(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160898
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】検出装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20221013BHJP
H01L 51/42 20060101ALI20221013BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20221013BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20221013BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20221013BHJP
H01L 27/30 20060101ALI20221013BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/08 T
H01L31/10 A
H01L31/02 D
H01L27/146 C
H01L27/144 K
H01L27/30
H01L29/78 613Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065412
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 元
【テーマコード(参考)】
4M118
5F110
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118BA05
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(57)【要約】
【課題】同一のセンサで複数の波長帯域の光を検出することが可能な検出装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、第1波長帯域及び第2波長帯域を含む光を照射する光源と、第1波長帯域の光を透過させる第1カラーフィルタと、第2波長帯域の光を透過させる第2カラーフィルタと、第1カラーフィルタを透過した光を受光する第1フォトダイオードと、第2カラーフィルタを透過した光を受光する第2フォトダイオードと、を有する。また、検出装置において、複数の第1カラーフィルタ及び複数の第2カラーフィルタは、基板の上で、第1方向に沿って交互に配列される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯域及び第2波長帯域を含む光を照射する光源と、
前記第1波長帯域の光を透過させる第1カラーフィルタと、
前記第2波長帯域の光を透過させる第2カラーフィルタと、
前記第1カラーフィルタを透過した光を受光する第1フォトダイオードと、
前記第2カラーフィルタを透過した光を受光する第2フォトダイオードと、を有する
検出装置。
【請求項2】
前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードが設けられる基板を有し、
複数の前記第1カラーフィルタ及び複数の前記第2カラーフィルタは、前記基板の上で、第1方向に沿って交互に配列される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記光源から照射される光は、前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタをそれぞれ透過して、同時に前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードに照射される
請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1波長帯域は、赤色を示す波長帯域であり、
前記第2波長帯域は、赤外光を示す波長帯域である
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
複数の前記第1フォトダイオード及び複数の前記第2フォトダイオードの上に設けられた上部電極と、
前記上部電極の上に設けられた無機絶縁膜と、を有し、
複数の前記第1カラーフィルタ及び複数の前記第2カラーフィルタは、前記無機絶縁膜の上に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
複数の前記第1フォトダイオード及び複数の前記第2フォトダイオードの上側に設けられた対向基板を有し、
複数の前記第1カラーフィルタ及び複数の前記第2カラーフィルタは、前記対向基板の複数の前記第1フォトダイオード及び複数の前記第2フォトダイオードと対向する面に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
複数の前記第1フォトダイオード及び複数の前記第2フォトダイオードのそれぞれに対応して設けられた複数のトランジスタを有し、
複数の前記第1カラーフィルタ及び複数の前記第2カラーフィルタは、複数の前記トランジスタの上に設けられ、
複数の前記第1フォトダイオード及び複数の前記第2フォトダイオードは、有機絶縁膜を介して複数の前記第1カラーフィルタ及び複数の前記第2カラーフィルタの上に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記光源からの光は、さらに第3波長帯域を含み、
前記第3波長帯域の光を透過させる第3カラーフィルタと、
前記第3カラーフィルタを透過した光を受光する第3フォトダイオードと、を有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
前記光源から照射される光は、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタ及び前記第3カラーフィルタをそれぞれ透過して、同時に前記第1フォトダイオード、前記第2フォトダイオード及び前記第3フォトダイオードに照射される
請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
前記第1波長帯域は、赤色を示す波長帯域であり、
前記第2波長帯域は、緑色を示す波長帯域である
前記第3波長帯域は、青色を示す波長帯域である
請求項8又は請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の検出装置と、
前記第1フォトダイオード、前記第2フォトダイオード及び前記第3フォトダイオードからの検出信号に基づいて二次元情報を生成する画像処理部と、を有する
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋パターンや静脈パターンを検出可能な光センサが知られている(例えば、特許文献1)。このような光センサでは、活性層として有機半導体材料が用いられた複数のフォトダイオードを有するセンサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光センサは、指や掌等の被検出体の指紋の形状に限られず、被検出体の種々の生体情報(例えば、指や掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等)を検出することが要求されている。このため、同一の光センサで、被検出体に応じた異なる波長帯域の光を検出することが要求される場合がある。
【0005】
本発明は、同一のセンサで複数の波長帯域の光を検出することが可能な検出装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、第1波長帯域及び第2波長帯域を含む光を照射する光源と、前記第1波長帯域の光を透過させる第1カラーフィルタと、前記第2波長帯域の光を透過させる第2カラーフィルタと、前記第1カラーフィルタを透過した光を受光する第1フォトダイオードと、前記第2カラーフィルタを透過した光を受光する第2フォトダイオードと、を有する。
【0007】
本発明の一態様の撮像装置は、検出装置と、前記第1フォトダイオード、前記第2フォトダイオード及び前記第3フォトダイオードからの検出信号に基づいて二次元情報を生成する画像処理部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、複数の部分検出領域を示す回路図である。
【
図5】
図5は、センサ部の概略断面構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図7】
図7は、
