着層34、絶縁層32の各外周端面を覆う絶縁コーティング52aを有する。
【0029】
同様に、第1導電膜12aは、第1電極基板14とほぼ同じ外形寸法を有し、すなわち第1導電膜12aの外周部は第1実施例のようにエッチング等で除去されていない。タッチパネル10aは、第1電極基板14及び第1導電膜12aの各外周端面を覆う絶縁コーティング54aを有する。
【0030】
タッチパネル100では、第2導電膜等の導電部が外部に露出しているため、指136が当接又は近接したときに静電気による火花や放電が発生する虞があった。しかしタッチパネル10aでは、導電部である第2導電膜16aの外周端部38aと加飾部28aの外周端部42aとが絶縁コーティング52aにより覆われ、第1導電膜12aの外周端部46aが絶縁コーティング54aにより覆われているため、ユーザの指が当接又は近接しても静電気による火花や放電は発生しない。よって第2実施例によれば、静電気が生じないタッチパネルが提供される。
【0031】
図6は、第2実施例のタッチパネルの製造工程の一部を示すフローチャートであり、タッチパネル10aのフィルム側、すなわち第2電極基板18、第2導電膜16a、加飾部28a、配線部31及び絶縁層30aを含むアセンブリの製造工程を示す。先ず、第2導電膜16aとしてITOが全面に形成されたPET等のロール状シートを用意し、ITOの表面に導電カーボン等の導電性材料を成膜して、加飾部28aを形成する(ステップS21)。次に、加飾部28aの表面に銀等の導電性材料を成膜し、配線部31を形成する(ステップS22)。次に、シートに絶縁インク等の絶縁性材料を成膜し、絶縁層30aを形成する(ステップS23)。次に、タッチパネル10の大きさ等に基づいてシートを所定の大きさに切断する(ステップS24)。最後に、ニス等の液状の絶縁材料を、少なくとも第2導電膜16a及び加飾部28aのそれぞれの外周端面を含むように、通常は第2電極基板18、第2導電膜16a、加飾部28a及び絶縁層30のそれぞれの外周端面に塗布し、絶縁コーティング52aを形成する(ステップS25)。ここでステップS21、S22における各導電性材料の成膜、ステップS23の絶縁性材料の成膜は、例えば印刷により行うことができる。
【0032】
なおタッチパネル10aのガラス側、すなわち第1電極基板14、第1導電膜12a、配線部33及び絶縁層32を含むアセンブリの製造工程は、ロール状シートの代わりにガラス基板を用意することと、加飾部28aの形成(ステップS21)がないことを除けば、
図6のものと同様でよい。なお絶縁コーティング52aの形成(ステップS25)と絶縁コーティング54aの形成は、フィルム側アセンブリとガラス側アセンブリとを粘着層34で互いに接着した後に、絶縁材を塗布することで同時に行ってもよい。この場合、
図5に示すように、絶縁コーティング52aは第2電極基板18から絶縁層32にかけて塗布され、また絶縁コーティング54aは第1電極基板14から第1導電膜12aにかけて塗布される。
【0033】
第2実施例では、第2電極基板18を含むフィルム側アセンブリの製造工程において、加飾部28a及び絶縁層30aを、ロール状のシートに対して印刷しており、すなわちシートを所定の大きさに切断する前に印刷している。このようなロール状シートに対する印刷は、自動機を用いて効率的に行うことができる。一方、第1実施例では、ITOをエッチングで除去する工程は、ロール状シートを切断した後に行うことから、加飾部及び絶縁層の印刷はシート切断後に行うことになり、このような印刷は通常、手作業で行う。よって第2実施例では、手作業で加飾部及び絶縁層の印刷を行う第1実施例に比べ、自動機を使用することで印刷に関する工数・コストを低くすることができる。
【0034】
(第3実施例)
図7は、第3実施例に係るタッチパネル10aの概略側断面図である。第3実施例に係るタッチパネル10bは、第1実施例と第2実施例の双方の特徴を具備する。タッチパネル10bの第2導電膜16bの外周端面は、第1実施例と同様に第2電極基板18の外周端面より面方向内側に位置し、第2導電膜16bの外周端面より面方向外側には絶縁層30bの外周部44bが配置されている。また本実施例においては、第1導電膜12の外周端面も、第1電極基板14の外周端面より面方向内側に位置し、第1導電膜12の外周端面より面方向外側には絶縁層32の外周部45bが配置されている。絶縁層32の外周部45bにおける外周端面は、絶縁層30bの外周部44b及び粘着層34における各外周端面とともに、第2電極基板18の外周端面40に一致している。ここで、第2導電膜16bの外周端面38bと第2電極基板18の外周端面40との距離d、すなわち絶縁層30bの外周部44bの幅が、加飾部28bに求められる大きさ等との関係から比較的短くなる場合、静電気の抑制効果が十分に得られない場合がある。
【0035】
そこでタッチパネル10bは、絶縁層30bの外周部44b及び絶縁層32の外周部45bの外周端面を覆う絶縁コーティング52bと絶縁コーティング54bとを有する。このようにすれば、静電気による火花や放電の発生を、より確実に排除することができる。
【0036】
第3実施例における第2電極基板18bの製造工程は、
図4に示すステップS11~S15を行い、その後に
図6に示すステップS25を行うものに相当する。なお本実施例においても、絶縁コーティング52bの形成と絶縁コーティング54bの形成は、フィルム側アセンブリとガラス側アセンブリとを粘着層34で互いに接着した後に、絶縁材を塗布することで同時に行うことができる。
【0037】
なお第3実施例でも、タッチパネル10bの意匠性の観点から、第1実施例と同様に、加飾部28bと絶縁層30bの外周部44bは互いに同色であることが好ましい。
【0038】
上述の実施例ではいずれも抵抗膜方式タッチパネルを対象として説明したが、本開示はこれに限られない。例えば、本開示に係るタッチパネルは静電容量方式又は静電結合方式でもよいし、抵抗膜方式である場合でも4線式、5線式、7線式又は8線式等のいずれでもよい。さらに銀配線は、銅配線、導電ポリマー配線又は導電カーボン配線に置換されてもよいし、ITOも導電ポリマー等に置換されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 タッチパネル、12,12a 第1導電膜、14 第1電極基板、
16,16a,16b 第2導電膜、 18 第2電極基板、20 ケース、
22,34 粘着層、28,28a,28b 加飾部、
30,30a,30b,32 絶縁層、31,33 配線部、136 指、
38,38a,38b,40,42,24a,40,42b,46,46a 端面、
44,44a,44b,45b,50 外周部、
52a,54a,52b,54b 絶縁コーティング