図6における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図9】
図9は、検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
【
図10】
図10は、検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
【
図11】
図11は、第1変形例に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第2変形例に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る検出装置が有するフィルタ層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図1に示すように、検出装置1は、センサ基材21(基板)と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路122と、電源回路123と、第1光源基材51と、第2光源基材52と、光源53、54と、を有する。第1光源基材51には、複数の光源53が設けられる。第2光源基材52には複数の光源54が設けられる。
【0012】
センサ基材21には、フレキシブルプリント基板71を介して制御基板121が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板71には、検出回路48が設けられている。制御基板121には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。また、制御回路122は、光源53、54に制御信号を供給して、光源53、54の点灯又は非点灯を制御する。電源回路123は、センサ電源信号VDDSNS(
図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。また、電源回路123は、電源電圧を光源53、54に供給する。
【0013】
センサ基材21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数のフォトダイオードPD(
図4参照)が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、センサ基材21の端部との間の領域であり、複数のフォトダイオードPDが設けられない領域である。
【0014】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0015】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、センサ基材21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、センサ基材21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、「平面視」とは、センサ基材21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0016】
複数の光源53は、第1光源基材51に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。複数の光源54は、第2光源基材52に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。第1光源基材51及び第2光源基材52は、それぞれ、制御基板121に設けられた端子部124、125を介して、制御回路122及び電源回路123と電気的に接続される。
【0017】
複数の光源53及び複数の光源54は、例えば、無機LED(Light Emitting Diode)や、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。複数の光源53及び複数の光源54は、いずれも第1波長帯域及び第2波長帯域を含む光L1を照射する。第1波長帯域は、例えば、赤色を示す波長帯域であり、第2波長帯域は、赤外光を示す波長帯域である。
【0018】
光源53、54から出射された光L1のうち第1波長帯域(例えば、赤色)の光L1aは、主に指等の被検出体の表面で反射されセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の表面の凹凸の形状を検出することで指紋を検出することができる。光源53、54から出射された光L1のうち、第2波長帯域(例えば、赤外光)の光L1bは、主に指等の内部で反射し又は指等を透過してセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の内部の生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報とは、例えば、指や掌の脈波、脈拍、血管像等である。すなわち、検出装置1は、指紋を検出する指紋検出装置や、静脈などの血管パターンを検出する静脈検出装置として構成されてもよい。
【0019】
例えば、第1波長帯域は、500nm以上600nm以下、例えば550nm程度の波長を有し、第2波長帯域は、780nm以上950nm以下、例えば850nm程度の波長を有していてもよい。この場合、第1波長帯域の光L1aは、青色又は緑色の可視光であり、第2波長帯域の光L1bは、赤外光である。センサ部10は、光源53、54から出射された第1波長帯域の光L1aに基づいて、指紋を検出することができる。あるいは、光源53、54から出射された第2波長帯域の光L1bは、指等の被検出体の内部で反射し又は指等を透過・吸収されてセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の内部の生体に関する情報として脈波や血管像(血管パターン)を検出できる。
【0020】
又は、第1波長帯域は、600nm以上700nm以下、例えば660nm程度の波長を有し、第2波長帯域は、780nm以上900nm以下、例えば850nm程度の波長を有していてもよい。この場合、光源53、54から出射された第1波長帯域の光L1a及び第2波長帯域の光L1bに基づいて、センサ部10は、生体に関する情報として、脈波、脈拍や血管像に加えて、血中酸素飽和度を検出することができる。このように、検出装置1は、第1波長帯域の光L1aに基づいた検出と、第2波長帯域の光L1bに基づいた検出とを行うことで、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0021】
なお、
図1に示す光源53、54の配置は、あくまで一例であり適宜変更することができる。検出装置1は、光源として1種類の光源53、54が設けられている。ただし、これに限定されず、光源は2種類以上であってもよい。この場合、例えば、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、複数の光源53及び複数の光源54が配置されていてもよい。また、光源53及び光源54が設けられる光源基材は1つ又は3つ以上であってもよい。あるいは、光源は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御部11と検出部40と、有する。検出制御部11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0023】
センサ部10は、複数のフォトダイオードPDを有する。センサ部10が有するフォトダイオードPDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号Vgclにしたがって検出を行う。
【0024】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。また、検出制御部11は、各種制御信号を光源53、54に供給して、それぞれの点灯及び非点灯を制御する。
【0025】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(
図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数のフォトダイオードPDを選択する。
【0026】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(
図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオードPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0027】
検出部40は、検出回路48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、画像処理部49と、出力処理部50とを備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、画像処理部49と、が同期して動作するように制御する。
【0028】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0029】
信号処理部44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指や掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理部44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指や掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等である。
【0030】
また、信号処理部44は、複数のフォトダイオードPDにより同時に検出された検出信号Vdet(生体に関する情報)を取得し、これらを平均化する処理を実行してもよい。この場合、検出部40は、ノイズや、指等の被検出体とセンサ部10との相対的な位置ずれに起因する測定誤差を抑制して、安定した検出が可能となる。
【0031】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0032】
座標抽出部45は、信号処理部44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出部45は、指や掌の血管の検出座標を求める論理回路である。画像処理部49は、センサ部10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報及び指や掌の血管の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力電圧Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。また、座標抽出部45及び画像処理部49は、検出部40に含まれていない場合であってもよい。
【0033】
出力処理部50は、複数のフォトダイオードPDからの出力に基づいた処理を行う処理部として機能する。出力処理部50は、座標抽出部45が求めた検出座標、画像処理部49が生成した二次元情報等をセンサ出力電圧Voに含めるようにしてもよい。また、出力処理部50の機能は、他の構成(例えば、画像処理部49等)に統合されてもよい。
【0034】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。
図3は、検出装置を示す回路図である。
図3に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。複数の部分検出領域PAAには、それぞれフォトダイオードPDが設けられている。
【0035】
ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。また、
図3では説明を分かりやすくするために、8本のゲート線GCLを示しているが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、M本(Mは8以上、例えばM=256)配列されていてもよい。
【0036】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAのフォトダイオードPDに接続される。また、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。なお、以下の説明において、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)を区別して説明する必要がない場合には、単に信号線SGLと表す。
【0037】
また、説明を分かりやすくするために、12本の信号線SGLを示しているが、あくまで一例であり、信号線SGLは、N本(Nは12以上、例えばN=252)配列されていてもよい。また、センサの解像度は例えば508dpi(dot per inch)とされ、セル数は252×256とされる。また、
図3では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0038】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、制御回路122(
図1参照)から受け取る。ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線GCLに接続された複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号Vgclが供給され、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0039】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれ検出回路48に接続される。
【0040】
ここで、信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)を第1信号線ブロックとし、信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。
【0041】
制御回路122(
図1参照)は、選択信号ASWを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックでそれぞれ1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置1は、検出回路48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。なお、信号線選択回路16は、複数の信号線SGLを束ねて検出回路48に接続してもよい。
【0042】
図3に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0043】
制御回路122は、リセット信号RST2をリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路123は、基準信号COMを基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Ca(
図4参照)に基準信号COMが供給される。
【0044】
図4は、複数の部分検出領域を示す回路図である。なお、
図4では、検出回路48の回路構成も併せて示している。
図4に示すように、部分検出領域PAAは、フォトダイオードPDと、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。容量素子Caは、フォトダイオードPDに形成される容量(センサ容量)であり、等価的にフォトダイオードPDと並列に接続される。
【0045】
図4では、複数のゲート線GCLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GCL(m)、GCL(m+1)を示す。また、複数の信号線SGLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SGL(n)、SGL(n+1)を示す。部分検出領域PAAは、ゲート線GCLと信号線SGLとで囲まれた領域である。
【0046】
第1スイッチング素子Trは、フォトダイオードPDに対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0047】
第1方向Dxに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第2方向Dyに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、フォトダイオードPDのカソード及び容量素子Caに接続される。
【0048】
フォトダイオードPDのアノードには、電源回路123からセンサ電源信号VDDSNSが供給される。また、信号線SGL及び容量素子Caには、電源回路123から、信号線SGL及び容量素子Caの初期電位となる基準信号COMが供給される。
【0049】
部分検出領域PAAに光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、又はブロック単位PAGごとにフォトダイオードPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0050】
検出回路48は、読み出し期間Pdet(
図6参照)にスイッチSSWがオンになり、信号線SGLと接続される。検出回路48の検出信号増幅部42は、信号線SGLから供給された電流の変動を電圧の変動に変換して増幅する。検出信号増幅部42の非反転入力部(+)には、固定された電位を有する基準電位(Vref)が入力され、反転入力端子(-)には、信号線SGLが接続される。実施形態では、基準電位(Vref)電圧として基準信号COMと同じ信号が入力される。信号処理部44(
図2参照)は、光が照射された場合の検出信号Vdetと、光が照射されていない場合の検出信号Vdetとの差分をセンサ出力電圧Voとして演算する。また、検出信号増幅部42は、容量素子Cb及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間Prst(
図6参照)においてリセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Cbの電荷がリセットされる。
【0051】
図5は、センサ部の概略断面構成を示す断面図である。
図5に示すように、センサ部10は、センサ基材21と、TFT層22と、有機絶縁膜94と、下部電極23と、フォトダイオードPDと、上部電極24と、光フィルタ層80と、封止膜96と、を備える。センサ基材21は、絶縁性の基材であり、例えば、ガラスや樹脂材料が用いられる。センサ基材21は、平板状に限定されず、曲面を有していてもよい。この場合、センサ基材21は、フィルム状の樹脂であってもよい。センサ基材21は、第1面S1と、第1面の反対側の第2面S2とを有する。第1面S1に、TFT層22、有機絶縁膜94、下部電極23、フォトダイオードPD、上部電極24、光フィルタ層80、封止膜96の順に積層される。本実施形態では、光L1が第1面S1側からフォトダイオードPDに照射される構成について説明する。ただし、これに限定されず、光L1が第2面S2側からフォトダイオードPDに照射される構成であってもよい。
【0052】
TFT層22は、上述したゲート線駆動回路15や信号線選択回路16等の回路が設けられる。また、TFT層22には、第1スイッチング素子Tr等のTFTや、ゲート線GCL、信号線SGL等の各種配線が設けられる。センサ基材21及びTFT層22は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板であり、バックプレーン又はアレイ基板とも呼ばれる。
【0053】
有機絶縁膜94は、TFT層22の上に設けられる。有機絶縁膜94は、TFT層22に形成される第1スイッチング素子Trや、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化層である。
【0054】
下部電極23は、有機絶縁膜94の上に設けられ、コンタクトホール(図示しない)を介してTFT層22の第1スイッチング素子Trと電気的に接続される。下部電極23は、フォトダイオードPDのカソードであり、検出信号Vdetを読み出すための電極である。下部電極23は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料で形成される。あるいは、検出装置1は、上述したように上面受光型の光センサであり、下部電極23は、例えば、銀(Ag)等の金属材料を用いることができる。あるいは、下部電極23は、アルミニウム(Al)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の少なくとも1以上を含む合金材料であってもよい。
【0055】
フォトダイオードPDは、下部電極23の上に設けられる。フォトダイオードPDは、下部電極35の上に、電子輸送層33、活性層31、正孔輸送層32を有し、センサ基材21の第1面S1に垂直な方向で、この順で積層される。
【0056】
活性層31は、照射される光に応じて特性(例えば、電圧電流特性や抵抗値)が変化する。活性層31の材料として、有機材料が用いられる。具体的には、活性層31は、p型有機半導体と、n型有機半導体であるn型フラーレン誘導体(PCBM)とが混在するバルクヘテロ構造である。活性層31として、例えば、低分子有機材料であるC60(フラーレン)、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル:Phenyl C61-butyric acid methyl ester)、CuPc(銅フタロシアニン:Copper Phthalocyanine)、F16CuPc(フッ素化銅フタロシアニン)、rubrene(ルブレン:5,6,11,12-tetraphenyltetracene)、PDI(Perylene(ペリレン)の誘導体)等を用いることができる。
【0057】
活性層31は、これらの低分子有機材料を用いて蒸着型(Dry Process)で形成することができる。この場合、活性層31は、例えば、CuPcとF16CuPcとの積層膜、又はrubreneとC60との積層膜であってもよい。活性層31は、塗布型(Wet Process)で形成することもできる。この場合、活性層31は、上述した低分子有機材料と高分子有機材料とを組み合わせた材料が用いられる。高分子有機材料として、例えばP3HT(poly(3-hexylthiophene))、F8BT(F8-alt-benzothiadiazole)等を用いることができる。活性層31は、P3HTとPCBMとが混合した状態の膜、又はF8BTとPDIとが混合した状態の膜とすることができる。
【0058】
上部電極24は、フォトダイオードPDのアノードであり、電源信号VDDSNSを光電変換層に供給するための電極である。上部電極24と、下部電極23とは、活性層31を挟んで対向する。上部電極24は、例えば、ITOやIZO等の透光性を有する導電材料で形成される。
【0059】
電子輸送層33及び正孔輸送層32は、活性層31で発生した正孔及び電子が上部電極24又は下部電極23に到達しやすくするために設けられる。電子輸送層33は、センサ基材21の第1面S1に垂直な方向で、下部電極23と活性層31との間に設けられる。電子輸送層33は、下部電極23の上に直接、接し、活性層31は、電子輸送層33の上に直接、接する。電子輸送層33の材料は、エトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)が用いられる。
【0060】
正孔輸送層32は、センサ基材21の第1面S1に垂直な方向で、活性層31と上部電極24との間に設けられる。正孔輸送層32は、活性層31の上に直接、接し、上部電極24は、正孔輸送層32の上に直接、接する。正孔輸送層32は、酸化金属層とされる。酸化金属層として、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン等が用いられる。
【0061】
光フィルタ層80は、上部電極24の上に設けられる。光フィルタ層80は、光L1のうち第1波長帯域の光L1a又は第2波長帯域の光L1bを選択して、第1波長帯域の光L1a又は第2波長帯域の光L1bをフォトダイオードPDに透過させる。光フィルタ層80の詳細な構成は後述する。
【0062】
封止膜96は、光フィルタ層80を覆って設けられる。封止膜96によりフォトダイオードPDは良好に封止され、上面側からの水分の侵入を抑制することができる。なお、光フィルタ層80が封止膜の機能を備えている場合には、封止膜96は省略することができる。あるいは、封止膜96を薄くすることができる。
【0063】
次に、検出装置1の動作例について説明する。
図6は、検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図6に示すように、検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路123は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、センサ電源信号VDDSNSをフォトダイオードPDのアノードに供給する。センサ電源信号VDDSNSはフォトダイオードPDのアノード-カソード間に逆バイアスを印加する信号である。例えば、フォトダイオードPDのカソードには実質0.75Vの基準信号COMがされているが、アノードに実質-1.25Vのセンサ電源信号VDDSNSを印加することにより、アノード-カソード間は実質2.0Vで逆バイアスされる。制御回路122は、リセット信号RST2を”H”とした後にゲート線駆動回路15にスタート信号STVおよびクロック信号CKを供給し、リセット期間Prstが開始する。リセット期間Prstにおいて、制御回路122は、基準信号COMをリセット回路17に供給し、リセット信号RST2によってリセット電圧を供給するための第4スイッチング素子TrRをオンさせる。これにより各信号線SGLにはリセット電圧として基準信号COMが供給される。基準信号COMは、例えば0.75Vとされる。
【0064】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号Vgcl{Vgcl(1)~Vgcl(M)}をゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号Vgclは、高レベル電圧である電源電圧VDDと低レベル電圧である電源電圧VSSとを有するパルス状の波形を有する。
図6では、M本(例えばM=256)のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号Vgcl(1)、…、Vgcl(M)が順次供給され、複数の第1スイッチング素子Trは各行毎に順次導通され、リセット電圧が供給される。リセット電圧として例えば、基準信号COMの電圧0.75Vが供給される。
【0065】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号COMが供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。尚、部分的にゲート線、および信号線SGLを選択することにより部分検出領域PAAのうち一部の容量素子Caの容量をリセットすることも可能である。
【0066】
露光するタイミングの例として、ゲート線非選択時露光制御方法と常時露光制御方法がある。ゲート線非選択時露光制御方法においては、検出対象のフォトダイオードPDに接続された全てのゲート線GCLにゲート駆動信号{Vgcl(1)~(M)}が順次供給され、検出対象の全てのフォトダイオードPDにリセット電圧が供給される。その後、検出対象のフォトダイオードPDに接続された全てのゲート線GCLが低電圧(第1スイッチング素子Trがオフ)になると露光が開始され、露光期間Pexの間に露光が行われる。露光が終了すると前述のように検出対象のフォトダイオードPDに接続されたゲート線GCLにゲート駆動信号{Vgcl(1)~(M)}が順次供給され、読み出し期間Pdetに読み出しが行われる。常時露光制御方法においては、リセット期間Prst、読み出し期間Pdetにおいても露光を行う制御(常時露光制御)をすることも可能である。この場合は、リセット期間Prstにゲート駆動信号Vgcl(1)がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pex(1)が開始する。ここで、露光期間Pex{(1)・・・(M)}とはフォトダイオードPDから容量素子Caへ充電される期間とされる。リセット期間Prstに容量素子Caにチャージされた電荷が光照射によってフォトダイオードPDに逆方向電流(カソードからアノードへ)が流れ、容量素子Caの電位差は減少する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧の電源電圧VDDから低レベル電圧の電源電圧VSSに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号Vgclが電源電圧VSSから電源電圧VDDに変化したタイミングで終了する。各露光期間Pex(1)、…、Pex(M)の露光時間の長さは等しい。
【0067】
ゲート線非選択時露光制御方法において、露光期間Pex{(1)・・・(M)}では、各部分検出領域PAAで、フォトダイオードPDに照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0068】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、制御回路122は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。尚、リセット信号はリセット期間Prstのみ高レベル電圧としてもよい。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号Vgcl(1)、…、Vgcl(M)を順次供給する。
【0069】
具体的には、ゲート線駆動回路15は、期間V(1)において、ゲート線GCL(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号Vgcl(1)を供給する。制御回路122は、ゲート駆動信号Vgcl(1)が高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号ASW1、…、ASW6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号Vgcl(1)により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時に検出回路48に接続される。この結果、検出信号Vdetが部分検出領域PAAごとに検出回路48に供給される。
【0070】
同様に、ゲート線駆動回路15は、期間V(2)、…、V(M-1)、V(M)において、ゲート線GCL(2)、…、GCL(M-1)、GCL(M)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(M-1)、Vgcl(M)を供給する。すなわち、ゲート線駆動回路15は、期間V(1)、V(2)、…、V(M-1)、V(M)ごとに、ゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。各ゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧となる期間ごとに、信号線選択回路16は選択信号ASWに基づいて、順次信号線SGLを選択する。信号線選択回路16は、信号線SGLごとに順次、1つの検出回路48に接続する。これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置1は、全ての部分検出領域PAAの検出信号Vdetを検出回路48に出力することができる。
【0071】
図7は、
図6における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。以下、
図7を参照して、
図6における1つのゲート駆動信号Vgcl(j)の供給期間Readoutでの動作例について説明する。
図6では、最初のゲート駆動信号Vgcl(1)に供給期間Readoutの符号を付しているが、他のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(M)についても同様である。jは、1からMのいずれかの自然数である。
【0072】
図7および
図4に示すように、第3スイッチング素子TrSの出力電圧(V
out)は予め基準電位(Vref)電圧にリセットされている。基準電位(Vref)電圧はリセット電圧とされ、例えば0.75Vとされる。次にゲート駆動信号Vgcl(j)がハイレベルとなり当該行の第1スイッチング素子Trがオンし、各行の信号線SGLは当該部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷に応じた電圧になる。ゲート駆動信号Vgcl(j)の立ち上がりから期間t1の経過後、選択信号ASW(k)がハイになる期間t2が生じる。選択信号ASW(k)がハイになって第3スイッチング素子TrSがオンすると、当該第3スイッチング素子TrSを介して検出回路48と接続されている部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に充電された電荷により、第3スイッチング素子TrSの出力電圧(V
out)(
図4参照)が当該部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷に応じた電圧に変化する(期間t3)。
図7の例では期間t3のようにこの電圧はリセット電圧から下がっている。その後、スイッチSSWがオン(SSW信号のハイレベルの期間t4)すると当該部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷が検出回路48の検出信号増幅部42の容量(容量素子Cb)へ電荷が移動し、検出信号増幅部42の出力電圧は容量素子Cbに蓄積された電荷に応じた電圧となる。このとき検出信号増幅部42の反転入力部はオペアンプのイマジナリショート電位となるため、基準電位(Vref)に戻っている。検出信号増幅部42の出力電圧はA/D変換部43で読み出す。
図7の例では、各列の信号線SGLに対応する選択信号ASW(k)、ASW(k+1)、…の波形がハイになって第3スイッチング素子TrSを順次オンさせ、同様の動作を順次行うことで当該ゲート線GCLに接続された部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷を順次読み出している。なお
図7におけるASW(k)、ASW(k+1)…は、例えば、
図7におけるASW1からASW6のいずれかである。
【0073】
具体的には、スイッチSSWがオンになる期間t4が生じると、部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)から検出回路48の検出信号増幅部42の容量(容量素子Cb)へ電荷が移動する。このとき検出信号増幅部42の非反転入力(+)は、基準電位(Vref)電圧(例えば、0.75[V])にバイアスされている。このため、検出信号増幅部42の入力間のイマジナリショートにより第3スイッチング素子TrSの出力電圧(Vout)も基準電位(Vref)電圧になる。また、容量素子Cbの電圧は、選択信号ASW(k)に応じて第3スイッチング素子TrSがオンした箇所の部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷に応じた電圧となる。検出信号増幅部42の出力電圧は、イマジナリショートによって第3スイッチング素子TrSの出力電圧(Vout)が基準電位(Vref)電圧になった後に、容量素子Cbの容量に応じた電圧になり、この出力電圧をA/D変換部43で読み取る。なお、容量素子Cbの電圧とは、例えば、容量素子Cbを構成するコンデンサに設けられる2つの電極間の電圧である。
【0074】
なお、期間t1は、例えば20[μs]である。期間t2は、例えば60[μs]である。期間t3は、例えば44.7[μs]である。期間t4は、例えば0.98[μs]である。
【0075】
なお、
図6及び
図7では、ゲート線駆動回路15がゲート線GCLを個別に選択する例を示したが、これに限定されない。ゲート線駆動回路15は、2以上の所定数のゲート線GCLを同時に選択し、所定数のゲート線GCLごとに順次ゲート駆動信号Vgclを供給してもよい。また、信号線選択回路16も、2以上の所定数の信号線SGLを同時に1つの検出回路48に接続してもよい。また更には、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを間引いて走査してもよい。
【0076】
次に光フィルタ層80の構成について説明する。
図8は、光フィルタ層の平面図である。
図8に示すように光フィルタ層80は、第1カラーフィルタ81と、第2カラーフィルタ82と、遮光層85と、を含む。第1カラーフィルタ81は、光源53、54からの光L1のうち、第1波長帯域の光L1aを透過させる機能を有する。第2カラーフィルタ82は、光源53、54からの光L1のうち、第2波長帯域の光L1bを透過させる機能を有する。
【0077】
複数の第1カラーフィルタ81及び複数の第2カラーフィルタ82は、部分検出領域PAAごとに離隔して配置される。第1カラーフィルタ81と第2カラーフィルタ82とは、第1方向Dxに沿って交互に配列される。また、複数の第1カラーフィルタ81は、第2方向Dyに並んで配列される。複数の第2カラーフィルタ82は、第2方向Dyに並んで配列される。
【0078】
遮光層85は、第1方向Dxに隣り合う第1カラーフィルタ81と第2カラーフィルタ82との間に設けられる。また、遮光層85は、第2方向Dyに隣り合う複数の第1カラーフィルタ81の間、及び、第2方向Dyに隣り合う複数の第2カラーフィルタ82の間に設けられる。言い換えると、遮光層85は、隣り合う部分検出領域PAAの間に設けられる。また、遮光層85は、複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLと重畳して設けられる。ただし、
図8では、複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLを図示するために、遮光層85とずれた位置に示している。
【0079】
本実施形態では、フォトダイオードPDは、第1フォトダイオードPD1と、第2フォトダイオードPD2と、を有する。第1フォトダイオードPD1は、第1カラーフィルタ81のそれぞれと重畳する領域に設けられ、第1カラーフィルタ81を透過した光(第1波長帯域の光L1a)を受光する。第2フォトダイオードPD2は、第2カラーフィルタ82のそれぞれと重畳する領域に設けられ、第2カラーフィルタ82を透過した光(第2波長帯域の光L1b)を受光する。
【0080】
なお、以下の説明では、第1カラーフィルタ81と重畳する領域を、第1検出領域PAA-Rと表し、第2カラーフィルタ82と重畳する領域を、第2検出領域PAA-IRと表す場合がある。
【0081】
図9は、検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図9は、例えば
図8のIX-IX’断面図である。
図9に示すように、検出装置1は、センサ基材21と、第1スイッチング素子Trと、有機絶縁膜94と、下部電極23と、無機絶縁膜95と、フォトダイオードPD(
図9では活性層31のみ示す)と、上部電極24と、光フィルタ層80と、封止膜96とを有する。
【0082】
なお、本明細書において、センサ基材21の表面に垂直な方向において、センサ基材21からフォトダイオードPDに向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、フォトダイオードPDからセンサ基材21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0083】
遮光膜65は、センサ基材21の上に設けられる。遮光膜65は、半導体層61とセンサ基材21との間に設けられる。遮光膜65により、半導体層61のチャネル領域へのセンサ基材21側からの光の侵入を抑制することができる。
【0084】
遮光膜65を覆って、センサ基材21の上にアンダーコート膜91が設けられる。アンダーコート膜91は、例えば、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜等の無機絶縁膜で形成される。なお、アンダーコート膜91の構成は、単層膜に限定されず、複数層の無機絶縁膜が積層されていてもよい。
【0085】
第1スイッチング素子Tr(トランジスタ)は、センサ基材21の上に設けられる。第1スイッチング素子Trは、複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2のそれぞれに対応して設けられる。具体的には、第1スイッチング素子Trは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を有する。半導体層61は、アンダーコート膜91の上に設けられる。半導体層61は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層61は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン等であってもよい。
【0086】
ゲート絶縁膜92は、半導体層61を覆ってアンダーコート膜91の上に設けられる。ゲート絶縁膜92は、例えばシリコン酸化膜等の無機絶縁膜である。ゲート電極64は、ゲート絶縁膜92の上に設けられる。
図9に示す例では、第1スイッチング素子Trは、トップゲート構造である。ただし、これに限定されず、第1スイッチング素子Trは、ボトムゲート構造でもよく、半導体層61の上側及び下側の両方にゲート電極64が設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0087】
層間絶縁膜93は、ゲート電極64を覆ってゲート絶縁膜92の上に設けられる。層間絶縁膜93は、例えば、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層構造を有する。ソース電極62及びドレイン電極63は、層間絶縁膜93の上に設けられる。ソース電極62は、ゲート絶縁膜92及び層間絶縁膜93に設けられた第2コンタクトホールCH2を介して、半導体層61のソース領域に接続される。ドレイン電極63は、ゲート絶縁膜92及び層間絶縁膜93に設けられた第3コンタクトホールCH3を介して、半導体層61のドレイン領域に接続される。
【0088】
有機絶縁膜94は、第1スイッチング素子Trのソース電極62及びドレイン電極63を覆って層間絶縁膜93の上に設けられる。有機絶縁膜94は、有機平坦化膜であり、CVD等により形成される無機絶縁材料に比べ、配線段差のカバレッジ性や、表面の平坦性に優れる。
【0089】
下部電極23及び無機絶縁膜95は、有機絶縁膜94の上に設けられる。フォトダイオードPDは、下部電極23の上に設けられる。より詳細には、下部電極23は、有機絶縁膜94の上に設けられるとともに、有機絶縁膜94に形成された第1コンタクトホールCH1の底面で、第1スイッチング素子Trのドレイン電極63と接続される。下部電極23は、フォトダイオードPDのカソード電極である。複数の下部電極23は、部分検出領域PAA(第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2)ごとに離隔して配置される。
【0090】
無機絶縁膜95は、下部電極23の一部を覆って設けられる。無機絶縁膜95は、例えばシリコン窒化膜や、酸化アルミニウム膜等の材料が用いられる。より詳細には、無機絶縁膜95aは、隣り合う下部電極23の間で有機絶縁膜94の上に設けられ、下部電極23の外縁を覆う。無機絶縁膜95aにより、隣り合うフォトダイオードPDの下部電極23が絶縁される。無機絶縁膜95aは、ソース電極62(信号線SGL)と重畳し、かつ、光フィルタ層80の遮光層85の下側に位置する。
【0091】
また、無機絶縁膜95bは、無機絶縁膜95aと離隔しており、第1コンタクトホールCH1の内部で下部電極23を覆って設けられ、ドレイン電極63と重畳する。
【0092】
また、フォトダイオードPDは、平面視で下部電極23よりも大きい面積を有する。フォトダイオードPD(活性層31)及び上部電極24は、複数の部分検出領域PAAに亘って連続して設けられる。言い換えると、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、共通の有機半導体材料で形成され、同じ感度特性を有する。第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、光源53、54から照射される光L1が有する第1波長帯域及び第2波長帯域の両方に感度を有する。
【0093】
上部電極24は、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の上に設けられる。上部電極24は、フォトダイオードPDのアノード電極であり、複数の部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)に亘って連続して形成される。
【0094】
光フィルタ層80は、さらに無機絶縁膜86、88及びオーバーコート層87を有する。無機絶縁膜86は、上部電極24の上に設けられる。第1カラーフィルタ81、第2カラーフィルタ82及び遮光層85は、無機絶縁膜86の上に設けられる。遮光層85は、隣り合う第1カラーフィルタ81と第2カラーフィルタ82との間に設けられる。第1カラーフィルタ81の外縁及び第2カラーフィルタ82の外縁は、遮光層85の一部を覆う。
【0095】
第1カラーフィルタ81及び第2カラーフィルタ82は、それぞれ第1波長帯域及び第2波長帯域に対応するレジスト材料が用いられ、フォトリソグラフィにより部分検出領域PAAごとにパターニングされる。
【0096】
オーバーコート層87は、第1カラーフィルタ81、第2カラーフィルタ82及び遮光層85を覆って設けられる。オーバーコート層87は、第1カラーフィルタ81、第2カラーフィルタ82及び遮光層85で形成される段差を平坦化するように形成される。無機絶縁膜88は、オーバーコート層87の上に設けられる。
【0097】
封止膜96は、無機絶縁膜88の上に設けられる。封止膜96は、シリコン窒化膜や酸化アルミニウム膜などの無機膜、あるいはアクリルなどの樹脂膜が用いられる。封止膜96は、単層に限定されず、上記の無機膜及び樹脂膜を組み合わせた2層以上の積層膜であってもよい。光フィルタ層80及び封止膜96によりフォトダイオードPDは良好に封止され、上面側からの水分の侵入を抑制することができる。
【0098】
このような構成により、第1検出領域PAA-Rで、第1フォトダイオードPD1は、第1カラーフィルタ81を透過した第1波長帯域(例えば赤色)の光を受光する。第2検出領域PAA-IRで、第2フォトダイオードPD2は、第2カラーフィルタ82を透過した第2波長帯域(例えば赤外光)の光を受光する。また、隣り合う第1カラーフィルタ81と第2カラーフィルタ82との間に遮光層85が設けられているので、第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2との間の混色を抑制することができる。すなわち、遮光層85により、第1カラーフィルタ81を透過した第1波長帯域(例えば赤色)の光が、第2フォトダイオードPD2に入射することを抑制し、また、第2カラーフィルタ82を透過した第2波長帯域(例えば赤外光)の光が、第1フォトダイオードPD1に入射することを抑制する。
【0099】
図10は、検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
図10に示すように、露光期間Pexに、光源53、54が点灯し、第1波長帯域及び第2波長帯域を含む光L1を照射する。この際、第1検出領域PAA-R(第1カラーフィルタ81)及び第2検出領域PAA-IR(第2カラーフィルタ82)の両方に同時に光L1が照射される。光L1は、第1カラーフィルタ81及び第2カラーフィルタ82をそれぞれ透過して、同時に第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射される。
【0100】
ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLを走査し、
図6、7で上述した読み出し期間Pdet及びリセット期間Prstを順次実行する。これにより、第1検出領域PAA-Rの第1フォトダイオードPD1から、第1波長帯域の光L1aに応じた検出信号Vdet(R)が出力される。第2検出領域PAA-IRの第2フォトダイオードPD2から、第2波長帯域の光L1bに応じた検出信号Vdet(IR)が出力される。
【0101】
検出回路48は、第1フォトダイオードPD1から受け取った検出信号Vdet(R)及び第2フォトダイオードPD2から受け取った検出信号Vdet(IR)のそれぞれについて、信号処理を行う。信号処理部44は、信号処理された検出信号Vdet(R)と検出信号Vdet(IR)との差分計算等の演算を行い、演算結果が記憶部46に順次格納される。
【0102】
光源53、54は、読み出し期間Pdet及びリセット期間Prstでは非点灯となり、期間ごとに時分割的に点灯、非点灯を繰り返す。ただし、これに限定されず、光源53、54は、読み出し期間Pdet及びリセット期間Prstにも連続して点灯してもよい。
【0103】
本実施形態の検出装置1は、第1カラーフィルタ81及び第2カラーフィルタ82が設けられているので、第1フォトダイオードPD1による第1波長帯域の光L1aの検出と、第2フォトダイオードPD2による第2波長帯域の光L1bの検出とを、同じ期間に実行することができる。すなわち、第1波長帯域の光L1aの照射と、第2波長帯域の光L1bの照射とを、同時に実行することができる。したがって、第1波長帯域の光L1aの検出と、第2波長帯域の光L1bの検出とを時分割的に行う場合に比べて、検出のフレームレートの低下を抑制できる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態の検出装置1は、第1波長帯域及び第2波長帯域を含む光L1を照射する光源53、54と、第1波長帯域の光L1aを透過させる第1カラーフィルタ81と、第2波長帯域の光L1bを透過させる第2カラーフィルタ82と、第1カラーフィルタ81を透過した光L1を受光する第1フォトダイオードPD1と、第2カラーフィルタ82を透過した光L1を受光する第2フォトダイオードPD2と、を有する。
【0105】
これにより、複数の光源53、54から照射された、第1波長帯域及び第2波長帯域を含む広帯域の光L1は、第1カラーフィルタ81及び第2カラーフィルタ82により、波長帯域ごとに空間的に分離される。第1フォトダイオードPD1は、第1カラーフィルタ81を透過した第1波長帯域(例えば赤色)の光を受光する。第2フォトダイオードPD2は、第2カラーフィルタ82を透過した第2波長帯域(例えば赤外光)の光を受光する。
【0106】
すなわち、検出装置1は、共通の光L1を照射する複数の光源53、54、及び、同じ感度特性を有する第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2で、異なる2種以上の波長帯域に対応した検出信号Vdetを検出することができる。言い換えると、異なる2種以上の波長帯域ごとに複数種類の光源を設ける必要がなく、また、異なる2種以上の感度特性を有する複数種類のフォトダイオードPDを設ける必要がない。
【0107】
(第1変形例)
図11は、第1変形例に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図11に示すように、第1変形例に係る検出装置1Aは、さらに対向基板21Aを有する。対向基板21Aは、複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2の上側に設けられ、センサ基材21と対向する。
【0108】
光フィルタ層80Aは、対向基板21Aのセンサ基材21と対向する面(複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2と対向する面)に設けられる。複数の第1カラーフィルタ81、複数の第2カラーフィルタ82及び遮光層85Aは、対向基板21Aのセンサ基材21と対向する面に直接接して設けられる。また、複数の第1カラーフィルタ81、複数の第2カラーフィルタ82及び遮光層85Aを覆ってオーバーコート層87が設けられる。
【0109】
本実施形態の検出装置1Aは、複数のスイッチング素子Tr及びフォトダイオードPDが形成されたセンサ基材21と、光フィルタ層80Aが形成された対向基板21Aとが、接着層89Aを介して貼り合わされて製造される。オーバーコート層87と無機絶縁膜89との間には、スペーサPSが設けられる。スペーサPSにより、センサ基材21側と対向基板21A側とを貼り合わせる際の、基板間の距離が規定される。
【0110】
言い換えると、センサ基材21に垂直な方向で、複数の第1スイッチング素子Tr、有機絶縁膜94、下部電極23、フォトダイオードPD(複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2)、上部電極24、無機絶縁膜89、接着層89A、光フィルタ層(第1カラーフィルタ81A及び第2カラーフィルタ82A)、対向基板21Aの順に積層される。
【0111】
なお、複数の第1カラーフィルタ81A、複数の第2カラーフィルタ82A及び遮光層85Aは、対向基板21Aに直接設けられる構成に限定されず、対向基板21Aに絶縁膜を介して設けられていてもよい。
【0112】
第1変形例の検出装置1Aでは、複数の第1カラーフィルタ81A、複数の第2カラーフィルタ82A及び遮光層85Aが、対向基板21Aに形成されるので、フォトダイオードPD上で複数の第1カラーフィルタ81、複数の第2カラーフィルタ82及び遮光層85をパターニングする場合に比べて、フォトダイオードPDへの損傷を抑制できる。
【0113】
また、対向基板21A及び光フィルタ層80AがフォトダイオードPDを覆って設けられているので、上面側からの水分の侵入を抑制することができる。すなわち、第1変形例では、少なくとも対向基板21Aが封止膜96(
図9参照)の機能を兼ねる。
【0114】
(第2変形例)
図12は、第2変形例に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図12に示すように、第2変形例に係る検出装置1Bにおいて、光フィルタ層80Bは、センサ基材21と、フォトダイオードPDとの間に設けられる。
【0115】
より詳細には、複数の第1カラーフィルタ81B及び複数の第2カラーフィルタ82Bは、複数の第1スイッチング素子Tr(トランジスタ)の上に設けられる。複数の第1カラーフィルタ81B及び複数の第2カラーフィルタ82Bは、ソース電極62及びドレイン電極63と同層に層間絶縁膜93の上に設けられる。複数の第1カラーフィルタ81B及び複数の第2カラーフィルタ82Bには、ソース電極62及びドレイン電極63と重畳する領域に開口が設けられている。複数の第1カラーフィルタ81B及び複数の第2カラーフィルタ82Bの開口は、少なくとも第1コンタクトホールCH1と重なる領域に設けられていればよい。
【0116】
複数の第1フォトダイオードPD1及び複数の第2フォトダイオードPD2は、有機絶縁膜94を介して複数の第1カラーフィルタ81B及び複数の第2カラーフィルタ82Bの上に設けられる。
【0117】
フォトダイオードPDの上には、第1無機絶縁膜97A、封止樹脂98、第2無機絶縁膜97B及び封止膜96の順に積層される。これにより、フォトダイオードPDの上面側が良好に封止される。
【0118】
検出装置1Bは、光源53、54からの光がセンサ基材21の第2面S2(
図5参照)側から照射される下面受光型の光センサである。第2変形例においても、センサ基材21側から照射された、第1波長帯域及び第2波長帯域を含む広帯域の光L1は、第1カラーフィルタ81B及び第2カラーフィルタ82Bにより、波長帯域ごとに空間的に分離される。第1フォトダイオードPD1は、第1カラーフィルタ81Bを透過した第1波長帯域(例えば赤色)の光を受光する。第2フォトダイオードPD2は、第2カラーフィルタ82Bを透過した第2波長帯域(例えば赤外光)の光を受光する。
【0119】
第2変形例では、光フィルタ層80Bが、センサ基材21と、フォトダイオードPDとの間に設けられているので、センサ基材21の第2面S2側に別体に光フィルタ層80Bを設ける構成に比べて薄型化を図ることができる。
【0120】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る検出装置が有するフィルタ層の平面図である。
図13に示すように、第2実施形態に係る検出装置1Cにおいて、光フィルタ層80Cは、第1カラーフィルタ81C、第2カラーフィルタ82C及び第3カラーフィルタ83Cを有する。第1カラーフィルタ81Cは、第1波長帯域の光L1a(例えば赤色の光)を透過させる。第2カラーフィルタ82Cは、第2波長帯域の光L1b(例えば緑色の光)を透過させる。第3カラーフィルタ83Cは、第3波長帯域の光(例えば青色の光)を透過させる。第1カラーフィルタ81C、第2カラーフィルタ82C及び第3カラーフィルタ83Cは、第1方向Dxに沿って、この順で繰り返し配列される。
【0121】
また、フォトダイオードPDは、第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第3フォトダイオードPD3を有する。第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第3フォトダイオードPD3は、第1方向Dxに沿って、この順で繰り返し配列される。
【0122】
第1フォトダイオードPD1は、第1カラーフィルタ81Cを透過した光(例えば赤色の光)を受光する。第2フォトダイオードPD2は、第2カラーフィルタ82Cを透過した光(例えば緑色の光)を受光する。第3フォトダイオードPD3は、第3カラーフィルタ83Cを透過した光(例えば青色の光)を受光する。
【0123】
第2実施形態において、光源53、54、55(光源55は図示略)から照射される光L1は、第1波長帯域の光L1a、第2波長帯域の光L1b及び第3波長帯域の光L1cを含む広帯域の光である。光源53、54から照射される光L1は、第1カラーフィルタ81C、第2カラーフィルタ82C及び第3カラーフィルタ83Cをそれぞれ透過して、同時に第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第3フォトダイオードPD3に照射される。
【0124】
画像処理部49を含む検出部40(
図2参照)は、第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第3フォトダイオードPD3からの検出信号Vdetに基づいて二次元情報を生成する。本実施形態の検出装置1Cは、例えばカラースキャナ等の撮像装置に適用される。
【0125】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0126】
1、1A、1B、1C 検出装置
10 センサ部
11 検出制御部
15 ゲート線駆動回路
16 信号線選択回路
21 センサ基材
21A 対向基板
23 下部電極
24 上部電極
31 活性層
32 正孔輸送層
33 電子輸送層
40 検出部
48 検出回路
80、80A、80B、80C 光フィルタ層
81、81A、81B、81C 第1カラーフィルタ
82、82A、82B、82C 第2カラーフィルタ
83C 第3カラーフィルタ
94 有機絶縁膜
95 無機絶縁膜
96 封止膜
PD フォトダイオード
PD1 第1フォトダイオード
PD2 第2フォトダイオード
PD3 第3フォトダイオード
AA 検出領域
GA 周辺領域